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議案に対する討論
2003/11/25  神山悦子
 日本共産党県議団を代表し、議案に対する討論を行います。
 県人事委員会が10月6日に勧告した内容は、(1)2年連続で全給料表の引き下げ、(2)配偶者に係る扶養手当500円引き下げ、(3)期末手当(ボーナス)の0.25月分引き下げ、(4)公民較差解消と称して、12月期の期末手当で4月に遡って調整し基本給を減額するというものです。県は、完全実施の方向で条例を改正しようとしていますが、これにより、期末手当は5年連続、月額給与は2年連続の引き下げとなります。
同意できない第1点の理由は、県職員の給与引き下げが、公務員の生活を悪化させるばかりでなく、県民の暮らしと県内の経済を一層冷え込ませるという点からです。
 昨年は、人事院勧告制度が1948年に始まって以来、初めて基本給の引き下げが行われ、人事委員会の資料によれば、配偶者と子ども2人、41.3才の行政職モデルで月額7,816円、年間174,391円もの減収となり、対象者が県職員と市町村立学校職員を合わせて約3万人、総額53億円の減額となりました。
今年は、昨年に続く大幅な引き下げ勧告であり、配偶者と子ども2人、41.6才の行政職モデルの試算で月額3,852円、年間176,197円の減収、総額42億8,000万円の減額となることが想定されています。昨年と今年の2年連続引き下げが実施されれば、2001年(H13)から1996年(H8)までの過去6年間の昇給相当分が消える計算となり、1995年(H7)の給与水準に戻されることになります。これでは、県内経済にも影響を及ぼすことは必至です。特に、今年は冷夏の影響で、農家の減収が地域経済にも大きな影響をもたらしていますが、さらに冷え込ませることになるではありませんか。
長引く不況の大きな原因は、消費不況といわれるように、国民の消費・購買力の低下にあります。国民経済の6割を占める家計消費をのばすこと、そのためには、国民のふところをあたためることが必要なのです。
県人事委員会の引き下げ理由は、公務員給与が民間より4,427円も高いからというものですが、昨年の公務員の賃下げが、今春闘で民間の賃下げに拍車をかける結果となり、「賃下げの悪循環」を引き起こしています。さらに見逃せないのは、公務員の給与引き下げをテコに、ささやかな年金受給者の給付減額、児童扶養手当や生活保護費、被爆者手当の減額などにつながり、この影響は、いろんな形で多くの県民にも及ぶことです。
今でさえ、県民の暮らしは、小泉内閣によって医療費の3割負担・年金・介護などの負担増や庶民増税、来年には配偶者の特別控除の廃止など、国民に4兆円にも上る負担増が耐えがたいものとなっているのです。
加えて、小泉政権による大企業のリストラ応援策のもとで、賃金抑制や不安定雇用の拡大と大量の失業者が生み出されています。特に青年の雇用状況は、ますます厳しくなっており、このことは、日本の将来にかかわる大きな社会問題となっています。むしろ県自らが若年者を含め雇用創出をどう図るかが求められているときなのに、人件費の総抑制をすすめ、賃金の引き下げや職員の削減などはやるべきではありません。
勧告内容には、医師に対する初任給調整手当のカットも示されていますが、県内で医師不足がこれほどいわれているときに逆行するものではありませんか。また、扶養手当のカットも含まれていますが、これも政府が配偶者特別控除を廃止しようとしている時であり、やるべきではありません。
賛成できない2点目の理由は、12月の期末手当から4月に遡って基本給の削減を行うことです。これは、公務員のスト権はく奪のもとで、不利益は過去に遡って適用しないという最高裁判決にも背く無法なやり方ではありませんか。しかも、職員組合との合意のないものは実施すべきでありません。
地方自治体職員には、国民・住民に奉仕するという職務を遂行しつつも、国民、勤労者として持つ諸権利が保障されるのは当然のことです。
県人事委員会が「その他の報告事項」で、超過勤務時間のさらなる縮減や男女共同参画社会の実現をあげ、より一層個々の職員が、男女の別なく持てる力を十分発揮できるよう、職場環境の整備と育児休業制度等が活用されやすい環境を図る必要性を求めています。今年2月議会で私が「県職員が民間に先駆けて男女ともに育児休業制度を取得できるようにすべきではないか」と申し上げた際、総務部長は「強制的に男性職員にとれとは言えない」などと答弁されましたが、人事委員会の報告にもあるとおり、実態としては男女が共に取得できる職場環境になっていないことが指摘されているのですから、こうした改善にはすぐにでもとりくむべきではないでしょうか。

最後に、県の「財政構造改革プログラム」からみれば、歳入予測を上回る減収が見込まれ、大変厳しいとされています。だからといって、それを労働者に一方的にしわよせするやり方はやめるべきです。県財政を困難に導いてきたのは、私たちが以前から指摘してきたように、小名浜人工島づくりや首都機能移転誘致運動など政府に連動して県民には必要もないムダな大型開発事業をどんどん進めてきたからです。ここにメスを入れることが、県財政を健全化させる近道ではありませんか。いま必要なことは、県予算の重点を医療・福祉・教育などに移し、ますます厳しさを増している県民生活を応援することです。
以上の理由から議案第2号、4号、5号、7号には同意できないことを申し述べまして討論を終わります。 


日本共産党福島県議団
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