12月県議会に提案議案について、日本共産党県議団を代表しまして意見を述べさせていただきます。
まず、議案第1号の補正予算についてですが、今年の異常気象による農業災害対策費として、天災資金の利子補給や来年度に向けた水稲の種子確保、ももの樹成回復のための青果物価格安定対策支援、また一向に明るい兆しがみえず厳しい経済不況のもとで苦しんでいる県内中小企業への支援策として、長期安定資金や緊急経済再生特別資金などの県保証協会への損失補償など、県民の営業と生活を緊急に支援するための補正予算や、さらに生活密着型の公共事業など評価できる予算も含まれています。しかし、今度の補正予算で大幅に減額したのは職員の給与改定等に伴う減額ですが、こうやって、切りつめて減債基金に繰り戻すやり方は、結局県民や一般職員にしわ寄せするものであり、42億8,300万円にも及ぶ減収は、先の臨時議会でも指摘したように、疲弊している県内経済をいっそう冷え込ませるだけでなく、民間企業の賃金引き下げに連動させることになり、行うべきではありません。また、こうした観点からいえば、知事など特別職の退職金の引き下げについては、知事の退職金一期4年間で約5,000万円を見直すことなど1,000万円引き下げる内容となっていますが、県民の生活感覚からいえばむしろもっと切り下げてもよいのではないでしょうか。そうすれば、県民から再三要望されている正教員の採用を増やすこと、学校耐震化の促進、社保の乳幼児医療費窓口無料化の助成など子育てや教育、介護など県民の福祉を支援するための施策に振り向けることが充分可能となるはずです。
次に、議案第15号と25号は、県立病院を地方公営企業法の規定を全部適用するとして関係条例を制定しようとするものですが、長谷部議員の一般質問でも指摘しましたように、県立病院の経営を悪化させている大きな原因は医師不足にあることは今や誰もが認めるところです。この根本問題をどう解決していくかは、県政の緊急課題であり、さらに経営改善をいうのであれば病院職員の意識改革や後発薬品の積極活用を含めて、県内地域医療に貢献できる改革をどうすすめるのかが問われているのです。そうした検証を進めた上で全適を含め経営のあり方を県民とともに検討していくことが必要なのであり、現段階で移行するのは時期尚早と考えます。
また、長引く不況や厳しい県民生活を反映して県財政だけでなく、市町村財政も4年ぶりの赤字決算という状況です。これらの状況を踏まえれば、私たちが一貫して主張してきたように、県が行う建設事業に市町村から負担を求めることはやめるべきです。地財法では市町村から負担を求めることができるとしているだけで強制すべきものとはなっておりません。県の道路建設にともなう市町村負担については、以前に撤廃しているわけですから、市町村とのイコールパートナーという県の立場からいっても、市町村いじめともいえる県のやり方を改めるよう求めるものです。
次に請願に関する意見ですが、教育3000万署名実行委員会から92,714人分の署名を添えて提出された「中学校2学年、小学校3学年での30人学級実現について」の請願は、昨年の12月県議会でも全会一致で採択されていた内容と同じ趣旨のものです。子ども1人ひとりの人格形成にとっては、単に学習集団だけ少人数にするのではなく、少人数学級による教育が望ましいということは、私が今さら指摘するまでもないことです。特に中学2年生は、思春期の大切な時期です。現状では、30人学級から40人学級編成に変わるときに1クラス10数人も増える場合もあり、教育の継続性からみても問題ではないでしょうか。県教委がいうように「個を大切にする」のであれば少人数だから競争が働かないなどという理屈は矛盾するものであり、県が自ら作った教育プランにあくまでも固執し続けるのは、結局のところ県民の切実な声や子どもたちの願いに背を向けることです。30人学級を段階的に前進させるためにも、議会としてこの請願を採択すべきです。さらに、イラクへの自衛隊派兵中止や見直しを求める意見書の採択が、県内市町村議会で3分の1を超えていますが、わが県議会に対しても国に意見書提出を求める請願が4本も提出されています。政審では「継続」の方向づけがなされたようですが、今後の日本の進路と地方自治体のあり方を考えれば、きわめて憂慮にたえない事態になるだろうと考えるものです。
以上の理由から、議案第1号から8号、議案第15号及び25号、第31号には反対、請願31号には賛成を述べまして討論とします。
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