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2002年度(H14)普通会計決算についての反対討論
2004・3・9   神山悦子
 日本共産党の神山悦子です。

 私は、継続審査議案第37号「2002年度普通会計決算の認定について」反対の立場から意見を述べさせていただきます。

 小泉内閣は、2001年4月に発足した同年6月に「構造改革」、いわゆる「骨太方針」を打ち出し、2002年度の予算を編成しました。ところが、公共投資を1兆円減らすとしながら、この予算案と一体で閣議決定した、2001年度二次補正で2兆5千億円も上乗せしたため、削減どころか「都市再生」と称した、実質1兆5千億円の公共事業を増やす予算となったのです。結局、削ってはならない国民向け予算を削り、緊急性もない従来型の支出を増やしたにすぎませんでした。

 また、地方交付税についても、前年度比8,000億円のマイナス分を、自治体が発行する臨時財政対策債(赤字地方債)の増発で補う形をとりました。しかし、小泉構造改革でリストラ・産業空洞化がすすみ、坂道をころげ落ちるように悪化する深刻な不況への対策はほとんどなく、国民向けの予算を切り捨て、社会保障費の削減を行い、特に高齢者に対しては、医療費の1割負担を求め、介護施設整備予算も削減し、母子家庭への児童扶養手当も削減するなど、高齢者や子ども、障害者などに冷たい予算編成でした。

 こうした政府予算を受けて、2002年度の本県の当初予算は、総額9,599億4,300万円でスタートしました。県は、中期財政見通しで大幅な財源不足が見込まれるとして、2001年に「財政構造改革プログラムを策定」し、2002年度から5年間で「歳入に見合う歳出にする」とし、最初の3年間で集中して取り組むとしました。2002年度はその初年度となりました。

 まず、指摘しなければならないのは、この県財政構造改革プログラムの中身についてです。小泉政権が地方や県民へのしわよせを強めてくるという点からみても、予算編成にあたっては、県民の暮らしを守り、県民生活と市町村を応援することを中心にすえることが大切であること。そのためにも、とりわけバブル時代に計画し、県の借金を増やす原因ともなってきた浪費型の公共事業である3大プロジェクトの見直しが決定的に大切であることを私たちは繰り返し指摘してきました。それらを受けた当初予算では、空港3000m級化は延期、小名浜東港は第二期工事以降凍結、あぶくま高原道路=トラハイは進度調整とし、大型公共事業を大幅縮減したのに、なんと年度末の2月整理予算では、またもや小名浜東港に2億4千万円、トラハイに3億円、そして木戸ダムに9億円も追加したのです。政府の第二次経済対策の補正を受けたことを理由にしたものでしたが、結局年度内にこなしきれないため、多くは翌2003年度に持ち越されました。財政構造改革初年度としながら、掛け声だけで根本的な反省をしていないことの表れだったといえます。首都機能移転誘致運動は、こうした大型公共事業をすすめるバックボーンとしてすすめられてきたことも指摘しておきます。

 他方で、この年12月、政府は福祉施設への国庫補助金、負担金の削減を突然行い、県内の障害福祉関係で13ヶ所、保育所で199ヵ所に影響がでましたが、県は何の対策もとらず、減額補正をして、県民にしわよせしただけです。

 結局、2002年度の決算額は9,835億円となりましたが、款別でみると当初予算との比較で、衛生費は98%、商工費96.7%、教育費97%というように減額となり、土木部は119.5%、農林水産部103.3%の増となりました。

 さらにいえば、こうした公共投資を増やしても、県内の多くの中小企業の経営が活性化し、雇用拡大につながったとの効果があったとはいえなかったことです。この年も失業者は増え、2002年9月時点では44,055人の求職者となり、雇用保険受給者を除けば、何の収入もなく仕事を探している人が2万4千人強で、高卒未就職の内定率も16%と厳しいものでした。決算資料の中で目立つのは、こうしたリストラや家計急変などの原因による高校授業料や県営住宅の家賃滞納者が増加していることです。国や県の緊急雇用対策事業も、あくまでも緊急措置にすぎないものです。本格的な雇用・経済対策という点では、この年にスタートした小学校1年生、中学校1年生の30人学級によって教員が増え、父母や子どもたちに歓迎されたように、県自身が、生活密着型、福祉・教育型の公共事業中心に転換し、県民のくらしと市町村を応援する施策の展開が、引き続き求められたといえます。

 

 2点目は、県財政が厳しいとしてどこを削減したのかという問題です。年度末になって、新たに「緊急経済雇用対策基金」として15億円創設され、「社会福祉施設整備基金」に5億円、「公共施設等維持補修基金」に18億円、トータルで38億円も積み増しし、実質収支は38億8,592万9,347円の黒字としました。いずれも所轄部局でなく総務部所管としたのは、財源対策のためです。これらの基金財源は、各部局にマイナスシーリングをかけ、徹底して事務事業の見直しをさせて吸い上げたものであります。またこの年、敬老祝い金をカットしましたが、これが県内市町村の段階にも影響を及ぼし、政府の医療費負担増と合わせ、高齢者には「行政の冷たいしうち」という結果をつくりました。

 もう1つは、県職員の削減と給与カットです。約30年ぶりの職員条例定数を改正し、9,014人から8,475人の定数に減員することとし、そのためにまず439人減らし3年後までにあと100人減らすという目標をかかげ、財政構造改革プログラムでは15億円の人件費の削減予定が、実際は49億円と3倍化になりました。県がバブル時代につくった借金のツケを職員にも回したものです。

 3点目は、事務執行のあり方です。

 本庁・出先を含め、委託業務の競争性、透明性の確保、入札制度についてです。監査委員の意見にもあるように、これを重点的に検証したこともあって、単独契約や設計積算が明確でないなど不適切なものなど96件も指摘されました。また、入札制度の見直しについては、私たちが何度も改善を求めていますが、依然として落札率は1億円以上の工事の平均落札率が97.16%(オンブズマン調べ)と高止まりです。予定価格の事前公表が試行的に実施されましたが、本格実施には至りませんでした。

 4点目は、県立医大付属病院会計についてです。前年度包括外部監査において41項目が指摘されていましたが、監査委員からまたもや29件にわたる指摘があったように、調定時期の著しい遅れなど、管理が適正に行われていなかったことは、病院関係職員と監督責任の県当局のなれあいともいうべき悪しき慣行の表れといえます。

 2002年度は、30人学級の一部実施や雇用対策など評価できるものもありましたが、介護や医療など国の社会保障予算の削減ともあいまって、県民の医療・福祉・教育をはじめ、県民のくらしと県内経済・市町村を応援していくという取り組みでは極めて不十分であったし、広域自治体としての県の本来の役割を果たしたとはいえないものです。財政構造改革プログラムの見直しの点でも大型公共事業の削減は中途半端であり、結局は、職員や県民生活にしわよせしたものとなりました。

これらの点での問題や改善点を指摘しまして、討論を終わります。



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