日本共産党の神山悦子です。
小泉政権になって3年目を迎えようとしていますが、「構造改革」の名のもとに、国民のくらしは破壊され、戦後初めて自衛隊を戦闘地域へ派兵するなど、くらしの問題でも平和の問題でも悪化の方向です。私たちは、経済、政治、外交の問題など、日本社会のゆがみをなおすための本当の構造改革、つまり「異常なアメリカいいなり」と利潤第一主義に走る「大企業・財界いいなり」を変え、良識ある多くの国民のみなさんと、平和・暮らしを守るために全力を尽くすものです。
さて、2004年度の新年度政府予算案は、国民いじめの自民党・公明党連立内閣・小泉政治の特徴がはっきりと表れました。国民生活への負担増は、2004年度から本格化し、年金保険料の引き上げや庶民増税などで、今後10数年にわたる際限なき国民負担増のレールが敷かれようとしています。2002年秋から始まった医療改悪、介護、年金、雇用保険の大改悪によって既に4兆円の負担増が進行中であり、さらに新年度からは、年金保険料の引き上げをはじめ、生活保護の給付削減、高齢者への集中増税、住民税均等割り増税など、毎年1兆円前後の負担増が加わり、02年当初と比べ07年当初では7兆円もの負担増になります。これほどのくらし破壊の政治は、歴代自民党内閣の中でもとびぬけたものです。県内経済と県民生活はますます悪化することが予想されますが、県は広域地方自治体としての県の本来の仕事、県民のくらしと市町村を応援することに徹することでこの小泉悪政の防波堤の役割を果たさなければなりません。
<三位一体改革について>
この国民いじめの小泉政治は、いよいよ地方自治体財政への本格的攻勢をかけてきました。本来、分権の土台としての税財源の移譲が目的であったはずが、補助金、交付金の大幅削減が強行されようとしています。このまやかしの「三位一体改革」への知事の評価とあわせ、新年度県内市町村財政への影響をどのように認識されているかお尋ねします。
同時に、公立保育所運営費についても一般財源化されますが、2003年度ベースで公立保育所運営費国庫負担金額はいくらだったのか、また、県内市町村の公立保育所運営への影響が出てくると思いますが、それについてはいかがでしょうか、お尋ねします。
<財政運営について>
ところで、知事は、先日の代表質問に答え、今年の知事選に再度出馬することを表明されました。知事の16年間の県政を改めてみてみますと、
第一に、財政運営のあり方です。自・公政治による地方いじめがあるとしても、県自身が、「財政構造改革」をしなければならないほど大型プロジェクトに大金を投じてきた結果、借金を増やしてきたことです。知事は、バブル崩壊後の90年代半ば、就任2期目に空港2500m化、小名浜東港、トラハイ、首都機能移転、未来博と大型プロジェクトを次々と開始してきました。それまで、もともと県民向けにまわすべき予算を基金にためこみ、ピ−ク時で1,300億円余にものぼった基金を、大型プロジェクトに注ぎ込んだだけでなく、借金も大幅に増やしてきました。大型プロジェクトをスタートさせた1994年から県債が急激に増加し、今年度の県債残高は、1兆1,969億円、交付税見合いの臨時財政対策債901億29百万円を差し引いても、1兆1,068億円となります。県民一人あたりの借金は約52万円、4人家族で210万円になります。知事は、就任以来16年間、これだけの多額の県債残高を増加させてきた原因をどのように考え、これをどう解決しようとしているのかお尋ねします。
第二に、産業政策ですが、第一次産業については輸入推進の財界と政府の政策に従って、県内農林水産業を衰退させる一方、大手企業の工場を誘致する呼び込み方式で工業団地の開発をどんどんすすめました。しかし、製造業は、その後海外進出によって次々に撤退し、開発した多くの工業団地が未売地を抱えており、これが県の重荷となっています。農業においても、生産県である福島県が、耕作放棄地全国一、農業粗生産額は16年間(88〜02)で327億円も低下、農業所得も百万円を割るという衰退ぶりで、知事は初めて来年度から県内食料自給率100%をめざすことを宣言したように、生産県としてはきわめて深刻な状況です。小売商業は、大型店の進出によって倒産や廃業がすすみ、街そのものもさびれ、地域格差は深刻になる一方です。いずれも自民党政治の下請けという産業政策がこれらの結果をつくってきたといえます。
第三に、県民生活応援という、県政の本来の仕事、役割発揮が大きく遅れていることです。私たちはこれまでも県民生活と市町村を応援する県政にと、全国最低クラスの福祉・医療・教育の底上げを求めてきました。県民運動に押されて30人学級の一部実施、乳幼児医療費助成での年齢引き上げなどが実現しましたが、乳幼児医療費でいえば、社会保険加入者の窓口無料化には消極的、30人学級については、議会で議決しているにもかかわらず全学年での30人学級の実施に背を向けています。
第四に、30億円県費不正事件に代表される、公正、公平でガラス張りの県政が実施されていません。地方労働委員会の労働者委員の選出は、連合代表のみに偏っているなど、自分にとって都合のよい意見だけを聞くというトップとしての姿勢はとても公平とはいえないものです。
今年度2月の整理予算では、全体では減額補正のなか、またもや小名浜東港に3億6千万円も計上しました。これも県債残高を減らしていくという観点からみれば問題です。浪費型の大型公共事業にしっかりメスを入れ、中止することが、県民から望まれる県政だと思いますが、所見をお尋ね致します。
<行財政改革について>
県は、大型プロジェクトの1つである2001年の未来博が終わるのを待っていたかのように、「財政構造改革プログラム」を立て、一転して緊縮財政をおしつけてきました。その歳出削減の中心となったのは人件費で、わずか2年で削減目標を超過達成。このプログラムによって、大規模プロジェクトにはじめてメスが入ったことは評価できますが、中途半端であります。土木費、農林水産費はもともと予算全体に占める構成比は、それぞれ14.2%、10.2%と大きく、一方で民生費は7.3%、衛生費1.9%とわずかであり、教育費は25.9%となっていますが、大部分は教職員の人件費です。2001年度と来年度当初予算比では、民生費が50億円減、衛生費は33億円の減、教育費は170億円減ですから、大変な削減です。にもかかわらず、結局、このプログラムのもと県財政は、予想を越える県税収入の落ち込みとなり、地方交付税の削減、臨時財政対策債の大幅削減により、来年度末には過去最高となる県債残高をかかえ、基金残高は68億円と底をつく非常事態となりました。もともと3年間、あるいは5年間で、湯水のように大規模プロジェクトに県財政を注ぎ込んで生じた財政困難を立て直すというのには、無理があります。私たちは、見直し期間を弾力的に対応すべきことを求めてきましたが、結果は指摘したとおりになったといわざるをえません。しかし、そのしわよせを県民や市町村へまわすとしたらとんでもないことです。
知事は、来年度の施策の説明のなかで、県政の執行にあたり、「これまで以上に簡素で効率的な行財政運営を行っていく」と述べています。住民の福祉向上を旨とする自治体が、とりわけ医療・福祉・教育の面での「3大切りすて」ともいうべき、県立病院の全適、県立社会福祉施設の民間社会福祉法人への委譲、県立大学の独立法人化の方向を検討していますが、「行財政運営」にあたっては、「簡素で効率的」には慎重であるべきだと考える立場から、以下のことについて質問致します。
最初に、県立病院についてうかがいます。県は、県立病院への地方公営企業法全部適用の大きなメリットとして、「企業の経済性のさらなる発揮」をあげています。「企業の経済性」が何をさすかが明らかではありませんが、たとえば、2001年度の全国の自治体病院の経営状況を見ると、繰入金を含めて、107の全適病院のうち赤字が59.8%、899の一部適用病院のうち47.9%が赤字となっており、全適の病院の赤字率がむしろ高くなっています。ここでいう「企業の経済性」とは具体的にどんな内容のものなのか、病院に即してお聞かせください。
県立病院が公的医療機関として、地域での一般医療だけでなく、民間医療機関が担えない分野の医療や人材・技術養成でも役割が期待されていることはいうまでもありません。まして本県の場合、過疎地や僻地での医療を県が責任をもって担う役割もあります。こうした役割のさらなる発揮こそが必要だと考えます。その点では、こうした県立病院のあり方や一般会計からの収支差補てんのあり方などを十分に詰める作業とあわせて、全適についても引き続き検討すべきだと思いますが、県の見解をお示しください。また、全適にした場合に、それまでの県の経営責任をどのように考えるのか、その後は管理者に責任を押し付けるだけにならないのか、県は今後どんな経営責任を果たそうとするのか、あわせておうかがい致します。
次に、県立社会福祉施設の問題です。県は「保健医療福祉プラン21」において「保健・医療サービスと有機的に連携した総合的な福祉サービスが提供できるよう体制の整備に努める」と県の役割を示しています。
もともと社会福祉は、憲法第25条に基づいて、高齢者や障害者など、何らかの社会的援助が必要な人に対し、国や自治体の責任で必要なサービスを提供するしくみでした。提供されるサービス量の十分、不十分は別として、国や自治体の財政責任も含めた公的責任は明確だったと思います。しかし、1997年以来の社会福祉基礎構造改革は、この公的責任を縮小、後退させるものだったといえます。その流れのなかでの今回の検討であるならば、見過ごすわけにはいきません。
この基礎構造改革は、自治体の公的責任の範囲を、福祉サービスの提供といった直接的なものから、利用者のサービス購買力の補完やサービスの調整といった間接的なものにしようとするものではないでしょうか。県が策定を義務づけられている高齢者保健福祉計画なども、県は計画を作るだけでサービスを供給することなく、結局は民間事業者の誘致計画にしかならないのではないでしょうか。このような制度改変を、社会福祉を取り巻く環境が風のように変化したと、受動的に受け止めるわけにはいきません。
また、社会福祉法人もこの改革のもとで、社会福祉の担い手というよりは、独立採算事業の経営体としての側面が前面に出るようになり、その存在意義さえ揺らぎつつあるのが実態ではないでしょうか。何よりも福祉の仕事は、サービスを受ける側の心と、サービスを提供する側と心と心のふれあいがもっとも大切です。福祉サービスの質が、民間に任せれば競争が働いて高まると考えるのは危険です。在宅介護事業を手がける大手のコムスンが、介護保険法施行後わずか3か月で、全国のサービス拠点を大幅縮小、全社員のほぼ4割にあたる社員をリストラなどで削減したことは営利企業の典型であることを忘れてはなりません。
こうしたなか、中央社会福祉審議会の社会福祉構造改革分科会は、「この改革が利用者負担の増大など、公的責任の後退を招くのではないかとの懸念が少なからず表明されている」として、「国および地方公共団体は、(中略)利用料助成やサービス供給体制の基盤整備などを通じて国民に対する福祉サービス確保のための公的責任を果たす」と、すでに98年12月に述べています。
こうした点から考えるならば、県立の社会福祉施設については、民間への移譲を検討するのではなく、老朽施設は建て替えたうえ、県として福祉サービス提供面でより充実させることこそ検討すべきだと思いますが、県の見解をうかがいます。
次に、県立大学の問題です。
最初に、法人に移行するか、旧来の形態を維持するかの選択にあたっては、県と各大学が協議のうえで判断するものと思いますが、現在の法人化の検討にあたっては、そもそも法人化を前提として検討を始めたのか、それとも県と各大学とが十分な協議を重ねたのか、協議があったならばその内容がどういうものであったのかお聞かせください。
次に、大学にとって、学問の自由と大学の自治が保障されてこそ、大学の自己責任において県民の期待にこたえる大学として発展する大前提です。その点で、期間が6年の中期目標を知事が定めることになっていること、その目標に基づいて大学が作成する中期計画は知事の認可が必要であり、同じく年度計画は知事への届出が義務づけられます。こうしたしくみのもとで、教育内容の自由が侵されないとの保障はあるのでしょうか、お尋ねします。同様に、県が設置する地方独立行政法人評価委員会が大学の教育内容に踏み込んで、大学の自主性を侵すことがないのかお尋ねします。
さらに、「大学における教育研究の特性に常に配慮しなければならない」とは法律上の基本的前提であり、県の財政責任の前提でもあります。この点で、運営費交付金の交付が、先のしくみのもとで恣意的に左右されないかと危惧されますが、どのような考え方で算定するのかうかがいます。
こうしてみると、県立病院・県立社会福祉施設・県立大学とも、医療・福祉・教育そのものの充実を県として図ろうとするならば、従前の形態で改革を進めればよいものを、あえて県自身の仕事から切り離そうとする姿が浮き上がってきます。これは、これまでの浪費県政による借金、財政構造プログラムの破たん、よりいっそうの緊縮財政のツケを、この分野に押しつけ、県自らが、医療・福祉・教育から手を引く、ということにならないでしょうか。知事の明快な見解をお聞かせください。
<市町村合併について>
次に、市町村合併についてうかがいます。県内の市町村合併をめぐる動きが、来年3月期限に向けて激しくなっています。2月23日には会津若松市と北会津村が県内初の合併調印を行いましたが、57市町村(63.3%)が、何らかの合併への取り組みを行っています。全部合併すれば90市町村から54へと大きく減少することになります。県は、来年度予算で合併する市町村に対し1億円の財政支援をするとしました。これは県が従来とってきたイコールパートナー、合併してもしなくても支援するというスタンスを大きく変えるものであり、むしろ合併促進のテコとなるものです。なぜ1億円もの財政支援を決め、なぜ合併しないで自立をめざす市町村への財政支援を行わないのか、見解をお示し下さい。
また、県は、地方財政や地方交付税の将来の見通しについて市町村へどのような情報を提供しているでしょうか。さらに、合併基準の人口を1万人とし、県に勧告権限を与えるという地方制度調査会の方針についてはどう受け止めているのか、それぞれ見解をお聞かせください。
<雇用対策について>
次に、雇用対策についてですが、総務省が2月27日発表した労働力調査結果の速報によりますと、1月の完全失業率は、前月より0.1ポイント悪化し、5.0%でした。特に15才から24才の若年男性は、1年前より0.1ポイント悪化の10.5%と突出して高く、全体の数字を押し上げています。完全失業者数は、前月より23万人増加し323万人、失業期間が1年以上の完全失業者は、03年10月〜12月の労働調査速報によりますと112万人、本県の完全失業率は、5.3%(都道府県別年平均結果〜試算値)となっています。
一方、県内の自殺者は、昨年一年間で661人、前年より138人も増えました。また、子どもたちにも影響し、高校校授業料滞納者は増加の一途です。こうしたなかで自治体としても地域経済と雇用対策が求められています。たとえば、いわき市では「住宅改修への助成制度」をつくり、地元の仕事を生み出し、地域経済を活性化させる効果をあげています。こういう市町村のとりくみを県が応援できるようにしていくことも県内経済の活性化につながると考えます。
雇用対策については、これまで知事を先頭に緊急雇用対策事業を取り組んできたことは承知していますが、すでに緊急対応だけでは対応しきれなくなっているのではないでしょうか。これを恒常的なものにつなげるようにしていくような取り組みが求められていると思いますが、これまで知事を本部長とする緊急経済雇用対策本部としてはどうお考えなのか、見解をお示しください。
<原発問題>
次に、原発問題についてうかがいます。東電は、第一原発2号機、4号機、第二原発3号機の3基の運転再開を求めました。県は再開については1つ1つ検証をしたうえで決めるとし、昨日県は、第二原発3号機の再開を容認しました。しかし、なぜこれほどたびたび故障が起きるのかを考えれば、原発施設が老朽化していることは明らかです。シュラウドや再循環ポンプなどの配管を取り替え、補修をくりかえしていますが、何度も行えば設計時の一貫性は失われ、それが原子炉内にどのような影響を与えるのかは、解明されていません。しかも原発の心臓部にダメージを与えるほどの事故もくりかえされています。当初原発の寿命は25年といわれながら、耐久寿命はどんどん延ばされ、本県の原発はまもなく30年を迎えるものも出てきました。本格的な「廃炉」を検討する時期に入っていると思いますが、県は検討されているのか、おたずねします。県民の安全を守る重要な課題と受け止め、単に運転再開の検証作業にとどめないことを求めるものです。
さて、一方でそれに代わる再生可能な自然エネルギーも積極的にとりくむべきです。県内の地域特性を生かしつつ、さまざまなエネルギーを組み合わせて安定性を確保するともに、ロスを小さくして利用率をあげていくために、小型・分散型・多様化の技術体系へ転換するのが世界のすう勢になりつつあります。日本は自然エネルギー先進国のドイツやデンマークなど以上に再生可能なエネルギー資源が存在しているといわれています。技術開発であらたな産業おこし、雇用拡大につながり、環境問題の解決にも貢献するものです。ただし、現段階では民間だけでは進展しません。行政側の財政支援は不可欠です。分権をいうのなら県として原発に代わる再生可能な自然エネルギー導入を促進し、その目標値を抜本的に引き上げることを求めますがいかがでしょうか、見解をおうかがいします。
<文化の振興について>
次に、文化の振興についてうかがいます。県文化振興条例を制定するにあたりどれだけ多くの県民、文化・芸術にかかわる関係者や団体から意見を聞き、それらをこの条例案に反映させたのでしょうか。県民の盛り上がりがないまま、短期間で審議会で審議しただけでこの条例案をまとめてしまった感がいなめません。本来文化は地域に根ざしたものであり、県民の基本的権利ともいうべきものです。したがって、文化を県政の根幹にすべきものであり、教育委員会という部署だけでは収まらないものと考えます。県のこうした姿勢を反映してか、条例案はほとんど国の基本条例をなぞったものとなり、基本法よりも後退した内容といえます。条例制定は急がず、もっと時間をかけて制定すべきではなかったでしょうか。あらためて、知事は文化の位置付けをどう考えているのか見解をお尋ね致します。
<児童生徒の健全育成について>
最後に、子どもの健全育成にかかわっておうかがいします。
子どもをめぐる社会的な事件、日本社会が直面している道義的危機が、子どもたちに最も深刻な形で影響を及ぼしています。重大で衝撃的な少年犯罪もあいつぎ、いじめ、児童虐待、少女売春など心痛む事件が多発しています。県は来年度に「子ども憲章」なるものをつくり、子どもたちに規範意識を持たせるとしていますが、これがなぜ豊かな心を育成することにつながるのでしょうか、見解をうかがいます。
今日の道義的危機の根本には、自民党政権がすすめる「勝ち組・負け組み」といった弱肉強食の競争至上主義の風潮がつくられ、他人を思いやるゆとりが奪われていることにあります。国連子どもの権利委員会は、日本政府への勧告のなかで、「極度に競争的な教育制度によるストレスのため、子どもが発達のゆがみにさらされている」とする厳しい批判をよせています。北海道奈井江町は、2002年3月に子どもの権利に関する条例を制定しました。制定前は、「子どもは権利ばかり主張するようになる」などの意見があったようですが、条例づくりには子どもも参加し制定するなかで、子どもたちが、認められることで自信と責任を持つようになってきたといいます。ここに学ぶべきではないでしょうか。
さらに、今年1月、教育委員会と県警は、児童・生徒の健全育成にかかわる新たな協定を結びました。市町村教委と警察署、私立学校と警察署もそれぞれ協定書を結ぶというものですが、全国でも5番目という早さです。これは最近の登下校時をねらった連れ去り事件への対応と多発する少年非行防止というのがねらいとしていますが、これまでも「学校警察連絡協議会」があったものをわざわざ協定し調印する必要があるのでしょうか。子どもの人格の完成をめざす教育基本法の立場からいっても、学校教育と犯罪の取り締まりを主眼とする警察とは、そもそも本質的に子どもへのアプローチが異なります。お互いの情報提供といいますが、行過ぎると子どもへの取り締まり強化につながる恐れがあります。教育委員会としては、この制度を取り入れるにあたって、学校と十分に協議されたのでしょうか。また、この協定によって、子どもの非行の防止につながるとお考えでしょうか。それぞれ見解をお示し下さい。さらに、警察は、学校からの情報をどのように扱うつもりなのかおうかがいします。以上で、私の質問を終わります。
一般質問への答弁
1 三位一体改革について
総務部長
三位一体の改革につきましては、地方の自由度の拡大につながらない措置や単に補助金等の削減を行っただけのものが相当部分を占めており、また、国の財政再建のみを優先して、地方交付税の大幅な削減を行うなど、地方の自立にはつながらず、本来の改革の趣旨とは、かけ離れたものであると認識しております。
また、地方交付税等が急激に減少したことにより、大幅な財源不足を生じるなど、新年度の市町村の予算編成において、大きな影響があったところであります。
保健福祉部長
2003年度における公立保育所運営費国庫負担金の額は、32億3,600万円となる見込みであります。
また、一般財源化の影響につきましては、国庫補助負担金の廃止に伴う市町村への所得譲与税による税源移譲や公立保育所の入所児童数に応じた地方交付税が配分される見込みであり、地方分権に沿った措置がなされるものと認識しております。
今後、市町村においては、少子化の進行などの実態に即した保育所運営の見直しが図られ、幼保一体化に向けた取り組みなど創意工夫に富んだ保育サービスが実施できるものと考えております。
2 財政運営について
総務部長
県債残高の増加につきましては、厳しい経済状況が続く中で、国の経済対策に呼応し社会資本の整備を進めてきたことや、減税等に伴う地方全体の財源不足を補うため特例的な地方債の発行が行われてきたことなどによるものと考えております。
なお、県債につきましては、事業の一層の重点化・効率化を図りながら、今後とも、適正な管理に努めてまいる考えであります。
大型事業につきましては、常に見直しを行い、さらには、財政構造改革部会において、全庁的な視点から、事業の延期や規模の縮小など一定の整理を行ったところでありまして、今後とも、適切に対応してまいる考えであります。
3 行財政改革について
保健福祉部長
病院事業における「企業の経済性」につきましては、県民のニーズに対応した良質な医療を提供しながら、地方公営企業法に基づく、一般会計との適切な負担区分の下で、独立採算性によるより効率的な病院経営を行うことであると考えております。
次に、地方公営企業法の全部適用につきましては、先の12月定例会において関係条例が可決されたところであります。
個々の県立病院のあり方については、来年度、経営改善に努めながら、新たな審議機関を設置し、抜本的な改革を行うための検討を進めることとしております。
また、一般会計からの繰り出しについては、今後も、地方公営企業法に基づき、一定のルールの下に行ってまいることとしております。
これまでの経営責任につきましては、知事部局の行政組織として、県立病院の経営を行ってまいりましたが、地方公営企業法の全部適用後は、広範な権限と責任を有する病院事業管理者が県を代表し経営をしていくことになります。
県といたしましては、県立病院は県が設置する病院であることに変わりはないことから、引き続き、地方公営企業法に基づき、へき地医療やリハビリテーション医療などの政策医療等に対し、一定のルールの下に一般会計からの繰り出しを行っていくこととしております。
次に、県立社会福祉施設につきましては、先日、福島県社会福祉審議会からそのあり方について意見具申をいただいたところでありますが、その中では、特別養護老人ホームと一つの知的障害者更正施設、知的障害者通勤寮について民間社会福祉法人への移譲が適当という意見が示されたところであります。
県といたしましては、これからの福祉社会の中で、県が果たすべき役割を十分ふまえながら、それぞれの施設について、来年度以降具体的な見直しの実行計画を検討してまいる考えであります。
総務部長
県立大学の法人化につきましては、その検討組織として、医科大学と会津大学をふくむ「県立大学のあり方検討会」及び「県立大学法人制度等検討会議」を設置し、検討を重ねた結果、昨年12月に大学改革を推進する上で法人制度は有効であるとの結論を得たところであります。
県としてはこれらを踏まえ、県立大学の地方独立行政法人化を進めることとしたところであります。
中期目標・中期計画等につきましては、中期目標は、議会の議決を経て知事が定め、中期計画については、大学が策定したものを知事が認可することになっておりますが、大学の教育研究等にかかわるものであり、県は、それらの内容について、尊重すべきものと考えております。
次に、評価委員会につきましては、大学の自主性に十分配慮しながら、業務運営の実績や中期目標、中期計画の達成状況を第三者の立場で客観的に評価する組織であり、その評価は、大学自らが行う自己点検・自己評価と併せて大学運営にとって不可欠なものであると考えております。
運営費交付金につきましては、中期目標・中期計画に基づく教育・研究等に支障を来さないことを基本として、具体的な算定方法については、今後、検討することとしております。
副知事
行財政改革につきましては、「うつくしま行財政改革大綱」を踏まえ、「県民福祉の増進」と「最小の経費で最大の効果を上げる」という行政運営の原則を基本として、これまでの考え方や制度の枠組みを転換し、時代の要請や変化に柔軟に対応しうる行財政運営システムの確立を目指し、聖域なく、全庁的に推進しているところであります。
4 市町村合併について
総務部長
合併しない市町村への財政支援につきましては、合併に係る特別な財政需要は生じないことから、考えておりません。
市町村への情報提供につきましては、三位一体改革や地方財政制度の見直しを始め、市町村が、将来の財政運営を行っていくために必要な情報について、適時・適切に行っているところであります。
地方制度調査会の答申につきましては、市町村合併は、地方分権の時代にふさわしく、市町村が住民とともに、真剣な議論を重ねた上で、自主的・主体的に判断すべきものであると認識しており、このような観点から行われるべきものと考えております。
5 雇用対策について
商工労働部長
雇用対策につきましては、引き続き緊急対応的な施策を継続しつつも、経済情勢が改善に向かいつつある現在、多様な創業支援や新産業創出の強化を図るとともに、雇用創出効果の高い企業立地の促進に取り組むなど、恒常的な雇用の創出にも積極的に取り組むこととしております。
6 原発問題について
生活環境部長
原子力発電所の高経年化対策につきましては、エネルギー政策検討会において県独自の検討を重ね、「中間とりまとめ」において安全規制に係る新たな許認可制度の創設など高経年化対策全般について抜本的な見直しを図る必要がある旨の意見をまとめ、国、事業者等に対し、問題提起を行っているところであります。
企画調整部長
自然エネルギーの目標値につきましては、国においては特に設定しておりませんが、新エネルギーについては、2010年度における目標値を3%程度としております。
県といたしましては、策定中のビジョンにおいて新エネルギーの目標値を現行ビジョンの目標値を上回る3.4%とし、新エネルギーの積極的な導入促進に努めてまいる考えであります。
7 文化の振興について
知事
文化の振興につきましては、県民1人1人が真にゆとりと潤いの実感できる心豊かな質の高い生活を実現し、創造性に富んだ活力ある社会を築いていく上で不可欠であり、また、次代を担う子どもたちの豊かな人間性と個性をはぐくむなど、極めて重要な部分であると考えております。
このような観点から、「うつくしま21」において、独自の文化を尊重した地域づくりを県づくりの理念の1つに掲げ、県民の自主的な文化活動の充実や文化をはぐくむ環境づくりを進めてきたところであります。
文化は、気候や風土、長い歴史の中ではぐくまれ、芸術や伝統を始め日常のあらゆる人間の営みにかかわる幅広いものであることから、今後は、文化振興条例の基本理念を踏まえ、総合的、長期的視点に立って、「新たな福島の文化」の創造を目指してまいる考えであります。
8 児童生徒の健全育成について
教育長
「ふくしま子ども憲章」につきましては、子どもたちが自分たちのルールとして自覚できるよう、1人1人が自ら考え、自ら作り上げていくことを重視しながら作成することとしております。
こうした作成の過程や憲章の活用等を通して、思いやりのある心や社会のルールを尊重する意識を醸成することが、子どもたちの豊かな心の育成につながるものと考えております。
次に、児童生徒の健全育成等に関する協定の締結につきましては、小中学校長会、高等学校長協会、高等学校生活指導協議会、市町村教育委員会連絡協議会などとの協議を通して、本協定が児童生徒の健全育成に貢献するものであるかなどについて、学校の意向を十分に反映させたものと考えております。
児童生徒の健全育成に関する協定による非行防止につきましては、学校外で発生する犯罪等に児童生徒が関係するおそれのある場合は、警察からの情報を基に学校が適切に対応することによって、児童生徒の非行を防止することができると考えております。
また、学校内の問題は、校内で解決していくことが基本でありますが、その解決が難しいと判断される場合は、警察と連携し、学校の指導への支援や協力を求め、非行の拡大を防ぐことができるものと考えております。
警察本部長
「学校・警察児童生徒健全育成対策推進制度」の協定を結ぶ必要性につきましては、昨年9月、須賀川市内で発生した児童連れ去り事件や声かけ事案など児童生徒の安全を脅かす犯罪や事故が多発する一方、刑法犯少年の約8割を児童生徒がしめる中で児童生徒の安全確保と非行防止を図るため、学校と警察が共通認識のもと、より一層連携し、健全育成対策を推進するために締結したものであります。
骨子といたしましては、個々の学校と警察が、具体的な連携により、不審者情報や声かけ事案など児童生徒の安全確保のための相互連絡及び逮捕事案やいじめ、非行集団等の問題行動の相互連絡を図るとともに、非行防止教室開催等の健全育成のための相互協力を推進する制度であります。
また、各警察所管内に設置されている学警連については、情報交換や街頭補導活動など具体的活動を推進しておりますが、このたび締結した本制度と相まって連動させ、次代を担う児童生徒の健全育成対策が一層推進されるものと考えております。
次に、学校から連絡を受けた際の対応につきましては、学校から受けた声かけ事案や不審者情報等児童生徒の安全を脅かすおそれのある連絡につきましては、その内容を速やかに判断し、犯人等の早期捕捉のための検索活動に活用するほか、ほかの児童生徒の安全を確保するための啓発活動等に生かすこととしております。
更に、問題行動に関する連絡については、対象の児童生徒の健全育成のため、その連絡に応じた調査や操作を行うこととなります。
連絡にあたっては、客観的根拠に基づき、迅速で正確な連絡を行うこととされており、連絡の範囲は、児童生徒の安全確保や健全育成に資するため必要な内容に限定されるとともに校長又は署長が連絡責任者となり、連絡担当者を指定して取り扱うこととされております。
再質問
社会福祉法人の見直しについてでございますが、今回22の施設のうち、5つの施設を移譲するといたしました。しかし、この中には特別養護老人ホームや障害者施設も入っています。私はこれは県の今後の計画、今つくっている計画も含めてですけれども、ここに大きく影響してくると思います。たとえば特別養護老人ホームは、今でも入れない待機者が増えていて、充実させることが必要なのに、県の役割は終わったとするというのでは逆行すると思います。もし、施設が古いのであれば、県がむしろ充実させていくということにならないと県内の特養施設は不十分なままだと思いますので、もう一度その点をお伺いいたします。
そしてまた障害者施設もアクションプログラムの見直しが来年度予定されておりますが、これとのかかわりでいっても施設の整備は急がなくてはならないと思います。その点についてはアクションプログラムとの関係ではどんなふうにお考えなのかあらためてお伺いいたします。
副知事もこの問題については、時代の趨勢の変化に応じて見直しを行ったといいました。しかし、時代の趨勢は医療・福祉の充実だと思います。とくに県内においては遅れがあると思います。県立のこういう施設を独立行政法人化や県立病院への地方公営企業法の全部適用、社会福祉施設の社会福祉法人への移譲、こういった大きな3つの問題をこの機会になぜ見直すのか、もう一度聞きたいと思います。
私はこれらは、国の大きな流れをうけてのことだと思います。いくら県の財政が厳しいからといって、なぜこういうところを切り捨てるのか、あらためてその点についての見解をお伺いしたいと思います。
もう一つ原発問題でございますが、2の3の号機は、かつて大変な事故を起こしています。今年1月15日は、配管の水漏れがありました。その原因は貝が付着していたというものです。これは老朽化を意味すると思いますが、こういう問題についてはどんなお考えなのか。そして同じ号機は、1989年にも正月早々再循環のポンプの大事故を起こしておりますけれども、この大きな事故を起こした号機がシュラウドも交換せず単なる補修だけで、運転を再開するというのは非常に県民の安全を守れないのではないかと思います。県がまとめた「廃炉」という目線で検証作業を行う、ここが大事だと思うんです。専門家を雇っていろいろ検証しているのは評価できますけれど、しかし、その視点はどこに置くのかといえば、こういう老朽化している施設について「廃炉」ということも念頭に置いてやらないと本当の検証にならないと思いますが、見解をお聞かせください。
最後に、知事にお伺いいたします。知事は文化の問題では非常に評価できるものがありますけれども、本当に文化というのは幅が広いと思います。しかし、条例をつくるにあたってもいろいろ関係者は協議したようですが、知事自身もしゃくなげ大使やそれぞれの関係者と懇談されているようですので、その懇談の内容などを明らかにしてお聞かせいただきたいと思います。
もう一つ、市町村合併についてですが、先ほど具体的なシミュレーションについてはお答えがありませんでした。どんな情報を提供しているのか、総務省などが文書などでも出している10年間は合併してもいろいろ交付税があるから大丈夫だと、しかし、15年過ぎると合併しないところも大変になるその点を具体的に示してください。
知事
平成13年2月、法律ができる前ですが、福島県の文化振興を考える懇談会というのを東京で開催して、有識者の方に出席していただいて、私もご意見を伺いました。平成13年の9月から10月にかけて県庁の若手のワーキンググループによって種々検討いたしました。13年の12月に基本法が国の方ででき上がったわけでございます。私どもその後、14年の7月から12月にかけて4回、県文化芸術行政懇談会を開催すると同時に、15年の11月から12月にかけてパブリックコメントを県民の方からお願いしまして、75件集まってきているわけでございます。
その間、しゃくなげ大使のご意見もお伺いしました。しゃくなげ大使の評価に関しては、議事録というかコメント内容を持っておりますが、おおむね福島県というのはどちらかというと社会基盤に力が入っていて、文化施設はすこし遅れているのかなという印象を持っていたが、会津大学等で会議をやって、そうでないというのがわかったと、そして市町村合併等がいま起きておりまして、御承知のように市町村合併によって、それぞれの地域に根ざした文化というのが消えていくような、そういう恐れをこの先生は持っておられたわけでございますが、私も実は未来博において、たとえばいわきの合併した後の旧村単位に非常にすばらしい民俗芸能が出てきたり、あるいは大玉村での民俗芸能等を拝見して、こんなものがあったのかと思っておったわけでございます。そういう国と違うのは、国は総論的に文化権、すなわち表現の自由とか、あるいは文化的な情報にたいしてのアクセス権なんていうのをしっかりと考えておりますが、私どもはそれぞれの地域に根ざした生活から出発する、そして生活によってはぐくまれた地域の文化というのを非常に重要に考えているのがこの条例を読んで頂けると、国の法律と全然別の視点から考えているというのがお分かり頂けると思いますが、そういうことを大切にこの条例を作った。しゃくなげ大使や4人の方がコメントしておりますが、この条例を読んで非常に評価をされているということを申し上げたいと思います。
副知事
議員、だいぶ御懸念を表明されましたけれど、国がどうこうということは一切ありません。申し上げたいのは繰り返しの答弁で恐縮ですが、こういった流れに対して経済社会情勢というのは非常に大きく変わってきている。そういった中で自立性が求められたり、弾力性が求められたり、時代の流れを的確にとらまえて医療であるとか、福祉であるとか、教育行政をよりよいものにしていくためには、改革が必要だという認識で全庁あげて取り組んでいるところでありますのでご理解をいただければ幸いだと思います。
総務部長
合併に関する資料の提供のお話でございますが、資料の提供とあわせて職員が直接出向いて行って、場合によっては講演会をやったり、あるいは座談会をやったりとか、そういうものも一切含まれるわけであります。その時に何をやってくるんだというお話になるんですが、もちろん1つには国の動きといいますか、地方制度調査会等々のそういう動きが1つございます。それから国の直接の動きがございます。これは特に総務省が所管であるわけでありますが、先ほどお話のありましたたとえば合併に関する一定の財政措置のお話でありますとか、そういうものの情報をしっかりとつなぐわけであります。それから他県の情報、それから非常に重要なものには今後の市町村のいわゆる行財政の見通しですね、こういうもののシミュレーションについてもわれわれ一定のものを持っておりますので、そういうものをお持ちをして、自主的に判断できる材料にして頂くということが肝要だと考えておりまして、そのように対応しております。
生活環境部長
第2原子力発電所3号機の再開問題と高経年化対策の関係でございますが、御承知のとおり第2原子力発電所3号機は、昨年10月にいったん運転が可能な状態に立ち上がっております。その後地元の自治体、地域の方々、そして県議会の慎重な審議、そしてわれわれ自身の確認作業と昨年10月からこの3月2日まで、これだけ慎重な多重の検査を行ってまいりました。さらに原点には国や事業者自身のチェックというのも当然ございます。一連の不正事件を受けまして、これまでなかったこのような多重な確認作業を行う中で、ようやく1機、昨日容認がされたという状況にございます。われわれといたしましては、繰り返して答弁させて頂いておりますが、県民の安全・安心の確保、これをとにかく慎重に、1機、1機着実に行うという作業を今後とも続けてまいる考えでございます。
保健福祉部長
社会福祉施設の見直しの関係でございますが、先ほども答弁させて頂いたように、まだ、現時点においては社会福祉審議会からの意見具申をいただいた段階でありまして、県として明確な方針を決定したということではございません。ただ社会福祉審議会からの意見でございますので、私どもは非常に重く受けとめております。その中で確かに現在の特別養護老人ホーム3カ所、それから身体障害者に関連する施設2カ所につきまして民間委譲が適当だという意見になっていますが、これはその施設をやめてしまうということではなくて運営主体を県から民間の方に移したらどうですかという意見でございます。民間の施設がいま現在、公的な施設より圧倒的に数が多くて、それがすべて、すべてではございませんが、圧倒的な数が多くて、非常に良好な運営をしているというところも多いわけでございまして、必ずしも県が直接施設を運営しなければ福祉水準が下がるということではございません。そういうことで、量的にはそっくりそのまま施設が運営主体が変わるということでございますので、量的な変化はないというふうに受けとめております。従いまして、障害者施設につきましても障害者プランで、いま現在検討中でございますが、量的な変更はないので、プランには影響はしないと考えております。
再々質問
副知事にもう一度お尋ねいたします。いろいろ国の影響ではないとおっしゃいましたけれども、県が自ら選んだとしても、いまの県の財政運営から見れば、これは大きな考慮に入れたものだと思うんです。経済社会の動向を見てというのは、結局そういうことだと思うんです。コスト優先に考えるとやっぱりこういう施設を持っていたり、職員を抱えているのは大変だと、そういう認識がおありだと思うんです。ですから、医療、福祉、教育の切りすてにつながるというふうに思いますが、国の動向を全く無視してやってはいないと思いますが、そんなふうに言い切っていいのかもう一度、お聞きしたいと思います。
それから、保健福祉部長にもう一度おたずねいたしますが、量的な問題は心配ないということですけれども、県立のこういう施設をやめていくということは公的な医療や福祉といいますか、そのへんを担ってきたものは後退せざるを得ないと思うんですね。民間ではなかなかできなかったので、こういう施設が残ってきたと思うんです。数は必ずしも多いとは思いませんので、県がむしろこれを充実させて残していくという判断に立たないと、財政面からだけ考えれば、抱えるのはなかなか大変だということで判断されたのかなと思いましたので、財政面からとか、それからいろんなものを見て、本当に判断されたのかもう一度お尋ねしたいと思います。
加えて指摘するならば、「三大切り捨て」ともいうべき、大きなところを削ると職員は、県立病院で約1,000人程度、社会福祉法人のほうに全部委譲したとすれば約1,000人程度いるわけですね。その他に会津大学や県立医大もあるわけですから、何千人もの職員を浮かすことになってしまうんではないかと、そう見られても仕方がないと思うんです。その点について質問したいと思います。
総務部長にお尋ねします。市町村合併については、なぜ1億円も出して合併するところに支援するのかということが理解できません。合併しないところの方がむしろ大変だと思います。交付税の措置はないわけですから。しかし合併してもいいのは10年間程度で、あとはどんどんあるべき姿に減らされて、2つでも3つでもくっついたところが、もともと持っていた交付税の措置を減らされて、むしろ15年後には合併しなかった所よりも交付税は減らされてしまうという危険があると私は思うんです。その辺までキチンと示されているのか、市町村や県民にその辺を知らせる必要があると思いますけれども、その辺のお考えと1億円の助成、このへんについてあらためて関係をお聞かせいただきたいと思います。
副知事
いろいろとご心配されているようですが、国の動向ということはまったく関係ありませんので、あくまでわれわれを取り巻く社会経済情勢の変化、そういったものをとらまえまして、新たな視点、そういったものでこういった医療、福祉、教育行政を進めていくと、そういう観点で全庁的に取り組んでいるということでございますのでご理解をいただきたいと思います。
総務部長
まず、情報の話でありますが、県でいっさい隠したりしているわけではございません。お話のありました交付税の将来見通しでありますとか、それからいろんな起債の問題でありますとか、それはすべて市町村に出して、市町村ではそれを十分了知されていると思っております。そういうものを判断材料にして、いろいろ判断されているということでありますのでご了解いただきたいと思います。
それから、いま予算をお願いしてございます交付金のお話でありますが、あくまでもこの趣旨は、合併というのはですね、あくまでもいろんなエネルギーも使うわけですが、合併するということで新たなまちづくりということで新たな財政需要も当然出てくるということでございますので、そこに着目してこの交付金制度をつくろうというものでございますのでよろしくお願いしたいと思います。
保健福祉部長
社会福祉施設の関係でございますが、確かに過去においては公立施設が、先導的役割を果たしてきたという時代もありました。また、制度的な縛りもあった時代もございます。ただ今、時代が激しく動いている中で、制度が変わってきております。とくに介護保険制度、支援費制度などが入ってきておりまして、民間施設が非常に充実してまいりました。こうした中で、現在県立の施設、必ずしも県が直営あるいは県からの委託という形でなくとも福祉水準の後退につながらない、むしろ福祉水準が向上するのではないかと見られる施設も出てきたということで、現在の見直しをしなさいという意見が出てきたというふうに受け止めております。私どもは、この意見に基づきましてこれから具体的な検討に入っていきたいと考えております。
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