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2004年9月県議会一般質問・答弁と再質問・再々質問
一般質問
  1. 三位一体改革について
  2. 県財政運営について
  3. 今出ダムについて
  4. 原子力発電所問題と新地火発事故について

答弁

再質問

再々質問

2004・10・7 神山悦子
 日本共産党の神山悦子です。
 9月5日投票で行われた知事選では、県民のくらしや地域経済の深刻な状況をふまえ、私たちは、「くらし応援の全国一あたたかい県政」に切りかえるため、多くの県民とともに小川英雄候補を推薦し戦いました。結果は、前回を1.1ポイント上回る15.0%の得票率を獲得しました。知事への支持は有権者比で42.4%の得票率、県選管がテレビCMを208回放送するなど約1千万円も投入したにもかかわらず、全市町村で前回得票を下回り、約7万7千票減らしたのは、県民の強い批判の表れといえます。知事はもちろんのこと、県議会としても県民の多面的な意見や要望が反映できる県政をつくっていくことが重要であり、私たちもそのために一層努力していきたいと思います。
 そこで、以下5期目にあっての知事の政治姿勢についてお尋ねします。

<三位一体改革について>
 まず、三位一体の改革についてですが、「三位一体の改革」は、(1)国庫補助負担金の廃止・削減 (2)地方交付税の削減 (3)地方への税源移譲 の3つを一体的に行うことで「地方分権」にもつながるかのようにいわれてきましたが、果たしてそうでしょうか。まず、(1)の国庫補助負担金の7割は、福祉・教育向けであり、義務教育や老人医療制度、国保、介護保険、生活保護など、ナショナルミニマム(標準的行政水準)を維持するため、国が財政的責任をもつべき事業です。政府が「三位一体の改革」をもちだしてきたのは、政府の借金のツケを地方におしつけることがねらいですから、政府が出す補助負担金を8割程度に押さえ、地方交付税もいくらかの税源移譲と引き換えに削減すること、これが三位一体改革の本質です。それが誰の目にも明らかになったのが、今年4月の予算編成でした。三位バラバラの改悪だと批判されたように地方への支出は、3兆9千億円も削られ、税源移譲で増えたのはたった4,500億円。本県は地方交付税を280億円も削減され、県内の市町村も大変な苦労を強いられました。だからこそ、今年5月、地方6団体が初めて共同の反対総決起大会を開いたのではなかったでしょうか。
 参議院選挙を前にして地方の猛反発をおそれた政府と財界は、3兆円の税源移譲を明示することにし、代わりに全国知事会を三位一体改革に巻き込み、補助削減案をまとめさせようともくろんだのです。その思惑どおり今年8月24日、全国知事会は、義務教育費を含む3.2兆円の国庫補助・負担金を削減するという案を多数でまとめる異例の採決を行いました。地方自治体にとっては自殺行為ともいえるやり方です。削減案では、国が教職員給与の半額を負担している総額2兆5,000億円の義務教育費国庫負担金を、来年度(05年)は中学校分約8,504億円を削減、2009年度までには小学校分まで含め削減するとしていますが、この両方が全廃されると税源移譲があったとしても本県を含め全国40の道府県が減収になる(文部科学省試算)という大変な中身です。
 知事は、全国知事会で「分権へ風穴を開ける機会を逃す」と主張し、意見の分かれた「義務教育の国庫負担金の削減」を含めて3.2兆円もの国庫補助負担金の廃止案を推進しました。しかし、義務教育国庫負担金制度は、憲法第26条に保障された「ひとしく教育を受ける権利」を、各自治体の財政状況に左右されずに全国的な教育水準を確保するうえで積極的な役割を果たしています。
 ところが、知事は「今回の議論は、教育に関する権限を誰が持つべきかを問うもので予算の増減は関係ない」と述べています。では、義務教育は県が責任をもつべきとの考えなのでしょうか。 
 また、各自治体の財政が厳しくなっている今、これを廃止し一般財源化すれば、自治体間の格差が危惧され、教育水準の低下を招きかねないと思うのですが、県民にはどう説明されるのでしょうか、お尋ねします。

<県財政運営について>
 次に、本県の財政運営についてうかがいます。本県財政の累積赤字は約1兆2千億円となり、今年の当初予算9,096億円を3千億円も上回る借金を背負っています。問題はこれだけの借金をつくった原因にメスを入れないままに今日まできていること、すなわち知事が政治責任を自覚していないことです。
 知事は、就任以来バブル時代の発想のままで政府の景気浮揚対策を受け、大型開発事業を次々と推進してきました。私たちは一貫して不要不急の開発事業を中止、または見直しを求めてきたところですが、知事は一向に反省せず、結局未来博が終わるまでそれを続けたのです。未来博が終わったとたん緊縮財政に転じ、中期財政見通しでは3年間で1,240億円、基金を繰り入れても800億円の財源不足が見込まれるとして財政構造改革プログラムを立ち上げ、県職員の大幅削減と事務事業の見直しを行いましたが、わずか3年間で収支均衡型の財政に戻すのは無理があり、結局これも失敗したといわざるをえません。知事は失敗の原因をもっぱら政府の地方交付税減額のせいにし、今後2年間の財政改定案で、県の基金を取り崩しても約680億円の財源不足となるというのは、単なる数あわせに過ぎません。県自身「三位一体改革の先行き等が不透明な現状では、中長期的な見通しを得ることはきわめて困難」と小泉政権による地方いじめを告白していますが、全国知事会で決めた1兆円削減案と税財源の移譲の不透明さ、それをあおった知事の自己矛盾というものです。
 もう1つは、見込みよりも県税収入が大幅に落ち込んだことによるものです。有効求人倍率は全国平均以下、県内の勤労者所得も農業所得の減少し続けているように、いかに県民生活がひどくなっているかの表れです。それなのに、来年度から枠配分方式をとるとしています。これでは、全国に比べておしなべて低い本県の医療・福祉・教育水準がさらに後退してしまいます。
 すでに「県がなぜここまでやるのか」と県民の怒りを呼んでいるのが、今年7月1日付けで教育委員会が通知した「県立高校の授業料3ヶ月滞納で出席停止」という制裁措置です。県教委の調査で明らかなように、滞納理由の大半は、リストラ、家族の入院など経済的問題です。県教委がまずやるべきことは、減免枠のいっそうの改善を図ることであり、この通知は撤回すべきと思うのですが見解をうかがいます。
 この事例のように県の支援を最も必要としている、障がい者や子育て世代、高齢者などに向ける予算については、聖域扱いにするくらいの知事の政策判断が求められていると思いますが、知事の見解をお示しください。

 ところで、知事も今度の選挙で、「国から県民と市町村を守るのが、県の仕事」と強調されました。しかし、実際には4期16年間、逆の県政運営を行ってきたうえ、今度は「官から民へ」を強調し、「アウトソーシング」と「指定管理者制度」、「独立法人化」の手法で、県立病院の統廃合や県立社会福祉施設の民間移譲、県立大学の独立法人化という3大きりすてを実行しようとしています。
 県立病院の改革審議会では、会津総合病院と喜多方病院の統合、猪苗代病院は廃止の方向が示されました。しかし、今年9月の猪苗代町議会で存続を求める意見書が採択されていますが、こうした住民の意向にどう応えていくのでしょうか。県立病院が地域で果たしている役割を考えるなら一方的廃止でなく存続充実を前提とすべきと思いますがいかがでしょうか。 
 県立社会福祉施設についても同様のことがいえます。県の障がい者計画の見直しでは、施設型から地域社会へ移行するとしていますが、その受け皿がないに等しい現状をどう整備していくのかも課題です。
 いずれにしても、広域自治体として県がやるべきことは、民間ではできない県民サービスを地域格差なく進めることであり、知事が自ら作った借金のツケを「官から民」という形ですりかえ、アウトソーシングなどの行財改革を進めるという姿勢は納得できるものではありません。これについてはどうお考えなのでしょうか、知事の見解をおたずねします。
 本格的に県の財政再建を図り、事務事業の見直しをするというのであれば、やはり投資的経費にメスを入れるべきです。しかし、小名浜港への人工島づくりは継続、トラハイ、首都機能移転などを推進する方向です。大型事業をきっぱり中止し、その財源を「医療・福祉・教育」にまわせば、結果として地域経済が活性化し、県税収入にもつながるし、これが財政健全化につながると思いますが、これについてはどう考えているのでしょうか。
 さらに、「財政構造改革プログラムの見直し案」では財政健全化債を200億円程度発行するとしていますが、これは借金ふやし、さらに借金を先送りするだけでないかと考えますがどうでしょうか。
 
<今出ダムについて>
 「県民と市町村を応援する」という点では、市町村の上水道事業も同じです。県は、これまで県内の上水道の供給に関しては、市町村がそれまでもっていた既存の井戸水や伏流水などの水源をつぶし、もっぱらダムを建設し、その水を利用する広域水道用水供給企業団をつくらせ、広域大規模事業を推進してきました。この企業団方式になると、ダム建設費用の一部、さらには膨大な送水管の敷設工事費まで市町村に負担させ、しかも責任水量制なので、使わない分も負担しなければなりません。しかもダム建設は10年、20年と長期にわたるため費用は膨大になり、これも市町村の負担増と住民の水道料金の高騰を招くという図式になっています。郡山市の三春ダム、福島市の摺上川ダム、西郷村に建設した県営の堀川ダムでも、それぞれの市町村が負担金と水道料金の高騰に頭を悩ませています。しかし、水道事業は「市町村の仕事」として、一貫して逃げてきたのが佐藤県政です。 
私たちが再三求めてきたように、市町村の負担を軽減するためは、やはり他県で行っているように広域用水供給の事業は県営で行うべきです。
 知事は選挙中、ダムを3つ中止したと述べていましたが、現在計画中のダム事業についても見直す必要があると思います。たとえば、県が石川町に建設しようとしている今出ダムですが、このダムは、もともと県の企画調整部が石川地方町村会に働きかけてはじめた事業でした。予定では来年から取り付け道路を着工し、2011(H23)年に完成する予定となっています。しかし、ここにきて、水道用水供給企業団の参加市町村から「社会情勢の変化や人口減少など、それほど水の需要が見込めるのか」「財政が厳しい中で、ダム建設などの負担金を払い続けられなくなる」などの疑問が出され、企業団の理事会からも県へ意見があがっているようですが、以下の点にお答えください。
(1) そもそも今出ダムは、どんな目的で始めたのか (2)すぐそばにある千五沢ダムとの2ダム1事業となった経緯について (3)中流・下流・上流と3度もダムサイトが見直しとなった理由とそれに要した費用を明らかにすること (4)各市町村の人口減少傾向、農業の衰退、などの社会情勢の変化を県はどうとらえているのか (5)「人口58万人、一日最大取水量3万トン」という見積もりは、当初から「水増し」ではなかったのか、この過大な見積もりのために、郡山市などは水が足りているのに付き合わされています。以上5点について県の考えを示してください。
 今年7月28日設置された県水道整備懇談会で、県は水道整備基本構想を改定し、これまでの水道広域化を図る従来の手法を転換して、地域に適した水道計画を重視するとしています。そうであればこの中に今出ダムを水源とする県中水道用水供給事業の全体像についても再検討すべきではないでしょうか。その結果として必要性がなければダム建設の中止も含めて見直しすべきと思いますが、県の見解をうかがいます。
 一方、今出ダムの治水目的についてですが、全国でもダム事業の見直しが論議され、長野県や他県では“ダムなしでも治水の効果がある”としてダム建設を中止しています。また、今年の夏の本県を含めた集中豪雨や台風被災地では、あらためて治水のあり方が問題になっており、ダム建設より河川改修を早めていればこんなに被害を出さずにすんだと思うなどの反省の弁もありました。自然破壊とダムの寿命ということをふまえれば、過大な事業計画になるダムより、河川改修で整備するほうが、費用も少なく、短期間の工事ですむはずです。治水の点からも今出ダムの必要性と費用対効果を精査すべきと思いますが見解をお尋ねします。
 
<原子力発電所問題と新地火発事故について>
 最後に、新地火力発電所の配管破裂事故についてお尋ねします。
 去る8月15日、相馬共同火発の新地発電所2号機で給水加熱器ドレン配管が破裂する事故が発生しました。幸い人身事故にならなかったものの重大な事故です。この事故の直前8月9日に関西電力美浜原発3号機のタービン建屋内で、配管が破裂し5人が死亡し6人が負傷するという大事故が発生しています。破裂の原因は、配管のくびれが水流に変化を与え減肉を起こしたものですが、火発でも同じだったのです。ところが、原発行政に比べ火発の方は、ほとんど事業者まかせという国・県・事業者のズサンな体制が浮き彫りになっています。 私たちは8月27日に新地火発の現地調査を行いましたので、それをふまえてうかがいます。(1)生活環境部長が知ったのはなんと事故の2日後だったといいますが、県の窓口の体制が確立していなかった点をどう考えているのか (2)15年もつとされた9年で破裂したが、電力技術協会の「火力発電所の定期点検指針」では、配管の点検は8万時間以上の運転後からとか、50ヶ所程度の点検でよしとしているのは疑問です。指針の見直しを求めるべきではないか (3)県のチェック体制をどうするのか。
 さらに、原発と火発のそれぞれの発電所の両方にいえるのは、設備の点検作業など危険な仕事は下請けに出しています。コスト優先では県民の安全・安心は得られません。原発と火発における下請け、孫受けの区分けでまで含めた点検作業にかかわる人数はいったいどれくらいになるのか示してください。
 
 原発についてですが、第二原発のインバーター事故や昨日の第一原発5号機の配管減肉問題など、度重なる原発の事故やトラブルが絶えません。そもそも不正問題発覚以降、安易な「維持基準」を導入したことが問題でした。県も県議会もこの維持基準の導入については反対してきた経過があるのですから、県はこの立場を貫き、安易な再稼動を認めるべきではないと考えますがどうでしょうか。
 また繰り返される事故をみれば老朽化していることは否めない事実です。具体的に「廃炉」を県から提言するよう求めますが見解をうかがいまして、私の質問を終わります。

以上

答弁と再質問・再々質問
一般質問への答弁

1 三位一体改革について

知事
 義務教育費国庫負担金を含めた三位一体の改革につきましては、これまで遅々として進まなかった税財源の移譲や国庫負担金の改革を通じて、予算と権限を握る霞ヶ関に対して地方分権の風穴を開ける千載一遇の機会であるととらえております。

 このような中、私といたしましては、義務教育に限らず、住民に身近な行政は、住民に近いところに権限も財源も委譲し、地域の実情を反映して行われるべきとの考えの下に、地方財政の自立を伴う真の地方分権改革を主張してきたところであります。

 したがいまして、義務教育につきましても、地方分権を更に加速させるためには、国から地方への税財源の移譲が必要であり、地方公共団体間の格差については、地方交付税の財源保障、財源調整機能を的確に発揮しながら、それぞれの地域の実態に即し独自の創意と工夫を生かしたきめ細やかな教育を、県と市町村がともに責任を持って行うことにより、ふくしまの未来を担う子どもたちの育成がより一層可能になるものと考えております。

教育長
 義務教育費国庫負担金の一般財源化につきましては、現在、国において検討が行われているところでありますが、一般財源化された場合であっても、教育水準の低下を招くことはないと考えております。

2 県の財政運営について

教育長
 県立高校の授業料につきましては、今年度から免除の基準となる収入額を従来の1.1倍程度に引き上げる緩和措置を講じ、その適用についても周知を図っているところであります。

 また、授業料未納者につきましては、保護者への面接指導、家庭訪問などの納入指導を十分に行うこととし、「県立高等学校の授業料とに関する条例」に基づく出席停止については、慎重に手続きを行うよう通知したものでありますので、適切な運用を図ってまいりたいと考えております。

総務部長
 障がい者や子育て世代、高齢者などに向ける予算につきましては、これまでも厳しい財政状況の中にあって、「いのち・人格・人格の尊重」を重点推進分野の柱の1つに位置付け、限られた財源の重点的な配分に努めているところであります。
 次に、行財政改革につきましては、「県民福祉の増進」と「最小の経費で最大の効果を上げる」よう行政運営の原則を基本として、「うつくしま行財政改革大綱」を踏まえ、これまでの考え方や制度の枠組みを転換し、市町村、県民、NPO、企業など多様な主体との連携・協働による分権型社会にふさわしい行財政システムの確立をめざして推進すべきものと考えております。

 大規模公共事業につきましては、一昨年の財政構造改革部会において、今後の取り扱いについて事業の延期や規模縮小など一定の整理を行ったところであり、その後も重点選別化・効率化の視点で常に見直しを行っているところであります。

 今後も、厳しい財政状況を踏まえ、更なる事業の見直しを行い、多種多様な行政課題に的確に対応できる予算編成に努めてまいる考えであります。

 次に、財政健全化債につきましては、財政健全化計画等に基づき、行財政改革に取り組んでいる団体について、将来の財政負担の権限が見込まれる範囲内において発行が認められる地方債であり、単に借金を増やすものではありません。

病院局長
 県立病院につきましては、極めて厳しい経営状況にあり、また、その存在意義が根底から問われております。

 このため、県立病院の役割や機能を明確にするとともに、経営のあり方や統合・廃止など抜本的な改革方策を講じる必要があると考えており、現在、「県立病院改革審議会」において、それぞれの病院の現状を踏まえた審議をいただいているものであります。

3 今出ダムについて

土木部長
 今出ダムの目的につきましては、一級河川今出川沿川の洪水被害の防止を図るとともに、都市用水の供給、農業用水など既得取水の安定化、さらには、河川環境の保全を目的とする多目的ダムとして調査に着手したものであります。

 次に、千五沢ダムとの2ダム1事業となった経緯につきましては、石川町市街地及びその下流地域の洪水被害の防止を図るためには、今出ダムの治水効果に加え、千五沢ダムを活用し、2ダムによる洪水調整を行い、流域全体の安全性を高めることが最適であることから、1つの事業として実施することとなったものであります。

 次に、ダムサイトを3度検討した理由につきましては、今出ダムのダムサイトは、中流案については、ダム基礎部にぜい弱な地盤の存在が判明したこと、下流案については、市街地に近接し生活環境への配慮上、問題があることから、調査範囲を上流域まで広げて現在、実施しております。

 また、ダムサイトの調査について要した費用は、約7億円となっております。

 次に、治水上の今出ダムの必要性と費用対効果に津きっましては、石川町において、過去に甚大な被害が発生し、早急な治水対策を図る必要があったことから、その対策に当たっては、河川改修案とダム建設案を比較検討し、その結果、費用対効果の上でも、ダムによる洪水調節が、最も有効な治水対策として実施しているものであります。

 なお、平成12年度に精査の上、福島県公共事業評価委員会において、事業継続の評価を受けております。

保健福祉部長
 今出ダムを水源とする水道事業に係る社会情勢の変化につきましては、当該地域の過去10年間における人口動向や給水量の実績は、ほぼ横ばいの状況になっており、今年度、県中地域水道用水供給企業団で実施した水需要予測の見直しによりますと、平成33年度の行政区域内人口は約49万人と推計され、行政区域内の1日最大給水量は約22万トンとなる見込みとなっております。

 これは当初計画と比較して行政区域内人口で約9万人、1日最大給水量で約10万トン減少する結果となっておりますが、社会現象の変化をとらえた事業計画の見直しについては、企業団が主体的に取り組むべきものであり、県といたしましても、企業団の判断を尊重してまいる考えであります。

 次に、県中地域水道用水供給企業団の当初の人口予測及び利水計画につきましては、各市町村における人口予測や開発計画、給水実績と将来の見通し、及び水需要予測調査に基づき、平成8年度に策定されたものであり、最大取水量につきましては、既存水源における水質汚染や水源枯渇等の不安定要因を考慮し、将来にわたって必要な水量として確保されたものと承知しております。

 次に、水道整備基本構想につきましては、県全体の水道整備のあり方について基本的な考え方を示し、市町村が行う水道整備事業の推進指針として策定するものであり、現在、平成5年度に制定されたものについて、その後の社会的、制度的な変化を踏まえて、改訂作業を進めてまいるところであります。

 当該地域における水道整備に関しましては、市町村の主体性を尊重しながら、県中地域水道用水供給企業団を構成する市町村が長期的に安定かつ良質な水道水を確保できるよう検討しているところであります。

 次に、今出ダムの建設につきましては、利水と治水を目的としていることから、水道利水の観点だけで、その必要性が決定されるものではないものと考えております。

4 原子力発電所問題と新地火力発電所事故について

生活環境部長
 新地火力発電所事故に係る通報の窓口につきましては、火力発電所は電気事業法に基づき、国が直接管理しているところであります。

 次に、「火力発電所の定期点検指針」の見直しにつきましては、当該指針は、社団法人火力原子力発電技術協会が電気事業法の運用通達等を踏まえて独自にとりまとめたものであり、事業者が日常の運転状況、保守状況を考慮し、自主基準を定めて運用すべきとされております。

 次に、火力発電所の配管点検に係るチェック体制につきましては、美浜発電所3号機の事故を受け、美浜発電所事故関係部長会議においてとりまとめた当該事故に対する県の基本的な考え方と当面の対応に基づき、現在、事業者から報告を受けた配管点検の実施状況報告について、立地自治体の立場で、独自に確認作業を進めているところであります。

 今後とも、関係部長会議において情報を共有しながら、県としての対応を検討することとしております。

 次に、原子力発電所等における点検作業にかかわる人数につきましては、国がとりまとめている「原子力施設における放射性廃棄物の管理状況及び放射線業務従事者の線量管理状況について」によれば、平成15年度の原子力発電所における電気事業者の社員以外の放射線業務従事者数は、福島第一原子力発電所で8,988人、福島第二原子力発電所で5,971人となっておりますが、具体的な下請けの区分による人数等は明らかにされておりません。

 また、火力八伝書におけるこれらの区分による人数等については承知しておりません。

 次に、原子力発電所の再稼働につきましては、これまでの運転再開において事業者に対して指摘しているように、発電所の運転管理について、「情報公開の徹底と常に緊張感を持った対応」や、「協力企業も含む企業システム全体の改善」等の一体的な安全・安心対策を着実かつ継続的に実施し、具体的な結果として示していくことが、何よりも重要であると考えております。

 県といたしましては、今後とも、県民の安全・安心の確保を最優先として、その取り組みを厳しい目線で評価、判断してまいる考えであります。

 次に、原子力発電所の高経年化対策につきましては、エネルギー政策検討会において県独自の検討を重ね、「中間とりまとめ」において、安全規制に係る新たな許認可制度を創設するなど、高経年化対策全般について抜本的な見直しを図る必要がある旨の意見をまとめ、国、事業者に対し、問題提起を行っているところであります。

再質問

 教育長にお尋ねします。いまご答弁がございましたが、義務教育の国庫負担の一般財源化については「影響がない」とはっきりおっしゃいましたけれども、私は過去の歴史から見ても本当にそうなのかと危惧を抱くものですから、その根拠をお示しいただきたいと思います。そしてもう一つですね、確認したいのですけれど、出席停止扱いの慎重な取り扱いというふうにおっしゃいましたけれども、あらためて再度慎重に取り扱いをするようにという通知は出したのかどうかをお答えをお願いしたいと思います。

 知事にお尋ねいたします。知事の真意をお尋ねしたわけですけれど、地方分権で自由に地方自治体が判断できることと、財源が来るかどうかということは私は一体にできないと思うんですね。そこが危惧されるものですから、知事がそういう答弁をされましたけれども真意がよくわかりません。というのは、今の「三位一体」の流れでいいますと税源移譲があるかどうかという、そこが今問題になっているわけですね。それが前提だと確かにおっしゃっています。でもこれが本当に来るかどうかというのは、「三位一体」の本質からいえば非常に危惧されるんです。知事もご存じのように義務教育の国庫負担の制度の経過、歴史的にはご存じだと思いますけれども、最初は国で面倒を見るということになって義務教育の水準が非常に上がったと言われていますね。就学率も上がった。でも一旦、1950年に廃止されたんです。そして一般財源化されたんですね。そのときに大変な問題が起きて3年後にはまた国が面倒を見る。地域間格差がないようにするということを設けたんです。ですからそういう歴史的な経過を見ると、私は、教育というのは国が責任を持つべきで、その自由裁量は県が求めていけばいいと私は思うんですけれども、もう一度お尋ねいたします。

 さて、ダム事業の見直しですけれども、先ほど部長は利水だけからダム事業の中止はできないような答弁でした。ではどこがこれを調整していくんでしょうか。この事業は利水と治水の両方かかわっていますよね。そして土木と農林でこれをどうするかということになるんですけれども、たとえば市町村の判断ということもいいました。市町村がいらないとこういう判断をしてやめればそれを認めるということだと思うんですよね。そうした場合、このダム事業はおのずと利水面からはいらないということになるんですけれども、それを保健福祉部としては認めるということでよろしいんでしょうか。そこの確認をお願いしたいと思います。

 さて、原発問題についてうかがいます。先ほどの答弁ですと火発については、まったく今までの原子力行政にかかわってきた県としては、ほんとに薄いという、かかわりが薄いと思いますね。そういう立場で答弁もされました。しかし事業者が自らつくっているこの基準というのは、実は国が電気事業法の改正を平成11年におこなって、たとえば今回問題の配管は、点検項目からはずれているんです。それで自分たちの基準をつくって、そして指針をつくったわけなんですが、その指針でも今回の事故が、つまり8万時間というこの指針に照らし合わせてもですね、その前に破裂してしまったわけなんです。ここに私は事業者の指針というものに危惧を抱かざるを得ないんですけれども、そこの点についてのもう一度、県の認識とそれから県のかかわり、私は必要だと思いますが、あらためてその点のご回答をお願いしたいと思います。

知事
 財源の問題は私も非常に重要な問題だと考えておりまして、そのように申しあげておるところでございますが、質問の中には財源は関係ない旨の発言をしていると言うことでございますが、そのようなことはございません。この問題は木を見て森を見ないということではまずいわけでございまして、私は森を見ながらですね、本当に知事会の中でも小泉総理の「三位一体改革」すなわち「国から地方へ」という改革に知事会が本気でやる気があるかどうかということを昨年の11月の知事会で確認しまして、たたかうということですから本気でたたかうかということを確認しながらすすめてまいりました。しかし半年の間には、残念ながら脱落しそうになった知事さん方もいらっしゃいますが、その都度いろいろ申しあげて、結果としては39対7になりまして、地方6団体の一つである知事会としてはですね、そういう方向でまとまったという歴史的な地方分権の動いてきている状況で39の知事がそういう方向で行こうということになったわけです。神山議員の申しあげていることへの反論は今ここにずっと持ってきておりますが、これを申しあげますと時間超過になりますので、申しあげませんが少なくとも非常に重要な時期であるという認識をですね、先ほど申しあげているように木を見て森を見ないんではなくて、森を見ながら少なくとも私自身は動いて行動してきたということです。そのことをご理解いただき、そして地方6団体の一つの39県の知事がそういう方向で決議をして、地方6団体も決議をして、今日入った情報ですと11月頃決起大会を東京でやろう、中途半端に扱われたら大変でございます。去年もそういう経緯がありましたんで。ということでございますんで、ご理解をいただければと思います。

生活環境部長
 事業者の使っております火力発電所定期点検指針についてでございますが、これにつきまして位置づけは、点検制度の代表的な点検箇所、内容、留意事項等が例示されているということで民間事業者が、自主保安を図ることを目的に最大公約数的に制定したものというふうに理解しております。それをベースに事業者が、自分たちの運転状況、保守管理状況を配慮しながら、自らの判断でさらに点検していくものだと理解しております。なお、この火力発電所の関与につきましては、今回美浜発電所の事故調査委員会の中間報告におきましても、たとえば国の定期事業検査に組み入れるかどうか、あるいは技術的指針をつくるべきかどうかについて引き続き検討するというふうな提言がなされておりますので留意して注意して見守ってまいりたいと思っております。

 二つ目は火力発電所への県のかかわりでございますが、先ほど申しあげましたようにやはり火力発電所は、法律に基づきまして、そういうふうな規定となってございますので、当然のことながら、事業者、そして国が責任を持って安全管理をすべきだと思っております。しかしながら、今回、県民の安全・安心という観点から、県は火力発電所を持っているという自治体から、自治体の立場で検証するという立場をとってございまして、先ほど答弁させていただきましたように、点検状況につきましては、関係部長会議において視点とそれから今後の対応を決めまして、現在対応しているというふうな状況にございます。

保健福祉部長
 今出ダムへの参画水量につきましては、企業団の中において先ほど申しあげましたとおり、将来の見通しをあらためて検討いたしまして必要な水の需要量について見直しをおこなっている、まあ、そういう状況でございますが、まだダムが必要でないとかいらないとかいった議論になっているとは私は聞いておりません。また、あくまでも主体的に企業団の中、あるいは企業団を構成する市町村において検討がなされ、参画水量についての見直しがなされたということであれば、今度はこれはダムの計画に影響してくることは確かでございますので、その時点においては県としての総合的な検討が必要になるかなと考えております。

教育長
 教育水準の低下ということでありますが、むしろ県の創意工夫が求められ、発揮することができるというふうに考えております。従って教育水準が低下するということはありません。

 二つ目でありますが、通知については、先の通知に十分に趣旨を申しあげて徹底を図っておりますので、あらためて通知してはおりません。

再々質問

 教育長が今述べられました「大丈夫だ」ということですが、その前提は教職員の給与がちゃんと確保されて、そして教育予算がしっかりあって、それが実現できると思うんですね。そのへんの不透明さがあるものですから私は、教育長がそんなにきっぱりと言っていいのかなと思いましたのでそのへんのことを今後とも検討していただきたいと思います。

 さて、原発問題についてお尋ねいたします。私は維持基準の導入はそもそも問題だったのではないかということを述べましたけれども、この立場で考えるとやっぱりいろんな事故が今たくさん起きていますね、昨日も第一原発の5号機で0.3ミリだけの厚さでも大丈夫だというような話が出て、その数字のわかりにくさがあって、いろいろ意見も聞いたようですけれど、そういうことも含めて原発事業者、国の保安院、それから原子力行政に対しても、最初のそもそもの維持基準の見直しを本当にそれでよかったのかと。最初に申しあげた県の立場で、それぞれの三者に言うべきだと思うんですけれども、この1の5の問題についてもふれながらお答えいただければと思います。

 保健福祉部長にお尋ねいたします。先ほどのダムの問題は確かにこれからの問題です。ですけれども市町村の判断を尊重するという立場を貫いていただいて、やっぱりこれからの利水、水道供給事業というものを真剣に県としても考えなければいけないと思うんですね。福島県は水道用水企業団をつくらせて、そして関係市町村に参加させてこの水を供給してまいりましたけれども、福島県の周辺の県では、県が責任を持ってやっているんですね。その理由は栃木県のパンフレットにはこう書いてあります。「市町村が独自に水源を確保していくよりも県が地域ごとに水源を開発し、運営していくことが合理的で安定した水の供給が続けられます」これが栃木県の企業庁の水供給に関しての記録がございますけれども、そういう立場でもう一度私は、今出ダムも検討し直すべきだと思いましたのでそのへんのかかわりも含めてお答えいただきたいと思います。

 総務部長にお尋ねいたします。財政構造改革プログラムの中でアウトソーシングや指定管理者制度、これをどんどんすすめると言っています。知事もNPOの活用も含めてといいましたけれども。しかし他県の例を見ますと、この指定管理者制度を先にやっている山梨県などでは大変な問題が起きていますね。つまり職員の身分は不安定になり、県民サービスもこれで図られるのかという実態もあるんですけれども、他県のこういう実例も踏まえてらっしゃるのかどうか。そして今後のあり方の慎重な態度が私は必要だと思いますが、県のこのプログラム見直しとのかかわりでも、私はやるべきでないと思いますが、単なる外部委託や切り捨てなどしないように求めていく立場からあらためて総務部長にお答えいただきたいと思います。

総務部長
 指定管理者制度につきましては、これはねらいが二つございまして、一つはコストの削減、そしてサービスの向上でございます。従いまして私どもがすすめようとしている指定管理者制度は、地方自治法の改正に従いまして、現在公社等に管理を委託しております56施設について、その全てについて原点に立ち返って、どうすべきかということを考えているわけでございます。従いましてその中では、つまり公社等のなかには、56の施設の管理を今までと同じく管理できない場合も当然出てくるかと思いますが、そのようなことも対処するために今般私どもが示しております、公社等の指針、これについても見直しをし、公社等についても自らもご努力をお願いしたいというふうなことを考えております。

 それからアウトソーシングにつきましても、これも端的に言わせていただければ、行財政改革を通じまして、本当に県が自らやるべき仕事なのか、あるいはそうでないのか、そのへんを明確にして、そして県自体もスリムになっていきたい。そういうことで今すすめております財政構造改革プログラムを着実に達成していきたいと言うことでございます。

生活環境部長
 いわゆる再稼働の県の姿勢というような質問かととらえさせていただいて答えさせていただきます。まず、これまでも再稼働の検証にあたりましては、その都度その都度厳しい目線で見てまいりました。たとえば具体的には、今般の第二原発2号機につきましては格納容器漏逸検査について疑問があるということで、素人でないエキスパートの立場で専門委員のご意見等も聞きながら、意見をまとめ、その結果等を踏まえて国あるいは事業者の方に申し入れをしてございます。そういうスタンスでのぞんでございます。それからさらにこの間様々な事象がでてまいっております。そういう中にありましても、立地自治体の立場で県民の安全・安心を一体的に確保するという大原則に立ちまして、時には立ち止まって慎重にかつ確実に対応してきておりますし、今後ともそういう対応をしてまいりたい考えております。

保健福祉部長
 水道整備事業にあたっての県と市町村の役割分担でございますが、これは各県いろんな考え方はあろうと思いますが、本県におきましては以前より水道事業につきましては、市町村の事業という位置づけをしておりまして、水源の確保、あるいは水源からの導水まで含めて市町村の水道整備事業ということですすめてきております。そうした考え方は今後とも貫いてまいりたいと考えております。

 それじゃ県は何をするかということでございますが、県は広域的な整備にあたっての様々な補助事業もございますし、それから水道整備にあたって、様々な助言等の支援をしているというそういう立場でございます。



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