日本共産党の長谷部淳です。
議案に対する意見を述べさせていただきます。
今回の定例議会は、知事が5選後の最初の議会であり、知事が議会冒頭で述べた県政の基本、すなわち、「県民一人ひとりの立場に立つ」ことや、「県の役割は地域住民と市町村を守ること」、また選挙での投票に示された批判を「真摯に受け止める」という姿勢が具現化されるかが問われる議会でもありました。
今回の補正について、県民の暮らし、とくに豪雨で被災した国道・県道や河川、砂防施設などの補修、農業災害対策など災害復旧は当然の計上であります。また、緊急雇用対策や、会津児童相談所整備、若松乳児院床暖房改修なども評価できるものです。ただし、112億円を超える豪雨被害に対して、県による災害復旧費が29億円足らずで十分であるとはいえません。
問題は、本県の財政運営において、累積赤字を約1兆2,000億円にもふくらませた政治責任を自覚し、抜本的なメスを入れる姿勢がないことであります。そればかりか、借金のツケを、県立病院・県立社会福祉施設・県立大学など、県の医療・福祉・教育にとりくむ姿勢が問われる分野に押しつけたり、県職員をさらに削減したりすることなどで乗り切ろうとする姿勢は、本末転倒というほかにありません。
県は、県債残高の増加の原因のひとつは、「国の経済政策に呼応し、社会資本の整備を進めてきたこと」(04年2月議会総務部長答弁)と正直に述べていますが、これはまさに、バブル時代の発想のまま、政府の景気浮揚策を受け、大型開発事業に次つぎに手をつけてきたことが、県財政悪化の原因であることを認めているわけであります。原因が明らかならば、その原因を除去しなければなりません。
ところが今回の補正でも、たとえば小名浜東港のために、またまた当初予算額をも上回る3億6,000万円が計上されています。国庫確定による補正というものの、2億4,300万円は県の借金であります。あいも変わらず大型事業にしがみつき、借金をふくらませていく姿勢そのものではありませんか。
トラハイについても同様であります。財政事情からするならば、当然に凍結の選択肢があるにもかかわらず、未着工部分についても推進の姿勢をあらためて明らかにしたことは、容認できるものではありません。
さらには、財政構造改革プログラムが、「広報、イベント」などの事業で、「効果の乏しい事業については廃止する」と提起しているにもかかわらず、これまで7億5,000万円近くも費やしながら、ありもしない首都機能移転事業に「粘り強く取り組む」姿勢は、ムダをムダと感じず、県民意識とのかい離もはなはだしいといわなければなりません。
また、政府による三位一体改革にかかわり、税源移譲の保障がないまま、義務教育費国庫負担金の削減を当然視するのは、県の財政にもかかわることであり、その姿勢も問題といわなければなりません。もともと憲法第26条は、国民が「ひとしく教育を受ける権利」を持ち、「義務教育は、これを無償とする」と述べ、教育基本法がこれを受けて教育の機会均等の原則を定めています。この権利を国が保障する、すなわち教育の目的を達成するための諸条件を整備する国の責任を具体化する根幹が、義務教育費国庫負担制度にほかなりません。地方の教育行政に対する国からの統制手段としてこの制度があるのではありません。つまり、教育基本法第10条がいう、教育に対する「不当な支配」を禁ずる趣旨を徹底するかどうかの問題です。これを混同し、地方自治体の責任によるきめ細かな教育で対応できるかのような理解は、正しくないと考えます。
さて、先週10月15日、公正取引委員会が、全国の地方自治体では本県だけで橋りょう建設工事をめぐる談合を認定し、勧告を行ないました。認定された期間以降について「シロ」と認定したものではありません。疑惑がある以上、勧告を受けた2社による共同企業体の工事請負については、入札のやり直しが筋であります。かつて、県発注の航空写真測量業務について談合と認定されたことがありました。談合と認定された97年4月から2000年5月までの85件の落札率は平均95.97%、談合が排除されたその後の期間の同種の契約49件の平均落札率は72.64%と、その差は実に23.33%、県は落札率の差2億9,000万円を関係8社に損害賠償請求をした経験があります。この経験が生かされていないのではないでしょうか。落札率90%以上は談合の疑いが濃いというのが日弁連の指摘でもあります。入札制度については、電子入札の導入を含め、いっそうの透明性、公平性を図り、公共事業費の縮減に努めるべきです。
以上、知事選後の知事の姿勢にも触れつつ、意見を申し述べ、議案第1号と第26号に反対を表明し、討論を終わります。
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