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2004年12月県議会一般質問
一般質問

答弁

再質問

再々質問

2004年12月10日 長谷部淳
 日本共産党の長谷部淳です。

 最初に、いわゆる政府が進める「三位一体の改革」のもとでの来年度予算編成にかかわってうかがいます。
 11月26日に政府・与党が合意した「三位一体改革の全体像」は、「地方の権限拡大」の名で、福祉・教育などに対する国の責任を後退させ、地方財政の削減を進めるものであり、自治体が本来果たすべき住民福祉の増進の仕事を困難にするものです。とりわけ、地方交付税について、「歳出削減に努め」、「地方財政計画の合理化」などを進めるとして、05年度以降も削減していく方向を示したことは、自治体の財政運営を一段ときびしくするものです。私は、公共事業などのムダなひも付き補助金こそ改革し、国民の生活と権利を保障する国庫負担制度は断固堅持し、地方税財源の拡充、地方交付税の堅持・充実を知事が求めることを強く要望しておきたいと思います。

 こうしたなかでの来年度予算編成について県は、「地域経済の再生を始め、部局の枠を越えた重点的な取組みがますます重要になっていることから、限られた財源の重点推進分野等への配分を従来にも増して徹底する」こと、また「廃止・縮小可能な事業と充実・強化すべき事業とを十分見極めながら、必要性、緊急性、効果等の観点から…重点選別や見直しを徹底して行」なうことを強調しています。

 そうであれば、首都機能移転事業にしがみつくことはきっぱりとやめ、「百年の大計」というならば、子育て支援のひとつとして、県立子ども病院の一刻も早い着手、そして過疎・中山間地域における集落単位の振興のために、直接支払い制度を県として充実・継続するなど、県での人づくり、地域経済にこそ、限られた財源を重点的に配分する知事としての政治決断が必要です。知事の考えをおうかがいいたします。

 さて、10月23日、中山間地を中心に新潟県中越地震が襲い、多数の孤立地帯が生じました。人的被害は阪神・淡路大震災以来、最大となってしまいました。被災されたみなさんに心からお見舞いを申し上げますとともに、本県始め全国から災害ボランティアとして被災地へ入っているみなさんに敬意を表したいと思います。

 昨年も東北・北海道で大きな地震が続き、先月29日未明には北海道東部でマグニチュード7を越える地震がありました。日本列島全体が地震活動期に入ったといわれ、本県としても中越地震から教訓を引き出し、地震に対する総合的な被害防止策を確立することは、県民の安全・安心確保のためにも、文字通り緊急の課題です。

 そこで次に、地震防災についておうかがいをいたします。

 ひとつは住民に対する地震情報伝達手段です。いわゆる「災害弱者」といわれるかたがた、とくに、聴覚障がい者への情報伝達手段は不可欠ですが、市町村の情報伝達体制について、県はどう把握されているのかうかがいます。また災害時に聴覚障がい者が緊急信号や緊急通報などを受発信できる手段について県はどんな支援策をされるのかお聞かせください。関連して、県の第二次障がい者計画でも位置づけられている聴覚障がい者情報提供施設の整備計画をおうかがいいたします。

 また今回、地震後、避難中の車中などで、移動の疲労やエコノミークラス症候群で亡くなるかたもおられました。避難支援体制や避難時の健康確保がされていれば、と悔やまれてなりません。この点で県は、中越地震の経験からなにを教訓として引き出し、避難支援体制の整備を進めようとされているかうかがいます。あわせて、避難者の健康を確保するための支援についても同様にお聞かせください。

 さらに、今回の地震においても、これに先立った台風や豪雨災害でも、住宅再建に役立つ支援策の確立が急務であることが明らかになりました。災害からの地域コミュニティ復活は、その基本単位である住宅再建が大前提です。全国知事会が、大規模災害にかかわる「緊急提言」(11月11日)で、被災者生活再建支援法について「住宅本体の建築費、補修費を支給対象とする」よう要望したことは当然です。こうした法改正を国に求めると同時に、県が独自の被災者住宅再建支援制度をもつことが必要だと思いますが、考えをうかがいます。

 あわせて、今回の地震では、建物被害はそれほどでなくても、宅地とその周辺の地盤や山に亀裂が入るなどの「地盤災害」も特徴といわれています。棚田が崩壊し、農道やかんがい用水路がずたずたにされたのも地盤災害によるものでした。住宅ばかりでなく、宅地崩壊などの地盤災害への復旧支援制度の創設について県はどう考えるかお聞かせください。

 次に、学校施設の耐震化についてうかがいます。県内では、自治体が防災拠点として避難所に指定している校舎、体育館の学校施設は何棟あり、そのうち、耐震性がないのに改修の予定が立っていない施設、および、耐震診断が必要なのに実施されていない施設は何棟あるか、その数と比率をお示しください。そして、いつまでに耐震化を完成させる計画か、県はその具体化のためにどうするのかをお示しください。

 次に介護保険についてうかがいます。
 最初にこの制度を支えるホームヘルパーが、その仕事を通じて職務に専念し、生活が維持され、必要な知的熟練が習得できる条件のもとで働けているかどうか、であります。

 私はこの点で県が、ホームヘルパーの社会的役割にふさわしい身分保障と働き続けられる労働環境にあるかどうか、すなわち、雇用形態・勤務形態・移動時間や研修を含めた労働時間の扱い・社会保険の加入状況などを把握する必要があると思いますが、これらに関する県の現状認識と、実態把握することについての県の考えをお聞かせください。

 たとえばヘルパーはこんな声を寄せています。

 「1人の人間の生活の自立を支援するという大切な仕事だと思うが、賃金が不安定で、移動時間、次の利用者までの空時間、研修の時間等の賃金の保障がなく、ヘルパーの生活の自立が困難である。専門職としてもっと安定したものにしてほしい」「利用者が入院や入所されると、私達ヘルパーは仕事がなくなり、収入が減り、家計が苦しくなります」

 こうした実情がヘルパー現場全体をおおっているとするならば、介護保険制度の存立そのものにかかわると思います。そうでなくても、介護保険制度のもとで、ヘルパーは時間こま切れ型のマニュアル労働で、福祉の現場から対話が消え、機械的作業が進行しているという危惧の声が出されているわけですから、県の責任ある実態把握を求めます。

 次に、利用者からヘルパーに求められる「医療行為」にかかわってうかがいます。ヘルパーは原則的に医療行為はできないことになっています。ところが現実には、一人暮らしの高齢者や手が不自由な場合、病院から処方された点眼薬や軟膏類、湿布をはることや、内服薬の服薬など、場合によっては痰がからんだ場合の吸引も、利用者から求められます。利用者とヘルパーしかいないその場で、ヘルパーがその要望を断ることができるでしょうか。

 私は県として、ヘルパーが利用者から求められる「医療行為」の実態を調査し、医療行為とヘルパー業務との関係を整理・再検討することが緊急に必要だと思いますが、県の見解をおきかせください。

 また、冠婚葬祭、病院などへの友人の見舞い、地域行事参加のための外出介助や、利用者本人の通院時の病院内での待ち時間の見守り、さらに正月などの料理、年末の大掃除、室内の模様替えなど、利用者が年中行事として文化的な生活を送るために必要と思われる行為が、介護給付の対象からは除外されています。これらも利用者からの要望が強いものです。一人暮らしや高齢世帯、介護者の状況など利用者の実情を考慮したうえで、介護給付の対象とするか、そうでなければなんらかの施策を県として検討すべきだと思いますが、県の考えをうかがいます。

 次に、介護支援専門員=ケアマネージャーについてうかがいます。
 たとえばいわき市が昨年8月から9月にかけて行なった業務アンケートで「ケアマネージャーの実態」を垣間見ることができます。市はその中間報告において、「ケアマネージャーがやりがいを感じながら、いきいきと活動している実態は、残念ながら感じられない。「できればこの仕事をやめたいと思っている」「今のままであれば長くは続けられないと思う」というような、常時ストレスをもちながら、ゆとりのない仕事を余儀なくされている状況のケアマネージャーが多い」と記述しています。

 現在の介護報酬のもとでは、1人のケアマネージャーが50人近くの担当者を持たなければ事業所としての経営が成り立たないといわれています。しかし、一人ひとりの生活全般に目配りするためには30人程度が限度、あるいは、自らもゆとりをもち、責任をもって一人ひとりの生活を把握したうえで仕事をするためには10人が適当、というケアマネージャーからの話も私は聞いています。

 こうした実態からすれば、ケアマネージャーが、一人ひとりの利用者の立場に立ち、ゆとりのある調査によって支援計画が策定できる環境をつくることはきっきんの課題です。そのために、国に対して報酬の引き上げを求めることはもとより、県として、ケアマネージャーの増員と資質の向上のための支援策が不可欠ですが、現状と今後の対応について県の考えをお聞かせください。

 さて、65歳以上の方で要介護認定を受けたのが約14%、そのうち5人に1人はサービスを利用せず、けっきょくサービスを受けているのは約1割、そのうえ要介護度に応じた利用限度額に対して使われている在宅サービスの利用量の平均は、一貫して4割程度です。介護保険が始まった当初、ケアマネージャーは利用限度額に基づくケアプランを示して利用者と相談したものですが、いまや、「いくらなら出せますか」と聞いてからプランを立てるのが常識です。通称「一万円の壁」と言われ、それ以上払えない家庭が多いのが実情だと言います。県がいう「安心して暮らし ともに生きる健康福祉社会」は、「いつでも、どこでも、質の高いサービスを受けることができ」ること(「保健医療福祉プラン21」8n)が前提ですが、実態はほど遠いと言わなければなりません。

 介護需要はますます高まっています。こうしたもとで国は、おもに財政事情から、介護給付を抑えることを重点に介護保険の見直しを図ろうとしています。県は、保険料・利用料のきめ細かな負担軽減策を市町村と協力して実施すべきです。あわせて県独自に、在宅・施設基盤の整備目標を抜本的に引き上げて拡充を図ること、国に対し、介護保険における国の負担割合を引き上げること、低所得者対策の拡充を求めるべきですが、以上、県の考えをうかがいます。

 次にリハビリテーションについてうかがいます。県は、国の「地域リハビリテーション支援体制推進事業」を受け、2000年度に「県地域リハビリテーション連携指針」を策定し、リハビリテーションを量的にも質的にも充実させることをうたっています。

 しかしたとえば、介護保険での居宅サービス給付総額に占めるリハビリの割合を見ると、2000年度が訪問リハは0.1%、通所リハを含めて18.2%、03年度はそれぞれ0.07%、11.7%と減少傾向です。県としてはどのように量的・質的充実を図ったうえでの数字と分析し、今後どのような方向をめざすのか、具体的にお示しください。

 また県は7年前に、リハビリテーション飯坂温泉病院について「リハビリテーションの専門病院として運動機能の回復を目的とした、より高度なリハビリテーション医療を提供するため、その機能の充実と、病院施設の整備を図る」ものとされています。また今年度から飯坂温泉病院は、「県地域リハビリテーション支援センター」に指定もされています。競争原理のもとで民間だけでは立ち行かないことが明らかなリハビリの分野で、なおかつ、ネットワーク作りに不可欠な各事業所などからの情報収集・調整を一民間病院が担えないことから、県としては当然のことだと思います。また、高機能のリハビリに特化する病院が単独で生き残ることは、現在の医療や介護保険制度のもとでは不可能でしょう。そこで県は、県が進める地域リハビリテーション支援体制の中で、リハビリテーション飯坂温泉病院を、どう位置づけ、どう充実を図ろうとされるのか、お示しください。

 つぎに公共工事の入札改善についておたずねします。
 10月15日、公正取引委員会は、地方自治体では本県だけで橋りょう工事をめぐる談合を認定し、勧告を行ないました。各社は勧告に応じなかったために公取委は審判開始を決定しました。

 いずれにせよ、談合疑惑が後を絶ちません。談合は犯罪行為です。落札率が90%であれば談合の疑いが強いといわれます。談合を排除する目的は、公正な競争を通し、行政トータルで税金のムダ使いをやめることです。航空写真測量業務談合について、談合排除後の落札率が23.33%も引き下げられました。県が発注事業全体の落札率引き下げ目標を持てば、地域密着の公共事業に有効にお金を使うことができるのです。また、入札制度の改善は、建設業界の元請けー下請けー孫請けという従属的構造や、建設労働者の不安定な就労形態を改善することに資するものでなければなりません。

 そこで、条件つき一般競争入札について、県のとりくみの経過と現状、あわせて入札参加資格の審査の透明性を確保する手立てをお示しください。また、低入札価格について、下請け業者への発注価格の妥当性を含めた低入札価格調査制度の導入が必要と思いますが、県の考えをお聞かせください。

 さらに、指名競争入札や随意契約については、条件つき一般入札以上に透明性、公正性を確保する必要があり、その点検のための第三者機関設置について検討されていたと思いますが、経過と現状をお示しください。

 最後に原発問題です。
 再稼動を容認した号機が起動中のトラブルで停止したり、異物の発見、油漏れ・水漏れなどが続いたりと、不正事件後のハード・ソフト両面のトラブルは相変わらず後を断ちません。県民の安全・安心の確保の面から、原発そのものと、事業者の体質との両面の老朽化は目をおおうばかりと指摘せざるをえません。

 そんななか今度は、原発建設工事で使われたコンクリートの「アルカリ骨材反応」をめぐるデータ改ざんが明るみに出ました。セメント中のアルカリ量が一定量を超えると膨張し、建造物を破壊する恐れがあります。原発推進機関のもとにある原子力安全・保安院によれば、壁を外から調べたり、ハンマーでたたいたりしたところ安全性に問題はない、とのことです。これで県民が安心するでしょうか。原発本体と配管その他のトラブルと直結する、基礎や建屋のコンクリートについて、県の責任で徹底検査をすべきだと思いますが、この件が明るみに出て以降の県の対応と考えをお聞かせください。

 また、運転開始から28年の美浜原発3号機事故は、老朽化した原発を酷使した結果といわなければなりません。福島第一原発は第一世代に属し、1号機から5号機のうち4機はシュラウドの交換という大改造を施しています。事業者からすれば、巨額の費用をかけた以上、「高経年化対策」の名のもと、長く運転しようと無理しがちなのは当然であります。

 先日、原子炉を停止させた第一原発2号機・4号機の水漏れも、老朽化原発を酷使し続ける結果なのではないでしょうか。不安定要因を増すばかりの高経年化対策はやめ、1号機から5号機までについては、廃炉を求めるべきだと思いますが、県の考えをお聞きいたしまして質問を終わります。

答弁と再質問・再々質問
答弁

一、来年度予算編成について

知事
 来年度予算編成につきましては、今年度見直しを行った財政構造改革プログラムに基づき、あらゆる財源の確保に努めながら、「少子化対策の推進」、「地域経済の再生」、「過疎・中山間地域の振興」、「いのち・人権・人格を尊重する社会の形成」、「循環型社会の形成」の五分野を重点推進分野と位置づけ、安心して子どもを産み育てる環境の整備や地域資源を生かした産業の振興と新産業の創造、過疎・中山間地域の自立支援などの視点に対応する事業に限られた財源を重点的かつ優先的に振り向けるとともに、部局の枠を超えた横断的な取り組みを推進することにより本県が直面する課題に的確に対応してまいる考えであります。

二、地震防災について

生活環境部長
 聴覚障がい者への市町村の情報伝達体制につきましては、本年9月に消防庁が実施したアンケート調査によれば、78の市町村が地域防災計画において、民生・児童委員や自主防災組織等の協力を得て聴覚障がい者も含むいわゆる災害時要援護者に対し避難等の情報伝達を行うこととなっております。

 次に、避難支援体制の整備につきましては、避難所の管理運営に従事した派遣職員全員から実際の支援業務を通じての課題について提出を求め、取りまとめているところであります。

 今後、その課題を踏まえ、避難所の設置主体となる市町村と協議を重ねながら、対策の点検・評価を行うことにより、その内容を順次県および市町村の地域防災計画に反映させてまいる考えであります。

 次に、被災者の住宅再建支援につきましては、被災者生活再建支援制度の活用を基本に対応することとしておりますが、現行の制度では、被災住宅の解体・撤去等に要する経費は支給対象となるものの、住宅本体の改築費については対象となっておりません。

 したがいまして、住宅本体の改築費等を支給対象とするよう、引き続き、国に法律の改正を強く要望してまいりたいと考えております。

 次に、宅地崩壊などの地盤災害への復旧支援制度につきましては、国においては、過去の大地震災害発生時に特例措置を設けて復旧事業を実施している事例があり、また、今回の新潟県中越地震の被害に対して、新潟県もこれと同様の特例措置の実施を国に要望していることから、県といたしましては、これらの動きを注視してまいりたいと考えております。

保健福祉部長
 災害時の聴覚障がい者への支援につきましては、字幕や手話による一般番組をはじめ災害時の緊急信号や放送も受信もできる聴覚障がい者用受信装置いわゆる「目で聴くテレビ」や、ファクシミリなどの給付に対する助成事業を行い、その普及をはかっておりますが、今後はこのほか、携帯電話によるメールの活用も検討してまいりたいと考えております。

 また、ファクシミリでも利用可能な障がい者110番を設置しているほか、県警本部においても、警察SOSメール110番が設置されており、災害時における聴覚障がい者からの各種相談や通報等への対応も可能と考えております。

 次に、聴覚障がい者情報提供施設につきましては、今年度策定した第二次障がい者計画において、聴覚障がい者のコミュニケーションを確保し、社会参加を支援するための拠点施設と位置づけておりますが、具体的な整備計画については、既存施設の活用を含め、関係団体の意見も踏まえながら、今後検討してまいりたいと考えております。

 次に、避難者の健康を確保するための支援につきましては、地震発生後、速やかに派遣した医療救護チーム、心のケアチーム、健康相談チームから、被災状況の迅速・的確な把握と、保健・医療体制の確保が困難な市町村への緊急応援、さらには、保健・医療チームを速やかに受け入れるための調整や健康管理に必要な情報の的確な提供などが極めて重要であるとの報告を受けております。

 これらを貴重な教訓として受け止めながら災害時の保健医療支援体制の確立に万全を期してまいる考えであります。

教育長
 避難所に指定されている学校施設につきましては、市町村地域防災計画によれば、国立、県立、市町村立、私立学校の全体で870施設となっております。

 また、避難所に指定されている学校施設に限定しての調査ではありませんが、「公立学校施設の耐震改修状況調査」では、平成16年4月1日現在、耐震診断の結果、改修が必要とされたもののうち改修計画が未定のものが、公立小・中学校709棟のうち598棟で87%となっております。

 耐震診断が行われていないのは、公立小・中学校1470棟のうち689棟で47%、県立学校では806棟のうち443棟で55%となっております。

 次に、学校施設の耐震化につきましては、公立小・中学校については、設置者である各市町村が、国庫補助制度棟を活用して取り組んでおります。

 また、県立学校については、引き続き、改築や大規模改修事業により取り組んでまいりたいと考えております。

三、介護保険について

保健福祉部長
 ホームヘルパーの雇用形態等につきましては、介護サービス施設・事業所調査によりますと、常勤と非常勤の割合が1対3となっておりますが、介護サービスを支える質の高い人材を養成、確保するためには、専門性の向上や研修の体系化等による資質の向上とともに、適切な労働条件の確保が重要であると考えており、県といたしましては、ホームヘルパーなどにかかる労働基準法等の適用に関する国の通知を関係事業者に周知するなど、関係機関と連携しながら、関係法令の遵守について指導しているところであります。

 次に、ホームヘルパーの医療行為につきましては、本来医療行為は、医師法等に基づき医師、看護師などの特定の有資格者のみが行えるものとされており、ホームヘルパーが医療行為を行うことは、禁止されております。

 このため、在宅で医療ニーズの高い利用者については、必要な訪問看護等が提供されるよう適切なケアマネジメントとともに、主治医等医療機関と密接な連携をはかることが重要であると考えております。

 次に、地域行事参加のための外出介助等につきましては、訪問介護サービスは、日常不可欠なケアサービスに限定されており、援護を要する高齢者のニーズのすべてを介護保険のみで支えることは困難であります。

 したがいまして、それぞれの地域の状況に応じて、多彩できめ細かなサービスを提供する「介護予防・地域支え合い事業」や家族はもとより、ボランティア、地域住民、さらには、社会福祉協議会などの関係機関等が連携し、要援護高齢者を地域で支えていく取り組みを進めているところであります。

 次に、ケアマネジャーにつきましては、現在、国において介護保険制度全般の見直しが進められていることからケアマネジャーの標準担当件数等の基準と報酬の見直しについて要望しているところであります。

 また、ケアマネジャーの要請と資質の向上につきましては、業務実態に即した実務研修や経験・習熟度に応じ体系化した現任研修等を行うとともに、指導的役割を担うリーダーの要請や相談窓口の設置などにより支援しているところであります。

 次に、保険料・利用料につきましては、低所得者の負担軽減対策といたしまして、保険料については、所得段階に応じて保険料率が設定されており、また、利用料についても、利用者の所得の状況に応じた負担の上限額や食費の標準負担額などが設定されているほか、特別対策事業を市町村と協力して行っているところであります。

 次に、今後の在宅・施設サービス基盤の整備につきましては、介護保険制度の見直しを踏まえつつ、利用者のニーズを的確に把握するとともに、保険者である市町村の意向を尊重して来年度において策定する第4次高齢者保健福祉計画等に基づき、計画的な整備を努めてまいる考えであります。

 次に、介護保険の国の負担割合の引き上げにつきましては、今回の見直しにおいて、国民や地方自治体に過重な負担が生じないよう配慮するとともに、低所得者対策については、誰もが必要な介護サービスを必要に応じて利用できるよう恒久的な制度の構築について、全国知事会等を通じて、国に対し強く働きかけているところであります。

 次に、介護保険におけるリハビリテーションにつきましては、平成15年度の利用状況が、介護保険事業支援計画の見込みに対し、訪問リハビリテーションは6割程度、通所リハビリテーションはほぼ計画通りでありますが、いずれも前年度に比べ1割程度増加しております。

 また、これ以外にもさまざまな介護サービスに機能訓練やリハビリテーションのメニューが組み込まれておりますので、今後とも、ここの利用者の心身の状況に応じて適切なリハビリテーションが提供されるよう、取り組んでまいる考えであります。

四、地域リハビリテーションについて

保健福祉部長
 地域リハビリテーション支援体制につきましては、県内7保健福祉県域の8か所の医療機関を広域支援センターとし、それらを全体的に支援する県支援センターとして、本年5月にリハビリテーション飯坂温泉病院を指定したところであります。

 県支援センターの今後のあり方につきましては、本年度、関係機関で構成する県地域リハビリテーション協議会において検討を進めているところであります。

五、公共工事の入札制度改善について

土木部長
 条件付き一般競争入札につきましては、より一層の競争性を確保するため、平成15年度から橋りょう上部工事と一般土木工事から抽出して試行的に実施しております。

 また、入札参加資格審査につきましては、資格審査や入札の結果を公表するとともに、第三者機関である福島県入札監視委員会において、条件設定の理由や資格審査の経緯について抽出による審議を実施するなど透明性の確保に努めております。

 次に、公共工事おける低入札価格調査制度につきましては、政府調達協定に基づく一般競争入札および技術提案を求める工事の入札において実施しており、入札額が調査基準価格を下回った場合には、工事費内訳書を提出させ、工事の履行、適正な下請代金支払いなどについて、調査を行うこととしております。

 次に、第三者機関につきましては、公共工事の入札および契約手続きの透明性と公正な競争を確保するため、学識経験を有する者で構成する福島県入札監視委員会を平成16年3月に設置いたしました。

 委員会は敵的に審議を行うこととし、これまで、3回の審議を行ったところであります。

六、原子力発電所問題について

生活環境部長
 原子力発電所建設におけるコンクリート用骨材のアルカリ骨材反応性試験に係る問題につきましては、10月22日に事業者より調査結果の報告を受けたところであります。

 また、11月11日及び12日には、国が現地調査を行ったと聞いております。

 原子力発電所の設置・運転等に係る安全規制については、国が一元的に管理していることから、この問題についても、国及び事業者が責任を持って徹底した調査を行うなど、適切な対応すべきものと考えております。

 現在、国及び事業者において更に調査が行われていることから、その結果が明らかとなった段階において、立地自治体の立場として確認を行うなど、県民の安全・安心を最優先に対応してまいる考えであります。

 次に、原子力発電所の高経年化につきましては、エネルギー政策検討会において県独自の検討を重ね、「中間取りまとめ」の中で、安全規制に係る新たな許認可制度の創設など高経年化対策全般について、抜本的な見直しをはかる必要がある旨の意見をまとめ、国、事業者等に対し、問題提起を行っているところであり、さらに、原子力施設立地道県で構成する原子力発電関係団体協議会を通じ、国にその実現を強く要望しております。

再質問

 教育長にお伺いいたしますけれども、学校の耐震化については、当然子どもたちのことを思えば、学校施設全体の耐震化状況について把握することはもちろん必要ですが、地域コミュニティーの中での学校の役割を重視をする教育庁とすれば、やはり、自治体が避難所に指定している学校の施設についてもその耐震化状況について把握して、その耐震化の推進化をはかることが必要だと思うんですけれども、その点についてお聞かせをください。

 保健福祉部長にお伺いいたしますけれども、ホームヘルパーの雇用形態等々についての実態を把握することについて指導しているということなんですけれども、ホームヘルパーが介護保険制度の中で果たしている役割、仕事は、利用者の方のところに行った時にその現場での状況や、場面やあるいはその利用者の方の要望等々について的確に判断し、的確に対応するという専門的な労働であると思うんです。そういう意味でいうと部長もおっしゃいましたけれども、専門性が求められ、その専門性を磨くためにはどうしても知的な習熟も含めて、しっかりと習得できる労働環境がなければ、介護保険制度そのものが立ちゆかなくなるだろうと思います。保健福祉部が直接調査しなければならないということでなく、どこかが調べてあればいいわけです。介護保険制度を支えているホームヘルパーが、いかに介護保険を充実させる方向で働けるかということを考えた時に実態を把握した上で、いろんな支援を考えることが必要なのではないか、もう一度その点をお聞きします。

 それから、ケアマネジャーは文字通り住民のくらしと生活を守ることを最前線で行っています。自治体が福祉の増進を図ることが仕事の基本であることからすると、文字通り自治体の仕事を最前線でケアマネジャーは行っていると思うんです。そういう点でいうと県は一人一人のケアマネジャーの立場に立った支援が必要だと思います。ところが、現在、膨大な事務作業に追われているということも聞きますし、あるいは、あれはしちゃだめだ、これをしちゃだめだというサービスの受給の上で給付の適正化という名の下で給付の抑制を図るという目的であるかのような指導・監査もされているとも聞きます。介護給付サービスの抑制を目的としたような指導・監査はしないということをはっきりさせていただきたいと思うんですけれどもいかがでしょうか。以上お伺いいたします。

保健福祉部長
 ホームヘルパーの雇用実態の把握についてですが、県独自に把握したということはありませんが、私どもの手元には財団法人の介護労働安定センターというところが、これは厚生労働省の外郭団体でございますが、毎年調査をしている実態調査がございまして、その調査結果は私どもも入手いたしまして、全国的な状況、本県もその中に入っておりますが、実態の傾向、そういったものは把握しているというふうに考えております。その中身につきましては、いろいろありますが、総じて労働条件がいいのか悪いのかという部分につきましては、基本的には民間事業者における労働契約上の問題でございますから、県がその善し悪しを判断する、あるいはそこに何か意見を差しはさむという立場にはないというふうに私は理解をしております。

 それからケアマネジャーに関してでございますが、ケアマネジャーはまさしく介護保険制度の要でございます。先日もケアマネジャーの方々も含めて、懇談会を催しまして職場の実態につきまして私ども話を聞かせていただきました。今、議員からお話があったような話も伺いましたけれども、いずれにしましてもケアマネジャー制度につきましては、介護保険制度の要といたしまして、報酬額、基準となります担当件数の数の問題とか、いろいろ問題点があるということは、私どもも承知いたしておりますので、今回の介護保険制度全般の見直しの中でケアマネジャーのあり方についても十分見直しをしていただきたいという話を国の方に申し上げております。

教育長
 避難所の有無にかかわらず、どの学校施設においても児童・生徒が学んでおりますので、避難所の指定というよりは、児童・生徒の安全を確保するために老朽化の状態であるとか、建物あるいは施設の状況を把握して優先順位の高いものから、取り組んでいくということで考えております。

再々質問

 教育長にお伺いします。2月に消防庁が公共施設の耐震化の調査をしております。防災拠点として使用する公共施設、つまり自治体が避難所に指定している施設の耐震化について07年までの計画を含めて全国平均が54%だそうです。静岡が80%を超えて、東京、神奈川が75%を超えています。福島は47.7%で33位、首都機能移転どころではないのではないかと思いますけれども。消防庁は特に防災拠点となる公共施設などの耐震化率は本来100%確保されていることが望ましいと指摘しているわけです。私は、特に、学校施設の場合、市町村だけでできないということははっきりしているわけですし、まして県が「いのち・人格・人権の尊重」「子育て支援」ということで重点政策を打ち出しているわけですから、学校施設の耐震化を最重点課題として、文字通り計画的、具体的、財政的な支援をきちっとやって進めるべきだと思いますけれど、もう一度お伺いをいたします。

 先ほど保健福祉部長に聞いたケアマネジャーの件は、明らかな不適切事例は給付をさせないということはいいんですけれども、いわゆる給付の適正化の名の下にサービスそのものを抑制するような指導や監査があるやのように聞くものですから、そういうものがあるとすればやめるべきではないか、その点をお伺いいたします。

 知事にお伺いしたいのですけれども、私が一般質問でふれました首都機能移転事業をきっぱりとやめること、子ども病院の着手、過疎中山間地域での直接支払制度の継続・充実、これらの政治決断について、ぜひ来年度予算編成の中ですべきではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。

知事
 子ども病院につきましては、小児医療の実態などを踏まえながら施設の必要性について引き続き研究してまいりたいと思います。

 首都機能につきましては、国会で決めて進めておることでございますが、東京圏での人口増加が再び進む、あるいは東京一極集中が更に深刻化しておりまして、また生活者の視点から見ても交通渋滞、都心の気温が周辺より高くなるヒートアイランド現象、集中に伴うさまざまな弊害が顕著になっているなど、首都機能移転の意義・必要性はいっそう高まっておるものと私は認識しております。今後ともこのような観点を踏まえまして、北東地域各県、他の2つの候補地域とも連携しながら、国会への働きかけ、国民的議論の喚起をはかるなど首都機能移転の実現に向けてねばり強く取り組んでまいります。なお、新潟のあと、国会議員のみなさん方、特別委員会で集まって少し動きが出てきたのか、出てこないのか、だいたい1年たつと残念ながら忘れて、阪神の時もそうでございましたが、国会議員のみなさん方、忘れてしまっておるようですが、今回も国会の議論を注意深く見守っております。

 なお、所得保障につきましては、私ども地方自治体でデカップリングという名の下で3年間やりました。その後、国の方の所得保障政策として5年間、今年まで進めていただきました。今回の補助金カットから知事会としてははずして続けてくれということをお願いしておるところでございます。農水省の概算要求には入っておるようでございますので、これから財務省の問題でしょうが、引き続き、中山間地域にとって非常に重要な事業でございますので、引き続きしっかりとまたお願いしていきたいと思います。

保健福祉部長
 ケアマネジャーのケアプランを作成する際に、利用者のニーズに応じた適正なケアプランを作成することは指導いたしておりますが、その際に意図的に給付を抑制したりすることについて私どもが指導したり、監査をしているという事実はまったくございません。

教育長
 市町村立学校につきましては、市町村が考えなければならないものというふうに理解をしておりますが、県立学校につきましては、先ほど申し上げましたような考え方にそって計画的にできる限りの努力をしてまいりたいと思います。



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