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2005年2月県議会一般質問
2005年2月28日
長谷部淳
 日本共産党の長谷部淳です。
 最初に知事の憲法認識についてうかがいます。
 今年は日本の敗戦から60年。私は、日本の国が二度と戦争に加担することはしない、という意味で、「戦後」を終わらせてはならないと思います。世界の市民は、5千万人を超える人命を奪った第二次世界大戦の悲惨な体験から、国際紛争の解決のためであっても、武力を使うことを選択肢にすべきではないという教訓を引き出しました。国連憲章2条4項が「すべての加盟国は、その国際関係において、武力による威嚇又は武力の行使は…慎まなければならない」としている通りであります。
 侵略戦争をしつづけることで、この戦争に多大な責任を負った日本は、戦争放棄と戦力を持たないことを規定した9条を含む憲法を制定し、こうした世界の市民の意思を実現しようと決心しました。
 住民福祉を最優先することをうたう25条や地方自治法は、平和へのこの強い意志を表現した9条と一体のものとして政治に活かさなければなりません。すべての議員、そして公務員は、99条によって、この憲法を尊重し擁護する義務を負っています。
 知事は昨年を振り返って、「平和への思いをあらたにした1年でありました」と述べていますが、現行憲法についてどのような認識をおもちかうかがいます。

 つぎに財政運営についてうかがいます。
 来年度予算規模は、国民健康保険への県負担の導入など、特殊要因の増加を除くと、実質的には今年度当初比マイナス2.3%ですから、9000億円を割り込んでいます。バブル崩壊後の90年代前半の規模にもどったわけです。90年代の当初予算では93年が8000億円台の最後でした。93年度と来年度でいくつか比較してみると、歳入性質別では県債の比率が当時は6.1%でしたが、来年度予算案では14.5%、額でいうと2.6倍にもふくれあがっています。借換債や財政健全化債も借金に変わりはありません。
 歳出をみても、93年には公債費が8.3%であったものが、来年度は16.1%、借金返済の比率がほぼ2倍、額でいえば2倍を超えています。
 これはいうまでもなく、90年代中旬以降、20世紀の最後まで、トラハイや小名浜人工島、福島空港2500m滑走路、未来博などの大型プロジェクトに手をつけ、毎年のように1000億円規模の借金を積み上げてきたからにほかなりません。来年度末の県債残高は、1兆2124億円が見込まれ、こちらも93年度の2倍強です。
 その一方で、衛生費、労働費、教育費は93年度よりも減らされ、老人福祉・社会福祉を含んだ民生費は、特殊要因を除くと1.5倍に過ぎないどころか、前年比マイナスです。義務的経費を見ても、人件費、扶助費が93年並みに抑えられ、公債費は先ほど指摘したように2倍強です。
 どこに借金のツケがまわされているかが明らかです。県立病院の統廃合、県立社会福祉施設の一部民間移譲、県立大学の法人化もそのツケ回しの一環です。
 重度心身障がい者医療費助成の入院時の食事に要する費用の自己負担や、敬老祝い金の廃止、県立高校の授業料値上げなどは、県民の暮らしのすみずみに県自らの借金のツケを押しつけること以外のなにものでもありません。
 県民の要望であった30人学級などに応えることは評価できるものの、財政運営の基本が問題です。
 予算編成にあたって、各部局への枠配分方式は、単なる予算抑制策であり、これでは政策目標と予算編成とを実質的に関連づけることはできず、個々の事務事業の客観的評価もできないのではないですか。枠配分方式をやめ、福祉・医療・教育がだれの目にも重点政策であることを明らかにするために、聖域とすべきではないですか。知事の見解を求めます。
 また、90年代から続く借金づくりの大型プロジェクトは凍結・中止して、県民に新たな負担を求めないよう財源を確保すべきですが、知事の考えをお聞かせください。

 つぎに、原発震災を避けるための本県の作業にかかわってうかがいます。
 昨年10月には、日本の地震史上、阪神・淡路大震災に続く2度目の震度7を記録した新潟県中越地震がありました。強烈な余震が続いたことも特徴でした。年末の12月26日には、この100年間に全世界で発生した地震のなかで4番目に大きかったスマトラ島西方沖の大地震がありました。この地震で生じた揺れの大きさは、スマトラ島北端の都市バンダ・アチェが最大で、日本でいう震度5程度だったものの、津波は想像を絶する被害をもたらしました。現地の人々の証言では、海岸付近で波の高さが10メートルにも達した場所があるといわれています。
 原発立地地域で仮にこうした大地震や大津波があったときに、原発が大事故を起こして大量の放射性物質を外部にまき散らすことで、地震災害と大規模放射能災害とが増幅しあう人類未体験の破局的災害はなんとしても避けなければなりません。

 国や東電は、原発が「発電用原子炉施設に関する耐震設計審査指針」によって耐震安全性が保証されているので、地震による事故は起こらない、としています。この指針は1978(昭和53)年に定められました。福島原発の場合、第一原発のすべての号機と、第二原発1号機・2号機は、この指針以前に設置許可を受けています。
 これら指針策定以前の設置許可原発8基について、どのような科学的・客観的根拠で耐震安全性が確保されていると知事は認識しているのかうかがいます。
 また、東電によれば、予想される最大の地震にも耐える設計だから安全だとの説明ですが、具体的に、直下型の地震規模、震度や津波の数値はどのように想定されているのかうかがいます。
 さらに、続発する大余震の影響、原発自体の老朽化の影響、津波が運ぶ砂によって海水の取水・排水ができなくなることによる影響は想定されているのかうかがいます。

 なお、指針においては、過去の地震や地質調査により、敷地の下に活断層がないことを確認し、その条件のもとで考えられる最大の地震を想定することが、原発の耐震設計の必要十分条件のようにされています。果たしてそうでしょうか。
 たとえば、活断層が認められないところでもマグニチュード7クラスの地震が起こることは広く知られています。
 また、1993年、震源の深さが110kmの釧路沖地震は、北海道がのっている北米プレートにもぐりこむ太平洋プレートが、地中にたれさがっている内部で起きた地震とされています。北米プレート上には本県を含めた東北6県や関東地方ものっており、福島原発だけでなく、女川・東海第二の各原発、六ヶ所村・東海村の核燃料施設にとって深刻な問題と指摘されているところです。
 指針自体、30年近く経過していますが、想定される地震がこのようにすっぽりと抜け落ちており、したがって、原発の耐震性は不十分だと地震学者から指摘されていることについて、原発立地県としてどのように受け止められますか。またこの間、指針の見直しに原発立地県として、どんな働きかけを行なってきたのか、また今後どう働きかけるのでしょうか。以上お聞かせください。

 つぎに、少子化対策の推進にかかわってうかがいます。
 最初に少人数学級編制についてです。なによりも、県教委が昨年10月設置した「少人数教育検討委員会」に示された資料では、30人学級になった小学校205校の評価で「1人1人に目が行きとどき個に応じた指導ができる」とした割合は、学習面で91.2%、生活面でも92.7%と大好評でした。また、実施校の管理職者の報告では、小・中とも「他学年への延伸」「全学年での展開」が要望されていました。
 こうした現場からの強い要望を受け、知事が踏み切ったものと受け止めています。一人ひとりが違う子どもたちにていねいに働きかけ、その人間的成長を助ける営みである教育という面から見れば、より充実した教育環境の条件が広がったのであり、これからの実践が重要です。その点で今後、県教育委員会として、この条件をどのように活かそうとされるのか、お聞かせください。
 一方、「市町村の判断を尊重する」としながらも、県が「1学級33人を積算根拠」とし、少人数指導の加配を含めた少人数編制のため、これにかかる予算は70億円を超えたというものの、実際の教員の増員は123人、新たな県負担も6億7000万円にとどまっています。このことが市町村にある程度の混乱や戸惑いを生じさせたのも否めません。
 そこで、33人の学級編制を市町村が選択したときの教員数が、今年度の加配を含めた教員数よりも減ってしまうこともありえますが、その場合も市町村の判断を尊重し、市町村に対して減員させることはあってはならないと思いますが、考えをお聞かせください。
 また、県内ではすでに今年度から30人学級を全学年で実施した中学校もあります。33人編制だと新3年生が逆にクラス減にもなりかねないわけですが、そうした実例に対してどのように対応されたかお聞かせください。
 さらに、「市町村の自主的判断を尊重する」のであれば、今後、30人以下学級編制に手をあげる市町村には県として積極的に支援すべきだと思いますが、考えをお聞かせください。

 つぎに中高一貫教育の考え方についてうかがいます。
 私は、中高一貫した教育課程による中等教育、すべての青年への高校教育の保障、試験の点数を尊重するのでなく、いのち・人格・人権を尊重する人間として社会へ旅立てる成長が図られるべきと考えます。
 首都圏では、「偏差値や進学実績が大きな尺度になっている現状」があるとか、「学業不振者に中学の早い段階から転校を勧める中高一貫校は結構ある」とか、進学実績アップに必死の一貫校では、生徒の学校不信が大人への不信感にまでつながり、子どもが心を閉ざしてしまう、とかの話を一部耳にすることがあります。
 そうであってはならないと思うのです。選抜競争・受験競争の低年齢化を招くのではないか、との懸念も聞かれます。
 県としては、連携型および併設型中高一貫教育を導入しようとしていますが、学力偏重教育、受験競争の低年齢化の懸念にはどう答え、この中高一貫教育でそもそもどういった教育をめざそうとしているのか、お聞かせください。

 3つめに、地域での子育て支援にかかわってうかがいます。
 この5年程度を見ても、子どもの数が減り、公立小・中学校や幼稚園数が減る一方で、保育所数やその利用児童数はふえています。同時に入所を希望しても定員の関係などで入所できない待機児童数も都市部に限らず少なからずいます。また幼稚園では「あずかり保育」を実施する園も7割近くになっています。
 女性の就業率が上昇することを考えれば、今後、さらに保育所に対する需要がふえることは容易にわかります。県に寄せられている声の中には、核家族がふえているもとで、共働きでない家庭の子どもを受け入れる保育園の要望も寄せられています。
 県は、「子どもたちがのびのびと生活できるよう、環境の整備や処遇・教育内容の充実を図っていく」としていますが、保育所利用児童数が定数を31市町村で上回っていることや、待機児童などの実情から、保育所整備をどう進め、子どもたちの生活の環境整備などをどのように具体化しようとしているのかお示しください。

 子どもをとりまく状況や保護者の実態などをふまえたときに、私が重要だと思うのは地域子育て支援センターの存在です。
 この事業の趣旨は、地域全体で子育てを支援する基盤の形成を図り、地域の子育て家庭に対する育児支援です。これを絵に画いた餅にしないことが重要です。
 緊急の際も含めたデイサービス、子育て相談、子育て講座などが実施率の高い事業ですが、県内では今年度末見込みでまだ45か所にとどまっています。子育てに悩む保護者が気軽に相談できるためには、自宅から近い場所でなければなりません。
 しかも、子育てにかかわることですから、当然、障がい児の発達に対する支援、学習障害や注意欠陥・多動性障害児童への発達相談、児童虐待への対応、子育て困難家庭への支援も含むべきだと思います。
 したがって、このセンターの事業内容や機能、位置づけ、そのなかでの行政の役割を明確にし、保育士・保健師の配置だけでなく、ケアマネジャー・ソーシャルワーカーの配置の検討も含め、設置数も根拠をもった目標を設定してふやすべきだと思います。県は、地域子育て支援センターの設置促進を図るため、どのような方針でとりくまれるのかお聞かせください。

 関連しますが、大阪・寝屋川での教職員殺傷事件にかかわってうかがいます。事件を起こした少年は、中学1年から不登校になり、ひきこもりになったといいます。「今日の時代を象徴する典型的な事件」と専門家も見ていますが、社会生活や対人関係が断たれたままになっているひきこもりの子どもたちが心身ともに健やかに育つよう社会的にケアする体制が不可欠だと思います。知事の考えをお聞かせください。

次に、いのち・人権・人格を尊重する社会の形成にかかわってうかがいます。
 まず、重度心身障がい者医療費補助事業についてです。この事業は、1994年10月からの国による入院食事代の保険はずしの際にも、入院時の食事に要する費用について助成対象としてきました。県の説明では、その目的は「障がい者などの社会的弱者に対する医療面からの福祉の向上、健康の増進」です。2010年までの計画期間である「福祉プラン21」においては「自己負担の軽減により経済的支援」を行なうこととしています。
 94年以降、消費税は5%へ引き上げられ、新たに介護保険料が徴収され始め、勤労世帯の家計収入は減り続け、年金も削減され、相次ぐ増税や控除の廃止・縮小があり、障がい者やその家族の暮らしは、経済的にますますおいつめられているのが実態です。しかも国は、県が入院時の食事に要する費用を自己負担させようとしている同じ10月から、精神障がい者を対象とした通院公費、身体障がい者を対象とした「更生医療」、18歳未満の身体障がい児の「育成医療」の3制度で、入院時の食事代を含めて自己負担を導入しようとしています。社会的弱者へのダブルパンチ、トリプルパンチの片棒を県がかつぐことになります。
 たとえば、いわき市内で大腸がん、肺気腫、気管支喘息、慢性呼吸不全で在宅酸素療法を行なっている70代の男性は、妻と2人暮らしで無年金。若いころからの自営業を続けていたものの、収入は不安定で、入院するときにも病院から電話をして仕事のやりとりをしていました。医療費補助が償還払いのため、貯蓄を切り崩したり、子どもたちからの援助を受けたりして医療費の支払いをやりくりしていました。
 こういった人たちの自己負担を増大させることが、いのち・人格・人権尊重の社会形成をめざす行政のすることでしょうか。「血も涙もない」とはこのことではないですか。私は、障がい者施設の職員から、「障がい者が県の借金をつくったのではないのに、なぜ障がい者が痛みを押しつけられないといけないのか」と訴えを聞いてきました。まさにその通りです。
 県は、障がい者の年金をはじめ、所得が減っている現実をどう受けとめているのでしょうか、うかがいます。
 「市町村と県はイコールパートナー」、「実施主体は市町村」とは県がよくいう言葉ですが、重度心身障がい者医療費補助事業の今回の見直しの際、市町村への一方的な事前の「通知」だけで、協議もなしに行なうことは、市町村とのイコールパートナーの観点からもおかしいと思いますが、見解をお示しください。
 そして、今年10月からのこの見直しの実施を撤回すべきだと思いますが、見解をお示しください。
 関連して、障がい者の地域移行のための条件整備を促進するため、グループホームの改修費や、初度設備費に対する補助事業については、来年度に希望する社会福祉法人などはすべて対象とすべきだと思いますが、知事の見解をお聞かせください。

 次に介護保険にかかわってうかがいます。
 介護保険は5年前、「家族だけで介護をすることが難しくなっている」「『介護』を社会全体で支えあうしくみ」「いろいろなサービスのなかから、いつ・どこで・どんなサービスを利用するかを、利用する本人が選べる」(いわき市のパンフレット)と、行政が大々的に宣伝して始まった制度です。
 この介護保険の当初の目的をより充実する視点から、介護保険の実情を分析し、なにが問題になっているかを明らかにし、よりよい介護保障を創りだすことが必要です。
 知事は、昨年の12月議会で、特別養護老人ホームなどの入所待機者解消策を聞かれ、「家族が過度に保険サービスに依存する傾向もみられるなどの問題点」という表現で、このことがさも介護保険制度のなかの大問題であるかのように答弁されました。
 私は、この答弁は事実誤認に基づいたものであり、介護保険制度でなにを改善しなければならないかを見るうえで誤った認識だと思いますから、当該部分についてあらためて見解をお示しください。

 統計的な数値で見ると、県内では、65歳以上のかたで介護保険サービスを受けているのは1割強、10人に9人は保険料を払っているだけなのが実情です。そのうえ在宅サービスでは、受けられるサービス支給限度額の4割程度しか受けていません。1割の利用料負担の重さが、低所得者を中心にこうした事態を招いていることは想像にかたくありません。「本人が選べる」はずなのに、特別養護老人ホーム入所待機者は1万人を超えています。
 これらの数字に表れた介護保険の実情を、県はどう評価しているのかお聞かせください。

 さて政府は、今月8日、介護保険の改定案を閣議決定しました。「予防重視型のシステムへの転換」として、「新予防給付」や「地域支援事業(仮称)」を創設し、従来の「要支援」および「要介護1」の一部を「要支援1」「要支援2」に新たに振り分け、サービスの内容も名称も変更してこれまでのサービスを受けられなくし、新たなサービスの介護報酬単価も給付上減額も低くし、軽度者をターゲットに、全体として給付費を抑制するねらいが明確です。県内では要介護認定者の4割強、3万人近くの高齢者が対象にされます。
 地域支援事業(仮称)は、これまでの老人保健事業や介護予防・地域支え合い事業といった国が3分の1から2分の1の負担をしていた一般事業を、国の負担が4分の1で済み、介護保険料に負担転嫁できる介護保険に再編し、国庫負担を削減することがねらいです。そのうえ施設での居住費・食費、通所介護と通所リハビリテーションの食事代を自己負担させます。軽度者が利用者の多くを占める介護事業者の多くは、経営に深刻な打撃を受けます。
 今回の国による見直しは、ひとことで言えば、国の負担を抑制し、住民へのサービスも抑制し、住民の負担は増加させるものです。
 県としては、この見直しをどう評価しているのかお聞かせください。

 いずれにせよ、介護保険の大きな問題のひとつは、利用料負担が重いために、必要なサービスが受けられない状況が広く存在していることです。それは、内閣府経済社会総合研究所の研究者が「1割の自己負担が外部の介護サービスへの需要を減少させ、結果として家族に介護を強いている」と指摘していることからも明らかです。だからこそ、市町村が市町村民の要望を受け、独自の努力で利用料軽減策をとらざるを得ないのが実態です。
 私はあらためて、県内市町村すべてで、低所得者に対し、在宅サービスの利用料を3%に軽減できるよう、県の財政支援を求めますが、考えをお聞かせください。
 また、施設整備について、知事はあと4年かけて1万7000人定員を目標とするといいますが、現在が1万4000人弱(1万3963人、05.2.1)の定員ですから、1万人を超える待機者を解消するつもりは最初からない目標です。国が示す枠である65歳以上人口の3%強の整備でよしとするのでなく、5%程度を目標に整備目標を引き上げるべきだと思いますが、考えをお聞かせください。

 つぎに国民健康保険についてうかがいます。現在、来年度からの市町村への国庫負担割合の引き下げにともない、新設された県による財政調整交付金の市町村への配分方法の考え方について、厚労省が3月末までにガイドラインを示す予定であり、また県としても独自の考え方を検討中と聞いています。
 国保の最大の課題は、支払うことができる保険税にすることです。国保加入者は、高齢者の増加や、不況による失業や倒産などの影響でふえ続け、県内では昨年6月時点で、国保世帯が全世帯数の53.6%、過半数です。そのうち国保税の滞納世帯はほぼ2割、7万4000世帯を超えています。県民の医療がおびやかされているといっても過言ではありません。これでは、「社会保障及び国民保健の向上に寄与する」という国保法の目的にも反します。
 県は収納率向上のための研修会を開催したりしていますが、いったい市町村職員を対象にした研修が、根本的な解決策になるとお考えなのかどうか、お聞かせください。
 私は、県として、市町村が高すぎる保険税を引き下げられるよう、財政面での支援を具体化すること、ならびに、生活保護基準をもとにした保険税減免制度を全市町村で整備するよう援助することが不可欠だと思いますが、考えをお聞かせください。
 また、財政調整交付金の市町村への配分方法について、「県独自の対応」としての考え方と検討状況をお聞かせください。

 つぎに、だれもが安全・安心に利用できる公共交通システムの構築にかかわってうかがいます。いわき市ではバス路線廃止申請が大きな問題になっていますが、公共交通システムは当然いわき市だけの問題ではありません。県のユニバーサルデザイン推進指針でも、「一人ひとりが誇りを持って生き生きと生活・活動するためには、だれもが自らの意思に基づき自らの力でどこにでも移動できるという基礎的条件」として、まちづくりの重要な課題と位置づけられています。
 今後、人口は減り、したがって移動量も減り、かつ、高齢者がふえ、自家用車に依存することはできない人々がふえます。こうしたもとで、住民が必要で十分な移動手段をもつことは、人間として暮らすために不可欠な条件だということを、県自身が示されている点は重要です。
 問題は民間企業がバス路線から撤退せざるを得ない場合、行政としての路線維持策と考え方です。とくに財政面では、バス事業だけで採算面を見るなら、もともと民間は赤字だから撤退するのであって、民間と同じ収支判断基準では立ち行きません。公共交通に税金を投入することで、その地域に住む住民の暮らしがトータルでどうなるか、を尺度に考えるのが行政だと思います。
 そこで、行政として、生活バス路線を維持することが、住民の暮らしにとって、トータルで見てどのような波及効果が考えられるか県の見解をお示しください。
 41のバス路線廃止申請があったいわき市では、市が独自に補助制度を見直し、21の路線については、新たな補助によって存続することになりました。広域ないわき市内でバス路線をになっているのが民間企業であるため、現行では、国からも県からも生活バス路線維持のための補助の枠組みがありません。いわき市も利用できる生活バス路線補助の枠組みの拡充は不可欠だと思いますが、県の考えをお聞かせください。

 つぎに、産業廃棄物最終処分場建設事業にかかわってうかがいます。1999年に県環境影響評価条例が施行されて始めて、今月13日、いわき市の21世紀の森に計画中の管理型の産廃処分場事業に関して県による公聴会が開かれました。公述内容などから県が絞った15人の公述人全員が反対の立場を示しました。
 県が2002年3月に作成した「福島県廃棄物処理計画」は、管理型の最終処分場の残余年数は約9年としており、また、昨年度末の県の調査結果では、残余年数は約7年としていることから、県内には管理型最終処分場の設置は不必要であることが明白です。
 そこで、県環境影響評価条例に基づく知事意見書はこれから提出されることになりますが、その基本的な考えをお聞かせください。

 最後に大型店出店調整についてです。昨年3月の「福島県広域まちづくり検討会」の提言を受け、県として条例化を検討中ですが、提言にもられた実効ある立地ビジョン、個別の出店計画ごとの個別調整のしくみについて検討がどこまで進んでいるか、現状をおうかがいいたしまして、質問を終わります。

答弁

1、現行憲法に対する知事の認識について

知事
 現行憲法につきましては、我が国が、悲惨な戦争への道を回避できなかったことを、戦後の焦土の中で深く反省し、自由と民主主義の原則の下、世界の一員として人類の恒久平和の実現に貢献することを国内外に宣言したものであり、「平和主義」、「国民主権」、「基本的人権の尊重」という基本原理は、戦後の我が国の方向付けをしっかりと果たすとともに、国民の精神的支柱となっているものと認識しております。
 さらには、地方制度は「地方自治の本旨」に基づくべきことを明確に規定し、今日、「住民自治」と「団体自治」として定着してきており、真の地方分権の確立や、更にそれを推し進めた住民主役の地域づくりが求められる中、今なお揺るぎない存在意義を有しているものと考えております。
 私は、今後とも、こうした現行憲法の精神を原点として、「いのち・人権・人格の尊重」を基本理念とする県民の安全・安心の確保はもとより、個性や多様性を尊重した独自の県づくりを推進し、地域や地域住民から出発する自立した地域社会の中に、更なる県勢の発展と住民福祉の向上を実現してまいる考えであります。

2、財政運営について

総務部長

 予算の配分方式につきましては、現場の創意工夫を予算編成に生かし、県民ニーズに的確に対応していくことをねらいとするものであることから、引き続き実施していく考えであります。
 また、福祉・医療・教育も含め、重点的に取り組むべき分野については、枠配分とは別に予算措置を行い、積極的に推進しているところであります。
 次に、大規模公共事業につきましては、平成14年2月及び昨年10月の財政構造改革部会において、今後の取り扱いについて一定の整理を行っているところであり、今後とも、重点選別化・効率化の視点で見直しを行ってまいる考えであります。

3、原子力発電所の地震対策について

生活環境部長

 原子力発電所の安全性につきましては、法令等に基づき、安全規制に責任を有している国が、平成7年9月に公表した「指針策定前の原子力発電所の耐震安全性」において、指針策定前に許可を受けた原子力発電所は、現行の指針の考え方に照らしても耐震安全性が確保されているとされております。
 次に、原子力発電所の設計につきましては事業者による立地調査等において、直下型地震をおこす活断層はないとされておるところでありますが、設計上、直下型地震の数値として、震度ではなく、マグニチュードで6.5を想定していると聞いております。
 また、津波については、平均海面に対して福島第一原子力発電所では、最高推移がプラス5.4から5.7メートル、最低水位がマイナス3.6から3.5メートル、福島第二原子力発電所では、最高水位がプラス5.1から5.2メートル、最低水位がマイナス3.0から2.9メートルと想定していると聞いております。
 次に、東京電力の原子力発電所における大余震、老朽化及び津波の運ぶ砂による海水の取水・排水への影響につきましては、設計段階や新たな知見が得られた際に、検討が行われていると聞いております。
 原子力発電所の耐震性につきましては、専門家の間で様々な議論がされていることは、安全確保の上からも重要であると考えております。
 県といたしましては、従来から、原子力発電関係団体協議会を通じ、国に対して審査指針等に最新の知見や技術を反映させるなど耐震安全性に対する信頼性の向上や新たな知見が得られた場合等における審査指針に照らしての検証、更に必要であれば、既設の原子力発電所の耐震安全性の評価に反映することなどを求めているところであり、今後とも働きかけてまいる考えであります。

4、少子化対策の推進について

教育長

 30人程度学級の全学年への展開につきましては、小・中学校すべての学年において、これまで以上にきめ細かな指導が可能となったことから、更に児童生徒一人一人の確かな学力と豊かな心をバランスよくはぐくんでまいる考えであります。
 その実施に当たりましては、市町村との連携を密にしながら具体的な成果が上がるよう進めてまいる考えであります。
 各市町村へ配置する教員数につきましては、各市町村が30人程度学級の趣旨を生かすのに十分な教員を配置してまいる考えであります。
 次に、今年度、30人学級編成を全学年で実施した中学校につきましては、町教育委員会から、法令の規定に基づく学級編成の協議があり、30人学級編成の導入により不足する教員については、町単独で非常勤講師を充当するとの計画でありましたので、同意したところであります。
 30人学級編成を導入する市町村への支援につきましては、来年度から、新たに30人程度学級を全小・中学校に導入することから、30人学級編成を希望する市町村がある場合においても、教員の配置等について支援することは考えておりません。
 次に、中高一貫教育における学力偏重教育の懸念につきましては、6年間の計画的、継続的な教育により、生徒の個性や創造性を伸ばし、幅広い年齢層の生徒が共に活動することなどを通して、社会性や豊かな人間性を育成することを目指しており、学力偏重教育になるとは考えておりません。
 受験競争の低年齢化につきましては、連携型中学校への入学は、既存の中学校と同様であり、また、併設型中学校への入学は、適性検査、作文、面接等により、総合的に判断して決定する方向で検討を進めておりますので、受験競争の低年齢化につながるとは考えておりません。
 本県で導入する中高一貫教育につきましては、連携型中高一貫教育の場合には、基礎学力の向上、進路選択の育成、地理理解教育などを行い、将来、地域社会に貢献できる人材の育成を目指しているところであります。
 また、併設型の会津学鳳中高一貫教育校につきましては、総合学科の特色を生かし、情報教育、語学教育及び多文化理解教育を柱とし、情報活用能力やコミュニケーション能力等を育成することとしております。

保健福祉部長
 保育所の整備につきましては、市町村に対し負担金等を支出することで、市町村の要望に沿った支援を行ってきたところでありますが、来年度からは制度の改革により、国から市町村への直接の交付金となることから、保育所や保育環境の整備については、それぞれの市町村の判断で行うこととなる見込みであります。
 次に、地域子育て支援センターにつきましては、地域における子育て支援の拠点であることから、市町村と連携しながら設置の促進を図ってきたところであります。
 今後は、現在策定中の新しい子どもプランにおいて、平成21年度までの設置目標数を市町村の意向を踏まえ、100か所と定めるとともに、育児や保育に十分な知識と経験のある保育士等を配置し、障がい児支援などを含む幅広い相談等に対応できる体制の整備に取り組んでまいりたいと考えております。
 ひきこもりの子どもたちへの社会的ケアにつきましては、早期発見・早期対応が重要でありますことから、児童相談所、保健福祉事務所、精神保健福祉センター等に相談窓口を設け、専門的なアドバイスなどを行っているほか、家族や周囲の適切な対応を促す支援ハンドブックを作成しております。
 さらに、新年度より、児童相談所の窓口となる各市町村とも連携しあらゆる児童の相談に対応できるネットワークの構築に取り組んでまいる考えであります。

5、いのち・人格・人権を尊重する社会の形成について

保健福祉部長

 障がい者の所得状況につきましては、まず、障がい基礎年金が平成15年度から減額されておりますが、これは、我が国の年金制度に物価スライド制が導入されているためであります。
 また、障がい者の所得に関しても、近年の国民総所得の減少傾向からやはり減少していると考えておりますが、これらはいずれも、長引く景気の低迷という社会経済状況を反映したものであり、我が国の全体的な状況と受け止めております。
 次に、重度心身障がい者医療費補助事業の見直しにつきましては、これまで、10市の担当部長会議などにおいての見直し方針の説明や市長会及び町村会への説明を行ってきたほか、保健福祉事務所を通じて各市町村への説明も行っております。
 なお、この事業は、市町村が重度心身障がい者に対する医療費の支給事業を行う場合に、当該支給事業費の一部を県が市町村に補助するものでありますことから、市町村における予算編成や条例等の改正など所用の対応を考慮し、あらかじめ見直しに関する通知をしたところであります。
 見直しの実施につきましては、広く障がい者福祉施策全体の推進を図る中で、既存事業の見直しの一環として、入院時食事医療費の標準負担額、いわゆる入院時に提供される食事のうち、食材費相当分を補助対象外とし、間接的に自己負担を求めようとするものであります。
 その趣旨は、食材費という実費は、入院の場合も在宅の場合も等しく負担するという、いわゆる入院・在宅の負担の公平化を図ろうとするものであります。
 今後は、この改正の趣旨を関係の障がい者団体等に十分説明するとともに、広く周知を図りながら、今年10月から施行してまいる考えであります。
 次に、障がい者グループホームの開設に伴う経費の補助事業につきましては、社会福祉法人等に対する開設予定数の調査に基づき、対象箇所数を計上したところであります。

6、介護保険について

保健福祉部長

 介護保険サービスの利用につきましては、介護の現場で業務に従事している方々との意見交換等において、ホームヘルパーが家政婦と誤解され、本来の保健サービス以外の家事援助まで求められたり、家族ができることまで介護サービスに依存する事例が見られることや、必要以上の利用が真に高齢者の自立支援につながっていないなどの問題点が指摘されているところであり、県といたしましては、介護保険制度の円滑な運営を図っていくためには、利用者や家族等の正しい制度理解とともに、真に高齢者の自立支援につながる適切なサービス利用が重要であると考えております。
 次に、介護保険の評価につきましては、本県において、現在、居宅サービスで約4万3千人、施設サービスで約1万4千人、合わせて5万7千人ほどの方がサービスを利用され、本年度の介護保険給付費も約890億円になると見込まれております。
 また、昨年実施した利用者アンケートにおいては、利用者本位と自己選択などを理念とする制度の理解が進むとともに、サービス内容に対する満足度も高まっているとの結果が出ていることなどから、介護保険制度については、老後を支える基礎的な社会システムとして、定着が図られているものと考えております。
 介護保険制度の見直しにつきましては、現在、国会において関連法案が審議されているところであり、細部までは明らかになっておりませんが、今回の見直しは、10年後の全国の高齢者割合が4人に1人という超高齢社会を間近に控え、高齢者独居世帯や認知症高齢者の大幅な増加も見込まれる中にあって、高齢者が、介護が必要な状態となっても、尊厳を持って生き生きと生活を営んでいけるよう、介護保険制度を長期的に安定的なものとすることを目指したものとされており、将来を見据えた必要な改革であると受け止めております。
 低所得者に対する利用料軽減につきましては、所得状況に応じた負担上限額や食費の標準負担額などが設定されているほか、特別対策事業費に基づく軽減措置により市町村に対し必要な支援を行っているところであり、また、市町村それぞれの主体的な判断に基づく軽減措置が講じられているところであります。
 介護保険施設の整備につきましては、今回の介護保険制度の見直しにおいて、介護予防や地域ケアの推進に重点が置かれており、今後、その成果が施設整備計画に大きく影響を及ぼすと考えられることから、来年度において策定する第4次高齢者保健福祉計画等において、将来の施設サービス見込み量を的確に算定し、計画的な整備に努めてまいる考えであります。

7、国民健康保険について

保健福祉部長

 国民健康保険に係る市町村職員を対象とした研修につきましては、収納に携わる者の意識、技術及び知識の向上には、欠かせないものと考えており、今後とも積極的に実施してまいる考えであります。
 財政支援につきましては、従来より保健基盤安定負担金制度及び高額医療費共同事業により市町村への支援を行っております。
 保険税の減免につきましては、各市町村の条例に基づき、被保険者個々の担税力を勘案の上、各市町村長の判断で実施されるものであります。
 県財政調整交付金につきましては、現在その配分に当たっての県独自の考え方について検討しているところであり、市町村の意見を踏まえながら、今年度中に大枠の基準を作成してまいりたいと考えております。

8、公共交通システムの構築について

生活環境部長

 生活バス路線の維持につきましては、高齢者や児童・生徒などいわゆる交通弱者の移動手段の確保を通し、住民生活の安定に貢献するとともに、地域の広域的な公共移動手段が確保されることにより、郡部と都市部の交流が図られるものと考えております。
 いわき市への生活バス路線補助につきましては、路線の維持は、市町村が、地域住民のニーズや、代替交通手段の有無など地域の実情を把握し、そのあり方を検討していくことが基本であると考えており、今後、市の意向を始め、いわき地域の特殊性や他地域との均衡等にも配慮しながら、検討すべき課題と考えております。

9、いわき市の21世紀の森に計画中の産業廃棄物最終処分場について

生活環境部長

 環境影響評価条例に基づく知事意見書につきましては、当該事業に関する環境影響評価準備書に対して提出されているいわき市長からの意見を勘案するとともに、先に開催しました公聴会における意見のほか、住民意見の内容を参考にしながら、環境保全の見地から事業者が配慮すべき事項等を整理し、今後開催する予定の環境影響評価審査会の意見を踏まえ、事業者に通知することとしております。

10、大型店の出店調整について

商工労働部長

 大型小売店の立地調整につきましては、福島県広域まちづくり検討会の提言を踏まえ、特に規模の大きな大型小売店の立地の広域調整等を内容とする条例案を検討しているところであります。
 今後、条例案の概要について、本年度内に、広く県民の意見を伺うためのパブリックコメントを実施するとともに、市町村等からの意見聴取を行い、それらの意見を十分に踏まえながら、できるだけ早期の条例化を目指して鋭意努力してまいる考えであります。

再質問

 最初に知事にお伺いいたします。ご答弁の中で恒久平和、平和主義、地方自治、私はまったくその通りだと思っております。平和や地方自治に心を寄せる方々の多くはそうだと思うんですが、しかるに現在の国会の中を見ていると、特に憲法第9条にねらいを定め、国軍を憲法の中に明記することや集団的自衛権の行使を憲法に明記をすることなどが議論されております。私は、地方自治という問題から見ても非常に重要な問題をはらんでいると思いますので、地方の首長としての知事として、今の国会の中の9条にねらいを定めた動きについて、どんなお考えをお持ちかお聞かせいただければと思います。
 総務部長に確認します。答弁にもありましたが、「県民ニーズを的確にふまえる」というんですけれど、これは大前提だと、私は思います。そのことと配分した枠の額をこえる要求は認めないと、これは依命通達にも書かれていることですけれども、その関係をわかりやすく県民にどう説明されるのかをお聞かせいただけるとありがたいと思います。
 保健福祉部長に、介護保険にかかわってお伺いします。私が12月答弁を取り上げたのは、国が介護保険の中で要支援とか要介護1と認定される人が増えるようにソフトをいじったわけですね。これは周知の事実なんでご存じだと思うんですが、それによって要支援、介護度1の認定者数が増えたことだけをもって、数が増えたのは国民が社会制度に依存するせいだという国の言い分をオウム返しにしているのではないかと思うのです。しかも要支援の人でいえば、たぶん福島県でもホームヘルパーを受けている人は週に1.5回くらいです。要介護1でも2.5回くらいです。果たしてこういう人たちが、過度にサービスに依存するということがあり得るのか、ないはずなんです。そこのあたりの認識がおかしいのではないかと思います。そこで実態に即した認識なのかどうか、もう一度お聞かせいただければと思います。
 商工労働部長にお伺いいたします。国が「まちづくり3法」をつくったときに、結局、出店調整とか、中心市街地の活性化は守れるのだといっていたはずなんですね。ところが、機能しないということが、今回の条例化の動きの端を発していると思いますけれども、当然この間の条例化に向けた動きの中で、国との調整を行っていると思います。国との調整の中で最大の問題点は何か、「まちづくり3法」の見直しなどもやりとりの中で出ているかとと思うのですけれども、そのあたりの国の感触はいかがなものか、お聞かせいただければと思います。
 教育長に伺います。今回新たに増やす教員が123人、そのうち正教員が33人、常勤講師が90人ということで、講師がどんどん増えています。少なくとも定数内の講師については解消して、正教員に振り向けていくということが必要なのではないかと思いますが、そのことをお伺いいたします。

知事
 先ほど桜田議員が引用した、スウェーデンの詩のなかに「殴られて大きくなった子どもは力に頼ることを覚える」という部分がございます。ここ数年、十年来の動きを見ていると、力がすべてを決するような状況が出ているのは、私ども、武力によらない恒久平和の実現に貢献していくことを誓っております。我々としては、非常に残念であると見ているわけでございます。県議会でも一昨年の12月、全国の中ではただ一つでございましたが、イラク参入に反対いたしました。そういう状況の中でどう考えていくかについては、この憲法問題については、直接この場でふれるべき場ではないと思っておりますが、私は今の状況を嘆かわしく思っておるということを申しあげたいと思います。

総務部長
 「県民ニーズ」と枠配分との関係についてでございますが、県民ニーズを的確にとらえることで、そういう中で財源をどのように配分していくかという問題になろうかと思いますが、そのときに今回の枠配分は、先ほどご答弁申しあげましたけれども、現場の創意工夫、そういったものを予算編成に生かしていく、しからば現場の創意工夫というものはどういうものかといえば、事務事業の見直し、あるいは効率化というようなもので、まず自らが財源を生み出すことによりまして、県民のニーズに応えていくという施策をとっていくというものでありまして、従来以上、これまで以上に政策の形成に効果があるものというふうに考えております。

保健福祉部長
 介護保険制度が、いわゆる家族介護から社会的介護に移行する制度であるということは十分認識しておりますし、要支援、介護度1、いわゆる介護の必要性の低いみなさまにとりましても、必要な家事援助サービスはあると基本的には認識しております。従いまして適切なケアプランのもとで、そうした介護サービスが適正に施行されることについては、なんら否定するものではありません。ただ、現場で苦労されているみなさま方とのいろんな意見交換の中で、やはり、先ほど答弁いたしましたように、本来の保険サービス以外の家事援助まで求められる場合もある、そういうケースもある、あるいは家族ができることまで介護サービスに過度の期待をされる場合もある、そういった現場の声も私どもいろいろ聞いているものですから、やはり制度にのっとった、適切なケアプランにのっとった介護サービス、この原則はご理解いただきたいなということで、私、先ほどのような答弁をさせていただきました。

商工労働部長
 広域的なまちづくりの調整の過程で、国と調整をしながらすすめているかということかと思いますけれども、当然のことながら法律に抵触した条例は作れませんので、特に国がもっております需給調整をしてはいけないという条文とどうそこを調整をしながら、県独自の考え方で横出しといいますか、条例を作れるか、そういうことで非常に苦労して検討をすすめております。しかしながら、国の方もまちづくりについてこのままでよろしいのかという疑問はお持ちだと思いまして、知事が国交省のアドバイザリー会議等に委員として出向きまして、地方の意見を申しあげる機会を得ております。経済産業省の方も、大店法のいわゆる生活環境をどう守るかという指導指針のところの改正の動きもございますので、わが県がある意味で定義した問題点というのが国にも影響が及んでいるものと理解しております。そのような中で国との調整を進めつつ、今条例案を検討しております。

教育長
 さまざまに検討いたしまして、常勤講師の数が多いというお話あるかもしれませんが、私どもは最善の選択だと考えております。実効あるものに努力してまいりたいと思います。

再々質問

 教育長にもういっぺんお伺いしたいんですけれども、中学校の場合には、特に音楽とか美術とかの先生なんですが、クラスが増えたことによって複数の学校をまたがって、あちこち教えに行かなくてはならない実情を聞きいています。そういった場合、クラス増分の教科担任についての何らかの配慮、手当が必要が必要なのではないかと思うんですが、どのような配慮をされたのかという点をお聞かせいただきたいと思います。
 保健福祉部長にお伺いします。ホームヘルパーが家庭に行ったときに、いろんなことをお願いされるという実情を、実は私も知ってはいるんです。ただし、なぜそのようなことになるかという背景として、やはり一割の利用料負担があり、しかも使える上限がある、枠があるわけですね。その中でどうしてもプランの中に入れられないサービスがあるので、来てもらった以上は、いろいろやってもらおうという事情があるということと、ヘルパーそのものが30分いたら帰らなくてはいけない、1時間いたら帰らなくてはならないというような時間小間切れ労働、あるいはマニュアル労働にされてしまっていて、本当に高齢者の心に心を寄せる専門性を発揮できるような、そういう労働条件にないということが、本人と家族やヘルパーとの関係を築く上で、家族がヘルパーを家政婦のように見るというか、そういうような関係があるということも、私はあるんじゃないかと思うんです。そういう意味で言うと介護保険の制度に内在した問題が、ヘルパーにいろいろお願いするというような問題に派生しているのではないかと思うのですが、そのあたりのご認識はどうかをお聞かせいただければと思います。
 知事に先ほどお伺いしましたのは、憲法9条の問題と、いま、現に日本の場合は武力攻撃事態法とかいって、武力攻撃のない、武力攻撃のおそれがある場合ですら武力攻撃事態ということで認定される恐れがある、なおかつ、国民保護法制というのができて、知事が地方自治体の責任者として、動かざるを得ないという仕組みになっているもとで、集団的自衛権を9条に盛り込まれた場合に、地方自治が死滅させられるという関係にあるものですから、いまの国会の中の動きについて、どのように知事が地方として、地方の首長として考えられているかということをお聞きしたのであって、ぜひお聞かせいただければと思います。

知事
 地方の問題につきましては、私はですね、知事会でも憲法改正と申している知事もいっぱいいます。それは「地方自治の本旨」という、そして、いま先ほど申し上げましたように、まさに「団体自治」「住民自治」ということが、20〜30年前は定着しておりませんでしたが、いま、定着してまいりました。その上で私どもは市民から出発するということを、いま、強力に申し上げておりまして、知事会で地方の住民に関して述べることについては、いまのような、世界に冠たる憲法だよ、この部分についてですね、ということを主張しておるところでございます。いまの9条の問題に関しては、議員の議論については、私もよく勉強不足でございますので、国会の方でよく議論するとと同時に、また私どもと関する問題が出てくる場合には、主張していかなければと思っております。

保健福祉部長
 介護保険制度もまだはじまって5年目ということでございますから、現場に様々な混乱があるということも、私は承知しておりますが、なによりも、先ほど問題も指摘されましたが、ケアプランというものが重要だと思っております。適切なケアプランというのが、この制度の要でございますので、そういう意味では、ケアマネジャーの方々に期待するところは大だという考え方を持っておりますし、また、介護保険制度の長期安定的な円滑運営を図っていくためには、何度も申し上げますが、利用者や家族等の正しい制度理解とともに、真に高齢者の自立支援につながる適切なサービス利用が重要であるという基本的な認識を持っております。

教育長
 中学校の規模、あるいは生徒数によっては、時間数が1人分に足りないというところで、そのような場合もあるかというふうに思います。ただ、すべての子どもたちに等しく教育を保障していくためにはそのよう勤務をしていただくこともやむを得ない形としてあるということは、ご承知おきいただきたいと思います。


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