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2003年度普通会計決算についての反対討論
2005年3月7日
長谷部淳
 日本共産党の長谷部淳です。

 継続審査議案第38号2003年度普通会計決算の認定について反対の意見を述べさせていただきます。

 この年の政府予算案は、税収が前年度よりも5兆円も落ち込むなかで、国債発行額が36兆4,450億円と、当初予算案としては過去最高となる大変な赤字予算となりました。
 その内容も、小泉「構造改革」によって生み出した経済と財政の破たんを反省することなく、社会保障の改悪や庶民増税によってさらに国民の暮らしをおびやかそうとするものでした。
 すでに前年10月からの老人医療の窓口1割負担の原則化、雇用保険料の引き上げを皮切りに、03年度にはサラリーマンの健保本人窓口3割負担、介護保険料の引き上げ、年金給付の切り下げ、失業給付額の削減、加えて発泡酒・ワインの増税、たばこ税の増税、所得税の配偶者特別控除廃止と、あわせると年間4兆円を超える負担が国民にかぶせられることが明らかにされていました。
 しかも前の年の1月から12月までの雇用者所得は前年比6兆円減少し、所得減少の加速傾向さえ見られる状況のなかの予算案でした。だからこそ、当時、1997年の橋本内閣による消費税増税・医療改悪などによる9兆円の国民負担増のときよりも、日本経済に深刻な影響を与えるものだ、と警鐘が鳴らされていました。
 それだけに、県民のふところを支え、市町村財政を支える財政運営が求められていたと思います。
 こうして2003年度の県当初予算は前年当初比マイナス2.4%、9,366億3,300万円でスタートしました。決算額は歳入9,491億9,689万円、歳出が9,434億925万円でした。この決算が、県民の暮らしの実態にからみて、これを助けるものになっていたか、どんな影響を与えたか、の視点から検証されなければなりません。

 第一に指摘しなければならないのは、財政構造改革プログラムとの関係です。集中改革期間の2年目が03年度でしたが、初年度においてすでに歳入は大幅な見込み違いとなり、その見込み違いを歳出の人件費をはじめとした削減で数字のつじつま合わせをする姿が浮き彫りとなりました。
 歳入が減るもとで、県民の暮らしと地域経済を応援するための県本来の役割を果たすためには、プログラム期間を延長するなどの柔軟な対応が必要でした。ところがあいも変わらず、「収支均衡型の財政構造」を唱え、借金払いが優先され、自主財源が当初予算よりも122億円も減ったもとで、人件費を当初予算よりも80億円も減らすなど、およそ重点政策目標と予算編成の関連づけとは次元の違うところで、初年度と同じように数字のつじつまあわせに終始したのであります。

 第二に指摘しなければならないのは、数字のつじつまあわせの結果、しわ寄せは県民の暮らしに密着した予算が削られたことです。
 目的別歳出で見ると、民生費、衛生費、労働費、教育費は、当初予算でいずれも前年決算額から削り込み、この4款で71億円減らしました。ところが決算ではこの当初額よりもさらに83億円も削りこみました。不用額を残すことを最初から見込んだ当初予算ということなのでしょうか。
 知事は現在の議員が改選された03年の5月臨時議会でも、「いのち、人格、人権の尊重」を強調されておりましたが、この政策理念と決算のありようは、かい離しているといわざるをえません。
 この03年度は、2004年6月の日銀発表によれば、1964年の調査開始以降初めて、家計部門が赤字になりました。雇用不安や所得減が続くなか、国民が貯蓄を切り崩してしのいでいることが、結果として数字のうえでも明らかとなった年でありました。
 県内で見ても、02年から03年にかけては、たとえば国保世帯は36万5000世帯(02年6月365225)から37万7,000世帯(03年6月377,282)に3.3%増加する一方、滞納世帯は5万8,000世帯(02年6月滞納58,128、15.92%)から6万4,600世帯(03年6月滞納64,661、17.14%)に11.2%も増加し、滞納率が17%を超えました。生活保護世帯も8,900世帯(02年8,944)から9,500世帯(03年9,561)へ6.9%増加しています。
 月間有効求人倍率を見ると、03年度は0.64と前年の0.49から改善が見られたものの、01年からは全国よりも低い数値で推移し、また、常用労働者の1人平均月間現金給与総額と総実労働時間数を調査産業計で見ると、02年度から03年度にかけては労働時間が若干のびる一方で給与総額は減っています。
 こうした県民の暮らしの実態があるもとで、暮らしや雇用にかかわる予算をきり縮めることは、県民の暮らしをさらに追い詰めるものにならざるをえません。

 第三に指摘しなければならないのは、 県民の暮らしがこうした実態に置かれていたもと、90年代半ばから始めた大型プロジェクトには、中途半端な見直しのまま、引き続き巨額のお金をそそいだことです。トラハイには03年度の道路橋りょう費の6.3%、47億9000万円、小名浜人工島には8億2500万円の事業費をつぎ込みました。補正計上もあったため、土木費は当初予算費8.9%、120億円の増加です。
 県民の個人消費を助けることが最重要課題であるときに、地域経済再生にも、雇用拡大にもつながらないことが明らかな大規模事業を続ける姿も、あまりに県民の暮らしとはかけ離れていると言わざるをえません。

 もとより、30人学級を小学校2年生に拡充することや、低温と日照不足による農業災害対策、SARS(重症急性呼吸器症候群)対策、緊急経済雇用対策など、県民にとって必要不可欠な経費が含まれていることは評価できるものです。
 しかしながら、今指摘したように、国による社会保障予算の削減、国民への負担増が露骨に進められるもとで、住民の福祉の向上を旨とする広域地方自治体として、県民の医療・福祉・教育を始めとした暮らし応援、市町村支援の県としての大きな役割から見て、きわめて不十分だったと言わざるをえません。

 以上、継続議案第38号2003年度普通会計決算を不認定とする理由を申し上げ、討論を終わります。



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