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2005年2月定例県議会を終えて
2005年3月17日
日本共産党福島県議団
団 長 神山 悦子
長谷部 淳
はじめに

 1月4日の年頭記者会見で佐藤知事は「来年度から、これまでの小学1・2年、中学1年に加え、小中全学年で30人程度学級を実現し市町村を支援する」と表明した。昨年の知事選挙で佐藤知事は「30人学級の拡大」にはふれていなかったが、16年前から新しい県政をつくる会で県知事選挙を闘ってきたこと。また15年以上にわたる教育3千万署名運動など、多くの関係者の強い要望がついに県政を動かした。

 県議団は、90年代から本会議でとりあげてきたが、特に、99年に5人に躍進し、初めて教育庁を所管する常任委員会にも入れるようになり実現のための大きな力になってきた。

 2月定例県議会に向けて、「05年度予算と主な施策についての申し入れ」(第二次)を1月21日に提出。申し入れでは、改訂した「県財政構造改革プログラム」によって、新年度から各部局への「枠配分方式の導入」と県立病院の統廃合、社会福祉施設の民間移譲、県立大学の法人化など「三大切り捨て」を具体化しようとしていることを批判し、県政の重点を福祉・教育・環境など生活関連型に転換し、厳しい県民のくらしと市町村を支援するよう45項目にわたり要望した。また新年度は県の長計をはじめ、各プランの中間見直しの年にあたる。国の介護保険などの見直しの年となることから、施策の提案をした。

 また、1月31日、中通り地方をおそった大雪による農林業被害について霊山町を調査し、2月2日県に対し被害に見合う必要な予算計上と、資材の確保に努め農家負担の軽減を図るよう要望書を提出した。

 新年度の予算案を審議する2月定例県議会は、2月15日〜3月17日までの31日間の会期で開催された。一般質問には長谷部淳議員が立ち(2/28)、総括審査会では神山悦子議員が質問をした(3/16)。2/21放映のFTV県議会テレビ討論番組には神山議員が出演し、当初予算案、教育行政、森林環境税の3つのテーマで討論を行い見解を述べた。

 2月25日には、自民党と無所属から連名で提出(2/22)された「市町村合併に伴う次期県議会議員選挙の選挙区について」の条例案の採決が行なわれた。神山議員が「公選法の原則適用」を主張し反対討論を行った。これには県民連合も質疑と討論に立ったが、自民党(無所属1を含む)多数で採択となり、次期県議選は現行選挙区で行なうことになった。

 3月7日、長谷部議員が03年度決算認定への反対討論を行った。2月補正予算については、議案17件のうち、県の建設事業への市町村負担を求める議案にのみ反対(討論なし)した。

 3月17日の最終日には、当初予算案等に対する反対討論に長谷部議員が立ち、当日提案された人事案件4件を含め108議案の採決が行われた。当初予算案と、授業料値上げの各条例案、国民保護法に基づく関連2条例案、森林環境税の創設など10件に反対。人事案件4件と議会が選ぶ選挙管理委員の選任については賛成。全議員が提出者となった、過疎・中山間地域振興条例案、県の「長計」を議会の議決事件とする条例案、県議報酬5%削減の合計3件の事案は全会一致で採択。

 本会議に提案された意見書7件のうち、年金一元化や滞納者への納入強化を求める意見書1件に反対した。党県議団が紹介議員となった新規請願は2件で、そのうち農民連の「BSEの全頭検査継続を求める意見書」が趣旨採択。12月議会より継続扱いとされていた「私学助成の増額を求める請願」(教育3千万実行委)も趣旨採択となった。

1、2005年度県当初予算の特徴と問題点

 新年度予算は、総額9,250億円余で、04年度当初と比べ154億円(1.7%)増となっているが、「三位一体改革」の見直しで国から県におしつけられた国保事業交付金91億円や、借金の返済をしのぐ借り換え債251億円の増発などの特殊要因を除けば、実質は約210億円(2.3%)マイナスの約8,888億円である。これは、93年度(8,402億円)〜94年度(9,029億円)と同じ予算規模に戻ったことになる。

 しかし、当時との大きな違いは「借金の増大」である。歳入に占める借金の比率は、93年度6.1%だったものが05年度は14.5%になり、額で2.6倍に増えた。返済の方は歳出の8.3%だったものが、05年度では16.1%になり、そのうえ「財政健全化債」という借金を100億円発行し、基金からも154億円を繰り入れてのやりくりである。

 県は02年度から緊縮財政に転じ「財政構造改革プログラム」を立て歳出を削減してきたが、問題は縮減する中身で、財政難を理由に県民のくらしに関わる予算がどんどん減らされてきた。05年度予算では、「衛生費」「労働費」「教育費」は93年度より少なく、「民生費」は介護保険もあり増えているものの、国保交付金を除いた実質額で見れば、介護保険2年目の01年度より51億円余減っている。

 しかし、その01年度決算でさえ、全国比較で見ると総額に対して7.11%であり、全国平均の8.34%より1.23ポイント低い。「財政構造改革プログラム」を実行に移す直前の01年度の決算総額は1兆261億円なので、本県は福祉関連への予算の使い方は全国平均より約126億円少ないことになる。その結果、「特別養護老人ホーム待機者1万人」「国保事業への県独自助成ゼロ」「共同作業所や学童保育への助成の少なさ」「県内の市町村が、保育所運営に50億円持ち出し、料金も国基準より16億円軽減しているのに見て見ぬふり」といった遅れを生んでいる。子育て支援や高齢者福祉も実態と県がいっていることには、かなりかい離がある。

 新年度県予算にも、県民への冷たい仕打ちが盛り込まれている。その第一は、重度心身障がい者医療費補助事業に自己負担を導入し、今年10月より入院食事代補助をはずす(県民負担分4億円)ことである。第二は、敬老祝い金の完全廃止。第三は、高校授業料の値上げ(全日制で月額300円引き上げ、新1年生のみで年間6,152万円の負担増)や無料だった高等技術専門校の授業料徴収など、各種授業料の値上げラッシュである。

 特に重度心身障がい者医療費補助事業については、入院食事費の補助が廃止となれば精神障がいの長期入院患者に深刻な影響を及ぼす。政府が、障がい児・者への医療費助成後退や介護保険でのホテルコストと称した施設利用・食事代の自己負担導入を今年10月から実施しようとしているが、県の発想も厚労省と同じである。県は、「県と市町村はイコールパートナー」と繰り返し強調するが、「通知」を出しただけで県の補助を打ち切ってしまうのは、市町村からみれば全く一方的である。障がい者団体や市町村とともに10月実施を撤回させる大きな県民運動を起こす必要がある。

2、一般質問と総括審査会質問について

【一般質問】

 2月28日、一般質問に立った長谷部淳県議は、知事の憲法認識、原発の震災対策、少子化対策や地域子育て支援、介護保険、大型店出店問題など10項目について質問した。佐藤知事は憲法について、「わが国が悲惨な戦争への道を回避できなかったことを戦後の焦土の中で反省し、自由と民主主義の原則のもと、世界の一員として人類の恒久平和の実現に貢献することを国内外に示したもの」「平和主義、国民主権、基本的人権の尊重という基本原則は、戦後のわが国の方向付けをしっかりと果たすとともに国民の精神的支柱になっている」との認識を示し、また、再質問にも「力がすべてを決するような状況」にふれ、「嘆かわしい。世界に冠たる憲法」との答弁を得た。

 また、大型店出店問題では、検討会の提言に盛り込まれた立地ビジョン、個別の出店計画ごとの個別調整についての検討がどこまで進んだかを質し、「大型小売店の立地調整は、検討会の提言も踏まえ、特に規模の大きな小売店の立地広域調整などの内容を検討し、できるだけ早く条例化をめざしていく」との答弁を得た。

【総括審査会】

 3月16日の総括審査会では、神山悦子県議が一問一答の質疑に立ち、「男女平等の推進」と「子育て支援」について質した。

 県の「男女共同参画プラン」の中で、県は少子高齢化等の社会情勢の変化や配偶者からの暴力など新たな課題についても的確に対応していくとの認識を示したが、市町村段階になると条例制定は13市町村、プラン策定は20市町村にとどまっていることから、今後の支援を求めた。

 また、前日の総括審査会でジェンダーフリーについて自民党議員からの質問に対し、世界の女性や日本の女性が置かれてきた社会的・歴史的経緯をみない議論であると反論。戦後、新憲法のもとで「両性の平等」が認められるようになり、憲法14条や24条によってさまざまな権利が女性に与えられてきたが、現在においてもなお女性の進出度は、アジアの中で13カ国中11位と低い実態であることを指摘した。さらに、憲法改悪の動きについても、これまで国民に支持され、諸外国からも高く評価されている現憲法は変える必要がないと強調した。

 県商連女性部から要望されていた自営中小業者に携わる女性の地位向上については、プランの見直しの中で、実態調査を行ない施策に反映させるよう求め、検討すると答弁があった。

 昨年の知事選のマニフェストや本会議の答弁で、本県女性の「初婚年齢が全国一低い」と発言していることについて、知事の考え方を質した。知事は、「本県の若者の結婚への考え方が積極的であり、全体として本県は結婚しやすい環境にある」などと答弁した。

 児童相談所の相談体制については、専門職4人を採用し、児童福祉司5人増員することが示されたが、さらに保護者へのケアを図るための家庭相談員の充実を求めた。LD・ADHDなどの発達障がい児については、全公立小・中学校を対象に実態調査を行ったばかりで、現在、詳細に分析中であること。特別支援のための校内委員会を設置し、教育事務所には医師や臨床心理士等からなる相談支援チームを組織し、必要に応じて巡回相談員を各学校に派遣できる体制を準備中であり、新年度から、全国に先駆け高等学校にも同様の支援をするとの答弁を得た。子ども病院の設置については、いまだ研究段階にとどまった。

 聴覚障害者へのガイドヘルプ事業の「要約筆記」奉仕員の数は、2月末現在の登録数で71名となっていることが明らかとなった。

3、県民要求実現をめざすとりくみ

<小中全学年での30人学級実現>

 89年(15年前)から教育3千万署名運動が始まり毎年請願書と署名が県議会に提出されてきた。昨年12月議会には、10万4,800人余の署名が出された。また、共産党も加わる「みんなで新しい県政をつくる会」は現職の佐藤知事と知事選を闘い、30人学級を全学年で実施することを一貫して公約に掲げてきた。現職の佐藤知事はこれを明確に公約に掲げたことはない。

 県議会内では、99年党県議団が5人になって交渉会派入りし、00年新婦人の「1クラス30人以下にするよう教員の増員を」の請願を初めて採択。01年9月の党議員の代表質問、12月の自民党の代表質問を経て02年知事が年頭会見で02年4月より小1と中1、さらに03年には小2までの3学年で30人以下学級を実施することが表明された。しかし、県教委は、全会派から要望されてもそれ以外の学年への拡大については消極的であった。昨年12月議会閉会前日、自民党は急きょ「三位一体の改革」による義務教育国庫負担の堅持を含め、必要な財源を確保するよう県に申し入れし、その際30人学級の全学年実施を求めた。県民連合も翌日申し入れた。12月28日、県知事選をたたかった「県政つくる会」は、小川英雄県労連議長を先頭に、最上党県委員長、神山・長谷部両県議も同席し15人の参加で、副知事交渉を行なった。予算の使い方をムダな大型開発につぎ込むのをやめ、医療・福祉・教育の充実、農業・中小商工業の活性化を目指す「県民のくらし応援の県政」に転換していくことを申し入れた。その際、「三位一体改革」の義務教育費国庫負担金の削減によって、30人学級(小学1・2年、中学1年)を後退させてはならないこと、全学年での実施が県民の要求であると指摘すると、川手副知事は、「国庫負担が削減されたとしても、30人学級の後退は絶対ない」と明言した。この交渉を経て1月4日、ついに知事が年頭会見で全国初の「30人程度学級を全学年で実施するよう市町村を支援する」と発表。これは、30人程度学級かチームティーチングなどの少人数指導かのいずれかを市町村に選択させるもので、教員(常勤講師)の確保は県教委が責任を持つことや、教室などの施設整備についても県が3分の1を補助するとした。しかし、県教委は2/2に30人程度は“33人”という基準を示し市町村へ「通知」したのである。結局、少人数学級にかかる予算総額は国庫補助を入れて70億円余としたが、そのうち新年度純増分は6億7,000万円(教員と施設整備補助)、私学への30人程度学級教員補助を含めても9億円余に過ぎない。県教委の教員分は、123人(正教員33人、常勤講師90人)増やしただけである。しかし、県のこの方向を受けて市町村の党議員の働きかけもあり、県教委のアンケートによると、すでに少人数となっている17町村を除き、49市町村が30人程度学級を実施するとしたほか、少人数指導は3町、20市町村は併用となった。しかし、鹿島中学校のように独自に30人以下学級で実施するところは、町が非常勤講師で対応するという問題も残されている。今後も市町村のとりくみに対し県教委が柔軟に対応するよう求めていく必要がある。

<大型店の出店条例制定に関わって>

 旧大店法から00年6月に大店立地法に改悪され、届出制となってから県内でもイオングループなど大型店の出店攻勢があいつぎ住民の反対運動が起きている。県内11市の大型店の占有率(店舗面積1,000u超、05/3)は、郡山市69.8%、白河市68.3%、いわき市61.5%、原町市59.7%、相馬市54.9%、福島市54.2%、会津若松市52.0%と7市が50%を超えている。県は、まちづくりの観点から大型店の出店に事実上の規制をかけられるようにと検討会を立ち上げ、昨年3月の答申を受けて条例案を検討してきたが、今年3月4日条例案を示した。4月4日までの間、県民からの意見を公募し、来年度(06年)施行向けて条例づくりを検討している。県民からは、県が店舗面積15,000u以上を対象としていることに対しては、相当の大型店しか対象にならなくなるため、店舗面積5,000u以上を規制の対象にすべきという声や青少年の健全育成のためにも深夜営業や24時間営業の規制が必要なことなどが寄せられている。

4、委員会で取り上げたこと、論戦について

◇商労文教常任委員会(神山議員)

<商工労働部>

・ 雇用問題に関して質問。国の緊急雇用対策基金事業(3年間で約79億円)が終了するが、これに代わって県は雇用対策基金事業(3年間で5億円)を発展させて、新年度には基幹企業が倒産するなど地域雇用が急激に悪化した場合などに備える県独自の雇用セーフティネットをつくる。具体的には大型店の倒産・撤退した場合の失業者の受け皿づくりや県内で特に求人数が少ない地域で重点的に仕事を確保するなど、雇用機会の確保や就労支援をしていく。高校卒の未内定者は、800人余。ニートの問題は、若者の側にばかり原因があるのではなく、大学や専門学校で資格が生かすような採用がないことや、大企業の新規採用が少ないことなどを指摘し、事業規模別の新規求人状況についてただした。

・ 全国初となる「まちづくり条例」について質問。3/4に推進条例案を県民に公表し、パブリックコメントで県民からの意見を4/4まで募集中。市町村からの意見も聴取している。知事が、3/7国土交通省のまちづくりのあり方を研究する「アドバイザリー会議」に出席し、県の条例案を説明している。知事のドイツ視察で参考になったのは、市町村同士の合意形成と、人口と消費需要のパイは自ずと決まってくるので、ある程度の調整が必要なこと。大店法では、需給調整はできないことになっているが、県としては、中心部と郊外店とのゆるやかな調整をはかり、これ以上の大型店出店を抑えたい。なるべく早い条例制定をめざすとした。

<教育庁>

・ 教育長は、新年度から30人程度学級を全学年で実施することについて「12月の委員会でも論議があったのに示せなかったのは、財政的な裏づけがなかったからだ」と口頭で謝った。改めてこれに関する新年度予算と教員の配置数について答弁を求めた。

  30人学級の実施については全会派から異論はなかったが、自民党は、知事のトップダウンのやり方を暗に批判し、他の議員からも少人数検討会が検討中であるとして実施しないとしてきた県教委の態度をただす質問が相次いだ。

・ 県立高校で、土曜日の正規授業を検討していることが明らかにされた。実施については各学校の判断にまかせるというが、これまで課外授業として、一部の進学校で保護者の要望を受けて実施されていたものを、正規に位置づけるという。具体的にはこれからである。

・ 郡山アイスアリーナ(屋内スケート場)は、95年の国体開催を前に建設され、毎年県は郡山市に委託料3,600万円を支出していた。協定では05年5月に郡山市に移譲されることになっていたが、雨漏りと外壁のヒビ補修工事が終わらないため、一年延期されることになった。3/11委員会で現地視察を行なった。郡山市からは、10年経過した機械の修理費や維持管理経費まで含めると今後数千万円かかる見込みであり、県の委託料がなくなると市の持ち出しは5,300万円になる。すでに県から移譲された屋外スケート場は、7,300万円の経費に対し、使用料収入はわずか300万円しかないなど、屋内スケート場の管理も県の補助がなくなれば困難と説明された。党県議団が、国体時の中央の理事が貴賓席がないこと理由に、既存の民間スケート場ではダメとして、結局15億円の建設費をかけたこと。屋内・屋外とも郡山市に押付けることはやめるべきと一貫して主張してきたことを明らかにした。県と郡山市の今後の協議が注目される。

・ 教員による不祥事がまた明らかになり陳謝した。わいせつ行為がなぜ続くのか、原因の究明と抜本的な対策が求められる。

◇企画環境常任委員会(長谷部議員)

<企画調整部>

・ 04年度の首都機能移転事業費の確定額を確認した。また、これまでの首都機能移転にかかわって、土地調査費や過去の広報費を含めて、05年度当初予算案分(2,559万5,000円)を入れた累計で8億2,300万7,000円になることを確認し、「国会等移転法」22条に照らして移転の意義は失われているがどうかと質問したが、「確かになかなか難しい」としながら「意義はますます高まっている」と答弁するだけであった。

・「総合的水管理」(事業費1,000万円)、「UIターン者定住化促進」(事業費515万5,000円)にかかわってその具体策、「過疎・中山間地域出先機関連携事業企画」(127万2,000円)、「新エネ導入によるまちづくり支援」(1,005万1,000円)と継続事業の「地域新エネ導入・普及促進スケールアップ事業」(2,640万5,000円)との関係と具体策、福島空港大都市圏域誘客促進事業(9,002万3,000円)の中身について質問した。

・総合交通ビジョン(策定事業費として245万3,000円)との関係で、公共交通システム、特にバス路線維持にかかわって行政としてのその波及効果・事業収支をどう考えるかを盛り込むべきと主張した。

<生活環境部>

・「県民保護」2条例案(「福島県民等保護協議会条例」「福島県民等保護対策本部及び福島県緊急対処事態対策本部条例」。「地域防災推進事業」として484万9,000円計上)とそのおおもととなっている「武力攻撃事態法」の仕組みについて、「武力攻撃事態が予測される」も含まれることや、首相が知事を乗りこえて、「代執行・直接執行」する権限があることなど地方自治を破壊するものであることを追及した。

・「身近な生活に埋もれていた文化を再発見する」という「新文化21推進事業」(5,724,000円)、ユニバーサルデザイン推進事業の「地域におけるネットワークの形成」(837万9,000円)、「消費生活への対応」における「相談体制の充実」(221万2,000円)、「震度情報ネットワークシステム更新事業」(3,276万8,000円)について質した。

・原発の津波想定の問題や、二本松市で「県青少年健全育成条例」違反で自販機撤去の経過と防止策を質した。

◇ともに生きる福祉社会・地域医療対策特別委員会(長谷部議員)

 03年6月定例会で設置され、1年半に及んだ調査を受け、「調査報告書」の作成が最後の仕事として行なわれた。

 4万字に及ぶ報告書案について2月14日に審議し、介護保険の評価について、「その定着は着実に進んでいる」とする部分について、「その定着は着実に進んでいるが、特別養護老人ホームの待機者が増えているなどの問題もあり」と修正を提案し、3月14日の委員会が終結した最終日に確認された。

 報告書は、県立病院の廃止・統合などを盛り込んだ県立病院改革審議会の答申を「妥当なものと判断する」など、長谷部議員の主張とは相容れない部分も含まれている。しかし、以下のような積極的な内容を盛り込んだ報告書となっている。

・国による介護保険見直しが、「増え続ける介護給付費を抑制する狙い」をもっており、「目指すべきは介護給付の抑制ではなく、介護を予防することで介護の必要のない高齢者を増やすことであり、生涯にわたり生き生きと暮らせる社会の実現である」。

・県が2008年までに「介護保険施設の定員を1万7,000人分確保することを目標としているが、待機者解消のための施設整備の目標数として、十分なのかどうかを検証する必要がある」。

・民間病院まかせになっている地域リハビリテーションについて、「介護予防等の観点からもその役割は更に増してくると考えられることから、保健福祉事務所等が各病院間の連絡調整に協力する等…地域リハビリテーションが更に推進されるよう体制の整備に努めていく必要ある」。

・「障がい者のケアマネジメントは、県の障がい者計画の中でも重要な柱を担うことから、県の役割として財政的支援の検討も含めケアマネジメント体制の構築を図っていく必要がある」。

・「富山型デイサービス」の調査に基づき、年齢や障がいの有無に関係なく、誰でもが利用でき、そこに集まるボランティアをはじめ学生やその地域の人たちに開かれた小規模・多機能施設が、縦割り行政の枠組みを超え、「地域社会における選択肢の一つとなるように、地域で暮らす人への柔軟なサービスを提供していく必要がある」。

◇歴史教科書採択問題、ジェンダーフリーをめぐる論戦について

 長谷部県議が一般質問で、改めて知事の憲法認識を質した。しかし、今議会は、国会の憲法改悪と教育基本法改悪の動きを受け、本会議では自民党、県民連合、無所属の3人の議員が教科書採択のあり方についてとりあげ、あからさまに“つくる会”の歴史教科書を紹介した無所属議員(青年会議所出身、まもなく自民党入り)や、総括審査会の質疑でも自民党は拉致問題が入っていないなどで、県内で採用されている東京書籍の教科書は問題ありとする主張を公然としたことが特徴的であった。教育長は、いずれも市町村教育委員会が決めることと答弁したことから、今後市町村に対する攻撃がいっそう強まることが予想される。

 歴史教科書の採択問題については、全国的に「新しい歴史教科書をつくる会」の教科書を採択するよう求める地方議会への請願運動が展開されている。県議会にはまだ直接の請願は提出されていないが、その流れに沿った質問であり、憲法改悪と軌を一にした時代錯誤の反動的な潮流のあらわれである。現行憲法の優れた内容とその歴史的背景を明らかにして、軽視せずにどんな小さなあらわれに対しても、正面からの批判が必要である。これらに対しては、長谷部議員が議案に対する討論の中で反論したが、自民党席から「北朝鮮にいけ」「国家がなくなったらどうする」などのヤジが飛んだ。

 また総括審査会では、自民党等からジェンダーフリー教育をめぐり、「男らしさ、女らしさ」を強調したり、性教育についての議論が展開されたが、これには神山議員が質疑の中で反論。ここでも自民席からヤジが飛んだ。「ジェンダーフリー」とは、「男らしさ・女らしさ」など社会的文化的につくられた性差(ジェンダー)にしばられないという意味であり、男女共同参画社会基本法(99年施行)にもとづき、地方自治体で条例や計画策定がすすむ一方で、バッグラッシュ(ゆり戻し)ともいうべき性別役割分担の固定化など、戦前の家族観や男尊女卑の思想をもちこむ動きが生まれてきた。国会では、自民党や民主党議員が、厚生労働省所管団体の発行した性教育の冊子などをとりあげ、政府の男女共同参画施策には「ジェンダーフリーの考え方が影響して行き過ぎがあるのではないか」と非難し、『正論』や「産経」など一部マスメディアや「新しい歴史教科書をつくる会」、右派改憲団体「日本会議」などが、憲法・教育基本法改悪をねらう動きと一体となり、ジェンダーフリー攻撃をキャンペーンしてきた。

 憲法14条の法の下の平等、性別による差別禁止、憲法24条の家庭生活における個人の尊厳・両性の平等は、国連憲章や人権諸条約にも規定されているが、さまざまな女性差別は根強く残っている。この現状を認識し、国際的なとりくみが結実したのが、1979年に国連総会で採択(わが国も賛成)された「女性差別撤廃条約」である。条約は公的領域だけでなく、企業や家庭などあらゆる領域で差別をなくすこと、法律上の差別だけでなく、規則・慣習・慣行などの是正も求めており、母性の保護も規定している。

5、国民保護法制に伴う、「県民等保護協議会条例」と「県民等保護対策本部・県緊急対処事態対策本部条例」案について

 「国民保護法」に基づいて「県民等保護協議会」などを設置する2条例案が提案されたが、党県議団は、憲法と地方自治を真っ向から踏みにじるものとして反対した。

 「国民保護法」は「武力攻撃事態対処法」に基づくもので、これが発動されるのは「武力攻撃事態等」を政府が認定したときである。「武力攻撃事態等」は武力攻撃があったときかというとそうではなく、政府自身が「わが国に対する本格的な侵略事態生起の可能性は低下している」(3月5日の「国民の保護に関する基本指針」案)としている。

 可能性が最も高いのは、アメリカ軍が日本を足場に先制攻撃の戦争をしかける場合である。アメリカから攻撃されれば、アメリカ軍の基地を数多くかかえる日本が攻撃される可能性が高まるのは当然である。これが「武力攻撃が予測される事態」で、「武力攻撃事態等」である。

 ところが、「武力攻撃事態法」では、内閣総理大臣が、県知事を飛び越えて直接執行する仕組みが最初から作られている。

 予算上も地域防災推進事業として480万円あまりが計上されているが、今回の条例は知事自身の憲法認識をも真っ向から踏みにじるものである。

6、合併に伴う次期県議選の選挙区をめぐる問題について

 県内の市町村合併に伴う次期県議選の選挙区をどうするかをめぐっては、昨年9月議会から議論されてきたが、2月25日、特例を適用し現行選挙区で行うとする自民党と無所属から議員提案という形で本会議に条例案が提出された。28日、神山議員が反対討論に立ち、合併を促進しておきながら現行選挙区で次回選挙を実施すれば県民からは議員の保身のためと批判され、逆に混乱を引き起こしかねないと指摘。条例案に「見直し」条項の附則を盛り込んだのは自らの矛盾を告白したものであり、議員の身分に関する選挙区のあり方は本来全会一致を基本とすべきと主張した。県民連合も反対質疑・反対討論を行なったが、採決の結果、自民党と無所属の賛成で可決され、次期県議選は現行選挙区で行うことになった。

7、過疎・中山間地域振興条例の制定について

 04年12月20日の関係首長・学識経験者・地域リーダーからの「意見聴取会」後、ワーキンググループ(自民3、県民連合1、改進の会1)で条例案の修正が進められ、ほぼ最終案が2月8日の検討会で提示された。

 長谷部議員は、12月20日に学識経験者から、(1)案にもられている県による財政上の支援について、島根県のように「基金の積立等」と具体的に明示すること(2)市町村の機能補完として、長野県で行っている、人材確保が困難な専門分野における人的支援の具体化(3)案では「毎年、福島県議会に…報告しなければならない」としているが、島根県のように「報告書を作成し、公表しなければならない」と明確にすること、と提案されたことについて、ワーキンググループの検討経過を聞いた。

 これらについては、条例を運用するにあたって留意すべきこととして、執行部に伝えることにしたい、とのことである。

 条例案については持ち帰り、2月16日の検討会で確認した。前回確認した点については、執行部に示す「運用指針」に文章化された。

 最終確認案を今議会に提案し、3月7日、「過疎・中山間地域振興条例審査特別委員会」(共産1、自民8、県民連合3、公明・無所属各1の計14人)が開催され、提案者席(答弁席)に長谷部議員、委員席に神山議員がすわった。特別委員会では、神山議員が、基本方針のなかでの県の責務、市町村に求めること、県の出先機関での計画づくりなどを求め質疑に立った。

 3月17日最終日の本会議で、全会一致で採択された。

8、議会内の人事をめぐる対応について

 今年の2月定例県議会は、改選からの折り返しに当たることから、議長、副議長選挙が行われ、また、常任委員会、議会運営委員会の正・副常任委員長も改選された。自民党は、すべてを独占するという横暴な態度を押し通した。

 党県議団は、「議長は第一会派、副議長は第二会派から」、「正・副常任委員長は議席数に基づく比例配分を原則にすべき」との立場から、県民連合にも申し入れ、自民党の横暴を批判する態度を貫いた。

 新しい常任委員会の構成では、商労文教常任委員に神山悦子議員、企画環境常任委員に長谷部議員、議会運営委員には神山議員が選任され、新たに設置された次世代育成支援特別委員に長谷部議員が選任された。

9、請願書、意見書について

<可決された意見書>

1)「発達障がい児(者)に対する支援促進を求める意見書」
2)「北朝鮮による拉致事件の早期解決のための経済制裁を求める意見書」(文言修正)
3)「雇用対策と地域活性化を重視した政府予算編成を求める意見書」
4)「パート労働者及び有期契約労働者の適正な労働条件の整備を求める意見書」
5)「福島県最低賃金の引き上げと早期発効を求める意見書」
6)「BSEの全頭検査制度の堅持を求める意見書」
7)「社会保障制度の抜本改革を求める意見書」(趣旨採択)〜共産党反対

 以上の意見書のうち党県議団は、7)の「社会保障制度の抜本改革を求める意見書」に対しては、年金制度の一元化を求め、掛け金の未納者に対する徴収強化を求める内容が含まれているために反対した。

<可決された請願>

 全部で23件審議されたが、17件は全会一致で採択。この中には、継続とされていた私学助成の増額を求める請願(3千万署名)や二本松の産廃処分場建設を許可しないことを求める請願も含まれている。

◇紹介議員となった請願、意見書結果について

・3千万署名実行委の継続請願のうち「私学助成の増額を求める請願」は趣旨採択に。
・県農民連から提出された「全頭検査による万全なBSE対策の継続を求める意見書」は趣旨採択。
・全労働から提出された「国の無料職業紹介事業の民営化等を行わず、労働者の諸権利を国の責任において確保することを求める意見書」は継続扱いとされた。

 今年度から『意見書』の取り扱いについては、継続分も年度内に採決し、採決されなかったものは6月議会前までに取り下げること(党県議団も賛成)が政審で決まった。これに伴い『請願』についても同様の処理とすることになった。党県議団の紹介で継続扱いにされていた、2年課程通信制の看護師養成所配置を求める請願と国民健康保険に関する請願4件は常任委員会で不採択とされ、本会議でも党県議団のみの賛成で不採択になった。

以 上



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