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6月定例議会に関する要望書
福島県知事
 佐藤 栄佐久 様

日本共産党福島県議会議員団
団 長 神山 悦子
長谷部 淳
はじめに

 航空会社の度重なる人為ミスに続き、4月26日に起きたJR西日本による列車脱線事故は、107名もの多数の犠牲者を出しました。政府がこれまで進めてきた行革・規制緩和路線や、小泉内閣の「競争至上主義」の構造改革路線は、国民に何をもたらそうとしているのかを端的に示したでき事といえます。
 小泉内閣が発足してから4年間、すでに国民負担増は約7兆円にものぼり、さらに今年度の政府予算に盛り込まれた約2兆円の負担増を加えると、国民負担増は9兆円となります。いずれもサラリーマン、中小零細業者、高齢者、障がい者、母子世帯などの県民生活に大きな打撃を与えています。
 戦後60年の今年、憲法第9条に焦点をあてた改悪の動きは、具体的な改憲案の策定をめざす新たな段階にすすもうとしています。その中で今年4月、日本の侵略戦争を美化する歴史教科書を検定で合格させ、首相をはじめ国会議員による靖国神社参拝は、中国や韓国などアジア諸国から「日本は過去の侵略戦争への反省がみられない」との強い批判を浴びるなど、日本と東アジア諸国との外交問題になっています。中国政府から、「ことばだけの反省でなく行動で」といわれましたが、そこに真剣に応える時です。そうしてこそ信頼を回復することができるのです。
 本県にとっても昨年の上海事務所開設、今年の日韓国交正常化40周年の「日韓友情年」の交流事業、ソウル便の増便もされるようですが、相手国との信頼を損なうことのないよう配慮しながら経済交流、観光・文化交流がすすむよう求めます。

 県政の運営にあたっては、こうした政府の動向と県民の暮らしの実態をふまえ、住民の福祉の増進に重点をおき、安易な負担をやめて県民のくらしに密接な事業の切り捨てをしないようにすることが必要です。ところが、今年度の県予算には、重度心身障がい者医療費補助事業に入院食事代の自己負担導入、敬老祝い金の廃止、県立高校授業料の値上げなど県民への冷たい仕打ちが盛り込まれたのです。
 こうした点から6月定例県議会にあたっては、県民への冷たい仕打ちをきっぱりとやめ、(1)大型プロジェクト見直しのいっそうの徹底をはかること (2)地域での仕事確保をはかり、経済活性化にも資するようにすること (3)県民の暮らしを守り、市町村の個性ある地域づくりにとりくめるよう、市町村支援をつよめるよう要望するものです。

1、「指定管理者制度」について

 県は、公の施設である56施設のうち、すでに今年4月に指定管理者制度に移行した県営住宅と来年4月に民間移譲を行なう太陽の国やまぶき荘と廃止する庭球場を除いた50施設について、来年4月から指定管理者制度を導入しようとしています。
 そもそも「指定管理者制度」導入を持ち出してきたのは、経団連など財界の構想であり、「官から民へ」のかけ声のもとに、「公の施設」の管理を株式会社などの民間営利会社に拡大させるものです。財界に呼応した政府は「構造改革」路線と結びつけ、2003年6月地方自治法244条の一部を改正しました。しかし、主に244条2の「公の施設の設置、管理及び廃止」の部分を改正したのであって、244条1の「公の施設の目的、利用の公共性」などの基本部分は残っています。効率・コスト優先で住民の利益を後退させることがないよう、以下の点を求めます。
(1)「公の施設」としての目的を堅持し、地方自治法244条の1「住民の福祉を増進する目的」を果たすことを大前提とすること。
(2) 福祉施設や障がい者施設などの社会福祉施設は、もともと効率・コスト優先にはなじまない施設です。コスト削減と効率化の中で職員を削減しパート職員を増加させることになれば、仕事の専門性、継続性の保持に障害が生まれ、結果として利用者へのサービスの量的・質的低下をもたらすことになりかねません。指定管理者は、社会福祉法人や非営利団体などに限定すること。
(3) 「公の施設」として管理運営の公平性・透明性をはかるために、事業者から毎年度末の事業報告を議会に対して義務づけること。また、利用者の意向を反映できるしくみをつくること。
(4) 個人情報の漏えいがおきないよう、個人情報の保護を義務付けること。

2、医療について

(1)重度心身障がい者医療費補助制度の入院食事代自己負担導入はやめること。
(2)重度心身障がい者と乳幼児医療費の社会保険の窓口無料化を行なうこと。
(3)県立病院について
 県立病院の統廃合については、地元住民との合意が前提です。会津総合病院の敷地内で発見された医療廃棄物の徹底処理を行なうとともに、全ての県立病院で調査し、適切な処理を行うとともに原因、責任の明確化を行うこと。これが処理できないうちは、統廃合を見合わせること。

(4)国民健康保険について

 国民健康保険の目的は「社会保障及び国民保健の向上に寄与する」ことにあります。現在国保世帯は、高齢者の増加や不況や倒産などの影響でふえ続け、全世帯数の過半数を占めるほどになっています。同時に、国保税の滞納世帯もふえ続け、県民の医療がおびやかされているのが実態です。
 今年度、政府の「三位一体の改革」によって、財政調整交付金の一部が県に移されることになりましたが、市町村と県民の医療を守るという立場から、市町村を支援するよう、以下の点を求めます。
(1) 国保の最大の課題が、支払うことのできる保険税にすることであること
を直視し、保険税及び一部負担金について、申請減免制度が十分に活用できるよう県としての財政支援策を具体化すること。
(2) 短期保険証、資格証明書の発行は皆保険の主旨に反するものであり、やめること。
(3) 国保税の算定にあたっては、「所得の能力に応じて負担する原則」から、応能比率を高めることを基本として市町村を支援すること。
(4) 収納率による交付金を使ったペナルティのしくみをやめるよう国に対応を強く求め、県の調整交付金の算定には導入しないこと。
(5) 乳幼児医療費無料化や重度心身障がい者窓口無料化による国の財政調整交付金の減額部分について、県が応分の助成をすること。

3、介護保険の見直しについて

 国会で審議されている介護保険制度の見直しは、軽度要介護高齢者を介護保険制度から締めだすのがねらいの一つです。介護保険制度の充実をすすめるためにも県の役割は大きくなっています。
(1) 要支援・要介護1の認定者を本人の介護状態を無視して筋トレなどへ追いやることのないようにすること。
(2) 介護保険料・利用料の負担をこれ以上増やさないこと。むしろ本人負担を減らすように支援すること。
(3) ケアマネジャーやヘルパーをはじめ、介護の現場で働く労働者の労働条件の改善をすすめること。
(4) 介護事業者への運営費補助を拡大すること。

4、子育て支援について

 県は、子どもプランの見直しを図るとしていますが、保育所や学童保育の質的充実、障がい児支援などについて市町村に対する支援を強めること。
(1) 学童保育所の質的・量的充実を図ること。そのために県として施設の設置基準を策定すること。国の運営費補助の見直しによって、昨年度より下回ることがないようにすること。指導員の人件費の引き上げと社会保険の加入ができるようにするなど、指導員の福利厚生に対する補助を行なうこと。
(2) LDやADHDの専門医や専門指導員はまだ不足しています。県としての養成も検討すること。
(3)「三位一体改革」による保育料値上げが行なわれないよう、県の負担分をこれまで以上に増やすこと。

5、原発問題

 社団法人土木学会が2002年2月にまとめた「原子力発電所の津波評価基準」に照らすと、東京電力の福島原発は、1960年のチリ地震津波級によって発生が想定される引き潮・高潮に対応できないことが明らかになりました。県民の安全・安心を確保する立場から、以下の点を東電に強く求めること。
(1) 津波の引き潮時に取水できなくなる事態を承知のまま運転を続けることはやめさせ、抜本的な対策をとること。
(2) 津波の高潮時、海水ポンプが水没することも判明している。「水密性を有する建物内に設置されているので安全性に問題はない」だけの説明でなく、ポンプ建屋を公開するとともに、抜本的な対策をとること。
(3) 津波による大量の土砂で原発の取水口や排水口がふさがれることのないよう、対策をとること。

6、まちづくり条例制定、中小企業支援について

(1) 県が示した大型店の出店規制対象によれば、店舗面積は15,000u以上としていますが、実際には15,000u未満、施設延べ床面積でも25,000u未満での新設がほとんどです。店舗面積は5,000u以上、施設述べ床面積は8,000u以上とすること。
(2) 中心市街地や既存商店会の活性化をめざす各地の取り組みを積極的に支援すること。補助金は地元で柔軟に使えるようにすること。
(3) 小規模工事希望者登録制度、住宅リフォーム助成制度を県としても実施すること。

7、教育行政について

 改憲の動きの中で、「新しい教科書をつくる会」(つくる会)の中学校の歴史教科書を採用する動きがでていますが、この教科書は、侵略戦争を美化する内容がほとんどです。むしろ、本県とアジアとの交流をすすめるためにも、過去の侵略の歴史をきちんと教えることが大切です。したがって、県立学校においては、「つくる会」の歴史教科書・公民教科書を採択しないこと。

8、「県民等保護計画」の策定について

 阪神・淡路大震災から10年がたち、昨年はあいつぐ台風や新潟県中越地震で痛ましい犠牲が続き、年末にはスマトラ島沖で地震と津波被害が世界を驚かせました。今まさに、世界と日本は深刻な自然災害と向き合っています。
 地方自治体に問われているのは、政府が強引に進める有事法制に自治体を組み込んで戦争に備えるのではなく、自然災害に備えることに他なりません。
 県民等保護計画策定にあたっては、県の使命が県民の命と財産を守ることを柱に、県に認められる責任と権限のもと、自主的・自律的に、軍事色を一切排し、防災計画を充実することを基本とすること。

9、知事の不正疑惑と入札について

 (1) 知事が筆頭株主となっている三東スーツとゼネコン下請け企業との土地取引に関わる疑惑がマスコミで取りざたされています。県民に自ら説明し、疑惑に答えること。
 (2) 県発注の公共工事に関わる談合疑惑が続いています。01年5月の航空写真測量業務の談合で勧告され、04年10月には、PC鋼材使用の橋梁工事の談合で18社のうち県内2社に談合を中止するよう勧告されました。
 昨年の県土木部と農林水産部の平均落札率は、大部分は95%以上といずれも高止まりとなっています。
 入札制度については、透明性・競争性を高めるためにも、条件付一般競争入札の範囲の拡大、電子入札制度を実行し、さらなる改善を図るよう求めます。

以 上



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