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2005年6月定例県議会を終えて
2005年7月6日
日本共産党福島県議団
団長 神山 悦子
長谷部 淳
はじめに

 小泉政権が国会で憲法改正のための国民投票法の制定をめざすなど、憲法改悪の動きが強まっている中、今年2月に発足した「福島県九条の会」は、5月28日福島市の県文化センターで発足記念講演を開いた。1900人が会場をうめつくし、県民の憲法改悪を許さないうねりの高まりを示すものとなった。
 その一方で、今年4月文部科学省は、4年前に天皇中心の歴史観と過去のアジアへの戦争を賛美しているなどで批判を浴びた「新しい歴史教科書をつくる会」の中学校の歴史・公民教科書を検定で合格させたことから、中国ではこれに抗議するデモが発生した。それは、小泉首相の靖国神社参拝中止を求める外交問題にまで発展している。6月10日、「侵略戦争美化の教科書を許さない福島県実行委員会」が県教育委員会と対県交渉をし、憲法の原則と教育基本法に忠実な教科書を採用すること、「つくる会」の教科書を使用しないこと、現場教師や保護者の意見を尊重することなどを要望した。
 また、みんなで新しい県政をつくる会は6月2日、県が制定しようとしている「まちづくり条例」の制定に向けた申し入れを行い、店舗面積は5,000u以上、商業施設延べ床面積を8,000u以上とし実効力あるものにするよう要請した。
 原発県連は23日、原発施設における津波対策と旧動燃がひそかに県内で高レベル放射性廃棄物の処分場候補地を選定していた問題について県をただした。
 県民のくらしは、小泉構造改革による11兆円もの負担増によって今後もなおいっそう厳しさを増すことは必至である。6月に発表された小泉内閣の税制調査会と経済財政諮問会議の2つの報告は、サラリーマン世帯に焦点をあてた大増税計画そのものである。
 党県議団は、県民のくらしや県財政からみれば、議会自ら節約に努めるべきという立場から、4月27日議長に対し「県議会関連費用の削減」を申し入れた。海外行政視察については、03年にも中止を申し入れているが、今回はさらに、議会運営委員会と広報委員会の視察は原則中止、鉄道賃のグリーン料金の支給廃止、議会公用車の見直しを求めた。
 5月31日、6月定例県議会に向けた知事申し入れを行なった。その内容は(1)指定管理者制度について、特に社会福祉施設などはやるべきでないこと、(2)市町村国保への支援、(3)介護保険、(4)県立病院内の医療廃棄物の徹底処理、(5)「新しい歴史教科書をつくる会」の教科書を不採択に、など。(要望書は別紙)
 6月9日に金山町で発生したJR只見線と橋げた接触事故について、現地調査を行った。地元金山町、只見町、三島町の3人の党議員とともに同町に設置された現地事故対策本部を訪問し、事故現場を視察。これをふまえ20日県に対し、事故原因の徹底究明と運転再開時の安全の確保、事故責任の明確化、工事を請け負った業者が国の談合問題に関わり起訴されていることから県の厳しい対処を求める申し入れを行なった。

6月定例県議会について

 6月定例県議会は、6月21日〜7月6日までの16日間の会期で行われた。知事提出議案50件、人事案件2件(人事委員の再任、公安委員の新任)など計52件について審議に付された。今議会は補正予算の提出はなかったが、議案の大半が、来年4月から県の施設に導入する予定の指定管理者制度に関する条例の改正案と市町村合併に伴う配置分合などの関連議案であった。
 党県議団は、指定管理者制度の導入に関する条例案のうち、社会福祉施設や教育文化施設には導入すべきでないとの立場から、10件の条例案と県単建設事業への市町村負担の追加に関する議案、人事委員会委員の再任にかかる人事案件の計12件に反対した。
 なお、最終日に自民党は、教職員組合からの教科書採択に関する請願を本会議で全会一致で採択(趣旨採択)したにもかかわらず、教職員組合が特定の教科書を批判することがないよう県教育委員会の指導を求める内容の申し入れを行った。また、市町村合併については、県が今年度になって独自の審議会を設置したことから、合併を積極的に推進しないことだと反発し、9月県議会までに県へ申し入れする動きを示している。

一般質問について

 6月29日の一般質問に神山議員が登壇し、指定管理者制度、教科書問題、国保税や介護保険など6項目について質した。
 指定管理者制度の導入については、特に社会福祉施設への導入をすべきでないこと。また導入にあたっては、議会への報告と個人情報保護を義務づけるよう求めた。また、来年度から使用する教科用図書の選定について、県教育委員会があらたに選定基準を大幅に見直し、数値化したことは問題であると指摘した。また、県民レベルでも中国や韓国との友好・交流事業が進んでいることをふまえれば、過去の歴史認識を共有していくことが大切となっているのに、これとは逆に過去の戦争を賛美している「新しい歴史教科書をつくる会」の歴史、公民教科書を採択すべきでないと意見を述べた。
 一方、小泉内閣の増税路線による県民負担増は、定率減税の半減で約48億円、老年者控除廃止で約18億円と、この2つだけでも約66億円の県民負担増になることが県当局の答弁で明らかになった。
 国保税については、国保世帯の約20%が滞納となっている背景を質し、払えない人への各種軽減制度の積極的活用を求めた。当局の答弁では、「資格証明書、短期保険証の発行は市町村の主体的判断」、「資格証明書でも診療は受けられ、診療機会を奪うことにはならない」などととんでもない認識が示されたことからこれを批判した。
 介護保険制度見直し法が今国会で可決されたが、これよって現在、県内の要支援、要介護1と認定された高齢者が「新予防給付」と称して従来の訪問介護サービスなどから排除されるのは、約2万5,000人(7〜8割が移行するとみて)、施設利用者のホテルコスト代は、収入にもよるが月3万円程度の負担増となることが明らかになった。
 また、児童相談体制の充実と郡山相談センターの独立を求めた。
 他党の質問では、自民党と県民連合が市町村合併の推進を求めたほか、県立病院の廃止に伴う立地自治体への支援などを質している。県民連合は指定管理者の選定から漏れた場合の職員の処遇についての質問をした。また、4月の郡山市長選に伴う補欠選挙で当選した自民党、民主党の2人の新人は、これまで党県議団が取り上げてきた、子育て支援、乳幼児医療費社保窓口無料化、障がい者支援などを取り上げた。他には、JR只見線事故問題、郡山市で発生したコイヘルペスへの県の支援を求める質問があった。

反対討論について

 7月6日、長谷部県議が議案に反対の立場で討論に立ち、前日の郵政民営化法案の衆院通過を「国民合意のないまますすめる小泉構造改革の一環」と厳しく糾弾した。その小泉構造改革の流れの中で行われた指定管理者制度を社会福祉施設や、教育文化施設に導入した場合のコスト縮減への圧力や事業の継続性が保障されないなどの問題点を指摘して、指定管理者関連の条例改正案10件と県単建設事業への市町村への負担を求める議案1件への反対討論を行った。与党会派からの賛成討論は行われなかった。

委員会審議について
【商労文教委員会】
<商工労働部>

  •  指定管理者制度導入にともなう条例改正議案は5件で、コラッセの産業支援館、ハイテクプラザ、ビッグパレットは公募、翁島荘と天鏡閣は5年以内の改修と今後の移譲について検討するため非公募で行うことが示された。料金設定は、県が責任をもって行うことを確認し、この5件については同意した。
  •  「まちづくり条例」の店舗面積について質し、5,000〜8,000uとすべきと主張したが、15,000u以上とした最初の面積設定については、面積縮小も視野に入れているとしたが、まだ検討中とした。本会議の委員長報告書には、店舗面積の縮小を求める内容が盛り込まれた。

<教育委員会>

  • 指定管理者制度導入にともなう条例改正議案は3件で、県文化センター(歴史資料館を含む)、ふくしま海洋科学館(アクアマリンふくしま)、県文化財センター白河館(まほろん)だが、これらの施設は学習機能を合わせもっていることを指摘し反対した。
  • 県が教科用図書選定基準を見直し、新たに数値化した問題を質し、現場の教師の意見を尊重するよう求めた。
  • 福島市内の教科書センター(福島第1小学校内)を委員会で視察した。
  • 継続請願の複式学級の早期解消(国への意見書は採択)、講師を減らし正規教員を求めるものなどを採択とするよう主張したが、引続き継続扱いなった。
  • 新規請願、教職員組合提出の適正な教科書採択を求める請願は、趣旨採択となった。

【企画環境委員会】

<企画調整部>

  •  議案はなし。80年代に旧動力炉・核燃料開発事業団(現在の核燃料サイクル開発機構)がひそかに選定調査をしていた高レベル放射性廃棄物処分場について、本県22市町村も調査対象とされ、15市町村が「適正地区」と報告されていた問題について、県としては「処分の候補地に選定されるとは考えていない」(00年6月、佐藤知事)との立場を確認。
     また、県が、核燃料サイクル政策について国に対し、「いったん立ち止まり、国民的議論を起こすべき」としている立場と、核燃料サイクルを前提として県内原発から使用済み核燃料の搬出を続けてよいとすることとは矛盾するから、原発サイトに使用済み核燃料を留め置かせるべきではないか、と質したが、「矛盾はしない。原発は貯蔵施設ではないので、使い終わった燃料を運び出すのは当然。あとのことは国が考えること」と取り合わない姿勢を示した。

<生活環境部>

  •  県男女共生センターの指定管理者制度導入のための条例改正議案に関して、地方自治法第244条1項の理念・目的を遵守し、男女共同参画社会の形成促進に資する施設であることに「いささかも変わりはない」ことを確認し、「法人の実績、専門性、サービスの質、継続性、安定性」を考えるならば、現財団法人が継続することが一番いいのではないかと質した。さらに、「行政経費の節減」が指定管理者導入目的のひとつであり、人件費、委託費で約8割の支出構成からみれば、人件費削減のために不安定雇用に流れ、「プロパー職員の養成」といっている県の方向はどうなるかを質したが、「なぜ共生センターを指定管理者に?」という疑問が浮き彫りになったまま議案審査が終わった。
  •  原発の高経年化対策、配管管理、ストレーナ閉塞、企業システムも検証した上で原発の運転再開容認に至った経過の説明が当局からあり、県のエネルギー政策検討会で、ドイツの国際エネルギーコンサルタントが「世界の原発の停止した108基の平均寿命は20年」といっていることを部長会議ではどう受け止め議論しているのか、福島原発1の1は廃炉にすべしと提言している国内の専門家を呼んで話を聞く気はないか、一基の配管全長が30kmで、そのうち取り替えていないのはどれくらいあるのか把握する必要があるのではないか、県が監修している原子力広報誌「アトムふくしま」に県の姿勢や議会での議論が反映されていないのではないかなどを質したが、検討会には様々な立場の方を呼んでいきたいというほかは不十分な説明だった。

【次世代育成支援対策特別委員会】

 第1回目として各委員の意見交換が行われた。長谷部県議は、県の社会保障支出のうち、高齢者関係と児童・家庭関係とがどんな比率なのかその実態把握や、「子育てはつらい」という子育て中の若い親たちが気軽に情報交換できる「場」、あるいは、地域に暮らす青少年同士が集まれる「場」の確保と、これらへの行政支援などについての調査が必要なことを提起した。

原発の全機運転再開について

 佐藤知事が東京電力福島第一原子力発電所1号機の運転再開受け入れを表明し、中川昭一経済産業相に原発の安全確保に関する申し入れを行ったことを受けて、7月4日県議会のエネルギー政策議員協議会は、県議会として、高経年化対策システムの速やかな構築や原子力政策を推進する経産省と安全規制を担う原子力安全・保安院を分離すべきことを求め、原発の安全確保に関する意見書を国に提出することにした。

 稼働から30年以上経過している事実は変わらず、本当の安全・安心が確保されたとはいえず、県の姿勢は甘く、正面から廃炉を提起すべきである。

「もったいない運動ふくしま宣言」について

 全議員提案の決議として自民党から案が示されたが、「もったいない運動」はノーベル平和賞を受賞したケニアの環境副大臣、ワンガリ・マータイさんが国連で「もったいない」という言葉を使い、ゴミ減量化などを呼びかけたことに由来する運動であり、そのこと自体は意義のあることである。マータイさんは、最大のムダとして軍事費を上げており、党県議団としても県政のムダ遣いを一貫して追及してきた。この運動を県民に我慢を強要する運動にしないためにも、行政自らも率先してムダ遣いをなくす努力をすべき内容を追加すべきと申し入れた。この点で修正が不十分ながら取り入れられたので党県議団としても賛成し、全会一致で決議された。

請願、意見書について

 継続請願については、議会の申し合わせにより、年度を越しての取り扱いをしないことになり、党県議団が紹介議員となっている請願、意見書を取り下げた。
 新規請願については、党議員団が紹介議員になった「妊婦健診の無料化を求めることについて」(新婦人県本部)、「重度心身障がい者医療費補助事業の『見直し』をやめ、入院給食費を自己負担とすることの撤回を求めることについて」(県社保協)の請願2件は「継続」扱いとされた。意見書9件は、全会派一致で採択され、国に提出された。



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