日本共産党の長谷部淳です。
私は最初に9月11日投票の総選挙の結果についてふれておきます。総選挙の結果は、民意をゆがめる小選挙区制度の害悪があらわになりました。政権与党の得票率は、県内小選挙区で47.7%、全国では49.1%、県内比例代表では51.5%、全国でも51.1%、いずれも民意の半分、自民党にいたっては、全国の小選挙区での得票率47.8%でありながら、議席占有率は73%、4割台の得票で7割台の議席という民意とのはなはだしいかい離を生みました。選挙後の共同通信社の世論調査では、郵政民営化法案を「慎重審議すべきだ」が53.4%で、郵政民営化が国民の支持を得たとはとてもいえません。NHKのやはり選挙後の世論調査では、自民党の議席について「もっと少ない方がよかった」が53%と圧倒的ですから、ゆがめられた民意への懸念が現在の民意といえます。
今回の選挙結果について、小泉改革の更なる推進を国民が望んだかのような受け止めを知事は表明しましたが、その受け止めは違う、と私は指摘せざるをえません。
9月24日に内閣府が「国民生活に関する世論調査」結果を発表しましたが、「医療・年金等の社会保障構造改革」が二年連続のトップで61.3%でした。私はこの声に真摯にこたえることが行政執行のかなめだと思います。
さて、質問の最初に、国による、「分権推進」と称する地方行革の押しつけと、県の姿勢についておたずねいたします。
総務省は今年3月、「地方公共団体における行政改革の推進のための新たな指針」を策定し、各自治体に通知しました。これによれば、各自治体は、今年度から09年度までの「集中改革プラン」をつくって今年度中に公表し、そのプランには、事務事業の再編・整理、民間委託などの推進、職員定員削減目標の設定など、9項目を盛り込むことを指示し、さらにフォローアップの公表を求め、文字通り国と都道府県の指導のもと、政府の意向にそった「行革」を徹底させようとするものです。
政府のいう「地方分権」にも真っ向から反し、地方自治を根本から踏みにじるものと思いますが、知事はこの「新指針」の内容に基づいて実行するおつもりなのかどうか、おたずねいたします。
これまでも県は、指定管理者制度や地方独立行政法人化制度などを活用して、社会福祉施設の民営化、県立病院の統合・廃止、県立大学の法人化という3大切り捨てを進め、地方自治体としての役割を縮小・撤退させてきました。本来の行政改革とは、憲法が定める国民の権利と、憲法前文にある国民の「福利」の実現、具体的には福祉・教育など県民のくらし応援、雇用、地場の中小企業、農林水産業の振興が目的である、という基本的立場を明確にすべきであります。
県が進めてきた「行革」は、「厳しい行財政状況」や「限られた財源」を理由に、公務・公共部門から撤退し、支出抑制することを目的として行なわれているのではないでしょうか。行革を進める根本的な目的について知事の見解をうかがいます。
支出抑制の一手段として、職員削減が進められていることも問題です。だいたい、人口千人あたりの公的部門における職員数の国際比較では、総務省のホームページ掲載の資料を見ても、日本はダントツに低くなっています。すなわち、イギリス73人、フランス96人、アメリカ81人、ドイツ58人に対し、日本は35人です。そのうち「地方政府職員」もイギリス35人、フランス40人、アメリカ66人、ドイツ45人に対し、日本は24人です。このように、異例ともいえる少なさであり、十分すぎるほどの「小さな政府」が日本です。
それなのになぜ公務員削減を各自治体に押しつけているのかと言えば、「歳出カットの大きな目玉として公務員の問題が残っている。それに早く手をつけ、歳出削減の余地がなくなれば、消費税に手を付けないといけない」(日本経済新聞05年1月25日)という日本経団連の奥田会長の言葉をひくまでもなく、経済界の利益を国の政策全般に全面的かつストレートに貫徹させようとする国の行革方針があるからです。
私は、国によるこうした理不尽な職員削減策には反対し、とりわけ30人学級をささえる教育、消防防災部門、福祉・医療の部門では県として雇用をふやすべきだと思いますが、知事の見解をお示しください。
もとより、公務・公共部門における施策内容や手続き・手法に国民の権利利益と相反する非民主性があり、これに対する国民の根強い批判と不信があることは明らかです。
こうした批判や不信に対しては、施策内容を県民の権利利益に資するように徹底して改めること、不要不急の大型事業はきっぱりとやめること、行政の責任による借金のツケを県民に押しつけないこと、行政に対する議会による統制を強化すること、情報公開を促進すること、行政の決定・執行過程に県民の参加を保障すること、オンブズマン制度の創設など、公務・公共部門の民主化をこそ課題とすべきであり、公務員削減で応える筋合いの話ではありません。
また私は、公務・公共部門のサービスをすべて公務員がになわなければならないとは思っていません。NPOや住民団体など、住民が参画する多様な主体がになうこともありうるでしょう。
私が危惧するのは、公的サービスの提供主体が民間に変わることによって発生するであろう問題に、県が対応する姿勢が明らかでないことです。たとえばサービスを民間化することで、コスト削減が図られると県はいいます。その場合、労働者の労働条件をどう考えるのか、労働条件が低下した場合に行政にどういう影響を与えるのか、公的サービスの専門性はどう確保されるのか、サービスを様々な組織にゆだねることで、サービスが断片化・分散化して総合性が欠如するのではないか、といった「副作用」への対応があるのでしょうか。
私はこの件にかかわって、昨年12月議会で、すでに民間開放されている介護保険の現場で、七割のホームヘルパーが非常勤であり、時間細切れ型のマニュアル労働に追われ、福祉現場から対話が消え、機械的作業が進行している危惧の声や、ケアマネジャーが「常時ストレスを持ちながらゆとりのない仕事を余儀なくされている」との行政側評価も紹介し、その改善・支援策を求めました。
今年3月に報告された県社会福祉協議会のケアマネジャーの就労実態調査においても、人員体制が少ないという声が圧倒的に多く、自由記述欄では、「行政的に支援できる体制」「処遇についての公的援助」、利用者への不公平・不公正・不利益をふやさないための「行政の積極的関わり」を求める声が出されています。
介護保険に限らず、いわゆるアウトソーシングによって、県はこうした「副作用」をどう想定し、それに対応する方針が明確なのか、とくに「多様な主体」の責任を県としてどう確保するのか、また行政との協働をどう実現するのかを示す責任があると思います。知事の責任ある見解をお示しください。
さらに私は、県の人事制度において、人材育成の観点から「能力」「業績」を反映できる「評価制度」「給与制度」の検討についてもふれておきます。
いうまでもなく県の職員は、現行憲法の国民主権原理のもと、県民の信託に基づき、県民の福利の実現のために奉仕すべき「県民全体の公務員」です。その業務の特性は、行政責任、継続性・安定性・総合性、公正性・中立性、住民奉仕性にあります。
県の職員はこうした業務の実施だけではなく、住民要求を把握し、政策立案に反映させるなどの政策形成にかかわることも期待されています。これらを遂行するにあたって、個人だけでなく、組織として発揮することが求められ、また、公務の専門性もこうした集団の中で育成、形成されているのではないでしょうか。
成果主義による評価制度や給与制度は、民間においてもすでに、利己的に行動する職員をつくり、職場のチームワークを阻害する、マイナス評価を個人、職場で隠蔽するモラルハザードを引き起こす、失敗を恐れチャレンジ精神が減退する、などの問題が指摘されているところであり、公務職場への導入をやめるべきだと思いますが、知事の見解をお示しください。
つぎに防災対策についてうかがいます。
地域防災計画における「災害時要援護者予防対策」では「在宅者の安全性を高める」として市町村へ必要な補助・助成措置を求めています。私はこの点で、高齢者、障がい者がいる住宅への自動消火装置の設置を市町村の責任で行なえるよう、県が必要な支援をすべきだと思いますが考えをお聞かせください。
また要援護者に対し、一人ひとりについて避難支援計画を策定することは国も指摘しているところであり、個別の具体的な体制づくり、市町村の担当者が高齢者、障がい者を担当できる体制、医療・福祉用具などで常に必要なものを入手する方法を明確にしておくことが求められますが、現状についての県の認識と、今後の対応をお聞かせください。
そして、住宅の耐震化は「在宅者の安全性を高める」基本だと思いますが、県のとりくみ状況と今後の方向をお聞かせください。
さらに土砂災害の未然防止のために、県として、民地対策、とくに人家裏山の急傾斜地対策を一戸から採択対象とするきめ細かな防災事業ができるように基準の緩和をすべきだと思いますが、見解をお示しください。
つぎに介護保険についてうかがいます。
改定介護保険法により、今月から施設利用者の居住費・食費が新たに負担増となりますが、私はまず、これまでの介護保険の実情を県がどのようにとらえているのか、以下、おうかがいします。
65歳以上のかたのうち、介護保険サービスを受けているのは、居宅が約4万3千人、施設が約1万4千人、合計約5万7千人ですが、これは保険料を払わされているかたがたの1割強にすぎません。また、要介護認定者のうちほぼ2割のかたはサービスを受けていません。医療保険では、窓口負担を増大させることで意図的な受診抑制策が国によってとられているものの、医療機関に対するフリーアクセスが保障されており、保険医療機関に受診にきた被保険者のほぼすべてが療養の給付を受給することとくらべれば、異様な状態だと私は思います。
県は、受給者が毎年ふえていると強調しますが、65歳以上の被保険者の1割強の利用しかないこと、要介護認定者の2割は利用していないことについて、その要因をどう認識されているのか、より利用しやすい制度にするために、県はどういう考えをおもちなのかお答えください。
また居宅では、受けてもいいサービス量の4割程度しか受けていません。たとえば、最重度の要介護5の要介護者で、月額約36万円の支給限度額に対し、要介護1の支給限度額をやや上回る約17万円程度のサービスを利用しているに過ぎません。
「いつ・どこで・どんなサービスを利用するかを、利用する本人が選べる」はずですが、利用者・家族がかかえている困難という側面から、受給がこのように抑制されている事態を県はどのように認識し、改定された制度のなかでどのように打開しようという考えなのか、お聞かせください。
さらに居宅サービスの整備状況を見ると、リハビリや短期入所、グループホームなどでの地域間格差が大きくなっています。県民にあまねく公平なサービス提供体制をめざす県として、この格差をどう認識し、どのように是正されようとするのか、その方策をお示しください。
施設整備については、07年度末までに介護3施設1万7千の定員整備が知事の公約です。介護療養型医療施設への転換がはかばかしく進まないもとで、来年・再来年度の2か年のうちに、特養・老健2施設でおよそ2千人定員の整備を進める必要があると思いますが、特養待機者が1万人を超えている現状の認識と公約実現への具体的方策をお聞かせください。
さて、今月からの自治体の対応について、東京都荒川区では、「自己負担が増えることで、通所の利用が減ることなく、従来どおりの利用を続けてもらいたい」として、デイサービス利用者の食費に独自の補助を創設し、千代田区では施設入所者の一部の食費・居住費についても補助措置をとることにしました。県内においても、制度改定により、新予防給付導入で在宅生活が困難になる軽度利用者、施設での居住費・食費負担で入所を継続できなくなるなど、新たに生み出される困難層を県としてどのように考え、どう対応される考えなのかお示しください。
私は、利用者に新たに負担を求める食費・居住費について、県が市町村や事業所から利用者実態と要望を聴取し、県としての独自の助成措置を創設するよう求めますが、考えをお聞かせください。
この居住費・食費について、低所得者対策が講じられますが、いずれも毎年申請しなければ権利は発生しません。申請漏れがないよう県はどのような対応をしたのか、あるいはするのかお聞かせください。
今回の改定で、地域における総合的なマネジメントをになう中核機関として、地域包括支援センターが創設されます。「地域住民の心身の健康の保持及び生活の安定のために必要な援助を行うことにより、その保健医療の向上及び福祉の増進を包括的に支援することを目的」とする施設ですから、この整備にあたっては、文字通り行政責任が問われます。
このセンターの体制では、社会福祉士、保健師、主任ケアマネジャー各一人が最低限必要になります。
市町村が「設置することができる」施設ですが、県民の保健医療・福祉の向上を仕事とする県の財政的・人的支援が求められることになると思います。県は市町村がこのセンター整備を進めるにあたり、主体的にどのような支援策をとられるのかお聞かせください。
介護予防にかかわって、老人保健事業による訪問指導についてうかがいます。訪問指導は県の「高齢者いきいきプラン」においても「充実を図」るとされており、高齢者の引きこもり、寝たきり、重度化の予防、病気の早期発見にも資するものです。ひいては、医療費を減らし、国保・介護保険財政の安定にもつながるものです。
しかしながら、介護保険施行後は減少傾向に歯止めがかからない、というのが実情だと思います。都道府県の格差も大きく、本県は下から数えたほうが早い位置にあります。
住民の保健の向上、介護予防に対する地方自治の役割が問われ、「分権」を強調する本県の姿勢も問われることになります。
本県における訪問指導の減少傾向をどのように分析し、今後、どのような目的でどのように充実を図るのかお聞かせください。
最後に県警本部長にうかがいます。
昨年2月、北海道警察に長年勤め、釧路方面本部長を最後に95年に退職された原田宏二(はらだ・こうじ)氏が、道警察における裏金システムを告発しました。
その後の経過で、北海道警察は、98年から03年度執行分について、約2億4000万円を道へ返還しました。裏金づくりを認めたわけです。
原田氏は、今年3月に出版した本(『警察内部告発者』講談社)でこう記しています。「本部長室では、警務部長の立会いのもとに、方面本部長や道警本部の部長、札幌方面管内の署長と道警本部の課長以上の所属長に辞令が渡される。警務課長が辞令を読み上げた後、総務課長の私が辞令と餞別の入った熨斗袋を本部長に手渡し、本部長が異動者に渡す」。「餞別の金額は1万〜3万円で、辞令を受ける各自の階級に応じ、本部長室だけでなく警務部長室や各部長室などでも行われていた」。「餞別は、道警全体でシステムとして長年にわたって行われていた」(240〜241ページ)、と。
綿貫本部長は、96年から98年までの間、北海道警察警務部長を務められました。昨年6月、県警でのせん別の有無を私がたずねた際、当時の本部長は「ないよう…徹底を図っている」として、「ない」とは答弁されませんでした。本部長は北海道での体験から、こうした裏金づくりを警察から一掃する責務があると私は考えます。
北海道などで明るみになった、こうした公金を使った裏金づくりと、その使途のひとつであるせん別について、その慣例が過去にさかのぼってあるかどうか調査されたのか、そして、「ない」と断言できるのか、おたずねします。
あわせて、県費と国費をあわせた捜査費についてうかがいます。2000年度と2004年度を比較して、執行額はいくら減っていますか。また減った根拠について、県民が納得できる説明を求めまして質問を終わります。
答弁
1、行財政改革について
総務部長
いわゆる「新地方行革指針」につきましては、本県においては、分権型社会にふさわしい行財政運営の基盤の確立と組織風土の改変を図るべく、自らの課題として、行財政改革に取り組んでいるところであり、国が求める「新地方行革指針」に基づき示された取組項目にとらわれることなく、主体的判断により、行財政改革を推進してまいる考えであります。
知事
行財政改革につきましては、私は、地方分権が進展し、社会経済情勢が大きく変化する中で、個性を生かした地域づくりを進めるなど、本県の進路を切り開く諸施策を効果的に展開し、県民福祉の増進を図るためには、限られた財源や人的資源を最大限に活用することが重要であると認識しております。
このことから、従来の考え方や制度の枠組みにとらわれることなく、時代の要請や変化に柔軟に対応できる行財政運営システムの確立にむけて、分権時代にふさわしい行財政改革を推進していく必要があると考えております。
総務部長
定員管理につきましては、県民ニーズや様々な行政課題に迅速かつ的確に対応できるよう、「うつくしま行財政改革大綱」等に基づき、業務の抜本的な見直しやITの活用による業務の効率化等を図る一方で、様々な行政課題に柔軟に対応するため、各部門へ真に必要な人員配置を行うなど、簡素で効率的な業務運営に努めているところであります。
次に、アウトソーシングにつきましては、行政サービス水準の向上や、経費の節減等を目的として取り組むものであり、その実施にあたっては、サービス水準の確保や業務遂行状況の確認等、施設等の管理運営や県民へのサービス提供等について、受託者との緊密な連携の下、引き続き、県として、その責任を担うものであります。
次に、評価制度等につきましては、社会経済情勢の急激な変化や県民の価値観の多様化等に伴い、ますます複雑・高度化する行政ニーズに迅速かつ的確に対応するため、主体的、創造的に業務に取り組む職員の育成を図る観点から、職員の能力や業績を的確に把握、評価し、人事配置や任用、給与等に適切に反映することが必要であると考えております。
このため、これまで以上に能力や業績を重視した新たな制度の導入に向け、引き続き検討してまいる考えであります。
2、防災対策について
保健福祉部長
自動消火装置の設置につきましては、従来より、要支援高齢者や重度障がい児者のための日常生活用具給付事業の対象品目として、市町村に助成しており、今後とも、防災対策の一つとして、活用促進を図ってまいりたいと考えております。
生活環境部長
市町村における災害時要援護者の避難計画につきましては、市町村が、自主防災組織や福祉関係者等との緊密な連携・協力の下、要援護者本人の同意を得ながら、1人1人の具体的な個別計画として策定されるものであり、災害時の計画的・組織的な避難支援を実施する上で、重要であると認識しております。
このため、県といたしましては、市町村の計画策定を促進するため、今年3月に策定された避難支援ガイドラインに基づき、必要な助言を行っているところでありますが、今後とも、地域の実情に応じた市町村における災害時要援護者の避難体制が、より一層確保されるよう、支援してまいりたいと考えております。
土木部長
住宅の耐震化の取り組みにつきましては、耐震診断や耐震補強の必要性について、講習会の開催や住宅フェアなどのイベントを通じ、県民への普及・啓発に努めてまいりました。
さらに、施策の実効性を高めるため、本年度から新たに耐震診断事業を行う市町村を支援する「木造住宅耐震化促進事業」を創設したところであり、在宅の要援護者についても、活用いただけるものと考えております。
今後とも、市町村に対して、本事業を積極的に活用できるよう働きかけるなど、住宅の耐震化の促進に努めてまいる考えであります。
次に、急傾斜地帯策の採択基準につきましては、県内における急傾斜地の土砂災害危険箇所は4,274カ所で、このうち、事業対象となる人家5戸以上の箇所は1,200カ所、整備率は、昨年度末現在27.2%と低い現状にあり、公共性の観点から、人家の集中する箇所を優先的に整備する必要があるため、基準の緩和は困難な状態にあります。
今後とも、すべての危険箇所について、警戒区域等を指定するとともに、土砂災害警戒情報の提供等を行い、土砂災害から災害時要援護者や孤立する住民などを含む地域住民が一体となって、迅速かつ的確に避難できるよう警戒避難体制の整備を支援してまいる考えであります。
3、介護保険について
保健福祉部長
介護サービスの利用につきましては、介護サービスは、利用者本位を基本としており、本人の意向や家族による介護の状況などに基づき、必要なサービスが利用されているものと考えております。
次に、サービスの受給につきましては、本人の心身の状況や置かれている環境等に応じて、本人の選択に基づき支給限度内で利用されているものと理解しております。
次に、介護保険対象居宅サービスの地域間格差につきましては、中山間地域等で事業者の参入が進まないことが要因の1つとして考えられることから、現在策定中の第4次高齢者保健福祉計画の中で、関係者のご意見をお聞きしながら検討してまいりたいと考えております。
次に、特別養護老人ホームの入所待機者につきましては、後期高齢者が急速に増加していることや施設施行が強いことなどにより、増加していると考えております。
このため、2007年度までの施設整備の目標実現方策につきましては、今年度の第4次高齢者保健福祉計画等の策定の中で、検討してまいりたいと考えております。
次に、新予防給付の導入に伴う軽度者への家事援助サービスにつきましては、一律にサービスが制限されるものではなく、ケアマネジメントによる個別の判断に基づき、サービスを受けることが可能となっております。
また、施設における居住費・食費の負担につきましては、施設入所者が継続利用できるよう利用者の負担能力に応じて負担限度額が定められているほか、高額介護サービス費の見直しや社会福祉法人による利用者負担軽減制度の運用改善などの配慮がなされております。
次に、居住費・食費への助成措置につきましては、今回の見直しにおいてて所得者に一定の配慮がされており、県として独自の助成は考えておりません。
次に、低所得者に対する負担軽減措置の受給申請につきましては、申請漏れがないよう、各種会議等を通じて、市町村に対し該当者への情報提供を徹底するよう指導・助言を行うとともに、介護サービス事業者に対しても利用者への周知の協力を求めるなど、制度の利用促進に努めているところであります。
次に、地域包括支援センターにつきましては、市町村の規模や日常生活圏域の実情に応じた適正な設置がなされるよう助言するとともに、関係職員等に対する専門的研修の実施や運営経費に対する財政負担を行い、業務が効果的かつ適正に実施できるよう支援してまいります。
次に、老人保健事業による訪問指導につきましては、要介護者に対するサービスが、介護保険によって提供されることとなったために減少したものと考えております。
来年度からは、この事業自体が介護保険制度の中の地域支援事業に移り、市町村において介護予防を目的として実施されることになりますので、要介護状態になるおそれのある高齢者を的確に把握した上で、介護予防に効果的な訪問指導を重点的に提供できるよう、市町村を支援してまいりたいと考えております。
4、警察の捜査費について
県警本部長
公金を使った裏金づくりと、その使途の1つであるせん別につきましては、本県警察におきましては、ご指摘のような事実はありませんので、調査を行う理由がないことから、特段の調査は行っておりません。
平成15年度における会計検査院による実地検査、毎年実施される県監査委員による監査、警察庁による監査におきましても、特段の指摘は受けておりませんし、毎年実施している内部監査に起きましても、ご質問のような事実は把握しておりません。
次に、捜査費の平成12年度と平成16年度の執行額の比較につきましては、県費の捜査費は、平成12年度が3,753万6千円、衛生16年度が2,200万3千円で1,553万3千円の減少となっております。
国費の捜査費につきましては、平成12年度が7,792万9千円、平成16年度が2,279万1千円で5,513万8千円の減少となっております。
県費と国費の捜査費の合計は、平成12年度が1億1,546万5千円、平成16年度が4,479万4千円で7,067万1千円の減少となっております。
この減少の原因につきましては、捜査費の執行は捜査活動に伴うものでありますから、発生する事件の軽重、数、捜査内容の困難度、例えば、発生する事件に追われ、内偵捜査ができにくくなっていること、警察に対する情報提供等の協力が得られにくくなっていることなどによって、年間の執行額に変動が起こることは当然あり得ることと認識しております。
再質問と答弁
最初に、県警本部長にお伺います。執行額がこの5年間で7千万円減ったということでした。国費の執行額も5千万円減っていったということですけれども、5千万円といえば、昨年度までの県費の予算額が4千400万円程度ですから、県から支出していた捜査報償費は、必要がなかったと思えるほどの規模だと思うんです。
全国的な傾向ではありますが、結局、2000年度から情報公開の流れが強まって警察の予算執行に疑いの目が向けられて、裏金問題が噴出して裏金に回せなくなったのではないかという、県民の疑問があるわけですので、少なくとも調査をして、県民にわかりやすく説明するのが必要なことではないか思って質問いたしましたので、改めて調査をすべきでないかと思いますのでご答弁をお願いいたします。
知事にお伺いします。もう少し丁寧なご答弁を期待しておりましたが、結局ですね、いま県がすすめている少子化対策の推進であるとか、命・人権・人格の社会の形成等々ありますけれども、例えば少子化対策の推進にかかわっていえば、5歳までの人口比保育所数が、全国で比較をすると41位、命・人権・人格にかかわっていえば、人口あたりの医療施設数が全国38位、医療従事者数が38位、小児科医師数が37位、産婦人科医師数が33位、介護老人福祉施設定員数が41位、身体がい害者更正援護施設定員数が42位、知的障がい者援護施設定員数が36位、児童福祉施設数が36位、あるいは循環型社会の形成とかユニバーサルデザイン等にかかわって言うならば、水道普及率が42位、汚水処理人口普及率が36位、ブロードバンドインターネット世帯普及率が38位と、全国的に比べたら低い部分を県として、底上げをしながら自治体による住民サービスを的確に維持管理をして、県民が公共部門に対する信頼回復をするということが、改革の原点にあって、改革の目的は、住民の自己決定権の拡充や、県民の権利拡充と福利の実現、そのことを通した維持可能な社会づくりにあるのではないかと私は考えているわけですけれども、そのような考えでよろしいのかどうか、確認をさせていただければと思います。
土木部長にお伺いいたします。住宅の耐震化について、今年度から始めた事業を私は非常に評価をしておりますし、全市町村ですすめていただければと思っています。私があえてお尋ねいたしましたのは、地域防災計画の災害時援護者予防対策のなかで、特に要援護者の在宅者の安全性を高めることが強調されていたり、新たに新長計が作られますけれども、この中でも防災、防犯対策等が充実した地域社会づくりということで、災害時要援護者支援が盛り込まれているわけですね。そういった点からすれば、要援護者は特に災害時に弱い人でありますから予防も含めて特別に手厚く早く援助することが必要だろうという思いから、特に要援護者が住む住宅の耐震診断や耐震補強といった、耐震化対策について市町村が責任を持って行えるように、支援をすべきでないか、もう一度その点をお伺いしておきたいと思います。
知事
いろいろと指摘がございましたが、私どもも基本的にいうと、いままで国・地方、それから市町村も含めて護送船団方式という、民間と公共との間にそういう言葉があるようにですね、一体的にすすめてきたその結果が、残念ながら地方団体(中央段階?)も含め立ちゆかないような財政状況になっている。そういう中で、私は基本的にはプライマリーバランス、入ってくるお金の中で使っていくと、もちろん地方交付税等財源調整の全体の仕組みがあるにしても、そういう考え方ですすめる必要があると思います。そういう中での行財政改革でございまして、いろいろご指摘ありましたが、それらのそれぞれの点についても、民間で十分専門的ノウハウ、あるいはサービス面での状況等も含めて、民間に委託したほうが効率的にできる部分もある。特に県民のニーズが多様化、高度化する中でそういうふうに考えております。私どもは、公的にしかできないような部分について、決していまどんどん削減していこうという感覚を持ってはおりません。私どもはやるべきことと民間に委託できるもの、それらをプライマリーバランスを考えながら、自主的にすすめると、そして、政策的にいうと新しい、創造的に作り上げていく政策をですね、そういう時代に、ある意味で21世紀に入って、これはもう20世紀の後半10年くらい前から、こういう時代がまいるということはだいたい予測されてきたわけですが、実際にそういう時代に入ってきておりますので、私どもは、民間部門でできるものについては、決してそれによって、例えば医療が全然だめになってしまうというようなことは、十分配慮し、地域の医療は確保しながら、例えば医療問題一つをとってもそういうことを考えながらですね、時代が変わってきておりますので、しっかりやっていきたいと考えております。
土木部長
今年度から、市町村で行う耐震診断の事業を県が支援するというような事業を創設したところでございます。市町村におきましては、在宅要援護者も含めまして、その取り組みということをやっておるところでございますが、これからも各市町村とも、その在宅要援護者も含めて、なるべく広い範囲で耐震診断ができるように、県としても普及・啓発に努めてまいる考えでございます。
警察本部長
本県警察におきましては、ご指摘のような事実はありませんので、特段の調査を行う必要性を考えておりません。
再々質問
県警本部長に伺います。そのように県民が受け止めらることができるように調査結果を出していただければ、問題ないと思うんです。例えば、刑法犯認知件数、あるいは暴力団犯罪検挙件数、2000年度と2004年度と比べると4%くらい増えております。ところが2002年度は2000年度に比べると3割増しです。ところが捜査費、県費と国費を合わせて、件数は3割増しであるのに、執行額は4割も減っている。毎年のように減っている。こういう事態になっているわけです。ですから先ほど本部長、内偵捜査に手が回らないというお話がありましたけれども、そういったことも含めて、事件数が増えているのにこれまで使っていた捜査報償費がなぜ減ったのか。これを納得できるように、説明が必要なのではないでしょうか。だから聞いているのであって、ぜひ調査をして県民が納得できるように、説明をしてもらえればと思います。
知事にお伺いしたいんですけれども、結局、改革の原点に公務に対する住民の信頼の回復というのはないんでしょうか。私は、質問の中でも申しあげましたように、いわゆる公務公共部門をすべてを公務員で担うべきだなどとは思っておりません。NPOや住民の参画した団体がやっていけることもあると思います。その場合に、自治体と住民の真のパートナーといいますか、そのためには住民が自治体を信頼する、そういう関係になければ、お互いが自立するという関係がなければいけないことだと思うんです。ですから公共部門に対する信頼を回復するという意識がこの行政改革の中に知事としてお持ちなのかどうか、そこのところを確認しておきたいと思います。
保健福祉部長にお伺いします。食費と居住費の新たな負担が加わりまして、県としての助成措置を求めましたけれども、今年10月から始まった食費や居住費の新たな負担をかぶせられることによって、利用者がどのような実態になるか、あるいは事業者の減収がどのようになるのか、減収がある場合に必要なサービスがキチッと守れるのか、サービスの低下が起こらないのかどうか、こういったことをきっちりと実態調査をして、把握をしておくことはその大前提になるのではないかと思います。その実態の把握をすることについてどのようにお考えなのか、もう一度お答え下さい。
知事
12年度から行政改革、その前から行財政改革を進めておりますが、とくに12年、13年から始まりましたこの改革も含めてですね、いろいろと私どもの重点の置き方も違ってまいりました。ただ、福祉あるいは住民の生活に直接影響する部分と公共事業の要望が本当に強い道路ですとか、その他も要望が強いんですが、それらも伸び率等を比較していただけますと分かりますように、本当に県民の生活に直結する部分についてはできるだけ、できる範囲でがんばってきたつもりでございます。そういう中でのかなり激しい国の行財政改革等によって動いているわけではございませんが、それを見据えながら、私ども自分たちで創造的な政策をつくりながら、何度も申しあげますが、そして自主的にものを考えて県の将来を考えていかないといままでのように何とか債があれば、できるということで借金を増やしていって後は誰が面倒をみるのかということなりますので、一つひとつ事業あるいは一つひとつの医療とか福祉とかそれぞれあろうかと思います。ブロードバンドなんかは、これは民間と打ち合わせをしながら、民間にお願いしていくべきものだとは思いますが、そういうことを力を入れるべきものを判断しながら、一つひとつの事業について考えていく必要があろうかと思います。具体的に言うならば、先ほど申しあげましたように、行政が直接的に実施するのではなくて、民間部門での自発的活動の促進、専門的ノウハウの活用を図ることなどにより行政運営の弾力化、県民サービスの質的向上につながるようなことをやっていく行財政改革、そのことがいま県民のニーズが多様化、高度化する中で非常に大切になってきているだろうということで、判断を一つひとつしていってその中でお話のような「3大改悪」とご指摘いただきましたが、それもやっぱり必要なそして県民の安心・安全や営業等に問題のないようにすすめることが私どもの仕事だと思っております。
保健福祉部長
現在、介護保険支援計画、合わせまして第2次高齢者保健福祉計画を策定中でございます。この中で当然、事業者のご希望あるいは市町村のそれに基づく推計、それに基づいて計画を策定いたしますので、その中で十分、調査、配慮したいと思っております。
県警本部長
先ほどお答えしたとおり、捜査費の執行額は発生する事件の数だけでなく、事件の軽重、捜査の困難性等が複合して変動するものでありますので、発生事件数だけで分析できるものではないと考えております。また、平成15年度における会計検査院による実地検査、毎年度実施される監査委員による監査、警察庁による監査におきましても特段の指摘は受けておりませんし、毎年度実施している内部監査におきましてもご指摘のような事実は把握しておりません。
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