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2005年12月県議会一般質問
一般質問

答弁

再質問

再々質問

2005年12月9日
神山悦子
<三位一体改革について>
 日本共産党の神山悦子です。
 11月30日、来年度に向けた「三位一体改革」が政府・与党間で合意され、今月1日国と地方の協議の場で、03年度から始まった第一次改革が決着しました。知事は、この内容に不満を唱えながらも「地方分権推進の歴史に残る大きな風穴を開けることができた」と評価していますが、本当に地方自治体の財政基盤が安定するのか、知事が評価しているように本当の地方分権につながるのか、これは大いに疑問です。知事は、国庫補助負担金の削減による財源の移動が「分権」だという単純化によって、小泉内閣の国から地方への財政支出総枠削減という「三位一体改革」の本質を見ようとしない点で、弱点となっているのではないでしょうか。
 実際、今回政府与党が決めた内容は、約6,540億円の国補助削減に対し、税源移譲は6,100億円でしかありません。もちろん、地方自治体や国民からの批判を受けて生活保護の国の負担率引き下げを見送ることになったのは当然としても、その代わりに、児童扶養手当や児童手当の国庫負担率が引き下げられ、特養ホームなどの介護施設の施設整備費の補助金や介護施設でのサービス提供にあてる施設介護給付費補助金を削減するのですから、これでどうして評価できるといえるのでしょうか。カットされた分を県が確実に補てんできるのでしょうか。もしそうだとしても、国の基本的な役割を放棄することには変わりがありません。あらためて今回の三位一体改革による本県の新年度予算への影響額とともに、知事の見解をお尋ねします。
 さらに問題なのは、義務教育費国庫負担の削減です。全国知事会において、知事はこのことを強く主張してきましたが、来年以降の第2期改革においては、義務教育費国庫負担金の全廃を掲げています。しかし、その分の税源移譲は定かでありません。そもそも教育は、国の責任において行うべきものであり、地方自治体の財政力によって教育水準に格差を生じさせてはならないものです。実際、40道府県で財源が不足することが明らかになっていますが、知事の裁量や時々の財政状況によって教職員の人件費が削減がされかねず、その結果、教育の質の低下を招くおそれがあると思いますが、知事の見解を伺います。

<医師不足問題について>
 県内の医師不足は深刻です。本県の医療施設に従事する医師は04年末3,601人で、人口10万人あたり171人、全国平均の201人と比較し約600人不足しており、全国からみても医師が少ない県となっています。加えて、昨年から医師の卒後研修が義務化されたことから、医師の多忙化に拍車がかかっていることもあってか、このところ、県内の公立や民間の病院では、勤務医の病院離れが続き深刻な事態となっています。須賀川市の国立病院機構福島病院では、今年9月末に内科常勤医師3人が全員退職したため、10月から仙台市の医療機関と県立医大からは非常勤医師が週2日派遣されています。社会保険二本松病院では、2年前から医師の退職が続き、今年4月からは皮膚科が休診、10月からは小児科の常勤医師が退職したため、来年3月末までの予定で県立医大から週2日派遣されましたが、二本松・安達地方で唯一の小児科の入院施設はなくなりました。さらに、国見町にある公立藤田総合病院では、内科外来の非常勤医師が9月末退職、10月末には常勤医師2人も退職しました。
 県立医大付属病院では、へき地や県内の各病院へ派遣が続き、そのうえ卒後臨床研修の義務化も伴い、いっそうの医師不足が伝えられており、また、県立医大を卒業しても県内にとどまる率は半数に満たないという状況で、その理由の1つに、女性医師が増えているのに、勤務環境が整っていないことなども指摘されています。そこで、医大の医師確保の現状と、今後、県内の医師不足にどのように対応されるのか、医大学長にお尋ねします。
 それにしても、もはや医大まかせでは県内の医師不足問題が解決しないことは明白です。県民がどこでも誰もが安心して医療を受けられるようにする責任は、県にあるのです。県は、公立・民間を含めて、全県的医療提供体制の将来設計をどう描いているのか示して下さい。また、救急医療をはじめ、小児医療、周産期医療、がん医療、高齢者医療、慢性疾患医療などの充実を盛り込んだ計画を県民に示すべきではないかと思いますがいかがでしょうか。さらに、これら医療提供体制づくりに必要なスタッフの養成と確保についても、県として責任ある計画をもち、系統的な取り組みが必要と考えますが見解をうかがいます。そして当面、県内各地の病院勤務医確保のために、知事を本部長とする特別対策をとるよう提案しますが、知事の考えをうかがいます。

<学校内での事故防止策について>
 先月から今月にかけて学校の下校時に小学生が殺害される事件が広島県、栃木県と2件もあいつぎました。こうした悲惨な事件がおきないような地域づくり、まちづくりがいっそう求められています。同じように、学校内での事故や災害に対しても万全の対策を講じる必要があります。
 独立行政法人日本スポーツ振興センターの学校災害の給付状況によれば、03年度だけでも事故発生件数は全国で約122万件、そのうち死亡事故は119件で、授業や部活動、野外活動など、学習中の事故が多いのが特徴です。子どもの数が減っているのに、事故発生件数は逆に増えているのです。
 県内では、01年〜03年の3年間に小中高で6人も死亡しています。特にここ数年は事故があいついでおり、02年9月、県立石川高校で授業中の水泳・潜水テスト中に、当時3年男子生徒が溺死した事故や、03年10月、須賀川1中で柔道の部活練習中、当時1年生の女子生徒が倒れ、今も意識不明の重体になっている事故や、04年4月、矢祭中で部活中に背負い投げされた1年生が眼底骨折の重症、同年8月、県立いわき湯本高校の1年生の投手が、練習試合中胸に打球を受け死亡するなど、痛ましい事故が発生しています。
 子どもも教師も「安全、安心に生きる権利」があり、子どもには「安全に教育を受ける権利」が保障されなければなりません。教育行政はこの権利を保障するために、安全な教育条件を整備する義務を負っています。学校保健法では、「学校安全管理」と「安全点検」が法制化されていますが、「安全基準」と「学校安全」については、責任主体が曖昧にされたまま法制化されたため、事故発生時やその後の対応をめぐって、学校と保護者とが対立し、時には裁判で争うということが少なくありません。
 県教育委員会は、事故を未然に防ぐために、単なる「通知・通達」で終わらせるのではなく、事故につながる危険な事例を全教職員に徹底させることが必要であり、そのための講習会等を開くことや、特に体育関係の指導については、科学的なトレーニング方法を身につけさせることも大切と思いますがいかがでしょうか。
 また、万一事故が発生した場合は、事故原因をあまいにせず、第三者機関を置いて原因を究明するとともに、その内容を被災者の保護者をはじめ関係者に情報公開することを求めますが考えを伺います。
 また、県教育委員会として事故の再発防止のための「安全基準」ともいうべき基本方針をもち、各学校に徹底させるべきではないかと思いますが、教育長の見解を伺います。
 ところで、事故が発生した時は、まずは被災者救済です。ところが、すぐに救急車を呼ばなかったというのが、96年の日本教育法学会・研究特別委員会の調査で20校に1校あったとされています。学校では、救急車を呼ぶことがためらわれる雰囲気があるようですが、こんな対応では命は救えません。また、緊急の救命方法についてですが、突然死やボールを胸に受けて心臓震とうなどの事故に有効だとされ、普及してきているのが自動体外式除細動器(AED)です。今年は、夏の甲子大会会場で導入され、愛知万博では3人の尊い命が救われました。1台当たりの経費は、30〜50万円程度です.子どもや教職員の尊い命を1人でも多く救うために、県内の小・中・高の各学校に1台はAEDを設置すべきと思いますが、県の考えを伺います。

<農業振興策について>
 小泉内閣は、農業分野でも「構造改革」をすすめ、今年3月には今後10年間の農政の方向を示す新「食料・農業・農村基本計画」を決定しました。これは、農産物の輸入自由化を前提に、大多数の家族経営を排除し、農村の崩壊、ひいては県土の荒廃をもたらしかねない危険な内容です。10月25日に、農水省が発表した07年度から実施する「経営所得安定対策等大綱」は、それをより鮮明に具体化したもので、農水省が「担い手の対象を絞り・・・転換をはかることは戦後農政を根本から見直すことになる」と自ら述べているように、本県の農業振興になるのかは、甚だ疑問です。
 品目横断的経営安定対策の加入対象者は、一定の要件を満たす「担い手」に特化するとし、面積が都府県では4ha以上、特定農業団体等は20ha以上としているため、9割以上の農家が切り捨てられる大変な政策です。
 本県でこの基準をクリアできるのは、10%にすぎません。さすがに規模拡大が難しい中山間地等には、「経営規模要件の特例」が設けられましたが、どこまで政府が認めるのかは明確にされていません。本県は、平たん地だけでなく中山間地をかかえる地形的な特徴や気象条件の違いから、水稲と野菜、果樹、花き、などの園芸作物や葉たばこ、養蚕、畜産などの組み合わせによる複合型経営が行なわれてきました。こうした中で政府がすすめる規模拡大や農地の集積は、本県のような農業条件を無視した無謀なものといわざるを得ません。県は政府の品目横断的経営安定対策をどう受け止め、また「経営規模要件の特例」については、どう検討され具体化をはかるつもりなのか伺います。
 また、問題は「担い手」を誰にするのかです。農業従事者の半数以上は65才以上の高齢者であり、耕作放棄地面積は全国一となっている現状をみれば、担い手をどう確保するのかは大きな課題です。自民党農政のもとで、農産物の価格補償がなく、米まで市場原理にゆだねられた結果、米価は暴落し、いまや大規模農家でさえ『経営が成り立たない』と悲鳴を上げているのです。本県の新規就農者は少しずつ増えているとはいえ今年は165人、認定農業者は昨年5,362人で、2000年と比較しても813人増加しているに過ぎません。県は、本県の基幹産業である農業の「担い手」をどのように考えているのか伺います。また、生産と経営を下支えするために本県独自の価格補償・所得保障政策を確立すべきと思いますが、どうお考えでしょうか。

<中国帰国者や外国人出身者への支援について>
 さて、戦後60年の今年も間もなく終わろうとしています。戦争中、日本が国策として「満蒙開拓団」を中国へ送り、中国に置き去りにした「残留孤児」問題は、72年の日中国交正常化まで放置され、ようやく本格的な肉親探しが始まったのは9年後の81年3月でした。さらに、永住帰国が本格化したのは86年からです。今年3月、厚生労働省が公表した調査によれば、全国に2,489世帯、9,115人とされています。県内には、03年4月93人と報告されていますが、いずれにしてもこの数は、帰国一世だけで、よびよせた二世から三世、四世までふくめれば、相当な数にのぼるはずです。まず、県内に在住している中国からの帰国者・家族数について伺います。 
 また、厚生労働省がおこなった今年3月の生活実態調査によれば、帰国後の大きな問題は“言葉の壁”でした。中でも日常会話が全くできない人は8.4%もおり、特に帰国時期が遅いほど日本語の理解が困難になり、帰国後5年以内では、半数以上が片言程度しか話せません。すでに50代後半から70代近くになっている人が新たに日本語を覚えるのは至難の業ではないでしょうか。県内の中国からの帰国者は、郡山市在住者が多く、帰国当初は、福島県帰国者自立支援研修センターで日本語指導もありましたが、02年8月に閉所されてからは一般市民として扱われ、生活面や精神面などで行政面のサポートもなく、日本語が話せないためにストレスによる体調を崩す人も多くなっています。家族に子どもがいれば、学校を休んで病院につきそい、意味が理解できているかどうかは別にしても病院側との通訳までさせられているのが実態です。現在ボランティアの方々でさまざまなサポートを行なっていますが、県としての支援が必要です。
 長野県は、県単独で中国帰国者への支援事業を拡大し、今年度からは新たに医療通訳者派遣事業を予算化しています。本県でも中国帰国者の実態調査を行ない、ボランティア団体が行う帰国者が孤立しないための交流会等に対する支援や、帰国者や家族の通院、介護保険などの行政手続きを行う際に、通訳者を派遣する事業を実施するとともに、通訳者養成も図るべきと思いますが、県の考えを伺います。
 また、県の「女性のための相談支援センター」では、外国人女性のDV被害者が増え、その通訳費用が年間の予算をオーバーする事態となっているとのことですが、予算の拡充が必要と思いますが、これはどう対応されるのか伺います。
 さらに、県内には、外国人登録者も増えており、04年12月で12,779人、県人口の0.6%を占めています。中国が36%と最多で、フィリピン、韓国、朝鮮、ブラジルなどの出身です。これら県内の外国出身者に対する日本語学習への支援、及び外国人児童生徒等への対応も必要と思いますが、どうお考えでしょうか。
 以上、県の見解を伺いまして質問を終わります。

答弁・再質問、再々質問

答 弁

知事
 三位一体改革における義務教育国庫負担金につきましては、国の関与を縮小し、財源面における自由度を高める改革を通じて、住民により身近な県と市町村がそれぞれの地域の実情をふまえながら、独自の創意と工夫を生かしたきめ細やかで豊かな教育が展開されるべきとの考えの下、その改革の実現に取り組んできたところであります。

 しかしながら、平成18年度までの負担金改革として、地方が求めてきた中学校分の廃止ではなく、国庫負担率の引き下げにすり替えられてしまったことは、改革の本旨に照らせば、到底満足できるものではなく、今後は、引き続き地方6団体と連携し、負担金の廃止に向けて国に強く働きかけてまいる考えであります。

 いずれにいたしましても、これまでの改革も含め、制度上、税源移譲等による確実な財源措置により、教育水準に格差が生じることがないことはもとより、その維持・向上は、当然に取り組むべきことであり、本県では、今年を分権時代の教育元年と位置づけ、全国に先駆けて、小・中学校全学年に30人程度学級を導入するなど、本県独自の教育を推進しており、今後とも、教育水準の向上に努めてまいりたいと考えております。

総務部長
 三位一体の改革の影響額につきましては、税源移譲の対象となる国庫補助負担金について詳細な内訳が示されていないことから、現時点で補助金削減額を算出することは困難でありますが、平成18年度においては、所要の一般財源は所得譲与税、地方交付税により措置されるものと考えております。

 また、改革の内容につきましては、地方の改革案に沿ったものが半分にも満たず、国庫負担率の引き下げが過半を占めるなど、地方の自立性を高め、裁量を拡大するという改革の本旨からは、かけ離れたものであり、到底満足できないものであります。

生活環境部長
 日本語学習への支援につきましては、県内外国出身者が地域社会の一員として自立し、安心して生活をする上で重要なことから、これまでも県国際交流協会と連携しながら、市町村やNGO、ボランティアによる日本語教室開設を支援するとともに、日本語ボランティアの養成講座や指導力向上のための研修会を開催しているところであります。

 今後もと、これらの取り組みをさらに推進するとともに、日本語教室のネットワークづくりをすすめるなど、関係機関、団体と連携しながら、積極的な支援を行ってまいる考えであります。

保健福祉部長
 全県的医療提供体制の整備につきましては、「うつくしま保健医療福祉プラン21」に基づき、平成22年度を目標に、小児医療・へき地医療などの各課題に対応した事業を推進しております。

 しかしながら、医療を取り巻く環境が大きく変化している中、現在、国において医療計画制度の見直しが進められており、今後、県といたしましても、こうした動向も踏まえ、救急医療をはじめとする各医療施策の構築が図られるよう、必要に応じ、医療計画を見直してまいりたいと考えております。

 次に、医療供給体制に必要なスタッフにつきましては、県内に勤務する医師、看護師、理学療法士等への就学資金制度等により、要請・確保に努めております。

 特に、医師の確保については、県内の臨床研修病院の合同ガイダンスの実施および後期研修の充実に努めるとともに、国に対し、県立医科大学や自治医科大学の入学定員の増員等を要望するなど、今後も努力してまいる考えであります。

 次に、病院勤務医の確保につきましては、新たな臨床研修制度の影響などにより、県内各地域において病院などの医師不足が深刻化していることから、今年3月に副知事を会長として県立医科大学や病院協会等の関係者で構成する「医師確保に関する懇談会」を新たに設置し、県内医師の確保方策の検討を行っております。

 次に、県内在住の中国からの帰国者及びその家族数につきましては、平成15年度の調査では、帰国者本人が93人であり、そのうち調査に協力された91人の方々の同居家族数は、115人となっております。

 中国帰国者に対する支援につきましては、これまで、平成15年度の実態調査の実施、孤立防止のための事業にとりくむボランティア団体への支援を行ってまいりました。

 また、帰国者や家族の通院、介護保険の認定手続き等を行う際の通訳者派遣につきましては、平成11年度以降、本県への永住帰国者がなく、平成15年度で終了したところですが、帰国後4年という派遣期間の制約が緩和されたのに伴い、平成18年1月から新たに派遣したいと考えております。

 なお、通訳者の養成については考えておりません。

 次に、外国人DV被害者の通訳費用につきましては、「女性のための相談支援センター」に入所した外国人被害者の多くが日本語を十分に話すことができないことから、裁判手続きや日常生活を支援するため、必要な予算の確保に努めてまいりたいと考えております。

農林水産部長
 品目横断的経営安定対策につきましては、わが国の農業が担い手を中心とした構造になるよう改革を一層促進するために打ち出されたものであると認識しております。

 また、県はこれまで、地域の実情を反映した政策となるよう国に対して提言・要望を行ってまいりましたが、中山間地域や複合経営を考慮した「経営規模要件の特例」が設定されたことは評価できるものと考えております。

 今後は、この「経営規模要件の特例」等を効果的に活用しながら、本県水田農業の確立や担い手の経営の安定をはかってまいりたいと考えております。

 次に、農業の担い手につきましては、認定農業者等を地域の農業生産の過半を担う効率的かつ安定的な経営体として育成するとともに、多様な農業者が役割を持って営農に携われる仕組みを構築する必要があると認識しております。

 今後とも、認定農業者や新規就農者の育成・確保と経営の規模拡大や流通・販売にとりくむ農業生産組織の育成に努めるとともに、地域における直売活動や加工への取り組み等を積極的に支援してまいる考えであります。

 次に、価格補償、所得保障につきましては、これまで、米の価格下落等の影響を緩和するための稲作所得基盤確保対策や農畜産物の価格安定対策としての指定野菜価格安定制度、肉用小牛生産者補給金制度などに加え、野菜、果実、花き、菌たけを対象とした本県独自の青果物価格補償制度を設けるなどきめ細かに取り組んできたところであります。

 今後とも、これらの制度の積極的な活用により、農家経営の安定に努めてまいる考えであります。

医大学長
 本学における医師確保の現状につきましては、医師の卒後臨床研修の義務化などに伴い、附属病院で診療を行う医師の数が少なくなっている状況にあります。

 一方、県内の医師確保につきましては、本学が重要な役割を担うことから、本学卒業生の県内定着率の向上を図るため、平成18年度医学部入試における県内推薦枠の募集定員を5名程度から8名程度に拡大するとともに、医学部教授が県内の高校を直接訪問し、県内入学者の拡大に取り組んでいるところであります。

 また、卒後臨床研修プログラムをより魅力あるものにするとともに、今年度より附属病院でスタートした専門医養成のための後期研修制度を県内外に向けて広くPRするなど、本学における医師の確保により一層努め、県内の医師確保に向け積極的に取り組んでまいりたいと考えております。

教育長
 学校事故の未然防止のための講習会の開催や科学的なトレーニングにつきましては、学校事故防止のための研究協議会を開催するとともに、各学校においては、職員会議等で、随時、各種の事例等をとりあげ、全教職員が事故を未然に防止できるよう、指導の徹底を図っております。

 特に、体育等については、実技講習会等において、教員に運動の特性や児童生徒の安全を踏まえた適切な指導方法を習得させ、学校事故の未然防止に努めているところであります。

 次に、学校事故が発生した場合につきましては、事故処理を迅速・的確に行い、保護者等へ情報を正確に伝達するとともに、関係機関と協力して原因を伝達するなど、適切に対応しており、第三者機関を設置することは考えておりません。

 事故防止の基本方針につきましては、学校事故防止体制の強化を図り、学校における事故の絶無をめざすことであります。

 このため、公立学校等を対象とした学校事故防止対策研究協議会を開催し事故の未然防止が徹底されるよう、努めているところであります。

 次に、自動体外式除細動器の配置につきましては、緊急時の迅速な救命措置を行うのに有用なものであると考えております。

 次に、外国人児童生徒等への対応につきましては、外国人児童生徒等が学校生活に適応することができるよう必要に応じて、小・中・高等学校に日本語指導に当たる教員を配置してきたところであります。

「議事進行」:神山悦子議員
 教育長の答弁の中で、自動体外式除細動器の配置について質問しているのに認識しか答えられていないんですね。私はその配置について、どう考えるのをもう少し答弁があってしかるべきと思いますが、答弁漏れではないでしょうか。

議長
 質問者に申しあげます。答弁でまったくふれていないということではないので、答弁があったということで整理させていただきます。

再質問と答弁

 教育長に再質問いたします。半分しかお答えがなかったので、AEDの設置は非常に重要だと私も思いますし、おそらく教育関係者もそう思っていらっしゃると思います。具体的に1台30〜50万円ですから、配置してもたいした金額ではないと思います。これを具体的に配置するのか、どこまで配置するのか、できるのかも含めてもう一度お答えいただきたいと思います。

 さて、学校事故についてですけれども、学校の職員に事故があれば徹底していると、いま答弁がありました。しかしですね、いろんな危険な事例についてはなかなか徹底されていないと思います。実は今年の9月にも塩川中で、水泳の指導の最後の授業の時に子どもから提案があって、前日テレビを見て潜水をやってみたいという、これをやってしまったんです。実は文科省はこの潜水のことについては、「息こらえの事故が報告されているので十分注意すること」と、すでに出されています。それなのに、おそらく認識がなかったんだと思いますが、これをやったためにその子どもは意識を失い、危うく一命を落とすところだったと聞いております。そういう事例もたくさんあるわけですね。これまでは全然事故がなかったかのような、そして全部やって報告も受けているから大丈夫みたいな、こんな体制でいいのかというのが私の質問の趣旨でもありましたし、今回のいろんな提案もそういうことに基づいて、学校がキチンと条例なり、第三者機関に委ねたり、原因究明をやって、全職員に徹底しないことには再発防止にならないと思います。昨日も医療事故の問題で答弁のやりとりがありました。医療事故が起きたときには、それぞれの職員に防止のためのマニュアルをつくり、そして第三者機関にまで委ねて、その原因を究明させ、それをまたさらに職員に徹底させている。これは度重なる医療事故の問題があってそういうことを作ってきたんだと思いますね。それを私は学校でもこういう方向で事故の再発防止をはかってはどうかと思うんですけれども、教育長も昨日一緒にこの本会議場におりましたので、これをモデルにしながら、学校の事故再発防止のいろんな方針をつくってはどうかと私は思いますが、あらためて答弁をお聞かせいただきたいと思います。

 さて、医大学長にお尋ねいたします。学長の答弁にもありましたけれども、本当にこの研修制度が始まりまして、この医師不足が深刻だということがよく分かります。それでその上かついろんな方策をとって一応確保しようとしている。私は県としては、保健福祉部長にお尋ねしたいと思うんですけれども、医大学長のこういう答弁にもあるように、県が医師確保について県側の責任で、やっぱり支援していく体制がなければ、医大まかせではならないと思うんですよね。そこでできれば知事が本部長になっていただいて、本当に医師確保のために、走るというか一生懸命になっていただく。そのために予算を付けて、医師確保の方策をとるべきだと思いますが、保健福祉部長にお尋ねいたします。

 三位一体改革について知事にお尋ねいたします。義務教育費の国庫負担についてですけれども、知事は教育的に格差は生まれないとおっしゃいました。しかしですね、この三位一体の改革のねらいは逆なんですよ。知事は全国知事会の副会長でもあります。知事がこうやって義務教育費国庫負担の削減や全廃まで主張しているということで、本県は30人学級をやりましたけれども、ほかの県でも同じようにこれができるとは限らない。財政力や知事の態度によって、いくらでも動かすことができる。そういう意味では教育の格差が生まれてしまうのではないか。私は、知事のこういう立場からいっても義務教育費の国庫負担の削減、廃止ということを主張するというこの知事の真意をもう一度お尋ねしたいと思います。

知事
 神山議員の再質問にお答えいまします。

 義務教育の国庫負担金はですね、14年から見ても、私も知事で、地方が7割以上負担しているんですね。数字を申しあげますと、国庫負担金割合、国の割合は34%・14年、15年31%、16年28.8%、だんだんだんだん国庫負担金が少なくなってきておるんですね。そういう状況の中でこの話である、ということがひとつ。もともと教育は2001年の地方分権一括法で、地方の事務になったんですね。だから地方が裁量権を持つ方がいいという方向がはっきり出ているんですね。そういう中での今回の話であるわけでして、小泉総理も今年の2月、三位一体の改革において補助金を廃止し、税源移譲を行う場合であっても、個人住民税の税率をフラット化することなどにより、税源分布の偏りを緩和するとともに地方交付税の財政調整機能によって地域間の財政力格差に対応する考えである、そういうことをハッキリと小泉総理もおっしゃっております。その中で私どもは申しあげましたように一期は本来なら中学校だけで、二期は小学校ですね、を含めてそういう方向で行く予定で考えておったんですが、税率を低くする、負担率を低くするということで決められてしまいました。これは趣旨とぜんぜん違うんではないかと。私どもですね、教育元年ということで進んでおります。いずれ、国の財政は厳しいんですから、地方自治体も国もどんどん削減していく。その中で知恵をしぼってやっていくということに関しては、私は教育元年でもう大勢は決まっておるんでね、そういうことでやろうということになって、お話のように30人程度学級、これによって質が低下するというようなことはないのは、考えてみるとお分かりのように2、3申しあげますと、地方によっていろんな、残念ながら私どもの考え方と違う、一生懸命宣伝している方もいますんで、お答えしますとですね、国の負担金でなく地方税によって学校が運営されることにより、地方自治体が学校、教員が住民と真剣に向き合って教育論議を行うことになり、教育全盛競争の中から地域独自の創意工夫が生まれてくる。義務教育に関する地方自治体の責任が住民に対して明確になり、教育に意識改革がもたらされ、多種多様な取り組みが促進される。児童、生徒、保護者だけでなく地域への責任を実感することにより教職員の自覚が高まり、ひいては教師の質の向上につながる。神山議員と別の結論となっておりますが、私は、いま生徒さんへ向かないとはいいませんが、文部大臣や教育委員会を向いている先生方、あるいは校長先生等も含めて、生徒さんの方を向いていく、これこそまさに教育改革の一番重要な点だと思っております。それからもう一つ、意識を持って地域の教育環境や児童生徒の実情に応じた学校配置、弾力的な学級編成や教職員配置が可能になるんです。文部省はそういうことを決めればいいんでね、その上で私どもは自由にできるということですから。そして最後にですね、交付申請や実績報告、検査などの事務に国・地方を通じた事務の効率化を、教育委員会はあまり頭を使わなくてね、国に対してどういうことをするか、あるいは人員も少なくて効率化を図る。そういう面でですね、私は、方向は決まったんでね。私どもの県は教育元年ということで、30人学級をはじめ、もうマスコミに報じられているんで申しあげますが、南会津においてですね、首都圏の公立学校は塾に丸投げとはもうしませんが、塾や私学にまかせておる。私どもは南会津において、塾を取り込んで教育のレベルアップをまずモデル的にやろうというようなことも含め、独自の教育の展開をしていこう、浜通りの学校もそうでございますが、そういう考え方でおります。

保健福祉部長
 知事を本部長とする医師確保のための特別対策を設置してはどうかということでございますが、先ほども答弁申しあげました通り、本年3月に副知事を会長といたしまして、「医師確保に関する懇談会」を設置をし、医師確保の方策等についても検討し、やるべきことはその中からもすでに実施をしているという状況ですので、引き続き副知事を会長として懇談会において医師確保を検討してまいりたいと考えております。なお、医師不足の問題は本県だけの問題ではございませんで、全国的な課題でもありまして、知事も全国の場で国等にこの問題に関しての課題、あるいは要望等々を積極的にやっていただいている状況でございます。

教育長
 自動体外式除細動器につきましては、課題であるというふうに考えております。それから学校事故防止につきましては、私どもも学校事故は、なくさないといけないと考えておりまして、学校事故が起こった場合には隠さずにすべて明らかにしようということで、もちろん教職員に対しても、どのようなことでそういう学校事故が起こったのかということを、たとえば体育の授業であれば、体育の実技のための研究会をやっておりますので、そこにどういう状態であったのか、あるいは文部科学省の通知がどんなものなのか、どうやればいいのか徹底するように取り組んでおります。ただ、不幸にしてそうであっても事故は起こってしまうことがありますので、これについては極力なくすように努めていきたいと考えております。それから学校事故の基本方針につきましては、学校事故といいましても様々な事故が考えられますので、たとえば、子どもの安全の問題、あるいは教職員の事故に関わる問題、あるいは学校の防災の問題、あるいは児童生徒の問題行動の問題等々ありますので、それぞれどのようにやっていくべきかというマニュアル、基本方針をつくりまして、学校内部においては周知徹底するという形で取り組んでおります。従って学校事故ということで全体をまとめた基本方針という形ではないわけですが、その点については十分留意をしながらすすめておりますし、今後とも絶無を期すようにつとめてまいりたいと考えております。

再々質問と答弁

 教育長にお尋ねします。事故の方針は全体にはまだ持っていないとおっしゃいましたが、事故の報告というのがどういうルートでいくのかというのがあまりハッキリと分かりません。おそらく現場の校長か教頭ですね、教育委員会や県庁にあげてくると思われますけれども、しかし、そういう意味では保護者の意見もキチンと入れるとか、こういう事故が起きたらですね、体育だけでなくて全教職員に徹底しないとなくならないと思いますね。そういう意味では、再発防止とおっしゃいましたので、今後そういうことを含めて検討されてはどうかと思いますが、あらためておうかがいいたします。

 それからもう一つ農業の問題ですけれど、農業の担い手は、今度の政策を評価しているとおっしゃいました。しかし先ほど私が申しましたように9割の農家は排除されるんですよ。その分、県は認定農業者中心にやるといいますけれども、では認定農業者に該当する人の要件は何なのでしょう。私が聞いているのは規模拡大しないと再認定もされないということでなかなか増えないと私は認識しております。さらに認定農業者だけではとても県内農業は守れないと思いますが、もう一度あらためて県内の担い手を家族経営まで含めて、兼業農家も含めて担い手として私は見るべきだと思いますが、そのへんも含めてお答えをいただきたいと思います。

 知事は義務教育の国庫負担については、地方分権というその立場に私は反対しているわけではありませんし、大いに賛成です。しかし、知事のおっしゃる地方分権を本当に推進するためには、やはり国の予算、裏付けがなければ、私は本県だけでもできないと思いますね。私が言いましたように、福島県は全国に先駆ける30人、あるいは30人程度学級を実現いたしました。しかしほかの県はなかなかついてこれません。そういう意味では知事会などでも、知事が言う発言はほかの県にも影響もあるし、義務教育国庫負担の地方からの声という点では、いろんな意味で私は波及していくと思いますので、私が言いたいのはやっぱり予算の確保、これを地方分権とからめるとなかなか難しいと思いますので、義務教育の国庫負担の削減をしないようにと私は求めたいと思いますが、あらためてお聞かせいただきたいと思います。

 それから保健福祉部長に、中国の帰国者の問題をお聞かせいただきたいと思います。この数は1世だけだと思います。やっぱり家族まで含めると郡山だけでも100名を超えているという数字があるんですけれども、この実態を15年の調査からだいぶたっておりますので、そういう意味ではもう一度キチンとつかんで外国人従事者も出身者も増えているし、そういう意味では、あらためて再調査でつかむ必要があると思いますがその点について、どうお考えでしょうか。

 さらに通訳者の支援事業、これは養成するつもりはないとおっしゃいました。しかしですね、中国からの帰国者が2世、3世くらいになりますといま成人している方もいます。そして日本語もできます。そういう方で実態も、実情も知っているし、こういう方々も含めて通訳者養成に確保してもいいんではないか思いますし、そういう意味でも養成をやっぱりやるべきだと思いますが、検討されてはどうでしょうか。もう一度お聞かせ下さい。

知事
 さっき長々と申しあげましたんで、簡単に申しあげます。議員おっしゃるのは知事会はですね、総意として確か中途半端な改革をという知事もおりましたので、そういう意味では、この正念場だということでお話をいたしました。ただ知事会として私のちょうど選挙の時でしたので出席できなかったのですが、新潟の知事会においていろいろ少数意見も一部ありましたけれども、知事会として決定したことでございまして、いま縷々申しましたような状況の中で、国で予算を持てと、持てばいいんです。だんだん予算厳しいということで削ってきている中で、私どももそれじゃ、少ない予算の中ででもそういう工夫をして、30人程度学級ということで、決して先生方からも懇談の中でも質問が出ましたが、財政厳しくなったら30人程度学級はどうなんですかというお話もありましたけれども、これも私どもはしっかりと教育こそまさに一番重要な私どもの未来に対しての施策だと思っておりますのでしっかりと考え方を大切にしていくということでございますので、ほかの県の知事もですね、おおむねだいたい総意としてこういうことで、そのことが、日本の地方分権、あるいは教育制度にとって重要だという認識でほとんどの知事がいるということでございますのでご理解をいただきたいと思います。

保健福祉部長
 中国帰国者の実態調査でございますが、当面の施策の展開においては、平成15年度の調査で十分だと考えております。県と国の調査は考えておりません。

 通訳者の確保につきましては、新たな育成をしなくても平成14年に継承いたしました自立研修センターの旧スタッフなどを活用できると考えておりまして、適格者の確保はできると考えております。

農林水産部長
 地域農業の担い手の話でございますが、兼業農家でありましても農業に対する意欲が高い、あるいは市町村長が目標とする農業経営の実現をめざすという方々であれば、認定農業者になれるということになっているということであります。また、小規模な農業者でありましても、いわゆる集落営農のメンバーとしてそこに参加すれば、今回の施策のメリットは受けられるということになってございますので兼業農家の方々が施策の対象からはずれたわけではないというふうに認識してございます。県といたしましては、兼業農家なども含めて意欲ある農家の方々が、地域農業の担い手として活用できるよう集落営農等について積極的に取り組んでまいりたいと考えております。

教育長
 まず一点目でありますが、学校事故等が発生した場合に全教職員にというお話でありました。これについてはもちろん、発生状況その他について全教職員に説明し、周知するようにしております。体育の授業の中も問題については、とくに体育の教員に対しては周知するようにしているということであります。それから報告についてでありますが、小・中学校については直接の服務監督権者であります市町村教育委員会が、まず把握をして教育事務所に上げて、教育事務所から県の方に来るという形になっております。ただ現場をしっかりと把握しないといけないものですから、報告はそのような形で上がったとしても、こちらの方から直接担当者が行って現場を確認するようにしております。県立学校につきましても、学校から報告が直接県教委に上がるようになっていますが、いま現場をすべて共有しながら、確認しながら、すすめないといけない形のものが多いですので、すべて市町村教育委員会、あるいは教育事務所、私どもの担当者がそういう現場に立ち会って全部把握するようにしております。児童生徒の保護者の方にも、十分に説明をいたしまして、お話を聞いてそれも把握するようにしております。



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