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2006年2月定例県議会一般質問

長谷部 淳

 日本共産党の長谷部淳です。日本共産党を代表し、質問をいたします。

 県民の暮らしの実情を見ると、県内の生活保護世帯はこの四年間で一・三倍になり、全県で一万世帯を超えました。国民健康保険税の滞納世帯は全県で七万世帯を超え、国保世帯の一八%、とりわけ市部では二一・三%と五世帯に一世帯以上が滞納せざるを得ない現実です。県立高校の授業料免除生徒数はこの四年間で一・七倍になり、小・中学生への就学援助でも二〇〇四年で一万三千人を超え、四年間で一・四七倍です。

 また昨年の県内の自殺者は、六六九人となって二〇〇四年を上回って史上最悪、交通事故死の四倍を超えています。このうち五〇代の自殺者が一八三人、四〇代が一二〇人、まさに働き盛りのかたがたで四五%を占め、六五歳以上でも一四五人とこれも深刻です。原因別では経済的理由と家庭内などの人間関係が最も多く、社会的経済的要因によって自殺者がふえていることは明らかだと思います。

 このように県内では、経済的格差と貧困が深刻な形で広がっていますが、予算編成にあたり、知事はこうした事態をどう受け止められ、格差縮小、貧困の解消を進めるうえでどう反映されたのか、お聞かせください。

 こうしたもとでの二〇〇六年度の政府予算案は、国民のこうした暮らしの実態にさらに追い打ちをかけるものといわなければなりません。小泉内閣のもとでは五回目の予算編成ですが、また国民に総額二兆七千億円もの新たな負担を押しつけようとするものです。すなわち、定率減税の全廃、年金給付の削減、高齢者の医療改悪、介護保険料の引き上げなどです。

 すでに小泉内閣のもとでは、二〇〇二年の高齢者病院窓口負担増、二〇〇三年のサラリーマン本人の病院窓口負担増、年金保険料の引き上げなどで約六兆七千億円の負担増が実施され、先々月からの所得税定率減税半減などすでに決められている負担増が約三兆九千億円、あわせて一〇兆六千億円の負担増ですから、来年度予算案に盛り込まれた負担増を加えると、一三兆三千億円であります。一人でこれだけの連続負担増を押しつけた首相がいるでしょうか。

 これだけの負担を押しつけておきながら、小泉内閣が五年間でつくった新たな借金は一七一兆円であります。小泉内閣の前の橋本、小渕、森の三代の内閣が五年間で作った借金は一五三兆円で、二〇〇〇年度の予算編成時、当時の小渕首相は自らを「世界一の借金王になってしまった」(九九年一二月二〇日)と言っていましたが、小泉首相に自覚があるかどうかは別として、小渕氏を上回る史上最悪の借金王であることは間違いありません。

 負担押しつけ王でありながら、借金王でもあるのは、空前の利益を上げる大企業への減税や、株式売買をつうじて巨額な利得を得る資産家への減税という、税金を集める面での聖域と、関西国際空港二期工事などの巨大空港、京浜、名古屋、阪神の「スーパー中枢港湾」整備などの巨大港湾、三大都市圏の環状道路整備など大都市部の高速道路、治水・利水上の根拠を失った群馬県の八ツ場(やんば)ダムなど巨大ダムなどの大規模事業に予算を集中するという、税金の使い道での聖域をつくっているからにほかなりません。

 小泉首相は、国債発行額を三〇兆円以内に抑えたことを自慢していましたが、これは、家計への負担増と地方自治体への大幅な予算削減の結果にすぎません。知事は小泉内閣による家計と地方へのこうした負担押しつけをどう評価されていますか、所見をうかがいます。

 こうした悪政の防波堤の役割を果たすはずなのが、地方自治体であります。

 ところが、税金の使い方に関してみると、県政においても九〇年代半ばから始めた大型公共事業偏重でつくりあげた借金の返済に追われ、そのツケを、県民の暮らしのすみずみにまで押しつけながら、一方で大型事業を温存し、不要不急の事業に税金をつぎ込む姿から脱していないのではないでしょうか。

 県民へのツケという点では、今年度実施した敬老祝い金の廃止、重度心身障がい者の入院食事代助成の廃止は、「なぜそんなことをしたのか」と県民のみなさんの怒りの声を私は各地で聞きました。

 同時に、「なぜ小名浜沖にいまお金をかけて人工島を造らなければならないのか」との声も同様に聞きました。とりわけ漁業にたずさわるかたがたからは、 「人工島造りよりも、漁業のほんとうの振興と漁民の暮らしを考えてほしい」との切実な声を聞きます。

 当局は、この人工島をやめても浮くお金はたいしたことはない、といいます。しかし、総事業費予定七三〇億円、そのうち県が負担するのは借金を含めて四二〇億円あまり、今年度まで県は一四〇億円あまりを費やし、今年度も七億六千万円あまりを使い、来年度も今年度程度を予定しているようです。重度心身障がい者の入院時食事代の助成にかかる費用は四億円程度です。どこが「たいしたことはない」のでしょうか。

 私は、この小名浜東港地区の人工島については凍結し、宮城県や茨城県の近隣港湾との連携や、県民の要望、県内の経済社会情勢などからあらためて検討しなおすべきだと思いますが、知事の考えをお示しください。

 また、県が首都機能移転事業にお金を費やしていることを県民のみなさんへ知らせると、「なぜそんなことにお金を使うのか」と驚くと同時にあきれる声ばかりです。不要不急の最たるもので、執行額も毎年減るものの、すでに八億円あまりを費やし、来年度も千五百万円あまりの計上です。首都機能移転対策事業への予算計上をきっぱりと取りやめるべきだと思いますが、知事の見解をお示しください。

 次に原子力行政についてうかがいます。

 政府は昨年一〇月、本県の意見を一顧だにせずプルサーマル推進を明記した原子力政策大綱を決定し、今年の一月六日、電力各社がプルトニウム利用計画という名のプルサーマル計画を公表しました。

 この計画で使われようとする原子炉の数は、ただの一基でも実現していない九七年の計画と同じであり、従来計画の引き写しにすぎません。

 知事は、九七年計画への事前了解を白紙撤回し、今回の計画が明らかにされた際にも、「県内の原発での実施はありえない」とするコメントを発表しました。その姿勢を私は高く評価するものです。

 私たちがプルサーマルを問題にするのは、MOX燃料を使う原子炉の安全性への疑問、核燃料サイクルのうえでの技術的困難に対する疑問になんら答えない計画だからにほかなりません。

 原子炉の問題でいえば、制御棒の利きが悪くなる問題への対応が不明確であるうえ、原子炉に異常が生じた際にどうなるのかの検討もないまま、試験的な運転をいきなり商業用原子炉で行なおうとする計画であります。

 核燃料サイクル上の問題でも、MOX燃料を使うことで放射線の防護が困難になること、同じく核分裂をしない始末に終えないプルトニウムがどんどん蓄積されること、さらには高レベル放射性廃棄物中に数万年・数十万年という極端に寿命の長い放射性元素が増加するのに、その処分方法すら決まっていません。

 したがって、老朽化が進むばかりの原発において、プルサーマルは、原発の現状の危険と問題をいっそう増大させるものであり、県内原発での実施はありえないものです。

 さて、二〇〇二年に発覚した東電のトラブル隠しの九年も前の一九九三年、第一原発6号機で、交換した原子炉給水流量計の精度試験数値が改ざんされていたことが今年の一月三一日に明らかになりました。県が指摘するように、「システムとしてコントロールできる体制づくり」を国と事業者に求めることは当然です。

 東芝は福島第一、第二にある計10基のうち6基の建設にかかわっていると聞いています。コントロールできるシステムがないまま、一三年前の改ざんが明らかになったわけですから、その前後に同様の事態がなかった保障がないことは、第一原発6号機以外の流量計では不正はない、としていた東芝が、実は東電柏崎刈羽原発7号機でも同様の不正があった可能性が高い、と発表したことや、なによりも長年にわたった東電の不正隠ぺい事件でも明らかなことです。県は、この事案の背景に関してどのような認識をおもちかお聞かせください。あわせて、東芝がかかわった県内原発に関し、県を含めた第三者による総点検をすべきだと思いますが、考えをお示しください。

 また、先月七日の東電の発表によれば、第二原発3号機の原子炉再循環系配管の継ぎ手で昨年五月、深さ五・八ミリ、長さ約一七ミリのひびが見つかったとされる部分を切り出して調べたところ、ひびの深さは実は七・八ミリで、ほかにも深さ五・四ミリのひびが入っていることを発見した、とのことでした。

 もともとこのひびは、「維持基準」に照らして「五年以上運転を続けても問題ない」とされ、念のため交換して調べたらわかったというものです。

 知事は、二月一六日の会見で、「応力腐食割れに関する客観的な見解がまとまっていない中で、溶接だと判断したらひびだった。現実はこれが技術のレベル」と述べていますが、まったくそのとおりだと思います。原発の老朽化がいかに想定外の事態を生み出し、同時に、「維持基準」のでたらめさ、超音波探傷試験能力の認証制度の危うさを露呈したものというほかにありません。

 制御棒のひび割れ、冷却水の水漏れなどハード面のトラブルがあいかわらず発生し続け、なおかつ、技術未確立な検査を導入しようとしたり、納入期限に間に合わせようとするためにデータを改ざんすることも、シュラウド交換など多額の費用をかけて大規模改修を行ない、なるべく長く使おうとすることからくるものであって、すべてが原発老朽化に関係するものではないでしょうか。ハード面でもソフト面でも、不安定要因をどんどんと蓄積させているのがいまではないでしょうか。日本原子力研究所の研究員を長年勤めた研究者が、「この原発だけは『廃炉』を」と提言する福島第一原発1号機から5号機は、県としてはっきりと廃炉の検討を求めるべきではないでしょうか。見解をお聞かせください。

 次に、義務教育費国庫負担にかかわる知事の認識をうかがいます。

 知事は、今年の年頭所感においても「義務教育費国庫負担金の廃止を始め、更なる分権改革を推進」するとして、義務教育費国庫負担の廃止をあたかも分権の象徴のように見ているようであります。私は知事の考えはまったくのお門違いではないか、と思います。

 この問題が浮上したのはいわゆる「三位一体の改革」に端を発します。だいたい政府によるこの「三位一体」は、二〇〇三年六月の「骨太の方針第三弾」で明らかにされたように、奨励的な国庫補助負担金についてはその八割を税源移譲し、それとは別に地方交付税の縮小は進める、というものですから、もともと「三位一体」ではなく、「三位バラバラ」が本質です。「三位一体」の言葉を使うなら「いつわりの三位一体」です。

 それはともかく、二〇〇四年六月の「骨太の方針第四弾」によって三兆円規模の税源移譲を行なうことになりました。どこから捻出するか。二〇〇五年度の義務教育費国庫負担金は約二・五兆円ですから、これを一般財源化すれば、残りは五千億円であり、三兆円規模の補助金削減には他の省庁や関係諸機関も応じられないが、五千億円なら削減に応じるだろう、というのが事の真相ではないでしょうか。

 政府の骨太の方針では、二〇〇三年、二〇〇四年とそれぞれ「地方交付税の財源保障機能については、その全般を見直し、…縮小していく」「地方交付税については、地方団体の改革意欲を削がないよう、国の歳出削減の見直しと歩調を合わせて、地方の歳出を見直し、抑制する」と明記されています。

 こうしたもとで、義務教育の水準維持に必要不可欠な教職員の給与費が一般財源化された場合、これを教職員の給与費以外に使わないとする保障はあるのですか。その根拠をふくめてお答えください。

 知事は前議会での神山議員の質問に対し、義務教育関係経費に占める国庫負担金の割合は三割をきっているのだし、教育は地方の事務になったのだから義務教育費国庫負担廃止は当然であるかのような答弁をされました。

 義務教育関係経費の国庫負担割合が三割をきっているのは、一九八五年度に旅費・教材費、八九年度に恩給費、九三年度に共済費追加費用など、二〇〇三年度に共済費長期給付、公務災害補償、そして二〇〇四年度に退職手当、児童手当が次つぎと一般財源化されたからにほかなりません。

 そこでうかがいますが、これら一般財源化された財源は、県として、義務教育費関係経費以外に流用はしていない、と明言できますか。これも根拠をお示しのうえお答えください。

 いずれにせよ、一般財源化されれば、それをどう使うかは知事の裁量になりますから、選挙で知事が代われば、教育の方針や政策が変わりうることも当然のことです。また、予算編成時においても、教職員の給与をふくむ教育予算の配分も折衝や審議の対象になりますから、政治的圧力や統制が教育と教育行政に及ぶこともありうることです。つまり、知事や一般行政の権限が強まり、地方における集権が強まることの懸念にはどう答えるのでしょうか。お答えください。

 私は、この義務教育費国庫負担の問題が、国の歳出抑制という発想から始まり、財界の意向が直接に反映される経済財政諮問会議が主導しているがために、教育の改善・充実をどうするかがすっぽりと抜けたままの議論になっていることがきわめて重大な問題だと思っています。

 義務教育の社会的意義をどう考えるか、国が憲法に基づき義務教育分野で責任をもっておこなうべき事業は何か、義務教育に対する国と地方の役割・責任分担はどうあるべきか、など、本質的な議論がされていないのではないでしょうか。

 義務教育にとって、その水準維持・財源確保と、地方の裁量とは、両方とも不可欠な要件です。そうであれば、義務教育については、国の責任においてその基本的な枠組みを決め、かつ、財源の保障をとおして教育水準を維持し、そして地方の裁量で公立学校の設置・運営を始め、その事業を推進する、というのが憲法に基づいた姿だと思いますが、県教育委員会委員長の見解をお聞かせください。

 教育の関連で、今年一月三一日付けで出された教育長名の「福島県立高等学校学則の一部改正」の通知に関してうかがいます。

 これは、授業料の未納者の除籍を追加するという、教育的見地から見るならば、およそ教育的でない考えを現場に持ち込むことではないでしょうか。

 高校進学率が九七%を超え、半ば義務教育の状況に近くなっており、授業料免除の制度を充実させるなど、子どもの「学習権」を保証することこそ県政に求められると思います。

 県は二〇〇四年に「三か月以上の滞納者に対して出席停止処分にする」とした「マニュアル」を策定して県民を驚かせました。この一年半に「出席停止処分者」が一人も出ていないにもかかわらず、一貫して子どもや保護者を犯罪者扱いし、「重罰を課す」と脅せば未納が減ると錯覚しているのではないですか。

 いま、教育も社会も、知事がいう「共生の論理」による教育と社会をめざすのか、そうではなく、「競争原理」「強者の論理」によって教育と社会を再編し、そこで生じるもろもろの不平等や差別・排除を能力主義と自己責任論によって正当化するのか、その岐路に立っていると多くの人々は感じていると思います。

 また一方、一九六六年の国連の「経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約」の第一三条(b)(c)項は、中等・高等教育の無償制を求めています。この条項に対して留保しているのは、締約国一五一か国中、ルワンダ、マダガスカルと日本の三か国だけですが、「経済大国」日本の姿勢は際立っています。高等教育の無償制は世界のすう勢です。

 知事が「大きな時代の変化に的確に対応していく」として「本県独自の施策展開」を進めるならば、高等教育の無償制をとおして教育の充実を図ろうとする世界のすう勢にこそ目を向けるべきです。

 私は、教育の現場で、ともに生きる「共生」、ともに創る「共創」を生かす立場から、この強権的な「学則改正」を撤回すべきだと思いますが、県教育委員会委員長の見解をお示しください。

 次に県内医師不足対策についてうかがいます。

 県内の医師数は、二〇〇二年から二〇〇四年の二年間で、人口当たりでは微増ですが、実数では減少しています。二〇〇四年の人口十万対医師数は全国平均より三〇人少なくなっていますから、実数では六三〇人の不足です。

 その日本の医師数は、OECD調査でも三一か国中、下から四番目という低さです。政府が「医師過剰論」を前提としていることは問題ですが、へき地対策や診療科での偏在、女性医師の就業環境整備を当面の課題として対策に乗り出していることは注目すべき点だと思います。

 本県においても医師確保を県政の重要課題として位置づけるとともに、医大においても総合診療部の開設、全国に先駆けて医学生がホームステイ方式で地域医療を体験するカリキュラムを導入したことなどはおおいに評価できるものです。

 重要なことは、当然のことですが、医師が自発的に県内に定着し、働き続けられる医療環境をつくることだと思います。特定診療科従事やへき地勤務を義務づけるような強制は、短期的に効果がでるとしても、これに頼るだけでは解決しないと思います。

 医学部をめざす高校生の段階、医学部学生の段階、卒前教育、臨床研修、後期研修、さらには医師としての研修機会の確保など、医師のライフステージに配慮しつつ、医師が生涯を通じて自発的に県内で医療活動を続けられるような医療環境を整備する県としてのグランドデザインが必要だと思いますが、見解をお聞かせください。

 また、医師の意欲がわきでる条件整備という面からいえば、何と言っても医師の研修と労働の環境を整備することは不可欠です。臨床研修指定病院に対する指導医確保や指導単位を保障するしくみ、県立病院の機能強化、医師の過重勤務を解消して潤いとゆとりがある生活の保障、それぞれの地域での機能連携、医療資源の効率的活用、比重が高まっている女性医師に対する支援、さらには中高年医師への支援などは、それぞれの事業者の努力だけではままなりません。直面する課題から中長期的に解決を図る課題までさまざまですが、これら施策や支援の具体化について県の考えをお聞かせください。

 さて、県内の医師数は県内地域のアンバランスも大きなものがあります。二〇〇二年度の数字で見ると、人口十万対で県内平均を下回っているのは南会津・相双・県南・会津・県中です。絶対数が少ないなかで、県北・いわきに偏在しているわけです。相双地区は、絶対数で見れば県平均から一二〇人、県南は六〇人、会津地方はそれぞれ二〇〜三〇人少ないのではないでしょうか。問題はこの二次医療圏における偏在だけではありません。たとえば県中の一九九八年から二〇〇四年までの医師数の推移を見ると、郡山市では九〇人ふえていますが、須賀川市では変化がありません。県北では、福島市では医大も含めれば五二人ふえていますが、二本松市では四人減っています。二次医療圏内においても、都市部に偏在する傾向が見られるわけです。

 住民にとって、日常的にかかりやすい範囲で必要な医療提供の体制を整えることは、事業者の良心で行なえるものではなく、やはり行政の役割は大きいといわなければなりません。私は、県民に身近な規模とする二次医療圏再編も視野に入れることも必要だと思いますが、各医療圏で完結できる医療供給体制の整備を図るため、県はどんな役割を果たそうとするのか、考えをお聞かせください。

 次に介護保険についてうかがいます。

 改定された介護保険は、昨年十月から一部実施され、今年四月から全面実施となります。もともと今回の見直しは、現実の介護の実態から出発したわけではありません。二〇〇四年四月、日本経団連は「介護保険制度の改革についての意見」を出し、社会保障の「高コスト構造」の「是正」と、新たな介護市場の創出を要求しました。こうした財界主導の「介護保険見直し」が具体化されてきたものです。

 ですから、介護保険導入時には県も市町村も、国といっしょになって、その導入の目的である「家族介護から社会が支える制度へ」、すなわち「介護の社会化」を錦の御旗として振りかざしたものの、今回の見直しにあたっては、政府によるその検証もないまま、「自立・自助」が前面に押し出されることになりました。

 そこでうかがいますが、県としては、介護保険導入当時の目的である「介護の社会化」がどのように実現し、どのような問題があると検証され、改定介護保険のもとで、介護保障と呼べるにふさわしい「介護の社会化」を進めるためにどのようにいかそうとされるのか、あるいは「介護の社会化」などはもはや不必要な理念とお考えなのか、お聞かせください。

 次に、新たな制度における市町村や現場への県としての支援にかかわってうかがいます。制度が大きく変更されることにともない、地域包括支援センター職員、ケアマネジャーやホームヘルパーの業務研修、介護認定審査会委員の研修など、それぞれの現場で介護保険を支えるかたがたにゆきとどいた研修が必要なことはいうまでもありません。そこでうかがいます。県は市町村の要望に基づき、各種研修をきめこまやかに実施すべきと思いますが、とりくみ状況をお聞かせください。

 なお、創設された新予防給付は、アセスメント、ケアプラン作成、「包括払い」の介護報酬など、さまざまな面でサービス切り捨てに誘導しようとするしくみが組み込まれていることは明らかです。そのことが国会で大問題になったため、当時の厚生労働大臣は「適切なケアマネジメントに基づいて提供される家事援助は認められる」「当該サービス期間が終了いたしましても、引き続き当該サービスが必要な場合には、当然に新たな提供期間が設定されて引き続きサービスを提供すべきもの」(〇五年四月二七日、衆院厚労委、尾辻大臣)と答弁し、県も昨年九月議会で、軽度者への家事援助サービスについて、「一律に制限されるものではなく、ケアマネジメントによる個別の判断に基づき、サービスを受けることが可能」と答弁されています。

 そこであらためて確認します。何が「適切なケアマネジメント」であるかの判断は、利用者本人の意思やケアマネジャーの専門性に属するものだと私は考えますが、見解を求めます。

 ところで、二〇〇四年度末現在の県の数字によれば、六五歳以上の高齢者四六万八一三一人のうち、住民税非課税のかたが三八万八六八人、実に八一・四%、圧倒的に本人は住民税非課税です。

 ここに小泉内閣による大増税がおそいかかり、高齢者の住民税は来年度、公的年金等控除の縮小、老年者控除の廃止、非課税限度額の廃止、定率減税の半減、と四つの改悪がのしかかります。これにより、年金収入は減るにもかかわらず、新たに住民税が課されることとなり、そのうえ介護保険料段階も高い段階へ移行させられる高齢者が発生します。いったい、税制改定により県内ではどれほどの高齢者が高い保険料段階に移行させられるのかお示しください。

 国では、〇五年度の「税制改正」、すなわち定率減税の半減と非課税限度額の廃止の影響に限り、二年間だけの経過措置というきわめて不十分な対策で終わらせようとしていますが、県は市町村と一体となって、きめこまやかな低所得者対策をいまこそ講ずるべきだと思いますが、見解をお示しください。

 また現在、社会福祉法人が運営する特別養護老人ホーム、訪問介護、通所介護、短期入所の四つのサービスについて、法人が利用者負担を軽減できるように、国や自治体がその費用の一部を公費で補助するしくみがありますが、介護老人保健施設や介護療養型医療施設の入所者の利用料は、このしくみの対象にはされておりません。社会福祉法人以外の法人によるサービスであっても利用者負担軽減制度の対象とするよう県独自に拡充することが必要と思いますが、考えをお示しください。

 最後に出納局長にうかがいます。県警本部では毎年、出納局を通じ、警察官制服について指名競争入札で二億五千万円を超える買物をしています。

 そこでうかがいます。二〇〇三年度、二〇〇四年度、および今年度は昨年一二月までの各年度の入札につき、入札回数と、そのうち一〇〇%落札率は何回あったか、その一〇〇%落札による金額総額は、各年度の落札総額のどれほどの割合を占めるのか、また九九%台を含めるとその割合はいくらになるか、それぞれうかがいまして、質問を終わります。

答弁
1、予算編成について
総務部長
 予算編成につきましては、少子高齢化の急速な進行など、本県をめぐる社会経済情勢の急激な変化を踏まえ、新たに定めた5つの重点推進分野に、財源を優先的に配分することにより、県民の安全・安心の確保や、人権尊重にもとづく共に生きる社会環境づくり、企業誘致の促進等による雇用の場の確保などに、積極的に取り組むこととしたところであります。

2、平成18年度政府予算案について
企画調整部長

 政府予算案につきましては、公共投資が大都市圏に手厚く配分される一方、地方への配分は削減されるなど、地域間格差の拡大につながるのではないかと懸念しております。

 また、三位一体改革の第1期改革は、3兆円規模の税源移譲は実現したものの、地方の自主性を高め、裁量を拡大するという改革の本旨からかけ離れた結果になったものと認識しております。

 今後、税源移譲に伴い、地域間の財政力格差が一層拡大することから、地方交付税による財源保障・財源調整機能の充実強化など、税源に乏しい過疎地域等に対する配慮を国に対し、強く働き掛けてまいる考えであります。

3、新年度予算について
土木部長

 小名浜港東地区につきましては、平成15年度に港湾計画の見直しを行い、平成16年度の県公共事業評価委員会の審議を経て、事業の実施をしているところであります。

企画調整部長
 首都機能移転につきましては、東京一極集中がさらに深刻化しているほか、大規模地震への対応力強化の観点からも、その意義、必要性は一層高まっているものと認識しており、国会等移転に関する政党間両院協議会の議論の動向等を注視しながら、今後とも、他の2つの候補地等とも連携しながら、国会への働き掛けや国民的議論の喚起をはかるなど効果的な取り組みをねばり強くすすめてまいる考えであります。

4、原子力行政について
生活環境部長

 東芝による不正事案の背景につきましては、県といたしましては、現在、立地自治体が知り得ない技術的な事業者内部の問題に関して、国及び事業者が、立地自治体に代わって、立地地域住民を始め県民の思いを受け止め、システムとしてしっかりとコントロールできる体制の構築を、根本的に考えるよう求めているところであります。

 今後とも、県民の安全・安心を最優先に対応してまいる考えであります。

 次に、東芝がかかわった原子力発電所に係る第三者による総点検につきましては、法令等に基づき、原子力発電所の設置・運転等に係る安全規制について一元的に管理している国が責任を持って対応すべきものと考えております。

 次に、福島第1原子力発電所に係る廃炉の検討につきましては、原子力発電所の安全確保については、法令等に基づき安全規制を一元的に管理している国が、責任を持って対応することが何より重要と考えております。

 県といたしましては、原子力発電所の高経年化対策について、立地自治体の立場から立入調査を実施するなど、引き続き、県民の安全・安心の一体的確保を基本に、国及び事業者の安全確保に係る取り組みを、厳しい目線で見てまいる考えであります。

5、義務教育費国庫負担について
教育長

 義務教育費国庫負担金が一般財源化された場合の給与費については、平成18年度予算において、所要額が措置されております。

 今後とも所要額を確保してまいります。

 次に、これまで義務教育費国庫負担金から一般財源化された経費にあっても、必要な予算額が措置されているところであります。

知事
 義務教育費国庫負担金を含めた三位一体改革につきましては、私は、住民に身近な行政は、住民に近いところに権限も財源も移譲し、それぞれの地域の特性を生かして行われるべきとの認識に基づき、その実現に取り組んできたところであり、義務教育につきましても、国庫負担金の廃止と税財源の移譲を通して、地方が自らの責任の下、地域の総意と工夫に基づいたきめ細かで多様な取り組みがより一層可能になるものと考えております。

 いずれにいたしましても、ふくしまの未来を担う人づくりにつながる教育は、地域社会を形成する上で、ますます重要な位置づけとなっていることから、今年度から実施している小・中学校全学年への30人程度学級等、本県独自の教育元年としての取り組みを県教育委員会との適切な役割分担の下、緊密な連携を図りながら進めており、知事や一般行政に権限が集中し、教育行政が損なわれるという懸念はないものと考えております。

教育委員会委員長
 義務教育における国と地方の役割につきましては、国は、教育制度の枠組みや義務教育の基本的な内容及び水準を定め、税源移譲等による確実な財源確保を講じて教育水準を保障し、地方は、地域の実情をふまえ、創意工夫により自主的・自立的な教育を行うものと考えております。

6、福島県立高等学校学則の改正について
教育長

 県立高等学校授業料の未納者の除籍につきましては、現在、経済的に困窮している生徒に対しては授業料免除、奨学金制度の利用等により、対応しているところですが、そのような状況にない生徒で関係職員による保護者への面接や家庭訪問等により再三の督促を行ってもなお納入しない者をやむを得ず除籍することができるとしたものです。

 したがいまして、その適用にあたっては、未納であることをもってのみ除籍するというものではなく、より慎重に対応してまいる考えであります。

7、県内の医師不足対策について
保健福祉部長

 医療環境の整備につきましては、医師をめざす高校生への啓発や県立医科大学や自治医科大学における学生の教育、臨床研修医の指導、さらには、医師の県内への就職及び定着の促進などに努めるとともに、医科大学等の教育機関や市町村、医療関係機関等との連携を進めることにより、総合的な医療環境の整備充実を目指し、今後とも、医師の確保に努めてまいりたいと考えております。

 次に、研修と労働の環境整備につきましては、独自の施策であるへき地勤務医の研修制度や臨床研修指導医養成講習会などによる研修機会の確保、また、医療機関の機能連係と機能分化による効率的な医療資源の活用などにより、医師の資質の向上と働きやすい環境づくりに努めているところであります。

 今後とも、国の医療制度改革の動向も見据えながら、取り組んでまいりたいと考えております。

 次に、医療提供体制につきましては、「うつくしま保健医療福祉プラン21」において地理的条件や医療等の需給関係などを考慮し、医療圏を定めております。

 二次医療圏につきましては、7つの生活圏を基本とし、入院医療、専門外来医療を提供する区域に位置付けるとともに、各種の指標を掲げ、医療水準の向上に努めております。

 今後とも、県民が安心して暮らせる医療提供体制の整備に努めてまいります。

8、介護保険について
保健福祉部長

 介護保険につきましては、本県の運営状況を見ますと、平成16年度においては、制度創設時と比較して要介護認定者数で約1.6倍、サービス利用者数で約1.7倍と大幅に増加しており、また、利用者アンケートにおいても、制度への理解の深まりなどを示す調査結果が出ていることから、介護の社会化が定着したものと考えております。

 しかしながら、近年、軽度者が大幅に増加してきており、今後は、高齢者独居世帯や認知症高齢者の増加も見込まれておりますので、介護予防の推進や地域密着型サービス等の整備促進に努め、高齢者が、住み慣れた地域で尊厳を持ち、自立して生き生きと暮らしていけるよう、新しい介護保険制度を円滑に運営してまいる考えであります。

 次に、地域包括支援センター職員等の研修につきましては、国が設定した研修の枠組みに加え、県独自の研修カリキュラムを設定して、センターに配置される保健師等3職種合同による研修を方部別に開催するなど、地域包括支援センターの円滑な立ち上げを支援してまいりたいと考えております。

 次に、軽度者への家事援助についてのケアマネジメントにつきましては、保健師等の専門職が本人の意向をふまえ、心身の状況や置かれている環境等について課題の分析や評価を行い、適切な介護予防ケアプランを作成することにより、必要となるサービスの利用が図られるものと理解しております。

 次に、税制改正に伴う介護保険料段階の移行につきましては、市町村の試算によると、65歳以上の第1号保険者48万人の約12%にあたる5万6千人の方の保険料段階が上がる見込みとなっております。

 なお、これらの方々については、平成18年度から2カ年において、激変緩和措置が講じられることになっております。

 低所得者対策につきましては、今回の制度改革においては、施設利用の際の居住費・食費について利用者の負担能力に応じた負担限度額が設定されているほか、高額介護サービス費の見直しや社会福祉法人による利用者負担軽減制度の運用改善など、きめ細やかな低所得者対策が講じられており、県としても、相応の負担及び支援を行っているところであります。

 次に、利用者負担軽減制度の拡充につきましては、この制度は、社会福祉法人の社会的な役割にかんがみ、国の特別対策として実施されたているものであり、対象法人の拡大などついては、国の責任において、恒久的な仕組みとして制度化すべきものと考えております。

9、警察官制服の指名競争入札について
出納局長

 警察官の制服、ワイシャツ、帽子、靴等の指名競争入札につきましては、入札回数及びそのうち落札率100%の回数は、平成15年度が入札36回のうち23回、平成16年度が入札36回のうち23回、今年度が入札19回うち1回となっております。

 また、落札率100%の金額が落札総額に占める割合は、平成15年度が51.4%、平成16年度が53.4%、今年度が0.7%となっており、これに落札率99%台を含めた金額の落札総額に占める割合は、平成15年度が69.9%、平成16年度が74.8%、今年度が68.6%となっております。

再質問
 最初に知事にお伺いします。いま教育委員会の委員長から答弁があった、国と地方の役割との関係ともかかわりますが、知事は地方における集権制ということはないというようなお話で、私には知事の希望的な観測のように聞こえます。私は国と地方との関係の役割を考えたときに憲法26条が、国民は「ひとしく教育を受ける権利」があって、「義務教育はこれを無償とする」とし、これを受けて教育基本法3条は教育の機会均等の原則を定めて、さらにこれらを受けて義務教育費国庫負担法は、義務教育の「妥当な規模と内容」を保障するために、「国が必要な経費を負担することにより、教育の機会均等とその水準の維持向上とを図ることを目的とする」というふうに明記しております。これを前提とするならば、教育委員会委員長がお答えになったような財源の保障は国がキチッとやり、教育の条件整備は国が行い、その財源保障に基づいて地方の裁量で事業を推進をする、そういう関係があって初めて知事がおっしゃるような地方の裁量のある教育行政が展開できるのではないかと思います。知事の認識を改めてお伺いします。

 総務部長がお答えになったので総務部長に伺います。知事は年頭所感においても「地域間格差が拡大しているほか、業種間、個人間での格差も拡大」していると指摘し、「経済の論理や企業の論理を優先する」ことを批判されていましたし、今議会冒頭でも基本的にそのような認識を示されました。ですから、私は、知事の姿勢が「政治の鏡」である予算や予算編成方針に当然表れるものと認識しておりますけれども、質問の中でもふれましたように、今年度、高齢者の敬老祝い金を廃止したり、重度心身障がい者の食事代の助成をやめたりというようないきさつがあるわけです。それらの穴埋めをして余りあるような施策展開をしてこそ、格差社会の中で社会的弱者といわれる高齢者や障がい者やあるいは若者に対する支援というのが出てくるのではないかと思います。冷たい仕打ちが続いているのであらためて見解を示していただきたいと思います。

 生活環境部長にお伺いします。県議会が始まる前にエネルギー政策議員協議会があり、その中で廃炉の問題のやりとりがありました。私は傍聴者でしたけれども。そのときに国は、廃炉は事業者が言うことであって、原子力安全保安院は廃炉に関して関知しないというようなお話をされていました。福島原発というのは、沸騰水型の軽水炉だが、もともと完成度の低い状態でアメリカから日本に移入をされたという経過があるわけです。アメリカでは次々とこの沸騰水型の大型化を進めてきたという経過があって、1960年に20万kW以下の運転開始が始まったと思いきや、1963年には50万kW、65年には60万kW・80万kW級の原発発注がされた。まさに運転経験も積まずに次の大型化したのがアメリカでの沸騰水型の軽水炉のいきさつだったわけです。福島第1原発の1号機が1965年の設計。2号機から5号機までが66〜67年の設計となっていて、まさに第一世代に属し、使い古しというだけでなく、タイプや材料が古い、設備利用率が低い、沸騰水型原発の世代論から見ても、県が率直に廃炉を提起したらいいんじゃないかと思いますのであらためて見解をお示しいただければと思います。

再質問への答弁
知事

 教育委員会委員長さんもですね、いま確認しましたが、税源移譲等による確実な財源保障を通じて、ということをおっしゃっておりました。私どもも国庫負担金ではなく税源移譲をしていただいてですね、そして義務教育費全額が一般財源化された場合でも、国が定めた水準を守るために必要な教育費の支出は現行法においても担保されておりますので、たとえば地方教育行政の組織及び運営に関する法律等によってもですね担保されておりますので、問題ないというふうに考えております。それ以上に私ども、教育こそ人づくりを担う県政の最重要課題として取り組んでおるとことでございます。議員おっしゃるような共済費、退職手当等が一般財源化されてきており、2.9兆円もの地方交付税が残念ながらカットされて、それでも義務教育の水準を守っているのは都道府県だということもご理解いただきたいと思います。

総務部長
 当初予算の編成にあたりましては、県民1人1人に光をあてるということも基本的態度の1つとして行ったところでありまして、そのようなことから新規事業の中から具体的な例をあげて申し上げますと、例えば自殺対策行動計画の作成とか、うつ病予防対策を行う心の健康自殺予防対策事業、あるいは社会的な適応能力十分でないニートに講ずるニート自立支援事業、それから専修学校での生活困窮世帯の生徒の授業料減免に対しましてこれも補助を行うこと等々を新規事業として構築したところでありまして県民1人1人に光をあてるということがこのようなところで具体化をしている例だというふうに考えております。

生活環境部長
 福島第1の廃炉の検討につきましてですが、先ほど申し上げましたとおりですね、法令等に基づき安全規制を一元的に管理している国、設置許可をやっている国ですね。それが責任を持って対応すべきと考えてございます。

再々質問
 出納局長にお聞きいたします。先ほどの答弁で非常に高い率で落札されていることがわかりました。そこで、100%がこれだけ確率が高いということは10円単位までぴったりと合って落札されているものもあるわけですけれども、なぜこのように高い落札率なのか出納局としてはどのように評価をしているのか、県民感情にそくしてご説明いただければと思います。あわせて、入札業者も毎回6〜7社あるわけですが、落札回数で見ると特定の2業者が常に7割位を占めているわけです。ですから、税金で買い物をしている以上は、高落札率や特定具業者にかたよっている背景ですね、表に出ている伝票だけでなく背景、例えば人の動きも含めて何かあるのかないのかということは明らかにすべき事柄だと思いますけれども、出納局長の認識をお聞かせいただければと思います。

 知事にお伺いします。国と地方の役割を考えたときに2003年度くらいまでは、国が財源を出すけれども教育の行政について口も出すというか、規制するということだったと思うんですよね。これが選択肢としては1つ。もう1つは、国が財源を保障はして、地方が事務事業の具体については自由にやれるということ。3つめが、財源も事務事業についても地方の裁量にもとづいてやるという選択肢だと思うんです。これを地方と財源という関係で見ると1番目は自由のない財源ですよね。2つめは確実な財源保障のもとでの地方の自由な裁量ということですよね。3つめは財源のない自由ということなんだと思うんですよ。私はどう考えても確実な財源保障に基づいた地方の自由という2番目の道が当然にこれから追求されるべきことだと思います。憲法と教育基本法と義務教育費国庫負担法に基づき、国がこれらの法体系のもとで口を出すなんていうことは本来ない仕組みですから、もう一度原則に戻すという、それが知事の言うような教育を本当に県政の柱にすえていく方向なのではないかと私は思っています。ぜひその点をもう一度お答えいただければと思います。

 保険福祉部長にお伺いします。保険医協会という、おもに開業医で構成する団体が調査をいたしまして、2月26日の「河北新報」の1面に載った記事がありますけれども、介護施設入居者、負担増で194人退所という記事です。これは東北6県全体の話であります。介護保険施設587施設から回答があり、負担増が原因で退所した人がいる施設が98、退所者数が194人、退所者に占める要介護4・5の重度者が41.2%、負担の増額分が月2万円以上の人は137人で退所者総数の71%、月7万円以上の負担増を強いられた人も26人(13%)、退所者のうち113人(58%)は「在宅」に戻っているということなんですね。さらに、退所予定者がいる施設が35、利用料の滞納者がいる施設が147、利用料を聞いて入所を取りやめた人がいる施設は69等々ですね、「家族介護からの解放」「介護の社会化」をうたった制度のもとで、負担増のため在宅介護に逆戻りする状況が生まれていると、調査をされた方々も指摘をしているわけです。こうした現実は福島県内でも同じような傾向があるわけですけれども、保険福祉部長としてはどのように受け止められているのか、私は格差縮小のために県が具体策を市町村とともに講じるということと、改定にともなう影響について詳細な実態調査を県として行うということと、低所得者対策については恒久的対策を国に対して県としてしっかりと求めるということをハッキリとすべきではないかと思いますけれども、改めて見解をお示しください。

再々質問への答弁
知事

 私は必要以上に政治的中立性をですね、知事に就任してから良識をもってしないようにやってまいりました。ざっくばらんに言って共産党の先輩議員の先生からももう少し教育に口を出すべきだということまで言われたことがございます。表現はちょっと今あれですが、言われて「ハーッ」と思ったことがあります。ただ数年前からですね、所得と学力、例えば大学進学率等が比例しているとかですね、教育の問題が非常に異常な状態になってきておる中で、教育委員会の方が3役と懇談をしたいということで、4・5年前になりますか、30人学級が始まるちょっと前でございましたが、1時間くらい徹底した議論をしたのを覚えております。そういう中で国は40人学級なんですよ。しかし教育委員会はこの福島県の教育をよくするために小学1・2年と中学1年を30人学級にしたいと、その他のいろんなテーマももってきました。かなり激論をいたしました。私は文部省の呪縛から縛られている教育委員会とは申しませんが、少なくとも自由に羽ばたこうと福島県の子どもさん方のためにということを非常に高く評価を致しまして、3役と懇談した中で結論として、次の年から小学1・2年と中学1年の40人学級から30人学級というのを始めました。結果はすばらしい結果が出ておる。当時、30人学級なんて文部省の誰も言ってないことであります。そういうことをやられたわけであります。その結果がすばらしいということで全学年ですね、18年度何県がやるかわかりませんが、少なくとも17年度に全国で初めて30人学級をすすめたわけですね。だから金はちゃんと保障するけれども自由にやっていいという部分がですね、現実はですね、いろんな話が飛び交っているようにもう公教育が首都圏なんかでは、私学や塾に丸投げで、それじゃ塾がない南会津なんかはどうすんだ、あるいは塾のないところはどうするのか、言い過ぎかもしれませんが、例えば塾がない市町村がいっぱいあります。福島県なんかはこのごろ急激に増えていますけれども、そういう状況の中で教育委員会が本気で考えることを応援していくということが必要になってきている。最初に申し上げましたように所得とですね学力が一致するなんていう時代ではだめなんで、地域の自分の子どもや孫をどう教育するかっていうのが一番真剣にみなさん考えているわけですから、その教育委員会さえ文部省の呪縛、もし地方の教育委員会があっているとしたら、その呪縛から解いてやらなくてはならないのが私の仕事だと思っております。

保健福祉部長
 介護保険の低所得者対策でございますけれども、これまで平成17年の10月から施行されましたが、利用者の負担軽減制度についてはきめ細かな低所得者対策が講じられ、県としても相応の負担を行っていると認識をしておりますが、なお、その後の入所者の動向については適宜調査を致したいと思います。それから社会福祉法人から全事業者への拡大の件でございますけれども、これは県からも国に対してしっかりとお願いをいたしておりますし、全国知事会からも低所得者対策については全サービス、全事業主体を対象とする恒久的な仕組みを制度化を図るべきだという要望を行っております。

出納局長
 落札率が異常に高いというのは先ほどの答弁の数値その通りでございます。それは現在の制服の仕様、警察官の制服の仕様ですけれども、平成6年度に警察庁の仕様に準じて作成されたものでございまして、それ以降、仕様に変更がないということで、同一仕様の物品について毎年必要ですから、繰り返し入札にかけるわけですね。それともう1つ特徴的なのは、市場性がない、一般的な定価も警察の制服ですからありませんね。そういったようなことで、入札参加業者は、おそらく前年度の落札価格を入札を行うときに参考にして、使っているのではないかと、これは私どもの推測ですけれども。また、昨今の経済情勢ですが、物価が安定的に推移しているという状況を考えますと予定価格が前年度の落札価格より高く設定されることは、仕様に変更がない限りないわけですね。予定価格というのは、そうすれば当然下がっていきます。その結果、予定価格と落札価格というのは、これは100%という場合もあるし、近似してきたんではないかなとそのように推測をしております。それから、もう一点。特定業者に集中している理由でございますけれども、これも警察官の制服は特殊なものですから、仕様が非常に厳しく、それで仕様の中身もですね、複雑、詳細にわたるために経験と技術が要求されます。さらに情報流失で偽造されたりしたらたいへんな問題になりますので、そういった偽造を避ける必要があることからですね、信用と実績のある業者による指名競争入札にしております。そういった結果、落札したものですから、それは落札の結果ということでお考えいただきたいと思います。



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