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2004年度(H16)普通会計決算についての反対討論
06・3・7  神山悦子
 日本共産党の神山悦子です。
 私は日本共産党県議団を代表し、継続議案第67号「2004年度普通会計決算」の認定について反対の立場から意見を述べさせていただきます。

 小泉内閣発足3年目の2004年度は、7月の参議院選挙、9月の県知事選挙と本県では大型選挙が続いた年でしたが、小泉内閣の国民いじめの特徴がはっきりあらわれた年でもありました。02年秋から始まった医療改悪、介護、年金、雇用保険の大改悪などによる国民負担増は4兆円以上になり、04年度政府予算では、さらに年金保険料の引き上げ、生活保護の給付削減、高齢者への増税、住民税均等割の増税などで毎年1兆円前後の負担増が追加され、06年度までに実施するものを含めると、くらしを破壊する庶民大増税7兆円の増税路線が本格化した年でした。

 同様に、地方自治体にとっても例外ではありませんでした。03年6月の「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2003」、いわゆる「骨太の方針・第3弾」が出され、04〜06年の3年間で、地方向けの国庫負担・補助金約4兆円の廃止・縮減を中心に、地方交付税の見直し・縮減、税源移譲を含む税源配分の見直しをするという、まやかしの「三位一体改革」の初年度でもありました。これにより、04年度は地方交付税交付金が総額1兆1,800億円の減、交付税の削減分を補てんする臨時財政対策債も減額され、合わせて2兆8,000億円の大幅な減額となり、地方では大変厳しい予算編成を強いられることになったのです。
 一方、地方への税源移譲は04年度約1兆円で、そのうち義務教育費国庫負担金は、教員の退職手当と児童手当分で2,309億円、公立保育所運営費補助金で1,661億円が削減されました。しかもこれらは、地方への「自由度拡大」という名目で市町村へ一般財源化されたものですが、これは国がナショナル・ミニマムの機能を保障という責任を放棄するものであり、結局、保育所運営費補助の一般財源化によって、市町村が保育料をアップし、人件費を抑制するなどにみられるように、一般財源化されれば国民に新たな負担増とサービスの質の低下をもたらすことになるのです。

 いずれにしても、県は、苦しくなるばかりの県民の家計への支援や市町村への財政支援が求められていた年であったことははっきりしています。

 さて、04年度一般会計の県の当初予算は、政府の厳しい地方交付税削減や臨時財政対策債の縮減もあり、総額9,096億円でスタートしました。前年度当初予算比では、予算総額も減額されましたが、款別歳出でみると諸支出費以外はすべて減額予算となりました。さらに、決算額は年度末の減額補正などのやりくりで、歳入は8,993億8,700万円、歳出は8,935億4,100万円、当初予算比160億8,700万円の減額、98.23%の執行額でした。翌年へ繰り越すべき19億円を差し引き39億円の黒字としましたが、実質単年度収支でみれば約2,700万円の赤字です。問題は、年間の予算執行が県民生活応援、市町村支援になっていたのかどうかです。

 まず、「財政構造改革プログラム」との関係についてです。
 04年度の県債残高は、当初予算を3千億円も上回る1兆2千億円、県民1人あたり57万円の借金となりました。県は01年に開催した未来博終了を境に緊縮財政に転じ、02〜04年までの「財政構造改革プログラム」を策定しました。性質別でみれば義務的経費の人件費は、02〜04年の3年間で60億円削減するはずが、わずか2年間で109億円を削減しました。
 これで財源不足は解消するはずでしたが、小泉内閣による「三位一体改革」による交付税と臨時財政対策債の縮減による歳入減、加えて庶民負担増や景気の悪化で県税収入が落ち込んだことから270億円の財源不足が生じることとなりました。したがって、「財政構造改革プログラム」を見直さざるをえなくなり、05〜06年のプログラム改定では、「枠配分方式」、さらなる人件費の削減で職員定数や給与削減、事務事業費の見直しをすることになったわけですが、もともと95年度以降続けてきた大型事業でつくった借金を、わずか3年で解消すること自体無理な計画だったわけで、これに小泉内閣による庶民大増税と地方交付税の削減という要因が加わったに過ぎません。

 2つ目に指摘しなければならないのは、借金をつくった原因は何かということです。
 年間予算を上回る県債残高となった大きな原因は、知事の2期目半ば95年度から着手した県民にとっては不要不急の大型事業の推進です。
 本格的に県の財政再建を図るのであれば、ここにメスを入れなければならないことは明白です。ところが、「財政構造改革プログラム」でも投資的経費は削減されましたが、小名浜港の人工島づくりやトラハイ、首都機能移転誘致などの大型事業の見直しは中途半端に終わっているため、小名浜東港には90年代後半のピーク時30億円に比べると2分の1から3分の1に減額されたとはいえ、02年度以降も毎年9億円前後支出され、04年度は9月補正分を含め9億8,100万円でした。また、トラハイも同様にピーク時の187億円から01年度98億円、02年度以降は約50億円に減額されたとはいえ、04年度も道路橋りょう費の7.1%を占める47億円が支出されました。首都機能移転誘致活動には99年1億7,800万円をピークに01年8,800万から04年度3,400万円となりました。いずれにしてもこうした建設事業には県債も含まれているため借金も増え続けるのです。 
 この結果、04年度歳出決算の公債費の構成比率は前年度より1.9%増の15.3%となり、土木費の15.1%よりもうわまわったことが特徴的でした。

 3つ目に、その削減をどこに求めたのかという点です。
 財政難を理由に、全国に比べても低い医療・福祉・教育の遅れはなかなか改善されないまま、今度は県立大学の独立行政法人化、県立社会福祉施設の一部民間移譲、県立病院の統廃合などの「3大切りすて」に着手することを明らかになったのが04年でした。これは、県職員の大幅な削減と県民の医療・福祉・教育分野をさらに後退させる大変な改悪です。その他、県立高校の授業料3ヶ月滞納で出席停止扱いとするマニュアルを作成し授業料徴収を強めるなどおよそ教育的とはいえないやり方も導入しました。

 04年度は、7月の台風による豪雨災害、10月に発生した新潟県中越地震による関連被害など、自然災害への補正予算の計上はありましたが、この年県内の自殺者は664人にものぼり、リストラや雇用情勢は依然として厳しいままで、保育所待機児童は都市部を中心に増え続け、特養ホームの待機者はこの年7月で1万人を超え、国保税滞納世帯は19%を超えました。
 したがって、こうした県民の医療・福祉・教育の充実や市町村への支援においては不充分であったと言わざるをえません。

 以上、継続議案審査第67号「2004年度普通会計決算」を不認定とする理由を申し上げ、討論を終わります。


日本共産党福島県議団
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