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2006年6月県議会一般質問

2006年6月27日  長谷部淳

 日本共産党の長谷部淳です。
 最初に、教育基本法改定の動きにかかわってうかがいます。先の国会で継続審議となった教育基本法全面改定案は、なぜ今この改定が必要かという、法律策定の基本的条件である立法事実、すなわち改定の必要性や合理性をささえる社会的事実がなんら示されていません。
 そればかりか、ワールド・ベースボール・クラシックやサッカーのワールドカップを見れば、日本中に愛国心があふれているにもかかわらず、なにを意図してのことか、「国を愛する態度」などを「徳目」として強制し、内心の自由を侵害する改定案であることが明らかになりました。
 これらだけでも、廃案にすべき十分な理由です。
 しかしことは教育の自由と地方の裁量による教育行政にもかかわりますので、その角度にしぼってうかがっておきたいと思います。
 知事は、人づくりを担う県政の最重要課題として教育を位置づけられています。その位置づけは、地方が自らの責任のもと、地域の創意と工夫に基づいたきめこまやかで多様なとりくみといった、教育行政における地方の裁量を重視する立場からのものと私は理解しています。
 こうした教育のあり方は、現行教育基本法が明確に指針として示していると思います。すなわち、「真理と正義を愛し、個人の価値をたつとび、勤労と責任を重んじ、自主的精神」をそなえた「国家および社会の形成者」としての人づくりをすすめるため、第一条で教育の目的を「人格の完成」に設定し、第2条では自由な教育空間における教育方針が示され、第10条1項で「教育は不当な支配に服することなく、国民全体に対して直接責任を負つて行われるべき」として、教育活動における責任が、子どもと親を中心とする国民からの要求に応える直接責任であること、第六条の教員の「全体の奉仕者」としての性格も、教育のこの直接責任性に根拠があること、また第10条2項で教育行政は、教育の外にあって教育を守り育てるための条件整備の役割をもつことを明確にし、これら全体として、教育の自由を保障する連なりと構造を持っているのであります。
 教育におけるこうした自主性の保障は、地方の裁量を最大限に発揮する大前提だと思います。
 しかるに、政府による教育基本法全面改定案は、教育行政における地方の裁量を縮減どころか、消滅させる構造すらもっています。
 すなわち、政府案第16条は、1項で法律に基づきさえすれば国が教育内容を決定しても「不当な支配」とはならないことを確認したうえで、2項で、国に対し、「教育に関する施策を総合的に策定し、実施」する権限を与えています。この権限は政府案第5条の義務教育、第6条の学校教育においても貫かれるものです。
 さらに第17条は、「政府」に「教育の振興に関する施策についての基本的な方針および講ずべき施策その他必要な事項について基本的な計画」を定める権限を与え、地方公共団体に対しては、この基本計画を「参酌」という名の枠をはめたうえで、地方における基本計画策定努力義務を課しているのであります。
 しかも、第16条4項により、教育財政面においても、政府の計画の「参酌」の程度、計画の実行の程度によって、国から各地方へ移転される金額を左右することが可能なしくみです。
 このように今回の政府案は、教育行政における国と地方の役割分担の面からも、時代錯誤であり、廃案とすることがもっとも妥当と私は考えるものです。
 そこで私は知事と教育委員会委員長のお二人にうかがいます。
 現行教育基本法が果たしている役割、ならびに今回の政府案をそれぞれどのように評価されているか、所見をお聞かせください。

 つぎに、医療事故が発生した場合の、県としての原因究明・再発防止、被害者救済のしくみづくりにかかわってうかがいます。
 一昨年12月17日、県立大野病院で帝王切開手術中に大量出血して患者さんが亡くなりました。亡くなられた女性とご遺族に心から哀悼の意を表したいと思います。
 この医療事故は翌日に保健所に報告され、ほぼひと月後の昨年1月から3回にわたって事故調査委員会が開催され、3月30日に調査結果が公表され、6月にはこの調査結果に基づいて県は関係者の懲戒処分を行ないました。
 大野病院では一人だけだった産科医は、医療事故から1年以上もたった今年2月18日に逮捕、起訴されました。県警本部は、4月14日、医師を逮捕した富岡署に本部長賞を授与しました。
 県警による医師逮捕後の一連の経過をめぐっては、全国の医療関係者から驚きと疑問の声があがっています。
 「法と証拠」という名のもと、患者さんの前で手錠をかけられるようなことが続くなら、地域から産科医がいなくなってしまうと私は危惧します。
 そこであらためて病院局にうかがいます。今回の医療事故の背景をどう認識されているか、事故調査委員会調査結果をふまえてお聞かせください。
 また、医師逮捕後、県内の産科医療提供体制に具体的にどんな影響が現れているか、県の現状認識をお聞かせください。
 さらに、産科医療体制の整備は、自分が住む地域で出産したい、あるいはふるさとへ帰って出産したいという当然の希望に応え、また地域医療体制の確保に関する各地域医師会の行政への期待にも応え、なによりも産みやすい環境づくりをかかげる県の方針とも合致するわけですが、現状をふまえたとき、県としてはどんな中長期展望をもって産科医確保と産科医療体制の整備を進めるおつもりか、お聞かせください。

 さて今回の事例では、異状死体の届出義務を定めた医師法第21条違反も問われていますが、これは殺人などの異常な状況が認められる場合に24時間以内の届出を規定したものと考えられてきた経過があり、異状死についての医学界・法曹界の合意はなく、医療現場は混乱しているのが現状だと思います。
 それにしても、刑事責任を問われる可能性がある医師本人に対して通報義務を課し、しかも死亡から24時間以内に届け出なかったら逮捕する、とされてしまったら、命をあずかる地域医療をになう医師はいなくなってしまうのではないでしょうか。
 異状死の判断基準や医師法第21条の改正は最終的には国が決めることですが、当然それは、関係者の意見を十分に聞いたうえでの話です。そこで県としても、県内の医療関係者などの声をよく聞き、意見をまとめ、国へ積極的に働きかけるべきだと思いますが、現状の認識と考えをお示しください。

 医療事故が発生した際に必要なことは、患者・家族への誠実な対応と必要な補償とともに、原因を究明し、再発を防止し、医療の安全性・質を高め、医療に対する国民の信頼をとりもどすことです。それには、医療機関自らが努力し役割を発揮することと同時に、行政機関あげてとりくむことが必要です。
 行政としては、医療機関・患者双方からの相談窓口ともなり、医療事故を調査し、原因究明・再発防止に役立てる第三者機関を設置することが必要ではないでしょうか。
 また、医療紛争は、医療行為に過失がなくても、患者の期待と医療結果が一致しなければ発生しうるものです。これが裁判になれば、患者や医療者双方にとって精神的にも経済的にも大きな負担となります。
 そこで、訴訟に至る前に、事故原因を明らかにし、被害者、医療機関の間を調停し、裁判によらない紛争解決ができる機能をこの第三者機関にもたせることも大切だと思います。
 現在、県には、県民からの相談・苦情・要望などに対応するための県医療相談センターがありますが、このセンターが嘱託職員一人の現在の体制と予算でこうした機能を果たすことは困難です。
 そこで、いま提案した第三者機関を県として設置することについて、県の考えをお聞かせください。

 つぎに、介護保険についてうかがいます。
 4月1日から改定介護保険が実施されています。私は、これを前後して事業所を訪問し、話をうかがってまいりました。
 居宅介護支援事業も手がけるある施設長は、「これまでケアマネジャーを3人雇っていたが、4月からは1人にして介護度の重い利用者のケアプランだけを担当してもらわざるをえない」と、人を雇う側の立場からは言われていました。
 すなわち、包括支援センターから委託されるケアプラン作成の報酬は、これまでの半分以下にされたうえ、ケアマネジャーをふやしてケアプラン作成数をふやしても人件費に見合うものではないため、事業所としては軽度の人のプランは扱えず、プランづくりの相談を受けられないケアマネ難民の発生が始まっている、というのです。
 またある事業所での話では、これまで給付対象となっていた車椅子や介護ベッドなどが、6か月間の経過措置があるものの、「要支援」と「要介護1」の人については原則対象外とされたため、自立した生活に不可欠だったこうした福祉用具が文字通り取り上げられ、利用者もケアマネジャーも途方にくれる思いだ、とのことです。利用者の中には、これまでは介護保険で介護ベッドを利用できたので、自分のベッドを処分してしまったら、介護ベッドが使えなくなり、またベッドを買わざるを得なくなった人もいました。
 さらに、これまで1時間を超えると30分ごとに加算されていた訪問介護の生活援助の介護報酬が、1時間以上はどれだけやっても頭打ちにされたため、買物、調理、掃除、洗濯に3時間かかった生活援助はできなくなり、事業所は、採算が取れないサービスは打ち切らざるをえなくなっている、利用者からすれば、生活に必要なサービスが切り捨てられている、とのことです。
 なによりも私は、この制度の実施によって発生している現場での問題を把握し、自治体でできる対応はただちにしなければならないし、制度そのものの問題であれば、国へしっかりと実態を伝えることが肝要だと思います。
 そこで最初に確認したいのは、介護保険制度において、知事がいう「現場主義」をどう具現化されようとしているのか、お聞かせください。

 さて、介護支援事業所現場では、ケアプラン作成を断らざるを得ない事態が現実に始まっていますが、こうした、ケアプラン作成を断られた、いわゆる「ケアマネ難民」がどこでどれくらいいるか把握するしくみがどうなっているかお聞かせください。
 県としては現時点で「ケアマネ難民」をどれほど把握されているか、あわせてお示しください。
 また、利用者本位の自己作成ケアプランについて、具体的にどのような支援策を検討されているかお聞かせください。

 福祉用具貸与・通院等乗降介助が新予防給付では保険対象外となりました。これまでは要支援であっても、その人に必要だとケアマネジャーが判断したからこそプランに組み込んでいたはずですが、経過措置後は一律に使えなくなります。福祉用具貸与・通院等乗降介助サービスを受けていた利用者のうち、新予防給付へ移行されたかたは何人いるのかおたずねします。

 ところで、通所系サービスである通所介護、通所リハビリ、短期入所の今年3月の給付件数実績を見ると、昨年10月からの滞在費・食費の自己負担がされる前の8月と比較して一割以上も減っています。
 県は介護サービスの利用について、「本人の意向や家族による介護の状況などに基づき、必要なサービスが利用されている」、「本人の心身の状況やおかれている環境等に応じ本人の選択に基づき」利用されている、「介護の社会化が定着した」と繰り返すわけですが、通所系サービスの給付件数が減っている原因についてどのように分析し、どのような対応が必要と認識しているかうかがいます。

 介護保険料の大幅アップによる影響も深刻な問題です。第1号被保険者保険料の県内基準額平均は2640円から3496円へ32・4%増加し、増加率は前回改定時(11.0%)の約3倍です。合併前の旧市町村を含めてみてみると、県の平均の増加率よりも大きい市町村は28市町村にのぼり、69・3%の桑折町を最高に50%以上が7市町村、最高額はいわき市の4276円となりました。
 そこで、国が、「低所得者対策」として実施した、旧保険料第2段階の細分化による負担軽減策の効果がなくなった市町村は県内にいくつあるのでしょうか、うかがいます。
 そのうえ、税制改定による諸控除の廃止で、これまで住民税非課税だった人が課税になり、収入が変わらないのに保険料段階が上がってしまう影響が重なります。第1号被保険者48万人のうち5万6千人のかたの保険料段階が上がる、との前議会での答弁でしたが、これらのかたがたにとって、具体的に、金額としてどれだけの影響が出ているのか、お示しください。

 介護保険制度を支えるケアマネジャーとホームヘルパーについてうかがいます。介護の最前線を支える彼らの仕事の内実は、住民の福祉の増進であります。地方自治法は、地方公共団体の仕事の基本を「住民の福祉の増進を図ること」としています。そこで確認したいのは、ケアマネジャーやホームヘルパーは自治体の重要な仕事の一翼を最前線でになっている、という認識、位置づけを県はされているのかどうか、お聞かせください。
 また、県内でケアマネジャーの資格をもつ人は何人いて、実際にケアマネジメント業務に従事している人数と割合、さらにそのうち常勤で専従のケアマネジャーの人数と割合をお示しください。なぜそのような割合になっていると県は評価し、どんな支援策が必要と考えているのか、国への要望事項も含め、お聞かせください。
 ホームヘルパーについても同様にお聞かせください。

 介護保険の最後に、いわゆる介護3施設の整備についてうかがいます。
 国が、現在の療養病床を、医療の必要度の高い人にしぼったベッド数に集約することを決めたこの段階で、2008年度中に1万7千の施設整備をするとした知事の選挙公約をふまえて、県はどのような手段でどのように実現しようとするのか具体的にお示しください。

 次に障がい者の自立支援策についてうかがいます。
 介護保険と同様、4月1日から障がい者自立支援法が施行されました。実施を控えた3月11日には、この支援法が重圧になり、重度身体障がい者の娘を母親が殺害するといういたましい事件が福岡県で起こってしまいました。
 福祉関係者の間ではこの母親の寛大な処分を求める署名活動が広がり、その嘆願書には、「母親は介護の負担が大きく、生活にも疲れ、支援法への不安で心を閉ざし、不安定な状態になってしまっていた」と書かれていたそうです(「西日本新聞」4月13日)。
 自立支援法の最大の問題は、障がい者が自立するために受ける社会的支援を、お金で買う商品と同じにみなして、応益負担を課すところにあります。子どもへの配慮もまったくありません。児童デイサービスでは、通園日数が多いほど支払いがふえるため、行事などの子どもの楽しみさえ、保護者は出費と相談する事態です。上限額の設定や減免では解決されない根本的な問題だと思います。
 私は、県が国に対し、この応益負担は撤回するよう強く求めるべきだと思いますが、障がい者への応益負担制度の評価とあわせ、県の考えをうかがいます。

 制度がどういじられようとも、その目的が、障がい者の生活を支えることであり、社会参加を実現することに変わりはありません。この目的を達成するには、自治体として総合的な視点をもった施策の実施が求められるし、そのためには何よりも、介護保険と同様、当事者・家族・事業者がおかれた実態の把握から出発しなければなりません。
 そこでまずうかがいたいのは、昨年度末の県内の支援費制度利用者は何人いて、負担ゼロだった人は何人いてその比率はどれだけだったのか、そして自立支援法施行によってそれぞれどう変化したのかお示しください。

 私は、障がい者が、その障がいゆえにかかる経費が大きいことにかんがみれば、障がい基礎年金だけで暮らすことすら困難な現実から、当面、県独自に、福祉サービス、自立支援医療、補そう具利用の負担額を合算しての総合負担上限額を設定し、なおかつ国が定める上限額よりも抑える措置をとることで、障がい者・家族の負担軽減を図るべきだと思いますが、考えをお聞かせください。

 最後に子育て支援策にかかわってうかがいます。
 現在の子どもたち、子どもを育てる親、今後子どもを生みたいと思う人々にとって、子どもにかかる医療費を無料にすることは、これほど安心なことはないと思います。就学前まででも大変喜ばれているわけですが、県として、乳幼児医療費助成制度を現行のもとで現物給付化した場合と、医療費無料を義務教育終了まで拡充した場合のそれぞれの必要な公費負担額はいくらになるかおうかがいをいたしまして質問を終わります。


答 弁

1、教育基本法について
知事

 教育につきましては、戦後のわが国は、日本国憲法の精神にのっとった教育基本法の下で、個人の尊厳を重んじ、平和と民主主義を尊ぶ教育が行われ、世界に冠たる国へと発展を遂げてまいりましたが、戦後60年を経た今日、新しい教育の在り方が問われているものと認識しております。
 現在すすめられている地方分権改革において、地方6団体は、地方の責任による多様な人材育成をめざし、義務教育国庫負担金の税源移譲を強く訴えているところであり、本県では昨年を分権時代における「教育元年」と位置付け、小中学校全学年への30人程度学級の導入や双葉地区教育構想の推進、南会津地方での新たな教育システムの実施など地域の実情をふまえた独創的な教育を積極的に展開しているところであります。
 こうしたことから、教育基本法改正案につきましては、国と地方の明確な役割分担の下で文部科学省は学習目標のような基準作りに徹し、地方が教育現場で工夫できるようにすべきであり、地方が主体性をもってわが国の未来を切りひらく創造的な教育施策が展開できるものとなるよう、国民的な議論が十分につくされることを期待しております。

教育委員会委員長
 教育基本法は、戦後の国民の教育水準の向上及びわが国の発展に大きく寄与したものと認識しております。
 また、今回の政府案につきましては、国民的な議論が十分に行われることを期待しております。

2、医療事故が発生した場合の仕組みづくりについて
病院局長

 県立大野病院の医療事故につきましては、事故発生後直ちに外部の専門家等による医療事故調査委員会を立ち上げたところであります。
 その調査報告では、十分な術前診断、複数の専門医による対応、チーム医療の活用などが指摘されており、これら医療の安全確保につきましては、県立病院全体の課題として重く受けとめております。

保健福祉部長
 産科医療提供体制への影響につきましては、安全・安心な医療の提供の観点から、病院における1人医師配置の見直し等の動きがあるものと認識しております。
 産科医療体制の整備等につきましては、引き続き、産科医の確保に努めるとともに、医師の配置や診療機能の集約化・重点化及び診療連携体制の強化を図り、県民への適切な医療の提供に努めてまいる考えであります。
 異常死の判断基準等につきましては、医師会や病院協会などの医療関係機関において、異常死の解釈が必ずしも統一されていないため、医療の現場に混乱が生じているとの声があると認識しております。
 第三者機関につきましては、医療事故の調査や原因究明にあたり、患者の視点にも配慮した公平性や透明性、専門性を確保し、裁判によらない紛争解決の性格を有する機関であるとすれば、国が法律に基づいて、設置すべきものと考えております。

3、介護保険について
保健福祉部長

 介護保険制度の実態把握につきましては、今年度、利用者アンケートや施設における現地相談を実施するなど、利用者や事業者、市町村等介護の現場の声を聴きながら制度運営上の問題把握に努め、必要に応じて、国に対して政策提言を行ってまいる考えであります。
 ケアプランの作成を断られた方につきましては、保険者である市町村が実態を把握しているものと考えております。
 ケアプランの作成を断られた方につきましては、県に直接利用者から相談があったのは、1件となっております。
 自己作成ケアプランの支援策につきましては、必要な相談、援助については、基本的には市町村が適切に対応すべきでありますが、県の窓口に相談があった場合には、適切に対応するとともに市町村に対し、関係する情報の提供等を通じ支援してまいりたいと考えております。
 新予防給付への移行につきましては、個々の介護サービス利用者が、いつ、どのようなサービスを選択していたかなどの属人的な情報について、統計的に把握できるシステムは構築されておりませんが、傾向の把握に努めたいと考えております。
 次に、通所系サービスにつきましては、昨年10月の改正以降においても給付件数は漸増傾向にありますが、3月実績については、1月のサービス利用分であることから、例年、降雪や年始などの季節的な要因により給付件数が減少しているものであり、居住費・食費の自己負担化による影響ではないと認識しておりますので、特段の対応を考えておりません。
 負担軽減策につきましては、今般の制度改革において、新第2段階の方について、保険料率が軽減されたものの、保険料の増額改定により結果的に保険料負担額が前期を上回ることとなった市町村は、合併前市町村で比較すると、90市町村中7市町村となっております。
 税制改正に伴う保険料への影響につきましては、移行する保険料段階は個々人ごとに異なることや、市町村ごとに保険料の改定幅が異なることなどから、その影響額を算定することは困難であります。
 ケアマネジャー及びホームヘルパーにつきましては、適切な介護サービスが提供されるために、極めて重要な役割を担っているものと理解しております。
 県内のケアマネジャーにつきましては、平成10年度からの8年間に5446人を養成しておりますが、約33%の約1800人がケアマネジメント業務に従事し、そのうち常勤で専従の人数は、約44%の約800人となっております。
 有資格者であっても看護師等他の職種に従事している方も多く、雇用形態や勤務条件は、事業所との契約によるものであります。
 県といたしましては、必要があれば国に対する介護報酬等の要望についても検討してまいりたいと考えております。
 県内のホームヘルパーにつきましては、本年3月までの養成研修終了者数は約42100人、うち訪問介護事業所における業務従事数は約16%の約6640人であり、さらにそのうち常勤で専従の人数は約19%の約1250人となっております。
 雇用形態は勤務条件等については、事業所との契約におるものであります。
 今後とも、研修の充実などいっそうの資質の向上に努めてまいりたいと考えております。
 介護保険3施設につきましては、第4次高齢者保健福祉計画及び第3次介護保険事業支援計画において平成20年度までに定員16992人分の整備計画を見込んでおり、この計画に沿って施設整備をすすめてまいりたいと考えております。

4、障がい者の自立支援策について
保健福祉部長

 障害者自立支援法における応益負担制度につきましては、所得段階に応じた負担上限額の設定等のさまざまな軽減策が講じられ、障がい者の生活実態や負担能力にも配慮されているところであります。
 県といたしましては、今後、障がい者の声を聴きつつ、制度の影響や効果をよく見極めてまいりたいと考えております。
 障害者自立支援法施行による利用者数等の変化につきましては、情報提供のあった県内58市町村における平成18年3月の支援費の利用者数は、6820人、そのうち負担なしの人数は、46.9%の3200人となっているのに対し、平成18年4月の障がい福祉サービスの利用者数は、7078人となり、そのうち負担なしの人数は、10.1%の716人となっております。
 障がい福祉サービス等につきましては、それぞれに原則1割負担が求められるところ、所得段階に応じた負担上限額が設定されており、さらに、障がい福祉サービスについては、各種の減免制度等が設けられております。
 県といたしましては、今後、利用に伴う費用負担状況の把握に努めてまいりたいと考えております。

5、子育て支援策について
保健福祉部長

 乳幼児医療費助成制度につきましては、現物給付化した場合の県及び市町村の公費負担額は、おおよそ7000万円となります。
 また、義務教育終了まで拡充した場合の県及び市町村の公費負担額は、乳幼児医療費助成事業の平成17年度の実績を下に推計しますと、現状より約71億円増加し、おおよそ118億円と見込まれます。


再質問と答弁

 最初に知事にお伺いしたいんですけれども、今も教育委員長のお話にありましたが、国民的な議論をつくすべきというのはその通りでありまして、私もその議論の一翼を担いたいということで質問したわけです。知事は先週の代表質問の答弁の中で、財政運営に関してでありましたけれども、30人程度学級にもふれながら、地方の改革努力や現状を無視して改革が強行されれば、地方の裁量はますます縮小することになり、地方分権改革の目標とする地方の自主性、自立性の確立に反するとおっしゃいました。また、中央集権的な方向に戻してはならないというお話を欧州に行かれて話をされてきたということでした。その趣旨からすれば、私は今回の教育基本法の全面改定案は、先ほど質問の中でふれましたように地方の裁量を仕組みとしては、縮減するような、あるいは消滅させるような方向を向いていることは、私は読めばすぐに明らかだと思うもんですから、そのことについて議論の一助とするためにもですね、仕組みについてどう評価されているのかということについてお伺いできればと思います。
 それから教育委員長にお伺いいたしますけれども、やはり同じように、一緒に議論をしていきたいと思っているわけですけれども、法律家である委員長でありますので、そこをふまえて少しお伺いしたいんですが、今回の全面改定案について一部の人たちには、いじめとか校内暴力とか、不登校だとか、学級崩壊、学力低下の問題、若者の職業意識の低下の問題、青少年による凶悪犯罪の増加、拝金主義やルール無視の自己中心主義、こういったことがあたかも現在の教育基本法に起因するかのようなお話をすることで、だから教育基本法の改定が必要なのだというようなことをいう人もいますけれども、法律家の目から見てですね、改定のいわゆる立法事実という面から見て、委員長としてはどのようなご見解をお持ちなのかお聞かせいただければと思います。
 病院局長にお伺いしたいんですけれども、先ほどのお話のように報告書の中には対応する医師の不足であるとか、複数の産科医による対応が必要であるとかといったことが確かにふれられております。そうした背景があって、1人の医師が献身的にそして自己犠牲的にリスクの高い医療行為を行わざるを得ないという実態の下で、1個人の刑事責任を追及するのは安心してかかれる医療といった面から見れば、その医療の実現にはそぐわないのではないかというふうに思います。そういうことがあるので、県内だけではなく全国から県警の今回の逮捕劇というのはおかしいのではないかという声が寄せられているのだと思いますけれども、そのこと自体についてどのように病院局としては評価をされているのかお聞かせいただければと思います。
 保健福祉部長にお伺いいたします。応益負担の問題ですけれども、この負担の制度が導入されたことによって、「作業所への報酬が増えれば、利用者の負担が増える」という関係なんですね。そして「利用者負担を減らそうとすれば、作業所への報酬が減る」という関係なんですね。この応益負担の関係というのは。つまり作業所と利用者の間を利害関係の関係においてしまうというのがこの応益負担の効果ではないかと思います。障がい者施設はもともと低賃金の職員であるとか、非常勤の職員によって支えられています。それなのに今回の自立支援法の応益負担といった制度の導入によって、結果として作業所としては給与の削減をする、職員の削減をする、あるいは利用者が楽しみにしている旅行を中止をすると、そういった措置をとる施設も出てきているというふうに聞いています。私は、これは根本的に応益負担という制度を導入したことによるものであると認識していますけれども、その認識は保健福祉部長としてはおありなのかどうかお聞かせいただければと思います。

知事
 憲法の地方自治の本旨はですね、その1つの言葉しかないんですが、ここまで地方分権をすすめてきました。しかし反対に教育基本法はですね、自由にできるといいますか、私ども権限をもっている、ずーっと読むと、そう条文も多くないですし、男女共学も入っておりますし、すばらしい法律ですね。しかし結果としてはですね、なかなか文部科学省のもとにキチッと全国一律に、まあ、うちの教育委員会さんはがんばっておられると思いますが、そういう部分が非常にしっかりしてまして、それではどの辺に問題があるのかということで、私どもやっぱり予算で、義務教育費国庫負担を含め、施設も含めですね、国で予算をもっておりますので、そのへんについてですね、「三位一体改革」の中で主張してきたわけです。そういう意味では、まさにこの法律がどうのこうのもございますが、地方が主体性をもってですね、創造的な施策展開ができるような国民全体で十分に議論していくべきであるというふうに考えております。

保健福祉部長
 自立支援法に基づく障がい者の応益負担制度でございますが、従来は支援費制度がございまして、利用した分だけ支援費でサービスを提供させていただくという制度がありましたけれども、今回の法律改正によりまして、利用した分も1割を利用をした側が負担するそういう制度にかわったわけでございます。ただ、先ほどもご説明いたしましたように、それぞれのサービスに負担上限額、あるいは軽減策が講じられての制度の施行でございました。ただ、障がい者はもともと十分な就労所得があるわけではございません。大半の方が6万円台から7・8万円台だと思いますが、その程度年金収入しかない方がほとんどであろうと考えております。そういたしますと自立支援法上の施設に移行した施設を利用される方は、自分の限られた年金収入の中からサービスの1割負担を払う。こういうことになるということでございます。この件につきましては、私どもも国に対しまして、この支援法を施行するにあたっては、障がい者の就労支援等、十分な所得の確保策を講じていただきたい、こういうような申し入れもしたところでございます。先ほども申しましたように、今後この制度の利用につきまして、障がい者の声を伺いながら、どのような影響があるか、あるいはどのような効果があるか、よく見極めてまいりたいと考えております。

病院局長
 医療の安全確保につきましては、県立病院全体の課題として重く受けとめているところでございます。ただ、個々の問題も刑事上の問題につきましては、これは司法の場でしかるべく判断されるべきものと考えておるところでございます。

教育委員会委員長
 ただいまご指摘のありました多くの論点を含めまして、国民的な議論が十分に行われることを期待しております。


再々質問と答弁

 知事にあらためてお伺いしたいんですけれども、2月議会の私の再質問の時に、知事は「文科省の呪縛に縛られる」みたいなお話をされましたけれども、私は、文科省の呪縛を法定するのが今回の案として出されているのではないかというふうに指摘をしたつもりなんです。ですから、仕組みそのものが仮にそういうものだとすれば、知事としてはどういう評価を下していますかというふうにお伺いしたものですから、評価をお聞かせいただければと思います。
 保健福祉部長にお伺いしますけれども、いくつかあるんですけれども、通所系サービスの給付件数のご答弁は、3月の給付件数が1月の実績だからということで、いかにも正月の影響であるかのようなお話でしたけれども、確かに一昨年の8月と3月ですと3.8%減っていますけれども、ただ昨年はこれが11%も減っているわけですよね。つまり、一昨年と比べれれば、3倍近く件数として減っている。まして一昨年ですと8月と比べると2月も1月も12月も11月も8月から減るということはなかったんです。ところが昨年の場合には、3月だけではなくて。2月も1月も12月も11月も8月よりは減っているんです。この傾向があるわけですので、3月と8月だけを比較して3月が特殊な要因があるからそういうことなんだという答弁を聞きたかったのではなくて、もうちょっと真剣な分析が必要なのではないかというふうに思いますのであらためてお聞かせいただければと思います。
 介護3施設なんですけれども、あえてこれを取り上げ、具体的に示してほしいといいましたのは、1つはですね、介護療養施設というのは昨年度36減っているんですね。前年よりも。さらにその前の年もその前の年より12減っているんですね。これは先ほどの質問でもふれたように、国が療養ベッドを減らせということを決めることは分かっていたわけですから、そういう傾向にあるわけです。ところが、県の計画を見ると今年度と来年度と再来年度、この療養ベッドが3年間で150ほど増えることになっているんですね。これは果たして現実的なのかということと、昨年度は3施設合わせれば、療養ベッドは36減ったけれども644増えているんですね。ところが、今年度の計画では療養ベッドを増やすことを見込んだ上で505増えることになっているんですね。そういうレベルなんですけれども来年度と再来年度は、さらに今年度の倍近い900以上2年間続けて増やすと、こういう計画になっているもんですから、果たして療養ベッドの削減ということと合わせて、本当に現実的に可能な数字として県は責任を持って具体的にすすめるのかどうか、ということをお伺いしたかったわけでありますので、もう一度お聞かせいただければと思います。
 それから、応益負担とかかわるんですけれども、支援費制度の時に負担がなかった方の負担が大幅に増えました。通所施設では支援費制度のもとでは9割近い人が、無料だったと思うんですけれども、応益負担による1割負担というのは大きな負担になるということは、先ほどの部長のお話の中でも明らかだと思います。住民税非課税世帯で年収80万円以下の低所得1の場合であっても、月額上限が1万5千円なんですね。国の制度のもとでは。年収80万円以下の人にとって、無料からいきなり月額1万5千円、年18万円ですから、障がい者にこういう負担を押しつけておいて、これが軽減策で配慮されているというふうには私にはとても思えない。あらためて県独自の福祉サービスだけではなく、福祉サービス、自立支援医療、それから10月から始まる補装具の利用、この3つのサービスを合わせた形で独自の上限額をキチッと設定して、国の負担上限よりも減るようにすべきではないかと思いますので、あらためて見解をお示しいただければと思います。

知事
 実は2001年の「一括法」で、教育は地方自治の事務だということをはっきりとうたわれております。残念ながら「三位一体改革」でも義務教育費国庫負担の全体を求めましたが、補助率の引き下げで決まっております。しかしまあ、福島県の教育委員会は「教育元年」と去年から、呪縛から解き放たれていると思っておりますので、そういう意味では今度の議論においても分権の流れが後戻りすることのないようにすすめていただきたいし、後戻りしようがしまいが、国ですることはあると思いますが、私どもの地方の事務だということでですね、すすめていきたいと思います。いずれにしてもこの論議の中で、分権の流れが後戻りしないように、よろしく議員のみなさんにもお願いしたいと思います。

保健福祉部長
 通所サービス利用の減に関しましては、先ほども申しあげましたように全体としては漸増傾向にあるものの1月が減少しているということでどのような原因があるか、私どもが推測いたしましたことが、先ほど申しあげたようなご答弁を申しあげましたが、その後、この冬の厳冬、豪雪の影響等さまざまな影響があるものと思いますので、なお分析をさせていただきたいと思います。
 施設整備でございますけれども、医療制度改革の影響を先取りして、いろいろお考えになった方もいるかもしれませんが、高齢保健福祉計画等は医療制度改革の前につくりましたので、医療制度改革で療養型病床群の縮小というようなことは、想定をしておりません。それを抜きに策定をしましたので、その影響につきましては、今後、次の計画等でその状況を織り込んでまいりたいと思っております。計画どおり実施、実現にむけて努力をいたしたいと考えております。
 自立支援法による負担の増の問題でございますけれども、それは先ほど申しあげましたように国もそれぞれ上限額の設定などさまざまな軽減策を講じて制度を実施したところでございますけれども、なお、障がい者のみなさま方がどういう状況にあるか、よく県としても把握をしたいと考えております。



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