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2006年6月定例県議会を終えて
2006年7月5日
日本共産党福島県議団
団 長 神山 悦子
幹事長 長谷部 淳
はじめに

 6月18日に閉会した通常国会では、自民党政治のゆきづまりが、暮らしでも、平和でも、民主主義の問題でも、あらゆる分野で深刻に噴き出し、格差社会の広がりが一大社会問題になった。日本共産党は、この問題の根源が「新自由主義」の「規制緩和万能論」にあることを、正面から突いた論戦をおこなった。

 医療大改悪の問題が大きな争点となり、この改悪法がお年寄りへの無慈悲な負担増と犠牲を強いるとともに、自らの負担の軽減を図ろうとする日本の財界と、日本の医療を新たな食い物にしようと狙っている米国の医療保険会社、医療大企業の野望が、その根源にあることを告発した。

 教育基本法改定の問題についても、日本共産党は、政府の改定案が憲法が保障する思想・良心・内心の自由、教育の自由を蹂躙(じゅうりん)するものであるとともに、この動きの狙いが「2つの国策」――「海外で戦争をする国」「弱肉強食の経済社会」づくりに従う人間の育成にあることを明らかにした。

 医療改悪法は強行されたが、教育基本法改悪法案、改憲手続き法案、共謀罪法案の3つの悪法は、成立を許さず、秋の臨時国会へ持ち越しとなった。4つの悪法のうち、3つの悪法を今国会で阻止したことは、国民のたたかいの重要な成果である。

 県内では、6月10日前後から各世帯に送付された住民税の納付通知書を見た年金生活者から、各市役所などへ怒りと疑問の電話が殺到し、「間違いではないのか」などの説明を求める列ができた。福島、郡山、会津若松、いわきの4市では、複数ある電話回線はいずれもパンク状態で、地元新聞でも「住民税増に高齢者悲鳴」「社会的弱者いじめ」と大きく報道された。

 党県議団は、5月26日、6月定例県議会にむけた「知事申し入れ」を行ない、地方交付税の削減や医療事故の原因究明と再発防止システムづくり、介護保険、障害者自立支援法、教育基本法、商業まちづくり推進条例など10項目について要望した。

 また、この間に県生活と健康を守る会、県母親連絡会が県と交渉を行い、県社会保障推進協議会、県医労連、新日本婦人の会などもそれぞれ切実な要求をもって請願を提出した。

 障がい者小規模作業所の県独自の補助金カット問題では、いち早く申し入れを行うなどで県民世論をリードし、6月議会の焦点になった。

6月定例県議会について

 6月定例県議会は、6月20日〜7月5日の16日間の会期で開催された。今議会への当初提出議案19件、最終本会議への追加提案2件、議員提案の意見書2件(「脳脊髄液減少症の研究・治療等の推進を求める意見書」「出資法および貸金業規制法の改正を求める意見書」)が提案された。党県議団は県単独建設事業への市町村負担を求める議案と人事案件1件に反対した。

 障害者自立支援法の実施と県単独の小規模作業所への人件費の補助を半減させた問題では、4月13日の党県議団の県への申し入れがマスコミで大きく報道され、6月定例県議会では、全会派が一般質問で取り上げた。党県議団として、あらためて7月4日に県に対して申し入れを行い、県は9月定例議会に新たな支援策を提出することを表明した。この経過の中で6月20日に、県内の障がい者関係5団体が怒りの県庁包囲行動を行った。県内から約500人の障がい者と関係者が集まり、県当局と県議会に抗議と要請行動が行われた。これは史上初めてのことであり、マスコミでも大きく報道された。それぞれ地域ごとに県議会各派にも要請行動が行われ、わが党には地元福島市の関係者約100人が訪れた。

 一般質問には長谷部淳県議が立った(6月27日)。03年9月議会から継続扱いにされていた請願「県立学校に勤務する定数内常勤講師数を縮減し、正規の教諭の採用を増やすことについて」(県立高教組提出)は、党県議団だけが賛成し不採択とされた。

 県議会最終日(7月5日)には、早朝に北朝鮮のミサイル発射があり、県議会として国際ルールを無視する暴挙として厳しく抗議し、経済制裁などを含む毅然とした対応を求める意見書を全会一致で採択した。

一般質問について

 6月27日の一般質問に長谷部淳議員が登壇し、教育基本法改悪についての知事の認識、医療事故への対応と第三者機関の設置について、介護保険制度改定にともなう諸問題への対応、県の負担軽減策、障害者自立支援法施行に伴う障がい者への支援問題、子育て支援策などをただした。

 知事は「日本国憲法の精神にのっとった教育基本法の下で、個人の尊厳を重んじ、平和と民主主義を尊ぶ教育が行われてきた」との認識を示し、全面改定案については「国民的な議論が十分に尽くされることを期待する」との答弁にとどまった。

 また、子育て支援のひとつとして、医療費の無料化年齢を義務教育終了まで年齢を引き上げた場合の必要な金額とその実現を求めたことに対し、県は新たに71億円、総額で118億円の試算額を示した。

 介護保険制度の改定にともなうケアプラン作成を断られる事態などについてただしたが、県の答弁は、「市町村が実態を把握しているものと考えております」「特段の対応を考えておりません」と特別の対応はしない冷たい答弁であった。

他会派の質問について

 自民党の代表質問では、核燃料税の更新について、県有施設の耐震改修、見直しをすすめる第3セクターなど県出資法人などを取り上げた。

 県民連合の代表質問は、県職員の女性管理職の割合、定住・2地域居住人口の拡大について、遊休農地対策、県立病院会計の赤字についてなどを取り上げた。

 一般質問では、自民党の柳沼県議が少子高齢化社会のあり方について、坂本県議が小規模作業所の運営実態について、民主党の吉田県議は、小規模作業所、障がい者福祉について、担当職員の人件費を削減すべきと県の認識をただした。また、本田朋県議は、二本松市の処分場計画の現状をただし、県は地元自治体の意向を尊重するとの答弁であった。

委員会審議について

【商労文教委員会】

<商工労働部>

・今年10月施行の「商業まちづくり推進条例」に向け、県の基本方針と、6千u以上の大型店の地域貢献活動ガイドラインが策定されたので説明を求めた。「地域貢献活動」の例として、地元の商店街に加盟し、まつりなどの行事の参加することや正社員の雇用拡大を図ることや子育て支援、地産地消、撤退する場合についてなど具体的に示された。

・もう一点は雇用問題、特に若者の雇用状況について質問。今年の高卒就職者は99.9%と全国でも高いが、非正規と正規の割合を聞いたら不明とのこと。ただ、今年の就職説明会で、人材派遣会社が結構来ていたことなどが明らかになった。

<教育庁>

・会津学鳳の中高一貫校の建設工事にともない、検出されたフッ素除去にかかる専決処分について質問し、自民党の委員からも問題視する発言が続き、県教委が説明不足を陳謝した。

・「愛国心」の通知書使用状況を質すと共に、文科省が来年4月24日に実施する一斉学力テストや県立高校の学区一円化の問題点を指摘。

・「愛国心」を評価する通知書は、県内で18小学校(小6の社会)で使用されているるが、「内心」を評価している学校はゼロだったとのこと。

・教育基本法の改定問題は、27日に長谷部県議が本会議で知事と教育委員長にただしていて、どちらも「国民的な十分な議論に期待する」との答弁。

・部活中の死亡事故と昨年9月に塩川中でプールで無理な息こらえをして「あわや」という事態が発生していることを指摘して県の通知のあり方を質し、特に熱中症やプール事故の未然防止を求めた。

 

【企画環境委員会】

<企画調整部>

・JFAアカデミー福島の受験者数や県内出身者数、卒業後の県としての受け入れ態勢についてただした。受験者数は男467人で第一次合格64人、うち二次受験34人で合格者17人、うち県内3人。同じく女202人→80人→40人→最終合格23人で県内1人。受け皿についてはこれからの対応とした。

・福島空港の管理費・収入・利活用事業経費の累計、2,500m滑走路が必要な飛行機の離着陸実数をただし、開港以降(93〜05年)の管理費(72億1000万円)・収入(38億4600万円)・利活用関連経費(11億5000万円)、2500m滑走路供用開始(98年)以降の大型機離着陸状況(41件+61件[3000km以上の飛行])を確認した。

<生活環境部>

・ゴミの有料化の推進を「廃棄物処理計画」で強調している根拠、「溶融固化施設の整備を促進」の根拠は何かをただした。県は減量効果、負担の公平、住民の意識変革などの理由をあげ、「有料化先にありきではない」と強調した。

・もとみやクリーンセンターを稼働をさせるよう県が「アドバイス」していることについて、未確立の技術であることや、「ゴミをもっと増やせといっているようだ」と指摘したが、「ゴミ減量化のため」と言い張った。

・原発の維持基準の問題で、自民党の加藤(貞)県議が地元との意思疎通問題を取り上げ、「話をどう前へ進めようとしているのか」と聞いたことに対し、県は維持基準問題では変わらない姿勢を示し、地元との話し合いが「おろそかになっている」とした。

・金沢地裁の志賀(しか)原発訴訟判決を原発立地県としてどう受け止めているかを質問。「直下地震、考慮すべき断層、妥当性がない地震動の3つの問題が指摘されたと認識している」との答弁。県が「考慮しない」としている双葉断層の一部について現在の判断でよいかどうかを検証するということかとたたみかけたら、「その通り」との答弁であった。

【次世代育成支援対策特別委員会】

・自立支援法によって児童福祉法の中の障がい児に関するところが変わったことによる利用者への影響、児童ディサービスの整備状況、学齢児放課後生活の保障の場など障がい児療育指導事業についてただしたが、療育の対象となる子どもたちの人数をどう把握しているかと聞いても「そういう把握をしていない」とし、2010年までに児童ディサービスを県内30カ所に設置するという計画はいったい何にもとづくものなのか明確にならなかった。なお、郡山光風学園の利用料が最大で9万3千円になるとの答弁があった。

党県議団が紹介議員となった請願、意見書について

 党県議団が紹介議員となった請願は、県医労連から「障害者自立支援法の施行にともなう諸問題を解決するための意見書の提出を求める請願」、県社会保障推進協議会から「安全でゆき届いた医療・看護を提供するために、医師・看護師等の人手不足の緊急改善を求める意見書の提出を求める請願」、新日本婦人の会県本部からは「妊産婦健診の無料化をめざし、県の補助事業の創設を求める請願」など3件であったが、いずれも継続扱いとされた。03年9月議会からの継続請願「県立学校に勤務する定数内常勤講師数を縮減し、正規の教諭の採用を増やすことについて」(県立高教組提出)を商労文教委員会で不採択としたため、本会議でも共産党のみの賛成で不採択とされた。

以 上



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