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2006年9月県議会知事提出議案第16号・20号への反対討論
2006年10月12日
長谷部 淳
 日本共産党の長谷部淳です。
 日本共産党を代表し、議案について意見を述べさせていただきます。

 今議会は、会期が始まるや、知事が辞職するという異常な事態のなかで審議が始まりました。知事を辞職に追い込んだ福島談合事件は、県庁を巻き込んだ官製談合にとどまらず、談合によって作り出された裏金が、当の裏金を作った人物から県議会議員に渡されていたことが関係者の話によってわかった、と7日に報じられました。
 その3日前、県議会は、「県公共事業に関する談合事件の発生に対し、その原因究明と再発防止を図るため」、調査特別委員会を全員一致で設置したわけですから、談合による裏金を手にした議員は、みずから事実を公表し、出処進退を明らかにすべきことは当然のことです。
 昨日、議長は、各会派からは「そのような事実は一切なかった」という報告を受けた、とコメントされました。
 渡した人間がいて、渡された人間がいないとは奇々怪々ですが、それが事実なら、県議に裏金を渡したという情報はウソだということです。それならば、情報を流した者と、その情報にのったマスコミを名誉毀損で訴えなければこの問題に決着はつかない、ということです。
 いずれにせよ私は、辞職前の知事に対して、「知らぬ存ぜぬは通じない」とした県議会の意思が、いまや議員自身に向けられていることを肝に銘じ、自浄すべきことを強調しておきたいと思います。

 さて、私は昨年の2月議会でも、中高一貫教育の考え方をただしました。
 その際の答弁は、「生徒の個性や創造性を伸ばし、幅広い年齢層の生徒がともに活動することなどを通して、社会性や豊かな人間性を育成すること」をめざすのだ、というものでした。
 生徒の個性や創造性を伸ばすことや、社会性や豊かな人間性を育成するためのこれまでの学校の努力や教育のとりくみから何をくみ出すのかが、なんら受け取れない答弁だと私は受け取りました。
 そのような答弁もむべなるかなと思います。なぜなら、もともと学校選択制の具体化が国政レベルで進められたのは、1996年12月の行政改革委員会の第二次「規制緩和の推進に関する意見」、2002年の閣議決定の改定「規制改革推進三カ年計画」を受け、97年、当時の文部省が出した「通学区域制度の弾力的運用について」の通知であり、2003年の学校教育法施行規則の改定であります。
 これだけをみても、中高一貫校を含めた学校選択制が、教育界の外の財界主導の政治によって進められている教育論抜きの、改革のための改革と言っていいものではないでしょうか。

 だいたい、「特色ある学校づくりを進めるのだから、選択制によって学校が序列化されることはない」という話に説得力はありません。
 現に、選択制になっている高校や大学は序列的に格付けされています。こうした事実が明らかなもとで、県下一円の学区を前提に選択制をとるならば、どうなるでしょうか。
 常識的に考えても、学校を選ぶということは、選ぶ基準がどうであれ、「いい学校」と「そうでない学校」を評価・識別し、「いい学校」を選ぶことになります。それはけっきょく志願者倍率として表面化することになりますが、その倍率に具体的に選択行為が左右されないとしても、選択過程や日常生活において交換される個々の学校についての評判が格差を作り上げることになると思います。その格差・序列の固定化・顕在化がすすめば、小・中学校段階からどの学校を選ぶかが重要になり、新たな進学競争が私には目に見えるようであります。
 それはまた、子どもたちに無用な劣等感・被差別感やゆがんだ優越感を生み、今以上に生徒指導や学校づくり・学級づくりが難しくなりかねません。
 教育長は「受験競争の低年齢化につながるとは考えて」いない、と言いますが、こうした懸念には答えられない、説得力のない言葉だと思います。
 そればかりか、地元の学校以外に通う子どもが増えれば、地元以外の学校に通う子どもとその保護者の生活・交友関係は地域社会から切断され、地域生活圏の分断化が進み、地域社会の活力や安全な地域をつくる機能の低下も招きかねいという指摘すら出ています。

 選ばれる学校となるための「特色ある学校づくり」というのも、もっともらしく聞こえますが、なぜいまそれができないのかも明らかではありません。財界主導の改革にのると、なぜそれができるようになるのかも明らかではありません。
 だいたい保護者や子どもが、学校の「特色」を、学校を選ぶ基準とするのでしょうか。実際には、校内暴力・いじめ・教師の体罰などといった、学校での生活の安全性を脅かす要因がないか、といった安全面に関することや、いい先生が多く、教育指導・受験指導が充実している、有名校への進学が多い、といった面でほかの学校と比べていいかどうかを基準にしていることが現実です。
 これらが学校を上下に格付け・序列化しているのではないでしょうか。
 「特色」という言葉を前面に出せば、これらの現実をかえられるかのような言いかたで進めること自体、受け入れられるものではありません。

 以上の理由から、知事提出議案第16号(福島県立会津学鳳中学校の入学検定料に関する条例)、第20号(福島県立会津学鳳中学校条例)の2件に反対を表明し、討論を終わります。


日本共産党福島県議団
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