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2006年11月県議会一般質問
2006年12月6日
長谷部淳
一般質問

答弁

再質問

再々質問

 日本共産党の長谷部淳です。

 最初に、談合根絶にかかわってうかがいます。
 県議会では、九月議会で、前知事辞職後に「公共事業の適正な執行の在り方に関する調査特別委員会」を設置し、十一月十四日の参考人質疑では、談合が根絶されない要因として、「選挙で応援いただいているというのが一番多いのではないか」と指摘されておりました。
 すでに五年前、日本弁護士連合会は、「入札制度改革に関する提言と入札実態調査報告」のなかで、「首長や議員は、自らの選挙のために、票と政治資金を求め」ることなどを通じ、「談合に深く関与している」ことが、「多くの自治体で談合が蔓延し、談合を防止できない」原因であると考えられる、と指摘していました。

 私は、行政トップである知事が、その政治活動や選挙活動において、建設業界からの応援や政治献金は受けないことを明確にすることが、知事がいう「公正でクリーンな県政」の第一歩だと思いますが、知事の考えをお示しください。
 また、「福島県政汚職事件」は、前知事の収賄と、一人の県議を含めた八人の公職選挙法違反容疑の起訴ですべてが終わるとは思えません。少なくとも、この汚職事件に県職員OB、および県職員がどのようにかかわった官製談合であったのか、その全容解明を知事のもとで進め、その結果を県民に示すことが、知事がいう「二度と談合が起きない」県政とする最低限の責務だと思います。
 そこで知事は、前知事の収賄容疑による起訴があったことをもって、今回の県政談合汚職問題は終わったとお考えなのか、見解をお聞かせください。
 さらに、談合の温床ともなり、県財政の借金を1兆円を超えるまでにふくらませる要因ともなり、そのことが県民の暮らし・市町村応援の施策展開を圧迫している九十年代半ばから続く大型事業、とくに、小名浜人工島づくりやトラハイの抜本的見直し、さらにはムダの典型といえる首都機能移転対策事業の中止は急務です。福島県内の事情を熟知するという知事のもと、限られた財源を県民の暮らし、市町村応援施策に重点配分する政治決断の問題です。考えをお示しください。

 公共事業のありかたにかかわってうかがいます。
 国家的見地から行なわれる公共事業をすべて否定するものではありませんが、県民の生活に密着する県の事業は、地域経済や地域循環のなかに位置づけられるものだと思います。県が行なう公共事業は、地域密着のこうした事業を柱にすえるべきだと思いますが、知事の考えをお示しください。
 そして、公共事業による整備の必要性の検討・計画内容の検討の段階から、住民とともに議論しながら進める住民参加型の事業選択・プランニング制を基本とすべきだと思いますが、知事の考えをお聞かせください。

 次に、地方分権にかかわってうかがいます。
 知事が所信で「地方分権社会の確立」を掲げたことは当然のことだと思います。問題はその中身です。とくに国との関係でどういう姿勢をもつかは、分権の確立をいう以上、重要だと私は思っています。
 前知事辞職後の知事選にあたり、福島県町村会長が「福島県町村会として今後の発展を願って」とした談話を発表しました。
 そこでは、「今後、改革の名のもとに地方が追い詰められることのないように」と危機感をこめた表現で、中央政府につき従うような県政にははっきりと反対の姿勢を示し、「地方の発展に思いを込めた信念を持った強いリーダーを望む」と強調しました。
 国が「改革」の名において、地方交付税や国庫補助・負担金削減などさまざまなしわ寄せをしているもと、町村会長談話に正面から答えることは重要です。そこで知事は、地方分権を確立するために、国に対してどのような姿勢でのぞみ、市町村との緊密な関係をどう築かれようとするのか、お聞かせください。

 次に原発行政にかかわってうかがいます。
 知事は所信表明で、「プルサーマル計画など原子力政策については慎重に対応」すると述べられました。そこでまず、知事選告示の前日、日本青年会議所福島ブロック協議会が主催した公開討論会で、プルサーマルに賛成とした態度とこの所信との関係をご説明ください。
 プルサーマルの問題では、モックス燃料を使うことで核分裂反応による生成物が増大し、放射線量が格段にふえる問題、原子炉の制御棒の効きが悪くなる問題、放射線の防護が困難になる問題、作業員の内部被ばくの危険が増大する問題、原子炉に異常が生じた際の問題、試験的な運転をいきなり商業用原子炉で行なおうとしている問題、老朽原発で使うことで強い放射線による老化現象をさらに早める問題、核分裂をしない始末に終えないプルトニウムが蓄積される問題、さらには高レベル放射性廃棄物中に数万年という極端に寿命が長い放射性元素が増加するのに、その処分法すら決まっていない問題など、山積状態です。
 私は、こうした状況のもと、前知事が決断したプルサーマルの白紙撤回状態をくつがえす条件はまったくないと考えますが、知事の考えをお示しください。
 また、「維持基準」について、ヒビの発生・進展メカニズムが明らかでなく、そのヒビが見逃される問題、短期間にたびたび改定される健全性評価の問題、超音波探傷試験のありようの問題、技術者が養成されていないなどの種々の問題があるうえ、原発の老朽化にともない、これまで顕在化していなかったり想定外の事象が発生したり、点検対象としていなかった個所でのトラブルが発生していることは、県も把握しているところです。
 維持基準以前の問題が老朽原発を酷使することで次つぎと発生するもと、県民の安全・安心確保を最優先にするならば、維持基準の導入に慎重である姿勢はくずすべきでないと考えますが、知事の考えをお示しください。
 本県には、運転から三十年を越えた原発が三基あります。むこう四年間に福島第一原発の六基全部が三十年を越えることになります。
 県のエネルギー政策検討会は、二〇〇二年九月の「中間とりまとめ」において、「廃炉を見据えた地域の将来を考える時期にある」と提起しました。原発の設置については県の事前了解を必要としながら、廃炉については県の関与が法定されていないことについて、私は、廃炉の提起を自治体から事業者もしくは国に対してすることができるしくみをつくるよう、立地県として求めるべきだと思いますが、考えをお聞かせください。
 また昨日発覚した第一原発1号機での復水器出口海水温度データ改ざんは、安全確保協定第一条に違反する重大な背信行為です。十八年に及ぶといわれるこのデータ改ざんについて県はどのような認識で、どのような対応をされるのかうかがいます。

 次に、安全・安心の県づくりに関わり、医師不足、とくに病院勤務医不足対策についてうかがいます。
 私の居住地であるいわき市においても、この勤務医不足は顕著です。いわき市の場合は、県が策定する「地域保健医療福祉圏計画」の圏域であり、県の責任は重大です。
 市の中核病院であるいわき市立総合磐城共立病院の院長は、「医師不足が深刻で…当直などでも中堅医師にかなりの負担がかかっている…診療科目によっては、診てあげたくても診てあげられない状態…勤務医・看護師など医療スタッフの労働条件が悪くなり、バーン・アウトしていく。そしてさらに負担が増える、という悪循環が続いている」と現状を語っています。
 また磐城済世会理事長でいわき市病院協議会会長は、病院協議会では「『共立の負担を軽減するような協力をしよう』と話し合っている」が、ご自分の病院でもこの二年間で勤務医が「二五、六人から十三、四人に」減ってしまい、理事長本人が当直勤務し、「いわきはそのうち、医療過疎になるかもしれない」と言っています。
 県が計画に責任をもつ二次医療圏のいわき市の病院勤務医不足について県はどのような現状認識をおもちなのか、あわせて勤務医不足解決のために、市をどのように支援しようとされるのか、短期的・長期的それぞれの考えをお聞かせください。
 この病院勤務医不足は、いわき市にとどまりません。県が各圏域の公立病院へ三三人の医師を派遣していることはその深刻な現れであり、この問題にのぞむ県の真剣な姿勢の現われでもあります。
 いずれにせよ中長期的に見るならば、各圏域のそれぞれの地域で、医師が生涯を通じて自発的に働き続けられる医療環境の整備を県が主体的に進めることは不可欠といわなければならないと思います。
 県は総合的な医療環境の整備充実につとめるといいますが、医師が自発的に県内で働き続けられる医療環境という面から、県としては現状の問題をどう認識し、解決すべき課題と手立てをどう考えておられるか、そのなかで県はどう主体性を発揮されようとしているのか、お示しください。

 また知事は、「女性医師が子育てと診療を両立できる環境の改善に努める」と述べられています。改善が必要な現状という認識が前提ですが、女性医師を支援するため、具体的に、労働条件改善、院内保育所への補助拡充と整備促進、産休・育休代替医師確保のためのドクターバンク、パートでの医師雇用につき、県として現状をどう把握し、どのような改善が必要で、どんな手を打ち、また打とうとされているのかお聞かせください。

 次に、各医療圏での医療提供体制の整備にかかわって、各医療機関の機能分担・業務連携促進における県の役割についてうかがいます。
 病院勤務医不足のもと、さまざまなしわ寄せが勤務医に来ていることが現況です。これを緩和するには、病院間の役割や機能の分担・必要な連携、同じように病院と診療所とが実質的・緊密な連携をすることが不可欠です。
 私は、各二次医療圏において、県が主導し、市町村、医師会、病院関係者が、こうした連携を目的に、定期的な会合を持ち、圏域内医療提供についての課題を日常的に共有しながら問題解決にあたる体制を今すぐにでもつくるべきだと思いますが、考えをお聞かせください。

 次に看護職員についてうかがいます。
 二万人を超える県内看護職員のうち、四割超が准看護師です。全国平均は三割強で、県としても准看護師から看護師への移行を進め、看護師比率をふやさなければならないことは本県の課題であると認識していることは承知をしております。
 しかし、課題と認識しているにしては、具体的・抜本的促進策が明らかではありません。そこで、県としての現状認識と、今後、具体的に看護師比率をどう高めようとされるのか、考えをお聞かせください。
 あわせて、准看護師から看護師への移行のための二年課程通信制の整備について、全国ではすでに十九校ありますが、本県においてどのように進めるおつもりか、お聞かせください。

 次にリハビリ医療に関してうかがいます。
 国は、今年四月の診療報酬改定で、国民にはほとんど知らされないまま、リハビリ医療が原則として、発症から最大一八〇日までに制限されました。これにより、寝たきりになってしまうケースや生活機能が低下し、命を落とす可能性も指摘されている問題です。
 福島県保険医協会の先月の半月間の調査で、県内で「脳血管疾患等リハビリテーション料I」を届け出ている医療機関のうち、八医療機関で、リハビリを継続できなくなる、または制限でリハビリ診療をやめた患者さんが一七三人にのぼった、とのことでした。
 医療機関からは、「中途半端な形でリハビリを終了せざるを得ない患者さんも多く、大変困っている」「一律の日数制限は、患者、医療スタッフともに納得のいくものではない」「症例を客観的に評価し、適切なリハビリを行なう必要がある」などの声が寄せられている、とのことです。
 テレビでもリハビリ制限の問題について、その実態が放映されました。
 リハビリテーションをより広い意味でとらえ、「地域リハビリテーション」を推進している県としても関心を示さないわけにはいかないと思います。
 そこで県としては、リハビリ日数制限による影響をどう把握し、どのような対応が必要と考えているかお聞かせください。

 次に、介護保険と関わって、地域包括支援センターについてうかがいます。
 今年度から、予防重視型システムへの転換において重要な役割を担うものとして創設され、地域住民の心身の健康の保持および生活の安定、保健・福祉・医療の向上と増進のために必要な援助・支援を包括的に担う地域の中核機関です。
 問題は、地域包括支援センターが、その中核機関にふさわしい業務を行ない、展望をもって働ける場となっているか、であります。
 たとえば業務のひとつである介護予防支援業務のうちのケアプラン作成状況を見ると、四月がセンター一か所あたり九・九件だった件数は、五月には十八・九件と倍増し、七月には四二・六件と四倍を超えました。
 県は昨年九月議会での私の質問に、「業務が効果的かつ適正に実施できるように支援」する、とのお答えでしたが、スタートして九か月目に入った地域包括支援センター業務の現況をどう把握し、実態に即した支援をどのようにしてきたか、また今後、センター職員が地域の中核機関としての役割を、誇りをもって担えるように、どのような支援が必要と考えているか、お聞かせください。

 次に「認定こども園」に関わって、県の考え方をうかがいます。
 条例案で、三〇人学級を基本としたこと、幼稚園・幼保連携施設を除いて調理室を必置としたことは評価できるものです。ただし、食育の重要性が強調されており、乳幼児期の子どもの食生活の基礎づくりのためには、すべての「認定こども園」に自園調理のための調理室・調理員の配置を義務づけることが望ましいことは言うまでもありません。
 問題は、この「認定こども園」制度が、経済財政諮問会議、総合規制改革会議などから「構造改革」の一環として計画されたことにともなうものです。
 たとえば現在の私立保育所が「認定こども園」の認定を受けると、保育料は施設ごとに決めるために市町村内でまちまちになりえます。同様に、入所選考は施設ごとに行なうので、市町村による全体を見た選考ではなくなるため、同一市町村内で優先度の高い子どもがこども園に入れない事態が発生しえます。また同様に、保育料はその施設に直接支払うことになるため、保護者がなんらかの事情で保育料を滞納すると、子どもの退所につながりえます。
 これはなにも、私立幼稚園がダメなのでなく、児童福祉施設である私立保育所を、学校である幼稚園と同じ位置づけにすることによって、公的保育制度に大きな穴があきうる、という問題です。
 児童福祉法のもとでは、保護者の所得に関係なく保育の質が保障され、市町村単位で緊急度に応じて入所が保障され、保護者の事情に関係なく保育の継続が保障され、市町村単位での待機児童解消計画が保障されるわけです。
 そこで、私立保育所が「認定こども園」の認定を受けた場合、保育料の決定、入所選考、保育料の徴収が市町村事務でなくなることによる影響が、子どもたちに及ばないようにする担保を県としてはどのように考えているのか、お示しください。
 もうひとつ、幼稚園や認可外保育施設が「認定こども園」の認定を受けると、保育に欠ける子どもをあずかっても、認可保育所のような児童福祉法の規定はまったく適用されません。
 すなわち、選考の公正さは求められず、保育に欠ける子どもに対する応諾義務は持たず、保育料は家計への影響を配慮して決められず、市町村はその保育料の変更命令は出せません。
 そこで、「認定こども園」の認定を受けた幼稚園や認可外保育施設が、保育に欠ける子どもをあずかっても、認可保育所に課せられている入所選考や保育料に関する児童福祉法の規定が適用されないことについて、県としてどのようにお考えなのか、お聞かせください。

 最後に、県内雇用の確保にかかわってうかがいます。
 国税庁の民間給与実態統計調査によると、二〇〇〇年から二〇〇五年の間に年収三百万円以下の人数は、百八十五万人増えて千六百九十二万人になり、全労働者の四割近くになりました。
 その大きな要因に、大企業を中心に、正規雇用を非正規雇用に置き換え、いわゆるワーキングプアの深刻化をはじめ、とくに若者に不安定雇用が増えていることにあります。
 しかもこれは、働き方の多様化などとくくれる問題ではなく、「国民生活白書」(〇六年版)が、正社員を希望するパート・アルバイトを中心に、転職希望者が増加していると指摘していることからも、雇う側の問題であることは明らかです。
 そこで私は、県自身が県内雇用における正規・非正規雇用状況を把握し、正規雇用の促進策をもつべきだと思いますが、県の考えをおうかがいしまして、私の質問を終わります。

答 弁

一、談合根絶について
知事

 建設業界との関係につきましては、今回の知事選挙において、建設業界からの献金は一切受けておりません。
 今後も、業界とは、緊張関係の中でき然と対応することにより、公正でクリーンな県政の実現に努めてまいる考えであります。
 次に、今回の談合問題につきましては、事件としての判断は司法当局が行うものであり、事実関係は今後の裁判の中で明らかになるものと考えております。
 県といたしましては、県政を大きく揺るがし県民の皆さんにご心配とご迷惑をおかけしました今回の不祥事を教訓として、まずは、透明性・競争性・公正性の高い新しい入札制度を早期に立ち上げるなど、クリーンな県政の実現に取り組み、県政の信頼回復にと努めてまいる考えであります。

総務部長
 財源の重点配分につきましては、「新長期総合計画うつくしま21」に掲げる目標の実現を図るため、重点推進分野を定めるなどして、限られた財源を重点的、優先的に配分し、地域の均衡ある発展と県民福祉の向上に資してまいりたいと考えているところであります。
 なお、今後とも、事務事業の必要性、優先制については不断に見直しを行ってまいる考えであります。

二、公共事業の在り方について
土木部長

 県が行う公共事業につきましては、「うつくしま建設プラン21」において、交流を促進するネットワークづくり、安全で安心できる生活環境づくり、個性と魅力ある美しいまちづくりを基本テーマとしているところであり、今後とも、県民の安全・安心を守り、地域の特色を生かした活力ある地域づくりを支援するため、社会資本の整備を推進してまいる考えであります。
 次に、公共事業の進め方につきましては、事業に関する県民ニーズの的確な把握に努め、基本方針の策定から、計画、施行、維持管理に至る各段階において、懇談会の開催やアンケートの実施、住民との協議・検討の場の設置、さらには、道路や河川のサポート制度の活用など、地域の実情や事業の性格に適した住民参加の手法を取り入れ、事業を進めております。
 今後とも、県民と「ともに考え、ともにつくり、ともに育む」ことを基本に、住民意見を反映させる双方向型行政の推進に努めてまいる考えであります。

三、地方分権について
総務部長

 地方分権につきましては、住民に身近な行政を担う地方自治体が、その役割を十分に発揮できる権限や税財源を有し、自らの判断で特色ある地域づくりを行えるようにするものであります。
 そのため、地方6団体等との連携の下、国から地方への権限及び税財源の更なる移譲、様々な規制緩和や過剰関与の撤廃等、地方の実情を反映した分権改革となるよう、今後とも、国に対して強く訴えてまいります。
 また、市町村の自主的、主体的な取り組みを尊重することを基本として、常に地域の実情に目を向けながら、イコールパートナーとして市町村との連携を深め、住民本位の地方自治の確立に努めてまいる考えであります。

四、原子力行政について
知事
 原子力行政についてでありますが、私は、県民の安全・安心の確保が何よりも重要であると考えており、客観性と信頼性を高めた安全規制体制の確立と充実強化が図られることを前提として所見を述べてきたところであります。
 したがいまして、今後ともプルサーマルなど原子力政策につきましては、県民の安全・安心を確保することを基本に、これまでの経緯を踏まえ、県議会、そして関係自治体をはじめ広く県民の御意見をお聴きしながら、慎重に対応してまいりたいと考えております。

生活環境部長
 本県におけるプルサーマル計画につきましては、安全確保の大前提となる国や事業者との信頼関係が失われたことなどから白紙撤回されたものであります。
 その後におきましても、美浜発電所の配管破断事故、さらには、県内原子力発電所において、制御棒のひびや流量計における不正な補正係数の使用等の問題が発生している状況にあります。
 県といたしましては、このような状況を踏まえ、国や事業者の安全確保や信頼回復に向けた取組状況等をしっかりと確認するなど、引き続き、県民の安全・安心の確保を最優先に対応してまいる考えであります。
 次に、維持基準の導入につきましては、これまでも、国及び事業者には、安全・安心の確保を最優先にした点検・補修を行うとともに、その点検の手法や結果等を県民へ情報公開するなど十分な説明責任を果たしていくことを求めてまいりました。
 県といたしましては、国及び事業者には、引き続き、安全・安心の確保を最優先にした慎重な対応を求められていると考えております。
 次に、海水温度データの改ざんにつきましては、事業者において、平成14年の一連の不正問題発覚以降、信頼回復に向けた取り組みを実施している中、安全管理の基本である測定データの改ざんが判明したことは、県民の信頼を大きく損ねるものであり、極めて遺憾であります。
 県といたしましては、事業者に対して、データ改ざんを行った意図やその背景なども含めた今回の問題の徹底的な原因究明とともに、協力企業を含め発電所一体となった再発防止対策の取り組みの徹底を求めたところであります。
 今後は、それらの取組状況をしっかりと確認し、県民の安全・安心が確保されるよう適切に対応してまいる考えであります。

企画調整部長
 廃炉につきましては、電源地域の将来にわたる振興を図る観点から、地方自治体の意見が尊重される仕組みの構築や廃炉後における地域の自立的な発展がなされるための制度の整備について、県として、さらに、原子力発電施設等の立地道県で組織する「原子力発電関係団体協議会」としても、国に対して提言・要望を行っているところであります。

五、医療問題について
保健福祉部長

 勤務医不足につきましては、へき地に限らず、いわき市を含む都市部の病院におきましても深刻な状況にあります。
 県といたしましては、当面の対策として、公的病院を対象に、県立医科大学から非常勤医師を派遣しており、いわき市へも4名派遣しているところであります。
 さらに、医学部学生への修学資金の貸与や臨床研修病院による合同ガイダンスの開催などにより、医師の確保に努めてまいりたいと考えております。
 次に、医療環境の整備につきましては、医師不足が深刻化する中、重要な課題であると考えております。
 このため、医療機関相互の機能連係と機能分化を進め、効率的な医療資源の活用をはかるとともに、医師臨床研修後期研修の充実など、県立医科大学や市町村、医療関係機関等との連携を進めることにより、医師が働きやすい環境づくりに努めてまいりたいと考えております。
 次に、女性医師の支援につきましては、これまでも、病院勤務医等の仕事と家庭の両立支援のため、病院内保育所事業に対する助成を行ってきたところでありますが、今年開催した「女性医医師に関する懇談会」における意見等を踏まえ、子育て期の就業環境の改善策や保育サービスの在り方など女性医師の働きやすい環境づくりについて検討してまいりたいと考えております。
 次に、医療提供体制の充実につきましては、各保険福祉事務所ごとに保険・医療・福祉関係の団体、市町村、関係行政機関で構成する「地域保健医療福祉推進会議」を設置し、また、いわき市には「保健医療審議会」が設置されており、それぞれ地域の実情に即した医療施策の推進等について検討、協議を行っております。
 次に、看護職員につきましては、医療の高度化・専門化に伴い、より質の高い医療の提供が求められる中で、その資質の向上が重要であると認識おります。
 このため、准看護師養成所から看護師養成所への過程変更については、設置者の意向を踏まえながら、その促進を図っているところであり、また、看護師資格を取得しようとする准看護師に対して、修学資金を貸与するなどの支援を行い、今後とも、看護師比率の向上に努めてまいりたいと考えております。
 次に、看護師2年過程(通信制)につきましては、県内外における設立動向や、准看護師の受講希望等を踏まえ、現在、医療関係者や学識経験者等で構成する「県立看護師養成施設に関する懇談会」において、検討中であります。
 次に、医療機関で行われるリハビリテーションにつきましては、今回の診療報酬改定において、早期のリハビリテーションに重点を置き、より効果的なリハビリテーション医療の提供が行われるよう配慮された結果であると理解しております。

六、地域包括支援センターについて
保健福祉部長

 地域包括支援センターにつきましては、本年4月の設置以降、要支援者を対象とする介護予防ケアプラン作成業務が急増する中、組織・人員体制がセンターごとに様々であるため、県としては、先進的な取り組み事例の紹介などセンター職員に対する実践的な研修及び高齢者保健福祉圏域ごとの意見交換会を開催するとともに、個々のセンターに対し、必要に応じ実地での助言を行うなどの支援をしてきたところであります。
 次に、センター職員への支援につきましては、各職員が、高齢者の最も身近な相談窓口として、地域住民からの信頼と関係者からの協力を得られることが、誇りと自信につながるものと考えております。
 このため、県といたしましては、センター職員が、より専門的な知識や技術を身につけるための研修を実施するなど今後とも、きめ細やかな支援を行ってまいります。

七、認定こども園について
保健福祉部長

 認定こども園につきましては、私立保育所が認定を受けた場合、保護者が施設を選択し、直接契約を行うことになりますが、法律により、保育料については、市町村への届け出事項であり、家計への影響を考慮して決定することが規定されているとともに、市町村長に変更命令権が付与されております。
 入所選考については、公正な方法で選考することが義務付けられており、また、保護者が保育料を滞納し、退所となった児童については、市町村長が他の保育所に入所させるなど適切な措置を講じる必要があるとの国の見解が示されているため、県といたしましても、その周知等に努めてまいりたいと考えております。
 次に、幼稚園や認可外保育施設につきましては、現行制度の中で保育に欠ける子どもを預かっており、認定こども園の認定を受けた場合でも、適切に対応されるものと考えております。

八、県内雇用の確保について
商工労働部長

 正規・非正規雇用状況につきましては、2002年就業構造基本調査によれば本県における非正規雇用者の割合は32.5%となっており、また、本県の月間有効求人における非正規求人の割合は、最近1年間約6割で推移しております。
 こうした状況を踏まえ、県といたしましては、正規職員を多く雇用する企業の戦略的誘致に取り組むほか、就職サポートセンターにおいてきめ細かな就労支援を実施し、国の就労支援機関と連携しながら若年不安定就労者や非正規従業員の常用雇用化を図ってまいる考えであります。

再質問

 最初に知事に2点質問します。今回の選挙で建設業界からのお金はいただいていないということでした。今後とも緊張感を持って、なおかつき然と対応されるということは、当然のことだと思います。そこで確認ですが、政治資金規正法という法律がありますけれども、私は要するに合法的な資金であっても、そういった業界からのお金は断つべきだと、こう思いますけれども、そこまで含めたご答弁だったのか確認させていただければと思います。
 2つ目です。プルサーマルのことでお答えがありましたけれども、安全・安心が最優先だということはまったくその通りだと思います。知事が公開討論会の時に「○」を挙げたときの条件が、結局、安全性が確認されたならばということだったと思うんです。そこで知事に確認したいのは、安全性の確認という問題です。知事もたとえば原子力安全・保安院の分離については、はっきりと公約に掲げましたし、それを主張していくんだということでした。福島県も主張してきましたし、県議会も主張してきましたが、国はまったくこれを受け入れようとしない姿勢を堅持しております。このことも含めて、県が「中間とりまとめ」の中で国や事業者のブルトーザーが突進するような進められ方が今進められているんだ。国や事業者がその安全性にお墨付きを与えれば、それで知事は安全性が確認されたというような判断をするのか。そうではなくてさらに何らかの安全性確認の担保が必要だと考えておられるのか。その担保というのはいったい何と考えられておられるのか、基本的なことをお伺いできればと思います。よろしくお願いします。

知事
 長谷部議員にお答えいたします。まず、政治資金の問題であります。当然これは政治資金規正法を遵守をすると、これは当然のことであります。それに伴って県民のみなさんを、今度の様々な問題の経緯を踏みながら、県民のみなさんを裏切ることをしない対応をするということが、私の基本姿勢でございます。
 それからJCの問題でございますが、これは長谷部さんもお聴きになっておられると思います。あの時は、2元的な対応だったんです。だからあの時「△は?」という話をしましたが、安全性が福島県は、原子力政策、しかも浜通り、あのような状況になっており、しかもそれが日本の大きな原動力になっているということを考える中で、毎日インシデントみたいなことが起きている状況を考えてみると、なんといっても地域の安全、それから県議会のみなさんの議論の経過を踏まえて、それに対応していくというのが、当然、原理・原則でありますので、そのような対応をさせていただきたいと思っております。

再々質問

 私が最初に確認させていただこうと思ったのは、政治資金規正法の遵守は当然なんですけれども、最初の答弁は合法的な献金も業界との関係では断つという意味なのか。そのことを確認させていただければと思っていたんでその点をお聞かせいただければと思います。
 保健福祉部長にお伺いいたします。第2次医療圏における医療関係者の連携についての件です。いわき市においては、私自身がいわき市の医師会の方からもいわき市の病院協議会の方からも、市や県が入った形での具体的な対策についてキチッとやれる場をつくってほしいと要望があったもんですから聞いたんです。この間でいうといわき市では本当に深刻な問題になっているんで、医師会の方でも病院の勤務医、特に急性期病院、いわき市立共立病院の勤務医の先生方の負担の軽減のために、たとえば医師会の開業の方々が介護問題なんかに関しての意見書などはキチッとやることにしようとか、急性期病院から退院するときの退院時の計画について、包括支援センターも含めて、開業医が積極的に関わろうとか、あるいは小児科の救急の問題についても、医師会の中で医師を募って、小児科輪番制なども検討していこうじゃないかと話をしているんです。ところがそういった問題を、たとえばいわき市全体の中でそれぞれのところでどういう状況があって、どこでどういうことが必要なのかというのは、結局、行政がキチッと把握した上でその情報をもとに議論をするということにならないと、開業医の先生方も病院の勤務医の先生方も基本的には自分のところで働いているわけですから、つねにいわき市全体のことが見えて働いているわけではないので、そこはやっぱり行政が入ってくれないとだめだということなんですよね。実はいわき市の担当の方に聞きましたら、結局、いわき市も圏域が県がつくる医療計画の圏域なもんですから、県がやってくれないと困るんだとこういう話なんです。行政の側もそういうわけなんです。ですから具体的に、ただちに県がちゃんとかかわってやるべきではないか、と聞いたんです。審議会でやられているようなお話ですけれども、現場はやられていないという認識でやってほしいと声がでているものですから、改めてお聞かせいただければと思います。
 こども園のことですけれども、条例案でたとえば、子育て支援事業をぜひやりなさいと、そんなことも書かれていますし、当然そうすると事業者の方がそういった人をキチッと常勤配置をするとか、あるいは障がい児を受け入れるために特別な配慮を必要とする子どもたちを保育するための保育者を配置するとか、そういうところも出てくると思うんです。問題はそういった保育者の配置基準の上乗せとか横出しとかね、そういったことに対する助成をキチッとやることによって、こども園の継続的・安定的運営を県としては責任を持つのかということが1つです。それから認定こども園を認定した後のこども園の状況の聴取をしたり、あるいは指導監督をしたり、報告の精査や必要な立入調査をしたり、改善勧告などをして、こども園の充実を図るという県としての責任を果たすという仕組みはどのようになっているのか、その2点もお聞かせいただければと思います。

知事
 長谷部議員の再々質問でございますけれども、県民のみなさんの信頼を裏切ることのないよう、適正に対処してまいります。

保健福祉部長
 医師不足はおっしゃるように今いわき市に限らず全県的な問題でございます。私どもも危機感を持って、短期の対策、それから今回認められつつある県立医科大学からの増員など、いろんな取り組みをしてまいりました。県は保健医療福祉計画を持っておりますのでその進行管理をそれぞれの地域で関係の方々がお話し合いをしていただいてしているところであります。さらに、医師が今すぐわいてくるわけではありませんので、限られた資源をいろいろ地域で工夫をしていただいて、たとえば開業医などでは夜、小児科の救急を診ようかとかそんな工夫もなされているような経緯もございまして、地域のみなさま方がそういう工夫をしてこの場を乗り切るというのが今の知恵かなと思っておりまして、行政が出ていかないというお話がございますが、県はいわき市に保健所というのがないもので、中核市の保健福祉を担っている部分で対応が可能かどうか検討をさせていただきます。
 こども園への支援でございますけれども、認定こども園は基本的に何もなかったところから新しくできるというよりは、保育所ベースがあったものが認定こども園の機能を持つ、あるいは幼稚園をベースにして認定こども園の機能を持つ、あるいは両方歩み寄って中間的な幼保一体型といいますか、そういうものをつくったりすることになっております。従いまして、ちょっと面積が足りないから、新しい施設設備がほしいといかそういう話はあろうかと思いますが、基本的には幼稚園と保育所の、あるいは認定外保育所も県は助成しておりますが、そういうものも助成はそのまま続きます。ですから指導監督につきましてもその枠組みを変えずに、総務部、教育長、保健福祉部それぞれ連携して指導監督に当たるということになっておりますので、あまり心配はないと思っております。



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