日本共産党の神山悦子です。今議会は、県政談合汚職事件が発覚し県民だけでなく全国注視の中で出直し知事選が行われ、新知事を迎えて初めての定例議会でした。県民からは、県政の税金の使い方に厳しい視線が注がれていることを改めて申し上げながら、以下、日本共産党を代表し議案について意見を述べさせていただきます。
まず、議案第1号の補正予算についてですが、この主なものは、台風12号や低気圧等による海岸堤防等の災害復旧事業費等、緊急に措置すべき経費と、人事委員会勧告による職員給与改定に伴う減額補正です。
災害復旧は緊急に対応すべきであり当然ですが、単に修復すればよいというのにとどまらず、老朽化対策や再発しにくい対策を含め、地域住民が安心してすみ続けられるような対策をあわせて行うようにすべきことを指摘しておきます。
一方、職員給与改定に伴う減額補正が盛り込まれましたが、これについてはすでに先月29日私の反対討論で述べたように、県民にとって不要不急の大型公共事業でつくった県の借金のツケを県職員にまわすものでしかありません。しかも、国の人事院は給与構造の見直しと称して、今回初めて民間企業の比較対象規模を「100人以上」から「50人以上」まで引き下げる勧告を行いましたが、この勧告に従って一時金のマイナス勧告を行ったのは本県を含めわずか4県だけでした。
県職員にとっては、12月期末手当てが0.05月分カットされたことによる被害額は6億8千万円となり、配偶者と子ども2人の38歳の主査クラスで18,056円の減額、配偶者と子ども2人の52歳参事クラスで27,145円の減額となり、平均でみると年齢は42.7歳、20,816円の減額、率で0.32%のマイナスです。
いま県民のくらしは、定率減税の縮減・廃止や老年者控除の廃止などの庶民大増税と、医療制度の改悪や介護保険の改定、障害者自立支援法に伴う自己負担の導入など社会保障の連続改革による負担増が重くのしかかり、また、若者を中心とした非正規雇用の拡大も大きな社会問題となっています。所得「格差」は広がるばかりであり、ワーキングプアと呼ばれる世帯も急増しています。
総務省の就業構造基本調査によれば、97年と02年の5年間で、年収300万円未満の世帯が17万世帯から22万9,200世帯へと5万9,200世帯も増え、構成比では24.7%から31.8%へと7.1ポイントも増加し、実に県民の3世帯に1世帯が年収300万円以下となっています。統計は4年前のものですから、この間01年以降の小泉「構造改革」路線による「格差」の広がりをみれば、さらに深刻な事態になっていると思われます。
こうした中で、昨年に引き続く県職員の給与改定による減額補正を行うことは、さらなる民間全体の賃金抑制に拍車をかけ、それがひいては個人消費支出の抑制につながり、いっそう県内景気と地域経済を疲弊させることになることを指摘するものです。
次に、議案第14号「認定こども園の認定基準を定める条例」案についてですが、長谷部議員が本会議質問で指摘したように、国の基準では施設設備や職員配置、教育・保育内容など、現行の幼稚園、保育園の基準を下回ることを許容するものとなっています。ただ、この中で県が独自に3歳以上のこどもについては1学級を30人以下としたこと、調理室を設けること、幼稚園教諭免許や保育士の有資格者を3分の1以上おくことなど、国基準以上のものを盛り込んだことについては評価します。
しかし、そもそも「認定こども園」の制度は、経済財政諮問会議、総合規制改革会議などの政府の「構造改革」の一環として出されたものであり、保育園や幼稚園の職場から出てきたものではないのです。「認定こども園」は保護者との直接契約制ですから、施設ごとに保育料が自由に設定されます。したがって、高額な負担を求めることも、滞納や未払いを理由に退所させることも可能とされています。
保健福祉部長は、長谷部議員の再質問に対し「指導監督についてはそれぞれ連携して行うので心配ない」と問題がないかのように答弁されましたが、保育に欠ける子どもたちへの選考についても、県の条例によってこうした子どもたちに対し責任をもって入所を保障するものとなっていません。「認定こども園」制度は、公的保育制度をつき崩すことに道を開くものとなるのは明白ではありませんか。そうした観点からみると、「認定こども園」の保育条件を向上させるために、県が市町村と協力し財政援助を含め最大限の努力をしていこうとする姿勢は、残念ながら感じられません。
議案第22号「県の行う建設事業に対する市町村の負担の追加及び一部変更について」の議案ですが、これは農林水産部と土木部が行う県の建設事業に対し、市町村に負担金を求めようとするものです。県は法的根拠として、地方財政法第27条第1項と道路法第52条第1項に基づいてとしていますが、これは、市町村に対し「負担を求めることができる」としているだけで、「必ず求めなければならない」としているものではなく、こうした県の建設事業へ市町村に負担を求めることは中止すべきです。
いま、市町村財政が県以上に厳しい運営となっていることは承知しているはずです。「分権」を積極的に推進してきた本県が、過去の手法のまま県の建設事業へ市町村を強制的に参加させ、負担金まで求めるというのはどう考えても整合性がありません。これについても改革すべき時期にきていると思います。
以上の理由から、議案第1号、第14号、第22号の3件に反対を表明し、討論を終わります。
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