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2007年2月県議会知事提出議案ほか反対討論
2007年3月16日
神山悦子
 日本共産党の神山悦子です。
 日本共産党を代表しまして、議案に対する意見を述べさせていただきます。
 まず、議案第1号平成19年度(2007年度)当初予算案についてですが、新年度予算は前年度当初よりも197億400万円、2.3%減の8,511億8,900万円となっています。この予算規模は14年前の93年度(8,402億円)とほぼ同規模で、93年度当時と大きく違うのは、借金の増大です。歳入に占める借金の比率は、93年度6.1%だったものが07年10.6%になり、額にして1.76倍に増えています。返済のほうは、歳出の公債費比率8.3%が13.8%となり、基金から179億円取り崩してのやりくりとなりましたが、07年度末の借金(県債)残高は、1兆2千億円となる見込みです。これは、前佐藤県政の90年代半ばから始めた大型公共事業優先のゆがんだ県政運営がもたらした結果ですが、佐藤新知事になって初めての予算編成された新年度予算案にも、県民には不要不急の大型事業が見直しされないまま、トラハイや人工島には、ほぼ前年度並みの予算を計上し、福島空港も毎年6億円前後の赤字を出しながらの運行です。風前の灯となってくる見込みなどない首都機能移転誘致等に700万円を計上していますが、これなどはすぐにでも中止すべき事業ではありませんか。公共事業は、ゼネコン中心の大型事業より地域密着型の公共事業に転換し、地元中小企業の仕事と雇用を守るべきと考えます。
 一方、膨らんだ借金のツケは、県民のくらしに関わる予算や市町村支援、県職員などに向けられています。93年度と比べると「民生費」と「衛生費」の予算は義務的経費の増大などで増えていますが、この2つの支出額を合計しても、「公債費」支出額より190億円少ないのです。教育費は、93年度比206億円もの減額です。養護学校の施設整備が後回しにされてきたため、教室不足を招いて障がいをもつ子どもたちにしわよせしたり、学校維持管理費の予算が少ないため、学校現場ではやりくりに四苦八苦し、PTA予算つまり保護者の負担で補てんしているという事例も少なくないようですが、本来、教育庁の予算でまかなうべきものです。
 県は、02年度「財政構造改革プログラム」を立てて緊縮財政に転じましたが、「官から民へ」と県も指定管理者制度の導入をすすめ、外部委託化を推進してきました。県立病院の統廃合、県立大学の法人化、県立社会福祉施設の民間委譲の「3大切りすて」を決めましたが、そもそも県立病院会計が赤字になったのは、国の医療改悪による診療報酬の連続引き下げや患者の医療費負担増、医師不足などが主な原因ではありませんか。県民の「医療・福祉・教育」の後退につながることを県自ら進めたのです。
 さらに、職員定数を281人削減し24億円の減額、昨年11月県議会では県人事委員会が「給与構造の見直し」と称して民間企業との比較対象規模を従業員100人から50人規模に下げてまで、賃金引下げを行ない、新年度は6億円の減額を見込んでいます。
 ところで知事は、新年度の重点施策として「次世代育成支援」をかかげ、妊婦健診と保育料の軽減策をするとしましたが、第1子からでなく第3子からと対象を制限しました。子どもの医療費無料化助成拡大についても、県議会の「次世代育成等特別委員会」からも対象年齢の拡大が要望されています。また、今議会では、私たちが中学卒業まで、他会派からは小学校卒業まで拡大すべきとの質問が相次いだにもかかわらず、県は「多額の費用を必要とするので考えていない」との冷たい答弁に終始しました。
 昨年4月から障害者自立支援法が実施され、1昨年10月に改定された介護保険法によって障がい者にも高齢者にもあらたな負担が増えています。国保税が払えない世帯が増え続けているのに、県独自の助成もありません。県は、口を開けば「財政が厳しい」「それは市町村の仕事」といいますが、県政にないのはお金ではなく、「福祉の心」ではないでしょうか。
 総務省の「統計でみる都道府県のすがた」2006年度版によれば、県の財政力指数は0.38%で全国21位と高い割には、対歳出決算総額に占める民生費割合は7.0%で42位、社会福祉費割合は1.57%で32位、老人福祉費割合は3.28%で35位、児童福祉費割合は1.57%で45位(いずれも2003年度)と福島県の医療・福祉・教育はいずれも全国最下位クラスです。人口1人あたりの予算でみても、民生費・社会福祉費・老人福祉費は、それぞれ39位・41位・36位、児童福祉費は全国最下位の47位、保育所数は41位、医療施設に従事する医師数は10万人あたり170人で38位、一般病院常勤医師数は100病床あたり7.4人の45位となっています。
 佐藤新知事のもう1つの重点政策である「企業誘致」についてですが、新年度からこれまでの補金5億円を7倍の35億円に引き上げるというものです。企業誘致そのものに反対するものではありませんが、これだけ県の財政が厳しい中で多額の税金を投入することには、他県の実態をみても大変疑問です。呼び込み型で県内経済の活性化を図るだけでなく、内発型・地域循環型の経済の活性化に重点を移すべきです。誘致企業と地域産業とをどう結びつけていくのか、正規雇用の拡大を含め、県政に求められる課題は大きいことを指摘するものです。
 次に議案33号と59号の「総合文化行政の推進体制整備にかかわる条例案」についてですが、私が一般質問で指摘したように、生涯学習やスポーツをそもそも教育的な観点で支えられてきた芸術文化、生涯学習、スポーツを教育庁から知事部局の企画調整部へ移すというのは、あまりにも唐突です。しかも、図書館や博物館は、それぞれ図書館法、博物館法によって規定されており、その目的には「社会教育法の精神に基き、設置及び運営に関して必要な事項を定め、その健全な発達を図り、もって国民の教育、学術及び文化の発展に寄与する」とされ、所管は都道府県の教育委員会の所管に属するとされています。教育庁と企画調整部の併任で所管するとせざるをえなかったのは、こうした理由からであり、やはり無理があるといえます。
 今回移管の対象とした部署の関係者や、県民各層の意見を十分聞くなどして、慎重にすすめるよう求めます。
 新規提出請願217号、日豪EPA交渉に関する意見書の提出を求める意見書についてですが、この請願は、日豪EPA交渉に入ることを前提にしていますが、日豪農業交渉そのものは、大企業が要求する工業製品の輸出に対する関税撤廃と投資を拡大するため、日本の農産物の市場を明け渡すことにあります。WTOやFTA・EPAなど農産物の自由化論では、世界に広がる飢餓や貧困を解決できないことは明らかです。いま日本がとるべき態度は、食糧主権に基づいた貿易ルールと農業・食料政策の確立こそ急務です。そうした立場から、日本農業に甚大な打撃を与え、本県農業にも大きな影響がでることが予想される日豪FTA・EPAの交渉そのものに入ることを中止すべきことを申しあげ、反対と致します。

 以上の理由から、議案第1号平成19年度福島県一般会計予算、議案第30号、33号、46号、48号、57号、59号、99号、意見書提出を求める請願217号に反対を表明し討論とします。

以上



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