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5月臨時議会・6月定例議会を終えて
2007年7月3日
日本共産党福島県議会議員団
団 長 神山 悦子
副団長 宮川えみ子
幹事長 藤川 淑子

はじめに

 4月8日投票の県議選挙の結果、日本共産党県議団は1議席増の3議席となった。選挙で訴えた公約の実現をめざし税金のむだづかいをやめさせ、高い国保税の引き下げや介護と障害者の利用料の負担軽減、子どもの医療費を中学校卒業まで無料化の実現などに全力を尽くすものである。
 日本共産党県議団は、団長に神山悦子、副団長に宮川えみ子、幹事長に藤川淑子と決定した。
 安倍内閣は、教育基本法の改悪、国民投票法(改憲手続き法)の強行など憲法改定に向けて暴走し、さらに国会最終盤には強行採決の連発で悪法を成立させるなどの暴挙をくりかえした。
 また、5月3日に発表した日本会議議員連盟の「新憲法大綱案」では、憲法第9条の2項を削除し「集団的自衛権の行使を当然視」することをめざし、くわえて学校教育における男女共学を否定するなど、憲法24条にもとづいて両性の平等、女性差別の撤廃を社会の目標とすることそのものに、激しい敵意を燃やしていることは、時代逆行の姿を象徴するものとして重大である。
 「政治と金」の問題では、事務所費問題、緑資源機構の官製談合などが大きな問題となり、松岡農水大臣が自殺するという憲政史上初の事態となった。
 一方、県民生活は景気回復が何ら実感されるものでなく、定率減税全廃と税源移譲による住民税大増税は、市町村の役所に抗議と問い合わせが殺到するなど昨年以上の事態となった。
 5月15日には、会津若松市で全国に衝撃を与えた県立高校生による母親殺人という悲惨な事件が発生した。
 4月中旬に宮城県山元町沖で貨物船座礁事故が発生し、撤去作業が遅れ、漁業者や新地町民に不安が広がった。県議団は、5月14日の藤川淑子県議の現地調査をふまえ、5月16日に県に対して、公費による油抜きとりの代執行や漁業者への補償、不安な気持ちでいる漁業者へ正確な情報提供などの対策を求めた。
 6月1日、教育長に対し、日本の侵略戦争を「自衛、アジアの解放のため」とする日本青年会議所作成の〃靖国DVD「誇り」〃を県内で使用しないことを強く申し入れた。
 6月4日、日本共産党県議団と党県こども署名推進本部(宮本しづえ本部長)は、知事に対して「こどもの医療費無料化制度の拡充を求める」要望書と7698人分の「こども署名」を提出した。1月に提出した第一次分と今回分を合わせると4万342人分になった。
 神山県議は、「2月議会で他会派からも質問が出され全会一致の要求」と強調し、村独自の施策で中学卒業までの拡充を決めた大玉村の須藤軍蔵、武田悦子の両村議は、「大玉村は決して財政が豊かとは言えないが決断できた」として県の「決断」を求めた。
 6月6日の降ひょう被害の調査に日本共産党県議団から宮川えみ子県議、党県委員会から宮本しづえ国政対策委員長が現地調査を行った。被害が一番ひどい葉タバコで、消毒の費用や、減収になることでの税等の各種減免制度が対象になるかが問題になり、早急に対策が必要であることが明らかとなった。
 6月8日、日本共産党県議団は、新婦人須賀川支部のシングルマザーでつくる“フリーママサークル”とともに、県へ要望書を提出し懇談の場をもった。神山悦子県議は、「直接会って話を聞くなり、アンケートをとるなりして、母子家庭の実態を把握してほしい」と強調した。
 6月1日に6月定例県議会に向けて日本共産党県議団は、子育て、正規雇用拡大、市町村への支援など16項目の要望事項を知事に申し入れた。

1、5月臨時議会について

 改選後の議会構成などを決める臨時県議会は、5月15日から3日間の会期で開催された。
 初日の15日に正副議長の選挙が行われ、議長には第一会派の自民党から、副議長は第二会派の県民連合からの選出となったが、県民連合は副議長と引き替えに常任委員会の正副委員長を自民党が独占することを容認したため、日本共産党県議団は、議長選挙では神山県議、副議長選挙では宮川県議に投票した。また、選出されたばかりの遠藤忠一新議長に対して、自民党が独占しようとしている常任委員会の正副委員長の配分を各会派の議席数に応じた比例配分とするよう申し入れた。
 県議会内の所属は神山悦子県議が総務常任委員・議会運営委員・議会改革検討委員、宮川えみ子県議は土木常任委員・エネルギー政策議員協議会委員、藤川淑子県議は商労文教常任委員・広報委員となった。

2、6月定例県議会について

 6月19日に開会した6月定例県議会は、7月3日までの15日間の会期であった。知事から提出された議案は18件、請願1件、最終日に人事案件2件が追加提案された。また、議員提案で県議会議員の報酬の5%カットが全会一致で決められた。
 一般質問には、日本共産党県議団から藤川淑子県議、宮川えみ子県議の2名が質問通告を行ったが、2日間で10名の質問とする従来の枠を超えたとして、党県議団の質問者を1名とするよう議会運営委員長が調整にのりだし、今後の課題として希望者全員が質問できるような運営改善をめざすことを確認して調整に応じた。日本共産党県議団からは、藤川淑子県議が一般質問に立つこととした。
 議会改革検討委員会では、海外視察、定例会の招集旅費、議長の常任委員会辞任の3点について全会一致で見直しを決定。政調費と他の議会改革については今後も検討を重ねることとした。
 7月3日、最終日には日本共産党県議団から宮川えみ子県議が反対討論に立ち、知事提出議案、第3号(特別職の職員の退職手当に関する条例の一部を改正する条例)、4号(福島県職員の退職手当に関する条例の一部を改正する条例)、5号(福島県職員恩給条例の一部を改正する条例)、12号(福島県公営企業の業務に従事する職員の給与の種類及び基準を定める条例の一部を改正する条例)、13号(福島県立病院事業の業務に従事する職員の給与の種類及び基準を定める条例の一部を改正する条例)、14号(福島県警察の組織に関する条例の一部を改正する条例)、15号(県の行う建設事業等に対する市町村の負担について)の7件に反対を表明した。
 その他、追加提案された人事案件2件のうち、人事委員会の委員の選任の1件については3期目の再任となることから反対した。
 また、意見書4件(異常気象による災害対策や地球温暖化対策の強化・拡充を求める意見書、20ヶ月齢以下の牛のBSE検査に対する補助の継続を求める意見書、道路財源の確保並びに道路整備の制度拡充等に関する意見書、日豪EPA交渉に関する意見書)が採択された。そのうち党県議団は、「道路財源の確保並びに道路整備の制度拡充等に関する意見書」に反対した。請願「福島県点字図書館新築について」は全会一致で趣旨採択された。

3、一般質問、他党派の質問の特徴について

 一般質問に立った藤川淑子県議は、知事の政治姿勢に関して、違法な自衛隊の国民監視活動の問題と「特森懇話会」からの政治献金問題について問いただした。しかし、知事は「表現の自由などの基本的人権は憲法において保障されているものであると考えております」、「当該献金は、私が所属していた政党に寄せられたものであり、政党活動のために活用し、法律にのっとり適切に処理されたものと認識しております」と答弁するにとどまった。
 県民のくらしの問題では、定率減税廃止と税源移譲に伴い、県は約250億円の増収となることを指摘し、雪だるま式負担増によって国保税の支払いができなくなるなどの影響などにふれ、増収分を県民のくらしや市町村支援策に使うことを求めた。県は、今年、収入減少により所得税非課税になった場合の住民税を税源移譲前の税額にもどす救済措置を県民に周知徹底することを明らかにした。
 また、藤川淑子県議は、国が国保の療養給付費等負担金を減額していることに対して、減額分を県で補填することや乳幼児医療費助成制度の対象年齢を義務教育修了までの拡大、市町村に重い負担がのしかかる広域水道用水供給企業団への財政支援などを求めた。県の答弁は、県民が増税に苦しんでいるにもかかわらず、県政としては特別の対策を取らない、などという冷たい対応であった。
 県立高校普通科の全県一学区制の導入については、県学校教育審議会答申の「地域に根ざした魅力ある教育づくり」に相反し、既存校の廃止や親の負担増、学校間格差の拡大につながり、導入すべきでないことを求めた。自民党席から「その質問だけは、いい質問だ!」と激励の声がかかり、多くの県民が全県一学区に不安を感じていることを示した。質問の最後に、原発立地地域の振興策についてふれ、原発に頼らない地域振興策を訴えながら、これ以上の原発の新増設をやめることを求めた。
 他党派の質問では、双葉町議会での原発新増設凍結解除決議を反映し、原発立地地域の振興策についての質問が相次いだ。小名浜東港建設の促進を迫る質問や地球温暖化対策などについて触れる質問が多く見られたが、庶民大増税問題や県民のくらしを支援する質問などはについては1人として言及することはないものだった。

4、常任委員会審議について

◆総務常任委員会(神山悦子県議)

 06年度決算見込みは37億8,500万円の黒字となることや現行の課税期間が本年12月30日で終了する核燃料税については、暫定税率を適用している重量割を本則税率に戻す方向で更新できるよう、9月県議会に条例提出を検討中であることが説明された。
 県立医大医学部の定員増については、国から10名の暫定定員増が認められたが、定員増の国の要件が増員後の5割以上(45名分)の奨学金を設定しなければならない。08年度に現在80名の定員を90名に。推薦枠は8人から20人程度に広げるとした。したがって、奨学金の貸付枠は、第一種(月額23万円程度)が10名程度(うち5名程度は県外分)、第二種(月額10万円程度)が35名程度とし、入学金に相当する額も加算する。
 県人事委員会からは、警察官(特別募集)60名、警察官A採用76名、県職員68名(13職種)の採用募集状況が示され、競争倍率は、それぞれ5.1倍、7.6倍、8.3倍。
 議案は、総務部に第1号〜8号まで8件が提案されたが、議案3号、4号、5号の3
件に反対した。
 医大奨学金については、県内の医師確保という観点から民間病院の研修者に対しても奨学金の対象とすべきと質したが、「公的病院に限る」と答弁。今後の検討を求めた。
 入札制度改革のあり方については、清掃業務などの委託事業などは、一律に競争入札にさらすことで質の低下を招くことがないよう求め、他の委員からも下請け対策をとるよう指摘があった。

◆土木常任委員会(宮川えみ子県議)

 議案第15号、県の行う建設事業等に対する市町村の負担については、地方財政法等で「市町村に負担を求めることができる」として毎年出されていることについて、負担の中では、過疎地の自治体に大きな負担を求めるものがあったり、いわき市のように急傾斜地崩壊防止対策事業の市負担分の一割を河川費寄付金として、さらに住民に求めているところもあり、そのため年金暮らしなどでそのお金が負担できず、危険なままで放置されているところもある。全国的に見ても県事業に対する市町村負担は、減少してきており、厳しい市町村に負担を求めるべきでないと指摘し反対をした。
 議案第18号民事調停の申し立てについては、県営住宅の家賃滞納者に対する裁判所への調停の申し立てであるが、申し立ての相手方は、約束不履行により誠意が見られないということであるが、最近は高齢者が多く判断能力に問題がある人も見られ、2年ほど前に、福島市で高齢者が市営住宅を追われて、凍死した事件もあった、このようなことがないように十分配慮すべきと要望した。
 今議会の土木常任委員会は議案の付託は少なかったが、その他の論議では、土砂崩れ対策、通学路の整備など意見や要望がたくさん出された。厳しい財政の中これらを実現していくには、やはり不要不急の大型事業を見直すべきであり、「小名浜港に石炭を積んだ沖待ちの船が増えているから東港(人工島)が必要」などという論議も、最近意識して出されたが、商社が投機的買い付けをしていることが原因と言う声もあり、人口減少、地球温暖化対策などからみると東港建設は問題と指摘した。

◆商労文教常任委員会(藤川淑子県議)

<企業局>
 提出議案12号「県公営企業の業務に従事する職員の給与の種類及び基準を定める条例の一部を改正する条例」案について、雇用保険法等の一部を改正する法律の成立経過について説明を求め、雇用保険への国庫負担削減は企業のリストラや非正規雇用拡大のなかで、政府の責任後退であることを明らかした。
 さらに、受給資格の被保険者機関の改定で、一般労働者の権利がうばわれたことをこちらから指摘した。

<商工労働部>
 最近の県経済動向について、県内景気は回復傾向にあるとしつつも個人消費の落ち込みに歯止めがかかっていないことが報告された。この原因の一つとして雇用の流動化が考えられるが、これについて県は、有効求人倍率0・93倍、正社員比率は39.9%であり全国の42%と比べ、正社員比率が低いことを明らかにした。非正規と正規の比率推移は、1995年が非正規20.9%、正規79.1%、2005年が非正規32.3%、正規67.7%でありこの10年間で非正規労働が激増していることが統計でも裏付けられた。県は企業に正規社員雇用拡大の要請をすることとした。

<教育委員会>
 県立高等学校普通科全県一円化について、学校間格差の拡大、既設校の廃止、父母負担増などを懸念する意見が各会派からだされ、教育委員長は議会の議論を踏まえ、県内各地の公聴会をへて議会にも機会をみて諮問しつつ進めていくことを表明した。委員長報告に、学区一円化については議決事項ではないが、議会に諮問しつつ進めることの要望を付することとなった。

5、党県議団が紹介議員となった請願などについて

 日本共産党県議団が紹介し6月定例県議会に提出された請願は、新日本婦人の会県本部の「子どもの医療費無料化年齢の引き上げを求める請願」「妊産婦健診の無料化を求める請願」、県社保協の「後期高齢者医療制度に関する請願」「障害者自立支援法施行に伴う諸問題を解決するための意見書提出を求める請願」、県労連の「地域別最低賃金の引き上げと最低賃金制度の抜本的改善を求める意見書を国に提出することを求める請願を求める請願」の5件はいずれも継続審査とされた。

以 上



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