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2007年10月3日

9月定例県議会一般質問への答弁、再質問、再々質問

日本共産党 宮川えみ子

一般質問

答弁

再質問

再々質問

 日本共産党の宮川えみ子です。先の参議院選挙では、これまでの古い政治の枠組みを続けていては、日本の前途はないと国民の判断が下りました。貧困と格差を広げた弱肉強食の「構造改革」路線、「政治と金の問題」、「戦後レジームからの脱却」を掲げた憲法改悪「ノー」に審判が下ったところに特別に重要な意義があります。本日の報道では、知事の事務所名義貸し問題が大きく取り上げられておりましたが、県民への説明責任が問われるところです。
 政治を動かしているのは国民だという思いを強くしております。私は、いわき市議を25年間勤めさせていただきましたが、住民が主人公ということをこれまで以上に大事にしていきたいと思います。知事は、参議院選の結果からしても、国に言うべきことは言い、庶民いじめ、地方いじめの政治から県民と市町村を守る防波堤になり、格差と貧困にあえいでいる県民の声に耳を傾ける時だと思います。
 県は財政運営が一段と厳しさを増す中、歳入では基金も当てにできない、借金もできない、法人税も庶民の税金も不振、一方では、国の「改革」の影響で扶助費が増えていると言います。確かに県の財政をこのように深刻な状況にした大きな原因のひとつに地方交付税の削減などがあることはだれもが認める事です。しかし、対米公約で公共事業を積み増しする計画に乗って、県は、次々と大型事業を進めてきました。その結果のツケが最大の原因である事は数字を見ればはっきりしています。この間、空港の滑走路を2000Mから2500Mに作り替える、トラハイ、小名浜東港、そして未来博と進めた95年頃からみるみる借金が増えだし、2倍以上の1兆2000億円にもなってしまっております。
 そこでお伺いします。
 知事は国が「三位一体」改革として進めてきた地方交付税削減への影響、「構造改革」の名で県民に貧困と格差を広げてきた影響をどのように見ていますか。これらのことを踏まえ、参議院選挙の結果についてどのように見ておりますか、見解をうかがいます。

 県財政悪化の原因は国との関係もありますが、90年代半ばから次々と大型事業を進めてきたところに最大の要因があると思いますがどのようにお考えかお伺いします。

 次に大型事業問題として、小名浜港問題を質問いたします。
 最初に、現在の港の整備ですが、石炭船の沖待問題で港が足りないと、このところにわかに東港建設促進が言われています。しかし、沖待滞船は石炭が安い時、大量に買い付けることによって生じていると言われていますし、むしろ多くの港湾利用者は、現在の港の整備を求めております。
 多目的クレーンの整備、港内作業用道路の整備・補修、沈下している7号埠頭の補修、照明の充実、また、敷地の有効活用を図るための関係者との協議を進める必要があると考えます。
 小名浜港における既存施設の改良推進などを求めるものですが、いかがでしょうか。

 次に、小名浜東港・人工島建設についてです。
この工事は10年前に240ha・3700億円の人工島を、4期に分けて施工する計画で進められてきましたが、世論の批判を受け、2002年度に5分の1に縮小しました。しかし1期計画730億円はそのまま進めています。人工島の使用計画は時によって変わり今は石炭を理由にしております。石炭は主に火力発電所の使用ですが、発電の自由化、省エネ機器の開発や省エネの考え方、人口減少、必ず達成しなければならないCO2削減など、今後、石炭使用が増え続けるとは思えません。今回、知事は東港の一部を水深12Mから14Mにするよう国に要望したようですが、このことでまた、工事額が増えることが予想されます。
 人工島に多額のお金を使うために現在の港に予算が回らないと言うのではなく、現在の港の整備を進め、小名浜港東港地区・人工島の建設中止を求めるものですがいかがでしょうか

 次に、同じ大型事業問題である、あぶくま高原道路・トラハイについてお伺いします。
 磐越道と東北道を結ぶという県営高速自動車道はH22年の完成まであと3年、今後150億円が必要とのことです。今年度は50億円の工事費で進められておりますが、これは全県の道路予算の約一割です。もともと福島空港のアクセス道として進められてきましたが、福島空港は、いまや他に貸し出ししなければならないほど利用者が減少しています。
 必要性と緊急性のうすいあぶくま高原道路について建設の中止も視野に入れ、思い切った予算の縮減を求めるものですがいかがでしょうか。

 次は、不要不急の大型事業にかける予算を生活密着型に振り向けることについてです。
 通学路の整備、交通安全対策の促進など叫ばれて久しいのですが、なかなか進まないのが現実です。出先の建設・土木事務所では、舗装道路にヒビが入った時、今直しておけば舗装が長持ちすると思ってもその費用の捻出が難しいと言われました。車社会の中、また高齢化社会の進行の中、歩道の整備なども追いつきません。地域の中小建設業者の仕事の確保を図るためにも地域住民の要望に応えるためにも、不要不急の大型事業にかける予算を生活に密着した道路・歩道の整備、橋などの既存施設の延命化等、安心・安全対策に振り向けるべきと思いますかいかがでしょうか。

 次に、後期高齢者医療制度について質問いたします。
来年4月から75歳以上の高齢者を勝手に後期高齢者と名付けて、他の世代と切り離し後期高齢者医療制度として発足させています。この制度は75歳以上の全員が加入することになり、これまで子どもの扶養となっていて医療保険を収めずに済んだ人も含め全員が保険料を納める事になり、介護保険料と合わせ年金から天引きされます。東京都広域連合によると、年平均15万円を超えると試算されています。これは国保料の1.5倍で、医療費が上がると保険料が上がる仕組みです。月わずか1万5千円の年金でも天引きされ、なおかつ、医療行為は制限されます。年金を根こそぎ取られ、もうそんなに医療を受けなくてもいい年だとされるわけです。
 運営は、都道府県ごとに全市町村で広域連合を作り、市町村の首長・地方議員の代表が運営に当たります。保険料を決める11月の広域連合議会まで、あと一ヵ月になりますが、実態がわかるにつけ県民の不安が高まり、怒りが湧き起こっています。関係行政機関も困惑・混乱しております。
 ある老人クラブにこの制度を説明をしたところ制度を知っている人がいなく、説明後、皆さん口々に、「75歳になったら死ねということか」「とても暮らしていけない」など制度に対する不満不安がいっせいに出たとの事でした。この制度に対する県民の理解をどのように捉えていますか。県は広域連合に財政支援を行い負担軽減を図るべきと思いますがいかがでしょうか。この制度については、中止、見直しの声が広がっておりますが、県としても凍結見直しを国に求めるべきと思いますがいかがでしょうか。

 次に、格差と貧困問題について質問いたします。
 大企業・大資産家には減税、庶民には大増税の格差を広げる政治が進んでいます。たとえばトヨタ自動車の経常利益はバブル経済時の2倍以上、1兆6千億円なのに税金は同じどころか、かえって下がっています。法人税率の引き下げ、研究開発費減税などの結果です。また、会長・副会長の親子二人は、株式配当減税分だけをみても4年間で5億円も減税されています。
 一方、国民には相次ぐ増税・負担増で、特に病人、高齢者、障害者、母子家庭など弱い立場にある人には冷酷な仕打ちです。企業の国際競争力強化といいますが度が過ぎています。国民の民意を無視していけば、福田政権も早晩立ち行かなくなることは避けられません。このような中、県としては、格差と貧困の実態を深く捉えて、その対応に全力を挙げることを求めます。
 この問題の第一はフリーター・ネットカフェ難民等の対策についてです。
 厚労省は住居を失いインターネットカフェなどに常宿的に寝泊りをする「ネットカフェ難民」に関する初の実態調査結果を公表しました。それによりますと、ネットカフェ難民と呼ばれている住居喪失者は全国で約5400人と推計され、約半数の2,700人が日雇い派遣などの非正規雇用で占められています。仕事を失い家賃を払えない人が過半数を占め、年齢別では20代で26.5%、50代でも23.1%と高くなっています。
 福田総理就任時のインタビューで「フリーターにも食わせろ」と叫んでいた雨宮かりんさんの「生きさせろ」という本が相馬のコンビニの入口にうず高く置かれてありましたが、同感を持って読まれていると思われます。私のところにも、友人のところを転々としたり、車の中に寝泊りしていたりで、居住をもたない人が切羽詰って相談に来る時もあります。このような人たちへの何らかの居住支援が必要かと思います。
 そこで質問ですが、県内の、フリーター・ネットカフェ難民などの、不安定就労者の実態をどのように把握していますか。
 県としても安定した就職先を確保することに努めることが大事かと思いますが、正規雇用を増やすために誘致企業はもとより、既存企業に対しても働きかけをするよう求めますがいかがでしょうか。

 同じく貧困問題の第二は、補正予算として提案されている低所得者を対象とした要保護世帯向け長期生活支援資金貸付事業に関する議案についてです。
 これは65歳以上の生活保護申請者に持家を担保に長期生活福祉資金を貸し出し、返済できない場合は本人死亡後、家を売って返済するというものです。憲法25条に反し生存権の侵害にならないのでしょうか。
 この事が要因で生活保護を受けることをためらい医者にもかかれない、また、飢え死にしてしまうなど悲惨な事態を招きかねないと考えています。
 この制度の中止を求めますがいかがでしょうか。

 次は、県立高等学校普通科通学区域の全県一円化についてです。
 今まで多くの論議がされてきました。県教育委員会主催の広聴会でも、学区をなくせば今の学区を越えて高校の格差序列化が進む、子どもたちの競争を激化させる、生徒が安心して学習する環境を失う、山間部の普通科高校は壊滅状況になるなど、一円化を問題視する意見が多く出されました。同窓会から反対要望も挙げられています。学校選択の自由といいますが保護者の経済力により子どもの選択権が制限されます。
 また、先のショッキングな母親殺し事件からして、不安定さを持つ成長期の子供を親元から早期に離す事について、不安を感じるのは私だけではないと思います。
 県教育委員会は通学区域の全県一円化を見送るべきと考えますがお尋ねいたします。

 次は、農業の振興についてです。
 「自給率向上、安全な食」の願いとはかけ離れた農政が進んでいます。その中でも、ごく一部の認定農家や集落営農組織だけを担い手にする政策は、担い手不足に拍車をかけ、耕作放棄地を増やし、環境をいっそう破壊することにつながります。国に対し日本の農業政策の転換を求めるとともに、米づくりが持続できる所得保障を行なえるよう、県独自の施策も関係者の意見を聞いて大いに進めるべきです。
 福島県は耕作放棄地の面積が全国一という深刻な状態にあります。また畜産農家は輸入飼料価格の高騰に苦しんでおり、それらの解消のためにも,米の水田機能を生かし登熟前の稲を刈り取り牛の飼料にする稲ホールクロップサイレージへの取り組みを積極的に支援すべきと思いますがどのように考えているかお尋ねします。

 次は、福島原発の耐震対策についてお伺いいたします。
 今月20日国の指示のもと、電力各社は新潟県中越沖地震で観測された地震動を想定しての、原発の安全性検証報告を発表しました。柏崎刈羽原発の設計で想定した最大地震動は450ガルです。日本の原発57基のうち8割の46基はこれ以下で設計されており福島原発は370ガルです。すべての原発で、観測値が設計時に想定された地震動を超えていたにもかかわらず、電力各社は「施設の余裕度」を理由に「安全機能は維持される」としています。これまでも国と電力会社は、原発は考えられる最大の地震動を考慮して設計しているとして、実際の地震動が設計値を超えることはもともと想定していませんでした。設計値を大幅に超える地震が起きても「施設の余裕度があるから大丈夫だ」というのでは何のための耐震基準でしょうか。980ガルを超えると物体は宙に浮くと言われています。ましてや福島原発は昭和56年の旧指針で建てられていて築40年近いのです。
 質問ですが、
 県は県民の安全・安心の確保のため耐震対策が真に実効性のあるものになるよう国に根本的見直しである「新・新指針」を作るように求め、東電には安全神話を払しょくし真に県民の声に応えるよう求めるべきと思いますがいかがでしょうか。
 東電は、活断層を発見する最も有効な手段として常識になっているトレンチ調査を必ずしも有効とはいえないなどと言いました。県はこの調査について東電関係の学者の意見だけでなく広く専門家の意見を聴いて求めていくべきとが思いますがいかがですか。

 原発の地震対策では、津波による引き波対策についてお伺いします。
 原子炉の緊急停止後は数時間炉心を冷やし続けることが必要ですが、引き波のとき炉心を冷やすための海水の取り入れについて福島原発は対応策を示していません。8月23日に私ども県議団は、第一原発を視察しましたが、東電は引き波による影響でポンプの吸い込みができなくなると想定はしていましたが、ポンプの停止は短時間であるとしてその具体的根拠を示しませんでした。また、ポンプの故障の時のこと、貯水槽の能力問題は触れていません。想定外でなく、想定されていることさえやろうとする姿勢がありません。
 東北電力女川原発は湾をしゅんせつして掘り下げました。中部電力浜岡原発は取水管を沖まで延長しております。
 県は他の原発の対策状況を踏まえ、東電に対し抜本的対策をとるよう求めるべきと思いますがどうでしょうか。お伺いします。

 最後に、2009年FIS(フィス)フリースタイルスキー世界選手権猪苗代大会について伺います。
 この大会の総事業費が当初予算の3・5倍の21億円もかかるとのこと。ずさんな計画と批判が出されていました。このことで、昨日、知事と猪苗代町長が会談して当初の計画通り、5億7900万円を原則とすることで合意と報道されました。費用について二転三転していますが経過はどうなっているのでしょうか。本当にこの費用でできるのでしょうか。知事は組織委員会の会長であり、県としての責任は免れません。多額の税金をつぎ込むことは県民の理解を得られるとは思いません。費用の大幅な増額になれば中止も含めた検討もやむを得ないと思いますが県教育委員会の見解をお伺いします。
 以上で、私の質問を終わります。

答 弁

一、参議院議員選挙の結果と県の財政運営について

知事

 宮川議員のご質問にお答えいたします。

 地方の自立をめざし、一丸となって取り組んできた三位一体の改革は、補助金の削減による一定の税財源の移譲はあったものの、地方交付税の大幅な削減により、自治体の財政運営は極めて厳しい状況にあります。

 また、わが国の経済は、全体として緩やかな回復傾向を示している一方、大都市への人口集中の加速や、ジニ係数の上昇が示す所得の格差、有効求人倍率の地域間格差などの社会現象が顕著になっております。

 参議院議員選挙におきましては、有権者お一人お一人が、自分たちのくらしやわが国の将来を考え投票したものと受けとめております。

総務部長

 県はこれまで、中長期的な視点に立って財政構造改革プログラムを策定し、財政の健全性の確保に努めながら、乳幼児医療費助成の拡大、介護保険制度の円滑な実施など、少子・高齢化社会への対応や、男女共学の推進、全国に先駆けた30人程度学級の実施など、県民生活に直結した政策課題に積極的に取り組んでまいりました。

 また、大型公共事業につきましては、外部有識者からなる公共事業事業評価委員会による事業評価を経て、財政構造改革部会において緊急性や費用対効果等の観点から事業の延期や規模の縮小などの見直しを行い、真に必要な社会資本について国の経済政策に呼応しながら計画的に整備してきたところであります。

 しかしながら、国の財政再建が優先されたことで、平成16年度からの三位一体の改革において、地方交付税が3年間で500億円以上削減され、その後の歳出・歳入一体改革においても今年度は100億円程度の減額となり、こうした状況が今後も続く見通しであることからプログラムの想定をこえるきびしい財政状況に至っているものと考えております。

二、小名浜港問題について

土木部長

 小名浜港における既存施設につきましては、これまでも、利用者の要望や意見を聴きながら、港内道路の整備や補修など港湾施設の改良を行うとともに、取り扱い貨物の量や品目によっては、野積場の使用場所の調整等を行っております。

 今後とも、より安全で使いやすく、かつ効率的な荷役作業が行えるよう、適正な施設の改良や野積場の有効活用に努めてまいります。

 次に、小名浜東港地区につきましては、船舶の大型化や石炭等鉱産品を中心に取扱貨物量の増加が見込まれ、既存ふ頭では対応が困難となるため、今後とも、国と調整を図りながら、計画的に整備を進めてまいる考えであります。

三、あぶくま高原道路について

土木部長

 あぶくま高原道路につきましては、全体延長36qのうち約62%を供用し、残りの13.7qについて、鋭意、整備促進を図っているところであり、全線開通により、阿武隈地域と県南・北関東地域が結ばれ、広域的な連携、交流が促進されることから、引き続き早期開通に向けて取り組んでまいる考えであります。

四、不要不急の大型事業にかける予算を生活密着型に振り向けることについて

土木部長

 公共事業につきましては、それぞれの事業の重要性にかんがみ、計画的に事業を推進することとしております。

 また、生活に密着した事業につきましても、道路排水溝や暗きょの改善、補導の段差解消などにより、生活の利便性や快適性を確保するとともに、日常の道路パトロールや点検業務を通じ、舗装や橋梁などの適正な維持補修に努め、今後とも、地域住民の方々の要望を踏まえ、県民の安全で安心な生活環境づくりを推進してまいる考えであります。

五、後期高齢者医療制度について

保健福祉部長

 後期高齢者医療制度につきましては、これまでも市町村の広報誌等によりその周知が図られてまいりましたが、今後とも、制度の管理者である国や運営主体である福島県後期高齢者医療広域連合において広報をしっかりと行う必要があると考えております。

 県といたしましても、市町村や関係機関と連携を図りながら効果的な広報に努めてまいる考えであります。

 次に、広域連合への財政支援につきましては、県では、医療給付費に対する定率負担を始め、低所得者等の保険料軽減に際し生じる減収分の補填や広域連合の財政の安定化を図るための基金を設置するなど支援を行うこととしております。

 次に、制度の見直しにつきましては、現在、国において、高齢者の方々の負担軽減を図る方向で見直しへの動きがあることから、今後は、その動きを注視してまいりたいと考えております。

六、格差と貧困問題について

商工労働部長

 県内のフリーターやネットカフェ難民の実態につきましては、フリーター数は、国の労働力調査に基づき、平成18年度においては、2万7千人から2万8千人と推計しております。

 また、ネットカフェ難民につきましては、首都圏などの大都市部に特徴的なものといわれておりますが、県内のネットカフェに対し、アンケート調査などを実施して、その実態を把握することとしております。

 県といたしましては、今後ともハローワークなどの関係機関と連携を図りながら、引き続き、就職サポートセンターにおいてフリーターなどの不安定就労者の安定した就労への支援に努めてまいりたいと考えております。

 次に、正規雇用を増やすための企業に対する働き掛けにつきましては、誘致企業については、正規社員を多く雇用する企業の戦略的誘致に取り組むほか、既存企業に対しては、非正規社員の正規かを依頼する文書をお送りし、要請を行っているところであります。

保健福祉部長

 要保護世帯向け長期生活支援資金貸付制度につきましては、生活保護を受給している高齢者世帯に対し何の援助もしなかった扶養義務者が、高齢者の死亡後に、土地・家屋を相続するような現状について、社会的公平の観点から、国民の理解が得られないとの全国知事会等からの提言を踏まえ創設されたものであります。

 この制度は、500万円以上の居住用不動産を有する高齢者世帯に、不動産を担保として生活資金の貸し付けを行い、限度額に達した後には、速やかに生活保護を適用するもので、高齢者の死亡後、担保不動産の処分により、貸付金の償還を求めるため、高齢者は、生涯にわたり住み慣れた自宅で、生活を継続できるというものであります。

 県といたしましては、社会福祉協議会や福祉事務所等と連携を密にし、高齢者に十分な説明を行うなど、適切な運用を図ってまいる考えであります。

七、県立高等学校普通科通学区域の全県一円化について

教育長

 県立高等学校普通科の通学区域につきましては、その見直しについて、8月に開催された教育広聴会における意見等も踏まえ、今後検討すべき課題をまとめるなど審議を行ってきたところであり、現在、一部の中学生、高校生及びその保護者を対象にアンケートを実施しております。

 今後、その結果や県議会における御議論等を踏まえ、生徒の進路希望の実現にとってよりよい通学区域制度となるよう、引き続き検討してまいる考えであります。

八、農業の振興について

農林水産部長

 稲ホールクロップサイレージにつきましては、家畜の良質な飼料として利用され、水稲と同様な栽培体系で生産が可能である転作作物であるとともに、最近の飼料価格高騰に対する飼料の自給率向上策として重要な取り組みであると認識しております。

 このため、県といたしましては、栽培の低コスト化のための技術指導や、作業を効率化する専用収穫機械の導入に対する補助、飼料の利用実証に対する助成等により、生産の拡大を推進してきたところであり、平成19年度は前年度と比較して20ヘクタール増の約120ヘクタールで生産される見込みであります。

 今後とも、市町村、農業協同組合等と一体となって普及・啓発に努め、稲作農家と畜産農家との生産・利用の調整を図りながら、栽培面積の拡大や単位収量増大のための技術指導等により、稲ホールクロップサイレージへの取り組みを積極的に支援してまいる考えであります。

九、福島原発の耐震対策について

知事

 原子力発電所の耐震対策につきましては、今回、新潟県中越沖地震により柏崎刈羽原子力発電所において設計時に想定された地震動をこえた揺れが観測され、これまでの活断層調査やその評価が結果として不十分であった可能性が指摘されるなど、耐震安全性に対する信頼を根底から揺るがし、立地地域を始め県民の不安を増大させているものと認識しております。

 県といたしましては、今般の事態を踏まえ、国に対しては、最新の地検を適切に反映し、耐震設計審査指針の検証を含め、耐震安全性の再評価を早急に実施するなど、総合的な耐震安全性確保・向上の取り組みの抜本的な強化を求めるとともに、事業者に対しては、情報公開を徹底し、説明責任を的確に果たすなど、耐震安全性に万全を尽くすよう求めているところであります。

生活環境部長

 トレンチ調査の実施につきましては、事業者において、新潟県中越沖地震を踏まえ、これまで実施した地質調査をさらに補完し知見を拡充するため、発電所周辺陸域及び双葉断層を含む陸域の地下構造の把握を目的として、地下探査調査等を実施する予定であり、今後の調査結果によっては、必要に応じて、トレンチ調査を含めて他の手法による地質調査の実施も検討すると聞いております。

 県といたしましては、国、事業者において、徹底した地質調査に基づき、最新の知見を適切に反映した耐震安全性再評価を実施することが重要であると考えております。

 次に、津波による引き波対策につきましては、事業者において、これまで、チリ地震規模の津波の水位低下を想定して評価を行い、原子炉の冷却に支障のないことを確認していると聞いておりますが、今回の新耐震設計審査指針に基づく耐震安全性の再評価において、津波の影響についても更に検討することとされており、国、事業者において、早急かつ幻覚に再評価を実施していくことが、重要と考えております。

十、2009年FISフリースタイルスキー世界選手権猪苗代大会について

教育長

 猪苗代大会につきましては、検証委員会の最終報告等を総合的に勘案しながら、県の大会に対するかかわり等について判断することとしておりますが、大会の今後の取り組みにつきましては、開催契約の当事者等が、組織委員会など関係する機関等と協議を行い、決定することになるものと考えております。

再質問

 再質問いたします。フリースタイルスキーについてですが、検証委員会が出した資料との関係ではどうか、5億7千9百万円で県の負担割合はどのようになるか、これを上限とすることを確約できるのかどうか。また、先の代表質問への答弁では、開催費用が多額になる見込み、国際信義の問題など検証委員会の最終報告等を総合的に勘案しての判断ということでしたが、経過も含めてお答えいただきたいと思います。

 それから、財政再建問題ですが、真の財政再建は財政の悪化をまねいた原因についてきびしく総括することが大事だと思います。佐藤前知事の2期目のスタート時に6千億円だった県債残高がわずか10年もたたないうちに2倍の1兆2千億円にもなっております。私がいわき市会議員の時に、市の財政悪化を指摘すると県と比べるとまだまだ大丈夫だと何回も言われました。こういうことを考えましても、原因をはっきりさせることが大事でないかと思いますがお答え下さい。

 それから、格差と貧困問題は、非常に見えにくい問題です。しかしこれらが原因と思われることで自殺や犯罪になっていることを見逃すことはできません。20代、30代の死因のトップは自殺です。福島県の自殺者の内20代の自殺者は昨年76人で、対前年度比で25人も増えております。5年間で2.6倍という本当に恐ろしい数字です。精神を病んでいると思われる健康問題の理由がやはり5年間で2倍にも増えております。厚生労働省の最近の調査でも所得格差が過去最高になって、不安定雇用が広がる一方です。今働く人の3分の1、若い人の半分が不安定雇用難です。実態の把握をできるだけ早急に進めてもらいたいと思いますが、再度答弁をお願いします。

 それから、原発問題ですが、エネルギー協議会での東電の発言を聞いて、やっぱり「安全神話」に浸っている体質は改まってないと思いました。海底調査のデータの公開を求めましたが、普通の人にはわかりにくいなどといって安全だという結論だけを押しつけるありさまでした。安全対策についても自社内で結論を出すと言っております。東電は検査記録の改ざん発覚、冷却水用海水温度データ不正操作発覚、臨界事故隠しを含む重大事故隠し報告など、安全よりももうけ優先の底知れぬ体質に多くの県民はいいようのない不信を持ちました。このような体質を改善して情報を公開して、そして安全対策がそういう方向で進んでいく、県民の安全・安心を勝ち取ることができると思います。本当に真の情報開示、公開を求めていただきたいと思いますが、もう一度知事にお伺いしたいと思います。

 それから、活断層の調査ですが、南相馬市以南にもその調査の範囲を広げることとトレンチ調査を求めてもらいたいと思います。国に言うだけではなくて、直接東電に求めてもらいたいと思いますが、いかがでしょうか。

 それから、後期高齢者医療制度問題ですが、注視しているだけではだめだと思います。40年も掛け金を積んで月6万5千円そこそこなのに、そこから介護保険料もあわせて1万円も引かれてどうして暮らしていけるのでしょうか。県としても強力に働き掛けていただきたいと思います。

 それから、農業問題では、稲ホールクロップサイレージですが、目標を持って拡大をしていきたいと思いますが、この目標についてお示しいただきたいと思います。

知事

 原子力政策のことですが、私が就任して11ヶ月になりましてね。その間に改ざんも含めて6回になりましてね、そしてこの前の柏崎刈羽原発のあの状況を見まして、一体どうなることかと考えました。私自身の原発政策は県民の安全・安心これをいかに確保していくかということでございます。そういう中で、宮川議員もご承知のとおり、福島県として初めて、県議会それから6団体、それでしかもそれぞれの政党の代表のところ、それから経済産業省に原子力の安全性等について強く求めてまいりました。特に、原子力政策について、想定外のところを想定しなければならない、そして何回か答弁させてもらっていると思うんですけれども、まさにそこを忖度しながら、新指針を見返していただきたいと思うところであります。

総務部長

 再質問にお答えいたします。財政悪化の原因についての再質問でございますが、先ほどもお答えいたしましたが、本県は生活に密着したさまざまな事業でありますとか、公共事業につきましても重点選別を旨にしまして、健全財政を心がけてきた経過がございます。実際に実施してきた経過がございます。その結果として、財政指標も決して他県と比較して悪いということはございません。中位よりも上の財政指標が多いわけでございます。

 ただしかし、先ほども申しあげましたとおり、三位一体改革以降のですね、地方交付税の大幅な削減、それから中央と地方の経済格差といいますか、それに伴います税収格差が顕著になってまいりました結果、現在の財政状況の悪化をまねいているというふうに考えております。

生活環境部長

 再質問にお答えいたします。活断層の調査について、双葉断層の南の方にも調査をし、しかもトレンチ調査を求めて直接東電に求める必要があるのではないかというようなお質しでございますが、東電から報告を受けているものには、双葉断層約18キロの南に去年指針を見直したものに基づきましてボウリング調査を実施していると、その結果はまだ報告を受けておりませんが、その結果先ほどの答弁にもありますように、これから評価をするわけでありますので、その中でトレンチ調査が必要であれば、トレンチ調査もということになろうかとおもいますが、いずれにしても双葉断層の南にも調査をし、これから評価をする段階だということであります。

 一方、県といたしましては、今回の地震を受けまして、東電に対しまして耐震安全性の確保・向上の総合的な取り組みをしてくださいよという要請をしているところであります。

保健福祉部長

 再質問にお答えいたします。後期高齢者医療制度につきましては、現在国におきまして見直しが進められておりますのでその動きを具体的に注視するとともに今後制度を形づくる具体的な政省令が制定をされますので、その内容を見極めながら県として必要な対応をしていきたいと考えております。

商工労働部長

 再質問にお答えいたします。いわゆる不安定雇用の状況の把握を早急にという質問だと思いますが、いわゆるフリーター等の不安定雇用への対応というのは非常に大きな課題だと県でも考えております。このため、先ほど申しあげましたように各サポートセンターでそういうふうな相談にきめ細やかに応じるとともに、先ほど申しあげたネットカフェの状況は県内24か所ございますので、それは早急に調査をしていくというような予定になっております。以上です。

農林水産部長

 再質問にお答えいたします。ホールクロップサイレージについて作付け目標をというようなお話でございますが、このホールクロップサイレージにつきましては稲作農家と畜産農家との生産・利用の調整とか、あるいは技術の難しさとか、それから機械、用具問題等もございますが、非常に重要な取り組みであるということでございますので一生懸命やらさせていただきたいと思います。

教育長

 猪苗代大会についての質問にお答えいたします。5億7千9百万円を基本としていう話につきましては、昨日副会長である猪苗代町長が会長である知事のところに提案に来られて組織委員会としてこれからの取り組むことについて会議を開いて決めようとするものでありますので、その基本とするとはいいながらも削減の結果としてそこにどのような内容のものが措置されることになるかということについては、今の時点では分かっておりません。今後の活動の成果によるものであるわけであります。

 一方、検証委員会のプロジェクトチームの試算はこれまでの開催実績、あるいはFISのルール、あるいはこれまでの大型イベントの開催実績等々に基づいて見積もった場合どうかというであります。ですからその前提条件がどうなるかによって動きうるものであるわけでありますけれども、そもそもが持ち出されている形全体が違うものでありますので、そこのところが今のところ比較できていないものだと思っております。

 それから、今後総合的に判断するというなかでは、それは国際信義等これまで申しあげてきたものについても当然に含みまして、その他もろもろ総合的に判断をしてまいることになろうかと思います。

再々質問

 フリースタイルスキーに関してなんですが、今の教育長の答弁では、前提条件が違うから比較できないというのですが、同じ事業をやるのにそういう答弁ではどう判断していいのか分からないというのが私たちの立場ではないかなと思うんですね。県民の意見というのは、やっぱり前の予算であればそれはそれでというんですけれども、それが21億円にもなるだとか、15億円なるんだか、5億円になるんだか分からないということでは、県議会の意見を聞いていうんですけれども、なかなか難しいんではないかと思うんですね。教育予算にしわ寄せがいって、そして例えば教育現場で維持管理費が削られてしまうのではないという心配の声も出ているんです。ですから今、私が質問しましたように、もうちょっと分かるように費用の問題については説明いただきたいと思います。

 それからですね、ホールクロップサイレージなんですが、一生懸命やりますといっていただいてありがたいんですが、一生懸命という言葉は非常に抽象的な言葉なんですね。ですから私が先ほど申しあげましたように目標を持っていくというふうなことだと非常に物事はすすむと思うんですね。一生懸命やるという答弁がニュースになれば、これは県がこういうことだと非常に大きなアピールになると思うんですけど、その言葉を数字でお示しできればと思います。

農林水産部長

 再々質問にお答えします。ホールクロップサイレージの作付け面積につきましては、先ほどもご説明申しあげましたが、平成19年度、今年度は120ヘクタールというようなことでございますが、今まで、前までは100ヘクタールを切っておったわけです。そういうことで非常に伸びておるんで正確に申しあげることはできませんが、今の収量を維持できるように一生懸命がんばりたいと思います。

教育長

 猪苗代大会についての再々質問にお答えいたします。先ほどお答え申しあげましたように、例えばFISが求めていることではありますけれども、FISと交渉して猪苗代については適用しないという約束がいただければ、その分は金額が落ちていくわけですけれども、そこのところにいまだ話し合いが進められておらない状況であるわけでありますので、ですからどこがどうというふうについては、例えば5億7千9百万円がどうなるか、同じように21億2千2百万円についても前提条件、例えばこれをこうしたらどうかということについては、いろんな数字があり得るということで具体的な数字は、前提条件を具体的にあげておりませんので申しあげられませんけれども、そういうものとして21億円は積み上がっているということでございます。



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