HOME BACK ご意見・ご要望をお寄せ下さい
TOPICS
議員団紹介
政策・提案・見解
県議会報告
県政の資料
議員かけある記

2007年11月13日

福島県知事
 佐藤雄平 様

2008年度予算編成に関する申し入れ(第一次)

日本共産党福島県議会議員団
団 長 神山 悦子
副団長 宮川えみ子
幹事長 藤川 淑子

はじめに

 7月の参院選での自民・公明与党の大敗、安倍首相の政権投げ出しをうけて発足した福田内閣は、「若者に希望、お年寄りに安心」などといい、社会保障分野などで若干の手直しを口にしています。しかし、基本的には弱肉強食の「構造改革」路線を引き継ぎ、社会保障抑制と消費税の導入計画をはじめ、小泉・安倍内閣の国民いじめ・高齢者いじめの大枠を踏襲しようとしています。また、参院選では中央と地方との格差の是正が問われましたが、是正の方向は見られません。
 行き過ぎた大企業・大資産家減税と軍事費という「2つの聖域」にメスを入れれば社会保障の財源を生み出せ、地方への支援を進めることができます。
 また、インド洋上での憲法違反の給油活動の継続が打ち切られました。戦争ではテロをなくすことができないという世論のもとで暮らしと平和を守れという国民の声が政治を動かしつつあります。
 参院選で明確に示された民意は、国民の暮らし、福祉、医療を守り、格差の解消を求めるものです。2011年までにプライマリーバランスをとるという国の「構造改革」路線に沿って県財政も5年間という短期間で収支均衡を図るという財政運営では、県民生活や現場の実態を無視したものにならざるを得ません。
 今、県民の暮らしは、米価下落で農業所得が10a当たり8300円も所得が下がる、働く人も非正規雇用が広がり勤労者所得も低下し、加えて増税や負担増にあえいでおり、地域経済の疲弊に拍車をかけています。国保税が払えず資格証を交付され病院にかかれない、介護が受けられないなど最低限の生きる権利さえ奪われている人も増え続けています。
 県はこれまで日本共産党県議団の再三にわたる指摘にもかかわらず、不要不急の大型事業を進め県の借金を10年間で2倍にする一方、一転して財政再建プログラムを作り緊縮財政、財政再建の方向を打ち出し県民にしわ寄せしてきました。県がとってきたこれらを十分総括して、知事は来年度予算編成に当たっては、県民生活の実態を直視し、国の悪政からくらしと地域経済、地方自治を守る広域自治体としての役割発揮を基本姿勢に、下記の基本的施策の具体化を求めるよう求めます。

1、「構造改革」路線による地方自治体いじめをやめさせ、地方財源の確保と大型事業の見直しで県財政の健全化を図る


(1)  国による地方交付税の毎年削減は重大で、地方の財源機能に支障をきたすことは必至です。国への批判を強め、地方への財源を保障するよう働きかけること。
(2)  国庫補助・負担金の大半を占めるのが、義務教育費をはじめ、国民健康保険、公立保育所、児童手当・児童扶養手当、さらには生活保護など、教育・福祉の分野となっています。本来国が義務的責任を担うべきもので、憲法25条の生存権や地方自治体のナショナルミニマムの後退につながることから、削減しないよう国に強く求めること。
(3)  トラハイや小名浜人工島づくりなど、県民にとって不要不急の大型事業を中止すること。公共事業の中身を見直し、身近な生活関連型の公共事業優先にきりかえること。
(4)  財政再建は中長期的なスパンにきりかえ、財政難であっても県民の暮らし、営業、市町村を応援する予算を確保こと。

2、医療・福祉・教育を充実して県民にあたたかい県政に

 国の「構造改革」路線は、いっそうの福祉の切り下げと県民負担増を招きます。一方、県職員の削減や民間委託などアウトソーシングの推進も、県民サービスの後退につながりかねず、慎重な対応を求めます。

(1)  「子育て支援策」の重点政策として、子育てにかかる経済的負担を軽減すること。
 具体的には、子どもの医療費無料化対象年齢を中学卒業までの拡大をめざし、年齢を引き上げること。妊産婦健診への助成、保育料や学童保育の負担軽減、高校・大学の学費免除枠の拡大や奨学金制度を充実すること。方向の決まった県中児童相談所の一時保護施設を早急に設置すること。
(2)  障害者自立支援法による重度者の負担増大、サービス総量制限に対し支援を進め、施設運営費などへの支援を拡充すること。
(3)  介護保険の改定による自己負担の増大やリハビリの制限など介護・医療サービスの後退が進んでいます。高齢化が他県より早くすすんでいる本県は、県独自の支援策で高齢者が安心して住み続けられる県政をめざすこと。
(4)  高すぎる国民健康保険税の引き下げができるよう県独自の支援を市町村へ行うこと。
(5)  後期高齢者医療広域連合に対し、高齢者の医療費負担の軽減を応援すること。
(6)  特別支援教育の充実と体制の充実、軽度発達障がい児を含めた個々の障がいに見合った適切な個別対策がとれるよう、特別教育支援員や教員の増員を図ること。

3、安心・安全な県政めざして


(1)  医師不足解消に引き続き取り組むこと。特に、産科、小児科、麻酔科などに重点をおき、各生活圏で安心して医療を受けられる地域医療体制を確立すること。
(2)  災害が発生しにくい県土づくりをすすめ、予防、点検、調査体制の整備とこれに必要な予算を確保すること。
(3)  小中学校の耐震化を促進するよう財政支援をすること。民間木造住宅の耐震化を急ぐこと。
(4)  BSE検査を行っている家畜保健衛生所への支援を行い、BSE全頭検査を継続すること。

4、どの子どもにも豊かな教育を保障できる教育環境の整備を

 子どもたちを過度な競争に追い込み、格差を広げる現在の教育行政を抜本的に見直すことを求めます。

(1)  小中学校の少人数学級を推進すること。
(2)  県立高校普通科の学区一円化は、新たな学校間競争と教育の格差を広げることになり、子どもたちに及ぼす影響が大きいうえ、さらに高校統廃合につながる恐れがあることから実施を見送ること。
(3)  常勤講師の増大で、教育現場は一層多忙になって子供にも悪影響を与えています。また講師そのものが暮らせる賃金になっていません。正教員を増やすこと。

5、働く人や地域経済への支援、県内産業の振興を


(1)  ネットカフェ難民や非正規雇用の実態を把握し、居住確保やさまざまな角度からの支援を強めること。家賃対応の融資制度を創設すること。
(2)  誘致企業に対する企業の社会的責任を求め、非正規雇用の増大など労働条件の悪化に歯止めをかけて地域経済に資するようにすること。
(3)  県内企業の大半を占める中小企業に対する支援策を強め、地域経済と雇用拡大につながる取り組みをすること。
(4)  「商業まちづくり条例」を生かし、コンパクトなまちづくりと地域づくりを住民参加型で行えるよう支援すること。学生、高齢者や障がい者が利用しやすい公共交通機関の維持・発展を支援すること。
(5)  本県農業を基幹産業として位置づけ、農産物の価格保障制度を確立し自給率を高めること。安全・安心な農産物を生産し供給できる体制づくりと、農産物の「地産地消」を推進し、学校や保育所、病院などへの積極的活用を図ること。
 米価の上乗せ価格保障・青果物価格保障・稲ホールクロップサイレージの助成拡大を行うこと。

6、原発行政に関して


(1)  国に対し、中越沖地震による柏崎刈羽原発の地震による被害を受け耐震対策が大きな問題になっていることから「新・新指針」を策定するよう求めること。また、原子力安全保安院を経産省から分離・独立させることを求めること。
(2)  東電に対しては、高潮対策などすぐできることを早急に対応するように求めるとともに、トラブル発生などについては速やかに報告するとともに、県民に対しては十分情報を公開すること。
(3)  県は、本県に立地している原発は、30年を経過している老朽原発がすでに3基になっている現状から、「廃炉」を事業者まかせにせず、具体化を強く求めること。新増設は認めないこと。危険を増すだけのプルサーマルの導入には、きっぱり反対を表明すること。

以 上



日本共産党福島県議団
〒960-8670 福島県福島市杉妻町2番16号 TEL:024-521-7618/FAX:024-523-3256
jcpfskg@jcp-fukushima.gr.jp
Copyright(c)2004 fukushimakengidan All rights reserved.