2006年度普通会計決算反対討論
日本共産党の神山悦子です。私は、日本共産党県議団を代表し、継続審査議案第31号「平成18年度(2006年度)普通会計決算」の認定に、反対の立場から意見を述べさせていただきます。
2006年度も小泉政権の「構造改革」の下で、県民のくらしと地方自治体財政が大きく変化した年でした。昨年4月、多くの国民の反対に背を向けて「医療制度改革関連法案」が成立しました。日本の総医療費の対GDP(国内総生産)比は、OECD加盟30カ国中17位という低い水準にもかかわらず、総医療費抑制と称し、負担増と給付制限、08年度から75歳以上に対する「後期高齢者医療制度」を導入し、診療報酬も引き下げました。
また、庶民大増税が実行され、定率減税の半減で1兆6,400億円、老年者控除の廃止で2,200億円、配偶者特別控除廃止と公的年金等控除の縮小、消費税免税点の引き下げなどで3兆5千億円もの負担増が国民に重くのしかかり、その一方で大企業・大資産家に対しては、法人税減税や株式配当などへの減税など年間2兆2千億円の減税が行われたのです。
税負担の増額にともない社会保障費の算定基準が雪だるま式に引きあがるため、昨年6月〜7月には、納税通知書や国保税の納付書が届いた各市町村窓口に、数百〜数千件に上る問い合わせが殺到したことは記憶に新しいところです。
県民生活がいかに厳しさを増しているかは、自殺者が過去最高の681人、小中学校の就学援助者は2000年度4.1%でしたが、05年度7.2%へ急増し14,000人を越えています。生活保護世帯も(05年度)1万人を超え、国保税の滞納は(06年度)7万8,627世帯で全世帯の20%にもなりました。さらに、年収200万円未満の世帯数は、なんと97年からの5年間で4万3,000世帯増加し、02年度は約14万3,000世帯にもなっていることが明らかにされています。
決算審査特別委員会の意見書では、多額の収入未済にふれて滞納解消を図るよう強調していますが、市町村や保健福祉部をはじめ各部と連携しながら県民の負担を軽減するための各種減免制度の周知徹底や、福祉的対応などを行ったうえで、個人の事情に即した対応をすべきです。
さて、2006年度決算は、年度末の減額補正などでやりくりを行い、歳入では総額8,632億9,879万5,872円、歳出で8,575億2,242万3,539円、差し引き57億7,637万2,333円となり、翌年へ繰り越すべき財源を除いた実質収支額は37億8,531万1,870円の黒字となりましたが、実質単年度収支でみれば約17億7,000万円の赤字でした。
04年度に「財政構造改革プログラム」の見直しが行われ、05〜06年度を「緊急対応期間」として位置づけ、徹底した歳出削減が行われました。前知事のもとで組まれた当初予算は、実質ベースで13年ぶりに9,000億円を割る8,709億2,900万円となり、93年度と同規模の予算でスタートしました。「県民生活への配慮」を強調したにもかかわらず、4月から医大と会津大学2つの県立大学を法人化し、さらに、森林環境税と産業廃棄物税の2税を新たに導入し、県民1人当たり年間1,000円の森林環境税を求めました。
加えて、関係者に説明がないまま障がい者の小規模作業所に対する運営費補助金の一部をカットし、障がい者団体から強い批判を浴びたのもこの年でした。7月に発覚した泉崎村での児童虐待死事件で、県の不十分な児童相談所体制も露呈しました。
総人件費を圧縮するため賃金の引き下げと職員定数を削減。県職員給与については、「骨太方針2006」の閣議決定に従い「官民較差方法の見直し」にそって、この年初めて民間の比較対象企業規模を「100人以上」から「50人以上」に変更し、月例給はゼロ勧告、期末手当はマイナス勧告を実施しました。従来どおり「100人以上」規模で実施したとすれば月例給は「1.12%、4,252円」、特別給は「0.05月」プラスとなるはずでした。
こうして90年代半ばからのムダな大型プロジェクト優先でつくった借金のツケを負担増に苦しむ県民や職員に回し、各部局へは「枠配分方式」まで導入し、医療・福祉・教育のさらなる切りすてと人件費の圧縮を行ったのです。しかし、06年度末の県債残高は、1兆2,130億円で過去最高となりました。
ところで、2006年度の大きな事件は、なんといっても前知事をめぐる県政談合事件の発覚です。この談合事件は、全国にも大きな波紋を広げました。大型プロジェクト優先の県政のもとで、前知事やその周辺と一部ゼネコンや県内建設業者、県職OBも加わり、この構図の中で違法な利益追求のために県民の血税が不当に使われていたことが判明しました。私たちは、昨年2月県議会で県発注工事の落札率が90%以上をこえる工事は、談合の疑いが強いことを指摘したところですが、それがみごとに証明された事件でした。
県政談合事件を受けて、県は昨年12月「入札制度に係る基本方針」を策定し、順次改善が進められていますが、県民から問われたのは単なる「入札制度の改善」というだけではなかったはずです。今年2月に行われた県北流域下水道工事をめぐる裁判では、裁判長が「官製談合」を指摘していますが、組織的構図や談合事件についての全容解明がされたとはいえません。また、県政談合事件の舞台となったあぶくま高原道路・トラハイ建設工事の入札結果をみると、06年度の落札率は88.8%でしたが、着工後2年目の96年から06年度の2件分を含めた10年間の平均落札率は97.9%で、300件余のうち落札率100%の工事は6件もあったのです。
こうした談合事件の発覚という問題1つをとっても2006年度普通会計決算については認定できないはずです。以上の理由から2006年度普通会計決算の認定には反対を表明し、討論を終わります。
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