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2008年2月県議会知事提出議案反対討論

藤川しゅく子

 日本共産党の藤川しゅく子です。採決に先立ち、議案に対する意見を、述べさせていただきます。

 平成20年度(2008年)当初予算案は、予算総額を8407億1900万円とし、大型事業をはじめる前の平成5年(1993年)と同程度の規模です。しかし、県債残高は、平成5年(1993年)の2倍、1兆1951億円に上り、ひいては公債費も平成5年の2倍近くの1356億5500万円であり、前年より100億円も増えています。公債費が県財政を圧迫し、結果として県立高校授業料引き上げをはじめ各種公共料金値上げを実施し、県職員給与を72億円削減し、市町村や地域経済に多大な影響をあたえ、県民生活を圧迫する予算編成となっています。

 県当局は、財政難を最大限強調していますが、その要因となっているのは、かつての福島空港の滑走路延長事業・未来博・あぶくま高原道路建設・小名浜東港整備など、不要不急の大型事業を大規模に行ってきたこと、もう一つは、国が大企業・大資産家の減税を次々に行い、税金の無駄遣いや軍事費の増額を進める一方、地方にしわ寄せをし、地方交付税を減らしつづけてきたことにあります。

 ところが、県当局は財政難の理由として、三位一体改革による補助金削減、地方交付税の大幅削減を要因と認めつつも、過去に県政が行ってきた無駄な大型開発に関しては、本県の将来発展を支える基盤として必要だったと表明し、無駄な開発行為については顧みない態度に終始しています。厳しい財政状況に至った要因を直視し、大型事業を総括したうえで、借金返済は長期的スパンとし、県民生活応援の予算編成とすべきです。

 同時に、知事にとっては2年目の予算案であり、まさに知事の政治スタンスを反映した予算案です。政府による、地方行財政改革は、地方交付税を削減し続け、目にあまる地方いじめの実態が、今回の予算編成の中でもあらわになっています。県民の立場に立ち、知事は、もっと政府に意見を述べるべきと、思うところです。

 さて、県内情勢は、政府がすすめた構造改革の政治のもと、格差と貧困が広がっています。県民所得は、平成11年に年間271万円だったものが平成17年には256万円に激減し、全国の中でも低い水準です。そこに、原油高騰や穀物高騰が中小企業や県民生活を圧迫しています。労働現場では、派遣労働法の規制緩和により、非正規職員が激増しており、全労働者の33%を占め、その7割はワーキングプアと呼ばれる年収200万円未満の労働者です。

 コメの価格下落により、農家も「とたん」の苦しみの中にいます。労働者も、高齢者も、中小企業も、農民も、すべての層の暮らしが不安と危機に見舞われています。

私は、こんな時に県政の果たすべき役割は、地方自治法の本旨に謳われているように、住民の生命を守り福祉を増進することに、全力を挙げることだと思います。しかし、新年度予算案はそうはなっていません。

 高齢福祉の分野では、4月から導入予定の後期高齢者医療制度について、県議会の制度凍結意見書を無視し、持続可能な制度と評価したうえで、保険料軽減策など、県独自策の実施に踏み込もうとしません。介護保険適用の療養病床全廃の国の方針を受けいれ、県内の療養病床を半減する計画は、本県に大量の介護難民を生み出すことにつながります。

 少子化対策の分野では、産婦人科医が不足する中、命がけで出産に臨む母親の実態があるにもかかわらず、県立病院と県立医大病院の分娩介助料や新生児介補料の引き上げをし、本会議でも繰り返し要望されている、第一子からの妊婦健診の無料化についての具体化は先送りしてしまいました。これらは少子高齢化対策に逆行する方向です。

 さらに、知事自らが述べている安全・安心を支える最大課題の地域医療充実にかかわっては、県立総合衛生学院および会津若松看護専門学院の、授業料引き上げが提案され、医療現場を支える人づくりに悪影響を与えるものとなっています。

 障がい福祉の分野では、重度障がい者医療費補助事業の、高齢障がい者への医療費補助に、一割の上限を導入する改悪や、精神保健医療の手数料引き上げや、児童福祉施設の定員削減をすすめる、障がい者いじめの予算編成となっています。

 人づくりとして重要な教育の分野では、県立高校の授業料引き上げで保護者負担を増やし、県立学校警備費の縮減や、特別支援学校の給食民間委託など、安上がりの教育行政をすすめる方向であり、緊縮予算のしわ寄せが、本県の未来を担う人づくりに、暗い影を落としています。

 一連の、各種公共料金や手数料引き上げの影響額は、約1億670万円です。県全体の予算規模からすれば些少の額であり、県民生活に心をよせ、福祉・教育分野の料金引き上げは取りやめるべきと考えます。

 県の基幹産業である農業分野は、食の安全がとわれ、食料自給率の引き上げが重要課題になっており、青果物や米作りを補償する政策を、県農政の中心に据えなければなりません。しかし、国の方針にそって、米の生産調整を農家に押し付け、農業予算の2分の一を農業土木に費やすという、従来型の農業政策であり、これでは本県の農業を守ることはできません。

 一方、小名浜東港整備には、当初で総額34億円、県費は18億円を見込んでいます。これは今年度の約2倍の予算です。整備の理由として、石炭船の沖待ち増加を挙げますが、CO2削減が国を挙げての課題となっている今日、将来的に石炭船入港増加を見込み、港を整備することは政策上の矛盾ではないでしょうか。

 道路特定財源を使う、あぶくま高原道路建設も見直しがされないままであり、ここに県費を振り向けることによって、県民が真に願っている生活道路予算は貧しいものとなっています。生活道路関連予算は全道路予算の4割でしかなく、あぶくま高原道路づくりが、いかに他の道路予算を圧迫しているかがわかります。道路維持修繕費や、生活道路予算を増額し、工事が減り苦しんでいる地元建設業の仕事づくりに振り向け、地域経済活性化につなげるべきと考えます。道路特定財源は、10年間で59兆円を使い切る「道路中期計画」の財政的裏付けとなるものであり、いまこそ、こうした無駄遣いの見直しを進めるべきではないでしょうか。

 かねてから私たちが主張してきたように、無駄な大型事業にメスを入れ、福祉・教育・農業・生活道路などに予算を振り向ける政策転換が、ますます必要になっています。

 入札制度改革については、これまで条件付き一般競争入札の、全面導入を図る改革をすすめてきたものを、一部の要望により、指名競争入札を復活させるなど、入札改革検討委員会の議論を、事実上形骸化させる方向を打ち出しました。多くの県民は、県政汚職の再発防止を心から願っており、わずか4カ月足らずで指名競争入札を復活させることは県民の理解を得ないものです。

 以上の理由から、

  • 議案第1号 平成20年度福島県一般会計予算案
  • 議案第9号 港湾整備事業特別会計予算案
  • 議案第20号 後期高齢者医療財政安定基金の管理に関する条例案
  • 議案第21号 福島県税条例の一部を改正する条例案
  • 議案第22号 福島県税特別措置条例の一部を改正する条例案
  • 議案第24号 県立総合衛生学院の授業料に関する条例の一部改正する条例案
  • 議案第25号 会津若松看護専門学院の授業料等に関する条例の一部を改正する条例案
  • 議案第29号 県立高等学校の授業料に関する条例の一部を改正する条例案
  • 議案第30号 県精神保健福祉センター条例の一部を改正する条例案
  • 議案第31号 県児童福祉施設条例の一部を改正する条例案
  • 議案第33号 県立職業能力開発校条例の一部を改正する条例案
  • 議案第34号 県農業総合センター条例の一部を改正する条例案
  • 議案第37号 県立病院事業の設置等に関する条例の一部を改正する条例案
  • 議案第42号 職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例案
  • 議案第44号 職員の給与の特例に関する条例案
  • 議案第47号 県老人保健法にかかる事務処理の特例に関する条例を廃止する条例案
  • 議案第53号 県理容師法施行条例の一部を改正する条例案
  • 議案第54号 県美容師法施行条例の一部を改正する条例案
  • 議案第55号 県クリーニング業法施行条例の一部を改正する条例案
  • 議案第69号 県立医大が徴収する料金の上限の一部変更の認可について

の、各議案に、反対することを述べまして、私の討論といたします。

以 上



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