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2008年9月県議会 反対討論
2008年10月10日
県議 神山悦子
 日本共産党の神山悦子です。日本共産党県議団を代表いたしまして、知事提出議案第1号平成20年度福島県一般会計補正予算に反対の立場から意見を述べさせていただきます。
 今議会に提案された9月補正予算は、総額18億759万4千円となり、この中には、県民の安全・安心の確保の観点で、県立学校の耐震改修のための基本計画や実施設計などにかかる経費、新たなトレモライト等の3種類のアスベストの調査費、稲ホールクロップサイレージなどに係る経費などの評価すべき予算が大半です。
 しかし、その一方で、小名浜東港の建設事業費の補正額1億2,600万円が計上されています。今回の補正予算では、東港における防波堤の消波ブロックを移す工事を行うためとのことですが、小名浜東港については、不要不急のムダづかいであると私たちは何度も中止を求めてきたところです。今年度東港の建設事業費は、補正予算を含め累計8億4,200万円。そのうち県費は当初予算で5億円、今回の補正予算で8,820万円、計6億円近い県費が投入されることになります。この財源の9割は県債であてられますが、いずれ県民の負担となってかえってくるものです。
 今議会の冒頭で知事が明らかにしたように、法人事業税等の県民税収入は当初の見込み予測を超えて100億円も減額補正せざるをえなくなっています。
 これほど県の財政運営が厳しい状況となっているのにもかかわらず、追加補正までして小名浜東港整備を急ぐ必要があるのでしょうか。私は、県の財政状況からみれば、全く矛盾していると思います。
 また、知事は財政運営について、「来年度の予算編成も非常に厳しい状況になる見込みであり、こうした事態に対処するため、今後財政構造改革プログラムの見直しを行い、・・・・既存事業の休止や廃止などこれまで以上に踏み込んだ歳出の抜本的見直しを行っていく必要がある」と述べました。
 そうであれば、小名浜東港の建設についても中止や廃止の対象に加えるべきです。ところが、今議会で示された<財政構造改革プログラムの改訂に当たっての考え>によると、2009(H21)年度・2010(H22)年度の2年間を緊急対応期間と位置づけ、歳出の抜本的見直しを行うこととし、大規模なプロジェクトの見直しも項目の1つにあげています。しかし、その内容は「今後新規に着手する事業を対象にする」とし、既存の大規模事業を見直しの対象から意図的にはずそうとしています。これでは、大規模プロジェクトの新規事業の見直しさえも大変疑問です。
 県は、2002年度に、当時の県行財政構造革推進本部の財政構造改革部会において大型事業の見直しを大胆に行いました。福島空港の3千メートル級滑走路については「延期」とし、事実上の「凍結」となり、空港公園についても計画の見直しを行うとなりました。あぶくま高原道路・トラハイについては、調査しながら検討継続となり、小名浜港の東港計画については、当初計画の5分の1に縮小すると決定されたのでした。
 ところで、これら大型事業に投じた借金のツケは、公債費という形で現在も負担しており、今後も負担は続きます。さらに、過去の借金の返済に加え、2001年度以降のいわゆる「小泉構造改革」路線により、地方自治体いじめともいえる偽りの「三位一体改革」(04〜06年度)と、2006年の「骨太の方針」による「歳出・歳入一体改革」がすすめられ、地方交付税等が大幅に削減されてきました。県は、そのしわよせを県民や職員へ求め、人件費の大幅縮減や各部局に対するマイナスシーリングをかけて毎年締め付けてきたわけです。しかし、それももはや限界ではないでしょうか。
 この影響が、象徴的に表れたのが県教育予算の削減問題です。私は去る6月県議会において、学校現場にもたらしている困難な実態を指摘し改善を求めました。今議会においても藤川議員が質問し、さらに自民党を含めて全会派から教育予算の増額を求める質問や問題点が指摘されました。学校教育予算の削減問題では、とりわけ教員旅費や維持管理経費等の削減による影響でした。藤川議員も指摘したように、県立高校の2005年度から2008年度当初予算の推移をみると、対前年度比毎年10%〜14%ものマイナスシーリングで、中でも備品購入費の削減はひどいものです。県立養護学校の備品購入費は、05年度〜07年度まではほぼ1,000万円強配分されていましたが、今年度当初は約300万円に削減され、昨年比で28.4%、7割も削減されています。これではやりくりも限界との声にも、教育委員会は予算がないため現場で工夫してもらうしかないなどと指導しています。養護学校においては、単なる備品というより、子どもたちの教材でもあるという現場の声は聞こえないのでしょうか。
 また、教員の旅費についても、知事部局では乗り合わせなどして節約しているので教員だけ例外にできないといいますが、学校に公用車はありませんし、学校の所在地もバラバラです。子どもたちの行事にかかわる引率費も不足している事態というのに、学校行事を減らして対応をなどと指導しているという状況です。これでは、本県の教育のあり方そのものが問われるのではないでしょうか。本県の教育予算は、30人学級への補助を除けば、他県と比較して決して高いとはいえません。
 知事は、「人づくり」を県の重点施策に掲げておりますが、そうであれば、大型事業へかける予算を削減してでも、本県の将来を担う子どもたちへ予算を回すべきです。貧困と格差、雇用不安、物価高騰など、保護者の経済力も悪化しています。父母の教育費負担をできるだけ軽減し、子どもたちに豊かで質の高い教育を行うためにも、県の大規模プロジェクト等を徹底して見直し、その財源を使って必要な教育予算を確保すべきです。
 ところで、東港整備促進の理由と県の地球温暖化対策とは、大変矛盾しているといわなければなりません。小名浜東港推進の理由にあげているのは、「石炭船の沖待ち解消」です。これらの石炭は、県内の石炭火力発電所の燃料として使用されるものですが、今年2月に示された本県の温暖化戦略でも明らかにされたように、CO2排出量を最も押し上げたのは、これら石炭を燃料とする火力発電所からの排出量でした。05年の県のCO2排出量は、90年比で37.2%と異常な増加率を示し、全国47都道府県で増加率ワースト1という、まことに深刻な事態となっています。
 今年9月26日に斉藤鉄夫環境大臣は、環境アセスメント手続き中の小名浜火力発電所計画について、「CO2排出抑制が大きな目標であるときに、このような計画が国民に受け入れられるとは思えない」と批判したという報道がありましたが、まともな評価だと思います。
 環境大臣も疑問を呈しているように、県は火力発電所の石炭燃料使用を見直すべきです。そして、同じ熱量を得るのにCO2排出量が石炭の約半分で済むといわれている液化天然ガス(LNG)に転換するよう事業者へ求めていくべきです。そうすることが、県の温暖化防止の目標達成の方向と、小名浜港における石炭船の沖待ち問題を解消することにつながるはずです。
 アメリカ発の金融危機が進んでいます。県民生活は、今後さらに悪化することが懸念されます。県は、大型事業を優先するより、県民のくらしを応援する予算とすべきです。

 以上申し上げまして、議案第1号平成20年度福島県一般会計補正予算(第1号)に反対を表明し、討論を終わります。



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