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2008年9月定例県議会を終えて
2008年10月10日
日本共産党福島県議会議員団
団 長 神山  悦子
副団長 宮川 えみ子
幹事長 藤川しゅく子

1、はじめに

 9月定例県議会は9月25日開会、10月10日閉会の会期16日間で開催されました。今議会は、県税収入の100億円の減額補正が提案され、総額18億8百万円の補正予算をはじめとして、条例などの知事提出議案28件、追加提案の人事案件2件などが審議されました。
 9月1日の福田前首相の辞任表明は、きわめて無責任な政権の投げ出しであり、首相が2代続けて政権の投げ出しをしたことは、与党の政治が解体状況にあることを示しました。
 9月24日に誕生した麻生内閣も、国民の審判を受けずに作られたものであり、このまま国民の審判抜きに政権に居座ることは許されないことです。
 輸入汚染米が食用として流通し、その加工品が県内の病院や福祉施設、学校給食にまで使われていたことが大問題になりました。年間77万トンものミニマムアクセス米を輸入し続けていることや、小泉内閣の「コメ改革」で、米の販売に自由に参入できる規制緩和をしたことが、この問題の根源です。
 アメリカ発の国際的な金融危機はますます深刻になり、アメリカをはじめとする海外の需要に頼ってきた日本経済も大きな影響を受けています。大企業のもうけを最優先にした政治を根本から転換し、雇用、社会保障、農業や中小企業を立て直し、国民の生活を応援することによって、土台から経済の体質を改善すること。これこそ重大な局面を迎えている経済危機を打開する大道です。
 党県議団は9月5日、9月定例県議会に関する知事申し入れを行い、諸物価の高騰による影響を受けている県民のくらし、農・漁業者・中小業者への支援、広がる貧困と格差の解消に力を尽くし、(1)大型プロジェクト見直しのいっそうの徹底、(2)地域での仕事確保をはかり、経済活性化にも資するようにすること、(3)県民の暮らしを守り、市町村の個性ある地域づくりにとりくめるよう市町村支援を強めること、を要望しました。
 10月3日、一般質問には藤川しゅく子県議がたちました。10月10日の最終本会議では、神山悦子県議が、今議会に提出された28議案のうち、9月補正予算案に対する反対討論に立ち、議員提出議案「福島県議会会議規則の一部を改正する規則」案と2件に反対しました。
 また、提出された9件の意見書案に賛成し、全会一致で採択されました。この中で、「事故米対策の強化とミニマムアクセス米の輸入中止を求める意見書」(県農業会議提出)と、6月議会で継続審査となっていた県農民連提出の同趣旨の意見書と2件が採択されたことは特筆すべきことです。わが党が紹介議員の意見書2件と請願4件は、いずれも継続扱いとなりました。

2、わが党の質問と討論、他会派の質問の特徴

◆一般質問(藤川しゅく子議員)
 食の安全と農業問題、原油高騰対策、教育予算不足問題、ムダな大型事業については特に空港問題を取り上げ、派遣労働問題で県を質しました。
 食の安全に関わっては、汚染米不正流通事件を取り上げ、汚染米の7割が輸入されたミニマムアクセス米であることを指摘し、年間77万トンもの輸入をし続けたことと、米の販売を届出さえすれば誰もが参入できるよう規制緩和したことに根本原因があることを指摘し、MA米輸入中止と米の流通管理における国の責任を求めることについて県の見解を問いました。県農業会議からもMA米輸入中止の請願が出されていることもあげ、県内農業者の声に応える県政が必要と再質問までしながら迫りました。
 原油高騰が、県内の食糧生産にかかわる農業・漁業・畜産業に重大な影響を与えており、県の直接補てんを求めました。
 また、県内教育現場の予算不足が深刻化している問題を取り上げ、十分な教育環境が保障できない状況を解消するために教育予算の増額を求めました。
 教育予算が不足している一方、あぶくま高原道路は凍結せず、小名浜東港整備事業は昨年度の2.3倍の予算であることを指摘。また、旧緑資源機構の幹線林道事業は、地球温暖化防止対策に逆行する大規模事業で自治体財政負担にもなることから取りやめ、財政構造改革プログラム見直しで、これらの無駄な大規模事業を凍結あるいは見直しを求めました。
 福島空港については、空港建設に至る歴史的経緯も解明し、利用料収入は2億円足らずで、毎年4億から5億円もの赤字を出し続けていることを指摘しました。原油高騰でJAL撤退表明の以前から赤字運営であり、事業として行き詰まっており、空港閉鎖も視野に入れた検討をすべきと見解を問いました。
 最後に、県内に激増する派遣労働についての実態調査を県が直接実施することが必要であり、京都府で実施している労働ホットライン事業のような、問題解決に至る窓口の設置や労働ガイドブックの作成を求めました。

◆討論(神山悦子議員)
 県議会最終日の10日、一般会計9月補正予算案に対する反対討論を行いました。100億円の法人県民税の減額補正が提案された中で、県民には不要不急のムダづかいの大型事業である小名浜東港の建設費の補正額1億2,600万円(うち県費が8,820万円)が計上されました。その一方で、教育予算が大幅にカットされ学校現場に影響がでていることから、今議会では、自民党まで含めて全会派から教育予算を増やすよう求められたことを紹介。

 また、石炭船の増加を建設促進の理由にしているが、県の温暖化戦略と矛盾していると指摘し、ムダづかいをやめて県民のくらしや教育などへ予算を回すべきと意見を述べました。

◆他会派の質問の特徴
 全会派が共通して取りあげたのは、財政問題、食の安全、教育予算不足問題でした。自民党や県民連合の代表質問では、財政の厳しさを強調しても、県を問い質すだけでした。知事が、国には期待できないと答弁。
 県民連合は、福島空港は「厳しい推移」との認識を示し、あぶくま高原道路については中止という声があることを取り上げました。自民党は、食料を取り巻く情勢が大きく変化したといいながら、MA米の輸入中止を求めることに言及しませんでした。

3、各委員会の審議について

◆総務常任委員会(神山悦子議員)
 県民税収入のうち、法人事業税等が当初の見込みより大幅に減収したのは、今年に入ってからの急激な原油高騰による影響と説明され、1企業で30億円も税収減となった事業所もあったとされましたが、県の見通しの甘さを指摘する意見が出されました。
 来年度以降の財政見通しも厳しい予算運営が続くため、県の財政構造改革プログラムを見直し、今後2年間を緊急対応期間と位置づけて歳出の見直しを行い「大規模プロジェクトの休止や廃止を含め見直す」ことをあげたものの、新規事業を対象にするだけで、既存の小名浜東港などの大型事業を対象外としようとしています。
 入札については、今年4月から出納局が行った、農林水産部と土木部における公共工事の業務委託(測量・調査・設計)の落札率が、50%未満(中には30%未満も)という異常な安さで落札していることが判明。
 12月県議会に提出予定の「福島県安全で安心な県づくりの推進に関する条例(仮称)」の検討内容が報告されたほか、人事委員会からは、職員給与を民間事業所との較差0.18%を埋めるため月例給を引き上げ、ボーナス0.02月分引き下げること。医師の給与を改善するため、初任給の調整手当てを改定するとの勧告内容が報告されました。

◆商労文教常任委員会(藤川しゅく子議員)
 企業局では、工場団地や住宅分譲など地域開発事業の未処理欠損金が今年度末で70億円以上になることが明らかとなりました。前年度比10億円程度の増加であり、そのうち、田村西工業団地に進出予定のデンソー東日本に対する土地分譲で生じる欠損金が約9億4000万円となります。地価の下落傾向と分譲価格の引き下げで欠損を増やした責任は大きいものです。
 商工労働部関係では、ハイテクプラザの研究受託費350万円の補正額は承認しました。
福島空港から日本航空が撤退することにより、空港機能そのものが問われる事態となりました。15年間の空港事業の総括を求める意見が出される中、私たちは閉鎖も検討すべきとしたが、当局は、あくまで利活用促進の立場に終始しました。
 商業まちづくり条例施行に基づく「歩いて暮らせるまちづくりビジョン」が示され、自民党議員から、商業まちづくり条例の見直しが必要との意見が出されたが、当局は、大型店を規制すると同時に街づくりの視点が必要と応じ「見直し」を退けました。
 教育庁関係では、耐震改修計画を前倒しの補正予算を承認しました。県立棚倉高校と東白川農商高校の統合に伴う条例は、地元の合意が図られていることから賛成しました。富岡高校川内校の募集停止については、地元理解が十分でないこと、進学希望者がいることなどから、募集停止はやめること、通学費の補助を求めました。

◆土木常任委員会(宮川えみ子議員)
 6日・7日、土木常任委員会が開かれました。福島空港全体は毎年5億円の赤字続きですが、今後日航の撤退でさらに厳しい経営が迫られています。加えて、空港ビル(株)(県の持ち株35%)も経営難です。県から借りている6億円も払えるかどうかの質問に対しては、これから検討するというだけでした。空港建設関連の借金も54億円もあります。
 一般会計は15億4720万の増額補正予算を組み、緊急対応策や危険海岸等の注意喚起のための標識設置など(地震で人が亡くなった)を対応するとのことです。また、県営住宅の家賃滞納で裁判所に調停を申し立てる議案も出されましたが、5件のうち母子・父子、高齢者、多子世帯がほとんどでしたので、市町村の福祉事務所と十分連絡を取り合うよう求めました。
 小名浜東港関連の予算を1億2600万増額補正する内容もあり、補正予算には反対しました。

◆いのち・人権問題対策特別委員会(藤川しゅく子議員)
 地域医療対策、救急医療体制の整備、医療情報提供体制の充実、がん医療体制の充実などについて調査しました。ドクターヘリの運営状況について質し、当局は、今後の課題として、原油高騰の影響を見込んだ予算拡充と地域的に偏りがある利用について広域救急搬送(市町村)との連携の必要性をあげました。
 地域医療の充実のためには、医師の確保が欠かせないことがますます明確になりました。

◆地域産業活性化対策特別委員会(宮川えみ子議員)
 定住・二地域対策が論議されました。過疎で悩む地域に都市など他地区から居住する人を呼び込む問題です。携帯電話通話エリア拡大・光ファイバー整備・居住地提供・宣伝活動の強化、などが提案されました。論議では、高齢化しているところに団塊の世代を呼び込むということは、高齢者がますます増えるのではないかなどの質問がありましたが、「この施策がないと今の今が大変な地域がある」などの答弁もありました。
 この施策が根付いてきているところは、阿武隈山系の葛尾村・川内村などで、地元の人やNPOの人たちが一生懸命に取り組んでいるとのことです。

4、選挙区区域等検討委員会・議会運営委員会(神山悦子議員)

 今年3月に設置された選挙区区域等検討委員会は、6月県議会で24選挙区のうち、相馬市・相馬郡(新地町)、南相馬市・相馬郡(飯館村)、本宮市・安達郡(大玉村・白沢村)の3選挙区を強制合区として決定。9月県議会では、強制合区以外の任意合区の取り扱いについて協議。その中で、最も較差の大きい岩瀬郡を須賀川市に合区し、南会津郡、河沼郡、大沼郡の3選挙区は現行と同じ選挙区とすることを決定。飛び地等のあり方を含め、12月県議会で最終とりまとめることになりました。
 議会運営委員会では、今年6月に成立した「地方自治法の一部を改正する法律」に伴い、議会内部組織の活動範囲を明確化するための「県議会会議規則の一部改正」案が審議されました。これまで任意で設置してきた代表者会議、各派交渉会、政務調査審議会については、5人以上の交渉会派を構成員とすることが要件です。これでは、少数会派が排除されるなど民主的運営といえないことを指摘し反対しました。なお、これらを含め「議会活性化に関する見解」を数項目にまとめて議運委員長へ提出しましたが、「参考人を積極的に活用すること」のみ採用されました。

5、公立大学法人中期目標調査検討委員会(神山悦子議員)

 06年に法人化された県立医大と県立会津大の大学運営「中期目標」の中間見直しにあたる今年、県議会としての意見を取りまとめる検討委員会が設置されました。党を代表し「大学の自主性を尊重すること」や、「県内地場産業の振興につながるような地域貢献策」を、「そのために必要な県の運営交付金とすること」などを求めました。自民党は最終まとめになって、お金を出資する市町村へ医師を派遣する「市町村枠」を設けるよう突然提案されたので、市町村の財政状態で医師派遣が左右されかねないと意見を述べたところ、他会派からも異論があり、結局、委員長の口頭申し入れとすることで一致。検討会としてまとめた報告書は、20日、議長へ提出された後知事に提出されます。

6、広報委員会(藤川しゅく子議員)

 本会議のインターネット中継画像を、これまで次の議会まで一般公開としていたものを、今後は、1年間公開とすることに決まりました。画面に議員氏名と会派名のほか質問項目を記載することになり、わかりやすい質問風景の録画公開となります。

7、請願・意見書について

● 採択された意見書 9件(全会一致)
◇「太陽光発電システムのさらなる普及促進を求める意見書」
◇「道路財源の『一般財源化』に関する意見書」
◇「雇用促進住宅の退去困難者への支援強化に関する意見書」
◇「学校耐震化に関する意見書」
◇「ヒトT細胞白血病ウイルス1型(HTLV−1)関連疾患に関する意見書」
◇「タクシー事業の規制緩和の見直しを求める意見書」
◇「燃料価格高騰により危機に瀕するトラック運送業界の経営安定を求める意見書」
◇「事故米対策の強化とミニマムアクセス米の輸入中止を求める意見書」
◇「『協同労働の協同組合化』(仮称)の速やかなる制定を求める意見書」

● 党が紹介議員になった請願・意見書の結果
 党県議団が紹介議員となった新規意見書「後期高齢者医療制度廃止法案の成立を求める意見書」(県社保協提出)、「介護療養病床廃止の中止を求める意見書」(県保険医協会提出)、の2件と、新規請願「肺炎球菌ワクチンへの公費助成を求めることについて」(県保険医協会提出)「学校給食への汚染輸入米食材使用事件をふまえ、地産地消と手づくりこだわった安全・安心の学校給食を求めることについて」(新日本婦人の会県本部提出)、「重度心身障害者医療費助成制度の改善を求めることについて」(県社会福祉推進協議会提出)、「株式会社クリーンテックの産廃処分場第二期工事計画の県審査について」(反対同盟提出)の4件、計6件でしたが、いずれも継続扱いとされました。
 なお、県農民連から6月に提出されていた「ミニマムアクセス米の輸入中止を求める意見書」(共産・民主紹介)は、趣旨採択となりました。

以 上



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