日本共産党の神山悦子です。日本共産党県議団を代表しまして、議案第76号 2008年度一般会計補正予算(第5号)、議案第97号 県の行う建設業等に対する市町村の負担の追加及び一部変更について、反対の立場から意見をのべさせていただきます。
まず、2008年度2月補正予算についてですが、
今回の一般会計における補正額は、163億8,600万円の増額補正で、これにより08年度予算の累計額は8,692億9,100万円、これは前年度同期比で3.8%の増となります。
増額補正の主なものは、国の第2次補正の「緊急経済・雇用対策」交付金を活用した総務部、生活環境部、保健福祉部、商工労働部にかかる総額169億3,620万6,000円の基金造成です。
7つの基金事業には、これまで県民や議会からもたびたび要望されていた妊婦健診の助成事業が拡大され、国が14回分を10/10助成することになり、これまでの第3子からの助成が第1子からへ、健診にかかる費用もほぼ負担なしで受診できることになります。また、保育所等整備事業や研修事業、障がい者支援等への基金の積み増し、新型インフルエンザ対策も盛り込まれました。
また、雇用対策としては、国のふるさと雇用再生特別基金や緊急雇用創出基金を活用し、マンパワーを必要としていた農業・林業、福祉・介護分野などへの就労支援事業が盛り込まれ、県内で突然職を失った非正規労働者への緊急の失業救済として、すでに県が直接雇用した臨時雇用は115人に上りました。
今議会は、多くの議員から農業・林業、介護・福祉分野への雇用創出を歓迎する声があがりましたし、私も申し上げましたが、この分野への雇用を一時的なものとせず、中・長期的な安定した雇用につなげることが今後の課題です。そのためには、農業・林業、介護・福祉分野などでも生活していける賃金・所得保障が必要です。これに農産物の価格保障も行ない、本県の基幹産業にふさわしい県の位置づけを行なうこと。環境・新エネルギーなどの新産業興しを含めた内需型、地域循環型の産業構造への転換も必要です。この点では、県も県議会も互いの認識が一致したのではないでしょうか。
ところで、今回、小名浜港東港への追加補正として、国直轄事業分が「経済・雇用対策」事業との名目で計上されています。「経済・雇用対策」といえば「公共事業」という従来の景気対策のやり方は、県の予算にも未だ色濃く反映しており、その典型が小名浜港東港建設です。
私たちは、公共事業をすべて中止せよと言っているのではありません。むしろ、県民生活に密着した公共事業は、スピード感をもって行なうべきです。学校の耐震化、保育所や学童保育所、介護施設や障がい者施設整備などの学校や福祉施設整備、通学路をはじめとした生活道路の整備、老朽化対策、河川の改修、災害防止対策など、県民の命、安全、暮らしを守るために、大型事業を抑制し生活密着型の公共事業の予算を増額すべきです。そうすることで、地域の建設業への仕事と雇用の確保、地域活性化につながり、地域循環型の経済対策となるのです。
小名浜港東港への補正額は、事業費ベースで県単事業が3億円、国直轄事業が17億8,760万円と県確定分の合計で21億160万円が計上されました。そのうち県の負担金は、県単事業分が2億1,000万円、国直轄事業費分が7億7,450万7千円となり、計9億8,590万円の県費が投入されようとしています。
東港への追加補正は、今回だけではありません。9月補正で事業費は1億2,600万円、12月補正で2億5,000万円でしたので、3回の補正で計11億8,248万2千円の事業費が追加されたことになります。 年間予算でみると東港には、事業費ベースで66億8,540万円、そのうち33億4,695万7千円もの県民の税金が投入されることになります。これは、昨年度が約18億円、そのうち県費約9億円と比較しても、事業費も県費も3.7倍という、あまりに突出した予算の配分ではないでしょうか。
県は、「財政構造改革プラン」をかかげて緊縮財政を行ない、年度途中の補正予算については緊急かつ真に必要なものに限定していたはずです。このルールはいつのまに下ろしてしまったのでしょうか。トラハイと小名浜港東港を聖域扱いとしている県の姿勢は改めるべきです。不要不急の大型公共事業への投資は、地域経済と雇用面からみてもその波及効果は乏しく、むしろ将来に負の遺産を残すだけで、経済危機の打開にもつながりません。小名浜東港に、これ以上多額の税金を投入することには反対です。
今年度は、当初で教育予算に対する行き過ぎた緊縮財政が行なわれたことで、学校現場で支障をきたす事態となり、県議会からも改善を求める声があがり、12月補正で県立学校の維持管理経費や教職員の旅費の追加補てんがされたばかりであり、県は優先度が逆さまではないでしょうか。
今回の整理予算の歳入の県税収入をみても、県内の経済・雇用情勢の厳しさが反映されています。県税収入は、5億7,700万円の減額補正で、そのうち個人県民税は4億3,700万円の減、法人県民税と法人事業税で5億2,900万円の減、自動車税と自動車取得税で6億6,700万円の減、軽油取引税は14億3,100万円の減額となっています。
また、県民生活の悪化が子どもたちにも及んでいることは、県の奨学資金の貸付状況からも明らかになっています。大学等奨学金貸付が年間所要見込みより約2,000万円の減額となっています。新規で30人の減、継続で15人の減と貸付対象者が減っていることが商労文教常任委員会で明らかにされましたが、これは大学進学を断念せざるをえなくなったり進学しても学費が続かず中途退学者が増えていることを意味しているのではないでしょうか。また、私立学校への助成事業においては、高校授業料軽減事業が3,000万円の増、私立幼稚園同時在園児保育料軽減事業補助金や、私立専修学校高等課程授業料軽減事業補助金などが年間所要見込みよりも増加したのは、対象人数が増えたことによるものです。家庭経済の悪化が、直接子どもたちにも及んできていることを表していると思いますが、県は、こうした県民への支援こそ優先して行なうべきです。
次に、議案97号の県が行う建設業等に対する市町村負担を求めることについてですが、地方分権の立場からみても逆行しています。県の建設事業は、県の予算でまかなうのは当然のことです。市町村へ負担を求めることはやめるべきです。
以上の理由から、議案第76号(2008年度福島県一般会計補正予算(第5号))と議案第97号(県が行なう建設事業に対する市町村の負担の追加及び一部変更について)に反対の意見を述べまして、討論を終わります。
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