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2007年度普通会計決算への藤川淑子県議反対討論
2009年3月9日 藤川淑子
 日本共産党の藤川淑子です。
 私は、日本共産党県議団を代表し、継続審査議案第24号、平成19年度普通会計決算認定に、反対の立場で意見を申し述べます。

 2007年度は、小泉構造改革による庶民への痛みが表面化した年でした。障害者サービスに応益負担を持ち込み、施設の収入を激減させた「障害者自立支援法」が全面実施され、高齢者の要介護度を低くみて、「介護取り上げ」と言われた「改定介護保険法」の2年目にあたり、障害者や高齢者など、弱者の負担増がすすめられた年でした。
また、高齢者の住民税非課税限度額の廃止や、定率減税の完全廃止、さらには、生活保護の母子加算廃止が実施され、庶民の暮らしは塗炭の苦しみの中に突き落とされた年でした。
 そんなとき、県政の役割は、国の悪政の防波堤として県民生活を守ることにあったはずです。その立場で予算編成と執行がなされなければならないにもかかわらず、県民生活を守る観点は不十分なものでした。

 財政構造改革プログラムのもと、県の財政負担を軽くするため、重度障害者の入所施設「太陽の国きびたき寮」や、低所得者の知的障害者の施設である「浪江ひまわり荘」および県唯一の直営だった養護老人ホーム「希望ケ丘ホーム」の民間移譲をすすめ、本来、公で担わなければならない公共サービスを切り捨ててしまいました。

 民生費の決算総額に占める割合は、10.39%で、前年より伸びているものの、同程度の財政規模の他県と比較すれば低い水準です。本県の、財政に占める民生費比率は全国42位と最低クラスです。その執行状況が、各施策に反映し、県の重点施策とした「次世代育成支援策」においても、妊婦健診と保育料軽減策は、第一子からの実施を求める県民の声をしりぞけ、第三子からの実施にとどまりました。さらに、4万6千余名の県民署名が寄せられていた、乳幼児医療費助成制度の年齢拡大は当初においても、補正においても、実施されることはありませんでした。

 また、この年の県内の国民健康保険税滞納世帯は、7万1803世帯、18.32%にものぼり、個人県民税直接徴収引受件数は、1万7233件で前年から9千685件も増え、そのうち差し押さえ件数は、8千464件で、前年は3千431件でしたから、2.5倍の差し押さえ件数の増加になりました。
 小泉構造改革の影響が県民生活に表れ、貧困化が進行している実態がうかがえます。しかし、市町村からも求められていた、国保税減免市町村に対する補助は実施されませんでした。県民福祉の増進にかかわっては、極めて冷たい行政が行われたことが執行状況からもうかがえます。

 緊縮財政だからと、本県の未来を拓く子供たちのための予算である教育費を削減し、とりわけ学校維持管理費は、前年決算比9割から8割の執行状況でした。その結果、教育現場では、学校維持管理費不足からPTA予算つまり父母負担で補填をさせたり、特別支援学校の教室不足問題を深刻化させました。
 どの子にも行き届いた教育をすすめ、効果を上げている30人学級制を質的に保障する正教員配置も先送りされ、増額補正も行われませんでした。ちなみに、県の教育費総額の決算額の推移をみると、この10年で約318億円も減額になっており、暦年の減額が教育現場に大きな影響を与えていることが解ります。

 一方、あぶくま高原道路、小名浜港東地区整備事業、大規模林道など県民生活にとって不要不急の事業は、顧みることなく実施されました。
 利用が減っている福島空港には、当初から赤字覚悟の予算がふられ、決算額では5億4700万円の管理費に対し、使用料収入は1億5100万円しかなく、差し引き3億9600万円の赤字経営をそのままにしたことは、県民の税金の無駄遣いと指摘せざるをえません。

 総人件費の削減も進められました。県職員定数を減らし6億円の削減を実施しました。「給与構造の見直し」と称して、民間企業との比較対照規模を従業員100人から50人規模に下げてまで賃金引き下げを行い、期末手当などの縮小を推進したことが、各市町村職員の給与水準や民間にも影響し、結果として地域経済を冷え込ませることとなりました。県職員の人件費は、内需拡大効果が期待できますので、地域全体への経済波及効果を勘案した配分があってしかるべきではなかったでしょうか。

 企業誘致においては、地元企業の取引拡大や雇用の創設を図るため、知事のトップセールスによる積極的な誘致活動が展開され、企業が立地する際の初期投資としては全国でも上位に位置する35億円を上限とする補助金を新たに創設しました。ところが、この補助を受けた企業が、現在、大量の雇い止めを発表したり、会社更生法を申請し工場廃止や休止も危ぶまれるという状況にあります。私たちは、当初から、戦略的企業誘致補助金については、厳しい県財政の中で多額の税金を投入することに疑問を呈し、内発型・地域循環型の経済活性化策への切り替えを提案し続けましたが、その意見はかき消され、誘致企業に県民の税金が投入されてしまいました。

 2007年度普通会計の決算額は、歳入が8435億5724万1025円、歳出が8397億2988万1114円、差し引き38億2735万9911円となり、翌年度に繰り越すべき財源を除いた実質収支は22億7059万6430円の黒字ですが、これは先に述べたように県民福祉を抑制した結果であるといえます。
 この年の県の財政力指数は、0.44、前年は0.41であり、税源移譲の影響もあり、財政力指数は高くなってきています。全国比較においても25位という安定的な水準を示しております。県債残高は1兆2029億円余と多額のまま推移しており、1994年から進められた無駄な大型事業により、県債を積み増したことは重大問題ではありますが、財政力から見れば、長期かつ計画的に県債の返済をしつつ、県民生活に予算を振り向けることは十分可能であったと思います。しかし、政府の進める「骨太方針」にそい、短期のプライマリーバランスにこだわり、緊縮財政に走り、県民生活分野の切り捨てに拍車をかけた執行状況であり、残念なことだと思います。

 最後に、06年度までの会計処理における国庫補助事業事務費の不正支出が会計検査院から指摘され、これをうけ、07年度の全庁調査を自主的に行ったことは評価できます。その結果、6部局において、3074件 1449万3千円の不適切な処理が判明しました。決算特別委員会の意見書を尊重し、再発防止策を講ずることと速やかな国庫返還を望むものです。
 以上、意見を申し述べ、私の討論といたします。



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