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2009年2月定例県議会総括審査会質疑・藤川しゅく子県議
2009年3月18日  藤川 淑子
藤川淑子県議
 日本共産党の藤川淑子です。どうぞよろしくお願いいたします。
 金融危機の影響で、県内に失業者が増大しております。違法な雇い止めをしている企業に、雇用している企業に雇い止めをやめさせることが必要だと、このように思いますが、同時に、失業状態になったときに、失業給付や自治体の福祉施策がとりわけ重要になってまいります。世界同時不況ということで、ヨーロッパなどでも失業者が増大しているという状況ではありますが、ヨーロッパでは、大量の野宿者が発生したなどということはあまり聞いておりません。この違いというのは、私はセーフティネットの違いにあるのではないかと思います。日本のセーフティネットがいかに脆弱なものであったのかを思い知ったところでもあります。
 国の制度改正とともに、自治体の雇用対策と福祉施策を一体的に機能させる施策が必要ではないかと思っております。失業者に対しまして、従前の生活保護制度のいわゆる一歩手前の制度、そういうものが必要ではないかなと思うところなんですが、この点ではドイツで、生活費と住居費などの資金扶助と就労支援がセットになった制度が数年前にできました。イギリスでも、自立を目指す就労支援型失業扶助、これが新しく導入をされております。労働行政と福祉行政を一体的に機能させる、いわば新しい形のセーフティネットが必要と思うところですが、この点で知事はいかがお考えになられますでしょうか。認識をお聞かせ下さい。

知事
 藤川議員にお答えいたします。昨年末以来、厳しい雇用情勢が続いており、失業者対策については、県政の最重要課題であると認識しております。
 こうしたことから、福島県では、昨年11月に緊急経済・雇用対策本部を設置し、緊急雇用対策基金事業による雇用創出をはじめ、県独自の直接雇用、中小企業労働相談所や就職情報センターにおける就労相談、そして生活福祉資金等の融資や県営住宅の提供による住宅の確保など、スピード感を持ってできる限りの対応をしてまいりました。
 今後とも、国の雇用対策と連携しながら、きめ細かな失業者の支援に取り組んでまいりたいと考えております。

藤川淑子県議
 ありがとうございます。この間の県の雇用対策には、敬意を表したいと思います。先ほど、国と連携をしながらというお話がございました。国の雇用保険が、国会で改正案が出たところではございますが、この間、度重なる改悪がありまして、失業者の8割が雇用保険の対象外に置かれているという事実があります。派遣や契約社員などワーキングプア状態で働いていた人が、首切りにあうと翌日から生活に困ってしまうと、こういう状況ですから、地方自治体としても私はこれを何とかしなければならいのではないかなと思っております。そこで再度知事にお伺いしたいんですが、東京都にはチャレンジ・ネットという制度で就労支援と先ほどお述べになりました生活福祉資金と一体化させた制度が動いております。こうした制度が本県でも必要ではないかなと思うんですが、このような制度につきまして知事の感想をいただければと思います。

知事
 県として、失業対策についてできるだけスピード感を持って、できるだけの対策を講じてまいりたいと思っております。今後ともきめ細かな失業者の支援に取り組んでまいりたいと考えております。

藤川淑子県議
 ありがとうございます。
 雇用悪化が進んでおりますので、セーフティネットで地方自治体ができるところでは、最後の砦と言われております生活保護制度の役割が、ますます重要になっていると思います。
 本会議におきましても答弁がありましたが、生活保護の申請および受理については、法令にのっとって迅速な対応を図るよう指導していくという答弁でございました。
 しかし、いま福祉の現場で生活保護制度が十分に機能していない現状があると思います。一例なんでございますが、福島市では、住まいがない人に対しまして「住まいを見つけてこなければ保護を適用しない」という行政も行われております。
 その結果、アパートが見つからない場合は、保護を申請してから受給までの間が、路上生活を余儀なくされると。長い人ではこれが2ヶ月にも及んでいると。こんなケースまでございます。生活保護制度が機能していないと、私は感じたところであります。
 そこで、生活保護法は、憲法25条の精神に基づいて、最低生活費を下回る収入しかない人に対して、その差額を支給する制度で、誰でも申請できると理解しておりますけれども、生活保護では申請の要件はどうなっているのでしょうか、お尋ねいたします。

保健福祉部長
 お答えいたします。生活保護は、生活に困窮するすべての国民に対しその困窮の程度に応じ必要な保護を行い、最低限度の生活を保障する制度であり、申請についての特段の要件はありません。

藤川淑子県議
 特段の要件はないということですので、それに沿って指導していただきたいと思います。ということになりますと、住居や住民票が生活保護の申請や支給の要件になるということはないとのことでよろしいんでしょうか。

保健福祉部長
 お答えいたします。住居のない方については、保護申請することは可能でありますが、保護は居宅又は施設において実施することとされているため、保護を決定することはできません。
 また、住民票の有無は、生活保護の申請及び決定において要件とはなりません。

藤川淑子県議
 決定の要件のところが、実際と、実効ある生活保護法の運用につながらないのかなと思います。
 そこで、生活保護法の19条の1項、「居住地がないか、又は明らかでない要保護者であってその管理に属する福祉事務所の所管区域内に現在地を有する者」に行政は保護を決定しなければならないとあります。さらに、同じ19条2項ですけれども「急迫した状態」にある時には、保護が必要な人には適用しなければならない、となっておりますから、先程のような申請はできるけれども決定の段階、受給の段階でははじかれるという、つまり「住むところを探してくること」を、生活保護の受給の条件にすることは、これは違法ではないでしょうか。いかがお考えになられますでしょうか。

保健福祉部長
 お答えいたします。申請は、申請者の意思により行われるものであり、その受付に条件を設けることはできないため、各福祉事務所に対しては、居住の場の確保等を理由に申請権を侵害をしないよう指導しております。

藤川淑子県議
 申請はさせるけれども、受給はさせないと。ここのところが私は、生活保護の機能が十分に発揮されていないと思うところです。それで、これは年越し派遣村の実例から学び、それを適用させることが、私は必要ではないかと思います。
 昨年の12月22日、年越し派遣村の経験ですけれども、東京都の文書では、「保護開始時に安定した居宅がない要保護者に対しては、居宅生活が可能な場合は敷金などの支給の対象になることを示し、申請がなされた場合は法定期間内、14日ですね、支給の可否を決定通知すること」とあります。
 派遣村で生活保護申請を受理した千代田区においては、住居のない失業者に一か月分の生活保護費を先渡し支給をして、住居を確保させるというこういう対応でした。
 本県においても、この対応を参考に、各福祉事務所を指導すべきと思いますが、ご見解をお聞かせください。

保健福祉部長
 お答えいたします。昨年末から本年はじめに、いわゆる「派遣村」を訪れた人のうち約300人が保護を受けたことについて、厚生労働省においては、多数の申請が同時に行われ施設の使用期限も迫っていたことによる、「緊急事態に対処する特例的な対応」という見解を示しております。

藤川淑子県議
 同じ生活保護法の下での対応で東京都と福島県の対応が異なるということは、私は問題だと思います。12月22日、東京都の出した文書では、この文書を出した意味ですね、こんなふうに強調しています。「居住地を失う前に保護の適用」をするんだということを強調しているわけです。これを生活保護法にございます「現在地主義」に基づくものだと説明をしております。さらに、国なんですけれども厚労大臣はこの東京都の文書について、厚労省の基本方針に基づいたものだと認めているわけです。つまり東京都が行ったことは特例的なものということではなくて生活保護法に基づいたものだったということは明白だと思うんです。ですから、私は東京都の対応を参考に各福祉事務所を指導すべきだと思いますので、再度ご答弁をお願いします。

保健福祉部長
 お答えいたします。いわゆる年越し派遣村での取扱いにつきましては、提供されました宿泊場所を臨時的な居住の場と認め、保護を実施したものと認定しております。こうした取扱いにつきましては、先程申しましたとおり、国は緊急的な事情に対処する特例的な対応であったとしておりまして、受給要件等は事後的に調査をするとしております。本県におきましても、転居を前提といたしまして知人、友人宅へ一時的に寄宿をしている経過的な状況につきましても生活保護適用は可能でございますが、収入手段、そういった保護の要件につきましては、改めまして生活保護法の規定に沿って適切に調査をしてまいる考えでございます。

藤川淑子県議
 私は、いま生活保護法のお話だったんですけれども、ホームレス自立支援法にもとづく取り組みが必要だと思います。ホームレス自立支援法は、基本方針で、ホームレスに対する緊急援助として、居住の場所がないことをもって保護の要件に欠けることはないとしております。ところが本県は、ホームレス自立支援法に基づく県の実施計画をホームレスが少ないという理由でつくらないで先延ばしにしてきております。このことも生活保護法が実際の現場で機能しない、そういうことにつながっていく背景にあるのではないかと思います。
 この基本方針に沿った、県の実施計画をつくることが大切だと思いますが、この点でのご見解をお聞かせください。

保健福祉部長
 お答えいたします。本県におけるホームレス数でありますが、平成21年1月現在、20名となっておりまして、今後とも生活保護法等による個別支援を行いながら、実施計画の策定の必要性も含め研究をしてまいりたいと考えております。

藤川淑子県議
 本県のホームレスが20名というお話でしたが、福島市の駅前でボランティア活動をされている市民団体、あと大学のゼミのみなさんの活動を、私、お聞きしました。この4年間で60人のホームレスを福島市で生活保護につないだという実績を報告されておりました。雇用悪化を受けまして、生活保護の機能を十分発揮をしていくことと総合的なホームレス支援策、これが私は大事だと思います。このことを強く求めまして次の質問に移ります。
 多重債務相談窓口と県民税直接徴収業務の連携についてお伺いいたします。不況が長引きますと、県民税などの徴収金の滞納も増えてきます。その対策として、市町村が徴収しきれない滞納者について、それを県が引き受けて徴収をする個人県民税の直接徴収がすすめられております。
 はじめに、直接徴収の実績についてお聞きしたいと思います。直近の3年間(平成17年度・18年度・19年度)の、市町村からの引き継ぎ件数をお聞かせください。

総務部長
 お答えいたします。個人県民税に関して県が直接徴収することとして、市町村から直近3年間に引き継いだ件数につきましては、平成17年度が6,992件、平成18年度が7,548件、平成19年度が17,224件となっております。
 なお、平成19年度に大幅に増加してございますが、これは市町村を支援する県の直接徴収の担当職員を増員したこと等によるものでございます。

藤川淑子県議
 引き継ぎ件数が増加しております。それらの中で、差し押さえ件数は各年度で何件になり、差し押さえが換価された件数はどのようになっているでしょうか。

総務部長
 お答えいたします。個人県民税の直接徴収した場合における直近3年間の差押え件数及び換価件数でありますが、平成17年度が差押えで4,989件、換価件数が1,470件、平成18年度が差押えで3,431件、換価で914件、平成19年度でありますが差押えで8,469件、換価で2,520件となってございます。

藤川淑子県議
 差押えをしても、換価つまり現金にかえられたものは、だいたい全体の3割弱という状況で、差押えもあまり効果が上がっていないと感じられるところです。ここ数年、滞納者に対し、差し押さえも含めた厳しい回収が行われておりますが、個人県民税の滞納理由はどのようにとられているでしょうか。

総務部長
 お答えいたします。個人県民税の滞納の理由でありますけれども、平成19年度に行われた定率減税の廃止及び所得税からの税源移譲に伴い個人県民税が増額されたことや、世界的な景気後退の影響などが主な要因となっていると考えております。

藤川淑子県議
 滞納者は、1万人近い滞納者と直接納税相談でふれられるというのが税務の窓口の特徴だと思います。
 そんな中で多重債務に陥っているケースも少なくないのではないかと思うところですが、金融庁の多重債務問題改善プログラムでは、各相談窓口の連携強化が強調され、多重債務者対策協議会のもと、庁内連絡会議もつくられたところです。県民税徴収に携わる部署との連携はまだ不十分だと思っているところですが、多重債務相談業務と県民税の徴収業務の連携強化について、お考えをお聞かせください。

生活環境部長
 お答えいたします。多重債務者対策につきましては、平成19年7月に県の多重債務者対策協議会を設置しました。併せて関係部局の緊密な連携の下に、効果的な対策を推進するために、庁内連絡会議を設置したところでございます。
 今後は、庁内連絡会議の構成メンバーに税務関係課を加えるなど、さらに庁内の連携強化を図ることとしております。

藤川淑子県議
 差し押さえをしますと、納税者をつぶしてしまうという側面もありますから、ますます、県税収納率が下がるという悪循環にもなってまいります。
 県民税の収納をあげていくためにも、発想の転換が必要ではないかと思うところです。
 そこで、お伺いしますが、回収業務にあたっている地方振興局の県税部の窓口で、多重債務問題がある滞納者に対し、債務整理の相談にあたり問題解決し、実効ある対策が必要だと思いますが、どのようにお考えになりますか。

総務部長
 お答えいたします。地方振興局県税部の窓口におきましては、滞納者の状況に応じて分割納付を認めるなどの納税相談を行っているところであります。
 多重債務整理の相談につきましては、消費生活センター等の窓口を紹介するなどにより対応してまいりたいと考えております。

藤川淑子県議
 盛岡市の例なんですけれども、これは参考になると思います。「多重債務者包括支援プラグラム」を定めて、庁内関係部署と連携しながら多重債務問題の解消に成果をあげていると聞いております。
 そこで、本県市町村におきましても、関係各部署の連携による多重債務者対策を進める取り組みが必要と思いますが、その点での県の考えをお聞かせください。

生活環境部長
 お答えいたします。市町村における対策につきましては、住民と接する機会があるさまざまな部署の連携が極めて重要だと思います。
 このため、市町村職員への研修会等を通じて、関係部署間の緊密な連携を図るように求めるとともに「多重債務者相談Q&A」を作成しまして、市町村に配布するなど、関係部署の連携による多重債務者対策が効果的に行われるよう支援をしているところでございます。

藤川淑子県議
 収納担当と密に連携した多重債務の対策は、効果的と思いますので、よろしくお願いいたします
 次に、南相馬市の大甕地区の産業廃棄物最終処分場の問題についてお伺いいたします。南相馬市の大甕地区の産廃処分場の問題は何度か質問させていただきました。南相馬市議会から出されております要望書では、事業者は、「産業廃棄物処理施設設置予定地内に所在する賃借地の所有者が埋め立て終了後も処分場の設置者と連帯保証責任を負うこと等を記載した誓約書」、これがまだ未提出ということでありますが、、この書類は、いまだ未提出のままでしょうか。

生活環境部長
 お答えをいたします。福島県産業廃棄物処理指導要綱に基づき提出を求めている誓約書は、まだ提出されておりません。

藤川淑子県議
 設置許可から10年もたっているのにまだ未提出ということです。事業者は、過去に産廃処理法、水質汚濁防止法など複数の法律、条例違反をしていますが、それはどのような違反内容であるのかお聞かせください。

生活環境部長
 お答えをいたします。過去の違反内容は、代表者の変更届出及び着工予定年月日の変更届出について、法に定める提出期間を過ぎていたというものでございます。

藤川淑子県議
 法に違反をしているということです。1月28日付の日経新聞によりますと事業者の弁護士が不動産会社の社長と共謀し不動産取引をめぐる架空の仲介手数料を計上し1億円余の法人税を脱税したとあります。このことが欠格要件に該当すれば、設置許可は取り消さなければならないと思います。事業者と深くかかわりあっている弁護士が逮捕され起訴されたことは、欠格要件に該当すると考えますが、県の見解をお聞かせください。

生活環境部長
 お答えをいたします。お話しの報道された事案につきましては、欠格要件に該当する者というのは、禁固以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者を指すものというものでありまして、逮捕、起訴されたという事実のみでは欠格要件には該当いたしません。

藤川淑子県議
 本会議で、この件につきましては、逮捕、起訴された弁護士と事業者との調査をしているとの答弁がありましたが、この調査の状況についてお尋ねいたします。

生活環境部長
 お答えいたします。本年1月21日に、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」いわゆる廃棄物処理法の第18条に基づく報告を求めましたところ、その内容に不明な点があったことから、再度、報告を求めることとしております。

藤川淑子県議
 この弁護士が、事業者の事業活動を実質的に支配する立場にあるというのが、本会議の答弁でも出ておりまして調査項目に上がっていたのですけれども、立場にあるというのは具体的にどういうことでしょうか。お尋ねします。

生活環境部長
 お答えいたします。事業活動を実質的に支配する立場にあることというのは、取締役、執行役又はこれらに準ずるものと同等以上の支配力をその会社に対して有する者で、相談役や顧問、一定比率以上の株式を保有する株主等が該当するとされております。

藤川淑子県議
 また、本会議で事業者の国税滞納について納入した実態はないとのご答弁がございました。国税を払えない状態の事業者が、処分場の設置や維持管理を的確かつ、継続して行うに足りる経理的基礎があるとは思えませんが、県は経理的基礎についてはどのように考えていらっしゃるのでしょうか。

生活環境部長
 お答えをいたします。経理的基礎の有無につきましては、納税状況を含め、資金計画等について総合的に判断すべきものとされております。

藤川淑子県議
 国税の滞納につきましては、昨年の12月に南相馬市議会の産廃問題調査特別委員会におきまして当該の事業者が提出した文書の中で、事業者自らが国税の滞納を認めていると、こういうことがございます。このことをとってみましても経理的基礎が不十分と判断して、設置許可を取り消すべきと考えますが、県の見解をお聞かせください。

生活環境部長
 お答えをいたします。産業廃棄物処理施設設置許可につきましては、許可時点以降の法改正の内容も踏まえて、いまお話の経理的基礎につきましても、法の規定に照らして厳正に審査の上、判断すべきものと考えております。

藤川淑子県議
 南相馬市議会からも、県の設置許可取り消しを求める要望が出されております。南相馬市からも法に基づく厳正な審査を求める要望がくり返し出されております。事業者については、先程のご答弁にもありましたように信頼性ははなはだ疑問があるところであります。1日も早く問題解決されることを切に求めまして終わりたいと思います。



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