宮川えみ子です。日本共産党県議団を代表し、議案第3号 職員の給与に関する条例の一部を改正する条例、議案第6号 一般職の任期付研究員の採用等に関する条例の一部を改正する条例、議案第7号 一般職の任期付職員の採用等に関する条例の一部を改正する条例について、反対の立場で討論いたします。
この3つの議案は、特別職・議員以外の職員の夏季一時金・勤勉手当引き下げに関するものです。県の人事委員会は、国の人事院勧告を尊重するとして、異例の夏季一時金を削減する勧告を行い、県はそのことを理由に、職員の夏の一時金を0.2か月分削減して1.95か月にする。一方、昨年(2008年)から3年間(2010年)つづけるとしていた特例措置の5%削減を今回だけは見送るという対応を取るとしています。
これらのことによって、差し引き、本来支給する額からすれば23億7千万円の減額になります。影響する人員は、概算で知事部局等5千5百人、教育委員会2万人、警察本部4千5百人の約3万人で、職員はもちろん地域経済に与える影響は少なくありません。
今回のカットの問題点は次のようなものがあると考えます。
- 県の人事委員会は、国の人事院の勧告を尊重してこの勧告を行うとしていますが、国の人事院勧告では、回答を得た企業がごく少数であったこともあり、人事院自体が「データ確保の正確性の不確定要素」があると認めているずさんな調査の中での勧告です。
しかも、県の人事委員会は、今回の勧告に当たり独自の調査を実施せず、人事院の勧告引き写の勧告で、県人事委員会の自主性自律性が問われます。このことにより、福島県がすでに3年間にわたり、5%カットをしていたことに加え、さらに0.2か月分のカットをするという全くひどいことを迫ったのです。
- そもそも、一時金の決定は、県人事委員会が民間調査等を踏まえて、10月に勧告を行い、支給を決めてきたもので、支給直前になって決めるということは、基本的ルールを無視したものです。公務員労働者が、労働基本権をはく奪された中で人事院勧告ができた経過を考えれば、基本的ルールは厳に守られるべきです。
- さらに、現時点では、まだ民間企業が一時金の支給内容を決定していない状況であり、今、県職員の一時金を引き下げることは、民間労働者の支給水準に悪影響を与えることになります。
- そして、この一時金カットは、全県的に波及し、景気回復に向けても大きな影響を与え、個人消費に影を落とし、県内経済の活性化に逆行するものです。
先日発表されたGDPの1月から3月までの速報値は、実質15.2%減(年率換算)・戦後最大の落ち込みで衝撃的なものでした。世界不況の震源地であるアメリカよりもユーロ圏16カ国と比べても急激です。これは大企業が230兆円のため込みを持ちながら非正規雇用を切り捨て雇用破壊を引き起こし、経済を冷え込ませたところに原因があります。雇用と所得の悪化が日本経済を悪循環に落とし入れたからです。今求められていることは、人間らしい労働のルールを作ること、家計を温め消費購買力を高めることです。今回の一時金等カットはこの方向に背を向けるものです。
以上のことから、この条例案に反対し、討論といたします。
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