HOME BACK ご意見・ご要望をお寄せ下さい
TOPICS
議員団紹介
政策・提案・見解
県議会報告
県政の資料
議員かけある記

2009年9月7日

福島県知事
 佐藤 雄平 様

日本共産党福島県議会議員団
団 長 神山 悦子
副団長 宮川えみ子
幹事長 藤川 淑子

2009年9月定例県議会に関する申し入れ

はじめに

 8月30日に投開票がおこなわれた衆議院選挙で、国民の暮らしや平和を壊してきた自民・公明政権が、国民のきびしい批判を受け、歴史的大敗を喫し自公政権は退場することになりました。自民党は、119議席へと公示前の勢力を3分の1に激減させ、公明党も31議席から21議席へ大きく後退しました。
 わが党は、どんな問題でも自公政権と真正面から対決をつらぬき、今度の選挙では、「自公政権を退場させよう」と訴えつづけてきました。有権者・国民が下したこの審判を、日本の政治にとっての大きな前向きの一歩として歓迎するものです。
 この選挙戦で沸き起こった風は、「自公政権ノー」の風であり、根本からいえば自民党政治が崩壊する過程で起こっている風です。それは、日本の政治を前に動かす流れでもあります。
 今後わが党は、新しい政権に対し「建設的野党」の立場で、「良いものには協力、悪いものにはきっぱり反対。問題点はただす」という立場をつらぬき、国民の要求に基づく政策を積極的に提起して、労働者派遣法の改正や後期高齢者医療制度の廃止、障害者自立支援法の応益負担をやめさせ、高校の授業料無償化などの実現に力を尽くします。
 さて、県内経済は、生産活動において「低水準ながらも足下で明るい動きが見られる」としていますが、一方では、雇用の急速な悪化と個人消費の低迷が続くなど深刻な状況が続いています。
 福島労働局が8月28日に発表した7月の県内の雇用失業情勢は、有効求人倍率が0.34倍と過去最低の水準であった前月と同率となり、依然として改善の兆しが見えません。今後、「会津地域で1000人規模の雇用調整が計画されている」(福島民報8月29日付)などさらに深刻な事態が心配されます。また、新規高卒者への求人状況についても前年度比で半分以下に落ち込むなど、一段と深刻な状況となっています。
 新型インフルエンザの感染にも懸念が広がっており、早急な対策が求められます。新学期以降に休校などの措置をとった学校が8校となっています。厚労省の「感染症発生動向調査−速報データー」によるとインフルエンザ定点あたり報告数・累積報告数で、本県は2.45と全国第4位となっており、今後、県内で大流行の可能性は高いと予想されます。
 9月定例県議会にあたっては、(1)県民のくらしを支援することを第一に、貧困と格差の解消とセーフティネットの拡充に力を尽くすこと、(2)大型プロジェクト見直しの徹底をはかること、(3)地域での雇用確保をはかり、経済活性化にも資するようにすること、(4)市町村が個性ある地域づくりに取り組めるよう市町村支援を強めることを基本に、以下の項目を要望します。

1、来年度予算編成について

 今月発足する民主党中心の新政権のもとで、いずれ来年度の国家予算方針が示されることになりますが、選挙直前の8月14日に掲げられた3党共通政策では、「小泉内閣が主導した市場原理・競争至上主義の経済政策は、国民の生活、地域経済を破壊し、雇用不安を増大させ、社会保障・教育のセーフティネットを瓦解させた」として、「家計に対する支援を最重点と位置づけ、国民の可処分所得を増やし、消費の拡大につなげる。また、中小企業、農業など地域を支える経済基盤を強化し、年金・医療・介護など社会保障制度や雇用制度を信頼できる、持続可能な制度へと組み換えていく。さらに地球温暖化対策等に資する新産業を支援していく。こうした施策を展開することによって、日本経済を内需主導の経済へ転換を図り、安定した経済成長を実現し、国民生活の立て直しを図っていく」としています。
 また、民主党は、マニフェストで『国民生活第一』を掲げ、「予算を全て組み替えて子育て・教育、年金・医療、地域主権、雇用・経済に税金を集中的に使う」と公約しました。いずれの政策も財源を消費税に求めることには反対ですが、私たちが一貫して求めてきた「大規模開発のムダづかいをやめ、県民の医療・福祉・教育の充実を」と共通するものであり、こうした立場で予算組み替えがなされることを大いに期待するものです。
 県としても、この歴史的な政権交代を受けて、大規模開発優先の県政を抜本的に見直し、雇用破壊に歯止めをかけて県民のくらしを守ると共に、子育て、医療・介護、教育費の負担軽減と施策の充実をすすめ、県民と市町村を支援することを求めます。
 また、農業を基幹産業に位置づけて農家を支援し、本県の自給率を引き上げること。地球温暖化対策や自然エネルギーへの転換で、持続可能な産業の創出で中小企業を支援するなど、産業・環境面でも県が積極的な方針を示し、本県の定住人口を増やす取り組みも必要です。
 なお、公共事業については、不要不急の大規模事業を抜本的に見直し、小名浜東港建設は中止すること。国直轄負担金の見直しをすすめ、県が行なう建設事業に対する市町村負担金は廃止することを求めます。

2、景気・雇用対策について

 県内の景気はいっそう厳しい状況にあり、7月の有効求人倍率は0.34倍と過去最低の水準で推移しており、高校生の就職求人は半減し、富士通関連の企業とスパンション・ジャパンの大量リストラが発表されています。9月末には第2の大量失業者も予想されていることから、県の具体的な対策強化を求めます。

  1. 求人が半減しているなど大変厳しい状況にある高校生の就職希望者への支援を抜本的に強化するとともに、就職できなかった場合、地元自治体、経営者団体とも連携し、緊急職業訓練で月10万円の支給を行なえる制度を創設すること。

  2. 労働者派遣法の抜本的な改正を国に求めること。

  3. 誘致企業等に対し、雇用の社会的責任を果たさせ、違法な非正規切りや強制配転、退職強要などのリストラをやめるよう強く働きかけること。

  4. 失業者に対する生活援助や住宅提供については、市町村と連携してきめこまかに行うこと。

  5. ワーキングプア「働く貧困層」をなくすため、福島県の最低賃金を時給1000円以上に引き上げるよう関係機関に要請すること。

  6. 「公契約条例」の制定をめざし、県が発注する公共工事や委託契約による低賃金の労働者を生まないルールをつくること。

  7. 中小企業・小規模企業者を支援し、貸し渋りや違法な下請け切りのないよう指導すること。

  8. 県民の安全・安心や地域経済に波及効果が高い学校耐震化、住宅リフォームなど、生活・福祉型の公共事業を優先し、仕事と雇用を生み出すこと。

3、くらし・社会保障の充実を

 貧困の世代間連鎖をなくすために、憲法25条に基づいて県民のくらしと生存権を保障する施策の充実を求めます。

  1. 新型インフルエンザの対策強化を図り、医療体制や医療資材の充実・強化を急ぐこと。ワクチン接種については、医療従事者だけでなく、感染リスクが高い透析患者などの慢性疾患者、妊婦、子ども、高齢者などへ公費助成を行うこと。

  2. 子どもの医療費無料化年齢の引き上げをすすめ、後期高齢者医療制度の廃止を国へ求めること。

  3. 生活保護の母子加算復活を国に求めること。

  4. 障害者自立支援法の応益負担を見直し、障がい者が真に自立して生活し、人権が守られるよう国に求めるとともに、県の支援制度の拡充を図ること。

  5. 介護保険料・利用料の減免、新介護認定制度の見直しで安心できる介護制度にすること。

  6. 国保税を引き下げ、国保証のとりあげは中止すること。

  7. 経済的理由で学業をあきらめることのないよう、高校授業料の減免枠の拡大、県の奨学金枠の大幅拡充、就学援助の活用などで教育費の負担を軽減すること。

  8. 高校授業料の無償化、返済不要の給付制奨学金を創設するよう国に求めること。 

4、農林漁業、中山間地域の支援について

  1. 米価の暴落を防ぐため、政府備蓄米の買い上げをルールどおり実施するよう国に緊急要請すること。

  2. 担い手が安心して農業にはげめるよう、県単の価格保障・所得補償を実施すること。

  3. 減反政策は中止し、大規模農家支援に傾いた品目横断対策を見直すよう国に求めること。

  4. 本県農業に打撃を与えるような日米FTA(自由貿易協定)の交渉に入らないことやオーストラリアとのEPA交渉を中止するよう国に求めること。

  5. 中山間地域に対する支援を強化し、地元木材の利用拡大や森林資源を使ったエネルギー供給で仕事を広げること。

5、原発・環境問題について

  1. 県の温室効果ガス削減目標を達成するために、CO2の最大の排出源である産業界に対し、県と削減協定を結ぶことを義務化すること。

  2. 太陽光、小型水力発電や天然ガスなど再生可能エネルギーの導入を促進すること。

  3. 危険な原発に頼る「環境対策」を根本的に見直すよう国に求めること。

  4. 浜岡原発は、8月11日に発生した駿河湾の地震(M6.5)で、設計時を上回る揺れを記録したとされていることから、あらためて原発の耐震基準を抜本的に見直すよう国に求めること。

  5. 国の核燃サイクル計画は、もんじゅの大事故や六ヶ所村の再処理工場の見通しが立たないなど破たんは明確であり、県は、「中間とりまとめ」の立場にしっかりと立って、東電福島原発での危険なプルサーマル計画導入を認めないとの姿勢を堅持すること。

以 上



日本共産党福島県議団
〒960-8670 福島県福島市杉妻町2番16号 TEL:024-521-7618/FAX:024-523-3256
jcpfskg@jcp-fukushima.gr.jp
Copyright(c)2004 fukushimakengidan All rights reserved.