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2009年9月県議会討論

2009年10月15日 藤川淑子

 日本共産党県議団の藤川淑子です。私は、会派を代表し、本定例会に提案された
議案 第1号  平成21年度福島県一般会計補正予算(第4号)、
議案 第17号 県の行う建設事業等に対する市町村の負担の追加および一部変更について
の2議案に反対の立場で意見を、述べさせて、いただきます。

 はじめに、議案第1号、平成21年度一般会計補正予算(第4号)についてです。補正予算総額は470億8100万円、県民の安心安全確保策として、新型インフルエンザ対策を強化し、障害者福祉施設の改修や、これまでなかなか予算が付けられなかった集中豪雨対策および、学校校舎耐震化を進める予算が盛り込まれました。

 また、経済・雇用対策として、住宅を失った離職者に、住宅手当を支給する事業や、当座の生活費を融資する、臨時特例つなぎ資金貸し付け事業、生活福祉資金、貸し付け等補助事業、新規高卒者サポート事業、新規就農雇用促進対策事業など、深刻な不況の中、県内に増大する失業者対策であり、内需拡大策として、速やかな執行が求められる予算です。

 さらに、あぶくま養護学校校舎増築、学校図書整備予算など、教育環境整備、介護職員処遇改善、および、介護施設や障害者施設のスプリンクラー設置をはかる施策など、県民要望を反映した予算も含まれています。

 しかしながら、補正予算には、不要不急の大型事業に例年を上回る金額が計上されています。あぶくま高原道路建設に県費で2億2500万円、事業費総額は5億円の予算。
 これにより、今年度のあぶくま高原道路総事業費は58億円に上り昨年より6億円も多い予算となります。
 さらに、小名浜東港整備事業に、県費で9億円、事業費総額で20億円の予算。これにより今年度の小名浜東港整備事業費総額は78億2400万円となり、昨年度の66億8500万円をおおきく上回り、一昨年度18億3500万円の4倍以上の予算額になります。
 これらは、不要不急の大型事業にたいする大盤振る舞いであり、看過できません。

 小名浜東港整備事業は、28年前の1981年に策定された第六次港湾整備計画で打ち出された小名浜沖人工島構想です。
 その後、取り扱い貨物量が停滞したため構想の推進はなされませんでしたが、1990年6月に出された日米構造協議の最終報告をうけ、翌年、第八次港湾整備五カ年計画が策定されてから、急激に人工島構想が拡大されました。
 それ以前の構想よりも、埋め立て面積は1.7倍に、水深14メートルの埠頭は1バースから5バースへと増やされ、総事業費は3700億円へと一気に巨大な計画となり、目標とする2008年の取り扱い貨物量を1991年の2.1倍に当たる3035万6000トンに増えると推計しました。

 ところが、目標とする取り扱い貨物量は、着工後、1995年をピークに減少し、大型船舶の入港も激減しました。県民からは、バブル期の成長神話を引きずった計画に、なぜ巨額をつぎ込むのかの疑問の声がだされ、首都圏の建設残土埋め立てに対する不安の声も広がりました。
 日本共産党県議団は、これまで、取扱貨物量実績からみても、工事を中断し事業を抜本的に見直すことを求めてきました。

 2002年2月県議会の我が党の代表質問に、県当局は「事業計画の2期計画から4期計画までを凍結する」と答弁し、計画の大幅縮小がされた経緯があります。
 縮小したとはいえ、一期工事総事業費は730億円もの規模ですから、費用対効果は厳しくみなければなりません。
 現在、全国、128箇所の重要港湾は、その半数以上が、施設使用料などの自力収入で維持管理費を賄えず赤字に苦しみ、自治体の税金で穴埋めをしている現状ですから、小名浜東港が完成の暁に、採算がとれるのかは疑問です。

 小名浜港の2008年の取り扱い貨物量は、1834万7000トンで、10年後の2018年に2240万トンに伸びると見込んでおりますが、現在の取扱貨物量のうち606万トン、つまり3分の一は石炭です。将来の低炭素社会を展望すれば、エネルギー政策が大きく変化し、企業が化石燃料から撤退するのは、時間の問題だと思います。
 東港整備の必要性として強調される石炭船の沖待ち問題は一時的な状況にすぎず、石炭の輸入が減れば取扱貨物量が激減するのは目に見えています。
 加えて、小名浜東港が完成もしていないのに、すでに、臨海部産業エリアとして、バルクターミナルと背後地を一体的に民間事業者に貸し付ける構想まで浮上しており、県民の財産を売り渡すことであり問題です。

 新政権が誕生し、高度成長期のいわゆる大型公共投資よりも、福祉経済、地域経済を重視する政策転換が行われようとしています。生活密着型の公共事業は大型公共事業の6倍もの地域経済波及効果を生む事は、よく知られていることです。
 バブル期の過大見積もりを基にした大型公共投資で経済振興をはかる成長戦略は見直し、県民生活を優先し、生活密着型の公共事業に政策転換を図るときだと思います。
 現在、県内雇用情勢は依然厳しく、有効求人倍率は0.33と全国ワースト6位、9〜10月は1000人の正規職員が失業するとの福島労働局の予測も出されています。
本会議でも議論になったように、新卒高校生の就職は危機的な状況となっており、特別の対策が急がれます。
小名浜東港整備に投入する9億円を、新卒高校生の就職支援策にこそ振り向けるべきと考えます。

 次に議案第17号についてです。この議案は、県の行う建設事業に対し市町村の負担を求める議案です。かねてから、日本共産党県議団は、市町村負担金の廃止を求めてきました。地方分権の流れの中で、市町村負担金を廃止する自治体も出てきました。
 来年度から市町村負担金を廃止する和歌山県の知事は、「国直轄事業負担金の廃止を訴える一方で、市町村から負担金をいただくのは矛盾している」と、県議会で述べています。
 和歌山県に続き、熊本県や新潟県なども同様の立場で市町村負担金の見直しを表明し、また、負担金の内訳の開示や市町村との協議の場を設けるなどの動きが北海道や鳥取県など各地にひろがっています。
 全国知事会は7月に、国の直轄事業負担金について、情報開示がなされなければ支払いはできない、との申し合わせをしました。このとき、市町村負担金についても同様に見直す方針を明記しています。こうした新しい状況を踏まえ、県の行う建設事業への市町村負担金は廃止すべきだと思います。

以上、意見をのべまして、私の討論を終わります。



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