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2009年11月臨時会・職員給与引き下げ議案に関する反対討論
2009年11月24日 神山悦子

 日本共産党の神山悦子です。日本共産党県議団を代表し、議案に対する討論を行います。
 議案第2号 職員の給与に関する条例等の一部を改正する条例、議案第5号 一般職の任期付研究員の採用等に関する条例等の一部を改正する条例、議案第6号 一般職の任期付職員の採用等に関する条例等の一部を改正する条例、議案第7号 福島県公営企業の業務に従事する職員の給与の種類及び基準を定める条例の一部を改正する条例、議案第8号 福島県立病院事業の業務に従事する職員の給与の種類及び基準を定める条例の一部を改正する条例、議案第10号 福島県市町村立学校職員の給与等に関する条例等の一部を改正する条例、以上6件の議案について反対の立場から意見を述べます。

 8月11日、今年の人事院勧告は、官民較差を△0.22%、平均△863円として、月例給、一時金ともに引き下げるものです。若年層と医療職を除く月例給の削減、持ち家部分の住居手当の廃止、一時金0.35月分削減という内容で、平均年間給与2.4%、15万4,000円引き下げるとなる、人事院勧告制度始まって以来の過去最大の引き下げ内容でした。
 1998年からの11年間で一時金は1.1月削減、平均年間給与61万5,000円の引き下げです。また、住居手当の廃止は、持ち家比率が高い地方にあっては、極めて大きなマイナスとなるものでした。

 さて、県人事委員会は10月8日に勧告しましたが、公民較差を解消するとして、県内50人以上の民間事業所851事業所のうち、抽出した163事業所を調査したに過ぎませんが、これを基に、4年ぶりに若年層と医師を除いたすべての「月例給」の0.53%引き下げ、「期末・勤勉手当(ボーナス)」の0.38月分削減という、人事院勧告を上回る過去最大の引き下げ勧告を迫ったのです。これは、県職員1人当たり平均で18万4,000円、2.8%もの引き下げとなる内容でした。
 さらに、この中には、人事院勧告にならって持ち家に係る「住居手当」の廃止も含まれていますが、実質的な月例給の引き下げです。政府のこれまですすめてきた持ち家政策と逆行するものであり、地域経済へ与える影響は少なくありません。
 一方、労働基準法改正にともなう「超過勤務手当」の引き上げ改定、人事院勧告にならって労働時間の15分短縮という前進した内容もありましたが、いずれも来年4月から実施の方向であり、国家公務員がすでに今年の4月から実施されていることからみれば1年遅れの勧告となります。
 県人事委員会は、国家公務員と地方公務員との賃金格差、地方の住宅事情の違い、疲弊している地方の経済状況をみれば、むしろ国の人事院勧告を上回る引き上げ勧告とすべきです。その点では、県人事委員会の自主性、独自性が問われる問題ではないでしょうか。

 人事院勧告制度は、公務員の労働基本権制約の代償措置として設けられているものです。ところが、人事院は、民間企業との賃金較差を理由に、プラス勧告だけでなくマイナスとなる勧告でも民間準拠としてきました。さらに、2006(H18)年からは、民間企業の対象規模をそれまでの100人規模から50人規模にまで下げており、すでに実質的な賃金の引き下げが実施されているのです。
 それに加えて、今年の勧告のやり方は異常でした。昨年秋以降の世界的な金融危機を理由に、大手・中小企業のベースアップはなく、一時金の支給も大幅削減されていますが、その民間の厳しさを公務員に反映させようと、今年6月に支給される夏季手当を0.2月分引き下げました。これは、毎年10月に民間企業の調査を踏まえて勧告するという基本ルールを無視し支給直前になって決めたうえ、しかも、民間企業が一時金の支給内容を決定していない段階で引き下げを迫るという異常なやり方でした。
 さすがに、県は財政難を理由にした昨年から2010年までの3年間、県独自にカットする特例措置の5%削減については凍結としました。

 今回、県は月例給を民間との較差分0.53%削減したうえ県独自の特例措置の5%カット分を加えると、民間より大幅引き下げになってしまうことを考慮し、今年5月の改定時と同様、5%カット分を凍結するとしたのは当然ですが、それでも影響額・支給減額は、6月の一時金の引き下げを含めて今年度分は約25億円にものぼります。
 今回の影響を受ける職員は、知事部局、教育委員会、県警本部合わせて約3万人ですが、県職員にとどまらず市町村職員にまで影響が及び、県内民間労働者の一時金や給与等にも影響を及ぼすなど全県的に波及します。賃金の引き下げによって消費が冷え込めば、県内経済にも大きな打撃を与え、ひいては県税収入の減少となるなど悪循環を招くことは自明の理です。
 11月20日、鳩山政権の管直人経済財政担当相は、11月の月例経済報告で「物価の動向を総合的にみると、緩やかなデフレ状況にある」との見解を表明しました。物価が持続的に下落する状態にあることをさす表現として政府が使っている「デフレ」に逆戻りしたことを公式に宣言したものです。政府が「デフレ」と認定するのは2006年6月以来の3年5ヶ月ぶりです。

 根本には、国内の需要が弱い、つまり消費が弱いことに起因しています。消費購買力が弱いから製品の値段を下げる。値段を下げるとコスト削減で賃金を下げる。すると購買力はまた下がる。こうした悪循環、いわゆる「デフレスパイラル」は、金融市場に出回るお金の量を増やしても問題は解決しません。問題解決のためには、購買力を高め、賃金を上げることです。今、政府がやるべきことは、労働者派遣法を抜本的に見直し正規雇用を増やすなどで雇用を守り、賃金を引き上げ、庶民減税など国民の購買力を高める政策をとることです。

 県においても、家計を温め消費購買力を高めることで内需を刺激し、景気を回復させることは喫緊の課題です。財政が厳しいからとして県民や県職員へしわよせするのでなく、雇用を守り、福祉の充実で県民誰もが安心して住み続けられる県政にすることです。
 県民サービスの質の向上、それを担うための質の高い人材の確保、公務・公共労働者の専門性が充分発揮され、職員のやる気を引き出すためにも、地域のモデルとなるような職員給与とすることこそ県がとるべき方向ではないでしょうか。

 以上のことから、県職員の給与等引き下げ条例の改正案に反対を表明し、討論と致します。

以上



日本共産党福島県議団
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