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2009年12月21日
2009年11月臨時・12月定例県議会を終えて

日本共産党福島県議会議員団
団 長 神山  悦子
副団長 宮川 えみ子
幹事長 藤川しゅく子

1、はじめに

 新政権の下で初めての本格的論戦の場となった臨時国会では、肝炎対策基本法、原爆症基金法が成立し、国民が声をあげれば政治は変わるということを示しました。
 臨時国会の冒頭に行われた首相の所信表明演説は、「政治を変える」という言葉が繰り返えされましたが、転換すべき要の問題では具体的方策が示されないばかりか、その後の動きの中で自らの公約さえ後退させる状況が次々現れています。
 廃止を公約していた後期高齢者医療制度については、「新制度ができるまで廃止を先送り」するという態度をとり、政府は「時間がかかる」「混乱する」などと旧自公政権と同じ言い分での弁明に終始しました。雇用問題をめぐっても、失業問題がこれだけ深刻になっているにもかかわらず、労働者派遣法改正に言及せず、年末・年始に再び「派遣村」の開設が求められる事態となっており、雇用問題、失業問題の緊急対策が強く求められています。
 政権についた民主党は横暴な国会運営を重ね、野党に転じた自民党も機械的に審議ボイコットで応じる事態が繰り返されました。民主党の「脱官僚依存」を名目にした「国会改革」は、強権的国家づくりの動きと一体のものであり、単に「自民と同じ」ではすまされない危険性をはらんでいます。
 県内の景気は、生産活動において一部持ち直しの動きがみられたり、個人消費も乗用車など一部に明るい動きがみられるものの総じて弱い状態にあり、引き続き厳しい状況です。
 福島労働局が発表した(11月27日)雇用・失業状況では、県内の有効求人倍率は0.33倍で全国ワースト3位、過去最悪を更新しました。また、高校生の就職内定率は、11月末日で62.7%と、昨年より16.2ポイントも少ない深刻な状況になっています。
 11月13日、12月定例県議会に向けた知事申し入れを行い、当面の施策への要望をしました。
 11月24日には、人事委員会勧告に基づく関連議案の審議のため臨時議会が開催され、県職員の過去最大の給与引き下げに対して神山悦子県議が反対討論を行いました。
 12月3日には議長に対し、エネルギー政策議員協議会においてプルサーマル問題の慎重な審議を求める申し入れを行い、12月4日には浜通りの地方議員とともに、深刻な被害をもたらしているエチゼンクラゲによる漁業被害に対する県の支援を求める申し入れを行ないました。
 12月定例県議会は、12月3日から21日までの19日間の会期で開催され、一般質問に藤川しゅく子県議が立ち、県長期総合計画調査特別委員会では神山悦子議員が質疑に立ちました。2008年度決算の認定にあたっては、宮川えみ子県議が反対討論を行ないました。
 また、12月議会最終日、今議会に提出された一般会計補正予算など知事提出議案32件のうち、議案第1号「平成21年度一般会計補正予算(第6号)」、議案第11号「職員の給与に関する条例の一部を改正する条例」、議案第13号「福島県市町村立学校職員の給与等に関する条例の一部を改正する条例」、議案第20号「県の行う建設事業に対する市町村の負担の追加および一部変更について」、継続議案第26号「決算の認定について」の5議案には反対し、人事案件4件には賛成しました。また、意見書8件が可決され、「高速自動車国道の整備促進と必要な財源確保を求める意見書」1件に反対しました。新規請願のうち、わが党が紹介議員となった3件が採択(趣旨)となりましたが、9月県議会に続く新政権発足後の新たな特徴です。

2、わが党の質問と他党会派の質問の特徴

◆一般質問(藤川しゅく子議員)
 年末を控え深刻になっている雇用問題、来春卒業する高校生の就職問題、後期高齢者医療制度問題、介護保険、原発プルサーマル問題、大甕産廃問題を質しました。
 雇用問題では、知事にたいし労働者派遣法抜本改正についての意見をもとめ、知事は「派遣労働者の大量雇い止めは、本県でも5000人を超す労働者が職を失うなど県民生活への影響は非常に大きい。労働者派遣法の見直しは総合的な観点から進められるべきもの」と述べました。
 年末の労働相談体制については、御用納め後の29日・30日に県内6ヵ所で窓口を開くと答弁しました。対応するスタッフに生活保護や福祉の専門家(ケースワーカー)を配置することを再質問で求めました。
 来春卒業の就職支援については、職業訓練手当を提案しました。これに対し、基金事業で県や市町村の臨時職員雇用を予算確保してすすめると答えましたが、職業訓練手当は国の動向をみるとしました。
 後期高齢者医療制度の短期保険証と資格証明書は、高齢者の受診権侵害に当たるため交付しないことを求めました。資格証明書については、医療にかかれないことのないよう厳正な対応をするとしたものの、短期保険証は市町村にきめ細やかな配慮を促すとの答弁にとどまりました。
 介護保険の特別養護老人ホームの待機者が全県で1万人を超している問題では、県や市町村が保険者になり施設展開することを提案しました。介護施設を公共工事で建設すれば建設業者の仕事づくりになり、雇用や地域経済活性につながると意見を述べると、自民党席からも「いい質問だ」の声がかかりました。
 プルサーマル問題では、県のエネルギー政策検討会の慎重な論議を継続することを求めました。
 大甕産廃問題では、工事現場から硫酸塩土壌の土砂が大量に搬出されていることを指摘し、住民の不安に応える行政を求めました。

◆他会派の代表質問、一般質問の特徴
 自民党の代表質問では、「わが自民党は先の選挙で歴史的大敗をした」と発言しましたが、なぜ負けたかの分析はなく、また、原発のプルサーマル計画では早く結論を出すように求めましたが、知事は「エネ検にさらなる検証を指示した、慎重に検討する」と答えただけでした。
 県民連合の代表質問では、「無血革命が起きた、建設的野党のみなさんとともに・・・」と発言し、子どもの医療費無料化年齢引き上げでは、市町村間の格差を是正するため県の支援が必要としましたが、県は多額の財源が必要になると答弁してやる気がない姿勢です。
 県民連合の道州制についての一般質問に対し、知事は厳しく否定しました。他会派からも、新規高卒者の就職問題を含めた雇用問題、医療体制問題が多く取り上げられ、県民連合が生活保護を受けやすくと質問しました。
 政府・民主党政権が、地方からの請願や陳情などに対し窓口を一本化しようとする動きに自民党が反発し、意見書提出をめぐって県民連合と長時間の攻防を展開。最終的には、文言を調整し「国が直接地方の意見を聞くしくみを保障する意見書」を全会一致で採択しました。政府・民主党の横暴な国会運営を反映し、県議会内でも総合計画審査特別委員会で県民連合が時間までに席に着かず、一時、議事が空転する場面もありました。

3、各委員会審議について

◆企画環境常任委員会(神山悦子議員)
 12月補正予算は、人勧がらみの職員給与等引き下げ改定に伴う職員費減額補正が主でした。国の過疎法の期限が来年切れるため継続を求めていくことや、県の新長期総合計画につながる6本の部門別計画骨子案の説明を受け、考え方等について意見を述べました。
 12月1日、県エネルギー政策検討会において、これまでの検証作業をまとめ今後は3つの点から検証するとした理由について質問。県は、核燃料サイクルについては処理工場のトラブルが続き今後の見通しはどうなのか、安全安心のとりくみについても協力企業の末端まで浸透していないのではないか、プルサーマルについては、玄海原発でプルサーマルが始まったこと受けて現地調査を行うなど検証していくと回答しました。
 県の新エネルギーの取り組みについて、現状と今後の計画を質問。県は、03年度に策定した新エネビジョンの目標3.4%を昨年度到達し、3.5%になっているものの、住宅用の太陽光発電は目標値の35%にとどまっている現状が明らかになりました。
 国が掲げた25%削減目標を県が具体的にすすめるべきと指摘し、次期県の新エネビジョンの目標を大幅に増やすための計画案づくりを今か始めるよう求めました。
 南相馬市大甕産廃処分場内で、地層の一部に酸性硫酸塩土壌が出現したことについては、いわき市や浜通り地方によくみられる地層なので、土壌を中和したり空気にふれたりしなければ問題ないとしました。また、これら土壌の搬出先は、民間事業所の法面造成や採砂場・採石場などの3ヶ所であるとしました。
 原発のテロ攻撃を想定した国民保護法に基づく国との共同訓練が、12月22日に福島県で初めて実施されることが示されました。

◆商労文教常任委員会(宮川えみ子議員)
 商工労動部は、福島空港の利用者数は昨年比で4割減の約28万人、経費は利活用促進費が昨年より1億4千万円多い約2億7千万円を支出し、今年度の赤字は6億7,600万円です。利用減で厳しいソウル便の路線確保が緊急の課題という執行部の説明に関して、修学旅行や県職員の出張利用強化など、なりふり構わずの利活用要求がありました。また、法政大学のパイロット養成利用が撤退するとの説明がありました。
 雇用問題では、依然厳しい低水準で特に高校卒業生の就職の厳しさが報告されました。中小企業金融対策では柔軟な対応をすること、新しい総合計画にもとづいた商工業振興基本計画の説明もありました。離職者を対象に県立テクノアカデミー郡山能力開発校で2年間の福祉養成コースを設置するとともに授業料を無料とする条例が採択されました。
 教育庁では、相馬市立養護学校を県立へ移管する条例改正がありました。市町村立学校職員の特別手当を減らす条例には反対しました。美術館視察で館長は、絵画購入費は3年間ゼロだったが補正で3億円つき、購入は後世に責任を持つために計画的に購入したいとのこと。

◆農林水産常任委員会(藤川しゅく子議員)
 「森林環境基金」による水源区域の整備推進や森林整備の推進、「森林整備加速化及び林業再生基金」による木質バイオマス加工流通施設などの整備が図られ、認定農業者などを対象とする経営開始支援資金貸付の増額補正、青果物価格安定対策の確定に伴う補正などが提案され、この部分には賛成しました。
 しかし、人件費削減と県の行う建設事業に対する負担の追加が提案されたのでこれらには反対しました。
 住民要望との関連では、太平洋に大量に来遊しているエチゼンクラゲ対策について、12月4日に日本共産党地方議員団が要望した漁具破損に対する補助を実施することが示されました。補助の仕組みについて質したところ、漁協経由で市町が実施すれば県が半額補助するという答えであったので、関連する市町全部が実施するよう徹底を求めました。補助が実現したのは、機敏な運動の成果であり、後日、県漁連からもお礼を言われました。しかしながら、クラゲの来遊は終焉しておらず国政とも連携した更なる取り込みが必要となっています。
 新たな農林水産業振興計画(案)の骨子説明がありました。本県の7割を占める森林整備は、低炭素社会を展望する中でも重要な役割を担うので、林業振興について県の姿勢を質しました。5年後に林業算出額は24億円伸ばし、森林整備面積は5倍を目指すとし、林業就業人口を2017人にすると答えました。

◆子育て支援対策特別委員会(藤川しゅく子議員)
 委員による意見交換会と行政も交えての総括質疑が行われました。意見交換では、不況が深刻化する中、子育て世代への経済的支援についての重要性を述べ、他県の視察でも子ども医療費の年齢拡大が進んでいる状況があったので、本県の同施策の拡充を求めるべきとの意見を述べました。これに対し、他の委員からも同調する意見が相次ぎ、子ども医療費無料化年齢に市町村格差が出ていることを是正する広域行政の役割は重要という意見も出されました。
 委員長は、子育て世代の経済的支援については重要であること、子ども医療費無料化年齢拡充については、ウエイトを置いたまとめとしたいと述べました。

◆安全で安心な県民生活対策特別委員会(宮川えみ子議員)
 10月26日、いわき市勿来町にある「関の子広場」と「(株)夕月」を視察、関の子広場では、地域の人・学校・行政などと協力し合って、地域パトロール・ゴミ拾い清掃・観光案内(勿来駅に隣接)・困りごと相談、一人暮らしのお年寄りに声をかける運動などの取り組み、また、11月18〜20日、兵庫県・加古川市・神戸防災センター・兵庫県庁・京都亀岡市・京都府庁を視察。自主防災を楽しく長続きさせているマンション組織、阪神大震災の教訓から学ぶ防災センター、地域力を発揮している亀岡市の住民組織、その住民組織ネットワークつくりなど視察。キーワードは「市民の力」でした。
 12月16日は、一定の報告協議がありました。原子力防災訓練を原発立地4町だけでなくいわき市など周辺市町村にも広げる事を求めました。

◆「新しい福島県総合計画」調査検討委員会(神山悦子議員)
 県議会開会中の12月17日、来年度にスタートする新しい県長期総合計画(2010年〜2015年)の5年間の計画案について審議する検討委員会で、11分の持ち時間で質問に立ちました。
 質問テーマは、計画案の楚(いしずえ)とした「人と地域」と、それを支える柱である「活力」「安全安心」「思いやり」の3本柱に関わって、特に知事が重点においたという「子ども」と「県の産業政策」の2点に絞り質問。
 今年は、 “子どもの権利条約”が国連で採択されて20周年にあたることから、条約の『子どもに最善の利益を』の観点で子どもたちを支援することを提案。その観点から子どもの貧困解消、子どもの医療費無料年齢の大幅引き上げ、保育所・学童保育の増設と質の確保、高校生の学費軽減を求めました。
 さらに、県人口が減少する見通しにからめて県の産業政策を見直すことを提案。県の重点戦略としている定住・二地域居住と企業誘致を見直し、農業・林業など第一産業と環境・自然エネルギーの新分野に重点を移し、地域循環型・内需拡大型に転換すれば、雇用を創出し過疎地域の活性化と県内定住人口の増加にもつながると指摘しました。
 なお、この計画案は全会一致で採択されました。

4、エネルギー政策議員協議会(宮川えみ子議員)

 11月26日のエネ協は、02年に提出した意見書10項目のうち、プルサーマルに関する9項目目について協議。国の資源エネルギー庁の森本英雄課長と原発所在地の遠藤勝也冨岡町長から説明を受け、質疑応答を行いました。
 資源エネルギー庁は、六ヶ所村再処理工場で行なわれている高レベル放射性廃棄物のガラス固化試験が来年10月再開という見通しについてあいまいに答弁。ガラス固化試験は、17回にもわたるトラブル続きで延期中です。この施設が動かないと原発から出た放射性廃棄物の処理ができず原発サイト内にたまり続けることになると指摘すると、使用済廃棄物を原発サイトから搬出するかどうかは「事業者の判断」などと無責任な姿勢を示しました。
 今回も発言したのは、共産党と県民連合(社民党)だけで、自民党は一言も発言しませんでした。
 12月18日のエネ協では、02年に提出した意見書全体について各会派の検討結果を報告したのち、エネ協として推進・慎重両論併記で意見をまとめ、私たちも了承しました。
 一方、原子力安全・保安院を推進機関の経済産業省から分離することについては、全会派が一致。最終本会議でこの意見書案は採択されました。
 共産党は、(1)核燃料サイクルとプルサーマルは問題がありすぎるため、慎重派の知見も聞くべき (2)立地4町の意見だけでなく広く県民の意見を聞くべき (3)国の検査機関の保安院を経済産業省から分離すべき、と主張しました。自民党は、当初主張していた「2002年の意見書凍結」をしないこととし、プルサーマルについては知事の判断に委ねました。

5、決算審査特別委員会(宮川えみ子議員)

 08年度の決算審査は、10月28日に全体審査、29日と30日は三班に分けての審査、さらに11月10日〜12日は各出先で審査、12月11日の採決で不認定を主張しました。
 矢吹病院では、県内唯一の県立精神科病院として困難な患者の他病院からの受け入れ、他の県立病院廃止に伴う病院関係職員の受け入れ、医師不足の問題や立地条件の厳しさなどの報告を受けました。県立美術館では基金が枯渇して新たな美術品を購入できない問題が判明しました。農業集落排水事業は、維持管理費が莫大になるためいわき市などではかなり前から見直しが進められているので、「積極的に推進」としていることに疑問を呈しました。福祉事務所では、生活保護受給者の増員に追いつかないケースワーカー人数の実態も明らかになりました。

6、請願・意見書について

●採択された意見書

エコポイント制度およびエコカー補助制度の継続実施を求める意見書

緊急経済・雇用対策の早期実施を求める意見書

「新過疎法」の制定促進を求める意見書

真の地方分権の確立と地方財源の充実強化を求める意見書

国として直接地方の声を聞く仕組みを保障することを求める意見書

大型クラゲ大量発生による漁業被害の対策を求める意見書

原子力発電所における国の安全規制に関する意見書

(以上は全会一致)

高速自動車国道の整備促進と必要な財源確保を求める意見書(共産党は反対)


●党が紹介議員になった請願・意見書の扱いについて
 党県議団が紹介議員となった新規請願のうち、
  「専修学校への補助金増額について」(「ゆきとどいた教育を求める全国署名」運動福島県実行委員会提出)
「盲・聾・養護学校の教育条件拡充について」(「ゆきとどいた教育を求める全国署名」運動福島県実行委員会提出)
「私学に対する運営費補助の増額を求めることについて」(福島県私学助成を進める会提出)
の3件は採択(趣旨)されました。
 また、「所得税法第56条の廃止を求める意見書」(福商連婦人部協議会提出)、「ゆきとどいた教育を求める全国署名」運動福島県実行委員会から提出された他の11件、福島県私学助成を進める会から提出された他の2件の合計14件の請願は、継続扱いとされました。

以上



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