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2010年1月26日
2010年度予算と主な施策についての申し入れ(第二次)

福島県知事
 佐藤 雄平 様

日本共産党福島県議会議員団
団 長 神山 悦子
副団長 宮川えみ子
幹事長 藤川 淑子

1、はじめに

 昨年8月の総選挙で、国民は自公政治に退場の審判を下しました。新政権の下で初めての本格的論戦の場となった臨時国会では、肝炎対策基本法、原爆症基金法が成立し、国民が声をあげれば政治は変わるということを示しました。
 来年度予算を審議する通常国会が1月18日に招集されました。来年度予算案で国民のくらしに関わる問題での論戦が展開されます。自公政治によって傷つけられた社会保障制度の拡充、製造業の派遣労働の原則禁止などを基本とする労働者派遣法の抜本改正、普天間基地の無条件撤去などが解決を迫られている課題となっています。
 佐藤雄平知事は、2010年の年頭あいさつで「この豊かな『ふくしま』をさらに発展させ、未来にわたって引き継いでいくため、新たに策定した福島県総合計画『いきいき ふくしま創造プラン』に基づき、『人がほほえみ、地域が輝く“ほっとする、ふくしま”』を、県民の皆さんとともに全力で創りあげてまいります」と表明しました。
 しかし、県内の雇用情勢はいっそう深刻になっています。福島労働局が昨年12月25日に発表した県内の雇用求人状況では、4ヶ月連続で有効求人倍率が過去最低の0.33倍で全国ワースト3位、非正規切りの人数は全国7位など最悪の状況となっています。また、高校生の就職内定率は、12月末日で73.6%と、昨年より13.0ポイントも少ない深刻な状況になっています。
 他方で、基幹産業である農業の衰退に歯止めがからず耕作放棄地は広がり、地域医療の崩壊が深刻化する中で県立病院の切り捨てなどをすすめ、一方では、小名浜東港建設、あぶくま高原道路(トラアングルハイウエイ)建設に多くの県費をつぎ込むなど、掲げた基本理念に反する事態が進行しています。
 08年秋からのアメリカ発の金融危機は、輸出依存型の進出企業が多くを占め東北で工業出荷額トップの本県経済を直撃しており、相次ぐ「派遣切り」、倒産、工場閉鎖と配置転換など県民生活に打撃を与えています。
 来年度の県予算編成にあたっては、地方自治体の本来の役割である「住民の安全と福祉の向上」を基本にして医療・福祉・教育の充実をはかること。また、深刻な財政の危機的状況の下で、ムダと浪費、不要不急の大型開発を抜本的に見直し、広域自治体として「イコールパートナー」の市町村を励まし支援することが強く求められます。
 県政には、以上の観点に立って、次の具体的施策の実施を要望します。

1、雇用とくらしを守る緊急措置を

(1)県として取り組むこと

  1. 新規高卒者の就職支援を強めるとともに、就職できなかった卒業生には、月10万円の資格取得や職業訓練のための支援を行うこと。
  2. 引き続き知事を先頭に雇用の確保と拡大のために、企業訪問などを強化すること。誘致企業などには、雇用を守る社会的責任を果たさせるよう要請すること。
  3. 「ワンストップ」で対応できる雇用と福祉の総合相談窓口を、地方振興局・市町村に引き続き設け、ハローワークとも協力して行うこと。
  4. 農林水産業・介護・新エネルギー産業などに支援を強化すること。
  5. 公共事業は地元密着型にすること。また、中小零細業者の仕事確保のため、小規模修繕希望者登録制度の導入を実施すること。
  6. 引き続き、経営安定化資金については十分な対応を行い、金融機関の貸し渋り・貸しはがしがないよう指導を強めること。

(2)国に対して求めること

  1. 労働者派遣法の抜本的・早期改正を求めること。
  2. 中小企業の支援を行いながら、全国一律の最低賃金を時給1000円以上に引き上げるよう求めること。

2、失業・倒産から県民の暮らしを守り、大型事業見直し予算を

(1)予算編成のあり方について

 厳しさを増すばかりの県民生活の実態をふまえ、また県税収入の大幅な減収などが予想されることから、不要不急の大型事業にメスを入れ、その財源を県民と市町村支援へ振り向けるべきです。

  1. 医療・介護・福祉・教育関連の予算を大幅に増やすこと。
  2. 貧困解消とその支援にとりくむこと。特に、子どもの貧困に目を向けて支援すること。
  3. 子どもの医療費無料化の対象年齢を中学卒業までに拡充すること。
  4. 県立大野病院は、双葉厚生病院との統廃合でなく、存続・充実させること。
  5. 小名浜東港建設は、費用対効果からみても今後の港湾利用からみても過大な投資となることは必至である。早期に事業中止を決断すること。
  6. あぶくま高原道路(トラハイ)や縦横6本の道路軸の構想を見直し、生活道路、通学路の歩道や自転車道の整備に重点を移すこと。
  7. 大規模林道建設を中止し、森林の手入れや伐採などの作業道を整備することや、県産材の利活用・加工等への助成を大幅に拡充すること。
  8. 生活排水の処理の方法は、公共下水道、農業集落排水事業のみならず、合併処理浄化槽の活用などをすすめ、建設費と維持管理経費の負担軽減を図ること。
  9. 福島空港は閉鎖を視野に、空港利活用のための税金投入を中止すること。
  10. 公共事業の入札制度の見直しをさらにすすめ、行政コスト優先による品質の低下を招かないようにすること。そのためにも公契約条例を制定すること。
  11. 国直轄事業の負担の中止を求めるとともに、県が行う建設事業に対する市町村負担を廃止すること。
  12. 県職員へ財政面からのしわよせをやめ、人件費抑制、定数削減をやめること。管理職等のいわゆる天下りは禁止すること。

(2)教育行政の充実を

 新政権になって、高校生の学費無償化などの新しい方向も出されていますが、貧困と不況が子どもたちにさまざまな影響を及ぼしている状況は深刻です。県のきめ細かい支援と教育予算の拡充を求めます。

  1. 高校生に対する授業料補助については、公私ともに無償化を実施することはもちろんのこと、特に公私格差が大きい私立高校生に対して、今年度を大きく上回る規模での保護者負担の軽減を図ること。
  2. スクールソーシャルワーカーは、学校生活だけではみえにくい子どもの生活全般に関わる重要な役割をもっていることから、市町村への財政支援を行なうこと。
  3. 特別支援教育については、教室不足の解消・老朽化対策を早急にすすめること。集中・大規模化から小規模、分散化の方向をめざすこと。
  4. 健常者と共に学ぶ障がい児に対する教員を増やすと共に、支援員等を配置している市町村に対し助成すること。
  5. 正教員を増やすこと。講師の労働条件を改善し、教育活動に専念できる賃金を保障すること。
  6. 学校維持管理経費や教員旅費、燃料費など必要な予算を確保すること。
  7. 学校耐震化を県立高校はもちろん、市町村立学校でも促進するよう支援すること。 
  8. 電源立地地域ですすめている双葉地区教育構想と南会津のIT教育は、公教育をゆがめかねないことから再検討を加えること。

3、地場産業を生かした産業支援と雇用創出について

  1. 県外企業の呼び込み方式による誘致企業に依存した産業集積のあり方を改めるとともに、立地企業への初期投資補助金についても見直しを図ること。
  2. 県内の既存のものづくり産業や地場産業の育成・支援を強化すること。また、時代の先がけとなる再生可能な新エネルギー開発支援、食品残さのたい肥化事業などの環境産業や、雇用拡大につながる介護・福祉分野の産業おこしを支援すること。
  3. 基幹産業である農林水産業の振興を図ること。農産物の価格保障制度と所得補償を組み合わせ、生活できる農業を確立し後継者を増やすとともに、県内の食料自給率を引き上げること。
  4. 県土の7割を占める森林整備については、計画的かつ重点的に間伐をすすめ保全すること。県産材の普及促進をはかり林業従事者を増やすこと。

4、環境問題・地球温暖化対策について

 地球温暖化対策は人類の生存にかかわる課題であり、切迫感を持った取り組みが必要です。県の温室効果ガス排出量は90年比で28.7%増加と異常な数値であることを重く見て、具体的な対策をとるよう求めます。

  1. これ以上の石炭火力発電所の計画は認めないこと。
  2. 県内の火力発電所の燃料を天然ガスに転換することを事業者に求めること。
  3. 日本の排出量計算を国際基準の直接排出とすることを国に求めること。
  4. 温室効果ガス削減を産業界の「自主行動計画」に任せず、削減義務を伴う協定を結ぶよう国に求め、県が率先して制度の創設をすること。
  5. 県の森林環境税基金事業を使いやすく改善するとともに、環境税の導入を国に求めること。

5、原発問題について

  1. MOX燃料の使用は、制御棒の効き目に影響を与えるなど運転時の危険や労働者の被曝の危険性を増やすばかりでなく、使用済み核燃料の保存・処理技術も未確立です。しかも、老朽化している炉に使う事は安全性を無視した無謀なものです。したがって、プルサーマル計画の受け入れはしないこと。
  2. 東京電力福島第一原発の増設を認めないこと。
  3. 東京電力に対し、定期検査の期間の延長をやめ、老朽原発の廃炉計画を立てるよう要請すること。
  4. 東京電力の活断層に対する過小評価と津波対策の不十分さを厳しく指摘し、原発耐震対策の確立といっそうの情報公開を求めるとともに、県の監視機能を充実すること。

以 上



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