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2010年3月2日
2010年2月県議会一般質問

2010年3月2日
日本共産党県議団 藤川淑子

 日本共産党県議団の藤川淑子です。一般質問をいたします。
 いま県民の暮らしの実態は、雇用も中小企業経営も、急激に悪化しています。県内の有効求人倍率は0.35倍、全国ワースト4の状況が続いています。新規高卒者の就職内定率は76.7%と、これまでに経験したことのない低水準であり、ハローワークは職を求める人たちであふれています。
 全国の勤労者の所得は、この10年で27兆円減りましたが、このうち、この一年間に10兆円も減っています。県内の勤労者の年間所得は10年間で、300万円未満が24.7%から34.95%に、つまり3人に一人に増加しています。企業倒産件数は、昨年161件にのぼり、市県民税の滞納が増え、直接徴収件数は2万3千440件、住民税を払いたくとも払えない県民が増えています。
 国保税の滞納世帯は、6万5千592世帯で、ペナルティとしての資格証明書交付世帯は5千320世帯にのぼり、病気になっても医療を受けられず命を縮めています。
 雇用・経済状況の悪化は、先行きの希望を奪い、昨年一年間で自殺した人は、626人、前年より31人も増加しています。
こうした事態を打開し、経済危機から住民の暮らしを守るための政治が、今切実に求められています。
 新政権が誕生し半年が過ぎました。
 昨年の総選挙で国民が新政権を誕生させた力は、暮らしと平和を壊す古い政治と国民の利益との矛盾であり国民の世論でした。
 しかし、国民は、民主党の政策と路線を全面的に支持したわけではありません。多くの国民は、自公政治に代わるまともな政治を求め模索している状態にあります。
 その民主党は、政治と金の問題でも、平和にかかわる普天間基地問題でも、暮らしに直結する問題でも、大混迷を続け国民の不安は増大しています。
 雇用の問題では、労働者派遣法抜本改正が骨抜きにされようとしています。世界的な金融危機の中でも、日本の景気悪化がここまで深刻な状況になっているのは、勤労者所得の大幅な落ち込みによる結果です。勤労者所得を奪った要因に、派遣労働が大規模にすすめられた問題がありますから、正社員への雇用転換をすすめる必要があり、その焦点は、労働者派遣法の抜本改正です。
 製造業派遣の全面禁止、登録型派遣の禁止、その例外とされている「専門業務」の見直しなど、労働者保護法として真に実効あるものへ抜本改正を行い、その実施は先送りなどではなく、速やかになされなければなりません。
 また、中小企業の営業を守る政治への転換が急がれます。中小企業は雇用の7割を支え、付加価値の5割を生み出す日本経済の主役であり、本県においては農林水産業とともに地域経済を支える柱です。ところが倒産・廃業が増え続け、倒産によるものだけでも全国で毎月1万人規模の雇用が奪われる事態が続いています。
 自営商工業者数は、OECD諸国各国では、大幅に増えているのに、日本では1986年をピークに3分の2に減っています。
 ヨーロッパ連合は、「小企業憲章」を定め、50人以下の小企業は雇用の源泉であり、「ビジネス・アイディアを生み育てる大地である」とし、ヨーロッパ経済における小企業の地位と役割を明確にしています。わが国においても中小企業憲章の制定が急がれます。わが国における中小企業憲章の制定について、知事のご見解をお聞かせください。
 勤労者所得が落ち込む一方、企業の内部留保は、この10年間に200兆円から400兆円に急増し、その半分近くが大企業のため込み金です。大企業が貯め込んだ巨額の内部留保は、派遣労働の拡大や、下請単価の買いたたきをはじめとした、勤労者・中小企業いじめの上に積み上げられたものです。大企業がため込んだ巨額の内部留保と利益を、雇用と中小企業に還元させる政策に転換することが求められています。
 このように、生活できる労働行政、中小企業支援と、切りきざまれてきた社会保障の復元こそ、国民が望む日本経済の回復につながります。
 さて、県の新年度予算案は、総額9022億2千万円で、今年度比プラス3.1%、2年連続の増額予算で、5年ぶりの9000億円台の大型編成です。
 歳入では、不況による個人消費の冷え込みにより県税収入は1729億円と22年前の税収水準に落ち込む見通し。地方交付税が3.5%プラスの2152億円、臨時財政対策債は過去最高額の765億円、基金の取り崩し80億円などで、県税の減収を補い、新規事業を多発する大型予算としています。借金である県債は、年度末残高で前年より減少させるものの、当初では165億円増やし県債依存度は16.6%になります。臨時財政対策債も、後年手当がなされるとは言え、借金であり、前年度より200億円も増額し、その分のツケを後年に回すことになり、借金依存度を高める予算となっています。
 政府の新年度予算編成においては44兆円もの巨額の国債を発行しており、財源不足から庶民増税である消費税増税へのレールを敷く動きをみれば、政府が誘導する、臨時財政対策債に頼りすぎる財源確保は問題です。

 本県のこのような財政状況は、深刻な不況の結果であるとともに、90年代に政府が借金依存で続けてきた不要不急の大型事業優先の施策を無批判に受け入れてきたことの行き詰まり、現知事体制下で、それらを加速してきたこと、さらには、構造改革の政治のもとですすめられた地方交付税削減の影響によるものです。
 地方交付税は、均等な行政を行うために、優れた財源保障・財源調整制度として改悪されながらも基本的な枠組みは維持してきた経過があります。
 しかし、民主党のマニフェストは補助金廃止と一括交付金化で、2011年から地方交付税との統合を検討する方向です。
 そこで、地方交付税の財源保障と調整機能の復元・拡充を政府に求めていくことが重要だと思いますが、県のご認識と取り組みをお聞かせください。
 歳出においては、大型開発事業を徹底して見直し、公共事業の内容を福祉・医療・教育・環境など県民生活関連に転換し、地域経済活性化に役立つものにすることが重要です。
 同時に、困難な財政の中、住民の暮らしを守るためにがんばっている市町村を応援することが急がれます。
 この観点に立ち、いくつか質問いたします。
 はじめに、大型開発事業にかかわる質問です。はじめに、小名浜港、東港整備事業についてです。この事業には、新年度予算において、国・県合わせ、42億6640万円の事業費が計上されています。今年度は、当初に54億2400万円、年度途中の補正で約50億円が積み増しされ、総事業費で104億1700万円と、当初予算の倍近い大盤振る舞いです。
 これまで投入した事業費は、今年度末で401億円にのぼり、事業費予定730億円ですから、あと329億円をこの事業につぎ込むことになります。
 県は、この間、財政構造改革プログラムにより、財源不足を強調し、人件費や子ども達の学校維持管理費・図書費まで削減し、高齢者や障がい者の施設を直営から民間委託し、県立学校授業料や各種公共料金の引き上げ等を強行してきました。県民が願う事業、たとえば、乳幼児医療費助成制度の対象年齢拡大は10億円あれば中学校まで実施することができます。
 県民の暮らしは、国が進めた社会保障削減政策のもと痛めつけられ、この不況でさらに傷跡が深くなっていますから、暮らしに寄り添う県政が求められているのではないでしょうか。
 日本共産党県議団は、取扱貨物量実績からみても、東港整備事業を抜本的に見直すことを求めてきました。
 小名浜港の08年の取り扱い貨物量は、1834万7000トンで、10年後の2018年に2240万トンに伸びると見込んでおりますが、現在の取扱貨物量のうち606万トン、つまり3分の1は石炭です。今後、低炭素社会の流れは進みますから、企業が化石燃料から撤退し、石炭の輸入が減れば貨物取扱量が激減します。県貿易概況をみても、09年の小名浜港の輸入額は前年比48.3%の大幅減少でした。小名浜港、東港地区の整備事業は中止すべきです。見解をお聞かせください。
 次に、福島空港についてお伺いします。福島空港は、昨年度決算によると利用者が42万人余で管理費に4億7000万円、利活用促進費に1億2300万円かけ、一方使用料収入は1億6400万円、収支差額は4億2900万円の赤字でした。今年度は、JALの撤退路線をカバーするためチャーター便を確保するなどの利活用促進費は、3億7300万円余を投入します。その上、新年度は、上海万博関連PR事業や福島空港アクセス対策事業など5つの新たな利活用促進事業を展開し、3億円近い県民の税金をつぎ込もうとしています。
 空港建設には、付帯設備も含め662億9900万円もかけており、アクセス道路や空港公園などを含めると2000億円以上の投資、これまでの累計赤字は(H20決算)56億5500万円にのぼっています。
 そもそも、福島空港の利用者予測は、計画が持ち上がった1977年当時の運輸省航空局の調査で、1日平均340人、年間10万人という少ないものだったものが、2年後の79年に県が行った交通体系計画調査で国内93万人、海外12万人で100万人以上が利用するという過大利用予測に転じた経緯があります。
 しかし、過去最高利用者数は75万人で、近年は50万人前後で推移し、93年開港以来、一度も利用予測を満たしたことはなく赤字運営が続いています。
 過大な利用予測のもと、建設をした空港が赤字運営となっている事実をきちんと総括し、閉鎖も視野に入れた検討をすべきと思いますのでご見解をお聞かせください。
 具体的施策について質問します。第一は、生活密着型事業を増やし、地域経済を活性化させる対策について、お伺いします。
 知事は、新年度予算において雇用・経済対策は重点的に配分したと述べられているように、新卒高校生内定企業に対する雇用助成金の支給や、生活密着型公共工事による中小企業の仕事づくり対策が図られています。
 なかでも、生活基盤整備事業は地元中小企業に公共工事を発注し、景気浮揚を促すものです。この趣旨が充分生かされるためにも、地域経済をささえる中小零細事業者へ、より多くの直接発注をすることが大切です。中小零細事業者への発注を増やすためには、競争入札を必要としない小規模工事について、希望者の登録により、入札資格がない地元業者の受注機会確保を図る、小規模修繕希望者登録制度を県としても実施していくことが急がれます。小規模修繕希望者登録制度は、地方自治法234条2項の「随意契約」を活用したもので、この制度を実施している自治体は411自治体に広がっています。
 県の実施する小規模工事に、小規模修繕希望者登録制度を導入することについて、ご見解をお聞かせください。
 中小零細事業者の仕事作りに各地で成果をあげているのが、住宅リフォーム助成制度です。この制度は19都道府県83自治体で実施されており、県内でも42市町村で何らかの個人住宅助成制度が実施されています。
 住宅リフォーム助成は、建築関係にとどまらず電気工事、家具など幅広い業種に波及効果をもたらし、自治体の補助金にたいし20倍以上もの大きな波及効果があることが分かっています。
 新年度から県産材を使用した新築住宅に対する30万円の補助が動き出しますが、予算はわずか50戸分であり不充分です。
 県として、民間住宅リフォームに助成する新たな制度を、創設すべきと考えますが、お考えをお聞かせください。

 また、生活密着型の公共工事で地域経済を振興させていくうえで、重要なのは、公の仕事を受注する事業者や、そこで働く労働者の、賃金の適正水準が維持されることです。資材高騰やリーマンショック後の経済不況の中で、違法な下請けいじめやダンピングがまかり通ったのでは、経済の地域内循環を生み出すことはできません。
 千葉県野田市では、今年4月から公契約条例が動き出します。公契約条例は、公共工事のダンピングのもとで、賃金・単価の切り下げが建設労働者の生活破壊につながっている現状を是正するため、公契約に従事する労働者の賃金や労働条件を明記し、同時に品質確保を担保する条例です。
 県議会では、05年6月議会で、国に公契約法の制定を求める意見書が提出されています。
 県の公共工事について、公契約条例の創設をすべきと考えますが、ご見解をお聞かせください。
 「100年に一度」ともいわれる不況の中で、仕事が激減している地元中小企業は、仕事がなくとも工場の家賃や、人件費や機械のリース代金など固定経費は容赦なく出ていくため、休業中の固定経費補助は切実です。雇用調整助成金は、生産計画が立てられる製造大手とは違い、親企業から発注計画さえもでず計画が立てられない下請事業者には使いづらいものです。固定経費補助については、中小企業庁が「臨時交付金を使い自治体の判断で可能」と答えています。また、「緊急人材育成・就職支援基金」は、自営業者についても一定の要件を満たせば活用できることも明らかとなっています。東京都八王子市では、独自の中小企業向けの雇用維持奨励金を実施しています。
 県内の中小企業を守ることは、かけがえのない技能・技術の継承と、ものづくりという貴重な財産を守ることにつながります。
 県として、中小企業の休業時の固定経費補助の制度を検討すべきと考えますが、ご見解をお聞かせください。
 大型開発から生活密着型に公共工事の転換を図ることについて提案をしてまいりましたが、住民生活に密着した公共工事は、道路の段差解消や信号機の設置、土砂災害危険個所の緊急補修や治山事業など様々です。
 京都府では、住民から公共工事のプランを公募する「公募型の公共工事」の新しい動きが出ており、期待されているところですが、県は、生活密着型の公共工事について、どのように取り組む考えなのか、お聞かせください。
 第二は、市町村応援策についてです。この不況の中、暮らしを支えるための市町村独自の施策を実施する自治体が増えています。
 介護保険の利用料に独自助成を実施している市町村は、県内に10市町村あります。医療費の一部負担金や、国保税の軽減策を実施している市、県がやめた福祉灯油を実施している市もあります。
 乳幼児医療費助成や重度心身障害者医療費助成に上乗せ対策を行っている市町村は多数に上ります。
 厳しい財政状況の中、その地域の実情に合わせた、きめ細やかな施策を展開し、がんばっている市町村を応援する県政が必要です。
 介護保険の利用料の独自軽減策を実施する市町村に対し、県の財政支援が必要と考えますが、ご見解をお聞かせください。
 また、厚労省は国民健康保険法第44条に基づく医療費の一部負担金免除の適切な適用を求めています。
 県は、市町村に、医療費一部負担金減免について、生活保護基準に準拠した減免基準を策定するよう助言し、国保税と一部負担金の軽減に対し、財政的支援をすることが必要です。ご見解をお聞かせください。
 基幹産業である農業にかかわってお伺いします。県の新総合計画では、農業関連産出額を2500億円から、5年後に2700億円に引き上げる目標とし、生産力を強化し食料自給率と所得の向上を目指すとしています。
 本県の農業を持続発展させるためには、農産物の再生産が可能な農家収入を保障する価格保障・所得補償と、関税など国境措置の維持・強化を一本で進めること、農産物輸入自由化路線を転換することが重要です。ミニマムアクセス米の「義務的」輸入をやめ、日本農業に甚大な影響を与える日米FTA,日豪EPAに反対するとともに、貿易拡大一辺倒のWTO農業協定の改定など、各国の食料主権を保障する貿易ルールの確立が不可欠であると考えます。
 しかし、民主党が進める「新成長戦略」によると、日本企業が活躍するアジア地域において、あらゆる経済活動の障壁をとりのぞくことが必要である、と述べ、これらの国々と一括してFTAを結び、貿易投資を自由化・円滑化するというものです。鳩山首相も「FTA、EPAによって、日本企業が進出しやすい環境をつくる」と発言しています。
 農産物の関税をゼロにすると、食糧自給率は12%に下がり、そのうち穀物自給率はわずか2.7%に下がります。耕地面積は6割減り、国内農業生産は3兆6000億円減少し、375万人の農業従事者が失業することが、農水省の試算でも明らかになっています。これでは、本県農業は壊滅の危機に直面します。
 こうした政策を持つ民主党ですが、選挙公約もあり、「米戸別所得補償モデル対策」や「水田利活用自給力向上事業」で、市場原理一辺倒の農政の転換や、強制減反の見直しという点でこれまでの農業政策に若干の修正をもたらす点もあり、当初案で大幅削減されていた転作助成が、農業団体の要望で「激減緩和策」として上積みされるという成果もありました。
 しかし、戸別所得補償の事業も、水田利活用の事業も、激変緩和策も1年限りの事業であり、2011年度以降どうなるのか解らないという状況です。
 このような農業政策から本県の農家経営を守る県政が必要です。米戸別所得補償では、補償単価が10アールあたり15000円とされ、その基礎となった生産費には家族労働費の80%しかみておらず、これでは、再生産ができません。大手量販店が補填を見込んで、米の買い叩きに走る懸念もあります。
 そこで、戸別所得補償制度の本格導入に向け、米の補償水準の引き上げや果樹や野菜についても対象とすることなどを国に求めるべきと考えますが、お考えをお聞かせ下さい。
 本県の米の生産・消費拡大を見通したとき、産地間競争の激化に対応する、福島県産米オリジナル品種開発は極めて重要です。県としても積極的に推進する立場を議会でも示されました。
 昨年秋の「JA福島大会」で、研究開発が他県より遅れているということで、生産者自らが県の品種開発を支援する決議があげられ、ある集落では、一俵あたり20円の拠出金を負担する話し合いがされるという状況に至っています。
 水稲の品種開発には、予算を確保し重点的に取り組む必要があります。そこで、水稲のオリジナル品種開発に関する予算の確保状況について、ご見解をお聞かせ下さい。
 県内各地で圃場整備をすすめ転作作物を推進してきた経過があり、各集落では、転作大豆用のコンバインや乾燥機などの大規模投資が負担になっています。
 大豆の場合、今年度の事例では、取組面積1町歩近い農家の場合でさえ、転作助成と売り上げを合わせると合計61万円余の収入です。そこから農薬代、選別料、ヘリ防除代、作業委託料などを引くと、実収入は12万円余にしかなりません。
 転作大豆・麦に対する県単独補助事業について、助成単価を増額すべきと考えます。ご見解をお聞かせください。
 政府は、戸別所得補償の予算をねん出するために、土地改良予算を6割削減し、事業仕分けで里山エリア再生交付金や強い農業づくり交付金などを削り、1000億円の削減をしました。その影響で、県の新年度における新規事業は削減せざるを得ない状況にあり、農業者が望む地域密着型事業である、農村集落の水路補修、農地崩れ対策、排水施設維持、ため池改修なども影響を受けます。
 これらの事業は、農業経営安定と同時に、地域経済活性化につながるものです。そこで、地域に密着した土地改良施設の整備について、予算を確保すべきと考えますが、ご見解をお聞かせください。
 最後に、環境問題についてお伺いします。鳩山首相が述べた、2020年までに温室効果ガスを1990年比で25%削減する国際公約を果たすためには、産業界との公的削減協定の締結が不可欠です。住宅用太陽光発電パネルの設置補助金の増額にとどまらず、使われずにたまっている原発周辺整備基金1000億円を、自然エネルギー推進に活用することなど急がれます。
 県は新総合計画において、地球温暖化防止策として温室効果ガスを90年比で8%削減する目標を掲げています。しかし、本県の温室効果ガス排出量は、90年比で28.7%増加しておりますので、8%削減分も加えれば、36.7%もの温室効果ガス排出量を削減しなければ、目標達成に至りません。07年の県の温室効果ガス排出量は2225万トンですから、36.7%削減となると816万トンの削減が必要です。
 この間、福島議定書事業により、幼稚園や学校、各企業などに削減目標を定め取り組みを進めた結果、約9万トンの削減が進んだことは、幅広い県民の努力であり貴重な活動であると思いますが、削減目標には遠く及ばないのが実態です。
 本県の温室効果ガス排出量が、全国でも異常なほど増加している主たる原因は、火力発電所にありますから、火力発電所の燃料を石炭から天然ガスに転換することや、技術が進んできた木質バイオマスに転換する事を、事業者の自主的努力に委ねるのではなく、行政として強く求める必要があります。
 この点でのご見解をお伺いし、私の質問といたします。

答弁

一、中小企業憲章の制定について

知事

 藤川議員のご質問にお答えいたします。
 中小企業憲章の制定についてであります。
 中小企業は、本県経済の活力の源として産業の振興に重要な役割を果たすとともに、地域社会の担い手として、本県発展に大きく寄与してきたものと考えております。
 先日、商工関係団体から憲章制定に関する提言を頂きましたが、国においても、中小企業憲章に関する研究会を立ち上げ、検討を開始したところであり、この研究会では、中小企業や企業家精神の重要性など、憲章に盛り込むべき内容や憲章の性格等について、検討される予定であると聞いております。
 私は、一台の自動車は数万点の部品で構成され、その多くが中小企業によって作られているなど、ものづくりを支えるのは、正に中小企業であると考えております。
 「宝」は足元にあると言われているとおり、地域の中小企業により一層目を向けた取り組みは、本県議会において全会一致により成立した「福島県中小企業振興基本条例」の精神に相通じるものがあると考えております。
 今後、この憲章が、政府が一体となって取り組む中小企業政策の方向性を示すものとなれば、県内中小企業にとって大きな力となることから、その動向を注視してまいる考えであります。

二、地方交付税の財源保障と調整機能について

総務部長
 地方交付税につきましては、地方税収の大幅な減少に伴い地方の財源不足が常態化していることや、税源の偏在による都市と地方の財政力格差が拡大していることや、税源の偏在による都市と地方の財政力格差が拡大している現状において、交付税制度の目的である財源保障機能と財源調整機能の確保がますます重要になっております。
 また、国において検討が進められている一括交付金制度の導入に当たっては、現在の国庫支出金の総額を下回らないことを第一に、地方にとって使い勝手のよい制度となるよう地域の実状を踏まえた提案を行うとともに、引き続き、交付税本来の機能の堅持と総額の復元について、強く求めてまいる考えであります。

三、小名浜港東港地区の整備事業について

土木部長
 小名浜港東港地区につきましては、経済のグローバル化が進む中、活力ある産業の育成と県内企業の競争力向上を図るため、工業原材料はもとより、外貿コンテナ等の多様な貨物需要に対応した国際物流拠点としての機能強化に向けて、新年度には埋め立て工事に着手するなど、今後とも、国と連携を図りながら、計画的に整備を進めてまいりたいと考えております。

四、福島空港について

観光交流局長
 福島空港につきましては、ビジネス利用や観光の進行を始め、様々な分野の交流を支える重要な役割を果たしており、本県にとって必要不可欠なものであると認識しております。
 JALを除いた平成22年1月現在の利用者数は、対前年度比で9.3%増加しており、今後とも、市町村や各種団体、航空会社等と緊密に連携しながら、県内及び隣県からの利用の更なる増加に努めるとともに、就航先の誘客にも積極的に取り組み、一層の利用の促進を図ってまいる考えであります。

五、生活密着型事業等について

総務部長
 県の実施する小規模工事につきましては、条件付き一般競争入札の対象とならない250万円以下の工事において、従前から随意契約を行っておりますが、工事の品質を確保する観点から工事等有資格者名簿に基づき、中小企業などの受注機会の確保や技術的特性等を考慮し業者を選定しており、入札参加資格のない業者を対象とした発注方法の導入は考えておりません。
 次に、公契約条例につきましては、わが国においては、すでに、労働基準法や最低賃金法をはじめとした労働者保護のための法整備が図られており、条例の制定は考えておりませんが、県発注工事においては、受注者に労働基準法や最低賃金法などの諸法令の遵守を求めており、さらに、元請、下請関係適性化指導要領により適正な下請契約の締結や下請代金の支払いがなされるよう指導しているところであり、今後とも、入札契約制度の適切な運用に努めてまいる考えであります。

土木部長
 民間住宅リフォームにつきましては、住宅の安全や省エネルギー対策等を目的として、国においては、住宅リフォーム減税や新たに創設された住宅エコポイント制度等、また、県においては、木造住宅耐震補助や金融機関との協定による金利優遇制度などの助成・支援制度をすでに設けているところであります。
 県といたしましては、これらの制度が効果的に活用されるよう、福島県耐震化・リフォーム等推進協議会や市町村と連携して、住宅相談や普及啓発に一層努めてまいる考えであります。
 次に、地域密着型の公共事業につきましては、歩道の段差解消や道路側溝の修繕など、生活の利便性や快適性を向上させる生活基盤の改善対策や、自然災害から県民の命・財産を守る施設の整備などに取り組んでおり、今後とも、県民が安全で安心できる生活環境づくりについては、地域方々の要望を踏まえ、丁寧で分かりやすい説明に努めながら、迅速かつ的確に推進してまいる考えであります。

商工労働部長
 中小企業への支援につきましては、これまでも経営に関する相談や経営安定特別資金を始めとする金融対策などにより、積極的に対応を行っているところであります。
 厳しい経済状況の下、中小企業が一時的に休業を余儀なくされた場合においても、経営の実情に応じた課題解決のため、引き続き、各種施策を活用しながら、地域経済の担い手である中小企業の経営安定に向け、国や関係機関と連携し、支援してまいる考えであります。

六、暮らしを支える市町村への応援について

保健福祉部長
 介護保険の利用料につきましては、所得状況に応じた負担上限額や、施設利用の際の居住費、食費の上限額が設定されているほか、特別対策に基づき低所得者に対して負担権限を行う市町村に支援を行っているところであり、市町村の独自の軽減措置については、それぞれの市町村の主体的な判断に基づく施策であると認識しております。
 次に、医療費の一部負担金の減免につきましては、これまで、制度の公平かつ適切な運用を確保するため、市町村に対し、生活保護基準等に準拠した減免基準を策定するなど必要な助言に努めているところであります。
 また、国保税及び医療費の一部負担金の軽減等に係る財政的支援については、軽減等の状況が国保財政に与える影響を考慮し、県の調整交付金の活用等について検討してまいりたいと考えております。

七、農業振興について

農林水産部長
 戸別所得保障制度につきましては、国は、平成22年度に実施する米戸別所得保障モデル事業の検証等を通じて本格的導入に向けた検討を進めると聞いており、認定農業者、集落営農組織等の担い手の規模拡大や地域の特色ある産地づくりなどに及ぼす影響、さらには、対象品目の拡大に伴う農業政策全体の制度設計等の観点から、国において、十分検討がなされるべきと考えております。
 次に、水稲のオリジナル品種開発につきましては、水稲が本県の基幹作物であることを踏まえ、品種開発に関する予算を重点的に配分するとともに、国や民間との共同研究等による外部資金の獲得などにより、予算を確保しているところであります。
 今後は、このたびのJAグループの支援も有効に活用しながら、更なる外部資金にも努め、水稲のオリジナル品種開発に積極的に取り組んでまいる考えであります。
 次に、転作大豆・麦につきましては、助成制度の変更による影響が特に大きいことから、国の激変緩和措置を活用するとともに、県独自に助成単価の上乗せ措置を講じることとしたところであります。
 さらに、先月25日には、協力を要請していたJAグループが上乗せ支援を決定し、市町村や各JAにおいても支援措置の検討が行われております。
 今後とも、市町村・関係団体と連携し、大豆・麦の優良生産団地の維持が図られるよう努めてまいる考えであります。
 次に、地域に密着した土地改良施設の整備につきましては、施設の有効活用を図る上で、ライフサイクルコストの低減や長寿命化に向けた取り組みが重要であると認識しております。
 このため、来年度から新たに、用水路等小規模な施設を対象に整備補修や部分更新などを行う地域農業水利施設ストックマネジメント事業を実施することとしたところであり、今後とも、必要な予算の確保に努め、身近な土地改良施設の整備を推進してまいる考えであります。

八、環境問題について

生活環境部長
 火力発電所の燃料転換につきましては、エネルギー事業者は、省エネルギー法等による報告義務や、電気事業連合会の自主行動計画における熱効率の更なる向上、京都メカニズムの活用、再生可能エネルギーの利用拡大などにより温室効果ガスの低減に努めることとされております。
 県内の石炭火力発電所の中には、木質バイオマスの一部活用の取り組みも進められておりますことから、国による厳格なフォローアップの下適切な対応がなされるものと考えております。

再質問

 再質問をさせていただきます。
 はじめに生活環境部長に火力発電所の燃料転換についてお伺いいたします。ただいまの答弁で、事業者の自主行動計画にまかせるとの答弁でしたが、その自主行動計画に委ねている間に、本県のCO2の排出量が増えております。温室効果ガス排出量の事業所が公表した実態をみますと、原町火発は1262万トン、相馬共同火発は1052万トン、常磐共同火発は823万トン、広野火発は754万トンということで、すべて石炭を燃やしております。これを天然ガスに燃料転換するだけで、CO2の排出量は数十%削減することができるということですから、なぜそれを事業者に求めないのか不思議な思いがいたします。東京都では4月から大規模事業者を対象にCO2排出削減を義務づける制度がスタートいたします。本県におきましても、大口排出事業者にせめて燃料転換を求める、これは当然のことだと思いますので、再度御答弁をお願いいたします。
 次に、土木部長に住宅リフォーム助成についてお伺いいたします。先ほど国の制度を普及するという立場のご答弁だったと思います。ということは、住宅リフォーム助成、国の制度も含めてですけれども、これが地域経済に及ぼす波及効果について効果ありと認識されているということでしょうか。地域経済波及効果について再度ご認識をお聞かせください。
 観光交流局長に福島空港について再度お伺いします。私は質問の中で空港建設時の過大利用予測について総括が必要だとお尋ねいたしました。そのことについての認識は、先ほどの答弁ですと非常に不十分な答弁だったのではないかと思います。利活用に触れられたいうことであるのですけれども、建設時に立ち返った総括をすべきと思いますので、その点でお答えをお願いいたします。

答弁

生活環境部長
 再質問にお答えいたします。エネルギー事業者につきましては、排出抑制につきまして、国は産業界に対し省エネ法、また温暖化対策法により温室効果ガスを低減する義務、また、報告義務を課しているところであります。さらに国が厳格なフォローアップをするその下で産業界の自主的な取り組みを進められておることから、こうした枠組みの中で所定の削減が図られるものと考えております。
 県におきましても、先ほどありましたけれども福島議定書事業、これ来年度に向けてさらに一段と充実をさせていく予定でございます。また、中小事業者に対しましては省エネ改修をさらに進めるとともに、省エネ改修への支援ですね。それから専門家を派遣して省エネ手法の相談を、いろいろ相談に応じていく。さらに家庭部門につきましては、高効率給湯器とか、太陽光発電等への導入支援を行っていく。さらには森林吸収源であります森林に対するとりくみもこれも強めていくということでありまして、県といたしましては、脱温暖化プロジェクトを全力で取り組んでいきたいと思っております。

土木部長
 再質問にお答えいたします。民間住宅リフォームについてのご質問でございますけれども、先ほど申し上げましたとおり、国及び県におきましてすでに助成支援制度が設けられております。また、住宅産業は裾野の産業でありまして、そういったことから地域経済産業への波及効果もあろうかと考えております。そういう意味でこれら制度が効果的に活用され、安心して住宅リフォームに取り組めるよう、広く普及啓発に努めてまいる考えであります。

観光交流局長
 再質問にお答えいたします。空港の当時の利用者数予測というものは、まさに当時の経済社会情勢に基づいて行われたものと認識をしております。いずれにいたしましても現に定期路線が就航し、さまざまな交流の基盤となっている県民の重要な財産である空港でありますのでしっかり利用の促進を図って将来の県政の進展に生かしていくことが大事だというふうに考えております。

再々質問

 生活環境部長に火力発電所の燃料転換について、再度お願いいたします。
 東京都はですね、気候変動方針、これを読みますとこんなことを述べております。「一刻の猶予もならない気候変動対策の強化を実現するために、都は国に代わってわが国の気候変動対策をリードしていく」と述べています。地球温暖化防止は、将来世代のために私たち世代がどうしてもやりとげなければならない課題であると私は考えております。
 先ほどいろいろな施策をお話しいただいたのですけれども、県自身が新しい総合計画で決めた目標値が、つまり816万トンを削減するという目標であります。福島議定書の取り組みは、これはこれで有効だと思いますが、これだけでは足りないわけです。そこをどうしていくかということを本気で考えていくということが必要です。本県の排出量は、減るどころかむしろ増加をしておりますので、国の動向を見るとか事業者の自主行動計画にまかせるというのではなく、県として本気で削減することが必要だと思いますので、火力発電所の燃料転換、ピンポイントでお答えをちょうだいしたいと思います。

答弁

生活環境部長
 認識は、私、同じく共有していると思いますし、本気で取り組んでおるわけでございます。
 先ほど答弁が長いと言われましたけれども、本気で取り組んでいるがゆえに一生懸命答弁させていただいたところでございます。
 脱温暖化プロジェクト、これに全力で取り組んでまいりまして、目標達成を目指していきたい、このように考えております。



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