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2010年6月30日
2010年6月定例県議会を終えて

日本共産党福島県議会議員団
団 長 神山  悦子
副団長 宮川 えみ子
幹事長 藤川しゅく子

はじめに

 参院選直前に民主党菅直人首相は、消費税増税について自民党が提案した「10%」の税率が「参考になる」と発言し、まさに民主党と自民党の「大連立」で消費税増税を強行しようとしていることが明らかになりました。
 消費税増税に頼らなくとも、社会保障の財源は、軍事費などムダ遣いの一掃と行き過ぎた大企業・大金持ち減税の見直し、内需振興による税収増で確保できます。日本共産党は大企業減税の穴埋めの消費税増税には絶対反対です。
 民主党は、米海兵隊普天間基地の問題でも、沖縄県内への「移設」を明記した日米合意を進めるとしています。県民・国民の反対を踏みにじった鳩山前政権の態度を反省するどころか、県内「移設」を強行し、鹿児島県徳之島などにも被害を広げようとしています。
 自民党政権と交代した鳩山前政権が国民の期待を裏切り、みずからの公約にも違反してわずか8カ月余で退陣することになったのも、アメリカと財界いいなりの政治を抜け出せなかったからです。消費税問題でも普天間基地の問題でも、アメリカと財界いいなりの政治を抜け出せるかどうかが問われています。
 一方、県民の暮らしをめぐっては、6月29日に福島労働局が発表した雇用失業状況では、県内の有効求人倍率は前月を0.02ポイント上回って0.40倍となり、1年3ヶ月ぶりに0.4倍台となりましたが、依然として雇用失業情勢は厳しい状況です。
 党県議団は、5月26日に6月定例県議会に向けた知事申し入れを行い、当面の施策への要望を行いました。知事が事実上の「プルサーマル計画の受け入れ」を表明したことは県政の大転換です。さらに、県民の意見を直接聞かないまま推進するというのであれば、知事の県民に対する姿勢が問われる重大な問題であり、国の核燃料サイクルの破綻を直視し、県民の命、安全・安心を最優先にプルサーマル計画受け入れの撤回を強く求めました。
 6月定例県議会は、6月15日から30日までの16日間の会期で開催され、冒頭、知事は秋の県知事選への再選出馬を表明しました。一般質問に宮川えみ子県議が立ちました。
 藤川しゅく子県議が、30日の最終本会議の討論に立ち、第1号議案「福島県国民健康保険広域化等支援基金条例の一部を改正する条例」、第2号議案「福島県税条例の一部を改正する条例」、第13号議案「県の行う建設事業等に対する市町村の負担の追加および一部変更について」の3件に反対して討論を行いました。
 また、藤川県議は、「安全審査想定外の長期保管MOX燃料を使い、原発敷地内に使用済みMOX燃料を貯蔵するプルサーマルをすすめないよう求める請願」を採択することを求めましたが、賛成は共産党県議団の3人のほか3人(社民党・古川、加藤両県議、無所属・西丸県議)を含めて6人で、不採択にされました。なお、追加議案第18号「収用委員会の委員の任命につき同意を求めることについて」は再任であるため反対しました。

1、わが党の質問と代表質問、一般質問の特徴について

◆一般質問(宮川えみ子議員)

 プルサーマル計画問題では、県自身が提起した「中間とりまとめ」での核燃サイクルに関する7つの疑問については、まともな答弁ができませんでした。計画を中止して十分な対応をすべき事についても、知事は3つの技術的問題のクリアーだけが条件という前議会の答弁を繰り返しました。
 国保税の減免に対する市町村国保への支援については、調整交付金だけでなく、一般財源を含めた県の支援を求めましたが、まずは調整交付金で見極めてからと、独自支援をしないこれまでの枠を出ませんでした。
 そのほか、会津地域地方税滞納整理機構が法律や条例によらない任意組織であり廃止を求め、滞納税整理にあたっての財産差し押さえは、国税徴収法の75条を厳格に遵守する指導をすること、市町村のサービス制限条例の問題、子宮けいがんワクチン・ヒブワクチン接種での市町村への補助、中学校までの子どもの医療費無料化への市町村支援、高校授業料無償化で諸経費等が減免対象から外され負担増になった生徒への支援、いわき市への医師派遣増を求めたことなどを質問しました。

◆他会派の代表質問、一般質問の特徴

 知事の再選出馬表明を受けて、自民党、県民連合の代表質問では2期目への基本姿勢を問う質問がされました。知事は新総合計画にもとづく県づくりをめざすと答弁しました。
 福島第1原発でのプルサーマル実施受け入れについては、県民連合の古市県議と石原県議が、高経年化、耐震安全性、MOX燃料の健全性などの問題点を指摘しましたが、受け入れの撤回を迫ることはありませんでした。
 毎年巨額の県費を投入しながら利用者数の大幅な減となっている福島空港について、利用促進をどうするのかといった質問が自民党、県民連合からなされました。一方では、福島空港利用促進議員連盟が6月定例会中に解散しました。
 農業問題では、宮崎県で深刻となっている口蹄疫問題が取り上げられ、本県の獣医師体制、どの段階で対策本部を設置するのかなどがただされました。
 小名浜東港建設について促進する立場から、自民党、県民連合が取り上げ、重要港湾の中から選定される重点港湾への取り上げについてと「国際バルク戦略港湾」への選定に向けた取り組みをただしました。

3、各委員会審議について

◆企画環境常任委員会(神山悦子議員)

 今議会もプルサーマルをめぐって論議が交わされました。県は、5月31日に県原子力発電所安全確保技術連絡会を開催し東電から説明を受けるとともに、6月10日には長期MOX燃料の健全性評価の取り組み状況を確認するため福島第一原発3号機への立ち入り調査を実施しました。
 10年以上も長期保管したMOX燃料を使用した事例について、宮川県議の一般質問で1988(昭和63)年に関西電力美浜原発一号機での事例をあげたが、わずか4体装荷したにすぎず、これでは比較対象にもならないこと。まして、世界での事例を質すと「承知していない」と答弁したように、国内外の事例がないことを本県の原発で実施しようとしていること。東電による健全性評価では「問題なし」としているが、県民は大きな不安を抱いていると疑問を投げかけました。
 一方、直近でも電気系統のトラブルで原発が停止していること、耐震安全性評価の基礎数値の誤りを半年以上もたってから公表するなど、トラブルが相次いでいるうえ、県民への公表も遅くなっているなどから、東電へ厳しく対処することを求めました。
 また、わが党が紹介議員になったプルサーマルにかかわる新規請願1件は、県当局でさえ継続して慎重対応するとコメントしている中で、自民党会派は強引に採決に持ち込み、共産・社民2人の委員が起立し賛成しましたが、委員多数で不採択としました。
 その他、消防体制を広域化する国方針のもと、県内の県北と会津地方で再編・統合する動きが示されたので、広域化は慎重にすべきであり、消防職員の人件費を減らすことをやめ、むしろ職員数は増やすべき分野であると意見を述べました。
 また、福島市内に建設予定の(株)クリーンテックの産廃処分場第二期計画の県審査についての請願審査については、県は手続き上は昨年10月に事前協議が終了していることをもって施設設置許可する方向を示しました。しかし、第二期施設が完成すれば東北一の大きな産廃施設となるうえ、県当局の意見でも「住民の理解と協力が得られるよう十分な説明を行うよう指導していく」と述べているように慎重な対応を求めたが、この請願は継続扱いとなりました。

◆商労文教常任委員会(宮川えみ子議員)

 本会議につづいて、公立高校の授業料無償化を契機に県立高校で、授業料免除を受けていた低所得世帯の生徒からも新たにPTA会費などの諸経費を徴収することになった学校が広がってしまったので、経済的困難が増えた生徒への支援を求めました。県は、諸経費には本来県がやるべき、スクールカウンセラーの人件費・図書購入費・備品費などが含まれていることを認めながら、「実態をつかむことは、自治権をおかすことになる」と、実態調査すらも拒否しました。しかし、実態すらもつかまないという対応では教育に責任を持つ教育庁と言えないと指摘しました。
 高校授業料無償化にかかわる条例では、休学・留年でも再入学でも無料、通信・定時制も同じ扱いとすること。ただし、海星高校は、4・5年の専門課程は資格を取ったりするので有料ですが、減免を受けている生徒は引き続き無料にします。減免は、今後も制度として引き継ぐこととなり賛成しました。
 小中学校に専任の図書館司書を配置することについての県の支援では、教育長は「検討する」と答弁しました。
 商工労働部では、県内企業の99%が中小企業で、景気持ち直し傾向は大企業の自動車・テレビ等に偏っていて、雇用は厳しいとのこと。新規高卒者の未就職者は、なお121人(5月末)。6月24日、文科省から産学官連携事業の、医療福祉機器関連の集約実績が重点プログラムに採択されたと口頭で説明がありました。年2億円で3年間6億円程度の助成があるとのこと。郡山のハイテクプラザを視察しました。

◆農林水産常任委員会(藤川しゅく子議員)

 補正予算は提案されなかったものの、県の行う建設事業に対する市町村の負担の追加および一部変更についての議案が提案されました。国の見直しにより、事務費の市町村負担はなくなりましたが、建設費に対する負担は依然続いており、この部分も廃止することを求め反対しました。
 農作物の生育状況についての報告があり、3月下旬から5月の異常低温と日照不足により田植えが3日遅れたこと、園芸作物では果樹の開花が3日から8日遅れたことが報告されたが、産地では必要な果樹の生産量は確保される見通しとの報告がありました。
 口蹄疫対策では、委員会として県中畜産試験場を訪れ、宮崎県に派遣された獣医の報告を受け、県の対策について調査を行いました。
 米の所得補償モデル事業について申請状況を確認し、米価が異常に低価格となっていることに対する対応を求めました。

◆低炭素社会づくり対策特別委員会(藤川しゅく子議員)

 福島県の取り組みについて説明を受けた後、質疑応答、意見交換をしました。
 福島県の温暖化対策計画の説明で、県の課題として、増加している民生家庭部門および民生産業部門の温室効果ガス排出量を減らすことであるとの認識が出されました。それに対して、県の温室効果ガス排出量の推移は、1990年比で8%減らす目標に対し、2007年時点で、28.7%増加していることを指摘したうえで、増加の原因は何かと質問しました。当局は、火力発電所のフル稼働および増加と答えたので、ではなぜ民生家庭部門が増加するのかと質問したところ、電力系数の伸びによるものであると答えました。全体の温室効果ガス削減のためには、火力発電所対策が重要であることを述べ、燃料転換の指導を求めました。
 また、産業界全体の排出量は民生部門を大きくしのいでいることも指摘し、産業界の自主行動計画に委ねるという消極的な姿勢を改めるよう求めました。
 森林整備については、林業の活性化と県産材の活用について意見を述べ、県産材活用住宅への助成枠を拡大することを提案しました。

◆新しい観光推進対策特別委員会(宮川えみ子議員)

 6月14日は、地域の魅力を素材とした着地型観光の推進について審議しました。その中で、空き店舗対策の「活力ある商店街支援事業」については、補助期間満了後の事業継続は76%でした。28日は、(1)国内外からの観光誘客の推進について、(2)多様な交流の推進について、を審議しました。福島空港事業のうち、就航先等からの誘客促進は8件で(新規4件)、誘客促進対策・外国人誘客促進・観光海外ブランド強化・上海万博PR強化・国際観光推進・インバウンド観光情報発信・青少年交流促進・アクセス対策で、総額1億2416万8千円です。これだけの事業を展開する空港就航先等からの誘客促進についてどのようにみているか、という質問には「今はそれほど伸びていないが、一生懸命とり組めば空港利活用促は望める」という答弁のみで、具体的な話はありませんでした。

◆議員提出条例検討会(神山悦子議員)

 今年12月県議会に「子育て支援に関する条例案(仮称)」の提出をめざす予定で、議会閉会中でも毎週検討会を開き論議しています。
 他県の条例は県当局が策定したもので、議員提案の条例は本県が初めてになるようです。議論の中では、いわゆる少子化対策のための条例という意見もあったのですが、子育て世代を応援するような条例にすることで合意されました。
 今回ようやく条例の骨子案がまとまり、7月1〜23日までパブリックコメントをかけます。

4、請願・意見書について

●採択された意見書

◇「発達障害やその他文字を認識することに困難のある児童生徒のためのマルチメディアデイジー教科書の普及促進を求める意見書」
◇「子宮頸がんの予防および検診受診率向上に向けた対策の充実を求める意見書」(全議員提出)

●党が紹介議員になった請願・意見書の扱いについて

 党県議団が紹介議員となった新規請願の中で、「子宮頸がん予防ワクチン接種に公費助成を求める意見書の提出について」(新婦人県本部提出)が採択されました。また、「安全審査想定外の長期保管MOX燃料を使い、原発敷地内に使用済MOX燃料を貯蔵するプルサーマルを進めないよう求めることについて」(脱原発福島ネットワーク提出)は採決に付され、党県議団を含め賛成6で不採択とされました。そのほか、「消費税増税反対の意見書提出を求める請願」(消費税をなくす福島県の会提出)、「生活保護の老齢加算の復活を国に求める意見書の提出を求める請願」(県生活と健康をまもる会提出)、「備蓄米買い入れと米価の回復・安定を求める意見書提出についての請願」(県農民連提出)の3件は継続扱いとされました。

以上



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