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2010年11月県議会「職員給与引き下げ議案」に関する反対討論

2010年11月29日 神山悦子

 日本共産党の神山悦子です。日本共産党県議団を代表しまして、議案に対する討論を行ないます。
 議案第18号 職員の給与に関する条例等の一部を改正する条例、議案第20号 職員の育児休業等に関する条例の一部を改正する条例、議案第21号 職員の勤務時間、休暇等に関する条例の一部を改正する条例、議案第22号 一般職の任期付研究員の採用等に関する条例の一部を改正する条例、議案第23号 一般職の任期付職員の採用等に関する条例の一部を改正する条例、議案第26号 福島県市町村立学校職員の給与等に関する条例等の一部を改正する条例、
 以上6件の議案に反対の立場から意見を述べます。

 10月4日、県人事委員会は、官民較差を月例給で0.13%、492円、期末・勤勉当(ボーナス)を0.14%あるとして、県職員の月例給を全職員平均0.13%引き下げ、期末・勤勉手当(ボーナス)を年間0.15ヶ月引き下げ3.90ヶ月とする勧告を出しました。
 特に、月例給については、国の人事院勧告にならって若年層職員の月例給を据え置く一方、56歳以上で課長相当職以上の幹部については、月例給と特別調整額(管理職手当)を0.9%引き下げます。しかし、50代後半の給与引き下げについては、明確な根拠は何もないのです。
 今年は、人事院勧告が出されたあと、民主党政権の主要閣僚から人事院勧告を超える引き下げが必要との認識が示されましたが、公務労働者の生活実態を見ず、民間調査だけを優先させているのは問題です。

 そもそも人事院勧告制度は、公務員の労働基本権制約の代償として設けられたものです。ところが、人事院は民間企業との賃金較差を理由に、プラス勧告だけでなくマイナス勧告についても民間準拠とし、さらに2006(H18)年からは、民間企業の対象規模を、それまでの100人規模から50人規模にまで下げ実質的な賃金引下げを行っているのです。
 昨年は、08年のリーマンショックの影響で民間の激しい賃金引き下げとなったことを受けて、国の人事院勧告制度始まって以来の過去最大の引き下げとなりました。国にならって県人事委員会は、従来の基本ルールにはない6月に支給される夏季手当を0.2ヶ月引き下げする異例の勧告を実施し、この年の12月から支給の月例給0.53%の引き下げ、ボーナス0.38月分の引き下げ、平均18万4千円の引き下げ勧告を行い、5%の県独自カット分を凍結しても昨年の影響額・支給減は、6月のボーナス引き下げを含めて約25億円にものぼりました。

 さて、今年の県人事委員会の勧告は、43.7歳の行政職の平均モデルでは、平均年間給与で6万8千円のダウンとなります。月例給、ボーナスの同時引き下げは2年連続、ボーナスについては3年連続のマイナス勧告であり、ボーナスが年間4ヶ月を割るのは1963年以来とされ、47年前の水準に戻ってしまったといえます。また、1998年からの12年間でみれば、一時金は1.3月分の削減、平均年間給与は70万9千円の引き下げとなっています。
 県は、2008(H20)年度から実施している本県独自の給与カットを実施中であり、勧告どおりであれば実質的な民間企業との月例給差額は、県職員の方が下回ることになってしまうことから、今回は12月分のボーナスに限り、一律5%の独自カットを凍結するとしたのは当然といえます。その分を差し引くと12月分の影響額・支給減は実質約8億円程度にとどまりますが、今回の改定による影響額でみれば約21億円にもなります。

 今年の改定による影響を受ける職員は、知事部局、教育庁、県警本部合わせて約3万人となっていますが、その中には、正教員の約半分の給与水準の常勤講師等約2,000人分も含まれています。本県にとって県職員は、200万県民の行政サービスの担い手であり、その給与水準が維持されることは極めて重要なことです。まして、未曾有の県内経済の悪化の中で、今回のマイナス勧告を実施すれば、「今後、市町村や外郭団体などの職員給与にも影響し、県内中小企業の賃金にも波及し、これが個人消費のさらなる低迷が懸念される」との民間シンクタンクの指摘にもあるとおり、県内の景気動向に与える影響は図り知れません。県内の商工団体からも力のあるところが牽引者の役割を果たさないと県内の景気はよくならないとの声も出されています。

 家計消費をあたため、消費購買力を高めることで内需を刺激し景気を回復させることは喫緊の課題です。財政が厳しいからとして県民や県職員へしよわせするやり方はとるべきではありません。県職員による住民サービスの質の向上、それを担うための質の高い人材の確保、公務・公共労働者の専門性を十分発揮させ、職員のやる気を引き出すためにも、景気を回復させる上でも、地域のモデルとなる職員給与とすることが今ほど求められている時はありません。
 以上の理由から、県職員の給与引き下げ条例関係議案6件に反対を表明し、討論と致します。

以 上



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