日本共産党の藤川淑子です。
私は、日本共産党県議団を代表し、継続審査議案第22号「決算の認定について」意見を述べさせていただきます。
2009年度の政府予算は麻生内閣編成によるものでした。
地方財政にかかわっては、前年のリーマンショックによる世界的金融経済危機に対応し、1兆円の雇用経済対策が加算され、地方財源を削減し続けた構造改革への厳しい批判を受けて地方交付税の一般会計特例が復活し、臨時財政対策債も増額され、地方財政分野の総額は、前年比15%増しの規模でした。
こうしたもとで編成された県の当初予算は、国からくる財源の活用と基金の取り崩し、県債発行で対応し、総額8754億4800万円を確保し、前年比4.1%の増額予算でスタートしました。
そのスタートしたときの雇用情勢は、総務省発表の2009年4月の完全失業率5%に見るように、経済金融危機を受け悪化の一途をたどっていました。大手自動車産業などによる派遣切りが社会問題となり、本県の派遣切り人数は全国3位と深刻な事態に至ったのです。
当初予算で雇用経済対策を図ったにも関わらず、県内雇用の状況は、有効求人倍率が、0.35倍に落ち込み(福島労働局調査、2009年5月)、1963年の調査開始以降、最悪の数値となりました。
これは、会津地区で富士通マイクロエレクトロニクスの大量配置転換が強行されたことが大きな要因でした。誘致企業の大量配置転換に、県としての行政対応が求められたところでしたが、残念ながら、充分な対応は取られませんでした。
私どもは、当初予算編成時に、雇用経済対策に加え、失業対策とセーフティネットの充実策として、県によるホームレス支援計画の策定、国民健康保険証の取り上げをやめさせ市町村国保財政へ県が支援すること、生活保護基準以下の世帯に対する医療費窓口負担金減免の推進、子ども医療費の無料化年齢拡大、介護保険料と利用料の減免、私学助成をはじめ教育予算の拡充を提案しましたが、県として具体化されることも、これらの施策を実施する市町村への支援策もとられることはありませんでした。
それどころか、県立病院改革プランにより、県民の生命のよりどころである県立病院のさらなる統廃合の方向を示し、交付先が未確定の誘致企業のための補助金を予算計上し、県が行う建設事業に対し市町村負担を求め、行政の財産活用といいながら県庁駐車場有料化を導入しました。
年度途中の予算補正は4回にわたり、決算額は、歳入で9479億9990万8999円、歳出が9422億7165万9245円と、前年比歳入で9.2%、歳出で9.1%の増加、当初予算より約700億円上回る決算額となりました。
予算補正は、国の追加経済対策をうけ、緊急雇用創出基金を積み増しし、一定の雇用対策と生活密着型公共事業の拡大が図られたものの、地域経済を支える中小企業対策は充分なものではありませんでした。
冷え込んでいる地域経済に内部循環を波及させるため、小さな公共工事をもっと増やし、大手企業による単価切り下げに苦しむ中小企業を守る公契約条例の制定や、住宅リフォーム助成事業の実施で、すそ野の広い産業を活性化させる対応を訴えましたが、先送りされました。
一方、大型事業である小名浜東港整備には、6月補正で4億円、9月補正で 20億円、2月補正で25億円を増額し、事業費総額は当初予算の54億2000万円から、2倍の104億円に膨れ上がりました。小名浜港の貿易概況をみると(ジェトロ調査)2009年の輸出入合計額は前年の43.3%減少しており、開港以来最大の減少額です。取り扱い貨物の3分の1を占めている石炭の需要は、小名浜火力発電所の計画中止にみるように、低炭素社会の到来により減少することは明白です。将来の採算が見通せないからこそ、早々と民間委託が検討されています。大型事業は、公共工事としての地域経済波及効果が薄い事業であり、県民の理解は得られないものです。
福島空港は、日本航空の撤退の影響で利用客が前年より14万4775人減少し、28万3014人に落ち込み、利用料収入は前年比42.6%の7000万円、それに対し、利活用促進事業関連費は前年比2.8倍の3億4100万円を費やし、管理費に4億5千100万円をかけ、年度赤字は7億2200万円にもなりました。これは、当初予算で見込んだ6億7600万円の赤字額を大きく上回り、開港以来最大の赤字を記録しました。空港存続については、閉鎖も視野に入れた検討を求めてきましたが、利活用一辺倒の対応から脱することはありませんでした。その福島空港のアクセス道路としての、あぶくま高原道路には26億円の県費がつぎ込まれました。このような税金の使い方は、県民の理解は得難いものだと思います。
2009年の県内の自殺者は、前年を31人も上回る626人となりました。
私は、毎年発表される自殺者の人数を聞く時、厳しい経済雇用情勢の中で、懸命に生きている県民の姿を思います。
そんな県民の暮らしに寄り添う県政こそが求められているときに、不要不急の大型事業に多大な税金投入をすすめた2009年度決算を認定することはできません。
以上、述べさせていただき、私の討論といたします。
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