HOME BACK ご意見・ご要望をお寄せ下さい
TOPICS
議員団紹介
政策・提案・見解
県議会報告
県政の資料
議員かけある記

2011年2月定例県議会一般質問

2011年3月4日  宮川えみ子

 日本共産党の宮川えみ子です。
 質問の・第一は、原子力発電と関連問題についてです。初めに、安全な原子力発電所の運転についてです。
 検査期間の間隔延長問題についてですが、県は富岡町の東京電力福島第二原子力発電所3号機の連続運転期間(定期検査間隔)を3カ月延長して、最長16ヶ月とする計画を認めようとしています。定期検査の間隔は従来13カ月でしたが、国が2009年1月に新検査制度を施行して最長24カ月まで伸ばせるようにしました。新検査制度の適用により、県や富岡町・楢葉町は国から5年間でそれぞれ1億円が交付されると言います。連続運転期間延長は、昨年11月の東通(ひがしどおり)原発に続く国内2例目です。
 質問ですが、東通原発は運転開始から5年(05年12月)ですが、福島第二原子力発電所3号機はすでに25年が経過していて、89年には原発の心臓部と言われる再循環ポンプが壊れたまま運転を続け原子炉内部に金属片が流れ込む重大事故を起こしています。
 県は立ち入り調査を行いましたが、経年劣化問題についてはどのように調査検討されたのでしょうか。重大事故を起こしたこの原発の定期検査期間延長をなぜ一番先に認めるのでしょうか、伺います。
 昨年8月に、定期検査中の福島第一原子力発電所で、6号機のケーブルを取り外すべきところを、誤って運転中の5号機のケーブルを外してしまうという保安規定違反の重大な事件がありました。
 また、11月2日には、同じく第一原子力発電所5号機の、原子炉内の水位の乱高下があって原子炉が自動停止しました。この原因になったMGUのスピンドルとスピンドルレバーは、H12年に分解点検を行った以降10年間オイル交換をしていなかった事、オイル交換の定期検査マニアルがなかった事、定期検査を1年ほど前にやっていて問題なしとしていた事、また、点検していたのに2台とも問題なしとしていたと言う3つの問題があります。定期検査期間を延ばすということはこのような問題をさらに見逃すことにならないのかうかがいます。
 昨日・3日の報道では、東京電力第一・第二の両原発内にある計54の機器が点検の対象から漏れ、最大11年間も使用期間を過ぎて使われていた機器があった問題で、東京電力は2日、国に保安規定違反と判断され、改善を求める文書を受け取ったとのことです。東京電力は当初、書類上のミスなどが原因と説明をしていたようですが、国からの指示では(1)点検計画の管理不十分(2)完了していないのに点検済みとしていたなど、ずさんな処理が繰り返されていたなどです。県は、「信頼性の根本にかかわる問題」として、東電に再発防止策の徹底を求めたとのことです。どのような報告を東電から受け、どのような事を求めたのでしょうか。
 今まで、1回分の定期点検に携わる人は下請や関連の仕事をする人、すべてを合わせると何人になっていたのでしょうか。

 次に、プルサーマル運転についてです。核燃料サイクル政策の維持・推進のために強行されたプルサーマル計画は、10%しか資源・ウランの節約にならないのに、途方もないお金がかかり、電気代の値上げで国民の負担になって行きます。高速増殖炉の実験炉であるもんじゅは、すでにこれまで9200億円も使い、事故で動かなくなっても、今後、維持するだけで1日5500万円もかかる金食い虫になっています。六か所村の再処理工場は今後40年動かすと後始末も含めて19兆円もかかると言います。すでに東京電力は9つの電力会社では一番多くのプルトニュームを持っています。このプルトニュームを減らすためのプルサーマル計画は3基〜4基で実施となっています。しかし、同じ東京電力・柏崎刈羽原発では、刈羽村での住民投票で反対多数の意思が示され、加えて中越沖地震による被災問題があり、ここ数年でのプルサーマル実施は考えられません。
 質問ですが、福島県の原発はこのままでいくとプルサーマル実施基数がどんどん増やされて行く可能性があります。県はこの可能性をどう見ていますか。否定しますか肯定しますか、お答えください。
 プルサーマル実施で使用済モックス燃料は当面福島原発の敷地内に置くしか方法はないと考えますがいかがですか。
 原発を安全に運転するためにも、危機的になる保管の問題でも、労働者被曝の問題でも、プルサーマルは中止すべきと思いますが伺います。

 次に、原子力発電と地球温暖化問題です。新たな原子力発電所建設をやめることについてです。
 政府、電力会社は、原子力が二酸化炭素を出さない「クリーンなエネルギーだ」として、温暖化対策の切り札にしようとしています。原子力委員会が発表した今年の「原子力白書」では、地球温暖化対策の有効な手段として、原子力発電の推進をうたっています。
 その理由としてIPCC(気候変動に関する政府間パネル)第4次統合報告書で評価された事を上げています。しかしこの白書の作成過程ではヨーロッパ諸国は反対・慎重の意見で、アメリカと日本が強く推進と言う立場で位置付けられたものです。この報告では、原発には「安全性、核兵器拡散、核廃棄物の問題」があるとして、釘をさしました。欧州8カ国環境相の共同声明でも、原発には安全性にリスクがあり、温暖化対策の選択肢にならないと断じています。特に日本は、中越沖地震で明らかになったように、今後、地震による原発震災が想定されます。
 原子力発電は、運転中の放射性物質の放出を完全になくすことはできないし、1986年のチエルノブイリ原発事故では国境を越えて深刻な放射能汚染がったように、過酷事故を起こせば取り返しのつかない重大な環境汚染をもたらします。
 また、ウラン鉱石の発掘から・ウラン濃縮・燃料棒製造・そして、運転による大量の温排水の放出や高レベル放射性廃棄物の最終処分など、原発を動かすシステム全体では、膨大なCO2を排出していることは間違いありません。
 質問ですが、2002年9月に、県自身が作ったエネルギー政策検討会の「中間とりまとめ」では、「原子力発電は放射性廃棄物を排出することや万が一の事故の時、環境に重大な影響を与える事に十分言及せず、CO2排出の少ない点のみを強調し、原子力発電を推進する事は妥当か」と疑問を呈し、「その推進は国民に対して説得力を持つのか」と疑問を投げかけていますが、この見解を引き継ぐのですか、それを変えるのですかお答えください。県自身が出したこの見解に照らして、知事は原発推進政策はやめるべきと思いますが伺います。

 国は、遅ればせながら、再生可能エネルギーを普及する手段として、ほんのわずかですが、固定価格買い取りを含む制度を発足させました。ドイツなどは早くから、この制度を導入して温暖化ガスを90年比で2割近く削減しました。原発によるエネルギーを減らし、自然エネルギーを電力生産量の4%から12%に増やす中で達成したものです。EU(欧州連合)は、2020年までに、エネルギー需要を2割減らすとともに、自然エネルギーの比率を2割に高め、温暖化ガスの排出量を2割削減するとしています。
 国内でも、再生可能エネルギー利用計画が全国各地で進んでいます。極寒の地稚内や91%が森林の梼原(ゆすはら)町が、風力や森林利用などの地域資源利用で発電をしながら産業を興し雇用も増やしています。また、太陽光・熱利用発電は各地で行われています。国も、そのための財源として、電源開発促進税や石油石炭税、道路特定財源などを活用して、初期投資の支援をする事が重要です。
 質問ですが、このような再生可能資源エネルギーの爆発的促進を図ることが重要と考えますが見解はいかがですか、再生可能エネルギーでこそ今後のエネルギー政策のあるべき姿と思いますが伺います。
 CO2削減では国から来た多額の予算を企業に交付しましたが、県は独自に一般家庭に思い切った予算を確保し自然エネルギー普及に貢献し、また地域産業の活性化を図るべきと思いますが伺います。

 質問の・第二は、医療問題についてです。
 県民の医療面での安心に対する責任についてです。医療問題を扱った2つの映画を見ました。一つは、映画「いのちの山河」です。岩手県沢内村・現在の西和賀町ですが、1961年岩手県の山あいの村で、「豪雪・多病・貧困」と言う3悪に立ち向かって、当時は国保法違反と指摘されながらも、憲法25条を盾に老人と乳幼児の医療費を無料にして、全国初の乳幼児死亡率をゼロへと導きました。結果として国保税も安くなったのです。何よりも住民の究極の願いである、地方自治の原点いのちを守る政治が行われた事を描いたものです。
 もうひとつのアメリカ映画「シッコ」の方は、国民皆保険がなく保険会社が医療を支配するアメリカの医療の実態を描いたものです。裂けた足を自分で縫う衝撃的なところから始まり、切り落としてしまった2本の指の一本分しか継ぐ治療費がなく結婚指輪をはめる方を選択する患者、入院費がなくなった患者を病院が公園に捨ててくる場面、ヘンリームーア監督のドキュメント的映画でした。
 最近、地元のお医者さんが、TPPでアメリカの保険会社が日本の医療を新たな儲け口にさせてはならないと力説していましたが、今、国も地方も医療をどちらの方向に進めるべきかが問われています。
 県はこれまで、次々と県立病院を切り捨ててきました。このことは、一時的には県の財政負担を軽減させるかもしれませんが、結果として、地域医療をどうするのか、健康な県民づくりをどうしていくのかのリーダーシップが取れなくなってきていると思います。
 質問ですが、福島県は全国的に見て、周産期死亡率や乳幼児死亡率が高く、産科を標榜する医療機関も大幅に減少しています。また、急性心筋梗塞と脳血管疾患での死亡も高く、救急では病院収容所要時間も最下位クラスです。
 このような現状をどのように見ていますか。また、県民の最も基本的な要望である安心な地域医療についてどのように責任を持とうとしているのか伺います。
 医師確保などの地域医療対策費に新年度は50億円計上されています。そのうち県立病院を統合する、会津・南会津医療圏に10億円、県立病院を廃止民間譲渡する相双医療圏に8億9千万円の支出です。それだけ県立病院の廃止に住民の不安・抵抗があったからではないでしょうか。
 医師確保について新年度はどのように取り組むのか。その中で地域医療確保のための医師派遣はどのように強化されるのか伺います。

 原子力事故に対応できる医師養成についてです。原子力事故が起きた際に被爆者を治療するには「緊急被曝医療」に対応できる医師が欠かせません。この分野に強い救急総合医の養成を福井大学が進めています。普段は原発立地地域の医療機関で働く事で、医師不足の解消にもなると期待されています。2009年度から文部科学省からの財政支援を受け養成コースを設置し先駆けて進めていると聞きます。
 質問ですが、福島県も緊急被曝医療体制は整備されていますが、その充実確保のため、検討してはどうか伺います。

 いわき市の医療問題についてです。厚生労働省が2008年12月31日現在で調査したいわき市の医師数は、人口10万人当たり165、2人であり、全国平均の212、9人、県平均の183、2人に比べても著しく少ない状況です。2008年4月から始まった第5次地域医療計画時よりもかえって減っており(167、7人)ます。
 いわき市消防本部の最近の調査によれば、いわき市の救急出動件数は、一時減少に向かっていたが、昨年は増加に転じた。また、救急受け入れ拒否は過去5年間で最多、受け入れ拒否11回以上が98件にもなったと発表しています。最近私の近所で交通事故にあわれた方があり重傷事故でした。救急車はすぐ来ましたが、受け入れ先が見つからず、いつまでたっても出発できませんでした。磐城共立病院は緊急手術が2件あって受け入れ不能と言われたのですが、とりあえず共立に向かうしかなかったと言います。幸いにして緊急手術は免れたのでしたが、綱渡りの状況は改善されていません。
 いわき市では、これまで市内の病院に勤務する医師を招聘するため病院勤務医就職ガイダンスなどの事業を展開しているほか、磐城共立病院としても、地域医療支援病院や病院機能評価の認定を受ける努力とともに、大学医学部に在学する学生に対する研修医マッチングについても、本年14人がマッチングし成果が表れるなど明るい兆しがあるものの、深刻な状況はいまだ解決に至っていません。
 いわき市は、新年度に医師確保のさらなる推進のため大学医学部に寄付講座を設け、救急医療の確保などについて推進を図る事を提案しています。この制度は県内では初めてで、全国でも10自治体に満たないくらいですが、それほど深刻です。
 質問ですが、2008年2月議会本会議と、一年前の2月議会の総括質疑で、いわき市の医師不足支援について質問しましたが深刻さは続いています。2008年2月議会の保健福祉部長の答弁では、(1)公的病院を対象とする医師派遣事業を実施する(2)ドクターバンクの運用や自治体病院へ派遣する常勤医師の確保(3)市や医療機関が行う独自の取り組み支援で対応するとお答えいただきました。これらの対応で、いわき市への医師派遣がどのように前進したのでしょうか伺います。
 県は第5次福島県医療計画の基本に、「どこに住んでいても必要な時に適切に良質な医療サービスが受けられるように」としていますが、いわきの医療についてこの事では、どのように考えていますか伺います。
 第5次地域医療計画での医師確保の現状と課題では、地域によって医療施設従事医師数が、かなり格差があるとして偏在を是正する必要があると言います。この観点から、県内でも医師が減り続けているいわき市の医師確保に対してどのようにして偏在を是正させようとしているのかうかがいます。

 最後に、(4)、環太平洋連携協定・TPPに参加することでの、医療に与える影響です。日本医師会が(昨年12月1の記者会見で)、TPPに対し懸念を表明しました。理由は、○混合診療の全面解禁で公的医療保険の給付範囲が縮小する、○公的医療保険の安全性が低下する○株式会社の医療機関参入で患者の不利益が拡大する、○医師・看護師・患者の国際的移動が医師不足・医師偏在に拍車をかけ、さらに地域医療を崩壊させる、です。
 質問ですが、TPP参加で県内医療がどのような影響を受けると考えますか、特に医師不足・医師偏在が福島県に与える影響をどのように見るのかお伺いします。医療面からみてもTPPには参加すべきではないと考えますがいかがですか、伺います。

以上


答弁

知事

 原子力政策についてであります。
 私は、就任以来、原子力政策に対し真剣に向き合い、県民の安全・安心の確保を最優先に慎重に対応してまいりました。昨年度には、エネルギー政策検討会において国や事業者の取り組み状況を詳細に検証いたしました。現在も国や事業者による安全確保や信頼性向上に向けた取り組みを厳しい目線で確認しているところであります。
 私は、今後とも原子力政策に対しては、立地自治体の立場を堅持し、国に対して言うべきことは申し上げ、県民の安全・安心の確保を最優先に慎重に対応してまいりたいと考えております。
 その他の御質問につきましては、関係部長から答弁させます。

企画調整部長

 再生可能エネルギーにつきましては、地球温暖化対策のみならず、エネルギーの地産地消による地域振興の面でも大きな意義を有しているものと考えております。
 県といたしましては、今年度新たに策定する(仮称)福島県再生可能エネルギー推進ビジョンのもと、初期費用の負担軽減策を初めとする実効性のある導入方策を実施し、再生可能エネルギーの一層の普及拡大に取り組んでまいる考えであります。
 次に、今後のエネルギー政策につきましては、福島県総合計画「いきいきふくしま創造プラン」で描く環境への負荷の少ない低炭素・循環型社会へ転換するため、今年度新たに策定する(仮称)福島県再生可能エネルギー推進ビジョンにおいて、平成32年度における目標導入量を平成21年度実績の約1.4倍に設定するなど、再生可能エネルギーのさらなる導入を促進してまいりたいと考えております。
 次に、再生可能エネルギー推進施策につきましては、来年度当初予算において、再生可能エネルギーの導入促進と環境技術の普及を重点事業に掲げており、市町村と連携した導入支援により、一般家庭における再生可能エネルギーのさらなる普及拡大に努めるとともに、環境・新エネルギー関連産業の集積・育成に向けて県内企業の研究開発への助成等を行うなど、地域産業の活性化を図ってまいる考えであります。

生活環境部長

 福島第二原子力発電所三号機における定期検査間隔の延長につきましては、県原子力発電所安全確保技術連絡会等において、事業者に機器の経年劣化への対応等のこれまでの取り組み状況について説明を求めたところであります。
 現在、事業者からの認可申請等について国が審査しているところであり、県といたしましては、引き続き国、事業者に必要な説明を求めるなど、県民の安全・安心の確保の観点からしっかりと対応してまいる考えであります。
 次に、機器点検の問題などにつきましては、事業者において一つ一つのトラブルに即して原因究明を行い、再発防止対策をしっかり講じていくことが重要であると考えております。
 県といたしましては、事業者に対して引き続き保全活動の品質改善に向けて着実に取り組むよう求めてまいる考えであります。
 次に、機器の点検周期超過につきましては、事業者から点検周期を超過していた機器の健全性の確認状況及び点検周期超過の原因と再発防止対策について詳細な報告を受け、点検計画の信頼性にかかわる問題であることから、事業者に対し厳しく注意するとともに、再発防止対策の徹底と保守管理の信頼性向上に一層取り組むよう強く申し入れたところであります。
 今回の国の指示を受け、事業者においては今後根本的な原因を究明し、再発防止対策を策定することとしており、県といたしましては、その取り組み状況をしっかりと確認してまいる考えであります。
 次に、原子力発電所の定期検査における作業従事者数につきましては、事業者からの報告によれば、福島第一及び第二原子力発電所各号機での直近の定期検査における放射線管理区域内の作業従事者数の平均は約4400名となっております。
 次に、福島第一原子力発電所三号機以外でのプルサーマルの実施につきましては、現時点では承知いたしておりません。
 次に、使用済みMOX燃料については、事業者において県外に搬出するまでの間、当面福島第一原子力発電所内で適切に保管する方針であると承知しております。
 次に、プルサーマルにつきましては、原子力発電所の安全確保は、安全規制を一元的に担う国及び発電所を運営する事業者が責任を持って対応すべきものであります。
 県といたしましては、平成10年の事前了解時に国、事業者に求めた使用済みMOX燃料対策の長期的展望の早期明確化やMOX燃料取り扱い作業従事者の被曝低減等の四項目に加え、昨年8月の実施受け入れ時に事業者に求めたMOX燃料使用時の安全監視情報の提供等の三項目の取り組みについて今後ともしっかり確認するなど、県民の安全・安心の確保を最優先に対応してまいる考えであります。

保健福祉部長

 周産期医療や救急医療、脳卒中や心疾患に対する医療の現状につきましては、医師の絶対数が不足する中で、特に専門医の確保や高度医療機器等の整備が重要であると認識しております。
 県といたしましては、緊急医師確保対策プログラムや地域医療再生計画に基づき、県立医科大学や関係機関と連携しながら医師の確保対策や高度医療機器等の整備を推進するなど、地域医療の確保に積極的に取り組んでまいる考えであります。
 次に、新年度における医師確保への取り組みにつきましては、県立医科大学医学部の入学定員を五名増員し、110名とするとともに、医学部生を対象とする地域医療体験研修事業の実施などによる卒後臨床研修医の確保や研修資金貸与などによる後期研修医の確保など、医師の県内定着に向けた対策を引き続き行うこととしております。
 また、医師派遣については、県立医科大学の助手枠を十名増員して、派遣要請の多い公的病院への支援を強化するなど、さらなる地域医療の確保に努めてまいりたいと考えております。
 次に、緊急被曝に対応できる医師につきましては、被曝医療を担う医師に対して、財団法人原子力安全研究協会と連携して研修会を開催するとともに、緊急時の円滑な医療活動に備え、救護訓練等を実施しているところであります。
 今後とも、さまざまな研修機会をとらえながら医師の養成確保に努めてまいりたいと考えております。
 次に、医師派遣につきましては、平成18年度に県立医科大学に33名の助手枠を確保し、県内の公的病院に派遣しているところであり、いわき市内の公的病院に対しては、平成18年度から四名、21年度からは五名の医師を派遣しております。
 次に、いわき市の医療問題につきましては、いわき医療圏は高次救急医療や周産期医療などの医療施設が整備されている一方で、近年、病院勤務医の減少が見られております。
 県といたしましては、公的病院への医師派遣、地域周産期母子医療センターの運営や高度医療機器の整備に対する支援などにより、医療体制の一層の充実に努めてまいりたいと考えております。
 次に、医師の偏在是正につきましては、公的病院等への医師派遣を初めドクターバンクの運用や産科等の特定診療科医師に対する研究資金の貸与などにより医師の確保を図るとともに、地域医療再生計画等に基づき、医師の負担軽減や医療環境の整備を支援し、医師の偏在是正に努めてまいる考えであります。
 次に、環太平洋パートナーシップ協定、いわゆるTPPに関する県内医療への影響につきましては、国において昨年11月9日に包括的経済連携に関する基本方針を閣議決定したところであり、その中で人の移動、規制制度改革の各分野については今後方針を検討するとされたことから、県といたしましては、国における検討状況等を注視してまいりたいと考えております。
 次に、医療面に及ぼす影響の観点から、TPPへの参加につきましては、国において広く国民の声を聞くなど十分に議論を尽くした上で慎重に対応すべきものと考えております。


再質問

 原発政策で知事に質問をいたします。
 知事は、立地自治体の話を聞いてというふうな答弁なんですが、万一の事故とか廃棄物の問題、そういうことも含めて、立地自治体の話を聞いただけでは県民全体には責任はとれないというふうに思います。それで、私は原発推進政策はやめるべきというふうにお尋ねをいたしましたが、慎重にというふうなことなんです。私は、その面においては、立地自治体ではなく、県民全体の声を聞くべきであるし、慎重でなく、原発推進政策は、県みずから決めた中間とりまとめとの矛盾も深刻なので、やめるべきと思いますが、再度見解をお聞きしたいと思います。
 それから、原発問題では生活環境部長にお尋ねをいたします。
 国が審査していると、そういうふうなことなんですけれども、私はそういう態度では県民の安心・安全は図られないと思います。2月9日の現地調査では、県が行ったわけなんですけれども、県から七人、町から三人、専門家はそのうち三人というんですけれども、私はそこでどんな調査をしたのかなというふうに思ったんですが、伺いたいと思います。
 それから、第二原子力発電所の三号機でまず検査期間延長をやるというんですが、この原発は1989年で再循環ポンプがめちゃめちゃに破損して、その残骸が炉心を初め原子炉内に入り込んだいわくつきの原発なんです。すべての残骸がとられたものではなくて、私もよく覚えています。大振動が起こっているにもかかわらず、もう少しで定期点検だからということでとめなかったわけなんです。そういう原発でなぜ一番初めに検査期間延長をやるのかと。こういう経過をどのように見ているのかお伺いいたします。
 それから、いわき市の地域医療の問題なんですが、いろいろおっしゃっていますけれども、功を奏していないというふうにしか見えません。産婦人科の問題では、県警が産婦人科の医師を逮捕するというふうなことがありまして、インターネットで、福島県には医師を派遣するなと、そういうのが流れたりして重大な事態になったわけです。一回そういう状態になりますと、医師が減ると、一人の医師に大変な加重がかかって、非常に厳しい医療現場で働く医師が体を壊してやめていくというふうなことになって悪循環になるんです。そういうことを考えても、やはり市民は一体県は何しているんだというふうな思いを持っているわけです。ですから、医師派遣をもっと予算もふやして真剣にこのいわき市に対して派遣をしてほしいと、このように思いますけれども、お答えいただきたいと思います。


答弁

知事

 先ほどの私の答弁の中の後半で、立地自治体の立場を堅持しという答弁がありましたけれども、この立地自治体というのは福島県ということですから、誤解のないように。そういう意味でもう一回答弁しますと、原子力政策に対しては、立地自治体の立場を堅持し、国に対して言うべきことは申し上げ、県民の安全・安心の確保を最優先に慎重に対応してまいりたいと考えておりますということであります。

生活環境部長

 一点目の今回の第二原子力発電所三号機の定期検査期間延長にかかわる県としての確認内容ということでございますけれども、2月3日の技術連絡会、それから2月9日の立入検査、こういったものを通じまして、これまでの本県のこれに係る要請に対する対応状況、それから今後の対応方針、こういったものにつきまして詳細に説明を受け、審議をいたしました。その結果としては、これまでの取り組みについては問題点は認められなかったということでございます。今回の認可申請については、現在国において審査中でありますので、県といたしましては、引き続きこれからの国の審査の経過や結果、そういったことも含めて国、事業者に説明を求めながらしっかり対応していきたいというふうに考えております。
 それから、昭和64年に起きました原子炉再循環ポンプ損傷事故にかかわる第二の三号機についてのお話でございますけれども、これにつきましては、当時原子炉内に流入をした金属粉の回収、それから機器の取りかえ、こういったものを行いまして、プラントの健全性を確認した上で平成2年11月から運転が再開され、この件についてはその後特に問題がなく推移をしているというふうに認識をしております。

保健福祉部長

 いわき市の医師確保についてでございますが、医師の派遣につきましては、現在33名の公的病院の派遣枠がありますが、これを来年度から十名ふやすこととしたところであります。また、医療体制の充実というのが医師の定着や確保につながるという観点がございますので、周産期母子医療センターの運営の補助、産婦人科の処遇改善への補助、高度医療機器の整備に対する支援などを行いながら医療体制の一層の充実に努めてまいりたいと考えております。


再々質問

 まず、知事にですが、自治体は県全体だというふうなことなんですけれども、安全を優先させるのであれば、原発を推進する政策ではなくて、さきに述べましたけれども、再生可能なエネルギーを爆発的にふやして、そしてそちらでやるべきだというふうに質問をしたんですけれども、その辺については明確な答弁がなかったので、私はやめるべきというふうに思っておりますが、知事の答弁をお尋ねしたいと思います。
 それから、第二原発の三号機でまずやるということなんですけれども、かなりめちゃくちゃになって、羽根などが炉内に入ったんですけれども、100%とれたわけではないんです。時間がたっているからいいんだというふうなことなんですが、私はやっぱりなぜこの第二原発三号機で延長するのかなというふうな点において明確な県の見解がないと思うんですけれども、それをちょっと聞きたいと思います。
 それから、古くなればなるほど十分な検査というものが必要になってくると思うんですが、なぜだんだん古くなってくる原発で検査期間を延長していくのかというふうなことは県民はとても納得がいかないというふうに思うんですが、そのことについてお聞かせいただきたいと思います。
 そして、11月2日の第一原発五号機の水位の乱高下の問題も、それから2日の日に保安規定違反が指摘されたというふうな問題についても、次々とこういう事態が発生しているんです。ですから、そういう意味においても、その間隔延長というのをやりますと、余計に安全性が確保されないのではないかというふうに思うわけなんです。詳細な報告を受けたということなんですけれども、詳細なって、1時間ぐらい受けたんだか30分ぐらい受けたんだかわかりませんけれども、例えば2月9日の調査では3時間ぐらいって聞いているんです。それでどんなことを調べて、どんな詳細な調査を受けたのかということなんですけれども、もう少しその辺を詳しくお話しいただきたいと思います。
 それから、医師派遣の問題は、偏在がひどいというふうなことは認識されているわけですから、やはりそれに合ったようないわき市に対する医師派遣をやってほしいというふうに思いますが、再度質問いたします。


答弁

知事

 原子力政策につきましては、引き続き県民の安全・安心の確保を最優先に慎重に対応してまいります。

生活環境部長

 なぜ福島第二の三号機からなのかということだったかと思いますが、第二原子力発電所三号機において、定期検査間隔の設定のための技術評価なり国への申請準備が最も早く整ったということから、最初に計画されたというふうに聞いております。
 それから、ポンプの損傷事故についてのことでございますけれども、繰り返しになりますけれども、平成2年11月に運転が再開され、その後特に問題がなく推移をしているというふうに認識をしております。
 それから、三点目の今回の定期検査間隔延長についてのことでございますが、新検査基準に沿って計画をされているということでありますので、県といたしましては、国の事業計画の内容、それからそれに必要な準備内容、そして国の審査結果、こういったものをしっかり確認しながら対応していきたいというふうに考えております。
 それから、四点目に、これまでの県は何を確認したのか、どういうふうに確認したのかということだったかと思いますけれども、これも繰り返しになりますが、2月3日の技術連絡会、それから2月9日の立入検査、こういったものを通じまして、例えばこれまでの本県の要請に対する取り組み状況という点では、保全作業、品質の維持向上はどうだったか、それから適切な保全データの収集、点検にそれが反映されているか、そういったこと、それから今後の対応方針ということでは、炉心管理に及ぼす影響への対応でありますとか、機器の経年劣化が及ぼす影響への対応、こういったものを聞き取りながら、立入調査も含めて確認をしたということでございます。

保健福祉部長

 医師派遣についてでございますが、医師の派遣枠に対しまして要望がかなり多いような状況にございますので、関係者で構成する医師派遣の調整会議で十分協議をしてまいりたいと考えております。

以 上



日本共産党福島県議団
〒960-8670 福島県福島市杉妻町2番16号 TEL:024-521-7618/FAX:024-523-3256
jcpfskg@jcp-fukushima.gr.jp
Copyright(c)2004 fukushimakengidan All rights reserved.