藤川淑子県議
日本共産党の藤川淑子です。
はじめに、国会で審議されております震災復興基本法案につきまして、県の認識をお尋ねします。
現在、国会で審議中の震災復興基本法案は、今月17日にも採決が行われると、こういう情勢にありますが、この法案には、県がこれまで求めてきた原子力災害についての一元的な組織の確立と、現行の原子力損害賠償法では補いきれない現状に対応する措置が必要だと思うところです。
ところが、法案の中を見ますと、原子力災害を調査審議する合議制、この機関の設置についてはされるものの、復興構想会議の調査審議を前提とすると、こういう内容になっております。これでは、知事がこの間求めておいでになりました合議制機関の自主性、独立性が確保できなくなると懸念を持つところなんですけれども、この点で県の認識をお聞かせください。
企画調整部長
政府の復興基本法案によりますと、合議制の機関、これは復興構想会議と同様に東日本大震災復興本部の下に置かれるということになっておりまして、組織上は並列であるというふうに考えております。
ただ、その合議制の機関においての審議は、今委員のお話にありましたように、復興構想会議の調査審議を踏まえて行われなければならないというふうに規定をされております。復興構想会議には、知事が委員として参画をしておりまして、これまで原子力災害からの復興のために必要な対応も含めまして、折々に本県の考えをしっかりと要請をする、伝えるということで対応してまいりました。
そういうことを踏まえまして、これまでの成果が今回の合議制の機関という形であらわれたと。それから、この前示された第一次提言の素案の骨格に示されたわけですけれども、その中にも原子力災害についての記述があるということかなというふうに考えております。そういう中で私どもといたしましては、この復興基本法の規定によって私どもが求めてまいりました合議制機関の審議が限定されるということは実質的にないというふうに考えております。
これまでも、知事、内堀副知事からも本県の考えをしっかりと述べてまいりましたけれども、合議制の機関が必ず設置されて、そこで私どもの特有の原子力災害のことが審議されるものと考えております。
藤川淑子県議
組織的には並列で、原子力災害についての審議も十分に行われると認識されているとのことですが、私の懸念は、実は、日弁連が5月20日に、復興基本法案について意見書を出しているわけですけれども、日弁連の懸念と私の懸念はほぼ同じことを指しております。
それによりますと、法案に原子力災害の特質を明記し、それを踏まえた調査審議の自主性・独立性が確保されるべきであると、こう述べておりまして、原子力災害を審議する合議制機関の審議結果や意見を、復興構想会議は尊重すべきという意見を政府に出しているわけなんです。
私は、実効ある合議制機関とするためにも、この日弁連と同じ立場で、県として政府に意見を出すべきではないかなと考えますので、見解をお聞かせください。
企画調整部長
今ほど申し上げましたように、復興構想会議の中では、本県の原子力災害については、復興構想会議でしっかりと議論すべきだという考え方が各委員からだされてまいりました。復興構想会議の中でも、そういう共通の理解に立っていると私も理解しております。そういう中で復興構想会議の第一次提言の中でしっかりと合議制機関の設置の必要性について、福島県の考えを盛りこんでいただくということで、6月11日の復興構想会議、知事が出席いたしましたが、その中で改めて合議制機関の必要性を第一次提言の中に盛りこむようにということで要請をしてまいりました。私どもといたしましては、復興構想会議の中で、すでに議論はされておりますけれども、提言の中にしっかりと主張してまいりたいと考えております。
知事
今の件につきましては、一昨日の復興構想会議で、その要点として私も 改めて述べさせていただいて、それが今回の第一次の素案の中に入るものと、その辺のことを強く求めてまいりました。機能の2日目の議案にはのっかっていたと思いますが、その意味では並立的ということを強調しております。
藤川淑子県議
ということは、その法案にあります第13条のところの修正を求めるということかというような認識でよろしいでしょうか。
内堀副知事
知事が復興構想会議で申し上げた点は、素案、そのものの中でしっかりと福島県の考え方を担保していただくと、そこに書いたことによって協議の場においてもしっかりと掘り下げて審議していただくというような考え方であります。
藤川淑子県議
今、国会において原子力災害対応が、いささかでも弱められる動きというのがあってはならないと思っております。今後、賠償においてもそうでありますし、先程来お話にありました放射能医療の拠点をつくるということにおいてもそうでありますし、放射能除染の研究をするにしても、特別の措置というものがはかられなければ、県の考えていることが実現をしていかないということがありますから、しっかりとした法体系が必要だと思います。復興構想会議で意見をおっしゃったということなんですけれども、復興構想会議は法的に位置づけがないものですね。基本法案の中にある合議制の機関は、法に位置づけられる機関でありますから、法に位置づけられる機関であるにもかかわらず、法的位置付けのない復興構想会議の下に置かれることがあってはならないと思いますので、この点で強いスタンスで臨んでいただきたいと思いますので、知事の答弁をお願いいたします。
内堀副知事
復興基本法案において、今、法定されますのは協議の場だけではなく、復興構想会議そのものも法定されます。いずれにしても、委員おただしのように、福島県が多々国に対して、復興構想会議に対しまして要請したこと、それを形にしていくことが何よりも重要でございますので、そのような結果になるように知事はじめ県としてしっかりととりくんでまいりたいと考えております。
藤川淑子県議
よろしくお願いいたします。
次の質問に移ります。原発事故の全面賠償にかかわってお尋ねいたします。原発事故の被害につきましては、先程来、あまねく損害について全面賠償を行わせていくと、東電に行わせていくということにならなければならないと思います。
全面賠償とは、原発事故がなかったらならあったであろう収入と、現実の収入の差をすべて賠償させることです。この点で、紛争審査会の第二次指針は、出荷制限に対しまして「風評害」ではなく「実害」と踏み込みましたし、出荷制限をうけた地域のすべての農産物を風評被害の賠償の対象に加える、また、観光業につきましても「風評被害」についても一部を認めると、原発事故に起因する就労不能の減収分、これも損害とするところまで来たと思います。これは、県をはじめ、各分野の、これまでの働きかけの反映であると私は思っております。
しかし、まだ全面賠償の立場とはいえませんで、食品以外の農産物や避難区域外の自主避難や精神的被害など次回に持ち越されている課題というのはございます。こういった局面の中で、全面賠償に向けて、紛争審査会への働きかけをもっと強化していく必要があると思いますが、働きかけ強化について、お考えをお聞かせください。
原子力損害対策担当理事(病院局長)
原子力損害賠償についてのおただしでございますが、審査会が開催されて以来、県といたしましては、委員おっしゃいましたように被害が県内全域に及んでいるため、県内全域を賠償対象とすること、それから特に風評被害を含む営業損害、それから精神的損害、そういったことについても幅広く賠償とすることなどについて今までも強く申してきたところでございます。
結果、委員にもご指摘いただきましたように、一次指針、特に二次指針において農産物、それから観光業という、順次幅広い対応がされてきたと認識しております。ただ、われわれが望んでいる賠償、被害のほんの一部であると認識しておりまして、むしろこれから、農林水産業、観光業以外の産業等、それから委員もご指摘された避難区域以外の精神的被害、自主避難の問題、それから自治体の問題等まだまだあります。今後とも審査会の方には具体的な事実を1つひとつ積み上げて、個別具体的に突きつけていきたいと思っておりますし、関係団体、市町村と連携しながら、そういった被害の実態を積み上げて強く審査会の方に働きかけを行って継続してまいりたいと考えております。
藤川淑子県議
全県民のあまねく被害を賠償させていくという立場で、今、県内の体制が構築されつつありますが、業界団体などに組織されない個人に対応する窓口ということで、これを市町村に置くということで、市町村は事務量が膨大になると思います。市町村に対しまして、弁護士などの専門家や人員配置の支援を急ぐ必要があると思いますが、見解を聞かせください。
原子力損害対策担当理事(病院局長)
被災者、特に個人の方々の救済、速やかな賠償請求を円滑に進めていくためには、当然県と市町村、関係団体が一体となってやっていく必要があると考えてございます。県としては、原子力損害賠償の窓口を開設して、なおかつ関係団体連絡会議を開催しておりますが、特に市町村対応というのは重要でございますので、先般、原子力損害賠償等の市町村説明会を開催いたしまして、請求手続き等について、住民支援をお願いしているところでございます。説明会をやっただけでどうかということもございますので、実はすでに避難地域をかかえる13市町村については個別に回ってございます。それから今週、残りのすべての市町村について、住民に対する支援体制の構築にについて個別に要請もしながらやっていきたいと思いますし、そういった弁護士も含めた専門的な相談の部分、いろんな支援、市町村の個別の事情もございますので、そうして市町村の要望にできるだけ応えられるように県としても支援をしてまいりたいと考えております。
藤川淑子県議
市町村への支援について、よろしくお願いいたします。
同時に、県にもいわゆる個人請求をサポートする窓口ですね、これを設けていく必要があると思いますが、いかがでしょうか。
原子力損害対策担当理事(病院局長)
現在、原子力災害対応窓口ということで開いておりまして、個別の、特に県民の方々からの相談に応じております。特に一番相談が多いのは、区域外で自主的に避難された方々、それに対する精神的損害につてのお問い合わせ等が多いことから、そういった対応について今後対策を強化していきたいと思いますとともに、弁護士による相談を今週一回やっておりますので、そういった専門的な法律相談についても、今後皆様の御要望も踏まえながら、強化についてやってまいりたいと思います。
藤川淑子県議
県に個人請求をサポートする直接的な窓口をつくるということは、具体的な個人の方々のあまねく損害ですね、事例が県に蓄積されると、こういうことになってくると思うんです。そのことがひいては損害賠償を、たぶん長くなると思うんですけれども、それを生かして全面賠償をさせていくということにつながっていくと思いますので、その点でも窓口をよろしくお願いいたします。
次の質問なんですが、原発事故で事業ができなくなり、収入が途絶え、借金が返済できなくなっているケースもたくさんあります。東京電力が全面補償するまでの間、返済猶予を含め、国が借金を肩代わりする措置を求めるべきと思いますが見解をお聞かせください。
商工労働部長
返済の猶予につきましては、県としては県内の金融機関に対して、返済猶予の、そういう貸し付け条件の変更、あるいはつなぎ資金の申し込みがあった場合には、中小企業金融円滑化法の趣旨を踏まえてできる限りこれに応えるようにということで金融機関に要請していくであります。
大きな意味での二重債務問題については、国において被災した中小企業の債務負担を軽減する方策について、現在検討しているところでございますので、その検討状況を注視してまいりたいと考えております。
藤川淑子県議
国策でありますので、原発災害に対する二重ローンの問題、これはそれなりの措置があってしかるべきだと思いますので、国に求めていただきたいと思います。
それから損害賠償につきまして、質問をさせていただいておりますが、あまねく損害について全面賠償を求めていくというのは、県議会においても全体で、超党派でこれは国や事業者に求めていく内容だと思いますので、そうした意見も県議会特別委員会として出していくべきではないかなと思いますので、委員長の手元でよろしくお願いいたします。意見です。
次に、放射能被害に対する県民の不安にこたえる対策につきましてお伺いいたします。
放射能被害の対策はあらゆる対策を講じて県民に安心を与えて、県民の積算線量を低減させる取り組みが必要です。とりわけ未来に担う子供たちに対する対策は迅速に行わなければないところです。
そこで、提案なんですけれども、夏に向けての教育施設のクーラー設置、屋内プール利用への財政支援、夏休みに比較的放射線量の低い地域へ子どもたちを避難させる課外授業カリキュラムを県の事業として実施することを提案したいと思いますが、これらについての見解をお聞かせください。
教育長
学校施設へのクーラー、エアコンの設置の話だと思います。実は今、国において3分の1の補助というのがございます。ただこれは、1校あたり400万円以上でないと対象にならない。あと1つは扇風機は対象にならないという中身でございます。この中身については市町村の方から国に対して要望がございます。われわれも機会があれば国に対して要望してまいりたいと思います。扇風機つける、エアコンつけるそれぞれの地域の実情に応じてやるというところだと思います。
それから、屋内プールについてのお話でございますが、これについてはまさに市町村の判断においてやっておられることだろうと考えておりますので、これについて県として直接的に財政支援ということは今のところ考えておりません。
観光交流局長
子どもたちが南会津、会津等に行って宿泊体験をする活動ということは、いわゆる地域間交流に役立ちますし、子どもたちの心身リフレッシュということもございますので、既存の授業でございますが、市町村、教育委員会等とも連携して検討してまいりたいと考えております。
藤川淑子県議
教育長に再度お尋ねいたします。扇風機とかクーラー、いま経費の話が出たんですけれども、これくらいの経費は、県で担ってとうぜん大丈夫だと考えております。財政的にも。再度お願いいたします。
教育長
まさにこれは、市町村立学校、設置しているところの市町村において、その学校の置かれている状況、それから設備の内容も含めて検討された中身だと思います。そもそも国においてそういうものがあるわけですから、市町村がその充実を求めている中で、われわれも市町村と一緒になって補助の拡大にむかって努力をしていきたいと思っております。
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