藤川淑子県議
日本共産党の藤川でございます。
はじめに損害賠償についてお尋ねいたします。
県は原発災害の被害は全県におよぶと、賠償は広くあまねくという立場ですが、全県におよぶ損害額についてお聞かせください。
原子力損害対策担当理事
全体的な損害額につきましては、先ほど申し上げましたが、紛争審の「中間指針」が出てから算出したいと考えております。
藤川淑子県議
だいたいいつ頃、算出を出される予定でしょうか。
原子力損害対策担当理事
7月末に「中間指針」ができると聞いておりますので、その辺を照準に、いま関係団体と調整をいたしているところでございます。
藤川淑子県議
いつ頃、算出するのでしょうか。
原子力損害対策担当理事
7月末に「中間指針」ができるので、それに対して具体的にどういうリアクションをやっていくのかの中で、損害額のぶつけ方を戦略的に考えていきたいと考えております。
藤川淑子県議
「中間指針」の前に出すか、あとで出すかというところで、戦略的に大きくかまえていくことが大事ではないかと思っております。というのは、県民から見て、賠償の進捗がよく見えないのは、全県の損害額がいかほどになっているのか明確にされていない、それをあまねく賠償していく立場は明らかにしつつ、金額的なものが出されてこなかったからではないかと思うんですね。そこの戦略なんですが、私は、早めに出すべきではないか思うんですが、いかがでしょうか。
原子力損害対策担当理事
いま、審査会のほうでどのようなことをやっているかと申しますと、17分野で風評被害を含む経済的損害について、具体的ケースが当てはまるかどうかの検討をしております。我々としては、具体的被害の実態をいかにぶつけるかの意を尽くしていきたい。審査会の動きを見ながら、戦略的にいつのタイミングでぶつけていくか考えていきたいと思っております。
藤川淑子県議
審査会の指針に縛られた損害賠償の仕方になっていくと、額も範囲も小さくなっていくという心配があります。
農民連が損害賠償請求をしたところ、21ページにもわたる様式に記入せよとの東京電力の対応がありました。つまり立証責任を明らかにしろということなんですね。でも立証責任は加害者が行うべきものであって、この問題は、国会でも東電の社長が「失礼な対応だった」と謝まりました。これは結局2次指針で出荷停止野菜だけでなく、その地域全体の野菜も賠償対象となったことや、それから風評被害も賠償対象となったことが反映されていない対応であります。
東電は、国会でも賠償については「指針に沿って」とくり返し答弁して、指針に逃げ込んでいるというふうにも受け取れます。そこで、賠償の請求様式を県でつくって、東電に認めさせる取り組みが必要と思いますけれども、いかがでしょうか。
原子力損害対策担当理事
損害賠償の対策協議会をつくって、被災者の賠償支援をいかにスムーズにやっていくか。そういう中で、請求の方法、ルール、そういったものを県が中心となって東京電力と調整していきたいと考えております。
藤川淑子県議
協議会をつくられたということで一歩前進と思っておりますが、あまねく賠償との立場に立つなら、手続きも簡便なものが必要です。ですので、協議会も含めまして、英知を絞ってしっかりとやっていただきたいと思います。
それから、自治体の損害額についてですが、県の損害額はいくらでしょうか。市町村の損害額も明確にさせる必要があると思いますが、いかがでしょうか。
原子力損害対策担当理事
県および市町村の損害額も含めまして、「中間指針」をにらんでの県全体の出し方の中で考えていきたい。双葉郡の町村は、被害額を出すのはなかなか難しいところもあるので、推計の方法も含め検討していきたいと考えております。
藤川淑子県議
よろしくお願いいたします。
あまねく損害を賠償させるためには、サラリーマン、主婦など個人の賠償もサポートできる体制が不可欠になってまいります。市町村窓口は、相談だけではなく直接請求をとりまとめる窓口として、実効ある役割を担うことが必要になってくると思うんですが、見解をお聞きかせください。
原子力損害対策担当理事
請求様式を簡便にする、被災者の方々の負担にならないような形で定めるのが一番肝要と思っているので、県はそこに意を尽くして東京電力と調整したいと考えております。それを受けた上で、個人のサポートをいかにするか、県と市町村一体となって考えてまいりたいと思っております。
藤川淑子県議
東電にはお願いするという立場ではなくて、賠償させるという立場で、いま述べたことに臨んでいただきたいと思います。
同時に、この前のときも求めたんですけれど、県も直接請求の窓口業務を担って、そのために県の体制として、例えば「損害賠償課」のようなものを立ち上げる。独自の体制をつくって臨んでいく必要があるのではないかと思いますが、見解をお聞きいたします。
原子力損害対策担当理事
県の体制については、本格賠償に向け強化について検討してまいりたいと思っております。
藤川淑子県議
賠償の進捗は、県民の生きる希望につながってくると思います。骨太の構えの大きな取り組みをしっかりとお願いしたいと思います。
次に、放射能対策についてお尋ねいたします。子どもを守る緊急プロジェクトです。学校や児童施設の表土除去の補助は、1マイクロシーベルト未満は市町村に2分の1の負担が生じ、私立学校の場合は、設置者が2分の1負担になるということになっております。私学振興協会の無利子貸付が準備されておりますが、協会に未加入の設置者もおり、不十分だと思います。児童養護施設の5割は私立、保育園の6割は私立です。障がい者施設となりますと7割が私立の設置者という現状がございますので、すべての子どもの健康を守るためには、私立の負担と市町村の負担はなくすべきだと思いますが、見解をお聞きいたします。
総務部長
私立学校につきましては、設置者が2分の1負担については、私学振興基金協会から無利子の融資を受けられる形で考えております。ただ、私学振興基金協会に入っていない団体、学校等もございますので、そこについては、どのようなことが可能なのか、今後検討していきたいと考えております。
藤川淑子県議
検討をお願いいたします。例えば、国の2次補正を見ますと、放射能対策費として、福島県内外で表土除去で50億円、子どもの健康関連で962億円、予備費で8,000億円が計上されていると聞き及んでおります。これらも活用して、実質全額補助をすべきだと思いますので、よろしくお願いいたします。
牛肉の問題なんですけれども、肉用牛から基準値を超すセシウムが検出された問題が、非常に深刻になっております。全頭検査は当然のことなのですすめていただきたい。ところで、肥育途中の牛については、安全な稲ワラの飼料の給餌によって、半年程度で放射能の新陳代謝が図れるという専門家の意見もございます。
そこで、肥育途中の牛や繁殖牛の内部被曝量を把握するための全頭の尿検査と安全な稲ワラ提供を国と県の責任で実施すべきと思いますが、いかがでしょうか。
農林水産部長
安全な餌の確保でございますが、これにつきましては、原発事故以降の県内の稲ワラが使えない、牧草も使えないものがかなり多いので、県として、必要な飼料が手元に届くように取り組んでまいりたいと考えております。
それから、尿の検査でございますが、一部学識経験者から尿検査が有効だという話もございますけれども、どの程度の尿が体内のセシウム量に結びつくのか、学術的な根拠証明がなかなか難しくなっております。今後、屠畜しなくても検査結果が分かればという期待は持っておりますが、今後、学識経験者のアドバイスもいただきながら、しっかり検討していきたいと思っております。
藤川淑子県議
早急に検討をお願いいたします。
避難勧奨地点についてお伺いいたします。これは県民に不安と混乱を広げております。避難勧奨は地点ではなくエリア指定をすべきでありまして、そのエリア指定内で避難を希望する人に対しては、国がその避難を支援する体制をつくること、残る住民に対しては、除染と健康対策が必要です。これらを国に強く求めるべきですが、考えをお聞かせください。
生活環境部長
委員ご指摘の通り、小集落単位で指定してほしいという意見があることは承知してございます。避難を希望する住民の方々への十分な支援、それから避難を希望しない住民の方、放射線量の高い地域の住民の方に対して、詳細なモニタリングや日常生活上の注意点について、しっかりと情報提供していくことが必要になってくると考えております。さらに、除染活動による線量低減化のための取り組みが必要になってくると考えております。
これらの課題に適切に対応できるように、国や市町村と連携を図りながら、しっかりと求めることは求め対応してまいりたいと考えております。
藤川淑子県議
県の強いイニシアの発揮を求めたいと思います。
次に、除染についてお伺いいたします。現在、広く県内で市町村や住民の自主的活動で除染がすすめられています。県内除染をすすめるには、自治体、民間、NPOなどの協力体制が不可欠だと思います。
そこで、除染にかかわる団体、市町村の情報共有と意見交換ができる場を、県の責任による緩やかな組織として検討すべきと思いますが、お考えをお聞かせください。
生活環境部長
除染活動をすすめるにあたっての情報共有の場についてでございますが、現在県といたしましては、まずは手引きをしっかりと周知をすることを、県と市町村と一体となってしっかりすすめていきたいと思っております。
実際の除染活動をすすめるにあたっては、アドバイザー等を現場に派遣して、直接アドバイスしながらすすめていきたい。その中で、情報共有が必要な場合、あるいは除染効果をさらに普及させていく必要がある場合に備えて、いま委員からご指摘あった連携の場も検討していきたいと考えております。
藤川淑子県議
除染については、県内にはいろんな知見が満ち満ちていて、善意による除染や市町村による除染などさまざまな形で実際に進んでおります。ゆっくり検討しているとまちまちな除染が進んでしまうので、やはり統一したものが必要だと思います。
最後に、仮設住宅における生活支援についてお聞きいたします。仮設住宅に入居した場合の生活支援策がないことについて、県の災害対策本部も国に要望を出しておりますが、これは具体化が急がれます。国の対応待ちではなく県として対応をとるべきだと思いますが、見解をお聞かせください。
生活環境部長
現在、入居後も食料の現物給付、日常生活に必要な経費などについて、災害救助法の適用対象になるように求めているところでございます。また、原子力災害被災者についても、生活再建資金の支給はできるように、特別法の制定などについて求めているところでございます。
いま委員のご指摘もございましたが、具体的な生活支援につきましては、現在2次補正予算で、国が復興基金の検討をしていると聞いておりますので、仮にそれが実現した場合にはどういう支援のあり方が可能か、県として検討してまいりたいと考えております。
藤川淑子県議
県として検討していただきたいと思います。
県外避難者の民間借り上げ住宅に対します本県の制度が、他県で徹底されず対応にばらつきが生まれております。先ほど、西日本と東日本で違うという話がありました。
そこで、国が県の肩代わりをして直接請求を受ける仕組みをつくるよう、国に求めるべきと思いますが、お考えをお聞かせください。
観光交流局長
おかげさまをもちまして、東日本については、借り上げについてはほぼめどがついたという状況にございます。西日本については、公営住宅への優先入居受け入れをしている県が大変多いので、今すぐということではございませんが、他の県もすべて同じ扱いができるように、お願いしていきたいと思っております。
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