神山悦子県議
日本共産党の神山悦子です。
県民を不安と塗炭の苦しみに陥れた大震災、原発事故からまもなく半年です。最初に、地震津波対策への対応についてお尋ねいたします。前清水社長は今回の原発事故は想定外だったと繰り返しておりましたが、西澤新社長はどう認識されておりますか。
西澤東電社長
今回の3月11日に起こった大地震、それに伴う大津波でございますけれども、私自身の認識としては類をみないというか、非常にとてつもなく大きな地震であり津波であったという形で思っておるところでございます。想定の内か外かというのは、いろいろお叱りを受けるかもしれませんが津波の対策がどうであったかというのは外部の先生も含めて検証をさせていただいておりますので、その結果を待ちたいと思ってございます。
神山悦子県議
私たちは、2007年に中越沖地震で柏崎刈羽原発被災を受けて、東電に申し入れているんですけれども、これがその申し入れ書なんですけれども、西澤社長はご存じですか。
西澤東電社長
神山議員、誠に申し訳ありませんが、私は、読んでございません。誠に申し訳ありません。
神山悦子県議
これが伝わっていなかったとすれば、本当にひどい会社だと思いますよ。私たちが指摘したのは、チリ級地震が来たら、冷却装置が取水できなくなり冷却材喪失による過酷事故に至るということを指摘していたんですよ。だからちゃんと対策をとれと言ってきたんです。その前提は土木学会の指摘でした。それを受け止めてこなかった、社内にも知らせなかった。あとでこれを差し上げたいと思いますが、何でそういう体質なのか。本当にガッカリですね。
先ほどの説明では、小森常務が地震によるというよりは津波によってこの事故が起きたとおっしゃいました。ここを強調したところをはずさないといけないじゃないですか。先ほどの答弁だと、もっと検証しなきゃいけない。配管の問題だとか。そう言うのであれば、これははずすべきではないでしょうか。
小森東電常務
報告書そのものとして、しっかりとお出しいたしますが、そこの文章が、原子炉の冷却材の喪失の事故につながるような配管の損傷という意味合いでは、地震では生じていないということを書いてございます。ただし、その部分以外についての検証は、当然、われわれとしても地道にやっていくことをご説明いたしました。それは、継続しておこなってまいりますが、現場の環境も含めて必ずしも十分に、今の時点でもできないところがあることを申し上げたわけであり、これで打ちきりということではございません。原子炉そのものの事故は、冷却をできなかった、長時間の電源停止による冷却が不能だということから、炉心の損傷に至ったと考えており、地震の力によって配管あるいは設備がなにか壊れたということから直接炉心溶融に至ったということではないと考えております。
神山悦子県議
議長に、私は、これは議会に出した資料ですから、まだ、検証につながるものではないといいながら、やはり検証は必要だと思うんですよ。こんな強調をするものを私たち議員に渡されて、これは議会を愚弄しているのではないですか。やはり、その点では、もう一度ちゃんと検証し直すという意味で、ここの強調をやめてほしいと思っておりますけれども、あとで検討していただけないでしょうか。
佐藤議長
はい。
神山悦子県議
先ほどご説明があった3年前に、津波15メートル以上とか、または10メートル以上とか、土木学会で検証してやっていた。私たちが申し入れた次の年にやってるじゃないですか。しかし、3年間放っておいて、最近になって、それについてあったみたいなことを報道をするわけですね。それを全然公表しなかったわけですよ。3年前、西澤社長はその時にどんな役職に就いていたんですか。幹部ではなかったのですか。
西澤東電社長
2008年6月までは、企画部長でありました。その後、夏からは常務になりました。
神山悦子県議
何月かは別にして、知らなかったでは済まされないし、西澤社長自身引き継ぎはあるはずでしょう。なかったんですか。そういうことを含めて本当にひどいと思います。津波対策をとってこなかったから今回の事故が起きたんでしょう。地震対策もとってこなかった。みんな、土木学会や私たちの申し入れを無視してきたじゃないですか。西澤社長にもう一度お聞きします。
西澤東電社長
私自身、今回、2008年当時も含めて津波の試算をしていたということは3月11日以降、新聞で取り上げられたこともあり、断片的には聞いておりましたが、社内で事故調査委員会を立ち上げて、そこで検証しており、まとめた形で聞いたのは、6月か7月に入ってからでございまして、3年前は私自身はあまり深くは認識しておりませんでした。
神山悦子県議
安全神話にどっぷりつかっていたから社長もそれほど深いもの、または大変なものだと認識していなかったといわざるを得ません。ですから、最初に聞いた想定外だったかどうかは明確な答弁がなかったが、そういう意味では今回の事故は人災だと思いますけれども、人災という認識は、社長、おありですか。
西澤東電社長
これも繰り返しで申し訳ございませんけれども、今、事故の調査委員会、それから検証委員会で議論しているので、その結果を待ちたいと思ってございます。その都度、私どもとしてはやるべきことはやってきたと認識しているが、きちっと検証を待ちたいというふうに思ってございます。
神山悦子県議
東電自身が、事故か、自然災害か、人災による事故なのか判断できないのは、とんでもない話ですよ。人災と認めなければ、今後、福島県民は復興もできません。
その前に、断層についてお尋ねいたします。最近、湯ノ岳断層と井戸沢断層、双葉断層についても見直したというんですけれども、なんで、事故が起きてからなんですか。そんな認識はなかったんですか。
小森東電常務
地震については、耐震指針の改定以降も、地質の方は陸地あるいは海域についても評価するために音波探査等も行ってきました。その後、3月11日の段階でマグニチュード9という非常に大きな400kmにわたるようなプレートのゆがみが開放されたということがございまして、それが原子力発電所の近辺で断層にどういう影響を与えているのか。あるいは余震の中でそういうものが動いたものもあるのかないのか。そうしたことを調べることとして、国からの指示もあり、われわれ自身も現場を踏査して評価してまいりました。それは、ようするに大きな地震があったので地殻変動があり、今まで起きなかったであろう断層についてもこれから起きるかもしれない観点から調べるということであり、3年くらい前に地質の調査をした時以降、地殻のゆがみの状況が変わっている状況を踏まえて評価したものでございます。
神山悦子県議
これも本当に、安全神話にどっぷりつかっていた証拠だと思います。断層についての過小評価が、今回の問題の原因の1つとなっているんじゃないでしょうか。
社長にお願いしたいと思います。約束をしていただきたいと思います。うそをつかない、ごまかさない、情報はすべて公開する。これをやらなければ、東電は信頼を失墜すると思いますが、社長、これをぜひ守っていただきたいと思いますがいかがですか。
西澤東電社長
おっしゃるとおりでございます。私はそれをきちっと実践してまいりたいと思っております。
神山悦子県議
次に、事故収束の見通しと廃炉の問題についてお尋ねいたします。福島第一原発3号機は、昨年9月からプルサーマルをやっております。危険なプルサーマル、MOX燃料を使っているのに、これがほとんど報道されておりません。しかもプルトニウムやストロンチウムは公表されていません。一体どうなっているんでしょうか。この公表について、もう一度お聞きかせください。
小森東電常務
まず、3号機については、MOX燃料が入った運転の途中で炉心の損傷、溶融という事故になりました。炉心の状況というのは、もともとウランの燃料が燃えてきてもプルトニウムは発生することも含めて、その炉心の持っている熱量等についてはプルトニウムが入っている、MOX燃料が入っていることも前提条件で評価をし、注水量等についての検討もしている状況でございます。
それから、3号機ということに限らず、ストロンチウムやプルトニウムについての土壌のサンプリング等は、今、手元に近々のデータがございませんが、評価をしてございまして、核種によって評価に時間がかかりますが、出た段階では公表し、みなさんにお示ししております。
神山悦子県議
半年間で、私の知っている限り報道されたのはプルトニウム、ストロンチウムたった2回くらいだと思います。大事なところは報道しない。先ほど社長が約束したことは、私は信用ならない気がするが、なんでこれが必要か。先ほどからあるように、メルトスルーがあって核燃料がどこに溶けているのか分からない。この核種を調べると、そのデータで後追いができると専門家は言っています。それが見えないから、その肝心なメルトスルーした燃料がどこに行ったのかが分からないから対処のしようがないと言われているが、どう思いますか。
小森東電常務
原子炉格納容器の中の気体のサンプリングとか、高汚染水のサンプリング等もやってございまして、特に大気側、海水については、今、手元にございますが、ストロンチウムについては4月18日、5月9日、6月13日、7月11日、8月15日と月に1回採取してございます。結果が出るのが核種の関係で微量元素で非常に時間がかかりますが、5月に2回、7月に1回、8月に1回、9月3日という形で、空気中のストロンチウムの公表をしてございます。
プルトニウムについては今、手元に数字がないが、調べれば分かりますのでお答えしたいと思いますが、いずれにしてもこういう元素が水の中にあるのか、土壌の中にあるのかは継続的に調べ、環境への影響、ならびにプラントの中の影響は継続的に調べてまいりますし、継続した結果については公表してまいります。
神山悦子県議
プルトニウムについても調べていると言うが手元にないだけですぐに分かるんですか。いつ出すんですか。
小森東電常務
プルトニウムについても月1回調査をしておりまして、今、手持ちの数値はございませんが、プルトニウムは土壌についてグラウンドで週1回、空気については西門で週1回、地下水については2号機、5号機のサブドレインで月1回、海水については湾内で月1回、湾外で月1回、海底土壌についても3ヶ月に1回、こういう頻度で計測をし、みなさま方にお知らせをしてございます。
神山悦子県議
新聞等でもぜひ発表してください。県民が一番心配していることでもありますので。こういうことを見ると、第一原発から第二原発までの10基、私は廃炉しかないと思うんです。先ほども質問がありましたけれども、廃炉について明確にすべきだと思いますが、いかがですか。
西澤東電社長
第一原子力発電所1号機から4号機については廃炉にいたします。5、6号機と2F(第二原子力発電所)については、今、冷温停止の状態をきちっとキープして、中の調査もしっかりしなければならないということでやっており、今後どうするかは、関係者間で議論されているので、その動向も踏まえて判断させていただきたいと思います。
神山悦子県議
社長、技術的に見て、あなたは専門家ではないかもしれないが、プラントを動かしている責任者として、廃炉だとあなたが言わないと、あとは政治的な決断だけじゃないですか。東電としてどう考えるのかがなければ困るじゃないですか。それとも再稼働させるのですか。もう一度お聞かせ下さい。
西澤東電社長
もちろん、今の1F(第一原子力発電所)の5、6号機、2F(第二原子力発電所)の炉の状況もしっかりと見極めながら、国の政策の動向、それから県、地元の方々の意見をしっかりと承って最終的に判断させていただきたいと考えております。
神山悦子県議
私は廃炉しかないと思いますので、その方向で検討していただくようにお願いいたします。
賠償問題が一番今、県民にとって大事だと思います。すでに自殺者も出ております。ところが、東電は国の中間指針で盛り込まれなかった自主避難経費、精神的損害については、国の指針どおりという答弁をしているようですけれども、含めないのですか。
西澤東電社長
自主避難につきましては、紛争審査会の方で今後しっかりと議論していくという形で聞いてございます。結論が出ると思いますので、それに従って、私どもはしっかりと対応させていただきたいと思っております。よろしくお願いいたします。
神山悦子県議
国の後ろに隠れているじゃありませんか。責任者のあなた方がちゃんと全面賠償をする。精神的損害も含めてやらないと、福島県には住んでいられないと、本当に不安で子どもも含めてみんな避難しているではありませんか。ちゃんと肌身に感じていないという証拠じゃないですか社長。全面賠償するというのが、9月2日に都内で開かれた全県民の総意です。もう一度お聞かせください。
西澤東電社長
9月2日にも副知事さん以下、町長さん、それから関係者のみなさんが250人以上来ていただいて要望書をいただきました。その中にきちっとその旨も盛り込まれていることは、私も読んでございます。中間指針の方できちっと継続して議論することになっておりますので、その結果を待ち、しっかりと対応させていただくことでご理解をいただきたいと考えております。
神山悦子県議
社長、中間指針は単なる目安じゃないですか。指針に盛り込まれなかったものもきちんと全面賠償するというのもあっていいんじゃないですか。このことについてはどうお考えですか。
西澤東電社長
原倍法に基づいてわれわれはきちっとやってまいります。被害者の方々の公平で公正な取り扱いをしっかり対応しなければならないということもあり、中間指針が1つの大きな国全体としての基準となるものだと考えております。それに基づいて、個々にはいろいろなケースがあると思います。それについては懇切丁寧にしっかりと対応させていただきたいと考えておりますので、ご理解をいただきたいと思います。
神山悦子県議
その賠償に対する態度にはもっとひどいものがあるんですよ。請求書の中に合意書がほしいとか、証拠を出せとか、証拠書類がないと賠償を認めない。個々に対応するということは、そういうことなのですか。証拠がないと賠償を認めないのですか。
西澤東電社長
必要な書類の手続等は、8月30日の中でご説明をさせていただいております。もちろん個々のケースで書類が整わない場合には、代わりのもので何かしら証明するとして、この場合には相談させていただき対応させてもらいたいと思っておりますのでよろしくお願いいたします。
神山悦子県議
社長はもしかしたら、賠償の費用についていろいろと考えているからではありませんか。私は、東電の責任はもちろんですが、株主、メガバンク、プラントメーカー、ゼネコンすべて原発利益共同体としてこれまでやってきたのですから、一緒に賠償を担ってもらってはどうですか。そうして全面賠償をする。証拠なんか持ってこなくても見れば分かるじゃありませんか。賠償についてもう一度お聞きいたします。
西澤東電社長
賠償につきましては、本当に私どもも誠意を持って対応するつもりでございます。国の方もADR(裁判外紛争解決手続)として仲裁機関をつくっているし、ありとあらゆるものを活用して、われわれといたしましては全面的に対応していければと思っております。
神山悦子県議
ちょっと聞いておきたいのですが、社長、幹部、あなた方の年収はいくらですか。
西澤東電社長
現在、私も含めて代表取締役は、報酬はございません。3月11日以前であれば、常務で3000万円程度だったと思います。
神山悦子県議
私たちの給料、庶民の給料から見たら、破格の給料をもらっていて、半分にしたとか、6割にしたとか言ってもまったくの桁の違う話です。だから痛みが分からないのかと言いたくなります。そういう意味では、賠償問題は全面に立ってやっていただきたい。このことを申し上げておきます。
最後に、原発作業員の健康管理についてお尋ねいたします。
被曝した作業員が88人も行方不明になっていると聞いております。追跡調査も行って内部被曝を含めた線量測定、健康調査をすべてやるべきだと思います。その医療費の支給も当然だと思いますけれども、下請労働者の被曝対策と十分な医療補償についてはどうお考えですか。
小森東電常務
被曝対策というのは極めて重要でございます。特に3月の事故直後については、管理が十分でなかったところがあり、みなさんにたいへんご心配をおかけしました。今、東京電力の社員ではなくて、働いている方すべてについて徹底的に調べるということで、各企業の方にも直接入ってもらい調べることにいております。
被曝の多かった方に関しては、データベースを作ることと、継続的な医療で疫学的にフォローしていくことをしっかりとやっていきたいと思っております。また、何か健康的な問題が出た場合のフォローも今後も対応していきたいと考えております。
神山悦子県議
実際には、下請の6次、7次というところで働いているのに、名目上は2次、3次下請で働いているようになっているという話は、私どもにも届いています。そういう人たちが教育も受けないまま、大事な原発事故の収束作業にあたっているのでしょう。その内部被曝を測る台数も少ないのではありませんか。行方不明者まで出しているとのことで、まったくずさんではありませんか。もう一度、その点をお聞きかせいただきたいと思います。
小森東電常務
初期においていろいろな情報の齟齬があることを含め、心配をかけた点については徹底して解明することと、今は、ホールボディカウンターについても機械を増設し、3ヶ月に一回という法定に加えて、毎月ぐらいに内部被曝の管理ができることも検討しております。機器を設置する手配はしております。それらも含めて、今の道筋の中の作業員の健康管理の中でもみなさんに示し、しっかりとした体制で行うよう努めております。
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