宮川えみ子です。日本共産党を代表して討論を行います。
議案第15号、議案第24号に反対の立場で、また、請願第245号については採択すべき立場で討論します。
まず、議案第15号県の行う建設事業等に対する市町村の負担の追加及び一部変更についてです。
これは、県の行う建設工事等に要する経費の一部を市町村に対し一部変更あるいは追加負担させるものです。
日本共産党は、かねてから県の行う建設事業に対して、市町村負担をやめるように求めてきました。大震災を受けて、それでなくても市町村のあらゆる負担が増大し問題になっている時です、きっぱりと廃止することを求めます。
次に、議案第24号、訴えの提起です。これは、県営住宅の家賃滞納者に対して滞納家賃等の支払いを求め裁判での訴えを提起するものです。訴えられる家庭は母子家庭で、14歳・中学生の子どもがいます。接触ができず訴訟しか手がないと言いますが、今年度2回の納付があったと聞きます。
裁判で決着をつけるとなれば、住宅から追い出す事になり、これから寒さに向かってどうなるのでしょうか。以前に福島市が市営住宅家賃の滞納で同様の処置をした時、農家の作業小屋の中で凍死して発見されたという事例がありました。十分な接触ができないと言うことは、病気を含めた何らかの問題など、また、その他の事情が考えられます。まして義務教育の子どもがいるのです。結果に対しての全責任を県は負わなければなりません。本人と接触を持つ事、福祉サイドを含めた他の機関との十分な連携を図る事です。少なくとも義務教育の子どもがいる事を見ても避けるべきであり反対です。
最後に、請願第245号「福島県内すべての原発の廃炉を求める事について」は採択すべき立場から意見を述べます。
この請願は、6月議会に新日本婦人の会が提出者・私が紹介議員になり継続審査になっていたものです。
内容は、原発事故による避難者が増え続け、特に子育て中の母親は、子どもたちの将来・放射能が子どもたちにどう影響するのかを心配しています。
そして、福島県の復興ビジョンが基本理念に「原子力に依存しない、安心・安全で持続的に発展可能な社会づくり」を掲げた事、この「脱原発」については、福島県民のほとんどの意思であると述べています。
同じく提出された「原発10基の廃炉を求める決議」の中では、被害は福島県民のみならず、全国に広がり、ホットスポットでの健康被害の不安、牧草やお茶、そして海洋汚染がどのくらい広がるか予測さえつかないと言い、全国民にこれほどの苦難を与えたのに福島県はなおも原発推進なのかと問いかけています。
9月28日までに、事故収束・廃炉の意見書をあげた県内の市町村議会は34自治体に上っています。また、福島県復興共同センターの全県民アンケート調査では、84%の方が全面廃炉に賛成です。
原発事故は、私たちの暮らしのすべてを一変させました。原発立地地区では、津波にあっても生き残ったであろう方を見殺しにしなければなりませんでした。故郷に帰れない多くの県民を生み出しました。土にこだわって農業をなりわいにしていた人も、おいしい「あんこう」など魚を取って暮らしていた人も、田舎に遊びに来た人にきのこを売って生活のかてにしていた人もみんなできなくなりました。知事が得意としていた二地域居住も観光福島も消えていきました。
子どもの放射能被害を心配する多くの県民が福島県から避難して行きました。今後10年単位の時間がかかる復興計画を担う若い人が福島県から避難をし、増え続けているのです。
福島県は今後いつ果てるともない除染が始まります。あらゆる実害と風評被害を乗り越えなければならない事態に陥っているのです。
原発事故は、他の事故には見られない「異質の危険」があります。ひとたび事故が発生し、放射性物質が外部に放出されれば、もはやそれを押さえる手立てはなく、被害は空間的にどこまでも広がり、時間的にも将来にわたって危害を及ぼし、地域社会の存在さえ危うくします。
こうした危険性を持つ原発を世界有数の地震国・津波国に集中立地する危険性です。地震による外部要因による重大事故は内部要因より10数倍の確率で起こると言う研究もあり、今度の地震よりさらに巨大な地震が起きないと言う保障はありません。原発については日本は特別の危険を持っています。
4年前、日本海で起きた中越沖地震による原発事故で柏崎刈羽原発の変電施設が火を噴いた時、私たち共産党県議団は視察し福島原発の地震・津波対策を強く求めました。しかし、東電はもちろん国も何の対応もしませんでした。知事もその事を容認しました。知事は県民の原発に対する懸念をよそに、前知事の原発政策を変更し、この4年間を見るだけでも、古くなった原発をできるだけ長く使う事を目的にした維持基準の導入、再処理が行き詰まっているにもかかわらずプルサーマルの導入を認めました。
議会は、昨年6月の定例県議会に提出された「プルサーマルを進めない請願」に対して、私たち共産党と、他の3人の議員を除いて不採択としました。
そして、増設に手をつけようとしてきた、その矢先に、今度の原発大災害が引き起こされたのです。
今議会を通じて思うことは、知事は原発10基の全面廃炉について「再稼働はあり得ない」などと述べるだけであって、はっきり全面廃炉を言わない、収束すれば再稼働になるのかどうかあいまいなのです。このように、原発推進を総括できない弱さが如実に表れ、今の福島県の現状の克服を困難にしていると思います。そしてそれは、福島県としての発信力の弱さとなって表れています。東電が今度の原発事故を人災と認めず、賠償などで国の陰に隠れていること、国策で東電と国が降らせた放射能の除染対策についても、その責任を逃れようとしている中で、県民世論の大反撃の中でやっと動かす事態となっているのです。
今度の事故は原発技術は優秀だ管理が悪かったからだけだ、等の巻き返しも起きています。また、全国紙と地方紙を比べてみてもわかるように、全国の世論は福島県を忘れかけてきています。そして、その事についての恐れともいえる声が議会でも出されてきました。
このような状況をみても県議会としては、プルサーマルの時のように知事に下駄を預けるのではなく、はっきり10基全面廃炉の意思を示すべき時なのではないでしょうか。
県民を塗炭の苦しみに追い込んだ、原発の全面廃炉を明確にしてこそ、福島県のすべてのスタートになります。再生可能エネルギーの爆発的推進も、若い人が戻ってくるメッセージも全面廃炉から始まります。だからこそ、復興ビジョンに明記されたのです。
この請願を審議した昨日の企画環境常任委員会は、可否同数になり委員長の判断で不採択にしました。しかし私は県民の総意であるこの請願を何としても採択して国の内外に示すべきであると強く願っています。「福島県内すべての原発の廃炉を求めることについて」の、この請願第245号は以上の理由から当然採択すべきです。以上で討論を終わります。
|