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2011年12月県議会 神山代表質問
2011・12・15 神山悦子

日本共産党の神山悦子です。日本共産党県議団を代表して質問します。

1、本県の復興と国政の関わりについて

 3月11日の大震災・原発事故からすでに9ヶ月がすぎました。私たち日本共産党は、この未曾有の大震災・津波と原発事故発生直後から、被災現場や避難所へかけつけ、県内各地で救援ボランティア活動に取り組んできました。いわきや相双地区では津波や地震などの被災家屋のがれき撤去を全国からのボランティアとともに支援し、今年9月の台風15号による水害を受けた郡山などでは、泥出しなどのボランティアも行ってきました。郡山では、せっかく浜通りから避難している被災者が、水害にあい再び住まいを追われるという悲惨な事例もでています。
 私たちは、救援活動を通して出会った被災者から切実な要望を受け、それらを要望書にまとめ、県災害対策本部に対しては事故発生以降24回にわたる要望書を届けてきました。
 一方、全国からわが党へよせられた救援募金は総額12億円に上り、この中から福島県をはじめ被災市町村、JA、漁協、商工会議所、商工団体、消防団などにも義援金として届けることができました。
 本県は、地震・津波に原発事故が加わったことで、他の被災県とは異質の困難さをかかえていることを実感させられてきた9か月でもあります。
 今回の県議選で、私たち共産党は5人の県議団となり再び交渉会派入りを果たすことができました。私たちは、放射能や大震災で被災した1人1人に寄り添い、さまざまな被災者の実態をみてきました。今後は、福島県から危険な原発をすべて廃炉にし、今度こそ「原発ゼロ」の福島県をつくり、誰もが安心して住み続けられるあたたかい福島県、子どもを安心して生み育てられる福島県をつくるため、県や県議会、市町村や県民とともに国と東京電力に「オール福島」で立ち向かっていけるよう、共に力を合わせていく決意を申し述べまして、以下質問致します。
 さて、今議会に提案された県復興計画素案では、重点プロジェクトで「安心して住み、暮らす」「ふるさとで働く」「まちをつくり、人とつながる」を掲げています。
 ところが、野田政権は、福島県が示すこうした復興策を根底から覆しかねない、「TPP交渉参加」や「税と社会保障改悪との一体改革」をすすめようとしています。
 TPPについては、すでに県議選前の9月県議会で、交渉参加反対の意思を全会一致で決議しています。TPPに参加すれば「ゼロ関税」とされ関税自主権を奪われるだけでなく、アメリカからみて「非関税障壁」とされればあらゆる国内制度の撤廃が求められます。「食と農」への壊滅的打撃をはじめ、被害は県民生活のあらゆる分野に及ぶことになります。県内では、JAはじめ農林水産業、県医師会などの医療分野、また市町村議会からも反対の決議が上がっています。
 知事は、「慎重な対応を求める」などという姿勢ではなく、復興をめざす県知事として「交渉参加反対」の明確な意思を示すべきです。知事の見解を求めます。
 また、「一体改革」は、消費税を2倍にし、年金は支給開始年齢の引き上げと年金支給額の切り下げ、医療では70〜74歳の医療費窓口負担を2割にし、定率の窓口負担に加え定額負担を強いる負担増です。保育では「子ども・子育て支援システム」の名で保育への公的支援を放棄するなど、これまでのどんな庶民増税・社会保障改悪にもなかった最悪のものです。
 この大改悪は、震災・原発事故によって塗炭の苦しみを強いられた福島県民の生活再建を阻害するものでしかありません。「税と社会保障の一体改革」に対しても、明確に反対の意思を示すべきです。県の見解をうかがいます。

2、「県復興計画」に関わって

 次に、県の復興計画に関わって質問致します。
 本県の復興は、復興ビジョンの基本理念に掲げているように「1人1人の生活再建」が基本です。
 また、知事が原発事故を受けて「脱原発」という考え方の下、「原子力に依存しない社会をめざし、環境との共生が図られた社会づくりを推進すること。このため、国と原子力発電事業者に対し、県内の原子力発電所についてはすべて廃炉とすることを求める」と明記したことは、評価するものです。

(1)原発に依存しない県づくりについて

 私たちは、これまで一貫して原発の危険性について東京電力と国に指摘してきました。また、県政においても原発問題を取り上げない議会がないほど、老朽原発のかずかずのトラブル問題、危険なプルサーマルの導入反対を求めてきました。これらの私たちの指摘や警告を無視し安全神話をふりまいてきた結果発生した今回の原発事故ですが、政府は野田首相を本部長とする原子力災害対策本部を明日16日に開催し、目標とした「冷温停止状態」維持が可能となる工程表の「ステップ2」の終了を決める方針です。
 しかし、今月6日には、第1原発から放射性ストロンチウムなどを含む汚染水が海に漏れ出していたことが発表されたばかりです。流出した水の量は約150リットル、含まれていた放射性物質は約260億ベクレルと推定されています。その後も水漏れが相次ぎ、3月11日の事故発生以来、確認されただけでも今回で5回目です。漁業関係者からは、安易に海を汚すことや意図的に汚染水を海水に流すことに抗議の声があがっていますが当然です。
 東電が必要な手立てを何もとってこなかったことは明らかであり、これでは海の汚染は繰り返されますし、さらに深刻な事態になるだけです。
 そのうえ、まだ原発事故が収束してもいないのに、終了を見込んで原発作業員を1000人削減するとの計画も明らかになっています。国も東京電力も、原発事故を小さくみせようとする意図がありありです。
原子炉内で何が起こっているのかも解明されておらず、トラブルも相次ぐ中で、年内にもステップ2が終了するとの見通しを国が示しています。県も同様に終了と考えているのかお尋ねします。
 原発事故発生後、私たちは一貫して「第一、第二原発ともすべて廃炉を決断すべき」と主張してきました。また、9月県議会の最終本会議では、新日本婦人の会県本部提出の「すべての原発の廃炉を求める請願」が、全会一致で採択されました。知事が全基廃炉を表明したのは、これらを重く受け止めた結果だと思います。
 あらためて、県内原発の「全10基の廃炉」を国及び事業者に求めると判断するに至った知事の見解をお尋ねします。

(2)再生可能な自然エネルギーの飛躍的推進を

 さて、全基廃炉を前提とした今後の福島県の復興を考えれば、原発にかわるエネルギーとして太陽光、風力、地熱、水力、バイオマスなど、安全で安心な再生可能な自然エネルギーの飛躍的推進による社会づくりをめざすのは当然のことです。
 福島県は、もともと自然豊かな県であり、いわば自然エネルギーの宝庫です。県内の水力発電は、明治以降の産業興しに合わせて、地域ごとに自然の落差を利用し電気をおこしてきました。いわば地産地消型の電気です。それが、戦争遂行のために大電力会社に統合され現在に至っており、東京電力もその1つです。
 ところが、電力各社はこの貴重な水資源を有効活用せず、水力発電は原発の補完電力・調整電力としてしか活用しなくなりました。09年度の県内の水力発電実績は54万1千kwh、設備利用率はわずか15.6%です。本県の年間使用電力は150万kwhですが、設備利用率を現在の約3倍に引き上げるだけで県内の使用電力量をすべて賄なえるのです。
 水力発電所は、もともと地元の市町村が管理していた地産地消型の自然エネルギーでした。再生可能エネルギーの導入は、まず水力発電の有効活用から始めることを検討してはいかがでしょうか。県の考えをうかがいます。

(3) 県民の長期にわたる健康支援について

 次に、低線量被曝を受けた県民への長期にわたる健康支援についてですが、
 本県は、もともと震災前から医療・福祉は全国最下位クラスでした。特に、相双地区は医療過疎地域で、いわき市の医師不足も深刻でした。この状態で大震災・原発事故を受けたのです。
  また、県は県立病院を次々と統廃合し、相双地区唯一の県立大野病院を双葉厚生病院に統合し今年3月には廃止する方針でした。
 未曾有の大震災・原発事故を受けた本県は、今度こそ県民の命を守る県政をめざし、地域医療に県がしっかり責任を持つべきだと思います。
 特に、相双地域の医療を再構築するためには、県立病院の統廃合計画を見直すべきと考えますが、県の考えをうかがいます。
 さらに、「県民健康管理調査」については医大まかせにせず、県内の医療機関とも連携し、低線量被ばくを受けた県民の健康を長期にわたり管理できるよう、すべての県民のがん健診と健康診査の費用を無料にすることを求めますが、県の考えをお示し下さい。
 また、原発事故を受けた本県は、子どもたちの長期にわたる健康支援を行うことも必要です。県は、このほど18歳までの子どもの医療費無料化を国に求めましたが、私たちも今回の県議選で公約の1つに掲げたものであり、さっそく県民から大きな期待が寄せられています。県の試算によれば、18歳までのすべての医療費は約90億円としているようですが、国がすぐに実施しないのであれば、まず県が独自に実施すべきと思いますが、県の考えをお尋ねします。

(4)「除染」について

 ところで、内部被ばく低減のために県民から緊急に求められているのは、何といっても「除染」対策です。原発事故から9ヶ月も経つのに、一向にこの除染がすすまないのは、除染した廃棄物の仮置き場と最終処分場が決まらないことと、除染費用の問題があるからです。住民合意が前提ですが、原発を推進してきた国の責任で、仮置き場と最終処分場の設置をいつまでどこに設置するのかを国に明示させるべきです。県の考えをうかがいます。
 また、除染費用も国の2,400億円程度、今後の除染対策費も1兆2千億円程度では全く足りません。これまで原発を推進し、原発の建設などで大もうけをあげてきた電力業界やプラントメーカーなど100社だけで80兆円もの内部留保金をため込んでいます。これら「原発利益共同体」にも応分の負担を求めるべきです。「原発埋蔵金」ともいうべき電力業界が核燃料サイクル推進のために、今後19兆円も積み立てる予定の使用済み核燃料再処理等引当金をはじめとした積立金を活用させるなど、除染に要する全ての経費を国へ求めるべきと思います。県の考えをお尋ねします。

(5) 原発災害の賠償問題について

 次は、原発災害の賠償問題です。国の原子力損害賠償紛争審査会が示した「中間指針」では、避難区域以外の精神的苦痛や自主避難者への賠償が盛り込まれませんでした。紛争審査会が今月6日に示した新しい賠償指針で支払う対象は、県内23市町村の約150万人だけという「線引き」を行い、しかも1人わずか8万円、妊婦と子どもは40万円という賠償額です。これは、県民にあらたな分断をもちこむものでありとんでもないことです。
 線量や地域、年齢による線引きによる県民の分断を許さず、すべての県民の精神的苦痛や自主避難への賠償を国へ強く働きかけること。また、全県民が賠償を受けられるようにする手立てを、県が積極的にとるべきと思いますが、県の考えをうかがいます。
 さらに、実際には賠償の仮払いも本払いも一向にすすんでいません。年末を迎えているのに、これでは年が越せないと深刻な事態になっています。来年の見通しにも大きく関わります。個人及び事業者からの請求に対して東電がこれまで支払った賠償金の支払い件数及び金額をお示し下さい。

(6)(仮称)福島復興再生特別措置法について

 次に、(仮称)福島復興再生特別措置法についてうかがいます。
 原発災害は、国の現行法では対処できない問題が多々あり、特別法の制定はどうしても必要です。通常国会に提案されるとのことですから、(仮称)福島復興再生特別措置法に、被災した県民が将来にわたって安心して生活できるよう幅広い措置を国に求めるべきです。県の見解をお尋ねします。

(7) 被災者支援について

 次に、被災者支援についてです。
 復興は、1人ひとりの生活再建と生業を復興することが基本です。また、市町村の意見を十分反映した地域再生をめざすことも重要です。
 まず、被災者の住まいについてですが、仮設住宅では、冬季間の寒さ対策が急がれます。また、消火器や消化栓の設置などの安全対策を図ること。1人暮らしの高齢者や障がい者への非常通報体制の整備、敷地内の舗装など、これまでも仮設住宅の改善を求めてきましたが、その進捗状況をお示し下さい。
 一方、県の避難者は16万人、うち自主避難を含め約6万人が県外へ避難しています。ところが、県外避難者の民間借り上げ住宅の新規受付を12月末で打ち切るとの事務連絡を、県が11月22日付で各県に通知していたことが判明し、大きな批判がわき起こっています。あまりにも非情な仕打ちではないでしょうか。
 この通知の撤回を求めます。県の考えをうかがいます。
 一方、県内の民間借り上げ住宅の家賃の遡及について、県は10月末で締め切ったとしています。しかし、原発事故はこれまでの想定をこえる災害です。知事も述べているように原発事故はいまだ収束せず進行中ではありませんか。被災者の立場に立ち、期限を設けず最後の1人まで救済する立場で対応すべきです。県の考えをお聞かせ下さい。
 自然災害による被災も、3月の大震災とその後の余震、7月の会津豪雨災害、9月の台風15号による郡山の水害など、県内に甚大な被害をもたらしましました。
 それぞれ災害救助法の指定となったものの、震災でも水害でも災害救助法では半壊以上とならないと何の支援も受けられません。国に災害救助法の拡充を求めるとともに、当面は社会資本整備交付金事業を県が実施することや国の3次補正も活用するなどして、岩手県のように、一部損壊被災家屋に対する支援を行なうべきです。県の考えをお示し下さい。
 また、今後は原発立地地域の被災や地震や津波で家を失った方への長期的な住宅の確保も必要です。県の復興計画の中で、長期的視点に立って公営住宅の建設を計画的にすすめるべきと思いますが、県はどのように考えているのでしょうか。

(8) 子どもたちへの支援と教育問題について

 次に、地震・津波、原発事故を受けた子どもたちへの特別な支援と教育環境の整備について質問致します。
 原発放射能の不安から県外へ避難している県民が6万人を超えていますが、そのうち子どもたちはいったい何人なのかを県として把握していないのは問題です。大震災や原発事故で大変な被害を目の当たりにした子どもたちへの心のケアや生涯にわたる放射能の健康支援、そして、これからの福島県を担っていくことになる本県の子どもたちの現状や実態をまずしっかりつかむことが必要ではないかと考えますが、県の考えをお尋ねします。
 さて、私はこれまで避難している原発被災自治体や学校関係者と受け入れ側の自治体などにもお話をうかがってきました。そして先日は、相双地域の教職員と懇談する機会がありました。そこでわかったことは、9ヶ月もたった今も教育環境はなかなか改善されないまま不自由な状態に置かれているという現実でした。 
 南相馬市では、5つの中学校が第一原発から30キロ圏外にある南相馬市立鹿島中学校に間借りする形で4月に学校がスタートしました。市が契約したスクールバスで、10数キロ離れた北隣の相馬市からと10キロほど南にある原町区から、それぞれ10数コースに分けられたバスで通学。中学生だけなく小学生も一緒です。早い子どもは朝7時前に出発するバスに乗り、下校は3時半に出発という毎日を、9月から一部避難解除されたとはいえ今も多くの子どもたちがバスで通学しています。教職員も早朝と放課後も引率しています。こうした子どもたちや教職員の心身の負担は大きいと思いますが、県教委の考えをうかがいます。
 2学期からは、仮設住宅への入居が決まってくる中で、夏休みに子どもたちが県内外の避難先から戻ってきましたが、子どもたちに本当の笑顔が戻っていないこと、不安や重苦しさを抱えているようすが教師の目にもわかるほどだったといいます。
 ところが、県教育委員会では、そのさなかにあっても前年どおり新学習指導要領に基づく「定着確認シート」による学習活動にとりくむよう通知を各学校へ出していたのです。
 大震災・津波によって命の危機にさらされ、家族を失い、原発事故で避難を余儀なくされ、経験したこともない未曾有の悲惨な体験をした子どもたちです。子どもたちの心深く寄り添った教育はどうあるべきか、困難を抱えた子どもたちに教育を受ける権利をどう保障していくのか、あらためて問われているのではないでしょうか。そうした点からみても来年度の全国学力・学習状況調査=全国学力テストは中止すべきと思いますが、県教育委員会の考えをお尋ねします。
 さて、仮設校舎の建設もすすみ、間借りしている不自由さは解消されたかにみえますが、ユニット校舎については、教室としてふさわしいものか大変疑問です。雨が降るれば廊下は雨ざらしとなり、給食を運ぶにも子どもたちは雨の中を行き来し、外にある仮設トイレや手洗い、廊下もない建物で授業することが、子どもたちの成長にとってふさわしいものでしょうか。
 子どもの人権を守るという観点からみても「ユニット教室」の早急な改善を求めます。県の考えをうかがいます。
 さらに、深刻なのは、間借りしている学校では学習教材が不足していて、理科の実験ができない、技術系の実習用の機器も元の学校から持ち出せないため授業ができない状態にもなっています。教師の工夫にも限界があるわけですから、県教委も国へ要求するなどして、学習環境の整備を急ぐべきです。
 県教委は、被災した県立高校及び市町村立学校に係る理科教材等の整備について、今後どのように対応していく考えなのかうかがいます。
 一方、校舎が震災被害を受けるなどして体育館の中も校庭も仮設教室や仮設校舎が設置され、充分に運動できない状態になっていますが、これは浜通り地区も中通り地区の学校も同じです。加えて、放射能の心配です。小・中・高校生の運動機能の低下が專門家からも指摘されています。郡山では、小児科医の発案で空き店舗を利用した子どもたちの屋内遊び場がオープンします。
 子どもたちの体力向上についてどのように考えているのか、また、専門家の知恵も借りて子どもたちが屋内で安心して遊べる空間を県内各地に設置すべきではないかと思いますが、考えをお尋ねします。
 さて、子どもたちの家庭環境も避難を余儀なくされた不自由な生活はまだまだ続きます。就学援助や給食費の無料化など、被災した子どもたちに対しては、自動的に付与するしくみとすべきではないでしょうか。
 また、学習の遅れを取り戻し高校や進学の希望を実現させていくための家庭学習の支援。経済的理由で進路希望を断念することがないよう、私立高校の授業料の減免助成の継続、県立高校の諸経費を徴収をしない措置、給付型の奨学金制度の創設など、子どもたちへの全面的支援と学習権の保障を、国にも働きかけるなどして特別の手立てを求めます。見解をうかがいます。
 また、県立学校の校庭の表土除染改善の取り組み状況についてもお示し下さい。
 次に、被災地の教職員をめぐる問題についてです。
 被災しているのは子どもたちだけではありません。学校の教職員も同じ被災者です。しかし、県教委は、一般教職員に対して5月に「兼務」辞令を発令しました。しかし、この兼務の発令はさまざまな矛盾を広げてしまったといえます。それまでは、担任として全国に散らばった子どもたちとも連絡をとりあうなどして被災した子どもたちとの絆を取り戻す作業を続けていました。それが充分できなくなっただけでなく、避難した家族との関係などの事情で兼務先の学校への通勤が長距離となり、片道50キロを超す通勤をしているハードな勤務実態も生まれています。
 その一方で、県教委は、余剰教員が生まれたとして来年度の教員採用を見送ったのです。
 先ほど、被災した子どもたちの不安な状態と学習の遅れなどの問題について述べましたが、震災発生以来一番身近かに寄り添い心のケアをしてきたのは現場の教師たちです。新採用を実施し、30人以下学級や複数担任の措置が行えるような充分な教員数を確保すべきと思いますが、県教委の見解をおうかがいします。
 また、避難は長期間にわたります。浜通りや避難者を受け入れている学校の子どもたちや教職員の心身面でのケアが必要です。各学校にスクールカウンセラーと養護教諭を配置することを求めますが、県教委の考えをお聞かせ下さい。
 以上で私の代表質問を終わりますが、今年の世相を表す言葉は「絆」でした。まさに、本県の被災地の思いぴったりと一致するのではないでしょうか。
 県当局もこれまでの発想を変えて、被災者1人ひとりに寄り添った誰もが安心して住みつづけられる福島県をつくるためにいっそうのご努力をお願い申し上げて私の質問を終わります。


答弁

一 本県の復興と国政の関わりについて

知事
 環太平洋パートナーシップ協定、いわゆるTPPについてであります。
 TPPへの参加は、農林水産業のみならず、医療や金融など国民生活の様々な分野に大きな影響が懸念されていることから、私はこれまでも再三にわたり、国に対し、慎重に対応すべきと訴えてまいりました。
 とりわけ本県は、地震・津波災害に加え、原子力災害、さらには風評被害により、農林水産業や観光業を始め、あらゆる産業分野で過去に例のない甚大な被害を受けるとともに、人口減少により地域の活力が大きく損なわれるなど、極めて厳しい状況にあることから、国は東日本大震災からの復興を最優先に、全力で取り組むべきと考えております。
 このため、先月も野田総理大臣に直接、復興を最優先に取り組み、TPPへの参加については慎重な対応を求める緊急要望を行ったところであります。
 今後も引き続き、市町村や全国知事会等とも連携しながら、TPPの影響の詳細な検討と国民への説明、さらには国民的議論を十分に尽くした上で慎重に対応するよう国に対して強く訴えてまいりたいと考えております。

総務部長
 社会保障・税一体改革につきましては、社会保障サービスは国と地方が補い合って提供していることから、国において地方の声をよく聞くとともに、幅広い国民的な議論が必要であると考えており、県といたしましては、大震災からの復興に向け、被災者の生活再建を最優先に取り組んでまいる考えであります。

二 県復興計画に関わって

生活環境部長
 「ステップ2」の終了につきましては、国および事業者の責任において判断すべきものと考えております。
 県といたしましては、ステップ2が終了したとしても、事故の収束への通過点であり、処理水の漏えい等トラブルが繰り返される仮説設備の信頼性確保や、発電所内で生じる放射性廃棄物の処理等、今後解決すべき多くの中期的課題が存在するものと認識しております。

知事
 次に、県内原子力発電所の全基廃炉についてであります。
 本県はこれまで、原子力政策に対し、真剣に向き合い、県民の安全・安心の確保を最優先に慎重に対応してまいりました。
 しかしながら、東京電力福島第一原子力発電所事故により、本県が受けた被害の甚大さや、これまで国や事業者が主張してきた原子力発電所の安全性に対する信頼が根底から崩れたことを踏まえ、私は、原子力に依存しない社会をめざすという基本理念の下、県民を守り、若者や子どもたちが安全で安心して暮らせる福島県の復興のため、国及び事業者に県内のすべての原子力発電所を廃炉とすることを求める、と決断いたしました。
 発災から九ヶ月が過ぎた今もなお、県内外で避難生活を余儀なくされている方々を始め、すべての県民の皆さんが、ふるさと福島で安心して暮らせるよう、私は、本県復興に全力で取り組み、原子力発電所のない「新生ふくしま」を創造していく覚悟であります。

企画調整部長
 水力発電所につきましては、本県は、只見川電源開発に代表される大規模な水力発電所を有しており、全国有数の水力発電県となっております。
 今後、発電効率を高める施設設備の更新がなされた場合においては、再生可能エネルギーの拡大や電力の安定供給が期待できると考えております。
 県といたしましては、本県の再生可能エネルギーの飛躍的推進に向け、電気事業者の取り組みを促す方策などについて検討してまいりたいと考えております。

病院事業管理者
 相双地域の県立病院の統廃合計画につきましては、今回の震災により、病院機能が停止し、職員も避難を余儀なくされたことから、大野病院と双葉厚生病院の統合について、延期の決定をしたところであります。
 今後、県の復興計画に基づき、浜通り地方の医療体制の再構築に向けた具体的な検討を進めていく中で、原発周辺地域における避難区域の見直しや住民の帰還の状況等を踏まえ、さらには、地元市町村や関係機関の御意見を伺いながら、統合の方向性を検討してまいる考えであります。

保健福祉部長
 健診費用の無料化につきましては、従来からの特定健診やがん検診については、その実施主体である市町村や医療保険者等の判断によるものと考えておりますが、県が現在進めている県民健康管理調査において新たに取り組むこととしている避難区域等の住民に対する特定健診への健診項目の上乗せや、これまで受診する機会のなかった県民への健診の拡充については、県の負担によって実施してまいる考えであります。

子育て支援担当理事
 子どもの医療費無料化につきましては、原子力災害を機に県外に避難する子どもたちが増え続けている中で、県内で安心して子育てできる環境づくりを進めるために必要な取り組みであり、国において措置されるべきと考えております。
 県といたしましては、18歳以下の県民の医療費の無料化に向け、引き続き、国に対し働きかけを強めてまいる考えであります。
 次に、子どもの医療費無料化につきましては、原子力災害を機に県外に避難する子どもたちが増え続けている中で、県内で安心して子育てできる環境づくりを進めるために必要な取り組みであり、国において、措置されるべきと考えております。
 県といたしましては、18歳以下の県民の医療費の無料化に向け、引き続き、国に対し働きかけを強めてまいる考えであります。

生活環境部長
 仮置き場の設置につきましては、市町村、県及び国が連携して進めているところでありますが、今後とも住民理解の促進等に向けた積極的な取り組みを国に働きかけてまいる考えであります。
 また、最終処分場の設置につきましては、先般、国が示した「中間貯蔵施設の整備に係るロードマップ」において、除去土壌等は、中間貯蔵開始後30年以内に、県外で最終処分を完了すると明記されており、国の責任においてその実現に向けて着実に取り組むべきものと考えております。
 次に、除染に要する経費につきましては、「放射性物質汚染対処特別措置法」に基づき国が負担することとされており、いずれの財源を活用する場合であっても原子力発電を国策として推進してきた国の責任においてそのすべてを措置するよう、引き続き強く求めてまいる考えであります。

原子力損害対策担当理事
 すべての県民の精神的苦痛や自主的避難への賠償につきましては、これまで、国、東京電力に対し、総決起大会の開催や要望活動等を通し、確実に賠償の対象にするよう要請してきたところであり、さらに年内にも、被害者の実情を訴えながら、被害の実態に見合った十分な賠償を強く求めてまいる考えであります。
 次に、全県民が賠償を受けられるようにする手立てにつきましては、引き続き、東京電力に対して、被害者の要請による仮設住宅等への戸別訪問の実施など、きめ細やかな対応を求めていくとともに、国等の関係機関と連携し、法律相談の充実を図るほか、和解の仲介申し立て手続きの支援を行うなど、全力で被害者の支援をしてまいります。
 次に、賠償金の支払い状況につきましては、東京電力に確認したところ、今月12日現在、本県分として、個人に対し、仮払賠償金が約22万件、約985億円、本賠償が約2万5千件の請求に対して約3300件、約35億円が支払われております。
 また、農業団体等を含む事業者に対しては、仮払賠償金が約7600件、約257億円、本賠償が約7200件の請求に対して約1100件、約252億円が支払われております。

企画調整部長
 福島復興再生特別措置法につきましては、具体的内容について、「原子力災害からの福島復興再生協議会」等において協議を重ねてまいりましたが、先日、国から、検討状況の説明があったところであります。
 県といたしましては、幅広い分野に関する対策を体系化した包括法とすることが重要であると考えており、産業振興に係る対策はもとより、長期的な視点に立った県民の健康管理、地域医療の確保、子育て世代の支援や放射線対策など、県民が安心して生活するために必要となる措置が盛り込まれるよう、市町村や経済団体等とも緊密に連携しながら国に強く求めてまいります。

土木部長
 仮設住宅の寒さ対策につきましては、工事作業員の不足により当初の工程に遅れが生じておりますが、今月末を目標に、鋭意、工事を進めているところであります。
 また、消化器の設置等はおおむね完了しており、非常用通報設備については、市町村と協議しながら、団地の状況に応じて速やかに実施していくこととしております。

生活環境部長
 県外の民間借り上げ住宅につきましては、早期に新規受付を終了すべきとの国からの指示を受け、各都道府県に終期の目安としたところであります。
 しかしながら、依然として県や受け入れ自治体によせられる継続要望も多いことから、現時点で終期を示せる段階にないと判断し、改めて国と協議の上、各都道府県に対し、当面、新規受付の継続を要請することといたしました。
 今後とも、国に対して、原子力災害の特殊事情を強く訴え、被災者の立場に立った対応を求めてまいりたいと考えております。

土木部長
 県内の民間借り上げ住宅の家賃遡及措置につきましては、申請に必要な一定の期間として10月31日までを受付期間としたところですが、り災証明書の発行が一部市町村で遅れて例もあることから、再度の受付について検討しております。
 次に、一部損壊住宅に対する支援につきましては、県において、社会資本整備総合交付金により事業が実施できるよう調整し、現在、20市町村において取り組んでいるところであり、今後とも、同交付金の活用により、新たな市町村の要請に対し、支援してまいる考えであります。
 次に、長期的視点に立った公営住宅の供給につきましては、現在、福島県住生活基本計画に基づき、実施しているところでありますが、今回の震災により、多数の家屋の全半壊や県内外への避難など、住宅を取り巻く環境が大きく変化していることから、改めて、住宅需要の動向を把握した上で、速やかに、本計画の見直しを行い、公営住宅の適切な供給に努めていく考えであります。

子育て支援担当理事
 県外に避難している子どもたちの現状につきましては、市町村、避難先自治体、さらには、県からの派遣職員等を通して情報の収集、把握に努めているところであります。
 今後とも県外に避難している子どもたちの状況把握に努めるとともに、民間支援団体等と連携して、避難先での交流会の開催や心のケア事業の実施などにより県外に避難している子育て家庭の支援に努めてまいりたいと考えております。

教育長
 スクールバスの運行につきましては、それぞれの市町村の判断により行われているところであり、引率業務に関しては、国の補助事業を活用することによって臨時職員雇用が可能となっていることから、市町村に対して当該事業の周知に努めてまいります。
 次に、全国学力・学習状況調査につきましては、義務教育における児童生徒の学力や学習状況等を把握・分析し、その改善に役立てることを主な目的としております。
 本調査は来年4月に実施することが国において決定されておりますが、その参加については、各市町村教育委員会が判断するものと考えております。
 次に、南相馬市のユニット教室につきましては、東日本大震災等により校舎が使用できなくなった小中学校の教育環境を早急に改善するため、市が企業の支援を受けて8月までに設置したものであり、11月には仮設校舎が完成したことから、現在は、併用している状況にあります。
 県教育委員会といたしましては、児童生徒が本来の校舎で学習できるようにするため、今後とも、市町村の災害復旧への取り組みを積極的に支援してまいる考えであります。
 次に、理科教材等の整備につきましては、被災した県立高校には、学校施設等災害復旧事業により、特に、手厚く対応しているところであり、今後とも、各学校の要望を把握して、整備に努めてまいります。
 また、市町村立学校の教材等の整備につきましては、市町村教育委員会において、国の補助制度を活用するなどして、実施しているところであり、今後とも、この制度の周知を図ってまいる考えであります。
 次に、児童生徒の体力の向上につきましては、これまで、各学校に対して、屋内でもできる運動プログラムの提供や、スポーツトレーナーの派遣等を行い、体育の授業の充実に努めてきたところであります。
 今後は、こうした取り組みに加えて、子どもの体力向上支援委員会等を開催し、体力の実態と課題を明確にするとともに、体力向上リーフレットの配分や、運動の専門家の派遣、教員の指導力を高める研修会の開催などを通じて、児童生徒の体力向上を図ってまいる考えであります。

子育て支援担当理事
 子どもが安心して遊べる空間の設置につきましては、子どもたちの健康や心のケアの両面からも重要であると考えております。
 このため、現在、安心子ども基金を活用して、子どもの遊び場を設置する市町村を支援しているところであり、今後とも、安心して子どもを遊ばせることができる屋内施設等の整備を推進してまいりたいと考えております。

教育長
 被災児童生徒に対する就学援助につきましては、各市町村において被災による経済的理由から就学困難と認められた児童生徒に対し、学用品費や給食費などへの支援を行っており、県はこうした取り組みを行う市町村に対して国からの交付金を基に補助金を交付しております。
 県教育委員会といたしましては、今後とも、この制度を活用して、被災した児童生徒への支援に努めてまいる考えであります。
 次に、家庭学習への支援につきましては、児童生徒に、毎日の学習時間や生活状況を記録できる「学習ノート」の活用を促し、学習習慣の確立を図るとともに、家庭学習に関する優れた指導方法を教職員に広く普及させるため各教育事務所の指導主事が、各学校を訪問して指導にあたっているところであります。

総務部長
 私立高校が行う被災生徒の授業料減免に対する助成につきましては、国からの交付金を基に震災等により経済的な理由から就学が困難となった生徒を支援しており、今後とも、この制度を活用して、被災生徒の就学機会の確保に努めてまいる考えであります。

教育長
 県立高校の諸経費につきましては、各学校や各種団体が、教育活動における必要性を踏まえ、経済的負担の軽減を図りながら保護者の理解を得た上で、徴収しているものと考えておりますが、今後とも、震災による経済的な影響にも配慮し、負担軽減に努めるよう指導してまいる考えであります。
 次に、奨学金制度につきましては、高等学校生徒及び大学生いずれも、貸与型として運営しておりますが、給付型の創設については、国に対して引き続き働きかけを行ってまいる考えであります。
 次に、県立学校の校庭の表土改善につきましては、当初予定していた28校については8月末までにすべて完了し、その後、9月末で緊急時避難準備区域が解除された南相馬市の2校については、解除後直ちに表土改善工事に着手し、11月中旬までに完了しております。
 次に、公立小中学校の教員採用につきましては、来年度以降は採用試験が実施できるよう努めてまいる考えであります。
 また、30人以下学級や複数担任につきましては、本県では、全国に先駆けて30人学級及び30人程度学級を実施しているところであり、一層のきめ細かな指導が可能となるよう、国と協議しながら、教員数の確保に努めてまいる考えであります。
 次に、スクールカウンセラーにつきましては、震災後の児童生徒の心のケアに対応するため、希望のあったすべての公立学校に配置しているところであります。
 また、養護教諭につきましては、今後とも、いわゆる標準法定数に沿った配置に努めてまいります。

再質問

神山悦子県議
 まず、知事にお尋ねいたしたいと思います。
 TPP問題について、優先すべきは復興だというのは同じですね。だったらなぜ「反対」と一言いえないのでしょうか。いろいろ調べるまでもなく、国の形が変わると言われ、被災県の福島県にとってTPPがどんな影響を与えるのかと、こういう立場だから、被災県の立場で参加すべきではないとキチンと言うべきではないですか。復興は福島県がそれが実現できるかどうかこれからなんですね。そういう意味ではこの入り口でアメリカに関税障壁などと言われて市町村の入札まで入ってくるようなことも言われ、医療崩壊も言われ、農業もだめになる。これは絶対に相容れないものですから、知事がキチッと明言すべきだと思いますが、もう一度お尋ねいたします。
 それから、生環部長にお尋ねいたします。ステップ2について答弁では厳しい見方ということを今お聞きしましたが、国がそういう方向になると何となく県がそれに合わせて、終了に合わせた対応をしていくのではないかと、私は危惧するんですね。答弁されたように収束どころか様々な問題があるわけですから、これは厳しく見てちょうどと思います。福島第一原発の建設にあたった日本人なんですけれども、爆発は低い温度でも起きうる。蒸発量が違うだけの話ではないと言って、その危険性を否定しておりませんし、1号機での格納容器の底まで浸食していたのではないかと考えますと、これは大変な問題ですので、あらゆる問題で終了という問題が国からくると、県の復興ともいろいろと関係してくるものですから、認識をもう一度お伺いしたいと思います。
 それから、生環部長にもう一つお尋ねいたします。県外住宅の借り上げ延期する方向はお聞きしましたが、通知は各都道府県にちゃんと出されたのかお尋ねいたします。
 もう1つ、土木部長なんですけれども、県内の借り上げ住宅の遡及問題ですね。検討するという方向で、じゃあどうするんですか。遡及すると言われてもいいのではないでしょうか。そうしなければ、今年3月以降、自分で自腹を切った方も相当な金額をかかえていると、年末を控えているということもありますから、早くそれをやるべきではないでしょうか。そういう意味で最後まで県内の被災者は土木部が見るというくらいのお答えをいただきたいと思います。通知についてのお考えをお聞かせください。
 それから、教育長にお尋ねいたします。それから、子育て支援担当理事にもお尋ねいたします。
 どちらにも子どもに関することなんですけれども、教育長、先ほどのいろんな答弁をお聞きしても、現場にちゃんと足を運んでいらっしゃるかどうかが見えてきません。市町村から何か言われればやるみたいな、あるいは県立学校だけ見ているような、これでは子どもは救われないと思いますし、現場の教員だって泣いているのではないでしょうか。市町村だけにまかせていたのでは、市町村だって被災地なんですよ。教育長が出かけて、教育委員会あげて現地に行かれて、よくご覧になって対応を考える。これくらいの今回の原発事故ではないでしょうか。そういう立場で様々な支援を行うべきだと思いますので、お考えをお聞きしたいと思います。
 それから子育て支援担当理事にお尋ねいたします。子どもの県外に避難している数が何人になっているのかとお尋ねして、どこに聞いても分からないんですよ。教育庁に聞くと転校した数は分かる。じゃあ、学校に上がらない子どもは何人ですかと聞いても分からない。つかんでいらっしゃいますか。つまり、子ども全体を見るのが、そちらの担当理事のお仕事じゃないですか。18歳までの医療費の問題も言っているんですから、何人県外にいて、何人県内に避難しているのか。よくつかんでからその支援のあり方、どうあるべきを考えるべきではないかと思うんで、つかんでいらっしゃるならばお聞かせください。

答弁

知事
 TPPへの参加についての問題につきましては、国に対して東日本大震災からの復興を最優先に全力取り組むよう求め、それと同時にTPPの影響の詳細について県と国民への説明、それと国民的議論を十分に尽くした上で、慎重に対応するよう強く訴えてまいります。

生活環境部長
 「ステップ2」終了後の県の対応についてでございますが、事故の収束、これを引き続き強く求めてまいります。また、現在、中期的課題とされております循環注水冷却機能の健全性あるいは使用済み燃料プールの機能の健全性、こうしたことについてもその取り組み状況、国・事業者の取り組み状況をしっかりと確認してまいりたいと考えております。
 それから、民間借り上げ住宅に関する通知でございますが、現在、最終的に国と調整中でございまして、協議が整い次第、通知を発したいと考えております。

土木部長
 県内借り上げ住宅の家賃遡及の問題でございます。現在、遡及することで検討しております。内容については近日中に公表したいと思います。

子育て支援担当理事
 県外に避難している子どもの数でございますが、私どもの方で11月1日現在を基準日といたしまして市町村に照会してそれから回答をもらった数の集計でございます。14,485名という数になっております。ただ、市町村によっては、自主避難者の数を十分に把握していないという市町村もございますので、推定値ということでお受け止めいただければと思います。

教育長
 教育長自ら市町村の方へ出向いて現場の声をよく聞けというお話だと思います。私なりに何度か被災地の方に足を運びまして、高校だけではなくて小中学校の方にも足を運んでその実態を見てきたつもりでございます。
 ただ、もう一方では義務教育についての役割分担というものもしっかりとこれもまたあるのも事実でございます。そうはいってもわれわれにできることは、市町村教育委員会としっかりと連携して、その中で現場の声をしっかりと聞いていくということでございますので、今後ともしっかりとその努力は続けてまいりたいと考えております。

再々質問

神山悦子県議
 土木部長にお尋ねいたします。先ほどの御答弁(県内民間借り上げ住宅の家賃遡及)は大変ありがたいというか、被災者のみなさんにとっては大変ありがたいと思います。
 一部損壊家屋についての支援についてなんですけれども、これについては災害救助法の見直しは国に求めなければならないでしょうし、地震だけじゃなくて水害にあったところも準拠されるので、床下だと何もないんですね。これはほんとうに大変なんです。こちらの方が数が多いんです。20市町村でやっていると言いますけれども、20市町村は市町村がやっているんですね。ほんとうに今回の地震とかで、また水害地域も福島、郡山、須賀川こういうところは何もこういう制度はありませんよ。いわきもそうですけれども。一部損壊家屋に対して岩手県は社会資本整備総合交付金を使ったり、今回の第3次補正の特別交付金を使って500億円の基金をつくった中からそういう住宅支援をやっているんですね。私は住まいは人権だと思いますよ。住まいをキチンと支援していくと。これだけの被災を受けたわけですから、この制度を国に作り直しさせるくらいの制度の改善と、それから、本県が独自に国からの交付金なども助成金も使ったりしてまずやってみてはどうなんですか。県がやらなくては、市町村はなかなかうんと言わない。市町村は負担が大変という壁があるのではないでしょうか。もう一度お聞かせください。
 教育長にお尋ねいたします。私は厳しいことを言いましたけれども、しかし、学校に行っていると言っても、学校の授業とか現場の先生とか校長とか教頭とお話ししただけで分かるということもあるかもしれませんが、もっと市町村の子どもたちにも触れて、現場も見てやらなければ、先ほど私が言ったユニット教室とかですね、それから経済的な困難をかかえているとか、原発事故がなかったらこんなことはなかったわけですから。そういう意味では県の関わりが非常に大切になっているわけですから教育は人づくり、本県の復興の大事な柱じゃあないですか。そういう意味では市町村との役割分担などという従来の発想から抜け出さないといけないと思うんです。そういう意味でもう一度、具体的にあればお聞かせいただきたい。教材も足りない。その支援も、待たないでちゃんと足りているのか聞いてやったらいいんじゃないですか。もう一度お答えください。
 それから、子育て支援担当理事、県外に避難している子どもは約1万5千人いるとのことでしたけれども。やっぱり、チキンと責任を持ってつかむ部署を決めて、全体として0歳から18歳までは全部見ると。いろんな意味でやっていくという、実態調査をやっていただきたいし、庁内での役割・担当ということで、私は子育て支援担当が適当だと思うのですけれども。今後の避難も変わってくるわけですから、ぜひそういう立場でつかんでいただきたいと思うんですけれども、もう一度考えをお聞かせください。
 賠償問題です。理事はいろいろがんばっていただいているんですけれども、ただ、具体的にいろんな方法とか、東電に言うとか、間に入るだけでは進んでいかないというのが実態ではないでしょうか。前よりは金額と件数は進んだかもしれませんが、請求件数に対してはまだまだ足りない。そこは新たな職員体制をとって、県がしっかりと間に入って対応するくらいにやったらどうでしょうか。私はそれくらいの体制をとってやるべきだと思いますが、もう一度お考えをお聞かせいただきたいと思います。
 それから、企画調整部長の「特別法」の関係ですけれども、これからもそういう立場で新たな課題もやっていくと。これは県が発信しないと今後の全体に関わる大事な問題になってくると思うんですけれども、もう少し具体的に見えるように、健康支援とかいろいろおっしゃいましたけれども、もっと被災者のためには何が必要かということも含めて再生特別法のあり方について協議したり国に発信したりすべきだと思うんですね。部長の役割非常に大切だと思いますので、そこももう一度お聞きしておきたいと思います。

答弁

企画調整部長
 (仮称)福島復興再生特別措置法、その中で福島県の原子力災害に伴う被害それをふまえた再生を国の責任の下で取り組んでもらうというのが基本的な本県の課題でありますので、全力で取り組んでまいりたいと考えております。
 それで、国から具体的な中身がまだ詳しく示されているわけではございません。今後この法律が来年の通常国会に提出をされて、その後、国から具体的に示されますと基本方針が示されることになろうかと思います。そういう過程の中で、いま国と行っております福島県の原子力災害に関する協議会の場がございますので、そういう場を通じて、今議員からもお話がありましたような本県の復興再生にとって必要な事項、そういう内容を国に対して引き続き求めていくという、そういう形で全力で取り組んでまいりたいと考えております。

土木部長
 一部損壊住宅の支援についてでございます。社会資本整備総合交付金を活用して事業に取り組んでおりますのは、本県だけでございます。新たに水害を受けた市町村からもそういった要請がございます。同交付金を活用して引き続き支援してまいりたいと考えております。

原子力損害対策担当理事
 賠償手続きでございますが、まずは当事者でございます東京電力がしっかりやっていただくというのが第一義的だと思っております。私どもは、毎日県民の方々から手続きについていろんな問題があったものについて、毎日東京電力に厳しく申し入れをして改善を促しておりますし、そうした監視をしっかりとした上で、被災者のみなさんが困っておられる法律的な問題であるとか、請求書の書き方であるとか、そうしたものについて仮設住宅の軒先まで巡回の法律相談や、トラブルがあった場合、総括支援センターへの紹介を行う、そういったことをしっかりと対応してまいりたいと考えております。

子育て支援担当理事
 被災した子どもたち、県外に避難した子どもたちも含めてですね。その子どもたちの状況把握、そして支援のあり方、議員ご指摘の主旨を踏まえて検討していきたいと思っております。

以 上



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