1 放射線被害に対する県の対応について
日本共産党の宮本しづえです。県議会初めて質問させていただきます。
今、県民を取り巻く状況は、3.11以来大地震と津波、原発事故による放射能汚染が重複し、他県にはない深刻な被害が県民生活に襲いかかっており、政府が言う事故収束とは全くかけ離れた状況であることを強調したいと思います。
とりわけ放射能汚染の被害は、日が経つにつれて拡大しており、米からも暫定規制値を超えるセシウムが検出されたことは、どこまで被害が拡大するのかと、一層不安を増大させています。
県においては、避難する権利を保障しつつ、 一日も早く安心して子育てし、住み続けられる福島を取り戻して欲しいという県民の切実な要求に政治がいかにスピード感を持って取り組むのかが問われていると思います。
9か月経過した今なお、自主避難が続いているのは行政の対応があまりに遅く、県民の不安に応えていないとの行政不信が根本にあるからです。
県民の不安を解消するためにどのように取り組んでいくのか、県の考えを伺います。
2 除染対策について
避難せずに残っている人たちも、行政はいつになったら除染を始めるのか、さっぱり動きが見えない、本当にここで生活していていいのかという不安が益々大きくなっています。福島県で住み続けられるようにして欲しい。その最大の保障は徹底した除染です。
除染は国が責任を持って取り組むことなしには進みません。その事を前提にしつつ、県の取り組みについて、以下の質問いたします。
まず、適切な除染の実施のためにも、汚染状況を正確に把握するためのきめ細かな線量測定を行うことです。日本共産党は、この間福島市内の7地区、約1000か所の空間線量調査を独自に実施いたしましたが、私の地元の渡利地区でも、国、県が実施した戸別の詳細調査に該当しなかった箇所でも線量の高い所が確認され、汚染の状況が地域で簡単には区別できない複雑な様相を呈しており、だからこそ、丁寧な線量測定が求められると思います。
県が主体となって、国、市町村の協力も得ながら、早急に、さらにきめ細かな放射線量調査を、空間線量とともに山林・農地などの土壌調査を並行して行い汚染マップを作成すべきですが、県の考えを伺います。
除染の実施主体は、市町村となりますが、現在まで除染計画を策定済みかほぼ完成の市町村はまだ13にとどまっています。
県北地区でみると、自治体が責任を負う部分を線量で線引きする所もあれば、全ての除染に自治体が責任を負うとする所もある。問題は財源を本当に国が出してくれるのか不安なので、住民の不安よりも財源が心配で、自治体の構えに差が出ているということです。
国は、年間1mSVを超える地域の除染費用は全額負担することになりました。線量にかかわらず原発事故前の環境を取り戻すこと、そのための除染にかかる経費は全額国と東電が負担すべきというのが県民の要求です。県は、この立場で対処すべきです。
この程県は、除染対策事業実施要領を策定し、市町村に示しました。個々の事情でかかる経費の内訳にも差が生じるのは当然ですから、要領で示している基準は目安とし、市町村が除染に要した経費は全額国が負担すべきと思いますが、県の考えを伺います。
また、膨大な事務量と除染作業にかかわる人材確保が必要ですが、雇用確保の観点からの取り組みを求めるものですが見解を伺います。
福島市大波地区、伊達市小国地区など、除染が始まった地区がありますが、現在までに除染を行った民家の戸数、かかった経費の総額、および1戸当たりの平均金額はいくらになると把握しているか、また、全県では民家の除染費用はどの程度の額が見込まれるか伺います。
JA伊達みらいや、JA新ふくしまでは、果樹の樹木の除染計画を策定し年度内に実施する計画で進められています。
そこで、これら果樹の樹木の除染に要する経費については、全額県の財政支援の対象となるのか伺います。
国が実施する事になる飯舘村全域の除染経費だけでも、3224億円と試算されています。県は除染にかかる経費として9月補正で1843億円の基金を造成していますが、これはいつまでの経費として見込んでいるのか伺います。
国の除染にかかる予算は、来年度分を含めても1兆2000億円に過ぎず、本気で除染をやる気があるのか疑問と言わざるを得ません。この予算を抜本的に増額するよう国に強く求めるべきですが、県の取り組みについて考えを伺います。
自治体は、除染の方法、減量化の方法など、具体的に効率的で有効な除染方法が定まらなければ、除染計画の作りようがないのが実状だと思います。
現状では、各市町村が独自に研究者をアドバイザーに委嘱し模索している状況です。本来国が中心になって科学者、研究者の英知を総結集して有効な除染方法を早期に示す必要がありますが、県としてのこれまでの取り組みと今後の方針を伺います。
除染開始の条件となる仮置き場の設置は、どの自治体でも一番苦慮している問題です。国は、仮置き場の期限を3年とする方針を示しましたが、その先は、福島県内に30年間の中間貯蔵施設を作りたいとして、最終処分場建設を先送りしています。これは明らかに国の責任を回避し、地元福島県に責任を押し付けるものです。中間貯蔵施設などという曖昧なものではなく、国の責任で最終処分場をいつまで、どこに建設するか明確にして、仮置き場設置の住民との合意形成の協議に入るべきです。
知事は中間貯蔵施設の県内設置も認めていませんが、除染によって生じる汚染土壌などの処理については、国が責任を持って対応すべきと考えますが県の見解を伺います。
細野原発事故担当大臣が、今月12日双葉郡内自治体関係者に対して、中間貯蔵施設を双葉地区に設置したいとの意向を伝えたと報道されましたが、この報道を知事はどう受け止められたか伺います。
県内でも仮置き場が決定した地区は僅かに過ぎません。伊達市や、二本松市では、民間の所有地に対して小作料のほぼ2倍相当の借地料を出すなど独自の対策も講じて漸く仮置き場を決定するなどの努力も始まっています。県も国も一緒に住民の中に出向いて不安や要求を聞き、一緒に解決しながら汚染土壌等の処理を進めるための仮置き場の確保に向け、道筋をつける努力が求められていると思いますが、その取り組みについて伺います。
また、一団体50万円を助成する、線量低減化活動支援事業について、福島市では、ようやく市内の町内会で申請についての協議が始まりました。「何で被災者の自分たちが危険な除染をしなければならないのか」との声も上がっており、補助対象も限定されています。この状況を踏まえるなら、来年度も事業を継続するとともに補助要件について柔軟に対応すべきと思いますが、見解を伺います。
福島市や伊達市など、避難指定地区よりも線量の高い地域からは、現在住んでいる人への影響を極力減らすため、優先して除染してほしいとの要望が相次いで寄せられています。
除染開始できる条件が整った地区も、避難指定地区と同時に並行して、自衛隊の導入を含め、国が前面に出てあらゆる対策を講じて除染を急ぐべきと考えますが、県の見解を伺います。
3 県民健康対策について
放射線の長期にわたる低線量被ばくの健康への影響には、しきい値はないというのが専門家の見解であり、線量は低いに越したことはありません。
県が行った県民健康アンケート調査では、計画的避難区域に居住していた住民のほうが、20キロ圏内で事故直後に避難した住民よりも被ばく線量が高かったことが明らかになりました。現在避難指定のない地域で線量の高い地域に住む住民に対する健康対策の重要性を裏付けるものです。県はこれらの地域での健康対策をどのように講じられるのか伺います。
県の復興計画案では、全国に誇れるような健康長寿県を作るとしています。その実現のために、これから長期にわたり放射能汚染の不安と向き合わなければならない全ての県民の健康不安に応えるとともに、他県にぬきんでた健康福祉増進の各種施策を推進することが、県政のもっとも重要な責任です。
セシウム137は、半減期が30年に及ぶことから30年を見据えた体制作りが求められ、県としての本格的な構えが問われています。
放射能汚染の影響は、いつ誰にどのような形で現れるか全く予測できません。だからこそ、現行の各種健診制度を組み込みながら、年齢を問わず、全県民を対象にした全身の健康管理の仕組みを作る必要があると考えますが、県の見解を伺います。
また、わが党の代表質問への答弁では、健診費用の無料化は実施主体の市町村等で判断すべきものとの考え方が示されましたが、これは県が責任をもって財政支援し取り組むべき課題と考えますが、見解を伺います。
県民が、今後現れるかもしれない病気を早期発見し、早期治療につなげるために、自己管理できる「健康管理手帳」を全県民に対して交付すべきですが、見解を伺います。
全ての県民の健康管理調査の回収率が15%と報告されました。曖昧な記憶に頼るアンケート調査という方法に県民は疑念を抱いており、結果の信頼性も揺らぐのは当然です
より確実な検査で外部、及び内部被ばく調査を実施して欲しいというのが圧倒的多数の県民の要求です。県の調査ではホールボディカウンタによる内部被ばく検査を受けた県民は、10月末で僅か6608人に留まっています。この検査体制を抜本的に強化すべきですが、12月補正予算に計上されたのは僅か5台の増加のみで、県としては6台になるとのことですが、全ての市町村にホールボディカウンタの配備を進めるとともに、放射線量の高い地域については、希望する県民を1年の間で検査することを目標に配備を行うべきと思いますが、県の見解を伺います。
原子力災害により外出を控えたり、子どもたちが外でのびのびと遊べないなど日常生活が制限されていることから、心身の健康を危惧する声が様々な分野から上がっています。そこで、子どもやその親の心身の健康状態を把握し、健康維持のために適切な対応を図るべきと考えますが、県の取り組み状況について伺います。
また、成人でも放射線への不安が限界に達し、日常生活に支障をきたす人も出ています。県は、放射線への不安に対して、医学的な面も含めた相談支援を考える必要があると思いますが、今後の取り組みについてお示しください。
医療にかかわっては、被災者の医療費一部負担金及び介護保険利用料に対する免除措置が来年2月末で終了する事になっていますが、延長を求める要望が強く出されています。国に延長を求めるとともに、県として延長する方針を明確にすべきと思いますが見解を伺います。
4 食品検査体制の強化について
二本松市から始まった、米の暫定規制値を超えるセシウムの検出は、福島市や伊達市へと広がっていきました。県が安全宣言を出したのに今になって出荷規制とはと、農家は怒りとともに、展望を失いつつあります。
県の検査体制がいかに安易なものだったかを証明したもので、流通している食品は基本的には安全だとしてきた食の安全の信頼が根本から揺らぐとともに、福島の農産物に対する信頼が一気に崩れてしまいました。
福島市では主力品、りんごの最盛期に贈答用の注文を断られる事例も相次いで報告されています。
空間線量が高い地区で、なぜ特別の検査体制が取られなかったのか、もっと早く対策していれば福島の農産物全体の信頼を損なうことはなかったのではないか。米のモニタリング調査で暫定規制値を超えるものが見つけられなかった原因について、県の考えを伺います。
福島市、伊達市、二本松市などの一部地区の米が出荷停止となった以上、該当する市も求めているように、規制該当地区はもとより、当該自治体の米は国に対し直ちに全量買い上げを求めるべきではないかと考えますが、県の対応を伺います。
一日も早く信頼を回復するには、検査機器を抜本的に増やして、米をはじめ農産物のきめ細かな調査を実施することです。
この度の県の補正では、県として400台まで増やす計画ですが全く足りません。福島市で一般市民の要望に応える検査が始まりましたが、あっという間に予約が入り来年の1月下旬から2月以降にならないと検査してもらえないという状態は、いかにこの要望が強いかを示しています。
健康調査と同様に、30年先まで見越した体制を作る必要があります。政府消費者庁が、全国に配備する計画は、僅か150台程度に過ぎないとの報告には唖然としました。国が、この問題をどんなに軽んじているかを証明するものです。
検査体制については、抜本的な強化を国に対して強く求めていくべきです。そして県民が身近なところで食品を検査できるようにするため、検査機器を各小学校区に1台程度の規模で配備すべきと思いますが、県の考えを伺います。
子どもに安全な食べ物を食べさせたいとの思いも切実です。学校給食の放射性物質検査体制はどのように把握されているか伺います。
子育て真っ最中の若い母親は、母乳を飲ませていいか不安だから、測ってほしい自分の母乳を検査して欲しいと切実に要求しています。
県が所有する検査機器を用いて直ちに要望に応えるべきですし、県としてその体制が取れないなら、検査代金を助成し、福島県で安心して子育てできる環境を整えるべきですが、対応を伺います。
食品の安全基準について、国で見直しが検討されています。学校給食については、食材の使用基準を設定するよう国に求めるべきと考えますが、県の考えを伺います。
食品の暫定規制値が5分の1など大幅に引き下げられると、土壌の作付けの規制値も当然変わるものと考えられます。このように、食品の暫定規制値の見直しにより本県の稲作に大きな影響が出ると思いますが、県としてどのように対応されるのか伺います。
以上で私の質問を終わります。
答弁
一 放射能被害に対する県の対応について
生活環境部長
県民の不安解消への取り組みにつきましては、「放射線と健康」アドバイザリーグループを活用した正しい知識の普及を始め、県民が自ら食品を検査できる体制づくりや、地域住民のニーズを踏まえた、地区単位での放射線や除染に関する講習会などの開催により、1人1人の様々な不安に、丁寧に対応してまいります。
二 除染対策について
生活環境部長
次に、詳細な汚染マップにつきましては、市町村が除染を効果的、効率的に進めるために必要なものであることから、よりきめ細かく空間線量率等を把握できるよう、国と連携して、市町村への必要な資機材の配備や測定結果を反映した分布マップの作成支援などに取り組んでまいります。
次に、除染した経費につきましては、原子力発電を国策として推進してきた国の責任においてそのすべてを負担すべきものと考えております。
次に、市町村における人員の確保につきましては、除染計画の策定及び実施にあたり必要な人員を臨時に雇用する場合には、賃金等の経費が財政措置の対象とされており、市町村においてこれらを有効に活用するように働きかけてまいります。
次に、現在までの除染戸数等につきましては、先行して着手した3市村の実施戸数が1317戸、その所要経費が約17億円、1戸あたりの平均額は、実施地区が敷地面積の広い農村部であるため約130万円となっております。
また、全県における民家の除染経費は、対象戸数のとらえ方や除染作業の内容等によって大きく変わるため、正確な推計は困難ではありますが、仮に、除染対象地区の総戸数約60万戸に1戸あたり基本額70万円を乗じると約4200億円となります。
農林水産部長
果樹の樹木の除染に要する経費につきましては、県の農林地等除染基本方針に基づき策定される市町村の除染計画に盛り込まれた対策について財政支援の対象とする考えであります。
生活環境部長
9月補正で計上した1843億円につきましては、12月補正において当面の所要経費511億円を予算化したほか、来年度の所要経費を精査しているところであり、不足が生じる場合には、速やかに追加措置するよう国に求めてまいります。
次に、除染に関する予算につきましては、実施主体のいかんを問わず、必要額を確実に計上するよう引き続き国に強く求めてまいります。
次に、有効な除染方法につきましては、現在、除染アドバイザーや専門家の助言を頂きながら実施している面的除染モデル事業及び技術実証事業者等の成果を踏まえて、面的除染の手引きや除染技術カタログをとりまとめて発表するなど、効率的・効果的な除染方法の普及に努めてまいります。
次に、除染によって生じる汚染土壌等の処理につきましては、原子力発電を国策として推進してきた国の責任において対応すべきと考えております。
知事
中間貯蔵施設につきましては、国に対して、施設の規模や立地のための環境条件を速やかに明らかにするよう要請した結果、年内にも説明を受けることとなっており、県としても、こうした動向を見極めながら、しっかりと対応してまいります。
生活環境部長
仮置き場の確保に向けた取り組みにつきましては、安全な設置や維持管理の方法などを市町村、国及び専門家と連携して地域に出向き、住民に直接、丁寧に説明するなど引き続き住民理解の促進に努めてまいります。
次に、線量低減化支援事業につきましては、市町村からの強い要望を踏まえ、補助対象経費を拡大するとともに、仮置き場の設置義務を緩和するなど制度を柔軟に見直したところであり、来年度も継続することを検討しているところであります。
次に、国による除染対策につきましては、市町村の意向を踏まえ、地域の実情に応じて求められる役割を積極的に果たしていくべきものと考えております。
三 県民健康対策について
保健福祉部長
健康対策につきましては、県民健康管理調査として、県内全域において受診対象者を大幅に拡大して行う健康診査や、18歳以下の県民を対象とする甲状腺検査等に取り組んでいるところであります。
また、新たに、特定避難勧奨地点に指定された地域の住民につても検診への検査項目の上乗せなどの追加措置を講じることとしており、今後の状況の変化にも適切に対応してまいる考えであります。
次に、健康管理の仕組みにつきましては、県民健康管理調査で実施する健康診査や甲状腺検査などの結果を一体的に管理することによって、県民1人1人の総合的な健康増進を図ってまいりたいと考えております。
次に、健診費用の無料化につきましては、県民健康管理調査において新たに取り組むこととしているこれまで受診する機会のなかった県民への健診の拡充や特定健診への健診項目の上乗せについては、県の負担によって実施してまいる考えであります。
次に、健康管理手帳につきましては、県民1人1人が、県民健康管理調査における各種の調査や検査結果等を一括して記録、保管して、自らの健康状態を把握し、健康の維持、増進に役立てていただくよう、県民健康管理ファイルを全県民に配布してまいる考えであります。
次に、ホールボディカウンターにつきましては、現在、県有機器や民間への委託など8台体制で検査を実施しておりますが、近く、県有機器がさらに4台稼働することに加え、今後、市町村や医療機関等において10台程度の機器導入が見込まれることから、導入予定の市町村等とも十分連携した効率的な検査体制を構築し、他県等の協力も得ながら、できるだけ多くの検査ができるよう取り組んでまいる考えであります。
子育て支援担当理事
子どもやその親の心身の健康につきましては、震災後の不安やストレス等から親子の健康を守るため、市町村の乳幼児健康診査において、新たに県で作成した問診票により健康状態を把握する取り組みを始めたほか、健診後の相談会や訪問支援に対し、心理士や保健師等の専門職を派遣するなど、親子の健康維持のために、市町村と連携して取り組んでいるところであります。
保健福祉部長
放射線に関する相談支援につきましては、今般の原子力災害が多くの県民に不安を与えていることから、県民に身近な医療機関において相談に応ずる放射線相談外来の開設を促進するため開設経費の助成を行うほか、新たに設置した専門家からなる「放射線と健康アドバイザリーグループ」を活用し、市町村の求めに応じて放射線に関する情報の普及のための講演会を開催するなど、相談支援体制の充実を図ってまいる考えであります。
次に、被災者の医療費の一部負担金等の免除措置につきましては、国の財政支援を受けて実施されておりますが、避難が長期化していることから、被災者の負担を軽減するため、国に対して財政支援の延長を要望しているところであり、今後とも強く働き掛けてまいる考えであります。
四 食品検査体制の強化について
農林水産部長
米のモニタリング調査で暫定規制値を超えるものが見つけられなかった原因につきましては、国及び県における調査方法の策定から調査の実施までの過程において、放射性物質の挙動に関する知見が十分になかったことによるものと認識しております。
次に、出荷制限区域のある市町村の米について国に買い上げを求めることにつきましては、現在、出荷制限区域内の販売農家の全戸調査を進めながら、出荷制限を解除する場合の条件について検討を進めているところであり、これらの区域の米の出荷が早期に再開できるよう取り組んでまいる考えであります。
生活環境部長
検査機器の配備につきましては、県民が身近な生活圏で利用しやすいように、公民館等を中心に400台程度を配置し、また、適正な検査を実施するため、1台につき1人の専任職員を配置することとしております。
今後は、導入される機器の運用状況を踏まえ、より適切な配備と運用に努めてまいります。
教育長
学校給食の放射性物質検査体制の状況につきましては、12月16日現在、33の市町村が検査を実施しており、その他の市町村についても今後、実施予定または検討中です。
子育て支援担当理事
母乳検査につきましては、これまで、2度にわたり国で調査が行われており、乳児の健康への影響はないと評価されているところであります。
県といたしましては、国の調査結果を踏まえるとともに、母乳検査に関する市町村の意向や医療機関等の意見を参考にしながら、その対応を検討してまいりたいと考えております。
教育長
学校給食用食材の使用基準の設定につきましては、現在、国において、食品全般を対象とした放射性物質に関する暫定規制値の見直しが進められていることから、その推移を注視してまいる考えであります。
農林水産部長
食品の暫定規制値の見直しによる稲作への対応につきましては、今月策定した農林地等除染基本方針や米の緊急調査の結果等に基づく対策の徹底を図るとともに、今後、国から示される新たな暫定規制値や来年の米の作付けについての考え方を踏まえ、消費者及び生産者双方の安全・安心の確保が図られるよう、しっかりと対応してまいる考えであります。
再質問
宮本しづえ県議
何点か再質問いたします。最初に除染についてですけれど、今の答弁をお聞きをいたしまして、すでに民家の除染については1戸平均70万円という目安が示されておりますし、農地については1haおおむね100万円という基準が市町村に示されたというふうに伺っておりますけれども、これはあくまでも目安だということで、答弁にあったようにかかった経費は全額、県としては市町村から請求があれば払うということで確認をしていいかどうか確認をしたいというふうに思います。それが第1点です。
それから、仮置き場の設置の問題ですけれども、これは今答弁があったように、市町村に一緒に出向いて住民の中にも入っていくというようなお話がありました。私もそれはほんとうに大事だなと思いますのは、市町村まかせにはいかない広域的な調整が必要になってくる事例がすでに県内でも起きているということなんですね。
飯舘村がかなり規模の大きい仮置き場の設置を決めた。ところが、それはどうも南相馬市の水源の上流にあたるということで、下流域の南相馬市から仮置き場の設置は困るんだというような声がすでに出てきているということなんですね。ですから市町村をまたがるような問題については、やっぱり広域的な調整は県がしっかりとやっていかないと仮置き場の設置も進まないということが起きているわけですけれど、このような事例について承知しているかどうか、承知していなくとも県はキチンと対処すべきと思いますので、見解を伺っておきたいと思います。
それから、健康対策について。これはですね、私は今6万人もの県民が県外に避難生活をしている、最大の問題は健康に対する心配があるからなんですね。ですから、私、復興計画を見ましてね、日本一長寿の福島県をつくるんだ、こういう目標は大変すばらしいことです。これを絵に描いた餅にしちゃならない、というふうに思うんですよ。ですからこれをほんとうに実現をさせるためにどのような対策が必要なのか。このことを真剣に今、県としてしっかりとその計画をつくっていくことが、6万人の県民のみなさんが安心して福島に戻ってこれる、そういう条件をつくることになるんだろうというふうに思います。
今、福島の市内でこんな話を聞きました。ほんとうに小学生の子どもがですね、「お母さん、僕は長く生きられるの」、そういう会話を親子がしている。お母さんはそういう話を聞いて、なんて答えていいか分からない。これほど健康に対する不安が子どもたちもお母さんも大きいということです。
でも、今、健康診断はすぐに異常があらわれるような状況ではない。放射線量は急性症状が現れるような状態ではありませんから、いま必要なことは、現状をしっかりと把握する、そのためのデータベース化するということが一番大事なんですね。
そのためには、18歳以下の子どもたちがほんとうに甲状腺の検査だけでいいんだろうか。このことがいま問われているんだと思います。だから私が申し上げたのは、全身管理をキチンとデータベース化する必要があるんじゃないですか。それは放射能に対する不安をどう解消するのか、どう応えるのかということですから、この健診の費用は全額無料でやるというのは、当たり前のことです。しかも一番の不安は、いつがんがあらわれるか分からない。これは年齢を問いません。ですから、がん検診も含めて健診の無料化をやって、そして日本一長寿な福島県をつくるんだという決意を、やっぱり福島県が県民に示すことが、いま何よりも県政に求められていることだとお見ますので、あらためてこういう決意で県民の健康調査に取り組むべきだと思いますので見解を伺っておきたいと思います。
そして、母乳の検査です。文科省がやったからといって、それで安全だということになならない。いまお母さんたちが求めているのは安心なんです。測ることで安心が得られるんだったら、なぜそれに県が取り組もうとしないのか、県民の健康管理の基金2800億円あるわけですよね。そのためにこの基金をなんで使おうとしないのか。私はそう思います。あらためて見解を伺います。
答弁
生活環境部長
除染経費の負担についてでございます。県は先般、交付要綱を市町村に対してお示しをして、この中で住家の基本額等についてお示しをしたところでございます。今後は、道路を含む公共施設あるいは農地、山林等の交付要綱についても検討してまいりたいと考えております。この中で、しっかりと市町村の意見を踏まえながら、遅参の生じないような形で交付要綱の策定を検討してまいりたいと考えております。
つづいて仮置き場の広域調整についてでございます。今後、放射性物質がどのような形で移行していくのか、水源等とどのように関係をしてくるのか、こういったことも専門家の知見も踏まえて、しっかりと検討してまいりたいと考えております。
その上で、仮置き場の設置に関して住民理解が促進できるように国と連携してしっかりと対応してまいりたいと考えております。
保健福祉部長
まず、県民の健康管理のことでございますけれども、先ほど申し上げましたけれども、県民健康管理調査を進める中で従来から行われている特定健診だとか、学校健診だとか、こういうものとしっかりとタイアップして一体的にデータベース化をして総合的な健康管理を行っていきたいと考えております。
それから、検診の自己負担の無料化ということにつきましては、これも繰り返しになりますけれども、今般の原発事故による放射線の影響から県民の健康を守るために県民健康管理調査で行おうとしております健診の拡充、充実といったことにつきましては、県の負担でしっかりとやっていきたいというふうに考えております。
子育て支援担当理事
母乳検査についてでありますけれども、母乳検査につきましては様々な御意見があるのも事実です。慎重論も含めてでございます。そういう意味で母子保健の事業の現場をになっている市町村、また、仮に検査を行おうとしてどういった評価をするか、あるいは受験者にどういったフォローをするかも含めて医療期間との調整、協力も求めることも必要ですので、そういう意味で医療機関等との調整、参考意見を機器ながらその対応を検討してまいりたいということでございます。
再々質問
宮本しづえ県議
生活環境部長にまずお聞きいたします。先ほど、要項を住民の負担にならないような方向で要項の策定をしていきたい。要領と要項は違うものが出るということではないですよね。すでに要領が示されておりますので、あの要領は要するに壁はいくらだとか、庭はいくらとか基準が一応示されているけれど、あれはあくまでも目安なんですよと。だからそれを横断してもいいし、超えたものもともかく市町村がかかった経費について請求すれば、県としては払うということでいいのかと確認をいたしましたけれども、それでいいかどうかを再度確認しておきたいと思います。
それと、先ほど部長の答弁の中で、実施主体がどこであってもというような答弁がありましたね。たぶん私の理解では、市町村が基本的に除染の実施主体になる。それに対して助成を行うということではないかなと思っていたんですけれど、そうじゃないのか。そうでない時も助成の対象になると理解するのかどうか、その点についてもう一度確認しておきたいと思います。
それから、保健福祉部長にお伺いいたしますけれども、この県民の健康対策ですね。おっしゃったように、たとえば子どもたちについては甲状腺の調査、あるいは19歳から39歳までについては基本健診の対象になってませんのでね、その部分については県が独自にお金を出してやりますということについては承知をしております。そして、健康管理アンケート調査で少し精査が必要かなと思われる部分についても上乗せして県が負担するということも承知をしております。
しかし、そのことの範囲でいいのかということを私は聞いているんですね。もっとしっかりとした今の県民の健康状態をしっかりと把握したデータベースが必要ではないですか。そのデータベースの基本になるのが、今、県民のアンケート調査ですよね。これで一応、外部被曝の線量を推計するための調査なんですけれども、これが全県民を対象としたものですよ。これでいいのかということを私は聞いております。これだけでは、県民は納得しませんよね。しかも、これからどのような病気が出てくるか出てこないかも分からない、宝くじの理論だとさえ言われている。つまり、誰に当たるかも分からないんですよ。年間100ミリシーベルトで0.5%がんの発生率が高まるというふうに言われたと。この0.5%いったい誰になるのかだってまったく分からない。しかも、低線量の場合しきい値がないと言われているわけですので、誰にどのような影響が出てくるのかまったく分からないからこそ、今の現状をしっかりトータルして把握する。そのためには、甲状腺検査だけじゃない、避難している地域だけじゃないトータルした全身管理をしっかりと県がやる。こういう観点で健康管理の仕組みをつくるべきではないですかということを申し上げているので、あらためてそういう立場で答弁をいただきたいと思います。
それから母乳の検査です。子育て支援の担当理事の今の答弁を聞きまして、私は子育て中のお母さんが今の答弁聞いたら何て思うだろうと思うんですよ。むやみに不安をあおるようなことをしたくないという思いがあるいはあるのかもしれません。でも、それは違うと思いますね。今お母さんたちは今の自分の健康の状態、母乳の状態がどうかということを客観的に知りたいんですよ。知ることで、測ることで安心が得られるのであれば、安心して子育てできるわけでしょう。そのことが精神的な安定にどれだけ大きく貢献できるか、寄与できるかということは明らかです。だからお医者さんに聞くなんていうことよりも、まずお母さんに聞いてみたらいいんじゃないですか。そしてやってほしいという人には、やればいいんです。何もみんなにやれと言っているんじゃない。希望者にやるべきだと言っているんです。そのことになんで応えられないのか、ということを私は申し上げたいと思う。それくらいのことはなんとしても早くやってほしいというのが、今、母乳を与えているお母さんの要求なんだということを申し上げて、再度、答弁を求めたいと思います。
答弁
生活環境部長
基本額超過分の除染経費負担についてでございますが、現在、先般お示ししました要項においても合理的な理由があれば超過した分も負担をするということで位置づけております。なお、しっかりと市町村の意見を聞いて、現場の意見を聞きながら柔軟に対応してまいりたいと考えております。
つづいて、除染の実施主体についてでございます。これは放射性物質汚染対策特措法に基づきまして、国が管理する施設や土地、これについては国が主体。県が管理する施設や土地は県が実施主体。そして独立行政法人が管理する施設や土地については独立行政法人という規定になってございます。その他の部分については、市町村が実施主体になるという原則でございます。民間の事業者なども実施主体となることができるという形になっておりますが、いずれにいたしましても市町村が除染計画をつくる時にはそれぞれの実施主体が、しっかり連携して効果的に除染が実施できるように調整してまいりたいと考えております。
保健福祉部長
県民の健康管理ということでありますけれども、まず甲状腺検査、これにつきましては、18歳以下の全県民を対象に行ってまいります。それから、健診につきましても対象を拡大いたしまして、これまでに行われている健診ともタイアップしながら県民全体を対象とする。こうしたやり方でフォローしてまいりたい。こういった取り組みを長期にわたって、継続していくということで県民の健康管理をしっかり行い、健康増進につなげてまいりたいと考えております。
子育て支援担当理事
母乳検査についてでありますけれども、ご質問の主旨の安心できる環境を整えるべきだという思いは私も同じでございます。ただ、母乳検査につきましては、先ほど申し上げたようにいろんな御意見もあるがゆえに市町村、あるいは医療機関等の意見を聞きながらその対応を検討してまいりたいということでございます。
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