宮川えみ子です。日本共産党県議団を代表して質問をいたします。
東日本大震災・原発事故から間もなく1年がたとうとしています。この災害では1991人の方々が亡くなり、行方不明になったりして命を落とされました。また、今も県内外に16万人もの方々が避難を余儀なくされています。いわき市は2度の大地震で断水が1か月以上も続き、人工透析の患者の皆さんが行く先も知らされず100台のバスでいわき市から離れました。また逆に、津波と地震の被害だけでなく原発近くから多くの方が避難してきました。亡くなった方のご遺体の安置場所確保、体育館に避難した人に毛布やおにぎりを、区長さん・副区長さんの奥さん・民生委員さん・会計さんとみんな亡くなった津波地区で、子どもの遺体に泣き崩れる母親がいました。張子のように吹っ飛んだコンクリートの堤防が転がっていました。また、いわきとは比べ物にならないほどの規模で破壊された、相馬港・漁港では、沖に10マイル・16キロも逃れ、船をまもった漁業者の話も聞きました。磯部地区は、どこもかしこも松林の松が流されて泥にまみれ、ここに家々があったなど考えられないような光景が目の前にありました。
今、この壇上に立って思い起こせば、こうした事に夢中になって対応してきた1年であったと思います。それでも、ここまできたというべき1年でもありました。
問題は放射能です。1年たった今も、原発から放出された放射能は、日々新たな問題を引き起こし、県民全体が大きな影響を受け続けています。落ち着く場所を見いだせない避難者と町があります。それでも私たちは、それらを乗り越えていかなければなりません。オール福島の立場で国に県民のためのあらゆる施策を実行させ、安心して住み続けられる福島を取り戻さなければなりません。福島復興局ができましたが、省庁の枠を超えて支援機能を発揮していただき、現地の実状をしっかり届けていただきたいとおもいます。
日本共産党は除染・賠償はもちろんですがあらゆる問題について、建設的提案をしながら全力を尽くす決意です。
1、オール福島実現での復旧復興について
オール福島で復旧復興を目指すことについて質問します。
ひとつは、福島県の復旧復興の妨げになる消費税増税の中止を求めることについです。
消費税増税法案の審議が進むにつれ、多くの県民の皆さんは実感として自分がどのような暮らしを強いられるか、商売をなさっている皆さんは税金をどう納めていくのかリアルに考え始めています。年金暮らしの方の平均支給額は国民年金で5万円・政府の言うとおり40年間積んでも6万5千円です。これからさらに税金が引かれ、年金の減額があり、医療費の負担増となるとやっていけるか、何を削るかということです。商売をしている方は事実上の値上げになるので消費の落ち込みや税金の支払いを心配しています。津波・地震・原発被災者の皆さんもどこかに落ち着く時、2千万円の家を建てると200万の消費税がかかるわけですから、被災県福島県民は莫大な負担を強いられることになります。
私どもの計算によると2009年度の消費税額から算定すると、福島県民は消費税が5%から10%に引き上げられれば、1860億円の負担になり、今は払っている住民税よりはるかに巨額な金額を負担する事になります。
市町村も福島県もこれからが復興で大きな予算を組みますが、それに伴い消費税も膨大になります。
福島県は、来年度県の公共事業費だけでも2378億円ですから、これにかかる消費税は現在の5%で120億円・10%になると240億になります。消費税増税は福島県の今後の復旧復興の妨げになります
日本の政治は失格です。3万人もの自殺者、若い人を中心に低所得者が増え続け、結婚することや子どもを生んで育てることをためらう現象まで生まれています。何のために政治があるのか問われています。そこに消費税増税と社会保障改悪です。21世紀になり科学や技術などの飛躍的前進がありながら、なぜ国民を幸せにすることができないのでしょうか。
民主党の野田総理は「増税は、どの政権でも避けて通れない」と言い、自民党も「大きな意味では必要」と言いますが、果たしてそうでしょうか。日本共産党は発想を転換させ、消費税増税なしの財政再建と社会保障の充実のための政策を発表しました。
まず、第一は、無駄遣いを続けての大増税はあり得ないということです。なぜ「コンクリートから人へ」の目玉政策が中止になって総工事費9000億円の八ツ場ダム建設を復活させるのか、なぜ過去に1兆円もの税金を投じながら事故続きで止まっている「もんじゅ」を含めた原子力推進予算を4200億円も計上するのか、重大な欠陥が指摘され完成もしていない値上げして、1機120億円もする次期戦闘機を42機も買うのか、身を切ると言いながら320億円の政党助成金に一切手を付けようとしないのかです。
第二としては、庶民には大増税を押し付ける一方、内部留保金を増やし続けている大企業減税をさらにやるのか、富裕層の増税がアメリカの大統領選挙の争点の一つになっているのに、なぜ日本は証券優遇税制など世界で一番甘い税制を富裕層にやっているのかです。
第三は、消費税10%増税は国民生活に計り知れない打撃を与え、経済も共倒れになるということです。1997年の橋本内閣の時は消費税増税分と医療費負担など9兆円の国民負担増になり、これで、景気が悪化して税収が落ち込み景気対策と財政出動のために国と地方の借金が4年間で200兆円も膨らみ財政の大破綻を招きました。それが今度は社会保障費の負担と合わせると年間20兆円にもなるのです。
今やるべきことは、消費税増税ではなく、無駄遣いの一掃、富裕層に応分の負担と、増え続けている大企業の内部留保金261兆円を還流させる、社会保障は「応能負担」の税制で財源を確保すべきです。ルールある経済社会に前進させ労働者派遣法の抜本的改正で働く貧困層をなくし、内需を拡大させ健全な経済成長をもたらし税収を増やすことです。
知事はさる2月14日の定例記者会見で、消費税増税を含む社会保障と税の一体改革について、「3%から5%に増税したことが『失われた10年』と言われた一因でもある」と述べたとのことですが、復興を成し遂げなければならない被災県の知事として、消費税増税について反対を表明すべきと思いますがどうですか。
次にTPP交渉参加についてですが、12月定例議会以降大きな変化となったのは、その時点で野田総理が「情報収集と説明責任を果たし、十分な国民的議論を経たうえで、TPPの結論を得ていく」という事でした。ところがその後、この言明を根底から覆す重大な事実が発覚しました。ニュージーランド政府の公式発表によって、TPP交渉では「交渉開始にあたって各国の提案や交渉文書は極秘扱いにする、これらの文書は協定発効後4年間秘匿される」という合意があることが明らかにされたのです。このことは、野田総理が約束した情報収集と説明責任も十分な国民合意もまったく不可能にするものです。
TPPについては、すでに県議選前の9月議会で、交渉参加反対の意思を全会一致で決議しています。TPPに参加すれば「ゼロ関税」とされ関税自主権を奪われるだけでなく、アメリカからみて「非関税障壁」とされればあらゆる国内制度の撤廃が求められます。「食と農」への壊滅的打撃をはじめ、被害は県民生活のあらゆる分野に及ぶことになります。県内では、JAはじめ農林水産業、県医師会などの医療分野、また市町村議会からも反対の決議が上がっています。
知事は、本県は、地震・津波災害に加え、原子力災害、さらには風評被害により、農林水産業や観光業を始め、あらゆる産業分野で過去に例のない甚大な被害を受けている・・人口減少により地域の活力が大きく損なわれる・・など答弁され、慎重に対応するよう国に対して強く訴えていくと述べています。
知事は、これまでの情勢の変化を見ても、また、復興をめざす県知事としても、「交渉参加反対」の明確な意思を表すべきですがいかがですか。
次に、原発収束宣言の撤回と福島原発ゼロ実現を目指す行動についてです。
事故原発の内部がどうなっているかわからないトラブル続きの中で、国は原発収束宣言を出しました。原発推進の学者でさえ「政治的ゼスチャーだ、冷温停止とは通常に動いている原子炉に対して使う言葉で、事故で谷底に落ちた車を指して『エンジンは止まった』と言っているのと同じ、使用済み燃料の抜き取りという一番重要な問題が残っている」と批判しています。事故終息宣言は東京電力と国の責任をあいまいにして賠償の範囲を狭め除染の責任を縮小し、さらに、国内原発の再稼働や原発寿命を60年まで延長させ原発輸出の動きを後押しする思惑がありありです。
また、このような収束宣言で国が避難者の住宅支援や医療支援の期限を切るような動きには絶対させてはならなりません。
いわき市沖などで頻発している地震の状況を考えても、知事は福島県の原発全面廃炉の決意と復興計画を実現するために、行動を具体的に起こす必要があますがいかがですか、事故原発の暴走を許さない安全管理についてもお示しください。
収束宣言が復旧復興に与える影響をどう見ているのか、改めて国に撤回を求めるべきですがどうですか。
福島復興再生特別措置法について質問します。
日本共産党県議団は、双葉町の役場と被災者を受け入れてくれている埼玉県加須市の旧騎西高校と、一番多くの避難者を受け入れてくれている山形県の山形市に行ってきました。1月18日に行った山形市では、放射能の影響を心配して自主避難した母親などが大雪の中で集まってくれました。二重生活の負担の重さや、情報が届かない事、警戒区域などの見直しで、自分たちが置き去りにされていくのではないかなどの不安が訴えられました。避難先でも子どもの医療費の窓口無料化や保育所・幼稚園の費用負担軽減、借り上げ住宅支援の継続、高速道路の無料化の要望などを求められました。
1月23・24日に行った加須市では、廃校になった高校の避難所で日向ぼっこをしていたお年寄りが、今も弁当だけどおにぎりから弁当になったのはうれしかったと言われ、いまだにお弁当かと申し訳なく思いました。この近くの避難住宅に住んでいる60代の方は、孫が一緒に住んでいる、子どもは福島で今後どこに住むようになるかわからないと言います。井戸川双葉町長は放射能に町民をさらすわけにはいかないと言いましたが、一方では、老化が進んでいる・仮設は狭い・家族が離れ離れでいる・借り上げで孤独だなど、2年は待てないと困難と悩み多いお話をされました。
また、仮設住宅で原発被災者の生活支援を求める皆さんは、災害前までは、少ない年金でも近所の畑や田んぼで農作業をして生活の糧にしていた、シルバーセンターなどで働いて生活費の一部にしてきたが今はそれもなく年金だけの厳しい暮らしで、お風呂も2〜3日おきにし、節約をしている、仕事もなかなか見つからないと、今後の不安を訴えておりました。
さらに、原発災害でいわき市に避難してきた72歳の楢葉町の住職さんは、6畳二間のアパートで目を覚ますと、なんでこんなところで寝ているのかと思う、真剣に考えると気がおかしくなりそうだ、寺を捨て、運営していた施設の障がい者をつれて逃げてきたと言います。お寺を開山して600年、孫をコンバインに乗せて1町4反の田を耕し、皆さんに楽しんでもらおうと桜と紅葉を植え続けてきたが、すべてぼうぼうとした原野に戻ってしまったと。
この住職さんは、39年間原発反対の運動をしてきました。原発ができる前は建設するなを、作られてしまってからは運転さし止めを、裁判に負ければ毎月安全運転を求めて東電通いをしていました。「『お前らの言うとおりになっちまったー』と言われてもなんも感情が出てこねえ、最後まで『お前らの言ってきたこと、何もなかったんでねかったかー』と言われたかった・・」といいます。
この特措法は、原子力災害によって原発立地地域はもちろん幾多の深刻かつ多大な被害を受けた、血と涙の福島県民の叫びにこたえる復興と再生のための法案とならなければなりません。
この法案は、昨年成立した「東日本大震災復興基本法第2条に則した」復興の円滑・迅速な推進等を図ることを目的としています。福島県が今後どうなるかにかかわる重大なものです。まだ案の段階なので大いに意見を出していただきたいと思います。
知事は「法案の決定は大きな一歩となった、この法案を生かして復旧再生を成し遂げたい」と言います。法案の基本方針には、知事の提案権・変更権があり、権限と責任は非常に重く、積極的なイニシアチブが求められます。
法案全体の評価と、復興計画の基本理念である「誇りあるふるさと再生の実現」を、どう成し遂げていくのか知事の思いを聞かせてください。
法案には、知事が会長である、県原子力損害対策協議会が求めてきたものが入っていません。賠償も法案の中で求めていくべきと思いますがいかがでしょうか。
また、法案は「国策によって推進してきた原発事故」であることが明記されていません。このことを求めるべきと思いますがお考えをお聞かせください。
法案の提案や変更について市町村長の意見を聴く義務が課せられています。これは県民の声そのものを聴くことです。このことについてのシステムづくりについてどのように考えていますか伺います。
法案の第1〜3までの、総則・基本方針・特別の措置については「するものとする」などの表現になっており国の責任がかなり厳しく求められていますが、第4以下の放射線による健康上の不安の解消など生活環境に関する措置等については「施策を講じるものとする」という表現になっており、特に、財政措置にかかわることについては「努めるものにする」という表現で、国の責任があいまいです。
財政支援を担保するための内容を具体的にすることを求めるべきと思いますが伺います。
また、被災者一人一人の生活と生業の再建を具体的に長期・短期的に支援するものになるよう求めることが必要と思いますがいかがですか。
財源は県の裁量権を認める交付金として交付されるように求めるべきと思いますが伺います。
第3章の特別措置については、時に住民の意見がなおざりにされる危険性を持っていますが、被災者一人ひとりが復旧の基本という計画をどう守らせていくのかうかがいます。
二、新年度予算にかかわって
次に、新年度予算案にかかわって質問します。
新年度の一般会計予算総額は、震災・原子力災害対応分7,255億円を含め、1兆5,763億5,200万円で、昨年比1.75倍の規模となりました。知事は提案説明で、復興の足取りを確かなものにするため、特に必要とされる事業に対して重点的、優先的な予算配分を行ったと述べました。
福島県の復興の基本は、ひとり一人の生活と生業の再建にあります。そのための必要な施策を実施することですが、不要不急の大型事業を見直して財源を確保すべきがいかがですか。
原発事故については国策として推進してきた国と東電に責任を求めていく立場を鮮明にして、必要な財源措置を国に求めていく事が必要だと思いますがいかがですか。
小名浜港東港地区事業、大規模林道事業であるところの山のみち事業は中止を求めるものですがいかがですか。
また、県の建設工事の市町村負担はやめるべきと思いますがいかがですか。
道路事業ならまず、復旧が急がれる常磐自動車道の除染と工事を一挙に進め、分断されている浜通りの交通網を確保する事こそ優先事業として国に求めるべきと思いますがいかがですか。
地震、津波被害に加えて放射能汚染で、生業を継続することが困難な状態に置かれている中小業者、農家に対して賠償にだけで解消することなく県の支援が急がれています。
県は、新年度事業の目玉として、誘致企業への支援を抜本的に強化し、1企業当たりの助成限度額をこれまでの35億円から200億円に拡大する方針で、企業を呼び込むとしています。しかし、今の世界の経済情勢の激変の中で従来型の企業誘致が相当困難になっていると思います。
真に県内経済の再生を図るためには、何よりもこれまで地域で雇用を守り、地域経済と文化の中心を担って頑張ってきた地元中小業者の再建に県として最大の支援を行うことではないでしょうか、県の見解を求めます。
一番の課題である除染が進んでおりません。このことが若い親たちの最大の不安でもあります。お金もかかるし効率よい除染方法が求められています。しかし大前提の汚染マップ作りがまったく不十分ですか。
マップ作りは県としてイニシアチブをとらないと進みません。調査不十分であとから汚染のひどいところが出てくるというのは最悪です。
住み続けられる福島県を取り戻すために、徹底した除染対策と体制強化が必要ですが、そのためのマップ作りのため、用途別に、もっときめ細かく調査を行う必要がありますがいかがです。
除染に伴い生じる放射性物質に汚染された廃棄物処理に関して、30年間の中間貯蔵施設というあいまいなものではなく、最終処分場設置の方針を明確にするよう国に求めるべきですがいかがですか。
内部被ばく対策が重要課題ですが、全給食センター及び自校給食検査体制は今年度で実施されるということになりました。自家栽培物や購入物の検査体制も進みつつありますが、問題は保育所給食の検査です。
一番年齢が低い保育所の給食食材検査が進んでいません。福島市で認可保育所でも月二回・一回に3品だけとのことです。公立民間等を問わず、全給食食材の検査体制を求めますが、いかがですか。
1月27日、初めて福島県内で原子力損害賠償紛争審査会が行われました。会合では、浪江の町長は初めて意見を聴かれたと苦言を言いい、双葉の町長は、そもそも原因がどこにあるのか東電ではないかと言い、現場の意見を聴かないで進められていることに大きな批判が出ました。そして、特に、財物賠償については、家が古く現在100万円の価値と判断されれば、それで、等価賠償をということになれば生活は成り立たないと論議になり、検討すると審査会が受けました。しかし、その後、出されてきたのは批判のあった等価賠償だったのです。
賠償で今問題なのは、避難区域の見直しが3月末に発表されると言いますが、住民と首長の意見を聴かない中で決められるのではないか、区域を見直されると、戻らないのは自分の勝手ということにされ、賠償の対象外にされるのではないかということです。
区域の見直しは原発の収束状況が一番重要ですが、県は原発収束宣言については批判をしていますが、区域の見直しは肯定的に見ているようです。矛盾ではないでしょうか見解を求めます。
区域の見直しについては、住民と首長の意見をよく聞くことが求められますがいかがですか。
農家や中小企業者の皆さんの賠償金に税金がかり、住民税・国保税・介護保険料に連動する負担になっています。非課税措置を求めますがいかがですか。
賠償を進めるうえで、東電相手に個人が請求するのは至難の業です。膨大な量の請求書を送ってきたり、ゴルフ場の請求に対し放射能は自分のものでないと言ったり、ありとあらゆるところで賠償を、ならばさせない、額を減らそうとしています。納得がいかないものですが精神的賠償の8万・40万円だってどうなるかわかりません。賠償請求を個人任せにしていると、もれなく県民が被害を受けているにも関わらず、このままでは賠償を受けられないことが出てきます。県や市町村が直接県民一人一人に代わって代行して取り組まないと進みません、多くの人が置いて行かれます。
県が責任を持って市町村と連携を取り、直接代行して行う事を求めますがいかがですか。
今まで県は市町村を支援すればいい、市町村のサポートでいいという考えで進んできたと思います。大震災を受けた今は大きく変わることが必要です。直接県民の声を聞き、市町村を応援しなければなりません。
浪江町は28か所にも分かれて住んでいて、復興計画でのアンケートでは32%の人が戻らないといいます。今後、町民の皆さんの気持ちを大事にしながら一定要望に沿っての集約もありえます。双葉町は町ごと県外に避難していますが町民の多くは県内にいます。火山噴火で全島避難した三宅島は集合した宿泊施設を立ち入り禁止区域のすぐ脇に作って集まれるようにしたり、避難した方々がそこから自分の町を見る、一時帰宅に行くようにしているという話も聞きます。このようなことを考えるのも県の役割かと思います。
今までの公務員削減・福祉削減・民間委託で福祉全体も見えなくなっています。財政的支援は数値として見えますが、人的支援が見えにくくなっています。復旧復興事業が本格化する中で現在の県の人員体制では対応できません。
県は病院や大学を法人化したとはいえ、この10年間で正規職員を3200人も減らしました。県内市町村職員は3800人が減っています。職員削減政策を転換すべきと思いますがいかがですか。
県内避難者は流動化しています。原発立地地域からの避難者の多くがいわき市に避難してきています。雪が少なく比較的温暖で気候が似ている・自分のいた町に近い・海が見える・昔から学校や職場など交流が多かった・比較的放射能の影響が少ないなどの要因があるからだと言います。いわき市への避難者はボランティアなども含めて3万人くらい増えていて様々なところに影響が出ております。市民が地震で家が壊れたといっても家は空いていません。押し出し式に公営住宅も空きません。介護施設も障害者施設も満杯で、やはり地元の方々は入りにくくなっています。
県は4月から企画調整部内に避難地域復興局を新設し、4月から政府が見直しをする避難区域に合わせて、警戒・計画的避難区域に指定されている市町村に重点的に支援すると言います。
避難者の今後の自治体を超えての移動をどのように見ていますか。
被災地支援はもちろん必要ですが、被災者を広域的に受け入れている市町村支援についてはどのように考えていますか。
被災地でもあり、多くの避難者を受け入れているいわき市への支援策について、どのように考えているかうかがいます。
三、子どもの健康と未来を守るために
子どもの健康と未来を守るための対策について質問いたします。
放射能被害を心配する若い親が、子どもを連れての県外避難が続いています。2月7日、県が学校基本調査を発表しましたが、それによれば、小・中・高校に在学する児童生徒は25万3619人になり、前年比1万7160人減少した、少子化の影響が5000人くらいあったとみても、大震災と原発事故で1万2千人以上が県外に転出したと言います。そして、新年度からはさらに転出者が多くなるのではないかと心配されています。なかなか進まない除染や内部被ばく対策など政治の姿勢が厳しく問われています。いろいろやっても遅い、安心して住み続けられるというメッセージが出せないということです。とにかく子どもの周りの除染・妊婦さんのいるところ・これから子どもを産んで育てるという方々のところの除染を優先的に全力で進める、内部被ばくを防ぐことでもよく希望を聞いて対応することです。また、原発事故の収束宣言は不信感を持たれています。総じて言えることは心配されることを早くやって、科学的に物事を示さないと若い人は安心して戻れません。
18歳以下の医療費の無料化について、日本共産党は大震災原発事故が起きてからすぐにその実施を求めてきました。それは子どもの健康不安を訴える多くのお母さんからの強い要望だったからです。その後、放射能が子どもたちに与える影響については、様々な学者・専門家の皆さんが口々に影響がある・あるいは影響はどうあるかわからないと述べています。つまり、はっきりわからないのです。だとしたら、子どもの医療環境を徹底的に良くして、日ごろから相談できる体制を作る・システムを作るこれが一番健康被害の予防手段になります。その基本が医療費の心配がなく病院に行けるようにすることです。
県議選投票日の前日に、知事は、国に無料化を求めました。またその後、福島に来た野田首相は「子どもの健康管理が最優先、大変重要な課題」と言いましたが、結局予算を組みませんでした。財務省の役人が「なぜ福島県だけを無料にしなければならないかわからない」と発言したといいます。国の責任で引き起こした原発事故でこれほどの思いをさせられている県民にとって福島県と国との認識の違いに改めて唖然としております。この前、テレビのインタビューにこたえて東大の児玉教授がなぜ福島にこれほどまでに足を運んで支援をするのかの問いに、私がいる東大も原発に対し安全だと言ってきた、我々自身がお詫びをしなければならないと述べ、政府や経団連、経済や科学に責任を持つ人たちがお詫びからスタートしなければならないと言っています。当然です。
知事は「国が実施しないのなら県自身で実施する」と表明しました。共産党は先の12月定例議会で神山団長が、国が実施をしないのなら県独自でもやるべきと求めていましたが、来年度実施のためにシステム作りをする予算を組んだ知事の決意を歓迎するものです。
国の責任で、18歳以下の医療費無料化を求めた知事の思いはどのようなもので、県独自の実施時期をいつと考えていますか。
放射能汚染での屋外活動や遊びの制限、このことでの精神的ストレスなど、子どもの体力の低下、免疫力の低下、スポーツテストの落ち込み、太り気味痩せすぎの子どもの出現などを考えると早期に県独自にこの制度を実施することは重要で期待は大変大きなものがあります。
すでに母親たちの運動の中で、子どもの医療費無料化年齢引き上げは、県の基準以上に実施している市町村はすべてに及んでいて、大玉村はすでに高校卒業まで行っています。いわき市は県の動きを先取りして今年の7月1日から18歳以下の無料化を発表しました。
県の現在の支援水準は入学前までで、半額分しか支給していません。さらに1000円の足切と所得制限があるために、実質は3分の1程度であとは市町村負担になっています。
基本的には国に実施を求めることは当然ですが、県の責任で当面は実施することが必要です。
実施の内容はどのようになっていますか、今までの市町村負担も軽減させるようにしながら実施すべきと考えますがいかがですか。
市町村が独自に無料化年齢引き上げをしている自治体に、国は国保会計にペナルテーを課しているというとんでもないことをやっていて、2009年度は市町村に約2億2千万円も出させていますが、これはきっぱりやめるよう国に求めるべきと考えますがいかがですか。
四、障がい者などの支援策について
障がい者などの支援策についてうかがいます。地震・津波と原発事故で弱い立場にある障害者やお年寄りの避難は辛酸を極めました。避難中のバスの中や体育館の床の上で誰にも看とられずに亡くなる方も何人もいました。障がい者の死亡率は健常者の2倍とも言われています。楢葉町からいわき市に避難してき障害者施設では、入所者17人のうち、2人がなくなりました。一人は薬が手に入らなかったことが要因とされています。避難してきた障がい者の受け入れ施設も含めた福祉避難所対策は重要です。
避難者の中で障がい者が何人いるか把握する必要がありますが、お考えをお聞かせください。
いわき市に避難されてきた障害者の方々は1千人くらいとも言われますが、その受け入れ状況はどのようになっているかおたずねします。
いわき市は今回の大震災で地震・津波・原発震災と複合的災害を受けました。この教訓を受けて県いわき振興局はいわき市と協力して全国の自治体の視察を受け入れ、震災の教訓を伝え、各地の防災対策に活かしていただき、復興が進む姿を見てもらい、風評被害を払しょくし、合わせて応援もいただくとの企画を行うといいます。
拠点になるような福祉避難所を建設したいと要望を寄せているいわき市の団体からは、やはり、今回の大震災の教訓を福祉の立場で全国の皆さんの教訓にしていただき、合わせて全国の方々を呼び込んで応援もしていただけるようになればいいと言っていました。
福祉避難所について県の基本的考えをお聞かせください。要援護者の支援拠点となるような福祉避難所の整備が必要と思いますが、県の考えをお聞きします。
五、農業・漁業問題について
農業問題について質問します。
まず米作りの問題です。農水省は、2012年米について、500ベクレルを超えたコメが収穫された地区の作付を制限する、100〜500までは市町村と協議をして決めると言います。しかし多くの農家の皆さんは、作付制限は農家の労働意欲を著しく後退させ農地の荒廃につながるとしています。
今回の事態の責任は国と東電にあることから、希望する水田の作付けを認め、米の管理は国が全責任を負い、主食以外の用途も含め活用をするよう国に求めるべきと思うがどうですか。
津波の被害にあった地区の多くの田などが、地盤沈下や浸水など、耕作できなくなっています。
区画整理等の手法を用いて対応しようという動きが広がっています、農家の負担軽減をすべきですが考えをお聞かせください。
漁業問題についてです。
2月6日、県漁連といわき漁協を訪問しました。漁連では、漁業を早く再開したい、海を元通りにしてもらうのが基本。賠償を求めているが、仲買人が賠償から外れているが漁業の再開に仲買人がいないと魚のせりができず、産業として成り立たないなどの要望が出されました。漁協では漁業の再開ができるまで漁業者が海にかかわれる仕事を保障してほしいなどの要望が出されました。
県水産試験場が2月2日発表した、昨年4月から今年1月までの魚介類などのモニタリングの調査結果は、福島第一原発から南の福島県沖で、水深50メートルより浅い海域の魚介類は放射性セシウム濃度が高い状況で推移している一方、エビ・カニ・イカ・タコ・貝・ナマコ類は低い傾向との結果が出ていると発表しましたが、まだまだ分かりません。海底もホットスポットがあるなど十分な調査が求められています。
国の責任で詳しい徹底した調査を行う事が重要ですが、考えをお聞かせください。
国と県は、漁業者に寄り添い思いを受け止め、丁寧な説明が求められていると思いますがいかがでしょうか。
漁業が再開されない中、漁業者の意欲を継続させ再開の準備を行う活動として瓦礫の片付けは大変有効で望まれています。
漁場や海の瓦礫かたづけの存続を今後とも継続して求めますが、いかがですか。
六、雇用・仕事起こしと商工業支援について
雇用・仕事起こしと商工業支援についてです。
県内の雇用状況は依然として厳しい状況にあります。福島労働局が発表した12月の有効求人倍率は0.74で、11月比で0.03ポイント上回ったとはいえ、正社員の方は0.43に留まっており安定雇用を求める求職者との間には大きなミスマッチがあります。福島労働局の調査では、2月までに被災者を中心に最大1、807人の給付が終了し、3月までにはさらに1千人程度が給付終了になるという見通しとのことです。国は雇用保険の延長は仕事の意欲にマイナスになるなどと言いますが、多くの人は仕事をしたいと願っています。しかし思うようにないそれが現実なのです。
雇用保険の給付日数の延長について国に求めるべきと思うがいかがですか。
若い人が働く経験を体験できるようにすること、いろいろな工夫も各地で生まれています。商店・消防士・介護・看護などで働いて、経験を身につける対策もあると聞きます。避難者支援で、雪道での安全な運転の仕方・健康的料理提供など無料情報誌を提供しながらそれを雇用に結びつけるなど、様々な雇用創出の話も聞きます。
県は求職者数の見込みと、今後の雇用創出をどのように取り組むのか伺います。
職を求める人が多い一方で、建設・土木作業員、介護医療関係などの職種は不足しています。ミスマッチ解消のための対策の取り組みについて伺います。
正規雇用が増えるような雇用対策をすべきですが、県の考えをお示しください。
自営業者の事業支援では、被災事業者へのグループ補助や被災者を雇用した下請け企業への補助金は力になっています。しかし申請をしても切られているところもありますが、特に原発関連事業者については、二重ローンも含めて賠償問題と片付けてしまわないで、原発その他にかかわらず、再建の意思のある全ての事業者支援を行うべきと思いますがいかがですか。
再生可能自然エネルギーの飛躍的な導入推進のために、費用はかかっても太陽光発電導入はもちろん、自然エネルギー導入に貢献したいという方々は多いです。こうした人へアピールをしながら思い切った予算措置を行う事を求めますがいかがでしょうか。
雇用と経済活性化につながる再生可能資源エネルギーが爆発的に促進されるよう、国に電力買い取り義務付けの強化を求めるべきと思いますがいかがですか。
今後、除染作業での雇用が非常に大きくなっていきます。公共事業より格段に多い予算が組まれていくと思います。この時の県の対応が重要です。除染事業を雇用の機会として位置づける必要があります。
南相馬市や福島市のように、大手ゼネコンに事業を一括発注する自治体もあります。
除染事業が雇用の確保に活きるようにすべきと思いますが、いかがでしょうか。
危険を伴う作業内容にふさわしい適切な雇用条件確保に県としてどのように取り組むのかお示し下さい。
特別法では生活環境の実現のところで、除染での雇用について「福島の住民が雇用されるよう配慮する」となっていますが、これを「福島の住民が雇用を優先させる」に修正を求め雇用確保を図るべきと思いますがいかがです。
七、復旧復興の基本になる住宅政策について
復旧復興の基本になる住宅政策について質問します。16万人の避難者のうち、家があるが避難を余儀なくされている人、家そのものを無くした人、修理をしないと再び入居できない人などいろいろです。特に原発避難者の方々の中には今後の居住地の方向性を見出せない人も多くいます。
今度の大震災で膨大な数の住宅を求める方がいますが、そのうち、公営住宅に入居を希望する方も大勢います。
住宅は復旧復興の基本といいますが、県の住宅に対する提供責任についてどのように考え、今までの公営住宅縮小政策を改めるべきと考えますが、いかがですか。
どこの地域にどのくらいの建設が必要としていて、そのための調査をどのように行い、建設計画はどのようになっていますか。
災害救助法での住宅支援制度ですが、市町村によって受付がまちまちです。全壊・大規模半壊・半壊などの住宅被害にあった被災者に、支援対策や緊急修繕事業が適用されますが、申請を締め切った自治体があり苦情が出ています。
制度を知らない被災者がまだまだいる現状があることをふまえ、国に延長を求め、今後とも引き続き申請を受け付けられるようにすべきですがいかがですか。
居住の権利を守る一部損壊住宅の県支援についてです。
岩手県では、12月議会に復興基金を利用して一部損壊住宅支援を間接的補助をする形で市町村の窓口で実施することにしました。さらに、持ち家を再建するために、やはり市町村と共同で全壊住宅に100万円の支援策を実施すると発表しました。福島県に比べて住宅被害が少ないとはいえ住環境の整備が生活再建という基本としての考え方に基づいていると思います。
福島県は、一部損壊住宅が全県で14万6千件になっており国の交付金を利用して24市町村が支援策を実施しています。しかし、この制度では自治体の負担が半分あり、被害の多い市町村ほど財政が大変で支援が難しくなっています。
昨年の12月県議会で特別交付金が各市町村に交付されました。いわき市では38億円が交付されましたが、いわき市の臨時市議会では「この交付金が一部損壊住宅支援に使えるとしながらも、国県の制度の動向を十分注視しながら検討する」といい、基金に積んでしまいました。県の姿勢待ちです。
知事は「被災者の生活再建支援のためには、まず、安心して暮らせる住環境が必要」と言いますが、一部損壊住宅の支援はこの観点からリーダーシップをもって県独自の支援を行う必要があると思いますがいかがですか。
東日本大震災は、家屋被害とともに宅地にも深刻な被害をもたらしました。国は大規模宅地被害について、ようやく補助要綱をまとめているようですが、県内の被害状況はどのようになっていますか。国の要綱では対象が限定されてしまうことから県として独自の支援を行うべきですがいかがでしょうか。
八、被災生徒児童に寄り添い行き届いた教育を実現するために
次は、被災生徒・児童に寄り添い行き届いた教育を実現することについてです。
福島の子どもは我慢強い、泣いたら親が悲しむということをよくわかっているとある幼稚園の先生が言っておりました。福島の子どもたちは、東京電力福島原発事故によってばらまかれた放射性物質が身近にあることで屋外活動が制限されたり、友達と別れを経験したり、週末の県外避難をしたり、様々な環境変化に対応せざるを得ない状況が続いています。また、勉強に追いつかないなどの悩みもあげています。このような中、子どもたちが放射能の正しい知識を身につけ、自らの健康を守り、心も体も成長できるようにすべきです。
県教育委員会が「中立的な立場だから原発事故のことは触れない」と昨年暮れの教員に対する副読本の講習会で説明したとのことです。
副読本についてですが、原発事故に対して子どもたちに何を教えようとしてい
るのでしょうか、うかがいます。
副読本が、嘘はついていないが必要なことが書かれていないと批判が出ていますが、事故の教訓をどのように知らせ自分を守ることを教えるようにしようとしているかお聞きいたします。
原発災害が長期にわたることを考えても少人数学級を講師ではなく、正規教員で行う事ができるようにすべきですがいかがですか、来年度の教員採用試験では、採用人数を増やすべきですが考えをお示しください。
大震災の影響が続いています。子どもの数が減っても学校の再建や子どもへの対応はこれからが大切です。
特に、被災地の学校については、教員の数について子どもに合わせて減らすのではなく、正規教員の配置は学校の要望をくみ取ることを求めますがいかがですか。
地震や津波の影響などで学校施設が壊れて使用できないところがあります。体育館が壊れて文化祭や入・卒業式の場所確保などが大変です。別な会場を使うということになればバス代などの交通費がかかったりします。
災害で学校運営の経費が多くなり十分な対応が求められていますが、被災した市町村の学校に支援すべきですがいかがですか。
昨年は、放射能の影響を心配して窓を開けられず、暑い夏に学校で子どもたちが本当に大変でした。
エアコンの維持管理経費を補助対象にし、エアコンの設置を希望する学校を支援すべきと思いますがいかがですか。
合わせて子どもたちの心のケアや生活環境の支援をはかるために、スクールカウンセラーとスクールソーシャルワーカーを増員し、身分を保証の上各学校に配置すべきですがうかがいます。
子どもの体力低下やストレス解消・親どうしのコミュニケーションとしても重要な場となっている子どもの屋内遊び場設置支援に2億2千万円・4か所の予算を組みましたが、希望に応じられるでしょうか。
市町村の意向をどう調査し、必要性についてどのように考えていますか。今後、増やしてほしい要望に対して十分な対応をすべきと思いますがいかがですか。
チェルノブイリ原発事故でのベラルーシは、25年が経過した今でも、子どもの保養支援を行っているとのことです。
大変歓迎されている「ふくしまっ子体験活動応援事業」ですが、要望に対応できない予算になっていると聞きます。
保護者の要望をどのように聞いて実施しようとしていますか。除染が進んでないことを考えても、保護者の要望に沿った予算にすべきと思いますがどうですか。
以上で、私の質問を終わります。
答弁
一、オール福島実現での復旧復興について
知事
消費税につきましては、少子高齢化が進行する中、人口構造の変化に対応した社会保障制度の構築とそのための安定的な財源の確保を図る「社会保障・税一体改革」における極めて重要な課題であると認識しています。
これに対して、全国知事会は、昨年12月、消費税増税の実施時期については東日本大震災の影響や地域経済の状況等を十分考慮すること消費税の逆進性の問題については低所得者への配慮が必要なことなどを国に申し入れております。
このような中で、県といたしましては、消費税の引き上げにあたっては、地方の声をよく聴くとともに、経済・社会情勢を踏まえた幅広い国民的な議論が必要であると考えております。
今後とも、本県の被災者の皆さんの厳しい現状を踏まえ、震災からの復興を最優先に取り組んでまいる考えであります。
次に、環太平洋パートナーシップ協定、いわゆるTPPについてであります。
私は、これまで国に対し再三にわたり、「福島の再生なくして日本の再生なし」とした野田総理大臣の言葉どおり、復興を最優先に取り組み、TPPについては、あらゆる影響の詳細な分析と国民的な議論が必要不可欠で、その上で、慎重の上にも慎重に対応するよう訴えてまいりました。こうした中、国においては、省庁横断による推進体制を強化するとともに、関係国との交渉参加に向けた事前協議を開始するなどの動きがありましたが、この間、国民への説明が十分に行われたとは考えておりません。
県といたしましては、引き続き、国に対して十分な説明と国民的議論を尽くすよう求めるとともに、被災地の復興にいささかも影響のないよう、慎重な対応を求めてまいります。
企画調整部長
県内の原子力発電所の全基廃炉につきましては、原子力に依存しない社会をめざすという基本理念の下、国及び事業者に対して県内全ての原子力発電所の廃炉を求めることを復興計画に明記いたしました。
このことを踏まえ、野田総理大臣や東京電力社長に対し、知事から直接、全基廃炉を求めたところであります。
今後とも、県内の原子力発電所の全基廃炉について、機会を捉えて要請してまいる考えであります。
生活環境部長
事故原発の安全管理につきましては、中長期ロードマップに基づき国及び事業者の責任において取り組むべきものと考えております。
県といたしましては、その取り組み状況について、定期的に報告を求め、必要に応じて現地調査を行うなどにより、引き続き、厳しい目線で確認してまいります。
企画調整部長
収束宣言が与える影響につきましては、原子力発電所の事故により長期間にわたり避難を余儀なくされている方々や放射線に対する不安を抱きながらの生活を強いられている県民の思いや感覚からかけ離れたものであり、多くの県民が違和感を持ったものと認識しております。
県といたしましては、国及び事業者に、より一層、安全管理に万全を期すよう、引き続き、求めてまいります。
生活環境部長
国の収束宣言につきましては、ステップ2の完了は、事故の完全収束に向けた通過点に過ぎないと認識しております。
県といたしましては、収束宣言の表明後においても、配管の凍結による処理水の漏えいや温度計表示の異常など、県民の不安を招く事態が繰り返されていることを踏まえ、国及び事業者に、より一層、安全管理に万全を期すよう、引き続き、求めてまいります。
知事
福島復興再生特別措置法案につきましては、恒久的な包括法として、県民の健康管理や放射線対策、産業再生のための課税の特例や規制緩和など当面、必要な内容が盛り込まれており、今国会で早期に制定されることが復興再生への大きな一歩になるものと考え、明日、野田総理大臣に直接お会いし、発災から1年の節目に際し1日も早い法律の成立を要請することとしております。
県といたしましては、市町村等と緊密に連携しながら、今後策定する福島復興再生基本方針にのっとり住民が帰還する上で必要となる生活条件の回復や健康上の不安の解消など法案に盛り込まれた特別の措置を有効に活用し、「誇りあるふるさと再生の実現」に向け、全力で取り組んでまいる所存であります。
原子力損害対策担当理事
福島復興再生特別措置法案に原子力災害賠償も含めることにつきましては、まずは、原子力損害賠償の完全実施に向け、全ての損害が「指針」に反映されるよう取り組んでいるところであり、様々な損害に対する東京電力による賠償の動向等も見極めてまいりたいと考えております。
企画調整部長
福島復興再生特別措置法における国の責任につきましては、法案に、国の責務として「国は、原子力災害からの福島の復興及び再生に関する施策を総合的に策定し、継続的かつ迅速に実施する責務を有する」と明記されており、県や市町村の自主性及び自立性を尊重しつつ、国の責任の下で、復興及び再生に関する施策が進められるものと考えております。
次に、市町村長の意見につきましては、福島復興再生基本方針及び、同方針に則した各種計画の策定に当たり、県が、あらかじめ関係市町村長の意見を聴くことが義務づけられており、聴取した意見を踏まえて国に提案していく役割が期待されております。
そのため、全ての市町村を対象とする説明会での意見聴取や、各地方振興局が直接出向ききめ細かく意見を聴くほか、法定化される福島復興再生協議会の場なども活用しながら、市町村長の意見を反映してまいる考えであります。
次に、財政支援につきましては、法案には財政上の措置に関する規定とともに、県民が安心して暮らすことのできる生活環境の実現のために国が実施する幅広い施策に関する規定などが盛り込まれております。
県といたしましては、今後ともこうした事業の具体化と、放射能対策や被災地域のインフラ整備、さらには産業再生などについての十分な財源が長期にわたり措置され、本県の復興再生に確実につながるよう国に強く求めてまいる考えであります。
次に、被災者の生活再建につきましては、福島復興再生特別措置法は、本県復興を図るため、住民が帰還する上で必要な地域整備や全県を対象とした産業振興などを中心とした法律となっております。
被災者個々人の生活再建支援については、原子力災害による損害の賠償状況を見極めつつ、引き続き、県として、必要な支援措置の要望を行いながら、必要に応じて、新法の制定や福島復興再生特別措置法改正についての要望も検討してまいりたいと考えております。
次に、被災者支援のための財源につきましては、特別交付税で一部措置がなされておりますが、原子力災害による損害の賠償状況を踏まえながら、引き続き、被災者支援のための自由度の高い財源の確保について、国に強く求めてまいる考えであります。
次に、避難解除等区域復興再生計画の策定につきましては、法案の基本理念において、多様な住民の意見を尊重することが明記されているところであり、関係する地方振興局などと連携しながら、計画の対象となる12市町村とのきめ細かな意見交換を図ることを通じて、住民の声が十分に反映されるよう国に意見を述べてまいる考えであります。
二、新年度予算について
総務部長
新年度予算につきましては、全ての事業について緊急性、費用対効果等の観点から事業実施に係る優先度の判断を行ったものであり、その上で、内部管理費の節減や事務事業の見直しのほか、各種基金を有効に活用して財源を確保し、被災者の生活再建や産業再生、インフラの整備など、再生・復興に向けて必要となる事業に重点的かつ効率的に予算を配分したところであります。
次に、財源措置につきましては、原子力発電所事故からの再生・復興は、国策として原子力政策を進めてきた国の責務であることから、これまでも、県民健康管理調査や学校の表土改善など、原子力災害を克服するために必要な経費については、繰り返し国に働き掛け、財源を確保してきたところであります。
今後、再生・復校への取り組みが本格化するのに伴い、除染経費など更に多額の財政需要が見込まれることから、引き続き、必要な財源措置について、国に対し、強く求めてまいる考えであります。
土木部長
小名浜港東港地区につきましては、船舶の大型化や石炭等鉱産品を中心とした取扱貨物量の増加が見込まれ、既存ふ頭では対応が困難となることから、国と連携を図りながら、国際物流拠点として計画的に整備を進めてまいる考えであります。
農林水産部長
山のみち地域づくり交付金事業につきましては、林業生産活動や山村地域の定住環境を支え、産業振興や地域活性化に大きな役割を果たす重要な事業であると認識しております。
今後とも、事業の効率的・効果的な執行に留意しながら計画的な整備に努めてまいります。
土木部長
市町村負担金につきましては、地方財政法等の規定に基づき、建設事業等により利益を受ける市町村に対し、その受益の限度において負担を求めているところであり、そのあり方につきましては、今後とも、直轄事業負担金制度の見直しの動向等を注視するとともに、市町村の意見を聴きながら検討してまいりたいと考えております。
次に、常磐自動車道につきましては、浜通りの復興を支える極めて重要な社会基盤であることから、工事の前提となる除染や復旧・整備工事が速やかに実施され、早期の全線開通が図られるよう、国等の関係機関に対し、引き続き、強く要望してまいります。
商工労働部長
県内中小企業の再建につきましては、本県産業の復興のためには、地域経済や雇用を支える中小企業の一刻も早い復興が不可欠であり、復興計画の中小企業等復興プロジェクトに基づき、事業の継続・再開に対する補助や金融支援、ハイテクプラザによる技術開発支援、取引拡大への支援等を行い、県内中小企業の振興に努めてまいります。
生活環境部長
きめ細かな空間線量率の調査につきましては、市町村が、除染計画に基づき面的除染に着手するに当たり実施することとされております。
県といたしましては、国と連携して、必要に応じて線量測定に係る専門家派遣や自動車走行サーベイに用いる資機材の提供等を行ってまいります。
次に、最終処分場の設置につきましては、昨年10月に、国が示した「中間貯蔵施設の整備に係るロードマップ」において、除去土壌等は、中間貯蔵開始後30年以内に、県外で最終処分を完了すると明記されております。
県といたしましては、国の責任において設置の時期や場所などの方針を明確に示すよう強く求めてまいります。
子育て支援担当理事
保育所等の給食食材の検査につきましては、子どもたちの食の安全・安心を確保するため、保育所等に検査機器の導入を希望する市町村等に対して、その購入費用等について全額財政措置を講ずるよう、国に要望しているところであり、引き続き、その実現に向けて働きかけを強めてまいりたいと考えております。
生活環境部長
国の収束宣言や避難区域の見直しについての受け止め方につきましては、県民感情や市町村の意向などを踏まえ、その都度、国に対して必要な要請や申し入れを行ってきたところであります。
今後とも、国に対して申し上げるべきことは申し上げてまいる考えであります。
市町村復興支援担当理事
避難指示区域の見直しにつきましては、避難住民や地元市町村の将来にとって、重要な課題であることから、見直しを行う国は、丁寧に説明し、十分に意見を聴く必要があると考えております。
県といたしましても、市町村の意見をしっかりと把握した上で、その実現を国に求めていく考えであります。
原子力損害対策担当理事
原子力損害賠償金の非課税措置につきましては、原子力災害及び地震・津波による被害者に対し、震災特例法等に基づき、税の減額・免除や申告期限の延長等の措置が講じられているところであり、これらの対応を踏まえた税制上の優遇措置のあり方については、国において総合的に検討されるべきであると考えております。
次に、原子力損害の賠償につきましては、被害を受けた県民、事業者に対する確実かつ迅速な賠償の実現に向けて、請求手続等が円滑に進められるよう環境整備を図ることが必要であると考えております。
このため、引き続き、東京電力や国に対して万全な対応を求めていくとともに、被害者への情報提供や弁護士による相談支援、原子力損害賠償紛争解決センターへの申し立て支援など、市町村及び関係団体等と連携し、取り組んでまいる考えであります。
総務部長
職員数の削減につきましては、簡素で効率的な行財政運営を行う観点から、これまで取り組みを進めてきたところであります。
復旧・復興事業の本格化にあたっては、既存事業の見直しや職員の再配置など限られた人員を最大限活用しながら対応する一方、他県等派遣職員の受け入れや任期付職員の採用などにより、必要な人員の確保を図るとともに、事業の進捗状況を見極めながら、今後の執行体制の強化について、検討してまいる考えであります。
生活環境部長
避難者の移動につきましては、避難の長期化に伴い、気候、故郷の所在地放射線量の状況、就労の場の確保のしやすさ等を考慮して、今後とも、自治体を越えた移動が続くものと考えております。
総務部長
避難者受け入れ市町村への支援につきましては、受け入れに伴う経費が負担とならないよう確実な財政措置を国に強く要請し、特別交付税での措置が講じられたほか、先月交付した市町村復興支援交付金では、避難者受入数も十分考慮した配分を行い被災者の生活支援等に幅広く活用できるよう、財政面で支援しております。
また、各地方振興局の「復興支援・地域連携室」などを通して、様々な分野での課題の把握に努め、助言や技術面での支援を行っており、今後とも、市町村の実状を踏まえたきめ細かな対応に努めてまいる考えであります。
次に、いわき市への支援につきましては、避難者支援等の負担軽減等も勘案し相応の市町村復興支援交付金を交付しているほか、各種業務量の増加に対しては、全国からの応援職員の受け入れのための調整を行うとともに、県の保健師を駐在させ、仮設住宅入居者等への健康管理業務を実施するなど人的支援にも努めております。
さらに、県といたしましては、いわき市及び双葉郡8町村等との連携会議などを通して、避難者に対する行政サービスの円滑な提供に向けた助言や事務分担の調整を行っており、今後とも、市の実状を踏まえた支援に努めてまいる考えであります。
三、子どもの健康と未来を守ることについて
知事
18歳以下の県民の医療費無料化についてであります。
放射線による健康不安から多くの子どもたちが県外への非難を続けている中で、福島の将来を担う子どもたちの健康をしっかりと守り、安心できる子育て環境を整備することが必要であると考えから、私は、18歳以下の県民の医療費無料化を措置することを国に強く要望してまいりました。
こうした本県からの要望に対して、先月、政府としては対応は難しいという大変残念な回答があったところであります。
しかしながら、県外への子どもの人口流失が続いている状況を踏まえ、私は、福島県で安心して子どもを産み、育てやすい環境づくりを進めることが、本県の復興再生のためにも必要不可欠であるとの思いから、18歳以下の県民の医療費無料化を県独自に実施することを決断いたしました。
今後とも、「日本一安心して子どもを育てられる環境づくり」に積極的に取り組んでまいる考えであります。
子育て支援担当理事
18歳以下の県民の医療費無料化につきましては、市町村の準備期間を勘案し、今年10月からの実施を目途に準備を進めているところであります。
次に、医療費無料化の内容につきましては、市町村の新たな負担増や負担格差を生じさせないという考えの下、市町村の助成年齢に差異が生じる小学4年生異常について、県が全額補助する方向で検討を進めているところであり、こうした方向での制度化は、すべての市町村にとって、今までより負担軽減につながるものと考えております。
保健福祉部長
子どもの医療費の窓口負担無料化に対する国庫負担金の減額につきましては、これまでも、全国知事会を始め、地方三団体として、減額を行わないよう国に要望してきたところであり、今後とも強く働き掛けてまいる考えであります。
次に、障がい者の避難状況につきましては、双葉郡内8町村を始め、国による避難指示等の区域指定を受けていた市町村においては所在をほぼ把握しており、現在、その所在情報に基づいて、障がい者関係団体と協力し、アンケート調査や戸別訪問等により詳細な状況確認に取り組んでいるところであります。
次に、いわき市に避難している障がい者につきましては、今月20日現在で相双地域の10市町村から697名が確認されているところであり、今後とも、状況の把握に努めてまいる考えであります。
次に、福祉避難所につきましては、災害救助法による支援のもとで要援護者に配慮した対応を行うことができることから、市町村に対し、制度の一層の周知と指定の促進を働き掛けてまいる考えであります。
次に、福祉避難所の整備につきましては、例えば、既存の介護施設等に併設して、地域の交流や福祉避難所に活用できるスペースを整備するなどの取り組みに対する支援について検討してまいりたいと考えております。
五、農業・漁業問題について
農林水産部長
平成24年度産稲の作付につきましては、国に対して、作付方針の決定に当たり、関係する市町村等の意向を十分に尊重してほしいとの考えを伝えるとともに、生産される米の管理については、収穫時に全袋検査を導入するなど徹底した安全確保体制を構築してまいります。
次に、農家負担の軽減につきましては、激甚災害の指定及び土地改良特例法の施行により、国庫補助率のかさ上げの対象とされるとともに、県においても、農家負担の更なる軽減を図ることにしております。
次に、魚介類等の検査につきましては、これまで、魚介類、海水及び海底土壌の定期的なモニタリング検査を国と連携して行ってきたところであります。
今後は、操業海域や魚種別に集中的な調査を行うなど、漁業再開に向け、より詳細かつきめ細かな検査の実施に取り組んでまいる考えであります。
次に、放射性物質に関する漁業者への情報提供につきましては、これまでも毎月の漁協長会議や漁業種類別の代表者会議等の場を活用するとともに、ホームページ等による提供を行ってきたほか、今月には、相馬市やいわき市等においてモニタリング結果や試験研究成果の説明会を開催したところであり、今後とも、丁寧な情報の提供に努めてまいる考えであります。
次に、漁場のがれき撤去につきましては、漁業者が底引き網等を用いて行う広域的な取り組みについて、新年度においても引き続き支援してまいる考えであります。
六、雇用・仕事起こしと商工業支援について
商工労働部長
雇用保険の給付日数につきましては、昨年10月に、特に雇用情勢が厳しく就職が困難な地域の求職者に対して延長されましたが、県内に有効求人倍率は全国平均を上回って改善しつつあり、今後は就労支援に向けた取り組みが求められていることから、更なる延長を国に要望する考えはありません。
次に、求職者数につきましては、昨年12月現在約4万1600人であり、これに対し、求人数は約3万2600人と、約9千人の求人不足となっております。
これまで、求職者数は昨年6月をピークに減少傾向にありますが、依然として多くの方が職を求めていることから、緊急雇用創出事業を活用し、新年度は約2万5千人の雇用創出を図ってまいります。
次に、雇用のミスマッチ対策につきましては、求職者のスキルアップを図るため介護や建設機械運転などの多様な分野の職業訓練を実施するとともに、仮設住宅等への巡回就職相談やふくしま就職応援センター等の相談窓口において、求職者の希望に応じたきめ細かな就職相談や職業紹介を実施するなど、国と連携しながら就職促進を図ってまいります。
次に、雇用対策につきましては、安定的な雇用を創出する企業等に対し助成を行うとともに、若者、助成などの能力・経験を生かせる雇用モデル事業を実施するなど、正規雇用の増加を図ってまいる考えであります。
次に、再建の意思のある事業者への支援につきましては、事業者の被災状況に応じて、事業継続・再開に向けたグループまたは個々の企業への補助や資金繰り支援、事業再開に必要な人材の確保・育成などにより幅広く支援するよう努めております。
今後は、さらに、取引拡大への支援や雇用への新たな助成を行うなど、市町村や商工関係団体と連携を密にして、きめ細かな支援に取り組んでまいります。
企画調整部長
住宅用太陽光発電につきましては、再生可能エネルギーの中でも、県民に最も身近で設置が容易であることから、短期集中的な取り組みにより、飛躍的な導入推進効果が期待できるものと考えております。
このため、来年度当初予算においては、住宅用太陽光発電の設置に要する初期費用について、これまでの市町村への補助による間接的な導入支援から転換し、兼愛全域を対象に県が直接支援する制度を創設し、予算を大幅に拡充したところであります。
次に、再生可能エネルギーによる電力の買取義務につきましては、昨年成立した「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法」に基づき、固定価格買取制度が本年7月から導入される予定であります。
今後、国において、買取価格を始めとする制度の詳細が検討されることから、県といたしましては、再生可能エネルギーの飛躍的推進に向け、電気事業者が保有する送電網への接続が円滑に行われることなど、実効性のある制度の運用が図られるよう国に求めてまいる考えであります。
生活環境部長
除染事業者による雇用につきましては、除染業務講習会を開催し、知識や技術の習得を支援することによる地元事業者の育成や、多様な専門分野からなる地元事業者の協同組合としての組織化を促すことによる大規模な除染業務の受け皿づくりなどにより、地元雇用の拡大につなげてまいります。
次に、雇用条件の整備につきましては、除染業務の発注者である市町村に対して、事業者が作業員の安全管理に要する追加的経費を十分賄えるよう適切に予算措置するとともに、受注者である事業者に対して、除染業務講習会の開催により、作業員の安全管理に関する知識や技術の普及に努めるなど、引き続き、市町村や事業者の意向も伺いながら対応してまいります。
企画調整部長
除染等の措置における福島の住民の雇用につきましては、法案に「国は、福島の住民が雇用されるよう配慮するものとする」とあり、法律上においては福島の住民の雇用を優先させることと同等の意味を持つ表記であると認識しております。
七、復旧復興の基本になる住宅政策について
土木部長
公営住宅につきましては、今回の震災により、多数の家屋の全半壊など、住宅をとりまく環境が大きく変化していることから、改めて住宅需要の動向を把握した上で、速やかに福島県住生活基本計画の見直しを行い、公営住宅の適切な供給に努めてまいる考えであります。
次に、復興公営住宅につきましては、地震や津波による罹災者や原子力災害による避難者の居住地の設定など、市町村の復興公営住宅の整備計画が前提となることから、県が、市町村計画の策定を支援するとともに、これらをもとに、県全体の供給計画を策定してまいる考えであります。
生活環境部長
災害救助法の応急修理につきましては、避難所の閉鎖状況などを踏まえて、57市町村において、受け付けを終了しているところであります。
今後の更なる延長につきましては、個別の市町村の意向を踏まえて、適切に対応してまいる考えであります。
土木部長
一部損壊住宅に対する支援につきましては、県において、社会資本整備総合交付金により事業が実施できるよう調整し、現在、24市町村において取り組んでいるところであり、同交付金の活用により引き続き支援してまいる考えであります。
次に、県内の宅地の被害状況につきましては、これまで16市町村から368地区の報告を受けております。
また、新たに市町村事業として制度化された造成宅地滑動崩落緊急対策事業においては、採択要件の緩和や補助率のかさ上げ等がなされたところであり、今後は、市町村の事業化の状況を踏まえ、必要に応じて更なる要件の緩和等を国に対し要望してまいる考えであります。
八、被災生徒児童に寄り添い行き届いた教育の実現について
教育長
国が作成した副読本につきましては、原発事故により放射性物質が放出され、その影響が国民の生活に広く及んでいることから、児童生徒が放射線に対して抱いている疑問や不安に応えるため、放射線の基礎知識や人体への影響、あるいは放射線から身を守る方法などについて教える内容となっております。
次に、原発事故を踏まえた教育につきましては、国が作成した副読本を基にして、放射線の基礎知識や人体への影響、放射線から身を守る方法などについて身につけさせるとともに、児童生徒に対して、原発事故により放射性物質が放出されたことや、その影響を避けるために住民が避難したり、食品の摂取や出荷が制限されたことなどを正しく伝えてまいりたいと考えております。
次に、少人数学級の教員の配置につきましては、引き続き、臨時的任用教員の減少に努めてまいる考えであります。
次に、教員採用につきましては、児童生徒数の増減を始め、教員の退職予定者数や学校の統廃合の状況等を総合的に勘案して、算定してまいる考えであります。
次に、学校の教員数につきましては、いわゆる標準法により決定されるものでありますが、被災地の各学校の実情に応じて、児童生徒の学習支援や心のケアにあたる教員を増員できるよう努めてまいる考えであります。
次に、市町村立の小中学校の運営にかかる維持管理費につきましては、義務教育であることから、必要な経費は、国から交付されることとなっております。
次に、市町村立学校に係るエアコンにつきましては、学校の設置者である市町村が、その維持管理費を含め、総合的に判断して、設置したものと理解しており、エアコンの維持管理費を補助の対象とすることは考えておりません。
次に、スクールカウンセラーとスクールソーシャルワーカーにつきましては、今後とも、他の都道府県や関係機関等の協力を得ながら、非常勤特別職として、より多くの学校に派遣し、教育相談体制の充実に努めてまいりたいと考えております。
次に、子どもの屋内遊び場につきましては、子どもたちの身近なところに安心して遊べる施設を整備し、子育て世帯のストレス軽減や子どもたちの体力向上を図ることを目的としていることから、市町村からの要望については、その意向を十分に尊重し、対応してまいりたいと考えております。
次に、ふくしまっ子体験活動応援事業につきましては、今年度の実績や利用団体に対するアンケートの結果などを踏まえ、学校の教育課程に位置付けられた体験活動については、年間を通して、また、子ども会等の各種団体の体験活動については、今年度に利用が集中した7月から9月及び12月から1月の期間を対象に補助できるよう来年度の予算を計上したところであります。
再質問
宮川えみ子県議
まず、福島再生特別法問題で知事に再質問いたします。確かにこの法律案の段階でつくられたことは大変よかったと思います。第一歩だと思います。しかし、財源も含めて県民一人ひとりの生活基盤の再建が復興の基本という、こういう部分が抜け落ちているのでないかと私はこんなふうに思います。
知事は権限が与えられておりますので、また、明日要望にいかれるという情報もありますので、ぜひ、そういう内容が組み込まれていくようにお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
それから、企画調整部長に質問いたします。同じくその法律の問題です。新しい法律も含めて、要望も検討したいということなんですが、私はやっぱり本会議でも出ておりますが、福島県の問題が風化しようが、他県や霞ヶ関がどうなろうが、長期にわたる福島県の復旧・復興をなしとげるためには、やっぱり法律で支援を担保しなければならないと、これが大事だと思うんですね。そういう点ではぜひ財政的支援がはっきりとするような内容で要望していくようにお願いしたいと思うんですけれども、これについても求めたいんですが、答弁をお願いいたします。
それから18歳までの医療費の無料化問題なんですが、知事にです。日本一安心して子育てすることができる福島県をつくるということでは私たちも本当にそうだと思います。長くかかるであろう復旧・復興はこれからの世代に託さなくてはならないことも多いと思います。私の質問に対する答弁でも教育長が出てきたり、子育て支援担当理事が出てきたり、なかなか統一した感じではないんですね。
12月議会で神山団長が県外避難の子どもの数を聞いた時もなかなか把握しがたかったと、こういう問題がありました。組織的に一元的に子どもたちの対応をすることが大事だなと思います。知事の思いを大きく前進させるという点では、18歳以下の医療費の無料化を国に引き続き求めていただきたいと思いますが、再度答弁をお願いいたします。
それから、やはり18歳以下の医療費の無料化の問題で子育て支援担当理事にお尋ねいたします。小学校4年生以上の無料化で総額はいくらと試算しているでしょうか。県は4年生以上について全額助成するといいますが、今までのように1000円の足きりや所得制限はないんでしょうね。確認しますがどうでしょうか。
それから、県外避難の方にも同じように実施されると思いますが、確認したいと思いますがいかがでしょうか。また、県外避難者には実施や手続き、どのように伝えるのか確認をしますがいかがでしょうか。
それから保健福祉部長ですが、障がい者の避難者をほぼ把握したといいますが、どういう内容になっているでしょうか。
それから、知事に消費税のことを再質問いたします。時期的に十分考慮しろと、経済・社会情勢をということなんですが、今、法律を作ろうとしているのではっきりしないと作られてからでは、終わりと思います。その辺をもう少しはっきりと反対と被災地の知事として明確にすべきではないかと思います。TPPについても、今、交渉が行われております。いささかも経済に影響がないように言ってもいまやっている話なんです。明確にお願いいたします。
答弁
知事
宮川議員の再質問にお答えいたします。
まず、特措法についてであります。まずはこの特措法については、早期制定を求めなければいけないということであります。そういう意味でも、明日行って早期制定を求めてこようと思っております。しかし、それと同時により良い法制度になるよう、今後も国に申し上げるべきことはしっかりと申し上げるという考えであります。
次に、消費税についてであります。消費税につきましては、先ほども申し上げましたが、地方の声をよく聴いていただいて社会保障、そして税制全般について経済・社会情勢を踏まえ、幅広い国民的議論が必要であると考えております。
次に、TPP参加につきましては、国に対して最優先課題である東日本大震災からの復興に全力で取り組むよう求め、交渉ルールも含めた影響の詳細な検討と国民への説明、さらには国民的議論を十分尽くした上で、慎重に対応するよう強く訴えてまいります。
18歳以下の医療費の無料化についてであります。いま制度設計を指示したところでありますが、これはより良い制度を作るために全力を尽くしてまいりたいと思っております。
企画調整部長
福島再生復興特別措置法についてでございます。先ほども申し上げましたが、財政措置につきましても必要な財源につきましては、これからも国に対して引き続き求めてまいりたいと考えておりますし、それから新法の制定、あるいは特別措置法の改正につきましても、その必要に応じてその検討を進めてまいりたいと考えております。
保健福祉部長
障がい者の避難状況でございます。先ほど私が申し上げたのは、国による避難指示等の指定を受けている市町村においては、ほぼ把握しているということを申し上げました。具体的には双葉8町村と南相馬、飯舘、この10市町村から避難されている8千数百人の方については所在が確認されているということでございます。
子育て支援担当理事
18歳以下の県民の医療費の無料化についてでありますけれども、まず、総額についてでありますが、現在の就学前までの子どもに対する医療費の助成を行っているわけですけれども、5歳児を基準とした1つの試算をしているものでございますけれども、いまの就学前までの負担とあわせまして、更に小学4年以上の18歳までの県民の医療費を負担したとして、約47億円ということでございます。
また、制度設計について、いまいろいろ検討しているところでございます。その中で、県外避難者の取り扱いをどうするかということでございますが、その扱いについてもう少し時間をかけて検討してまいりたいと考えてございますが、基本的にはいまの市町村の助成制度をベースに考えていくことが必要かなと考えてございます。
また、小4以上の助成、補助について、現在の補助要件、1レセプト当たり1000円未満をどうするかという問題、あるいは所得制限をどうするかという問題についても時間をかけて検討したいと考えてございます。基本的には先ほど答弁申し上げたように全額補助する方向で検討をしているということでございます。
再々質問
宮川えみ子県議
まず、知事にお願いいたします。18歳以下の医療費の無料化を国に再度引き続き求めていただきたいと思いますが、答弁をお願いいたします。
いよいよ土木部長です。一部損壊住宅についてです。この場で何回質問したでしょうか。私のところには毎日のように何とかならないかという声がきます。いわき市も郡山市も被害が大きく、いま土木部長が言ったような形での支援はかなり厳しい状況にあります。一定のお金はやったと言いますが、それでもなかなか難しいというのが、市の状況ではないかと思うんです。国・県の制度の動向を見ながらということなんで、県が何かの仕組みをつくって一定の支援をするというふうなことになれば、踏み出せるのではないかなと思いますので、再度の質問に対する答弁をお願いします。
答弁
知事
医療費の無料化につきましては、まずは福島県の単独施策としてしっかりとした制度設計を作って、安心して子どもを育てられる環境づくりに全力で取り組んでまいりたいと考えております。
土木部長
一部損壊住宅の改修支援につきましては、12月から2月までに4町村ほど増加しております。そういった意味で現行制度で支援をしていきたいと考えております。
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